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さて、今日は法人向けの生命保険の話です。

法人向けの保険が販売停止になっていることをご存知でしょうか
販売休止になっている保険は、主に中小企業の経営者(もしくは役員)を被保険者とする保険商品で、会社が契約者となっている保険です。もともとこうした法人向けの保険は本来の「死亡したらいくら」という保険の本来の目的というよりかは、いつ解約するといくら戻ってくるのかということにフォーカスして加入するという側面があったことは確かです。保険という死亡した場合の保障という側面より、一種の金融商品のような感覚で、いくら払えば将来いくら戻ってくるのかに着目して保険を掛けるということです。そして、半分損金になるなどの特性があることから、節税目的という部分も狙っていたわけです。さて、この法人向けの保険がなぜ販売停止になったのでしょうか?

これは、日本生命のある商品が発端と言われています。
日本生命に「プラチナフェニックス」という保険があります。
これは、死亡保険の保障がついた定期保険ではありますが、保障開始から最初の10年は病気による死亡の保障がありません。最初の10年はケガや事故などの保障だけになっていることが特徴です。この保険は、加入から10年目に解約返戻率(解約した時に払った保険料に対して返ってくるお金の割合)がピークに達します。そのピーク時に保険を解約すれば、保険料の80%以上が戻ってくるというものです。しかも、国税庁の基本通達にのっとっているため、支払った保険料は全額損金扱いということで売り出していたわけです。
この保険は、税理士などの間でも問題があるのではないのかと言われていたものではありました。他の保険と比べても支払ったものが全額損金になりつつ、10年で解約返戻率が80%にもなる保険は他にないからです。しかし、日本で一番大きな保険会社の日本生命が発売を開始した保険でもあり、むしろこの日本生命の保険にならって保険会社各社が似たような保険を売り始めました。東京海上日動やアクサ生命、第一生命などでも発売し始めたのです。
これに反応したのが国税庁です。
国税庁はこうした状況を問題視して、今年の2月14日に通達を出し、いったん法人向けの保険の販売停止を指示したわけです

さて、では、現状で法人向けの定期保険というのはどのように経理処理されているのでしょうか?
これは、大きくは三つに分かれます。
まずは、長期平準定期保険です。これは、支払額の1/2が損金計上、1/2が積立金計上という経理処理をしていました。支払った額の半分が費用にできるわけです。
長期平準定期保険とは、保険の保障額は一定(契約時の保障額がずっと続くもの)で、解約返戻金の返戻率が最も高い時期までの期間が比較的長くなる(20年~30年以上となることが多いです)ような保険です。主に、経営者の退職金目的で掛けることの多い保険でもあります。20年後、30年後に事業を止めた時点で保険を解約してそれを元に経営者に退職金の支払いをしようということです。仮にその間に経営者がなくなるようなことがあれば、保険の本来の機能である保険金が支払われます。一方で、存命したままであっても解約してお金に代えてその時点で事業を退くのであれば経営者の退職金に充てられるわけです。

また、逓増定期保険というものがあります。これは保険の種類によって、1/2損金、1/3損金、1/4損金という3種類ありました。
逓増定期保険とは、保険の保障額が支払額に応じて徐々に増えていく保険です。最初は保障額が少なく、徐々に保障額が増えていくことから「逓増」と呼んでいるわけです。この保険の特徴は、解約返戻率のピークが早く、ほぼ5年から10年でピークを迎えるということが特徴です。一方で、保険料は長期平準定期保険と比べるとかなり高くなるというのが特徴です。
経営者の年齢が40代後半であったり、50台であったりする場合、この逓増定期保険を使って上記のような退職金目的の積み立てをするなどをする場合には向いている保険と言えます。これも長期平準定期保険と同じように、仮に経営者が保険を掛けている間になくなれば、その時点の逓増した保険金が出ますし、満期まで存命であれば解約したお金で経営者の退職金に充てるわけです。

また、法人向けの保険で上記の長期平準定期保険や逓増定期保険以外の保険を定期保険と呼びます。契約期間が決まっていて、解約返戻率も低い、いわゆる掛け捨て保険というものです。この定期保険は支払額が全額損金になるというのが特徴です。
さて、くだんの日本生命を始めとした保険会社の開発した保険はこの「定期保険」に分類されるとされ、全額損金が可能となっていたわけです。
今回、こうした保険を「売りすぎた」ために、国税庁がストップをかけたわけです。こうした保険を含め、保険会社は法人向けの保険商品の販売ができない状態になっています。財務省は、あたらな保険の経理処理の方法がはっきりするまでは保険商品の販売を禁止しているというわけです。
さて、では、国税庁はどういう方針を出しているのでしょうか。
その解説はまた次回やりましょう。


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