さて、今日は特定処遇改善加算の配分方法について、書いていこうと思います。
この配分方法を決められているというのは、この加算のかなり特徴的な規定ですので、一つ一つ理解していただければと思います。
まず、特定処遇改善加算の配分方法を考えるには、法人全体の職員を3つのグループに分けることから始めます。
経験技能のある介護福祉士をAグループ、Aグループに属さなかった普通の介護職員をBグループ、そして、Aグループ・Bグループに属さなかった職員をCグループとします。
このうち、Aグループに属する介護職員は勤続10年以上の介護福祉士の資格を持つ介護職員などリーダー級とみなされる介護職員をこのグループの所属とします。
この勤続10年の介護福祉士の勤続10年というのは、他の法人や医療機関での勤務経験も含んでいいとされています。法人が独自に基準を設け、それをクリアした職員をAグループとしていいわけです。客観的にAグループであるというのがわかる基準であればいいとされています。したがって、勤続年数で判断するのではなく、評価等級で一定基準以上の人としてもいいとされています。勤続10年にこだわらずに、法人側で独自の基準を設けていいわけです。
次に介護職員であって、Aグループに所属しない介護職員はBグループとされます。
最後に、Aグループ・Bグループのいずれにも属さない職員がCグループになります。Cグループに所属するのは、ケアマネージャーや看護師、事務員、ドライバーなどが該当します。
まずは、法人の全職員をこのA・B・Cのいずれのグループに属するかをグループ分けすることがスタートです。
その上で、グループ分けする際の細かい基準がありますので、それを押さえる必要があります。
Aグループに属した職員は、算定しているサービス区分ごとに1名以上、月額8万円以上の賃金改善をするか、年収440万円以上の人を作らないといけないとされています。このうち、月額8万円以上の賃金改善というのは、社会保険料の金額も含んでいいものとされています。一方で、年収440万円以上というのは社会保険料の金額は含まずに判定します。
また、サービス区分ごとに1名以上、月額8万円以上か年収440万円以上の賃金改善というのは、法人全体でサービス区分ごとに1名以上いればいいとされています。どういうことかといいますと、たとえば、デイサービスと訪問介護の2つのサービスがある法人だったとします。その場合、法人全体で2名以上、月額8万円以上の賃金改善をするか、年収440万円以上の人を作ればいいわけです。ですから、たとえば、デイサービス業務に従事する者の2名で月額8万円以上の賃金改善か年収440万円以上の人を作ってもいいことになります。デイサービスと訪問介護のそれぞれの所属で1名ずつとは言っていないわけです。あくまでも法人全体で2名いるかどうかを判断するわけです。
さらに、たとえば現に年収440万円以上になっている介護職員がいたとします。その場合、自動的にAグループに所属することになります。
もう一つ、たとえば勤続10年の介護福祉士がいたとします。その法人では事業所内の評価システムでAグループに入るかどうかを判断すると決めていたとします。ですが、その勤続10年の介護福祉士の職員は事業所内の評価システムではAグループに該当しないことになってしまったとします。この場合、Aグループに属さないからBグループの所属にするということは出来ません。あくまでも、勤続10年以上の介護福祉士がいらっしゃったら必ずAグループの所属になります。
また、基本的にはAグループの所属者がいないということは出来ないとされています。サービス区分が一つあれば必ず1名はいないといけないとされています。ですが、たとえば、法人の事業所が小規模でデイサービスが1か所だけとかいう場合、そもそも月額8万円以上の賃金改善や年収440万円以上の者を作ることが出来ないというケースがあります。あるいは、事業所が立ち上げたばかりで賃金規定などの整備が途中であったり、勤続10年の介護福祉士という職員がまだいないケースなども想定されます。こうしたケースでは、そうした「特別の事情」を記載すればAグループに所属する対象者がいないとしてもいいとされています。
次に、Bグループの職員はAグループに所属しなかった介護職員になりますが、Bグループの職員のポイントは、たとえば、パート・アルバイトのような時間数の少ない職員も常勤換算割合(常勤者を1とした場合の勤務時間数の割合)で割り振る必要があります。
最後にCグループは介護職員以外ですが、このグループには年収440万円以上の職員がいたとしても外さないといけません。つまり、年収440万円以上の介護職員以外の者には配分できないことになっているわけです。
まずは、上記のような基準でA・B・Cの三つに職員を分けてみてください。
その上で、この加算の特徴的なのは配分比率というものがあります。A・B・Cで4:2:1(2:1:0.5)の比率で配分する必要があります。この配分比率は1名あたりの配分比率です。A・B・Cの三つで分けた職員の一人当たりの配分額なわけですが、配分額がゼロの職員がいたとしても、人数にはカウントします。それで一人当たりの金額を出すわけです。
どうでしょうか?ちょっと複雑な部分もあるとお感じになりましたでしょうか?
この配分方法の辺りの話については、Q&Aなどでも細かく基準が出ているところもあります。上記以外にもこのケースはどうしたらいいのか、というのがあれば、Q&Aや東京都で出しているQ&Aなんかも参考になりますので確認してみてください。
ということで、今日は特定処遇改善加算の配分方法のお話でした。
P.S. 10月1日から「介護職員特定処遇改善加算」の新制度が施行されますが、
その申し込みの締切りが8月31日と間近に迫っています。
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