私の出身は新潟県の柏崎です。
知る人ぞ知る話なのですが、柏崎の花火大会というのは全国的に見ても大変、大規模な花火大会です。私も東京に来てもう20年以上になってしまい、高校生まで柏崎に住んでいた期間よりも長くなってしまいました。柏崎にいたころには全く知りませんでしたが、柏崎の花火大会は私の郷土の自慢の一つなんだなあと今になって思います。
その柏崎の花火大会が今日ありました。BSフジでは生放送されていました。
この花火大会にある「協賛金」の税務上の取り扱いを考えていきましょう。
花火大会を開催するにあたっては、たいていスポンサーを募ります。そのスポンサーになった企業側の会計処理(税務処理)の話です。
花火大会の「協賛金」の税務処理は主に3つあります。
「広告宣伝費」で処理する場合
これはわかりやすいです。花火大会の協賛金が「広告宣伝費」になるのは、花火大会のスポンサーであることをPRできれば「広告宣伝費」として取り扱えます。パンフレットにスポンサー企業として載せてもらえるとか、花火を上げる際にスポンサー企業の名前としてアナウンスしてもらえるとか、不特定多数の者の目に触れる形があれば、「広告宣伝費」として処理できます。
「広告宣伝費」は100%経費計上できる項目であり、なおかつ、消費税の課税仕入れとして消費税を控除できる項目です。会社の処理としては、花火の協賛金はなんとかして「広告宣伝費」として処理したいところなわけです。
「交際費」で処理する場合
これは、広告宣伝という意味程ではないものの、地元の企業として円滑に事業を進めるために必要に迫られて協賛金を出した、というようなケースだと「交際費」として処理します。
花火大会のプログラムに企業名を載せるとか、花火を打ち上げる際に企業名を言ってもらえるとなれば、上記の「広告宣伝費」になるでしょうが、そこまではいかないケースです。
「お付き合い」や特定の取引先の関係で支出した協賛金であれば「交際費」でしょう。
ちなみに、「交際費」になってしまうと、全額損金に計上できるとは限りません。中小企業の場合には800万円までは全額損金算入されますが、大企業の場合には損金算入には限度額があります。
消費税は、事業を円滑に進めるためという目的なのであれば、課税仕入れとして消費税を控除できるでしょう。
「寄付金」として処理する場合
広告の意味合いもなく、事業を円滑に進めるという目的もなく、支出したものは「寄付金」として処理します。寄付金は損金算入できる限度額があり、全額損金算入できるわけではありません。
(資本金の額×当期の月数/12×2.5/1000+所得の金額×2.5/100)×1/4=損金算入限度額
この限度額の範囲でしか損金算入されません。
また、寄付金となった場合、消費税の課税仕入れとして消費税を控除することは難しいでしょう。
また、これらの協賛金をお金を出すのではなく、お酒だったり商品券だったりといった物品で出すこともあると思います。
物品で出しても処理の考え方としては同じです。不特定多数の者の目に触れる形であれば「広告宣伝費」ですし、特定の企業に対して、取引先の手前、支出したのであれば「交際費」、これらの利害関係がまったくなければ「寄付金」です。
ただ、物品で支出した場合、注意点は「商品券」や「ビール券」などの金券で支出した場合です。金券を渡した場合、これは消費税は仕入れ税額控除できません。「広告宣伝費」に該当する支出であっても、「商品券」を渡したのであれば、消費税は引けないということになります。
まとめますと、花火大会などの協賛金は、会社側としては
広告宣伝費>交際費>寄付金
の順で考えたほうがいいです。
その際、どういう基準で分けるのかというと、協賛金の意味合いの程度です。
企業名などが不特定多数の者の目に触れる>
特定の取引先などのために協賛金を支出した>
特に広告や事業の円滑化などの目的があったわけではない
上記の順に「広告宣伝費」「交際費」「寄付金」として処理されることになります。
会社としてはなるべく「広告宣伝費」として処理したいところでしょう。
また、消費税の経理処理も寄付金であれば控除できませんが、広告宣伝費や交際費であれば控除できます。
そうしたことを考慮すると、たとえば、企業名を何らかの形で載せてもらうなど、不特定多数の者の目に触れるというのが重要になります。
花火大会以外にも、盆踊りなどの夏祭りなど地域のお祭りごとにも当てはまります。
是非、知っておきたいところです。