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Category Archives: 労務管理

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最低賃金が変わります。毎年、10月から最低賃金が変わります。全国一斉に変わります。

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最低賃金というのは、時給の場合にはわかりやすいですが、月給の場合には、月給を時給換算した金額になります。この辺は経営者の方は理解されている方が多いようですね。

さらにこの最低賃金は、都道府県によって異なります。

東京都と埼玉県では最低賃金は違います。それはご存知でしたか?

現在、10月以降の最低賃金が正式に決まったわけではないです。各々の都道府県の最低賃金審議会というところが労働局に答申を出します。現状ではその答申が出そろった状況です。その上で正式に決定するわけです。ですが、今までの慣例からして、答申が出たものがそのまま最低賃金になります。

首都圏の答申が出ている最低賃金は以下のようになっています。

 

東京都  907円 → 932円

神奈川県 905円 → 930円

埼玉県  820円 → 845円

千葉県  817円 → 842円

 

東京なのか千葉なのかで実に90円違うことになります!結構違いますよね。

ところで、この最低賃金ですが、ここ何年かで急激に上がっているという感じをもちませんか?

10年前の2006年(平成18年)の東京都の最低賃金は719円でした。

つまり、この10年で213円も最低賃金が上がっているんです!

経営者の視点からすると、この10年でそれだけ収入が増えているかといえばそうは感じないはずです。経営者の実感と最低賃金の引き上げは必ずしもリンクはしていない、といったところです。

最低賃金の引き上げは近年、毎年行われていますが、いつまで続くのかという感じを持たれている経営者は多いと思います。

これは時給1000円程度になるまで続くのではないかと思います。大きな方向としては時給1000円に向かっているのが現状のようです。

そもそも雇い入れ時の給与を1000円と設定してしまうということもこの際に考える必要がありそうです。



5月はやはり忙しいですね。

もともとゴールデンウィークがあって日数が少ないせいもあります。

4月から新卒で入社した人は、ここからが正念場です。なにせ、ゴールデンウィーク後の次の連休は7月の海の日までないですから・・・

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さて、今日の話は顧問先からも質問があった「社会保険の適用拡大」の話です。

現在、社会保険の扶養に入るのって、年収いくらかご存知ですか?

130万円ですね

103万円が所得税の扶養に入れる範囲、100万円が住民税の非課税の範囲、そして、年収130万円未満だと、社会保険の扶養に入れる。今の基準はそうです。

その130万円が106万円になるんです

知ってましたか?

 

「えー、そうなの?」「いつからそうなるの?」

と気になりますよね。

そうなんですが、要件がいろいろとあるのであわてないでくださいね。

 

まず、いつからか。これは、最短の人で「平成28年10月1日から」です。

「最短の人」というのがポイントです。年収106万円(月で割ると月額給与8.8万円)という基準が導入されるのは、まずは大企業です。大企業にお勤めの方の社会保険の扶養親族になっている場合には、今年の10月1日から対象になります。

 

「特定適用事業所」と言って、厚生年金の被保険者数が常時500名を超える事業所がまずは対象になります。この500名の判定は、法人のマイナンバーである「法人番号」で数えます。別々のところにあっても「法人番号」でよせて500名以上かどうかを判定します。

それから、106万円の判定には、「通勤手当」や「時間外労働」、「家族手当」「皆勤手当」なんかは入りません。いわゆるボーナス、「賞与」も対象外です。

ですので、単純に給与が106万円(月額8.8万円)というわけでもないので注意が必要です。

ところで、この社会保険の適用拡大の話ですが、「マイナンバー」の導入と決して無関係ではありません。むしろ、大いに関係があります。(と私は考えています)

マイナンバーって、なぜ導入されることになったんでしょう?

 

「税金を補足しやすくするため」

「行政サービスを使いやすくするため」

「年金をいくら納めたか、将来年金をいくらもらえるのかをわかりやすくするため」

 

どれもその通りです。

もう一つ、大事なことがあります。

それは、「ズルをしないようにするため」です。

 

今まで、所得があっても申告しなかったり、本当は稼いでいるのに、社会保険はなぜか扶養になっていたり、そんなことが結構あったわけです。

特に、「税金」と「社会保険」は役所が違うため、情報の共有ができず、本来は社会保険に入るべき人が入っていなかったり、ということがまかり通っていたわけです。

「マイナンバー」を使うことの意義はここにあります。

つまり、「いくら稼いでいるのか」という情報と「社会保険の扶養に入れるのか」という情報が「マイナンバー」でつながれば、年金事務所が「扶養に入れるのか」を調べるのは簡単になります。

こうした流れの中に、106万円に基準を下げ、厚生年金(社会保険)の適用を拡大して、年金を納める人を増やせば、年金の財政問題も解決するし、老後に無年金になる人も減らせる、こんな思惑があるわけです。

「え、130万円が106万円になるの」とかいう、単発の情報に惑わされず、全体の流れの中でどういう位置づけがあって、社会保険の106万円の話が出ているのか、という視点で考えてみるのも意味があると思うわけです。

ということで、今日は、厚生年金(社会保険)の適用拡大の話でした。



よく顧問先からある質問の一つに、健康診断にかかわる部分の問題があります。

こうしたことも、なんとなく「うちの会社は〇〇だから」と社長が勝手に決めてしまいがちですが、実は法律で規定されていることが多々あります。

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「健康診断の費用は会社が負担すべきなの?」

この質問もよく受けます。なんとなく「会社で払ってあげたほうがいいんだよね」という感じでしょうか?

まず、健康診断をする義務が会社に課せられていますが、これは労働安全衛生法という法律によっています。(労働安全衛生法の66条に規定されています)つまり、健康診断をして社員の健康状態を管理することは会社にとっては義務なわけです。なんとなく、健康診断を会社でやらせてあげている感覚はないですか?これはちょっと違うんですね。むしろ、会社は社員の健康状態を管理し、体調の不具合を管理しなくてはいけないわけです。

健康診断とは少し離れますが、たとえば、インフルエンザにり患した従業員がいたらどうしますか?休ませますよね。これは他の従業員にうつしてはいけないというのもありますが、それ以前にそのインフルエンザにり患した従業員の健康管理を会社がする必要があるためです。きちんと休ませて、治してもらうように配慮するのも会社の義務なんです。

話が少しそれましたが、会社は社員の健康管理をする必要があるというのが労働安全衛生法での趣旨です。そのために、社員には健康診断を受診させないといけないわけです。そのため、その費用についても、通達で「健康診断の費用については法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然会社が負担すべきものである」(昭和47年9月18日基発第602号)としています。

なお、ここには書かれていませんが、一般的にはこの健康診断の費用には、医療機関に出向く際の交通費も含まれていると解釈されています。

そして、最近、この健康診断に関して、こんな質問も受けました。

「健康診断するのは会社の義務なんだから、この時間は労働時間で、賃金を支払わないといけないのか?」

健康診断の時間の給与を支払うの?と思いましたか?

もっとわかりやすく言えば、時給者の場合、健康診断の時間中も時給を支払うということです。

これも先ほどの健康診断の費用と同様に先ほどの通達に規定されており、一般健康診断(定期健診や雇い入れ時の健康診断)では、「業務の遂行とは直接の関連がないため、受診時間については当然に会社が負担すべきものではなく、労使協議により定めるべきもの」としています。

つまり、健康診断の時間中についても賃金を支払うべきかどうかについては、会社と従業員で話をして決めてね、と言っているわけです。健康診断の費用(交通費も含めて)は会社が負担すべきとしているのに対して、こちらはそこまで強くは言っていません。

ですが、この通達では、その後に続けて、「ただし、健康の確保は事業の円滑な運営に不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間に対する賃金を会社が支払うのが望ましい」ともしています。

ちなみに、特定有害業務(鉛を扱い業務、放射線にさらされる業務など)に従事する人の場合には、健康診断は業務の遂行上、当然必要なものであり、労働時間内に行うべきものと規定されていることから、健康診断の受診時間も当然に賃金が発生します。

ということで、今日は、健康診断でよくある疑問の話でした。

 



厚生年金未加入事業所が問題になっています。

本来、厚生年金に加入すべき事業所で、加入していないために国民年金になってしまっている従業員は推計で全国で200万人いるそうです。しかも、そのうち120万人くらいは、20代・30代の若者とか・・・

国会でも、民主党の長妻昭議員がこの問題について質問をしています。「未加入事業所への対応はきちんとしないといけない」という趣旨の答弁を安倍首相もしています。(平成28年2月5日 衆議院予算委員会で)

朝日新聞にもこの問題について書かれています。下記の記事を参照してください↴

http://www.asahi.com/articles/ASJ1F4G70J1FUTFL00B.html

 

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健康保険・厚生年金はセットで加入するものです。健康保険だけ加入して、厚生年金には加入しないということはできません。また、法人であれば、社長1人の会社であっても加入義務があります。この200万人の未加入者のうちのほとんどが従業員数が10名未満の中小企業であろうと推測されます。

さて、この健康保険・厚生年金の未加入事業所問題ですが、どんな形で加入しなければいけなくなるのか。まずは、第一段階として、年金機構からこんな内容の文章が届きます。

日本年金機構においては、関係機関から事業所情報の提供を受け、事業を行っていると思われる事業所を対象に社会保険制度の加入状況等を確認させていただいております。・・・・

厚生年金に加入していない事業所の情報は、国税庁の税務申告の情報から取得しているようです。つまり、税金の申告している法人で、社会保険に加入していない事業所に対して、上記のような文書で、まずはアンケートのようなものが届くわけです。

ちなみに、私の顧問先で、社会保険はすでに加入しているのですが、税務申告上の所在地と社会保険上の所在地が異なる会社さんにも上記のようなアンケートが届きました。これが意味するのは、年金機構では、税務申告上の所在地に社会保険の適用事業所の所在地がなければ、機械的にこのアンケートを送っているというではないかということだと思っています。

この文書が届くと、社長さんの反応は二つに分かれます。

大変!厚生年金に入っていないために目を付けられているかも・・・

なんか届いたけど、無視してもいいよね・・・

後者の方の社長さんにお伝えしたいのは、ほおっておくとかえって面倒なことになりかねません。無視すると、そのうち「健康保険・厚生年金制度への加入について」という別の文書が届きます。加入を促すような内容のものです。つまり、アンケートが届いたということは、そのアンケートに答えようが、答えまいが、遅かれ早かれ加入しないといけなくなるということなんです。

ただ、経営者の立場からすれば、健康保険・厚生年金に加入すると、すぐにその負担の問題が生じます。「今、加入すると、資金の問題からすぐに支払い不能になってしまう」という切実な問題を抱えている法人も多いはずです。そんな場合には、アンケートに答えて、その後、年金事務所へ相談へ行き、加入時期を少し遅くする相談はできます

ちなみに、この未加入事業所のアンケートなり、加入の催促なり、来てしまい、どうしていいかわからない社長さんも多いと思います。今、国民健康保険や国民年金なのであれば、負担を減らしながら加入する方法もいろいろと考えられます。

こうした文書が届くと、法人であればだいたいが税理士に申告を依頼しているので、まずは、税理士に相談するようです。それはそれでいいのですが、社会保険のことをよく理解している人に相談したほうがいいです。つまり、税理士の先生であっても社会保険の制度の内容までは良く知らない人も多いということです。社会保険の制度のことをよく理解している人であれば、加入するにしても負担が少なくなる方法であったり、先ほど書いたように加入時期を遅らせることも提案していただけるはずです

健康保険・厚生年金に加入することは法律上の義務です。加入を拒否すると法律上は罰則規定もあります。加入するにしても、負担をなるべく減らしながら加入する方法など、きちんと「わかっている人」に相談すれば必ずいい解決方法があります。社労士などの専門家にまずは相談してみましょう。加入の問題から逃げずに、いい対処方法を考えて加入することが前向きな解決法だと思いますよ。



時間外労働について、認識がない事業主も多いので、そのことについて触れたいと思います。

軽井沢でバス事故がありましたよね。大学生などの若い人が多く、大変痛ましい事故です。私も学生のころ、こうしたバスを利用したことがありました・・・

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思えば、バスの事故というと、労務管理が問題になることが今までにもたびたびありました。要するに、残業時間が多く、過重労働になっているという問題です。

その軽井沢のバス事故ですが、バスを運営する会社が36協定を締結せずに時間外労働をさせていたとして書類送検されました。記事は↴

http://www.yomiuri.co.jp/national/20160121-OYT1T50002.html

ところで、36協定ってご存知でしょうか?

従業員さんに時間外労働をさせる場合、この36協定というのを労働基準監督署に提出しないといけません。この36協定が出ていないと、時間外労働をさせられないんです。

それで、よく勘違いされるのが、時間外労働の割増賃金ってありますよね。残業をさせるのであれば、割増賃金を払わないといけないというものです。通常の時間外は2割5分増、深夜労働(夜10時~翌朝5時まで)は2割5分増、休日労働は3割5分増、というものです。

残業代を払っていれば、それでいいと思っている経営者が意外と多いんですね。つまり、残業代は払っていても36協定は提出していない事業者が多いということです

これは違います。時間外労働をさせる予定があるのであれば、36協定は必ず出さないといけません。違反すると刑事罰の対象です。つまり、ひどければ逮捕されることもありうるわけです。

「うちの会社は残業させない」と言い切れるのであれば別ですが、基本的には事業をやっている人で、従業員さんを雇っていれば出さないといけないでしょうね。

ですが、たとえば、所定労働時間が9時~17時だったとします。12時から13時は休憩時間とします。そうすると、労働時間は休憩時間を除くと7時間ですよね。その場合、17時~18時はどうなるのかというと、これは、所定時間外ですが、法定時間(1日8時間)には収まっています。これは、36協定の対象となる時間外労働とは言えません。割増賃金も支払い義務はありません。

この場合には、18時以降も残業させるのであれば、36協定を提出したうえで、時間外労働の割増賃金を支払う義務があることになります。

ちなみに、この36協定ですが、提出せずに時間外労働をさせると刑事罰の対象になりますが、36協定を提出すれば提出した日以後は刑事罰を逃れることができます。ですので、たとえば、1月1日から1年間が有効期間として提出して、提出したのが1月20日だったとすると、1月1日~1月19日は時間外労働をさせることができない(その期間にもし時間外労働をさせていたら、刑事罰の対象)ということになります。

また、この36協定は通常は有効期間が1年以内の期間でないといけません。つまり、毎年、36協定は提出しないといけないわけです。決算期だったり、年度(4月から翌年3月)だったり、わかりやすい時期に設定して忘れないようにしましょうね。

ということで、今日は36協定の話でした。



12月1日から新しくはじまったものがあります。

「ストレスチェック」です。新聞などの報道でも取り上げられることが多いのでご存知の方も多いでしょうが、「ストレスチェック」って何か、わかりますか?

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「ストレスチェック」というのは「こころの健康診断」なんていう風にも言われます。

従業員さんの体の健康診断は従来の健康診断ですが、それにプラスして、うつ病などの精神疾患にかかっていないかをチェックするのが「ストレスチェック」です。

実際のストレスチェックの実施者は、医師や保健師ですが、重要なのはその分析をして、問題がある人のケアをきちんとすることです。

 

しかし、この「ストレスチェック」の結果は本人にのみ開示されます。本人は会社にその結果を公表する義務はなく、むしろ会社はその結果の開示を本人に強制的に開示させることは法令違反となります。

 

なお、対象となっているのは従業員数が常時50名以上の企業ですから、50名未満の中小企業は当面は対象外です

厚労省の出している「こころの耳」というのも簡易検査としてはあります。↴

http://kokoro.mhlw.go.jp/check/

 

また、従業員数50人未満の事業所で「ストレスチェック」を導入した場合には、助成金制度もあります。50人未満の事業所でも、導入を検討してみてはいかがでしょうか。



ブログの更新がご無沙汰してしまいました。また、以前のように、更新していこうと思います。

さて、今日は、最近、顧問先からも質問を受けた「兼職禁止」の話です。

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「兼職禁止」というのは「二重就業禁止」なんて言ったりします。

「兼職」や「二重就業」。つまり、「他で働いてはいけない」という話です。

通常は、就業規則でこうしたことを規定します。

さて、ここで質問です。「兼職禁止」や「二重就業禁止」。つまり、ほかで働いてはいけない、ってそもそもなぜこうした規定が必要なのでしょうか?

これは、主に二つの理由があると思います。

一つは、労基法の観点です。

労働基準法では、週の所定労働時間を40時間としています。1日の労働時間は8時間です。

さらに、1週間に40時間や、1日8時間を超える労働をさせる場合には「36協定」というのを労働基準監督署に届け出ないといけません。逆にいえば、36協定を監督署に届出をして初めて、残業してもらえるわけです。

なぜこんなことをしているのかというと、これは「労働者保護」の観点からです

働かせすぎることを未然に防止しているわけです。

「過労」になると体を壊したり、精神疾患にかかりやすくなったり、そうしたことを法律が未然に防止しようとしているわけです。

さて、先ほどの「兼業」です。

この1週40時間、1日8時間というのは、「兼業」していた場合の他の仕事にも及びます。つまり、二つ働いている場所があるのであれば、それを通算して考えるわけです。これは、趣旨が「労働者保護」という観点であることから考えればわかりますよね。2か所で働いているのであれば、その2か所の労働時間を通算するということです。

ということで、就業規則などで「兼職禁止」や「二重就業禁止」にするのはある意味、従業員さんの健康を考えてのことだという話です。

「兼職禁止」「二重就業禁止」のもう一つの理由は、「会社の保護です。

たとえば、9時~17時で働いていたとします。その後、コンビニで18時から21時くらいまで働いていたとします。それが毎日です。

本人は「会社に影響がないようにコンビニでの仕事はする」といくら言っても、それは、本業の会社に仕事に少なからず影響はあるのが通常でしょう。

毎日、コンビニで副業をしていれば当然、疲れもたまりますし、そもそも17時で帰れればいいですが、かならずしもそうもいかないでしょう。残業が必要な日もあるでしょう。そういう場合でも、残業をさせられない。

そう考えると、「兼業」をすることは少なからず「本業」の仕事に影響が出るわけです。

「兼業禁止」や「二重就業禁止」というのはこうした観点から定められている規定なんだということは知っておいていいでしょうね。

 


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