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Category Archives: 労務管理

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今日は、本年最初のブログになります。なるべく1週間に2回か3回は更新しようとは思っています。今年も最新の情報や経営者の皆さんや会社の総務・経理担当者の役に立つ情報を配信していければと思います。

さて、今日は、面接時に経営者側が聞いてはいけないことがあるという話です。

厚生労働省が「採用選考に関する基本的な考え方」として、採用時面接で聞いてはいけないことというのを具体例を交えて書いていますので、それをご紹介していこうと思います。

たとえば、面接で聞いてはいけないこととして「家族のこと」があるのをご存じでしたでしょうか?出生地のことや住んでいる環境のことなども聞いてはいけないこととされています。

一般的に、宗教ことや政治に関すること(支持政党など)は聞いてはいけないというのは何となく感覚的にわかると思います。しかし、たとえば、読んでいる新聞や愛読書のことなんかも聞いてはいけないこととされています。なんとなく話の流れで「どんな本を読んでいらっしゃるの」なんて聞きたくなる場面もあるかもしれませんが、基本的に採用時面接においては聞いてはいけないとされている項目です。

さて、採用時面接で聞いてはいけないことがあるというのはどういう基準で厚労省は言っているのでしょうか。基本にあるのは「基本的人権」です。

採用選考に当たっては

 応募者の基本的人権を尊重すること
 応募者の適性・能力のみを基準として行うこと

の2点を基本的な考え方として実施することが大切です

厚労省は上記のように言っています。あくまでも採用選考というのは応募者の適性や能力のみで判断されるべきであって、生活環境や家族のことは本人の能力とは関係のないことだというわけです。

なかでも、「家族に関すること」を面接時に聞いてしまうというのが、違反事例として最も多いと厚労省のHPにも掲載されています。

「家族のこと」というのは具体的には、ご家族の職業や地位、学歴、収入、資産などの家族の状況のことを指しています。もちろん、本人の学歴や職歴は聞かないと面接にならないことも多いでしょうから本人のことは問題はないのですが、家族のそうした情報は採用面接の判断に必要のない事柄とされているため聞いてはいけないこととされているわけです。

また、「現住所の略図」を求めることも生活環境などを把握したり身元調査につながる可能性があることからしてはいけないとされていますし、採用選考時に健康診断を実施することも、合理的・客観的に必要性が認められない場合にはしてはいけないとされています。

仕事に影響のある程度の健康状態についての質問はいいのでしょうが、必要以上に面接時に健康状態について尋ねるのもやめておいたほうがいいでしょう。

それからひょっとしたらやってしまいかねないこととして、面接時に「戸籍謄(抄)本」の提出を求めたり、本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることも違反事項とされています。これは私見ですが、採用時面接の段階では、住民票などの提出自体求めることはしないほうがいいでしょう。住んでいる場所などを確認したいのであれば履歴書に記載されている事項でまずは判断すべきかと思います。

上記は採用時の面接の話なので、もちろん、入社後に必要に応じて社会保険の手続きなどで必要ということで、本籍地の記載のある住民票の提示を求めるのは問題はないでしょう。また、入社した後に会話の中でご家族のことを聞いたりということもあるでしょう。それは問題ないわけです。(もちろん、しつこく家族のことを聞くなどということは問題がありますから注意しましょう)厚労省の言っているのは、採用に際して本人の能力などに関係のない事柄をもって判断することはフェアではないからやめようという話ですから、どの点を言っているのかを明確にしましょう。

こういう話をすると、「昔よりも細かくて面倒になった」というようなことをおっしゃる社長さんもいらっしゃいます。しかし、本来的に、面接で経営者が見るべき項目というのは本人の適性や能力のはずです。それ以外の項目について、たとえば、本人の家族のことなどは「採用時面接」という場面では聞かなくてもいいことのはずです。面接を受ける側のほうがどちらかというと緊張してうまくいかないことが多いものです。そうしたことにも配慮するような経営者でないといけないのではないかと思うわけです。

ということで、今日はいつもとはちょっと違うお話、採用時面接で聞いてはいけないNGなことというお話でした。



今日は顧問先から実際に受けた質問を元に書いていこうと思います。

質問の趣旨は次のようなものです。

休日に勝手に出社してタイムカードを押して仕事をしている社員がいる。会社としては休日に出勤してだらだらと仕事をしてほしくないし、長時間労働や時間外労働の割増賃金の問題もあるので、そうした行為は認めたくない。そこで、休日出勤を申請制にして、休日出勤をする場合には事前申請をしないと労働時間としては認めないという形にしたいが、これは適法なのか?

勝手に社員が休日出勤したり、指示がないのに残業をしたりということはあり得ることです。このようなときに、どうしたらいいのでしょうか?

残業や休日出勤を「許可制」にすること自体はよくあることです。時間外労働や休日出勤を所属長の許可が必要としていた会社で、所属長の許可なく、時間外労働や休日労働をした場合というのは実は裁判例にも数多くあります。

平成18年10月6日に大阪地方裁判所で出ている「残業許可制」の事件、昭和観光事件というのを引き合いに出してみましょう。

この会社では、時間外労働をする場合には、あらかじめ所属長の承認を得なければならない旨を就業規則に規定していました。この場合、事前の承認のない時間外勤務を行った従業員の割増賃金の支払義務があるのかという点が裁判になりました。

裁判所は次のように判断しています。

事前承認のない残業について「時間外勤務についてはY社からの業務命令である」と認定したうえで、「就業規則には時間外労働について所属長の承認が必要である旨が規定されているが、この規定は不当な時間外手当の支払いがなされないようにするための工夫を定めたものにすぎず、業務命令に基づいて実際に時間外労働がされたことが認められる場合であっても事前の承認が行われていないときには時間外手当の請求権が失われる旨を意味する規定であるとは解されない」として、時間外手当の支払いを命じています。

上記の裁判例を参考にしたうえで、「残業・休日労働許可制」を導入するにあたって、どこを注意したらいいのかを要約すると、以下のようになると思います。

① 実際、残業をしなかったら成立しないような業務量なのに、一方的に時間で切って、それ以上の残業はしていても認めないというのは認められない。

② 残業を事前許可制にしていたとしても、実際の労働時間を把握する方法をとらないと使用者側は責任を問われる。

③ 残業の事前許可制を有効にするには個々の労働者から「残業は事前許可を得ないと認められない」旨の文書を交わすか、もしくは、本人がその制度の運用があることを認めていないと認められない

残業や休日出勤を許可制にするのは、そもそも何のためでしょうか。 問題はそこなんだろうと思います。 残業代を払いたくないから? 長時間労働を是正したいから? 事業主が分からないところで仕事をやっているのを認めたくないから?

様々あると思いますが、そもそも許可制にする目的を今一度、考えてみたほうがいいと思います。単に残業代を支払いたくないからという理由だと足元をすくわれかねません。 単に、勝手に残業した時の残業代を払いたくないという理由で許可制にして、事前に届け出があったもののみにするということだと、争いになった時、上記の裁判例のように経営者側に不利な判断になる傾向があります。

そもそも残業の許可制というのは、不当労働行為の温床になりかねないということから裁判所も容易には認めてくれないわけです。 事前許可制が認められるケースというのは、他の労働者でも運用が厳格に行われていて、きちんと労働時間が把握されていることが前提です。残業は許可制だから、勝手にやっている残業は時間数自体把握していないということでは、使用者側が責任を問われます。許可があって残業しようが、勝手に残業しようが、労働時間の管理はしないといけません。

また、残業しているのにその勤怠記録を削除するなどの行為があれば事前許可制が認められないだけでなく、不法労働行為に問われかねないということは認識すべきでしょう。

それから、そもそも休日出勤するなどの行為が、業務が終わらないということでの出勤なのだとすると、業務量が多いという問題があるわけです。そうであれば、実態としてその業務量が多いことについて、何らかの取り組みを会社側は取っていないといけません。早出残業や仕事を自宅に持ち帰っている場合など、会社が把握していないだけで残業があるケースもあるでしょう。全部を把握することは難しいでしょうが、業務量の調整が必要であることは使用者側が考えなければならない点です。

残業の事前許可制自体、私は反対はしません。むしろ、そうした制度を導入すれば、長時間労働を事前に防止できる可能性があるという点からすると、残業の事前許可制は一考に値するものだと思っています。

残業の事前許可制の目的が、 「長時間労働の是正(事前防止)」や「業務の効率化」につながるのなら、働き方改革の方向性にも合致しているといえます。

また、この制度を運用するにあたっては、「残業は事前許可制である」旨について、個々の従業員の承諾書を取ったほうがいいと思います。社員全員の承諾書を取るのが難しければ、社員向けに「残業する場合には事前に許可が必要」である旨の社内向けの文書を交付するなどしておいた方がいいです。要するに、個々の従業員さんがこの制度自体があることを認めていないとそもそも話にならないからです。また、その意味でも就業規則にも「残業は事前許可が必要」であることを記載しておいた方がいいでしょう。

勝手に残業していたものは認めないという発想自体、昔の労務管理の考え方です。経営者はそれを自覚したほうがいいと私は思います。 いずれにしても、「残業の事前承認制」の運用に当たっては上記の三点(①実際の業務量の考慮 ②正しい労働時間の把握 ③従業員本人の承諾)が必要だと思います。

参考にしていただければと思います。



今日は今年から改正のあった労働基準法の改正の話です。 労働契約の明示の仕方が変わったのはご存知でしたでしょうか?

会社が労働契約を明示する方法は労働基準法で定められています。 原則は書面です。書面で明示する内容も決められています。次のような内容です。

①労働契約の期間

②就業の場所・従事する業務の内容

③始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項

④賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締め切り・支払いの時期に関する事項

⑤退職に関する事項(解雇の事由を含む)

このような内容は会社側が労働者側に明示することになっています。しかも、書面によることが義務とされていました。これ以外にも、昇給に関する事項や退職金に関する事項なども、なるべく書面による明示をすることが求められています。

これが今年の4月(2019年4月)から変わりました。労働者の希望があれば、必ずしも書面による明示でなくてもいいことになりました。 faxや、E-mail、ラインやショートメールなどで明示することも許されるようになったのです。 これは、労働者本人から希望があった場合に限ります。原則はやはり書面による明示です。労働者本人が希望していないのにメールで送ったりする方法はとれません。本人が希望して初めて書面でなくてSNSやe-mailでやってもいいという話です。

また、ショートメールによって明示するのも許されてはいますが、文字制限などがあることから望ましくないとされています。 それから、印刷がしやすいように添付ファイルなどの方法で送ることを労働局は推奨しています

私は、e-mailやラインなどで明示する方法は私はその方法が認められるのであれば、書面によらずに、積極的にe-mailやラインなどの方法を使ったほうがいいのではないかと思います。 メールやSNSの方法の利点は「記録が残る」ことです。その方がお互いに確認しやすいという点が最大のメリットです。中小企業の場合、どうしても口頭での約束事になりがちです。法律でいくら義務化されているとはいえ、口頭で約束することが多いのではないかと思います。口頭での約束をあとから書面で確認するという流れが最も多いと思います。そうした特に中小企業の労働契約の交わし方の現状からすると、メールやSNSなどの方法で初めから明示したほうがあとで揉めないで済みます。 また、労働条件の通知は使用者側から労働者側へ明示すれば足りるとされています。本人の同意は必要ないわけです。そういう労働条件の明示のルールからしても、使用者側が労働者本人にメールやSNSなどの方法で労働条件の明示して証拠を残すというのは大変有意義だと思います。労働者側にとっても証拠を残せるという点から、積極的にSNSやe-mailで労働条件を示してもらったほうがいいと思います。

現在はまだこの制度が導入されたばかりのため、原則は書面により、例外的にメールやSNSによる方法を条件付きで認めているというスタイルです。ですが、これが一般的になれば書面による交付というのも原則的な方法ではなく労働条件の明示の一つの方法という位置づけに変わってくると思います。 時代の流れにあわせて、貴方の会社でもメールやSNSで労働条件を明示することを検討してみてはいかがかと思います。




10月1日からは様々なものが変わります。

一番の大きな変化は消費税の税率です。8%が原則10%になります。食料品等の購入については8%の軽減税率が導入されます。日本で初めて複数税率が導入されます。

それ以外にも、介護事業所では「特定処遇改善加算」が導入されます。報酬が変更になりますから利用者さんの利用料も変わります。9月末までに各々の利用者さんの了解が必要です。

そして、中小企業にとっては大きな改正が「最低賃金」が変わることです

 

詳しくは厚生労働省の出している下記を参照してみてください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

 

最低賃金は都道府県によって変わります。

今回、特徴的なことは東京都と神奈川県ではじめて最低賃金が1000円を超えました!

東京都は1013円、神奈川県は1011円です。

時給1000円は最低賃金割れとなり、違法です!

特に、月給者は要注意です。月の給与の額を所定労働時価で割った時に最低賃金を割っていないか、チェックが必要です。

また、都道府県によって微妙に違いはありますが、ほとんどの都道府県で10月1日から発行されます。10月1日以降の労働について、特に東京都と神奈川県では時給1000円では違法になるので注意しましょう。

 

ということで、今日は最低賃金の話でした。




さて、今日は、先日示された最低賃金のお話をしていこうと思います。

毎年、中央労働審議会というところでその年の最低賃金の金額をいくらにするのかの話し合いが行われます。今回は初めて東京などの首都圏で最低賃金が1000円を超える結果となりました。

東京都は1013円、神奈川県は1011円とこの二つの都と県は1000円を超えました!

つまり、時給1000円は違法となるわけです。

 

時給1000円超としないと違法になるというこの取り扱いはいつからそうなるのでしょうか?答えは今年の10月1日からです。締日が末締めではない場合、10月1日以降の給与には気を付ける必要があります。

 

また、時給計算のアルバイトの場合には、最低賃金よりも低い時給だったら引き上げるだけですが、月給者の場合、注意が必要です。時間数で割って、最低賃金割れしていないかの確認が必要です。

ちなみに、1か月170時間だとすると最低賃金割れしないためには月給者の基本給は172,210円以上にしないと最低賃金割れする可能性があります。月給者の方まで気が回らないケースがあるので注意が必要です。

 

例年、この審議会での答申はそのまま実施されることになります。まだ1か月ちょっとありますから、それまでの間、対策を考える必要があります。

 

それから、今回は全国平均でもはじめて時給が900円を超え、901円となったことも特徴的です。安倍政権では、全国平均で時給1000円を目指すとしています。東京、神奈川に次いで高い時給となったのは大阪の964円、愛知と埼玉の926円、千葉の923円と続きます。

来年以降もこうした傾向は続くと考えていいでしょう

しかし、経営者の立場からすると、これはかなり厳しい話です。ただでさえ、人材確保が難しい状況の中、最低賃金も引き上げられるとなると、中小企業にはダメージが大きいです。ですが、こうした厳しい経営環境の中でも、従業員さんに給与を支払い、なおかつ、利益を出して経営していくたくましさも求められています。どう工夫していくのか、今こそ、経営に「知恵」が求められる時代だと言えると思います。

 

P.S. 10月1日から「介護職員特定処遇改善加算」の新制度が施行されますが、

その申し込みの締切りが8月31日と間近に迫っています。

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今日は私の顧問先であったご質問から、特に訪問介護事業所の給与について、基本的な考え方を見ていこうと思います。

まず、このようなご質問です。

「うちの事業所では、利用者さんの介護をやっている時間について時給を払っています。身体介護と生活介護とで時給は異なります。身体の場合と生活介護とで時給を分けることは問題ないのでしょうか?」

これは特に問題はないです。

通常、身体介護の場合には、介護技術を要します。一方で、生活介護はいわゆる「掃除、洗濯、料理」などの家事です。特別な介護技術を要しない生活介護の方を身体介護よりも時給を低くするというのは一般的にいってもよくある話です。

ただ、身体介護と生活介護が同時にある場合、時給をどのように計算するのか、その計算がややこしくなります。身体介護と生活介護を同時にやる場合、就業規則や労働契約書で計算方法をきちんと明記しておく必要はあるでしょう。

次に、このようなご質問です。

「うちの事業所では、A利用者さんのあとに続けてB利用者さんを続けてやるような場合、移動時間について、特に時給は払っていません。利用者さんへのサービスの提供の時間帯だけ給与を支払っていればそれでいいのでしょうか?」

これは、訪問介護事業所でよくある話です。移動時間は労働時間なのか?という点です。

少し古いのですが、平成16年8月27日付で厚生労働省から出ている「基発0827001号」「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」に、この辺の話が詳しく書かれています。

その中で、ある利用者さんのお宅から次の利用者さんのお宅へ移動する際の移動時間については、労働時間として計算しないといけないと書かれています。

また、ある利用者さんから次の利用者さんへの移動時間は労働時間としても、空き時間があった場合にはそれは労働時間ではない

と書かれています。

また、事業所から利用者さん宅への移動時間は労働時間である一方で、ある利用者さん宅でその日の業務を終了し、事業所へは戻らずに直帰した場合、その利用者さん宅でサービスの提供が終わった時間が業務終了時間である と書かれています。

この辺は、具体的な例示が出ていますので、上記の厚労省の通達を参考にしてみてください。

また、この厚生労働省の「訪問介護労働者の法定労働条件確保のために」というリーフレットに、この「移動時間」に関して、次のような記載があります。

「当社A事業場では、過去3か月間にわたり移動時間を把握した結果、特別の事情がない限り、1回当たりの移動時間が15分を上回らないことが判明しました。そこで、A事業場においては、移動時間を15分と定め、移動1回当たり15分に相当する賃金を支払うこととし、15分を超えた場合には、超過した時間分の賃金を追加して支払うことを検討していますが、可能ですか?」

「移動時間を含め労働時間を適切に管理することは使用者の責務であり、移動に要した時間を確認し、記録する必要があります。移動に係る賃金は、このようにして把握した労働時間に基づき算定するのが基本となります。

ご質問のように、事務処理の簡素化のため移動に係る賃金を定額制にすることは、実労働時間に基づき支払うべき賃金が定額を超える場合に超過分を支払うのであれば、労働者に不利益とはなりませんので、可能と考えられます。この場合、雇入通知書や就業規則でその旨を明示する必要があります。なお、定額制を取り入れても労働時間の把握は必要であるとともに、超過分を支払わないことは賃金の一部不払いとなることに留意してください。」

訪問介護の労働時間の特徴的な部分として、この移動時間の賃金の支払というのがあります。同時に、この移動時間を把握することは、事務処理が煩雑となることが実務上の一つの問題です。そこで、上記のように、一定額の「移動手当」を支払ってそれで終わりにしてしまう方法があるというわけです。事務処理の方法としては検討に値する方法だろうと思います。

「訪問でお伺いしようとした当日、利用者さんが入院することになり、予定していた訪問介護がキャンセルになりました。キャンセルになったのだから特に時給は払わなくてもいいのでしょうか?あるいは、何か手当を払ったほうがいいのでしょうか?」

これも訪問介護ではよくある話です。予定していた訪問介護が、利用者さんの都合でキャンセルになったり、日程変更があったりするケースです。

この場合、理由はどうあれ、予定していた業務が会社都合でなくなるわけですから、 「休業補償」の対象となります。休業補償というのは、平均賃金の6割です。つまり、時給の6割は手当として支払う必要があるわけです

あとは訪問介護に特徴的な点としては、深夜労働の勤務者の健康診断です。

健康診断は「常時使用する労働者」に対して、雇い入れ時と1年に1回の健康診断をする義務が会社にはあります。「常時使用する労働者」というのは「正社員」と考えていいでしょう。そして、この「常時使用する労働者」の訪問介護が深夜時間帯(夜10時から朝5時まで)に及ぶ場合、深夜労働の従事者に対しては、1年に1回の健康診断が半年に1回になります。この点も注意しましょう。

訪問介護は、介護事業所の他の介護サービスや、介護以外の他の業種とは異なる部分が多いです。上記のような特徴的な点を踏まえて労務管理をする必要があることには十分に留意しましょう!

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さて、今日は「働き方改革」の話です。

前回のブログで「働き方改革関連法」についての話を書いていきました。

介護事業所では特に「人不足」が言われています。そうした「人不足」の時代にあって、「働き方改革」のような法改正される中でどのように経営していったらいいのかを考えてみましょう。

 

「働き方改革関連法」の向かう方向性は、「ワークライフバランス」です。

テレビドラマで「わたし、定時で帰ります」というのが始まりました。主人公の女性は、定時できちんと仕事を終わらせ、有給休暇もきちんと消化することを貫いています。必要があれば残業したりはしていますが、しかし、必要以上には残業しません。こうした働き方に疑問を投げかける方たちと一緒に働きながら、定期退社を基本にした働き方を貫きます。このドラマは「働くとは何か」ということを問いかけていることそのものがテーマになっています。

 

有給休暇の取得率は厚生労働省が毎年発表している「就労条件総合調査」によると、直近の調査では2017年の平均有給休暇取得率は51.1%となっており、政府の掲げる2020年までに有給休暇の取得率70%とは程遠い状況です。

 

仕事を残業せずに定時で帰って終わるのかと考える中小企業の経営者の皆さんは考え方を変えないといけません。政府の言っている2020年に70%の有給消化が実現するかはわかりませんが、いずれは社員の有給休暇取得率が70%以上というのが普通になるだろうと思います。パートアルバイトの年次有給休暇に至ってはほぼ100%年次有給休暇を消化する時代になってくるだろうと思います。これからの経営者のトレンドは、それでもきちんと利益の出せる経営です。社員を休ませ、残業もさせない中でいかにきちんと仕事を回すのか、いかにきちんと利益を出していくのか、その仕組みづくりを考えることが経営者の仕事です。

 

私の耳にする範囲でも、1週の労働時間が40時間であった治療院を44時間と改正する経営者がいらっしゃいました。また、なるべく時間外労働の問題が生じないように、タイムカードなどによる出退勤の管理を止めてしまう経営者がいらっしゃったりもします。これらは、新しい時代の労務管理とは逆行した行為であると思います。

 

昭和時代の労務管理」では労働基準法などの労働法をきちんと順守した形での経営をしていては利益が出せない という意識の経営者が多かったように思います。「平成時代の労務管理」になるとそれが、監督署からも言われるし、労基法は守らないといけないという意識が経営者に出てきたように思います。そして、「令和時代の労務管理」では、むしろ積極的に従業員さんの労務管理を重視する経営をしないとヒトを雇えない という時代になってきていると思います。

 

これからの労務管理は、どうやって有給消化をしてもらうのか、いかに時間外労働をさせないようにするかを考える経営です。基本的には、国の考えている方向性に労務管理のスタイルをあわせていくことがもっともこれからの時代の労務管理にふさわしいだろうと思います。勤務間インターバル制度テレワーク制度の導入などの新しい制度の導入や、短時間正社員制度勤務地・勤務時間を限定する正社員の活用など、従業員さんの様々な状況に応じた制度を用意して、より働きやすい方法を従業員の皆さんに提案していく経営です。法律が改正されるから取り組むのではなく、働きやすい職場づくりを積極的に経営者の側から取り組む姿勢、これが「令和時代の労務管理」なのではないかと思います

 

また、コンサルタントや社労士にもそれらを一緒に考えることのできる方が必要となってきます。労基法の抜け道を指南したり、法律や改革の方向性に逆行するようなアドバイスは特に中小企業の経営者にとっては都合のいい提案のように聞こえるかもしれませんが、その提案を受け入れることでヒトが雇いづらい職場環境となってしまい、経営が行き詰まってしまうことにもなりかねません。

時間やコストはかかっても、働き方改革の方向性と同じベクトルを向いた労務管理を考えていくことが結果的に、企業経営を安定化させることにつながるのではないかと思います。

 

ちょうど「令和」にかわるこのタイミングは、働き方に対する考え方も変えないといけない、そんなターニングポイントではないかと思います。




今日は前回の続きです。

働き方改革関連法の「時間外労働の上限規制」と「正規雇用と非正規雇用の待遇差禁止」の話です。

 

まずは「時間外労働の上限規制」の話です。

来年の4月1日から(大企業は今年の4月1日から)改正されているのは、労働時間の上限規制です。原則的には、月の残業時間は45時間を超えてはいけません。また、年間でいっても360時間を超えてはいけません。月の残業時間が45時間ということは、毎日残業があるとして、だいたい1日2時間程度の残業までということです。しかも、年間で360時間ということは、毎日残業している状況なのであれば、1時間20分程度の残業程度にしないとクリアできない数字です。

この労働時間の上限規制は、従来は法律ではなく、大臣告示という形で存在していたものでした。これを法律で規定することになったわけです。また、どうしても1か月45時間、年間360時間を超えてしまう場合には、特別にこの上限を超えることは一応、出来ます。その場合、「時間外労働休日労働に関する協定書(36協定)の特別条項」というものを提出しないといけません。「月の時間外労働と休日労働の合計が、毎月100時間以上にならないこと」や「月と休日労働の合計について、どの2~6か月の平均をとっても、1月当たり80時間を超えないこと」などを守った形のものを事前に提出しないといけないわけです。また、健康福祉を確保するための措置を36協定に書かないといけないというモノもあります。

この労働時間の上限規定の改正は中小企業の場合、来年4月から導入されます。(一定の業種では適用時期が猶予されます)

 

また、月60時間を超える残業代については、割増賃金の率が25%増しから50%増しになります。これについては、大企業はすでに導入されているところで、これを中小企業に拡大するというものです。(中小企業は令和4年4月から適用開始となります

それから、勤務間インターバル制度を導入するよう、促す取り組みも始まります。勤務間インターバルとは、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保する仕組みです。たとえば、残業して終業時間が遅くなってしまった場合、休息時間11時間の休息時間を確保するために始業時刻を後ろ倒しにするような制度のことです。こうした制度の導入を促す仕組みづくりをするとしています。

 

フレックスタイムの制度が拡充されるのも今回の取り組みとしてあります。

従来は労働時間の清算期間が1か月のみであったのに対して、改正後は清算期間が1か月の他に3か月もとれるようになります。それによって、3か月の中で労働時間の調整が可能となるため、たとえば、子育て中の親が3か月の清算期間中の1か月の労働時間を短くすることで、夏休み中の子どもと過ごす時間を確保しやすくなるなどのメリットがあります。中小企業側にとっても、3か月の平均で法定労働時間以内にすれば割増賃金の支払いは必要ありません。なお、清算期間を3か月にする場合には、一定の届け出と労使協定の写しも労働基準監督署に提出しないといけないのでその点も確認しましょう。

 

さて、この時間外労働の上限規制の話など一連の労働時間関連の話ですが、多く聞く話としては、「こんなに残業時間を少なくしたら仕事にならない」というものです。「時間で考える役所の考え方は古い」といった声も聞きます。確かにそういう側面もあるとは思います。しかし、一連の働き方改革関連法での労働時間の短縮の話はこれを実現するようにやっていくことがまさにこれからの時代の労務管理だと思います。

きれいごとではなく、実際、残業時間が多い会社は敬遠されます。結果、いい人材が集まらなくなってしまっては経営が立ち行かなくなります。いい人材を確保するためにも、どうやって残業時間を少なくするのかを考えないといけません。

たとえば、フレックスタイム制を導入して、労働時間のやりくりを工夫するとか、パート・アルバイトの活用をして、ヒト不足の解消をすることを考えてもいいでしょう。業種によっては、テレワークを導入するのも方法の一つです。

ヒトの組み合わせや、新しい制度の導入など、いろんな方法を検討して、労働時間を短くする方法を考えてみてはいかがかと思います。

 

また、正規雇用と非正規雇用の不合理な待遇格差を禁止する法律も始まります。これは、再来年(令和3年)4月1日から導入されます。

これは、裁判例を受けた形の改正で、正規雇用の者と非正規雇用の者との「均衡待遇」と「均等待遇」を求めるものです。「均衡待遇」というのは「①職務内容(業務の内容+責任の程度をいいます )②職務内容・配置の変更範囲③その他の事情の相違を考慮して不合理な待遇差を禁止」するもので、一方で「均等待遇」というのは「①職務内容(業務の内容+責任の程度をいいます )②職務内容・配置の変更範囲が同じ場合は差別的取扱い禁止するものです。これについては、ガイドラインが出ていて、今後も具体的取り扱いについて、いろいろと出てくる点なので、またどこかで書いていこうと思います。

 

ともかく、この「令和の時代」は今までの経営者の感覚ではまったく経営できない時代になると思います。「有給休暇はなるべく取らせない」「パートの年次有給休暇は制度自体がない」「労働時間の適正管理をすると残業代が増えるからしない」そんな感覚の経営者は時代に取り残されます。社員の働きやすい会社づくりをするという国の目指す大枠の方向性に沿った形に向かっていかないと中小企業の経営が成り立たなくなる時代になってきているのではないかと思います。




元号が「令和」になりました。

新しい時代、という感じでしょうか?

「令和」という時代に合わせるような形で「働き方改革」という名の労務管理における大改正があります。巷であちこち聞かれる話ですから、この「働き方改革」という言葉自体はいろんなところで聞いていると思います。

では、「働き方改革」というのは何がどう変わることをいっているのでしょうか。それは三段階に分けて改革が導入されるという話です。ご存知でなかったら、特に中小企業の経営者の皆さんは、この機会にこのブログを通じて知っておきましょう。

この4月から「働き方改革関連法」というのが順次導入されます。それを「働き方改革」と呼んでいます。

簡単にまとめると次のようなものです。

 

1.年次有給休暇5日取得義務・・・平成31年4月から施行。年次有給休暇が10日以上付与されるすべての労働者は年5日以上取得することが義務化

2.残業時間の上限設定・・・令和2年4月から施行(大企業は平成31年4月から施行)。

残業時間は原則、月45時間(1日約2時間平均)、年間360時間に制限されることになります。

3.正規雇用と非正規雇用の不合理な待遇格差を設けることが禁止・・・令和3年4月1日から施行(大企業は令和2年4月から)。正規雇用と非正規雇用について、給与や賞与、福利厚生などの待遇について、均衡・均等待遇にしないといけません

 

中小企業の経営者にとっては、今後1年ごとに上記の制度が順次導入されることになります。それに対応することが求められているわけです。

 

今日は上記の3つのうち、年次有給休暇の5日消化の義務化の話をしていこうと思います。

働き方改革関連法の第一弾として、この4月から年次有給休暇の5日取得が義務化されました。日本における年次有給休暇の消化率は50%を切っているというデータがあります。今回の改正はそうした実態を受け、年次有給休暇という制度を十分に機能させるためにも、年間5日は年次有給休暇を取得させるように法律で義務化したわけです。

 

この年5日以上の消化が義務付けられる対象者ですが、これは年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者が対象です。この10日以上というのは繰り越し分を含めて10日以上ではなく、当年に与えられた年次有給休暇分のみで10日以上とされています。また、この対象者は管理監督者も年次有給休暇があれば対象になります。時間外労働が除外されるのでなんとなく管理監督者は関係ないように思っていらっしゃる方は要注意の項目です。そして、年5日消化している者については、使用者側が年次有給休暇を取らせる義務はないわけですが、年次有給休暇の5日取得をできない場合には、会社側が「時季指定権」を行使し、強制的にでも休ませないといけなくなったわけです。これによって、中小企業はより一層、有給休暇の取得状況の管理が求められます。きちんと年次有給休暇を消化しているのか、会社は消化の状況を把握しないといけません。また、使用者側が時季指定権を行使して年次有給休暇を計画的に付与させる場合には、それを就業規則に規定しないといけません。就業規則の変更が必要な点は注意点です。もちろん、労働者側の意見を聞いた上で年次有給休暇の時季を指定する必要はありますので、その点も改めて確認しましょう。

 

ちなみに、適用になるのは平成31年4月1日以降に新たに付与される年次有給休暇からです。現状、3月31日までにすでに付与されている年次有給休暇には及ばないという点も確認しましょう。

 

これまでは、労働者側の申し出がないと年次有給休暇を使うことがなかったのですが、今後は使用者が労働者に取得時季の希望を聴取して、使用者側が〇月〇日に有給を消化してください、という形になります。

また、従業員さん側の希望を聞き、従業員さんに年次有給休暇を一斉消化する形もあるかもしれません。

 

いずれにしても、年次有給休暇の消化が5日未満の従業員に対しては、年次有給休暇を消化させないといけなくなったわけです。

 

また、一方で、これによって考えられるのが、従来与えられていた夏季休暇や冬季休暇を会社側が一方的に年次有給休暇の消化として振り替えるなどです。これらは違法性があると言わざるを得ません。場合によって、そうした誤った方向への指南をコンサルタントや場合によっては社労士がしてしまうケースも想定されるのですが、そうした行為は今回の「働き方改革」には逆行する行為です。法改正の向かっている方向に逆行するような方法を選択することは慎んだ方がいいと思います。ヒト不足が言われる昨今、優秀な人材が集まらなくなってしまう要因になりかねないからです。

 

さて、この年次有給休暇5日ですが、それでも急に年次有給休暇の消化をするのが難しい場合もあります。今まで、私の顧問先でもそうした話はいくつかいただいています。そういう場合、どのように対処したらいいのでしょうか。

 

一番簡単なのは、まとまった休みを有給休暇として一斉付与するというものです。2日と3日を年次有給休暇の一斉付与にするような方法です。ただ、この方法ができるのも限られていると思います。それであれば、たとえば、半日の年次有給休暇を毎月行えば、年間で6日消化できます。1日の年次有給休暇の消化は実際の業務の都合上難しくても、半日だったら可能だという場合にはこの方法も考えられます。また、2か月おきに従業員さんが交代で1日有給を消化していくことをルール化することもあり得るでしょう。

 

とにかく「できない」という前に、有給が消化できる方法を考えてみましょう。それを考えるのが「働き方改革」なのですから。次回は「働き方改革関連法」改正のあとの二つ、時間外労働と正規雇用と非正規雇用の待遇格差禁止についてお話していきましょう。

 

 




久しぶりのブログの更新になりました。

今日はここ最近の裁判事例を引き合いに、非正規雇用の賃金のお話をしたいと思います。

 

一つは、大阪高裁の平成31年2月15日の判決です。

学校法人・大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)のアルバイト職員だった50代の女性が、正職員との待遇格差は違法として、法人に約1270万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は15日、請求を退けた1審・大阪地裁判決を取り消し、約110万円の支払いを命じた。」(毎日新聞引用)

 

正社員に賞与を支払う一方で、アルバイト職員に賞与を支払っていないのは違法とした画期的な判決です。

 

もう一つは、契約社員へ退職金が支払われないのは違法であるとした平成31年2月20日の東京高裁の判決です。

東京メトロの売店で勤務していた契約社員が、正社員と同じように働いていたのに、賃金や手当に差があるのは不当だと訴えた裁判で、東京高等裁判所は、退職金などで不合理な格差があると認め、会社に対し支払いを命じる判決を言い渡しました。弁護士によりますと、正社員との格差をめぐって退職金の支払いを命じた判決は初めてだということです。」(NHKニュースより引用)

 

いずれも労働契約法第20条をめぐる判決です。

では、労働契約法第20条はどのように書かれているのでしょうか?

「(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)

第20条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」

 

期間の定めのある契約か期間の定めのない契約かで、労働条件に差があってはならないとしています。この労働契約法第20条をめぐる裁判として有名な裁判が「ハマキョウㇾクス事件」「長澤運輸事件」です。この裁判については、以前にこのブログでも解説しました。この判決では、手当について、理由もなく正規雇用には支給される一方で、非正規雇用には手当を支給しないことはあってはならないとしています。

詳しくは以前の私のブログをご参照ください。↴

https://vanguardwan.com/blog/%e3%83%8f%e3%83%9e%e3%82%ad%e3%83%a7%e3%82%a6%e3%83%ac%e3%83%83%e3%82%af%e3%82%b9%e4%ba%8b%e4%bb%b6%e3%81%a3%e3%81%a6%e4%bd%95%e3%81%8b%e3%80%81%e3%81%94%e5%ad%98%e7%9f%a5%e3%81%a7%e3%81%99%e3%81%8b

 

今回はこの判決から一歩進んで、賞与や退職金についても、正規雇用と非正規雇用とで差を付けて、正規雇用だけに支給するのは不合理であるとしています。ただし、支給される金額については正社員と同等とまでは考えていないようで、賞与については、「月給制の有期雇用契約の職員には、正職員の8割が支給されていることも踏まえ、アルバイトにも6割の支給が妥当とし、2年分で約70万円の支払いを命じた」(読売新聞)としています。また、退職金については、訴訟の原告である契約社員の方の勤務期間が約10年にも及ぶことを踏まえ「勤務期間が約10年に及ぶ元社員2人には正社員の4分の1の退職金が支払われるべきだと判断した」(読売新聞)としています。

 

賞与については支払うべきとした理由について、賞与の性格が「労務の対価や功労報償、生活費の補助など多様な性質がある」としていて、また、退職金については「永年の勤務に対する功労報償の性格がある」としています。

 

いずれも「功労報償の性格」という言葉が出ていることに共通点があります。

「ハマキョウレックス事件」「長澤運輸事件」では「手当」の意味合いが重要とされましたが、これと同じく、そのお金にどのような“意味”があるのか、が重要と言っているわけです。賞与や退職金は「会社に貢献したことに対して支払われるもの」だとすれば、非正規雇用であっても支払われるべきだと言っているわけです。

 

また今回の二つの判決に共通しているのは、正規雇用と同程度の金額でなくてもいいと判断しています。同じ金額でなくてもいいのだが、支給がされているのかが問われているわけです。「功労報償」という点からすると、正規雇用と非正規雇用で支払われる賞与や退職金とで金額に差があるのは仕方がないとしているのでしょう。

 

一方で、これらの裁判の前提には、働き方が正社員と非正規雇用とで同等に近いというのが前提にあることは忘れてはならない点です。

大坂医科大学の判決(賞与の話の方)では、「アルバイトで研究室の秘書として採用され、平日5日間、1日7時間程度の勤務形態」だったことが前提にあります。また、東京メトロの判決(退職金の話の方)では、「契約社員の勤続年数は約10年に及んでいた」ことがあります。これらはいずれも勤務形態が正社員に近い状況であったことが前提にあるわけです

 

この裁判は最高裁まで争われる可能性があります。今後も行方を注視していきたいと思います。


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