この時期は労働保険の申告、算定基礎届の提出、従業員数10人未満の事業所は源泉所得税の納期の特例と事務処理が重なる時期です。
私も例にもれず、顧問先のそうした事務処理に追われる毎日です。
さて、今日はそうしたこの時期特有の事務処理のうち、算定基礎届の「修正平均」「年間報酬」というものについて、解説したいと思います。
私は以前に会計事務所に勤めていた頃、算定基礎届というと「4月から6月の給与を3で割るだけでしょ」と言っていた同僚がいました。基本的にはそうですが、必ずしも3で割るだけではないです。その3で割るだけではない典型例がこれから紹介する「修正平均」と「年間報酬」です。この考え方は、経営者は是非知っておいた方がいいものです。
たとえば、たまたま昇給したのが3月で、昇給の差額分が4月に支払われるということもあると思います。転居して差額の通勤手当が支払われたのがたまたま4月から6月だったり、逆に、4月からついていた手当があったのに、その手当を付けるのを忘れていて、4月から6月の分の手当を7月に付けたりして、普通に計算するよりも低い報酬で計算されることもあるかもしれません。
算定基礎届は基本的には4月から6月に支払われる給与について計算します。
ですが、上記のように、単純に4月から6月に支払われたもので計算すると、高い標準報酬になったり、逆に、低い標準報酬で計算されてしまったりということが起こってしまいます。それを調整するのが「修正平均」です。
算定基礎届の用紙をよく見ると、⑯という欄に「修正平均額」という欄があります。
修正したほうがいい項目を足したり引いたりしてその上で出した3か月の平均額をこの欄に記入していくわけです。
この修正平均を使った場合、必ず「備考」の欄に修正平均の内容を記載する必要があります。また、たまたま4月から6月に遡って支払われたような場合には⑧欄の「遡及支払額」に何月にいくら遡及支払があったのかを記載します。
このようにして、単純に3で割ると正しい標準報酬が出ない場合に「修正平均」というのを用いて計算します。
ここまで書いてきたのは特定の手当や基本給が遡及して支払われたりしたケースですが、たとえば、たまたま残業時間が多くなって4月から6月の報酬が多くなるケースにはこれでは対応できません。3月決算法人だと、事務方の勤務の方は特に5月当たりは時間外給与が多くなってしまいます。いつもは残業代がほとんど出ないのに4月から6月に限って残業代が多いというようなケースでも、「修正平均」と同じように不当に標準報酬月額が高くなってしまうことがあり得ます。
このような場合には、「年間報酬」で計算する方法があります。
これは、「年間報酬の平均で算定することの申立書」(様式1)というものを提出することで、報酬の年平均を標準報酬月額とする方法です。この方法による場合には、被保険者の同意が必要です。「保険者算定申し立てに係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等」(様式2)という書類に記載し、被保険者本人の署名・捺印が必要となります。
これらの書類については、ひな形があるのでそれを使いましょう。
「年間報酬の平均で算定することの申立書」(様式1)と「保険者算定申し立てに係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等」(様式2)のひな形はこちら↴
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/kenpo-todoke/hoshu/20180910.html
算定基礎届の提出にあたって参考にしてみてください。
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