手技療法の治療院、介護事業の経営に役立つ最新情報や知って得する情報満載のブログです!

さて、今日は特に治療院の先生向けに書いていこうと思います。

銀行融資の話です。(主には治療院の先生向けに書きますが、一般の経営者の方にも役立つ話であると思います。)

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私は顧問先に治療院が多いです。(治療院経営の専門家と一応、自負しているので)

 

介護事業所はそうでもないのですが、治療院の先生のよくあるパターンとして開業時に創業融資を借入し、その後その返済が終わり近くなると銀行から「融資残高が少なくなってきたのでいくらか借入しませんか?」と言われることがあります。

私の経験上、ほとんどの治療院の先生はここで「借りない」という選択をします。

「借金=経営リスク」と考えていて、借入はない方がいいと、とにかくそういう思い込みがあるわけです。治療院の場合、毎月の収支は家賃や人件費など読めるものが多いです。患者数を現状維持か、少しずつでも増やしてきた治療院の先生は、借金をしなくても回せるので「いい経営というのは借金しないことだ」と思うわけですはっきり言いますが、この考え方は間違っています。銀行から借り入れすることは治療院経営にとっては、不可欠な話で、無借金経営ほど危険なものはありません。

 

たとえば、治療院を経営していて(治療院でなくてもいいのですが)、悪い時がありますよね?今月は患者が少なかった、自賠責保険の売上がなかった、あるいは思わぬ出費があった(たとえば店舗の冷暖房機が壊れた)というように必要経費が通常よりも多いこともあります。

治療院というビジネスは(多くのビジネスがそうですが)、月ごとに収支をみていくものです。たとえば、ある年の1月の売上の減少が極端に少なかったとします。悪い時には悪いことが重なります。2月は今度は自動ドアが壊れてこの修理で思わぬ出費があったとします。さらに、3月は自賠責保険で保険会社と揉めて入金予定だったものが入らなかったとします。偶然にもこうした出来事が3か月続いたとします。

治療院の預金通帳を見ると、残高がみるみるうちに減っているわけです。

4月はというと、個人の場合、所得税や消費税の振替納税があります。

税金のことを考えると足りません。

 

さて、こういう場合、治療院の経営者はどの時点でどう考えるのが一般的でしょうか?

 

ほとんどの治療院の経営者が4月の税金の納付前に、治療院とは別の個人の口座から税金分の資金を移動します。それで何とかしようとするわけです。

しかし、5月はゴールデンウィークもあり、もともと稼働日数が少ないです。売り上げがそれほど上がらなかったらどうでしょうか?そもそも保険収入は入金は4ヶ月から6か月先です。仮に患者さんが来たとしても、売上の少なかった1月の入金がようやく5月・6月くらいにあるわけです。そうすると資金繰り的には厳しいことは目に見えています。

こうしたとき、治療院の先生は「とにかく、目の前のお金のやりくりだけを考えてあのお金をこっちに持ってきてどうにかしよう」と考えるわけです。

 

経営で一番大事なことは何かというと、「現預金を多く持つ」ことです。

このことはこのブログでも何度も書いてきました。現金があれば倒産はしない。これが経営の鉄則であり、一番大事なことです。

銀行融資の鉄則、「晴れた時こそ傘を借りる!」

多くの治療院の先生がかたくなに思っている「借金=リスク」だから借入しないという選択はそもそも間違っています。(もともと預金残高が潤沢にあるのであれば別ですが)

 

治療院の経営で、上記のような状況になるというのは別に珍しいわけではなく、よくある話です。

こういう時、治療院の先生には、次の順番に考えてほしいとお伝えしています。

 

  1. まずは銀行からお金を借りる
  2. 銀行の返済ができなくなったら、銀行の返済をリスケジュール(返済猶予)する
  3. 経営者の個人の預金を事業の通帳に入れてつなぐ
  4. 経営者個人が借入して事業の通帳に入れる

 

ほとんどの経営者が3からやります

個人の通帳からお金を出すのはあくまでも銀行があてにできなくなってからなんです。この順番を間違えるわけです。

ちなみに、4まで言ってもどうにもならなくなったらその時に、税金や社会保険の滞納、支払先への支払いの延期という手段を使うことになります。(従業員の給与の遅配はさらにその後ということになります)

また、銀行からの返済が滞る前に、税金の滞納をする人がいますが、これはもってのほかです。税金を滞納すると銀行はお金を貸してくれませんし、そもそも税金の滞納には延滞税や加算税という高い利息が付きます。いいことは一つもなく、だったら2のリスケジュール(銀行の返済を猶予してもらう)をすべきです。

 

さて、上記の治療院の例ですが、私は顧問先の治療院には1月の売り上げが減少する前に借り入れが少なくなった時点で融資の申し込みをするように奨めます。つまり、比較的状態のいい時に借入するように話をします。「晴れたら傘を貸し、雨が降ったら傘を借さない。」この銀行融資の原則からしても、まだ状態のいい時に借りたほうが借りやすくなります。経営のリスクを回避するというのはとにかく現預金を多く持っておくことですから、1月以降のような良くないときに借りるべきではありません。また、仮に12月までに銀行からの借入をしなかったとしても、遅くとも1月か2月の時期に借りておくべきです。3月くらいに融資が下りれば少なくとも4月の納税時期には間に合います。仮に個人のお金も手元になく、納税できなかったら銀行からの借入もできないことになり、坂道を転げ落ちるように一気に経営危機に陥りかねません。この例であれば、遅くとも3月には融資をしておくべき(確定申告が終わってすぐに融資を受ける)ということになります。

 

治療院に限りませんが、経営にとっての本当のリスク管理が何なのか、今一度、考えてみてはいかがでしょうか。


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