10月1日から消費税の税率が上がったり、最低賃金が上がったり、他にも様々な改正があります。今日はそのうち、消費税率の改正前後で日付がまたぐ取引について、書いていこうと思います。
消費税は商品などのモノの引き渡しについて、「引き渡しのあった日」で取引があったものとしています。現物のモノがあって引き渡し場合は分かりやすいわけですが、たとえば通信販売などで、商品の購入の申し込みがあってから商品の引き渡しまで日にちがあるような場合、8%の消費税率なのか、10%の消費税率なのか、という問題が生じてきます。
具体例で考えてみましょう。
通信販売で購入の申し込みをインターネットでする・・・9/29
商品の発送・・・9/30
商品の到着・・・10/2
問題となるのは消費税法でいう「引き渡しのあった日」というのが三つのうちのどの日付になるのかということです。申し込みをした時点や発送した時点であれば9月中の取引になるので、消費税率は8%です。一方で、商品が到着した時点で商品の引き渡しがあったとすれば、10月になっているので、消費税率は10%となります。 結論としてはこれは買い手側ではなく、売り手側の経理処理によることになっています。つまり、売り手側の業者が発送日に売り上げ計上している(発送基準といいます)のであれば、消費税は8%になりますし、商品が到着した日で売り上げ計上している(着荷基準といいます)のであれば、10%になるということです。
消費税法では、どの時点で消費税を認識するのかは売り手の事業者に任せています。売り手側が「発送基準」にするのか、「着荷基準」にするのか、どちらにするのかを選んで、買い手側はその経理処理に従うというルールになっています。
なぜこうなるのかといいますと、消費税という税法の仕組みが間接税という方法によっているためです。消費税はAさんがBさんに100円で売った商品にかかる消費税があったとして、そのBさんがさらにCさんという最終消費者に売った場合、BさんはさらにCさんに消費税を転嫁させます。最終消費者のCさんが最終的に負担する形になる、これが消費税の基本形です。売った側が買った側に転嫁していくという仕組みになっているため、売った側の消費税の経理処理方法によるという、そもそういう仕組みの税金だからなんです。
ただ、相手側が「発送基準」なのか「着荷基準」なのかはそうすればわかるのでしょうか?もっといえば、先ほどの例のように、9月30日と10月1日をまたぐ取引があった場合、8%なのか10%なのかはどうすれば判断できるのでしょうか? これは売り手側の請求書や領収書などにその消費税率を明記するルールになっています。売り手側の発行する請求書などをみれば消費税が8%なのか10%なのか書いてあります。その書類を見て判断するわけです。
また、売り手側が税込経理処理をしていて、消費税の金額を明記していない場合は「発送基準」か「着荷基準」かはわかりません。こうした場合には、どうすればいいのでしょうか?こうした場合、原則的には相手側にどちらの経理処理かを確認するのことになっています。しかし、いちいちすべての取引について相手側に確認することは出来ない場合もあると思います。そうした場合には、買い手側が通常、やっている会計処理によっていいことになっています。どうしても売り手側の処理がわからないという最終的な場面で、自社の経理処理に従うことになるわけなんです。
それから、消費税の負担を少しでも少なくしようとして、たとえば普段は「着荷基準」で処理している会社が、9月30日と10月1日をまたぐ取引だけ「発送基準」によるようなことはできません。通常の会計処理がどちらかで判断しないといけませんからその点も留意しましょう。
ということで、今日は9月30日と10月1日をまたぐ取引についての消費税の話でした。