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この7月1日からすでに施行されているのですが、サラリーマンとして働いていた者が退職して事業を開始した場合、事業等を行っている期間を最大3年間受給期間に算入しない特例が新設されました。脱サラして事業を始める人は必見です。今日はこの制度を見ていきましょう。

 

いわゆる失業保険(雇用保険の基本給付)を受給するには、離職した日の翌日から1年以内が受給期間となっています。病気だったり、あるいは、妊娠・出産等で30日以上仕事に就くことができない状態の場合には、ハローワークに行って一定の手続きを取ると、この1年以内という受給期間が延長される措置がありますが、原則は退職してから1年以内に受給しないといわゆる失業保険の受給権は消滅します。

病気や妊娠・出産のときのように受給期間1年という期間を延長できるという措置が、事業を始める方も取れるようになったわけです。

 

事業を始めてその事業がうまくいくのかはわかりません。これまではそうした不安定な状況であっても雇用保険は離職日の翌日から1年以内で受給できなくなるため、雇用保険を受け取るのはあきらめるのが通例だったと思います。

それが、今年の7月1日以降、事業を始めた方はとりあえずハローワークに「受給期間の延長」を出しておいて、仮にその事業を休廃業した場合、その後の再就職活動期間について、いわゆる失業給付をうけることができるようになったわけです。

 

これは、事業を始める人にとって朗報です。

私も経験上、よくわかりますが、事業を始める方にとっては事業がうまく軌道に乗るのかどうかはわかりません。大きな不安を抱えながら始めるわけです。仮に、事業を始めて3年以内でうまくいかなければ、雇用保険をもらいながら再就職活動ができるようになるわけですから、使わない手はありません。

 

脱サラして事業を始める方は、まずはハローワークで「受給期間の延長」の届け出を出しておいて事業を始めることがこれからは必須になるといえます。

 

さて、この特例を使うための要件がどうなっているかです。

  • 事業の実施期間が30日以上であること
  • 「事業を開始した日」「事業に専念し始めた日」「事業の準備に専念し始めた日」のいずれかから30日を経過した日が受給期間の末日以前であること
  • 当該事業について、就業手当・再就職手当を受給していないこと
  • 次のいずれかの事業に該当すること

  ・雇用保険被保険者資格を取得する者を雇い入れる適用事業所であること

  ・登記簿謄本、税務署への開業届、事業許可証などで事業の所在と場所が確認できる事業であること

  • 離職日の翌日以後に事業を開始したこと

 

申請期限は事業の開始から2か月以内となっています。

開業届を出す場合、同時に青色申告の届け出を出すはずです。これは2か月以内ですから、青色申告の届け出や開業届を出すのと同時に、ハローワークに受給期間の延長の届け出を出すと認識していればいいのだろうと思います。

 

手続きには以下の3つの書類が必要となります。

〇受給期間延長申請書

〇以下のいずれか一方

 ・受給資格の決定を受けていない場合 → 離職票-2

 ・受給資格の決定を受けている場合  → 受給資格者証

〇事業を開始等した事実のわかる書類

  <事業を開始した場合>

  ・法人の登記簿謄本

  ・税務署への開業届

  ・事業許可証

  <事業の準備に専念し始めた場合>

  ・金融機関との金銭消費契約

  ・賃貸借契約書 など

 

なお、提出先は、住所地管轄のハローワークとなります。

 

この届け出によって、受給期間が本来の受給期間1年間に起業から休廃業まで最大3年間まで延長が可能となります。前述の通り、忘れずに届け出した方がいいでしょう。

 

ということで、今日は退職後の雇用保険の受給期間の特例という話でした。



月次支援金の申請にあたっての事前確認で、東京都の月次支援金のことをご存じでない方が非常に多いです。「そんなのがあるんですか?」といわれることがしばしばです。

東京都の事業者の皆さん、月次支援金の申請が完了したら東京都月次支援金があります。今日はこの東京都月次支援金の概要についてご説明いたします。

まずは、東京都産業労働局のHPから東京都月次支援金についての概要をそのまま抜粋します。

平成31年(令和元年)または令和2年と比較した、令和3年4月、5月、6月の月間売上額の減少率に応じて、月ごとに給付額を決定します。※定額給付ではありません。

<支給上限額(月額)>
1.減少率70パーセント以上の酒類販売事業者
・中小企業等:40万円
・個人事業者等:20万円
2.減少率50パーセント以上70パーセント未満の酒類販売事業者
・中小企業等:20万円
・個人事業者等:10万円
3.減少率50パーセント以上のその他事業者
・中小企業等:5万円
・個人事業者等:2万5,000円
4.減少率30パーセント以上50パーセント未満の事業者
・中小企業等(業種は問いません):10万円
・個人事業者等(業種は問いません):5万円

次に、用意する書類です。これは月次支援金とほぼ同じです。そのため、国の月次支援金の申請をした後なら、そんなに大変ではありません

東京都月次支援金の申請のために改めて必要な書類は以下の二つです。

・国の月次支援金の給付通知書の写し

・確認書(様式第2号)

ただし、酒類提供事業者については、「酒類販売業免許通知書の写し又は酒類製造免許通知書の写し等」も必要となります。

また、上記の「確認書」というのは東京都の書式があります。東京都の月次支援金のHPからダウンロードして使用してください。

また、申請は原則はネットからのオンライン申請です。ただ、郵送でも申請を受け付けています。また、先日、都税事務所へ行ったときに、この東京都月次支援金の申請のための書類が山積みされていました。紙で出す場合には、都税事務所へ行って用紙をもらってきて申請してみてはいかがかと思います。

なお、この東京都月次支援金は郵送申請もできます。郵送先は以下です。
郵便番号111-8691
浅草郵便局 私書箱121号
東京都中小企業者等月次支援給付金 申請受付
※簡易書留など郵便物の追跡ができる方法で郵送してください。

また、申請には期限があります。

期限を過ぎたら申請できませんので、要注意です。

それぞれ以下のようになっています。

4月・5月・6月分・・・・7月1日から10月31日

7月分・8月分・・・9月1日から来年1月14日

※7月・8月分の特例申請は10月以降の予定

以上、東京都月次支援金の話でした。



小学校等の休業のために休暇制度を導入した事業者もしくはこれから導入しようと検討している事業者の皆様、ご存じでしょうか。助成金を受けられる可能性があります。今日はその話です。

両立支援助成金という助成金の中の「育児休業等支援コース」に特例として設けられたのが、「新型コロナウィルス感染症対応特例」です。

まず、大前提の確認ですが、この制度は厚生労働省の助成金です。ですから、要件に該当すれば受給できます。

この助成金は、新型コロナウイルス感染症への対応として、臨時休業等をした小学校等に通う子どもの世話を行う労働者に対し、有給の休暇、つまり、休んだ期間の給与を全額支給した場合に対象となるものです。休んだ休暇が労働基準法上の年次有給休暇であった場合にはを除かれます。この小学校等の臨時休業に伴う有給休暇制度を作った事業主に対して支給されるというのが今回の助成金の趣旨です。

この助成金の要件は次の二つがあります。

まず、一つ目は次の(イ)と(ロ)のどちらも実施されていることが必要とされています。

(イ)小学校等(小学校、保育園、幼稚園など)が臨時休業等になった場合、及び子どもが新型コロナウイルス感染症に感染した又はその恐れがある等の場合に、子どもの世話を行う必要がある労働者が、特別有給休暇(賃金が全額支払われるもの)を取得できる制度を規定化していること

(ロ)小学校等が臨時休業等した場合でも勤務できる両立支援の仕組みとして、次のいずれかの制度の社内周知を実施していること。

・テレワーク勤務

・短時間勤務制度

・フレックスタイムの制度

・始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(時差出勤の制度)

・ベビーシッター費用補助制度等

そして、二つ目の要件が、労働者一人について、上記の(イ)に定めた特別有給休暇を4時間以上取得することです。

さて、この助成金、では実際にいくらもらえるのかです。

助成金の受給額は1人当たり5万円で、1事業所あたり10名まで上限50万円となっています。

さて、では実際、この助成金を受給したい場合、いつまでに届け出しなければいけないのでしょうか。申請期限は特別有給休暇を取得した日付によって異なります。

次のようになっています。

特別有給休暇を取得した日 申請期間
令和3年4月1日~令和3年6月30日 令和3年4月1日~令和3年8月31日
令和3年7月1日~令和3年9月30日 令和3年7月1日~令和3年11月30日
令和3年10月1日~令和3年12月31日 令和3年10月1日~令和4年2月28日
令和4年1月1日~令和4年3月31日 令和4年1月1日~令和4年5月31日

現在申請できるのは、7月1日~9月30日の間に小学校等の休業に伴う有給の休暇(労基法上の年次有給休暇以外の有給休暇)を取得した者がいた場合となっています。

さて、上記が概要ですが、では、実際の細かい論点を見ていきましょう。

まず、学校等が臨時休業等を行ったことの確認資料とは、どのようなものをいうのでしょうか。

 これについてはQ&Aに次のように書かれています。

学校等が保護者宛に通知する文書、保護者宛に臨時休校のお知らせとして送信された電子メール、学校等がホームページに休校情報を掲載している場合は当該ページなどが該当する。」

休業のお知らせの文書は大事に取っておいていただく必要があります。

また、小学校等の休業に伴う有給休暇制度は就業規則等に明示する必要があります。ただし、常時使用する労働者が10人未満の場合には就業規則の提出義務がありません。このような場合には、書面について全労働者へメール送信、回覧、掲示、配布等により周知した場合、日付があるもの(メール送信、回覧の場合は全労働者に送信・回覧(回覧の確認がある等)されたことが確認できるもの、社内に掲示した場合は社内に掲示していることが客観的に分かる写真等、周知したことが実質的に分かるもの)や労働者代表の氏名及び周知日が確認できる申立書等が必要とされています。

また、通算して特別有給休暇を4時間以上取得した場合に対象となるため、たとえば次のように分割して取得しても累計で4時間以上になっていれば対象者とすることができます。

計算例:

4/14 1時間取得

4/15 1時間30分取得

4/16 1時間取得

4/17 30分取得←取得合計4時間となり支給対象となる。

また、このような場合、対象労働者としてカウントできるのは累計で4時間に達したときとなります。

それから、Q&Aには次のようなものもあります。

年次有給休暇や欠勤を、事後的に特別有給休暇に振り替えた場合は対象になるか

本特例においては対象になる。なお、年次有給休暇を事後的に特別有給休暇に振り替える場合には、労働者本人に説明し、同意を得ることが必要。

最初は小学校等の休業に伴う有給休暇制度がなくても、あとから作って、さかのぼって小学校等の休業に伴う有給としても対象になると言っています。

これから、小学校等の休業に伴う有給制度を作っていこうとしている事業主の方はそれでも対象になりますので、その点も考慮に入れましょう。

コロナ禍でお子さんがお休みになってしまうため、休業を余儀なくされる方も多いと思います。そうした従業員さんに新たな休暇制度を設けると事業主にはこうしたメリットもあります。この際、ぜひ、検討してみてはいかがかと思います。



さて、今日は電子申告の話をしたいと思います。

電子申告した後、税務署側が受領したことがわかる「メッセージボックス」の話です。

一時支援金、この6月から始まった月次支援金の事前確認をふだん私の顧問先ではない多くの方にやらせていただく中で本当に電子申告される方が増えたことが実感されます。それは、マイナンバーカードを作って、パソコンなどからカードリーダーで読み込み電子申告するというのが意外と簡単にできることが実感できることがまずあるのだろうと思います。電子申告を体験してみると、それほど難しくないと実感できるのだと思います。

もう一つは、事業所得で青色申告の方は、青色申告特別控除の65万円をとるには電子申告していないといけないということもあるでしょう。どうしても65万控除をとりたいのでマイナンバーカードを取得し、それで電子申告されたというような方です。

動機は様々でしょうが、いずれにしても、電子申告が増えたというのが非常に実感されます。

さて、この電子申告ですが、税務署側がこの申告書を受理しましたという証明はどうやっているのでしょうか。

これは、申告したことを受理したという通知がメッセージボックスで確認できます。申告した後、きちんと税務署が受理したかどうかをこのメッセージボックスで確認する必要があります。ところが、一時支援金や月次支援金の事前確認をしていると、このメッセージボックスの確認というのをされていないという方が非常に多いことに気づかされます。

紙で申告書を出すと、税務署から受領印という印鑑を押されます。

通常は、確定申告書の第1表という表紙と、青色申告決算書の1枚目に押されます。この受領印のある書類というのは、たとえば、住宅ローンを申し込む際にも公的書類として受領印のある書類が必要となってきます。住宅ローン以外でも、この税務署の受領印のある書類というのは、「確定申告書の提出が必要」という場合に必要となってきます。

この受領印と呼ばれるものは、確定申告書を提出する際に控えも一緒に出すと押されて返されます控えをつけて出さないと控えは税務署は返してくれません。控えも付けて出せば、返してくれるわけです。そして、その受領印のある控えは住宅ローンをはじめ、いろいろな場面で使える書類になります。今回の一時支援金や月次支援金でも提出が求められているわけです。

さて、この紙で出したときの「受領印」に相当するものというのは電子申告の場合にはどういったものになるのでしょうか。

電子申告をすると、e-taxの中のメッセージボックスというのを開けると、「受理通知」というのがあります。そのページ自体が紙で申告書を出した場合の「受領印」に相当するものになります。

一時支援金や月次支援金の事前確認をしていると、電子申告したのにこのメッセージボックスを開いたことがないという方が非常に多いんです。そのため、「受理通知」の話をすると、「なんですかそれ?」となることが非常に多いです。

では、この「メッセージボックス」というのはどうやって開くことができるのでしょうか。

まず、インターネットで「e-tax」と検索してください。「国税電子申告・納税システム(イータックス)」というのを選択します。そのページの中に「メッセージボックスの確認」というのがあります。その「メッセージボックスの確認」をクリックすると、「受付システムへログイン」と「e-taxソフト(WEB版)のログイン」のどちらかを選択することができます。これはどちらでもいいですが、選択するとそれぞれ、「受付システムへログイン」をクリックすると、「利用者識別番号」と「暗証番号」を入力します。「e-taxソフト(WEB版)のログイン」をクリックした場合は、その後「ログイン」を押下し、その後、「利用者識別番号」と「暗証番号」を入力します

あとは二つのどちらもほぼ一緒です。

「受付システムへログイン」から入る場合には、その後、利用者識別番号とパスワードを入力します。そうすると「メッセージボックス一覧」というのがありますのでこれを押下すると中に入れます。該当の申告をクリックすると、「受付システム」(メール詳細)というのが表示されます。これが紙で出した場合の受領印に相当するものとなります。

また、「e-taxソフト(WEB版)」で入ったのであれば、そのあと、利用者識別番号と暗証番号を入れると中に入れます。中に入ったら「送信結果のお知らせ」を開くと受付状況が確認できます。対象の申告をクリックすれば「受信通知」が確認できます。この「受信通知」が紙の場合の受領印に相当するものです。

以上が電子申告した場合の「受理通知」という書類の話ですが、月次支援金などにあたってもしこの受領印の控えがみあたらないとか、メッセージボックスの開き方がよくわからないという方については、税務署で「納税証明書(その2)」というのを出してもらえばいいです。この「納税証明書(その2)」というのが受領印相当として見てもらえます。最悪、この方法もあります。

今回、一時支援金や月次支援金の申請にあたって、電子申告された方はぜひこれを知っておいていただき、申請なさっていただければと思います。

以上、今日は電子申告した場合の税務署の受領印相当の書類の話でした。



本来の確定申告期限の3月15日が過ぎました。私の事務所では当初の確定申告期限の3月15日を締めとして申告手続きを進めていました。大部分の申告はすでに終わりましたが、確定申告の書類をお預かりして特に印象があるのは副業についての扱いです。事業所得に該当するのかどうなのか、それについて今日は書いていこうと思います。

サラリーマンが会社からもらう給与は給与所得です。そのサラリーマンが副業をした場合、申告区分は事業所得にするのか、雑所得なのか、この問題があります。

事業所得と雑所得で税務上はどのような違いがあるのでしょうか。

事業所得にすると、たとえば赤字だった場合、他の所得と通算ができます。たとえば、サラリーマンであれば給与所得があります。事業所得の赤字と給与所得を相殺できます。相殺できるということは、給与所得で生じた所得税を還付することが可能です。

また、事業所得で青色申告だった場合、たとえば、電子申告する形であれば65万円の控除が取れる可能性があります。仮に65万円の控除が取れなくても10万円の控除は取れます。

それが雑所得になるとどうなるのでしょうか。

雑所得はまずは損益通算ができません。つまり、雑所得で計算して赤字だったとしても、他の所得、たとえば給与所得との通算はできません。つまり、事業所得であれば赤字が出れば他の所得と相殺することで給与の源泉所得税の還付が受けられたわけですが、雑所得だとそれができないわけです。

また、青色申告の事業所得にある65万円や10万円の控除は取れません。そもそも、雑所得と給与所得だけなのであれば青色申告自体が選択できません。

このように事業所得であるといろいろなメリットがあります。

そこで問題なのが、事業所得と雑所得というのはどこでどういう形で線引きしているのかということです。

そこで、税務上ではどう判断されているのか、一つ裁判例を引き合いに出してみようと思います。

「原告は、平成23年ないし平成25年において、本件製造等業務による収入を得ておらず、本件鍛冶業務による上記各年の収入も、順に0円、1万4000円、3万5240円にとどまっている一方、原告は、遅くとも平成19年以降は、本件各業務による必要経費が生じたとして、毎年、確定申告において事業所得につき400万円以上の損失を計上している状況にある。しかも、原告は、本件製造等業務については、火縄銃の製造技術を学んではいるが、平成26年8月時点ですら未だ火縄銃を製造する技術を有しておらず、現実に火縄銃の製造及び販売を行ったことがないというのであり、本件鍛冶業務について、今は修行中で技術が未熟であるとして宣伝広告を行っておらず、特定の取引先はなく、作業内容を掲載する自らが開設するブログを通じて依頼があれば受け付けているにとどまり、その収入額も上記のように極めて少額にとどまっている。」

そのうえで

「上記のような事情に照らせば、本件各業務は、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有するものとは到底認められないというべきである。しかも、原告は、平成23年から平成25年までの間、週40時間消防業務に従事して年800万円以上という相当額の安定した収入を得ており、当該収入が原告が確定申告に計上した収入金額のほとんどを占め、本件各業務は、仕事のないときに行っているものにすぎないのであって、これらの事情に照らせば、本件各業務は、事業としての社会的地位が客観的に認められるものであるということもできない。以上によれば、本件各業務に係る所得が、所得税法27条1項に規定する事業所得に当たるということはできない。」

事業所得に該当するかどうかはこのように収入の状況や、現状の事業の状況、所得を得る手段がどうなっているかなど、全般的に判断されます。

この場合には、収入が「順に0円、1万4000円、3万5240円にとどまっている」にもかかわらず、「毎年、確定申告において事業所得につき400万円以上の損失を計上している状況にある」ということが指摘されています。

つまり、事業か雑かの判断がされるのは、収入や経費計上の状況がどうなっているのかを踏まえてまずは判断されているように思います。

「収入が何年も続けて0円で、必要経費部分だけ申告して税額の還付をしている」というようなケースの場合、事業所得ではなく雑所得ではないかと税務署から指摘を受ける可能性があるということです。

副業といっても、「それ単体でどの程度収入が継続的に上がっているのか」、ここがポイントだと思います。

では収入がいくらだったらいいのかというのはケースバイケースでしょうが、0円や収入が上がっていてもかなり少額である状態が続いているとかといった状況があると問題ありとみなされるようです。

事業所得か雑所得かの判断の際に、参考にしていただければと思います。



さて、先日このブログでもご案内した通り、今回の令和2年の確定申告期限が延期されました。それに伴って、これはどうなるの?というのがいくつか出てきます。それについて、国税庁のFAQに出ています。今日はそれをいくつかご紹介していこうと思います。

まず、今回の確定申告は申告期限が次のようになりました。

所得税 令和3年3月15 日(月) → 令和3年4月 15日(木)

個人事業者の消費税 令和3年3月 31 日(水) → 令和3年4月 15日(木)

贈与税 令和3年3月15 日(月) → 令和3年4月 15日(木)

振替納税(口座振替)の日

所得税 令和3年4月19 日(月) →  令和3年5月31 日(月)

個人事業者の消費税 令和3年4月23 日(金) → 令和3年5月24 日(月)

さて、一つ目の疑問です。

延納という制度があります。これは確定申告期限までに納付すべき所得税の半分以上を納め、残りを5月31日に納付する制度です。振替納税の場合には、口座振替の日に1回目、2回目は延納の日(5月31日)となります。確定申告書に記載するだけで手続きができますが、本来の納付期限から延納の日の5月31日までの利息に相当する利子税という税金はかかります。

さて、この延納ですが、今回は延納の届け出をするしないにかかわらず、所得税全体が5月31日になるため、振替納税をご利用されている方については、申告・納付期限の延長に伴う振替日の変更により、所得税の振替日が延納期限と同一日となりますので、確定申告書に延納届出額を記載した場合であっても、確定申告に基づき納付いただく税額の全額を一括して振替納税による口座引落しを行うこととなります

また、一律、申告期限が4月15日に延期されることから、既に申告を済ませている方についても納付期限は4月15日(振替納税の場合には5月31日)となります。

また、所得税や個人の消費税以外の税金、たとえば法人税や相続税などについてはどうなのかというとこれは一律、延期される今回の措置の対象外です。

ただし、個別に申請して申告期限を延長することは可能ですから、コロナの影響で法人税や相続税などの申告書が期限までに出せない場合には、その旨を届け出して個別に期限の延長をしましょう。

それから、昨年の申告書をまだ出していない人もいることと思います。

令和元年の確定申告は結局、実質的に申告期限がない形になっています。申告書を提出する際に、申告書の右上に「新型コロナウィルスによる申告・納付期限延長申請」と書けば、個別に延長することが可能でした。

さて、この規定を使ってまだ令和元年の所得税の確定申告書を出していない場合もあると思います。

この場合、令和2年の確定申告書を出してしまうと、令和2年の確定申告書を提出したときに同時に令和元年の確定申告書の提出期限となってしまいます

つまり、令和2年の確定申告書を出す前に令和元年の確定申告書を出すか、もしくは、令和元年と令和2年の確定申告書を出す必要があります。もし仮に、令和2年の確定申告書を先に出してしまうと、その後に提出した令和元年の確定申告書は期限後提出となってしまいますから注意が必要です。

それから、この申告期限の延長は各種届出にも適用されます。

青色申告の承認申請などは代表例です。

たとえば、令和元年の確定申告書を提出したものの新型コロナウィルスの影響で令和2年から青色申告にするための青色申告承認申請書は提出できなかったとします。令和元年の確定申告は申告期限が二段階になっていました。

まず第一段階として、所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付のうち、その期限が令和2 年2 月27 日から同年4月15 日までの間に到来するものについては、その期限を令和2年年4 月16 日まで延長となりました。

さらに、第二段階として、この期限に申告・納付等が間に合わない方については、同年4月17 日以後であっても、申告書等の作成や提出が可能となった時点で税務署に申し出ていただければ、個別に期限延長の取扱いをすることとしていたわけです。

そして、所得税の青色申告の承認申請のような届け出関係については、同様に期限延長の対象となっていました。帳簿書類の備付け・保存などが青色申告の所定の定めに従って行われている場合には、申請によって令和2年分の所得税から青色申告をすることができます。

ただし、この場合、注意が必要なのは、令和2年4 月17 日(金)以後に修正申告や更正の請求などの手続を行った後、別の日に青色申告の承認申請を行う場合には、その申請をすることができないやむを得ない理由があったとは認められず、令和2年分の所得税から青色申告をすることはできませんから注意が必要です。

申告期限の延長に伴って、これはどうなるんだろうというのは国税庁のFAQに書かれているものもあります。今回はその一部をご紹介させていただきました。参考にしていただければ幸いです。

介護事業所経営者の経営ハンドブック


さて、今日は多くの業種で最近多い在宅勤務の経費精算の話です。たとえば、電気代やスマホなどの通信費、インターネット料金などを負担した場合、どうやって計算して会社との間で精算していくのかという話です。

私の顧問先からも最近、在宅勤務の際に自宅でかかった電気代やインターネット使用料について、どう取り扱ったらいいのかというご質問をいただくことがしばしばあります。

今日はそのことについてみていこうと思います。

たとえば、会社によってはこうした在宅勤務の電気代や通信費といった諸費用については、○○手当という形で支払って、特にかかった費用の精算はしていないという場合はそれでもいいと思います。一方で、会社によってはかかった実費を計算してその分を精算するということもあるだろうと思います。

その辺は会社によって違うわけですが、この度、国税庁がその在宅勤務の際の費用についての課税関係について、一定の基準を示してくれました。

今年の1月15日に公表したばかりなのですが、「在宅勤務に係る費用負担等の関するFAQ」という中に書かれていますので一部、抜粋します。

従業員が負担した通信費について、在宅勤務に要した部分を支給する場合、業務のため に使用した部分はどのように計算すればよいですか。」

通話料(下記ロの基本使用料を除きます。)については、通話明細書等により業務のための通話に係る料金が確認できますので、その金額を企業が従業員に支給する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はありません。(途中略)

インターネット接続に係る通信料については、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。 例えば、次の【算式】により算出したものを企業が従業員に支給する場合には、従業 員に対する給与として課税しなくて差し支えありません。

【算式】

業務のために使用した基本使用料や通信料等 =

 従業員が負担した1か月の基本使用料や通信料等 ×

その従業員の1か月の在宅勤務日数 / 該当月の日数×1/2

算式の最後で2分の1をしています。睡眠時間等を考慮して計算するためのようです。

この算式の金額を超える金額を手当としてもらっている場合にその金額を課税することになりますし、また、上記の算式の金額を精算している場合にはその従業員に給与として課税はしないとしています。

上記は通信費ですが、電気代はどうなっているのでしょうか。これについても国税庁のFAQに出ています。

従業員が負担した電気料金について、在宅勤務に要した部分を支給する場合、業務のために使用した部分はどのように計算すればよいですか。

基本料金や電気使用料については、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があります。 例えば、次の【算式】により算出したものを従業員に支給した場合には、従業員に対する給与として課税しなくて差し支えありません。

【算式】

業 務 の た め に 使 用 し た 基 本 料 金 や 電気使用料 =

従業員が負担した1か月の基本料金や電気使用料×

業務のために使用した部屋の床面積/自宅の床面積×

その従業員の1か月の在宅勤務日数/該当月の日数×1/2

さらに、国税庁のFAQから具体例が載っていますので抜粋します。

企業が、従業員に対して、次のとおり従業員本人が所有するスマートフォンに係る料金 4,800 円(令和2年9月分)を支給し、業務使用部分の計算をすることとした場合の課税関係について教えてください。

・ 基本使用料:3,000 円(3GBまで無料)

・ データ通信料:1,000 円(3GB超過分)

・ 業務使用に係る通話料(通話明細書より):800 円

・ 在宅勤務日数:15 日

 ※ 上記金額は全て消費税等込みの価格。

ご質問の場合、次のとおり、基本使用料とデータ通信料のうち業務のために使用した部分の金額を除いた金額 3,000 円について、従業員に対する給与として課税する必要があります。 ① 通話明細書より確認した業務使用に係る通話料(800 円)については、課税する必要は ありません。

② 基本使用料やデータ通信料については、次の算式により算出した金額(3,000 円)を、 従業員に対する給与として課税する必要があります。

 業務のために使用した通信費 = 4,000 円 × 15 日/30日× 1/2= 1,000 円(1円未満切上げ)

 給与として課税 すべき金額 = 4,000 円 ― 1,000 円 = 3,000 円

この国税庁のFAQは在宅勤務の際の経費精算をどうするかとか、課税関係がどうなるのかといったことに対して一定の回答を出してくれていると思います。これらを参考にして在宅勤務の場合の電気代や通信費についてどうするのかを検討してみてはいかがかと思います。