さて、今日は今年だけの特例という話です。
皆さんご承知の通り、4月から5月初めにかけては天皇陛下の退位と即位の関係で10連休になります。この10連休があるため、4月決算法人が倒産防止共済(セーフティ共済)を年払いする場合、口座振替が5月7日になってしまうという問題があります。
セーフティ共済は年払いであろうが、月払いであろうが、支払った期の損金(もしくは積立金)となることになっています。
「租税特別措置法の特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例の適用を受け、原則としてその支払った日(口座振替日)の属する事業年度の損金の額に算入されます。」(中小企業基盤整備機構の商工共済ニュースより)
支払ったときの損金になるというのが通例の解釈です。(正確には法人の場合、支払った期の別表に記載があって初めて損金算入が認められます。これについては、以前のブログを参照してください。↴
年払いの場合、通常であれば年払いする月の27日に口座振替になります。(27日が金融機関が休みの時は翌金融機関営業日)
初めてセーフティ共済に加入する場合には、振込になるのですが、2年目以降は口座引き落としです。1年分の前納をする場合、その支払月の5日までに中小企業基盤整備機構に書類を提出しないといけません。5日までに書類を出して初めて、27日に振替になります。
さて、今回の4月のケースです。4月に前納(1年分の掛け金の支払い)をしたい場合、4月5日までに書類を中小企業基盤整備機構に出すわけですが、引き落としとなる4月27日は土曜日です。その場合、次の金融機関営業日ですよね。次の金融機関営業日は5月7日になってしまいます。仮に4月決算法人がセーフティ共済の年払いをしたい場合、4月の初めに手続きしたのでは5月7日の引き落としになってしまいます。これでは損金計上できないのではないかと思われていたわけです。
これについて、倒産防止共済(セーフティ共済)を運営する中小企業基盤整備機構が税務当局に確認したようです。その記事が2019年の『新春「商工共済ニュース」』に載っています。
「皇位継承に伴う金融機関の10 連休により、平成31 年4月分掛金(通常の口座振替日は毎月27 日。)の預金口座振替は平成31 年5月7日となります。この場合において、4月決算の法人が、毎月口座振替により納付している掛金について、適正な期間損益計算の観点から、平成31 年4月分掛金で平成31 年5月7日に口座振替により引き落とされる掛金を前年度決算(平成31 年4月27 日の属する期間の決算)において、会計上未払計上をしているのであれば、税務上もその未払いとなっている掛金の損金算入が認められます。
(注)毎期、1年分(5月分から翌年4月分)の掛金を口座振替により前納している
場合であっても、上記と同様となります。」(2019年新春「商工共済ニュース」より)
もっとも、今回は天皇の退位と即位の10連休があるために特例的に未払い計上して損金算入してもいいといっているだけで、本来は支払っていないと損金算入できません。その点は誤解のないように。
また、税理士会など取り扱い団体を経由して中小企業基盤整備機構に申し込みをしている場合、その取り扱い団体への提出は月内にしないといけません。つまり、4月決算法人であれば3月中に書類を提出しないといけませんから注意が必要です。
ということで、今回はちょっとイレギュラーな話で、4月決算法人のセーフティ共済のお話でした。