今日は私の顧問先であった話を元に書いていきます。
この顧問先の介護事業所は、介護保険法の改正のたびに影響を大きく受け、改正後に経営状況が悪くなるということを繰り返していました。年々、経営状況が厳しい状況にあり、いよいよ介護保険外のサービスを中心に事業所経営をしていこうと舵を切っているところです。介護保険外サービスの新規事業に参入するということは資金が必要なわけで、金融機関からの借入が必要な状況なわけです。ところが、ここ数年、あまり経営状況がよくないためほとんど銀行に顔を出さなくなっていたということです。
そこで、銀行融資についてのご相談を私が受けたということです。
そもそもなぜ銀行に行かなかったのでしょうか?
おそらく、経営状況が悪い状況で行くといろいろと自社に不都合なことを言われると嫌ったということなのでしょうか。これでは状況が悪いから行かないなどということでは銀行との関係も上手くいくはずはありません。
銀行にはいいところを見せておきたい。
銀行にいちいち状況を説明しなくてもいい。
決算時以外に試算表を銀行に提出することはしたことがない。
そもそも決算書も銀行から言われるまでは出さない。
このような意識の経営者の方は要注意です。
考えてもみてください。
ちょくちょく会っていて、家族のことや仕事のことなど、その人のことを良く知っている人が「お金を貸してほしい」と言われた場合と、一方で、高校の同級生で何十年ぶりかに会う友人に「お金を貸してほしい」と言われた場合とで比較して考えてみたらわかると思います。何十年ぶりに会って状況がどうなのかわからない人にお金を貸すでしょうか?
銀行だって同じなわけです。
状況が悪い時はなおさらです。銀行に足繁く通って、自社の企業の状況を報告に行っていないといけません。これからこうするから業績は回復するという説明を聞いていて、金融機関側も状況が悪いことを把握していたとしたら、いざというときに頼りにできる存在になる可能性が大きいです。
件の社長さんも経営状況がいい時には毎月のように銀行に試算表をもって自社の経営状況を報告に行っていたものです。私も同席してほしいと言われて、よく一緒に銀行に行っていました。ところが、経営状況が悪化するにつれて、銀行へ行く頻度が減っていきました。私も行く回数が減って、一緒に行くことはなくなりました。ついには、社長さん自身が決算が終わっても決算報告すらいかなくなってしまったのです。その状況でいきなりお金を借りに行っても借入することは難しいでしょう。
銀行といっても担当者は「ヒト」です。信用というのは、頻繁に経営状況を報告しに行ったりして、少しずつ醸成されていくモノです。時間をかけて銀行との信頼関係を築いていくことがあとでお金を借りるときに活きてくるわけです。
ちなみに、件の社長さんですが、銀行からの融資が難しいため、結局、日本政策金融公庫からの融資を受けることになりました。公庫であれば、経営状況がかなりひどい状況でなければ銀行よりは可能性があると判断したためです。公庫の特徴として、書類上のやり取りになることが多いため、担当者との意思疎通などがあまりなくても、融資を受けられる可能性があるのです。この辺の公庫の融資の考え方は私の以前のブログを参考にしてみてください。
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以上、参考になさっていただければ幸いです。