本日、10月以降の雇用調整助成金(緊急雇用安定助成金)の取り扱いについて、正式に発表になりました。どんな内容なのか、確認していきましょう。主に中小企業を中心に解説していきます。
10月以降は最低額が変わります。
9月までは原則、1日9000円だったのが8,355円になります。
9月までと10月・11月については休業手当の9/10であることに変更はありません。9/10の上限額が9000円だったのが8355円になります。この8,355円というのは、雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)の1日あたりの上限額と同じです。そもそも雇用調整助成金の1日の上限額は失業保険の1日当たりの上限額と同じに設定されていましたが、コロナ禍の雇用状況の悪化を考慮し、1日当たりの上限額をいわゆる失業保険よりも多い金額に一時的に設定していました。
10月以降は少なくとも給付金ベースではコロナ前の雇用調整助成金の水準に戻るわけです。
また、この原則的な取り扱いに対して、例外が二つありました。一つは、地域特例で、もう一つは、業況特例です。
地域特例というのは、「緊急事態措置を実施すべき区域、まん延防止等重点措置を実施すべき区域において、知事による、新型インフルエンザ等対策特別措置法第18条に規定する基本的対処方針に沿った要請を受けて同法施行令第11条に定める施設における営業時間の短縮等に協力する事業主」を指します。現在は時短要請を行っている地域はないことから、対象はないことになります。
そうなると、特例に外とするか否かはもう一方の業況特例となります。
業況特例とは、「生産指標が、最近3か月の月平均で前年、前々年又は3年前同期比で30%以上減少している事業主」を指します。原則の雇用調整助成金は、初めてコロナ特例の雇調金等を申請する場合、生産指標が5%以上減少していることが要件となっています。そのため、売り上げの減少が5%以上30%未満であれば原則措置、30%以上となれば特例措置と考えていいでしょう。この業況特例を使う場合、売り上げが減少しているという資料を出すわけですが、これは令和4年4月以降は毎月業況を確認しています。
この特例措置に該当する場合、給付額が原則額の場合の休業手当の9/10が10/10、つまり全額支給となります。ただし、この1日当たりの上限が9月までが15,000円だったものが10月からは12,000円となります。
さて、このコロナ禍に伴う雇用調整助成金ですが、今回の発表では、11月までとなっています。12月以降はコロナ禍の雇用調整助成金はなくなり、コロナ前の雇用調整助成金に戻る予定ではあります。
今後の発表を待たねばなりませんが、現状ではそうした方向となっています。
コロナ禍で拡充をしてきて幅広く活用された雇用調整助成金ですが、この取り扱いはいよいよ終了の方向になってきたようです。11月以降の動向も含め、今後の改正の方向を注視する必要があるようです。