さて、今日は最近、聞かれることもたびたびある点です。
雇用調整助成金の特例措置はいったいいつまであるのか、という話です。
たびたびの延長があり、現状で雇用調整助成金はいつまであるのでしょうか?
今のところ、令和4年9月30日までとなっております。この9月30日というのは、雇用調整の初日が令和4年9月30日までの間にあればいいとされています。雇用調整助成金の算定期間の初日が9月30日までであれば、9月30日以降の部分があっても申請できるということです。
たとえば、給与が20日締めの会社であれば、9月21日から10月20日分も雇用調整助成金の申請が可能となります。
また、以前のブログにも書きましたが、今回の雇用調整助成金の要件は以下の3つです。
1.新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
2.最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している
3.労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている
基本的な話ですが、コロナで休みの人が出たからその人について雇用調整助成金を使いたいという趣旨のご相談を結構、いただきます。ですが、それでは雇用調整助成金の今回の特例措置の要件を満たしていません。コロナで休みの人が出て、休業を余儀なくされ、休業手当を支払っていることがまずはあります。また、売上高や生産量が5%以上減少していることも要件となっています。先ほどのコロナで休みの人が出たから雇用調整助成金を使いたいという経営者の方の話もよくよく聞いてみると、昨年よりも売り上げ自体は回復していたりすることも多々あります。このような場合にはそもそも該当しないわけです。
支給額は令和4年3月以降については、小規模事業所(概ね20人以下の事業所)の場合、休業手当の9/10(解雇がある場合には4/5)でます。ただし、1日当たりの上限額は9000円となっています。
また、雇用調整助成金の特例措置というのがあり、この場合、支給額は休業手当の10/10(解雇がある場合には4/5)でます。ただし、1日の上限額は15000円となっています。
この雇用調整助成金の特例措置というのはどういうものでしょうか。雇用調整助成金の特例措置には「業況特例」と「地域特例」の二つがあります。それぞれ以下の要件になっています。
まず業況特例です。
業況特例は、次のAとBそれぞれの月平均値の生産指標(売上げ高等)を比較し、Aが30%以上減少している事業主が対象となります。
A:判定基礎期間の初日が属する月から遡って3か月間の生産指標
B:Aの3ヶ月間の生産指標に対して、前年同期、前々年同期または3年前同期の生産指標
生産指標というのは必ずしも売上高である必要はなく、顧客数等の指標でもいいとされています。これは雇用調整助成金の原則措置と同じです。
また、判定期間の初日が令和4年4月1日以降の休業等について 業況特例の申請を行う全ての事業主は、申請の都度、業況の確認を行います。そのため申請の都度、売上等の生産指標の提出が必要になります。その際、提出する生産指標は、最新の数値を用いて判断することになります。また、原則として生産指標を変更することはできません。
雇用調整助成金の原則措置は前年との比較であったのに対して、雇用調整助成金の特例措置は前年だけでなく前々年の同期でもよいとされています。この違いには注意が必要です。
次に「地域特例」です。
地域特例は緊急事態措置やまん延防止等重点措置の適用されている地域が対象となる措置です。現在はこれらの措置が適用されている地域がないため、原則的にはこの地域特例を使うことはないだろうと思います。
また、雇用保険加入者については、雇用調整助成金となりますが、雇用保険被保険者以外の方に対する休業手当については、「緊急雇用安定助成金」として支給しています。中身については同じものになりますので今一度、ご確認ください。
ブログを書いているこの日現在(令和4年7月21日現在)、コロナの罹患者が全国で増えているという情報があります。今のところ雇用調整助成金の特例措置の延長等の措置があるという話は出ていません。ただ、これまでも何度も延長措置がされてきたところですので、今後の動向に注意が必要でしょう。