今日で8月も終わりですね。
8月というと、夏休みだったりで、休みが多い季節です。少し中だるみになっている方も多いのではないかと思います。9月からまた頑張りましょう。
さて、治療院が保険診療中心から自費診療中心に移行する場合の税金の問題をいくつか書いていました。もう一つ、税金の問題として事業税の問題があります。治療院の事業税って、いったいどうなっているんでしょうか。
というより、そもそも事業税って何?と思われるのではないかと思います。
事業税といっても個人の場合は「個人事業税」、法人の場合には「法人事業税」があります。
今日は、個人事業税について、理解していきましょう。
個人事業税は、「収入-必要経費―専従者給与」の金額が290万円以上の場合に課税されます。つまり、青色申告特別控除前の金額が290万円以上の場合に課税されます。
そして、治療院の場合、さらに社会保険診療にかかる部分は非課税になります。
つまり、自費診療部分だけで290万以上だったら事業税が課税されます。
具体的な数字で考えてみましょう。
収入 保険診療収入 800万円
自費診療収入 1,200万円
収入の合計 2,000万円
経費合計 800万円
青色事業専従者給与 100万円
青色申告特別控除 65万円
差引所得 1,035万円
こんな感じだったとします。
事業税を計算するときは、次のような算式で計算します。
収入―経費―専従者給与―一定の控除額(290万円)
この例ですと、2,000万円―800万円―100万円―290万円で810万円ですね。この810万円から、治療院の場合、保険診療に係る部分は非課税ですからこれも引いて計算します。
この事業税のかからない保険診療部分の金額を求めるのに、収入金額の合計2,000万円から経費の合計800万円を引いた1,200万円を自費収入と保険収入の収入金額の比で按分します。
ですので、事業税の非課税の対象になる金額は、1,200万円×800万円÷2,000万円=480万円となります。
ということで、事業税の課税対象は810万円-480万円の330万円です。
そして特徴的なのが税率です。
個人事業税は通常の業種は、事業税率は5%なんですが、治療院の場合には税率は3%です。
ですから、この例ですと、事業税の課税対象の330万円に3%を掛けた金額が事業税です。ということで、330万×3%の99,000円が事業税の金額となります。
では、事業税の課税対象になるのは、どんな収入でしょうか?
まずは「自費収入」です。その他、たとえば、もし物品販売(サポーターなど)をしていたらそういったものも入ります。
あとは、自賠責保険の収入です。交通事故などの自賠責保険に力を入れている治療院も多いですが、こうしたものも「自費収入」として事業税の計算には入れて計算します。
逆にいえば、事業税が非課税になるのはあくまでも、保険診療部分だけです。保険診療の収入以外は「自費収入」としてカウントします。
ということで、自賠責保険の収入は消費税は非課税ですが、事業税はかかります。
ちなみに、細かい話ですが、預金利息はそもそも個人の場合、収入計上しませんので、その点はご注意ください。(個人の場合、「利子所得」という所得区分になるため、「事業所得」の計算にはそもそも入りません)
また、この治療院の事業税ですが、「あんま、マッサージ又は指圧、はり、きゅう、 柔道整復その他の医業に類する事業」となっています。
つまり、同じ治療院でも、民間資格である「カイロプラクティック」とか「整体院」は普通の事業での計算になります。
ですので、カイロプラクティックや整体院の場合、税率は5%です。もちろん、こうした治療院では、社会保険診療はないですから、非課税部分もないです。
保険診療中心だと事業税は非課税のためかからないわけですが、自費診療中心に移行すると、事業税の問題があるというのは、顧問税理士がいても説明されない部分かもしれません。
消費税に加え、事業税の問題があることも知っておいてほしいことです。