この8月1日から、社会保険にはいくつか改正がありました。
まず、後期高齢者が医療機関で支払う一部負担金が、年収によっては2割負担や3割負担になるというのがあります。
そして、経営者にとっては、年金の受給資格期間が10年に短縮されたというのは影響が大きい改正項目ではないかと思います。
従来は、いわゆる老齢年金を受給するには、加入期間が最低25年ないと受給できませんでした。
この25年加入というのは、保険料支払済み期間とイコールではないので注意が必要です。この辺の話は私の以前のブログをご参照ください。↴
さて、経営者にとって、この改正が影響が大きいというのは、特に社会保険未加入事業所です。よく経営者の皆さんからはこんな話をお聞きします。
「年金は25年入っていないともらえない。今から自分が入っても25年にならないから掛け捨てになってしまう。だから、入りたくないんだ。」というような話です。
法人だと社会保険は強制加入なわけですが、社会保険に入らない(入りたくない)理由の一つになっていたのがこの25年(300か月)ルールです。
しかし、このハードルが10年に下がるわけです。ということは、たとえば、60歳から加入しても、厚生年金は70歳までは入れますから10年はクリアできることになります。
一般的に、国民年金だけでは40年保険料を払っても年金額は年間で約80万円です。
80万で生活するのは厳しいですよね?それを考えると厚生年金に加入して少しでも年金額を増やすというのは老後の生活保障としても必要のある話なわけです。
また、最近は介護施設でも外国人を雇うことが多くなってきましたから基礎知識として知っておく必要があるのが外国人の年金です。
外国人の場合、「年金をもらえる期間が10年になったと言っても10年も日本にいないし、いずれにしても掛け捨てになってしまう」というような話です。
これこそ、私の以前のブログ↓をよく読んでください。
要するに、外国人の場合には、日本国外に在住していた期間はカラ期間(合算対象期間)となり、10年の年金をもらえる期間の算定には、外国に住んでいた期間はカラ期間としてその期間を含めて判断します。そうなると、ほとんどの外国人はこのカラ期間を使って年金を受給できる可能性があるわけです。日本にいた数年だけ厚生年金を掛けていたとしても十分もらえる可能性はあるわけです。
ちなみに、外国人の場合、日本から出国した時に脱退一時金として、一時金でもらって年金はもらわないという選択もできます。
年金加入期間が10年になったというのは、経営者にとっては影響の大きい話ですので、上記のような基本的な部分の話だけでも頭に入れておいた方がいいでしょうね。