経営者に話をすると、十中八九、関心を示すのが「助成金」です。
それはそうです。もらっておいて返す必要のないお金ですからね。お金に関心のない経営者なんていませんしね・・・ということで、今日からしばらく助成金について書いていこうと思います。(ときどき違うテーマも書きますが)
先日もある社長さんに「助成金の情報みたいなものは、誰が教えてくれるの?」と言われました。
まず、知っておいてもらいたいのは、税理士や会計士のほとんどは助成金のことを知らないということです。
「えー!そうなの?」と思いましたか?私のように経理だけでなく、労務管理や助成金についても精通していれば、顧問してもらっている会計事務所から教えてもらうのがスタンダードです。ですが、ほとんどの会計事務所は、経理や税金の情報には精通していますが、「助成金」のことは素人同然で、何も知らない人が多いんです。
「会計事務所=お金の専門家」「税理士=経理や経営の専門家」というのは経営者の勝手な思い込みです。
助成金のことをアドバイスしてくれる税理士や会計士だったらかなり勉強されているか、私のように社会保険労務士であるか、そういった状況にあります。当然、「助成金」のようなお得な情報を教えてくれる会計事務所の方がいいに決まっていますよね?(そういった意味でも、そもそも会計事務所を選択するときに、社会保険や助成金、人事労務のことにも詳しい事務所を選択すべきとは思います。)
助成金のことを知る前に、まずは、経営者の方には、現在、関与している税理士や会計士などの会計事務所が「助成金」情報に詳しいかを見極めてください。(1年以上の関与があるのであればその間に、全く助成金の話がなければ、詳しくない人なんだと判断してもいいと思います)
問題なのは、「助成金」のことをあまり知らない会計事務所とかかわっていると、情報が入ってきませんから、損している可能性があるということです。
詳しくない人だったら、選択肢は二つです。
一つは、顧問先そのものを「経理」のみでなく、「助成金」も含めた労務管理をやってくれる事務所に変えること。もう一つは、「助成金」の情報は自分で調べるなり、セミナーなどの勉強会に積極的に出るなりして、経営者自身が情報を探しに出ること。そのどちらかでしょう。
ということで、後者の経営者の皆さんにもためになる「助成金」情報を配信していこうと思います。
しばらくは、最近何かと話題の「キャリアアップ助成金」についてです。
「キャリアアップ助成金」。名前くらいは聞いたことがありますか?名前も聞いたことがなければ、この助成金は、今、もっとも旬な助成金ですから、これくらい知ってないと経営者として恥ずかしい?かもしれません。
「キャリアアップ助成金」は、現在の政府が一押しの助成金です。安倍総理も国会答弁で何度となく「キャリアアップ助成金」を口にしています。
「非正規雇用の若者たちには、キャリアアップ助成金を活用して正規雇用化を応援します。魅力ある中小企業がたくさんある。そのことを若者たちに知ってもらうための仕組みを強化します。」(平成28年2月12日 第189回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説で)
要するに、「非正規雇用」を「正規雇用」に転換していく手助けをする。これがこの助成金の趣旨です。
さっくりいうと、非正規雇用の人、つまり、パート・アルバイト、有期雇用(期間の定めのある雇用契約)などの非正規の人を今現在、雇用していて、その人たちを正規雇用に転換する予定があるのであれば、この「キャリアアップ助成金」の対象になりえます。
ただ、この助成金の要点は「就業規則」にあると思っています。要するに、就業規則がきちんとないと受給できないんです。その就業規則に「非正規の人を正規雇用に転換する」という規定を作るんですが、そもそもその「就業規則」を作ったことがなかったり、あっても相当古くて使えなかったり、あるいは、労務管理上いろいろと問題があって作れなかったり(多くは労働時間の問題ですが)、そういう事情があることが多いです。
ですが、「非正規の人を正規雇用(要するに正社員)に転換する予定がある」上に、「就業規則がある」会社だったら、この助成金の対象になります。(そもそも、人を雇うんだったら就業規則はないといけないのですがね・・・)
あとは、そもそも雇用保険に加入していないと助成金の対象になりませんからね。対象となっている非正規労働者が雇用保険に加入していて初めて、助成金の対象になってくる話につながります。
よくあるのが、「あのアルバイトはちょっと使えるから、じゃあ、そいつを正社員にしたら助成金がもらえるんだ」という話です。もちろん、「あのアルバイト」でもいいのですが、その「あのアルバイト」という人が、実際に雇用保険に入っていないと対象になりません。その点も要注意です。
あとの要件は、結構、細かい部分もあるので、社労士などの専門家に依頼したほうが経営者的にはよろしいかと思います。助成金の手続きをしたことのない経営者ご自身が助成金の申請手続きをするのは結構、手間のかかる話になります。
ということで、今日は「助成金」の導入の話として「キャリアアップ助成金」の正規雇用転換コースの話でした。
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