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今日は前回の続きです。雑損控除の「災害」「盗難」「横領」のうちの「災害」についての取り扱いを解説しようと思います。ただ、これらは細かく解説すると結構大変なことになりそうなので、このブログの主な対象としている経営者に必要な部分をまとめてみます。

雑損控除といっても、実務上はこれを使うケースはほとんどが「災害」です。
先日のブログにも書きましたが、「災害」は主に次の3つのケースです。
(1) 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
(2) 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
(3) 害虫などの生物による異常な災害
このうち、雑損控除を使うのはほとんどが(1)の自然災害と(2)の火災です。この自然災害と火災があった場合、いくら控除されるのでしょうか。

(1) (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
(2) (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
上記のうちのいずれか多い金額を雑損控除とすることができます

算式だけ見ると少しわかりづらいですが、ポイントは「災害関連支出」と「損失額の計算」です。

まず、「災害関連支出」をみていきましょう。「災害関連支出」とは何のことでしょうか?
国税庁のHPから抜粋すると、以下のように書かれています。
「「災害関連支出」とは、災害により滅失した住宅、家財などを除去するための費用や豪雪による住宅の倒壊を防止するための屋根の雪下ろし費用などの災害に関連したやむを得ない支出をいいます。」

これは、かつて総理大臣をやったこともある田中角栄が作った規定だと言われています。田中角栄の故郷は言わずと知れた新潟県です。私と同じ柏崎(田中角栄は旧西山町)出身です。その田中角栄の選挙区だった旧新潟3区は、魚沼や湯沢といった新潟の中でも特に雪深い地域があります。田中角栄は自らのふるさとの雪に悩まされる実情を見て、屋根の雪下ろしにかかる費用を「災害関連支出」として雑損控除の対象になるようにしたと言われています。

「災害関連支出」はこうした雪下ろしの費用の他には、たとえば、風水害や火災によって倒壊した住宅の廃材を除去する費用といったものも含まれます。これらの「災害関連支出」が年間5万円以上かかった場合には、雑損控除の対象になる というのが(2)の算式の意味です。

一方で、(1)の方はこれは損失額を算出して その損失額が総所得金額の10%を超える場合に超えた金額を控除できる としています。
(1)で計算する場合の方が計算が面倒です。たとえば、自宅が火災に遭った場合、雑損控除の対象になるわけですが、その損失額をどうやって計算するのかというのが難しいわけです。この損失額の計算については、実は、一定の用紙があります。そこに記載されている項目に従って計算を出していくというモノがあるんです。
これは「被災した住宅、家財等の損失額の計算書」というものです。これは、地域ごとの1㎡当たりの住宅の価格や住んでいた住宅の構造が木造なのか鉄筋造りなのか等によって計算していくものです。また家財についての損失も、年齢や夫婦の世帯だったのか、独身だったのか、子供が何人いたのか(何人住んでいたのか)などによって計算を出していきます。
いずれにしても、(2)の「災害関連支出」が5万円以上の場合に比べ、説明をよく読みながら計算を進めていく必要があるため、少し手間ではあります。

また、そもそも雑損控除の対象になる資産は「生活に通常必要な資産」とされています。「生活に通常必要な資産」というのは、「①家具、什器、通勤用の自動車、衣服など②貴金属や宝石、書画、骨董品などで、1個又は1組の価格が30万円以下のもの」と住宅ということになります。
これらの資産が災害によって被害に遭った場合に、上記の計算書を使って計算をしていくわけです。

また、この「災害」による損失の場合、「災害減免法」という別の法律で計算することも可能です。つまり、「災害」の場合には「災害減免法」と所得税の「雑損控除」の選択になるわけです。
「災害減免法」による場合は、損害の金額が住宅や家財の価格の2分の1以上の場合なので、大きな損害の場合です。その場合、次の所得税の軽減額になります。
所得金額500 万円以下・・・全額免除
所得金額500 万円超750 万円以下・・・2分の1の軽減
所得金額750 万円超1,000 万円以下・・・4分の1の軽減

所得金額が500万円以下のような場合には、いわゆる災免法による減免の方が有利になるだろうと思います。

そして、災害の場合、申告期限が延長されることも知っておいていいことです。
災害に遭ったタイミングで申告期限が来てしまった場合、申告期限は災害がやんでから2か月まで延長されます。法人税(所得税)の他に、消費税の申告がある場合、消費税についても延長されることになります。法人の場合、申告期限の延長の届け出をしても法人税だけにしか効果が及びませんが、災害の場合には消費税にも延長の効果が及びますからこの点は通常の延長との違いと言っていいでしょう。
届け出も災害が発生した後、事後の届け出になります。災害が起こってその後その災害の対応が終わってから早めに出せば問題ありません。この際には、警察などからもらった「り災証明書」の写しを添付することが必要な場合もあります

実は、私の顧問先でも、実際、申告期限の間際に火災があってこの規定を使ったケースがあったのですが、その時も税務署に確認しながら申告期限の延長の届け出をしました。税務署側と届け出内容を確認しながら進めたほうがいいでしょう。
それから、申告期限の延長で忘れがちなのが、法人の場合、地方税もあるということです。税務署へ提出した後、地方税も忘れずに届け出しておきましょう。

その他にも、災害の場合、たとえば、予定納税の減免があったり、また、住宅が火災に遭ったようなケースで、住宅がなくても住宅ローン控除も引き続き受けることが出来たりするものもあります
また、災害により相当な損失を受けたことにより、その復旧に必要な資金の借入れのために使用する場合には、納税証明書の交付手数料は必要なかったりする特例もあります

火事に遭ったり、水害や雷などによる自然災害に遭ったりしたケースでは、このように税金の負担を軽減する措置が数多くあります。また、申告期限が延長されたりという緩和措置もあります。だいたいの概要を知っておいて、あとは税務署や市役所等の行政の窓口へご相談されることをお勧めします。

 

 

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