あけましておめでとうございます。
昨年は12月はなかなかブログの更新ができませんでしたが、今年もなるべくブログ更新をしていこうと思います。
いつもは顧問先の社長さんなり、総務経理の担当者さんから質問されたりしたことや、実際に私が経験したことなどをもとに書いているわけですが、今日はちょっと違う視点から書いていこうと思います。税理士の先生や税理士事務所の職員の方からいただいたことのある社会保険の月額変更にかかわるご質問について書いていこうと思います。
まず、以前にこんなご質問を税理士の先生からいただいたことがあります。
「月給の方の月額変更というのはわかるのですが、時給者の場合、毎月、給与が変わりますよね?月額変更はどうやればいいのですか?」
時給者や日給者の場合、確かに毎月の給与月額は変わります。この場合、どのように考えればいいのでしょうか。月額変更には原則的なルールが三つあります。
(1)昇給または降給等により固定的賃金に変動があった。
(2)変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
(3)3カ月とも支払基礎日数が17日以上である。
原則的にはこの3つです。このうちの(1)にかかわる部分の話です。つまり、「固定的賃金」という言葉の意味です。月給者の場合には、基本給や毎月変動のない手当になりますが、時給者の場合、時給単価ということになります。
時給単価に変更があってその月から3か月でみて2等級以上変動があることということになるわけです。
したがいまして、時給単価は変わらずに単に時間数が増えたために給与が上がった場合にはそもそも「固定的賃金」に変動がないことから対象にはなりません。
ただ、時給単価が変わらなくても、たとえば、引っ越し等によって固定的賃金の通勤手当があがって、時給単価に変更がないものの時間数が増えたために給与が上がったような場合には「固定的賃金」の変動があり、2等級以上の変動があるとなると時給単価に変更がなくても月額変更にはなります。
さて、次のご質問です。
「標準報酬の上限にかかる場合、1等級だけでも月額変更しないといけないのでしょうか。」
これは、たとえば月額130万円の報酬が140万円に変更した場合、健康保険の等級でいうと49等級から上限の50等級に変更となります。この場合、1等級しか変わっていないことになりますが、このように標準報酬の上限に係る場合、月額変更として扱います。
もちろん固定的賃金の変更があって、支払基礎日数が17日以上あることが前提ですが、上限に係る場合には1等級であっても月額変更とします。
そうすると、厚生年金は上限の標準報酬が650千円です。650千円にかかる場合1等級の変動でも月額変更かというように考えるかもしれません。
たとえば、給与が63万円が66万円に変わった場合、等級は620千円から650千円にかわります。この場合、確かに1等級のみの変更で、標準報酬の上限に係る給与の変更ですが、これは月額変更というわけではないです。健康保険の等級は650千円の上があります。ですから、この場合には健康保険の標準報酬で見て2等級以上ということになります。たとえば、給与63万円の方が68万円になると、健康保険の等級が620千円から680千円と2等級変わるため月額変更に該当します。この場合、厚生年金は620千円から650千円になるだけで1等級しかかわらないことになりますが、月額変更に該当するということです。
自社で給与計算をやっている会社さんのほかにも税理士の先生も給与計算を行うことが多いため、どうしてもこうした月額変更にかかわる事務処理にかかわってきます。上記のような論点は、税理士の先生でも考えてしまうような論点なわけです。
参考にしていただければと思います。