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Category Archives: 社会保険・労働保険


今日は来年から年金手帳が廃止されるという話です。

 

これまで入社される方がいると年金手帳を提出したりということがあったと思います。

会社の総務担当者のルーティンワークでもあったかと思います。

昨年、成立した改正法によって、2022年4月からは新規に年金手帳が発行されないこととなりました

現状で、社会保険の手続きというと、マイナンバーを提出すれば手続きできます

実際に手続きの事務をやっていない方は初めて知ることかもしれませんが、現状ではマイナンバーがあれば実は基礎年金番号はいらないんです

 

そもそも基礎年金番号というのは何でしょうか?

年金手帳にある番号で、「4桁-6桁」の番号です。

大変、古い話になってしまいますが、昭和61年に現在のように1階が国民年金、2階が厚生年金もしくは共済年金という2階建ての年金制度ができました。このときはまだ、年金制度ごとに異なる番号により年金加入記録が管理されていました。そのため、転職等により加入する制度を移り変わった場合、1人の人が複数の年金番号を持つこととなり、管理上の問題となっていたわけです。これを統一した番号で管理するために、平成9年に導入されたのが基礎年金番号です。

 

また、年金手帳は、従来、保険料納付の領収の証明と基礎年金番号の本人通知という2つの機能を果たすものでした。かなり以前には住所の変更があったりした場合も年金手帳に住所を記載したりもしていました。ところが、被保険者情報はすでに現状でオンラインシステムで管理されています。また、マイナンバー制度の導入により手帳という形式である必要性がなくなってきたというわけです。

 

さて、2022年4月1日以降に新たに国民年金や厚生年金保険に加入する人は4月以降、年金手帳がなくなって、どうなるのかといいますと、これらの方には「基礎年金番号通知書」が送付されることとなります。また、2022年4月1日以降は年金手帳が新規に発行されなくなるわけですが、それでも年金手帳が必要な方は2022年3月までに「年金手帳再交付申請書」を年金事務所に提出して交付を求める必要があります。年金手帳が必要な方は早めに手続きしましょう。

 

年金手帳の交付がされなくなるというのもマイナンバー制度普及と絡む話ではあります。

会社の総務担当者の方も年金手帳廃止のことを知っておいたほうがいいでしょう。



今日は実際に実務上、あった話です。

労働保険番号がわからない場合、どうやって調べたらいいのかということです。

 

当たり前かもしれませんが、まずは労働保険申告書の控えや労働保険関係成立届の控え、あとは労働保険料を支払った後の領収書など、番号が書かれている書類を探してみてください。だいたい、こうした書類に労働保険番号は書かれています。

 

さて、今日の話はそれでもわからなかった場合の話です。

実際、私の顧問先でも労働保険番号を調べようとしたらその番号の書いてある書類が見当たらなかったという話です。私も顧問先になったばかりで、番号を把握するような書類は預かっていませんでしたので、私の方でも労働保険番号がわかるものは何もありません。

 

とりあえず、管轄の労働基準監督署に労働保険番号を教えてもらえるのか、聞いてみました。

すると、「会社の登記簿謄本や定款など、会社のことがわかる書類と本人確認書類を持ってきていただいたら番号をお調べします」とのことでした。一応、労働保険番号の取扱いは個人情報と同様ということで、誰でも開示できるわけではないとは言われました。原則は会社の代表者や総務経理担当者などに限られるようです。そのため、窓口に来た本人を確認する書類も必要といわれました。

さて、私は代理で行くので謄本、定款は会社さんから以前にもらっていたのでそれと、あとは「提出代行に関する証明書」という社労士が電子申請する場合に顧問先からもらう委任状のようなものがあるのですが、それをもっていきました。

 

実際、監督署に行ってそれらを見せると、端末をたたいて番号を調べていただけました。

 

労働保険番号がこうした取り扱いなのでおそらくですが、雇用保険の事業者番号も同じような手順になるのではないかと思います。

 

労働保険番号がわからなくなるということもあまりないのかもしれませんが、いざとなればこうした手順で開示してもらえるということも知っておいていいのかもしれません。

 

また、このように労働保険番号や雇用保険の事業所番号がわからないような場合に行政に開示を求める場合、これらの役所に行く前に事前に電話で確認した方がいいでしょう。管轄の役所によっては開示の仕方が違うこともあり得ます。この辺はしょっちゅうあるような話ではないので、役所によって異なることはあり得るからです。

 

 

ちなみに、私はこうした仕事に20年近く携わってきましたが、労働保険番号がわからないという今回のようなケースは初めてでした。私もこうした開示の仕方があるのかと知った次第です。

ということで、今日は労働保険番号がわからない場合、実務上、どうしたらいいのかという話でした。



今日は来年1月から始まる雇用保険の新しい制度についてご紹介いたします。

雇用保険マルチジョブホルダー制度」というものです。

 

雇用保険は主たる事業所での労働条件が週所定労働時間20時間以上、かつ、31日以上の雇用見込み等の適用要件を満たす場合に適用されます。

これに対し、「雇用保険マルチジョブホルダー制度」は複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の3つの要件を満たす場合、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者となることができるというものです。

 

1 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること

2 2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること

3 2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

 

 

上記の要件に該当する被保険者のことをマルチ高年齢被保険者といいます。

 

さて、このマルチ高年齢被保険者に該当するとどうなるのかということです。

「マルチ高年齢被保険者」となった場合、一定の要件を満たせば、高年齢求職者給付金が受給できるようになります。「マルチ高年齢被保険者」が失業した場合被保険者であった期間が1年未満なら30日分、1年以上だったら50日分、受給できるわけです。この「失業」というのは2つの事業所を両方やめた場合だけでなく、2つの事業所のうち1つの事業所のみを離職した場合でも受給することができます。ただし、2つの事業所以外の事業所で働いていて、離職していないもう1つの事業所と3つ目の事業所を合計すると、週の労働時間が20時間以上になる場合、マルチ高年齢被保険者の要件を満たすので、被保険者期間が継続されることになります。結果としてこの場合、「失業」には当たらないため受給することができません。

また、実際に受給する場合には、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あること等の要件があります。

原則として離職の日以前の6か月間に支払われた賃金の合計を180で割って算出した金額のおよそ5~8割となっており、賃金の低い方ほど高い率となります。

 

さて、この雇用保険マルチジョブホルダー制度ですが、特徴的なことの一つとして、マルチ高年齢被保険者となることを希望する本人が手続きを行うということがあります。

通常、雇用保険の手続きは会社が行います。ですが、この雇用保険マルチジョブホルダー制度の場合、書類をそろえたら手続き自体は本人が行うことになります。事業主としてやることは、本人から依頼があったときは、手続に必要な証明(雇用の事実や所定労働時間など)を行うことです。また、この手続は電子申請での届出は行っていません。本人の住所地の管轄ハローワークに行って行うことになります。

 

また、注意点としては、たとえば、A事業所で週15時間、B事業所で週8時間、C事業所で週6時間の労働時間があったとします。この時、A事業所とB事業所で届け出をしていて、この方がB事業所を退職したとします。この時、A事業所とB事業所で届け出している労働時間は20時間未満になります。ですが、実際にはC事業所でも働いているので、改めてA事業所の15時間とC事業所の6時間を足すと週の労働時間は20時間以上になります。この場合、AとBの資格喪失を出して、改めてAとCでの届け出をするという流れになります。

これは通常の雇用保険の手続きにはない特徴的な点です。

 

また、事業主としてはマルチ高年齢被保険者がいる場合、雇用保険料が別に発生します。当然、給与計算時にも本人から雇用保険料を徴収する形になります。給与計算や労働保険料の計算の際には注意が必要でしょう。

 

それから、雇用保険に加入するということは「育児休業給付」「介護休業給付」「教育訓練給付」の対象にもなります。65歳以上の方なので、通常は育児休業給付はないのかもしれませんが、「介護休業給付」や「教育訓練給付」は使うことはあり得る話です。この点も留意しておく必要があります。

 

現在、65歳以上の方で複数の事業所で働いているケースというのは結構、多いです。

私の顧問先の介護事業所でもそういう方は結構いらっしゃいます。

来年(2022年)1月1日からスタートする「雇用保険マルチジョブホルダー制度」について、事業主の皆さんはぜひ知っておきましょう。



月次支援金や雇用調整助成金など、コロナ対応の業務がここの所多く入り、なかなかブログの更新ができませんでした。今日は久しぶりのブログの更新となります。さて、今日は顧問先からあった質問をもとに書いていきます。

健康保険の扶養はどこまでの親族を入れていいのか」というものです。

健康保険の扶養親族に入れられる範囲は以下とされています。

被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人

被保険者から3親等内の親族が扶養親族に入れられる範囲です。

つまり、曾祖父(おじいさんのお父さん)や姪・甥、ひ孫までが扶養親族にできる範囲です。

以前に事実婚の配偶者も入るというのを書いたことがあります。

事実婚も扶養にできるなど、健康保険の扶養は、範囲が結構、広いわけですが、注意点があります。同一世帯が要件となっている扶養親族と同一世帯が要件になっていない扶養親族があります。

同一世帯が要件になっていない親族は、「配偶者」「父母・祖父母・曾祖父母」「子・孫」「兄弟姉妹」です。いずれも本人の父母等、本人の子・孫、本人の兄弟姉妹です。つまり、配偶者の父母等、子・孫、兄弟姉妹は同一世帯でないとダメです。また、甥・姪は本人だろうと配偶者だろうと、同一世帯でないと扶養にはできません。

さて、そうするとこの「同一世帯」というのは何を意味するのでしょうか。

「同一世帯」というのは、家族と「同居」していることではありません。「同一世帯」とは「被保険者と住居および家計を共同にすること」とされています。

同居していたとしても、二世帯住宅など家族が居住する部屋が分かれていたり、家計が別々で被保険者から生活費の支援がない場合は「同一世帯」とはされません。被保険者の稼ぐお金で生計を維持していることが要件となります。

被扶養者となるためには、「主として被保険者によって生計を維持されていること」が必要です。

被保険者と同居している場合には、扶養になろうとする人の年収が130万円(60歳以上または障害者は180万円)未満で、被保険者の収入の2分の1未満であることが要件となります。

被保険者と同居していない場合には、扶養になろうとする人の年収が130万円(60歳以上または障害者は180万円)未満で、なおかつ、その扶養になろうとする人の年収が被保険者からの仕送額より少ないことが要件となります。

今回、ご相談のあった顧問先では、ご自身の配偶者のお母様を扶養にしようとしていました。このケースは別居でした。その場合、「同一世帯」と認めてもらうには、仕送りをしている資料(送金しているのがわかる部分の通帳の写しなど)が必要となります。その仕送り額がご自身の年収より多くなければいけません。今回のケースでは、お母様は国民年金の収入のみで、仕送り額が年金額以上であったため不要になることができました。

では、自営業者を扶養にしたい場合は「年間の収入」はどのように判断したらいいのでしょうか。

自営業を営んでいる認定対象者の年間収入の算定にあたっては、収入から控除できる経費は事業所得の金額を計算する場合の必要経費とは異なります。

協会けんぽのHPから抜粋すると、事業所得のうち、必要経費にしたものを次のように分けるようです。

控除できる経費の例  売上原価(一般所得)、種苗費、肥料費(農業所得)等

控除できない経費の例 減価償却費(一般所得、農業所得、不動産所得)等

減価償却費は現金支出のない経費だから除いて判定するということなのだろうと思います。減価償却費は除いた事業所得の金額で判断してみましょう

ということで、今日は社会保険の扶養の話でした。

次回は、社会保険の扶養との比較の意味で、税法上の扶養となる「生計一」というのを見ていきたいと思います。



緑色の封筒の労働保険の申告書が届いて、さて、これから集計をしないといけないなと思っていらっしゃる方も多いと思います。

労働保険の申告でも少しいつもと違うケースがあります。そのいつもと違う申告について、今日は書いていこうと思います。

今日は、事業を廃止したり、あるいは事業をいったん休業したりして労働保険の対象となる労働者がいなくなったりした場合に労働保険の申告をどうやったらいいのかという話です。

まず事業を廃止した場合です。

この場合、まず、労働保険の申告書の上部の③という箇所に廃止年月日を書き入れる欄があります。その欄に事業を廃止した、もしくは、労働者がいなくなった年月日を書き入れます。そのうえで、「確定保険料算定内訳」の欄のみを書き、下の「概算保険料算定内訳」の欄は空欄にします。さらに、下の方の24番の「事業廃止等理由」の欄から「(1)廃止 (2)委託 (3)個別 (4)労働者なし (5)その他」の中から選択し、該当するものに〇を付します

ちなみに、「委託」というのは労働保険事務組合に委託するようになったため、労働保険を廃止する場合です。事務組合に委託すると労働保険はいったん廃止し、事務組合として労働保険に加入する形になるため労働保険の「廃止」扱いになります。「個別」というのはその逆で、今まで労働保険事務組合に委託していた事業所が個別に労働保険に加入したため、労働保険事務組合から外れた場合です。この欄は一般の事業所はあまり使うことはないでしょう。

それから、労働保険の廃止をした場合、労働保険の還付となることが多いと思います。労働保険が還付になった場合には必ず「還付請求書」を忘れずに出すようにしましょう

次に、事業を休止した場合です。

今現在は労働保険の対象者はいないのだが、従業員を雇う予定はあって、労働保険を廃止したくはないという場合もあると思います。こんな場合の労働保険の申告はどうしたらいいのかという話です。

この場合、事業の廃止ではないので、上記のような廃止の手続きをとる必要はありません。実際、昨年1年間(昨年4月~今年3月)で雇っている人がいなければ労働保険の申告書の上の欄(確定保険料算定内訳の欄)は空欄になりますが、下の方の「概算保険料算定内訳」の欄は適当な数字を入れて申告を継続する形が取れます

いったん労働保険を廃止してしまうと、また加入するのに手続きが煩雑だったりするので、この方法がとられます。事業を休止はしていなくても、何らかの理由で今現在、労働保険の対象労働者がいないような場合、この方法がとられます。昨今の情勢であれば、コロナ禍でいったん従業員を雇うのをやめた事業所で、今現在は誰も雇用していないのだが、また見通し立ったら雇いたいというようなケースなどは十分考えられるところです。

昨年の労働保険の申告があるのだったら、昨年の概算保険料があると思います。その昨年の概算保険料と同じ金額を今年の概算保険料の金額にすれば、労働保険料は0円で契約を継続することができます。コロナ禍で今は雇っていなくても従業員を雇う可能性があるのであれば、労働保険を継続するこのような方法をとってもいいでしょう。

また、事業を廃止したのが4月1日以降の場合には、翌年度の廃止になります。この場合には申告書がもう1枚、必要となります。たとえば、4月に廃業したのだったら4月の分は2枚目の申告書に記載していく形になりますので注意しましょう。

ということで、今日は事業を廃止したり、事業を休止したりしている場合の労働保険の申告の話でした。



さて、今日は最近の行政手続きの話です。印鑑が不要になっているという話です。

河野行政改革担当大臣が行政手続きに必要とされる印鑑を廃止すると発表したことは大きく報道されたのでご存じの方も多いと思います。

「認め印」すべて廃止しオンライン化へ 河野規制改革相 | NHKニュース

実際、行政上の手続きがどうなったかというと、かなりの部分で印鑑が必要なくなっています。

税務関係でいえば、ほとんどの書類で印鑑が必要ないことになっています。「施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めないこととする。」(国税庁HPより)とあることから、たとえば、確定申告書も用紙上では印鑑の欄はあるのですが、印鑑を押してなくても問題はないこととされています。

また、社会保険関係の書類や助成金の書類などは最新の用紙のフォーマット自体が変更されており、そこには印鑑を押す場所自体がなくなってきています。書類の書式自体を変更して印鑑の捺印が必要ないようにしているわけです。各種助成金の書類もほとんどが印鑑が必要なくなっています。助成金関係の書類は2020年12月の日付で更新になっているものが多いようで、最新書式だと印鑑の欄がありません。ある助成金の書類を作っていたところ、2021年2月更新という書類もありました。いずれにしても、社会保険の届け出や助成金などではかなりの部分で印鑑を不要にしています。

こうなってくると、逆に印鑑が必要な書類は何かという感じで考えた方がいいのかもしれません。

税務関係でいうと国税庁のHPには以下のように記載されています。

提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、次に掲げる税務関係書類を除き、押印を要しないこととするほか、所要の措置を講ずる。

(1) 担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類

(2) 相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類

また、社会保険の届け出の関係では、印鑑ではなく、書類の添付が省略されることになったものがあります。以下は日本年金機構のHPからの抜粋です。

下記の表の項番1~4に該当する場合に、届出の事実関係を確認する書類として添付を求めていた「賃金台帳の写し及び出勤簿の写し」(被保険者が法人の役員である場合は、取締役会の議事録等)の確認書類について、今後は、事業所調査実施時に確認を行わせていただくため、届出時の添付が不要となりました。

<確認書類の添付が不要となる対象届書及びケース>

項番 届書名称 添付を求めていたケース
1 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 厚生年金保険70歳以上被用者該当届 資格取得年月日が、届書の受付年月日から60日以上遡る場合
2 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届 厚生年金保険70歳以上被用者不該当届 資格喪失年月日が、届書の受付年月日から60日以上遡る場合
3 健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届 厚生年金保険70歳以上被用者月額変更届 改定年月の初日(1日)が、届書の受付年月日から60日以上遡る場合
4 健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届 厚生年金保険70歳以上被用者月額変更届 改定後の標準報酬月額が、従前の標準報酬月額から5等級以上引き下がる場合

※上記の届書の該当ケース以外は、引き続き届出時の確認書類の添付が必要となります。

それから、こうした印鑑不要や書類の添付の省略化という動きは主には国のかかわる部分の書類です。東京都の助成金などは書類の変更はなく、印鑑の捺印があったころの国以上に印鑑の捺印を求めていたりしています。国以外の届け出は各自治体の動きを確認する必要があるでしょう。

助成金の書類などは私も実際に書類を作成していって印鑑が不要になったことを知ったというのが実際です。どの書類が印鑑が不要になったのか、書類の添付が不要になったのか、というのは、自分で判断せず、逐一、HPなどで確認した方がいいでしょう

印鑑や書類の添付が省略されるのは手続きする際には大変助かる話だと思いますが、印鑑や書類の添付が不要になったからこそより慎重に手続きをする必要があると思います。

ということで、今日は最近の行政手続きの簡略化という話でした。

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コロナの影響で雇用調整助成金を使って休業手当を支払った(もしくは現在も支払っている)会社は多いと思います。さて、このように休業手当を支払っていた従業員が退職した場合、離職票はどのように書いていったらいいかを今日はみていきましょう。

その前に、「休業手当」というのは労働法上、どのようにとらえられているのでしょうか?

「休業手当」は労働法上の賃金ととらえています。ですから、離職票には記載しないといけない手当になります。通常賃金と同様に離職票に記載していきます。

ですが、休業手当の支払いが含まれる月で離職後のいわゆる失業手当の給付金などが計算されてしまうと、著しく低く算定される場合があります。
そこで、休業手当の支払いがある場合には、通常と異なる計算が採用されます。

通常、賃金日額は、「休業もしくは離職前6か月間の賃金総額/180」で計算されます。

ですが、休業手当が当該期間に含まれる場合には次のいずれか高いほうの金額を1日の金額として計算されます。

  • 休業もしくは離職前6か月間の賃金総額/180
  • (6ヶ月の賃金-休業手当)/(180-休業日数)

これは月給者を対象とした場合になります。日給・時給者の場合は上記の算式のうちの180とある部分は労働日数を入れて計算した金額を最低保障額としてその金額との比較となります。

このように休業手当がある場合、雇用保険の賃金日額というのが計算の仕方が変わってきます。ということは、通常の退職時の処理とは異なるので、休業手当のことも離職票に記載していかないといけないわけです。

では、実際に離職票にどのように記載していったらいいのでしょうか。

たとえば、コロナの影響で事業主の都合で休業し、休業手当が支払われた場合を前提として、離職票は次のように記載していきます。

・「休業手当が支払われた日数も含めた基礎日数」を⑪欄の基礎日数に記載
・「休業手当も含めた賃金額」を⑫の賃金額の欄に記載
・「休業日数、休業手当の金額」を⑬の備考欄記載

また、休業となるのは1日のうちの全部が休業になるとは限りません。1日のうちの一部の時間が休業になるケースもあります。そのような1日のうち、一部の時間を休業した場合で、休業した部分について休業手当が支給された場合には、どのように離職票を記載していくのでしょうか。

これは、休業手当の金額が平均賃金の60%以上の場合と、60%未満の場合で次のようになっています。

休業手当を除いた賃金額が平均賃金の60%以上の場合・・・備考欄(⑬欄)に休業日数を記載する必要はありません。
休業手当を除いた賃金額が平均賃金の60%未満の場合・・・休業手当金額・休業日数(〇/〇 ~ 〇/〇 〇日間休業)・所定休日日数を備考欄(⑬欄)に記載します。

また、雇用調整助成金の受給を受けている場合には、備考欄(⑬欄)に、「雇調金」と記入したうえで、雇用調整助成金の支給決定日を記入する必要があります。支給決定日は雇用調整助成金の決定通知書に記載されていますから、それを見ながら書いていきましょう。

コロナの影響で雇用調整助成金を受給している会社は多いと思います。その後、その従業員さんが退職した場合の離職票の書き方までは把握していないことも多いことと思います。このブログを参考にしていただければ幸いです。

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あけましておめでとうございます。

昨年は12月はなかなかブログの更新ができませんでしたが、今年もなるべくブログ更新をしていこうと思います。

いつもは顧問先の社長さんなり、総務経理の担当者さんから質問されたりしたことや、実際に私が経験したことなどをもとに書いているわけですが、今日はちょっと違う視点から書いていこうと思います。税理士の先生や税理士事務所の職員の方からいただいたことのある社会保険の月額変更にかかわるご質問について書いていこうと思います。

まず、以前にこんなご質問を税理士の先生からいただいたことがあります。

月給の方の月額変更というのはわかるのですが、時給者の場合、毎月、給与が変わりますよね?月額変更はどうやればいいのですか?

時給者や日給者の場合、確かに毎月の給与月額は変わります。この場合、どのように考えればいいのでしょうか。月額変更には原則的なルールが三つあります。

(1)昇給または降給等により固定的賃金に変動があった。
(2)変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
(3)3カ月とも支払基礎日数が17日以上である。

原則的にはこの3つです。このうちの(1)にかかわる部分の話です。つまり、「固定的賃金」という言葉の意味です。月給者の場合には、基本給や毎月変動のない手当になりますが、時給者の場合、時給単価ということになります。

時給単価に変更があってその月から3か月でみて2等級以上変動があることということになるわけです。

したがいまして、時給単価は変わらずに単に時間数が増えたために給与が上がった場合にはそもそも「固定的賃金」に変動がないことから対象にはなりません。

ただ、時給単価が変わらなくても、たとえば、引っ越し等によって固定的賃金の通勤手当があがって、時給単価に変更がないものの時間数が増えたために給与が上がったような場合には「固定的賃金」の変動があり、2等級以上の変動があるとなると時給単価に変更がなくても月額変更にはなります。

さて、次のご質問です。

標準報酬の上限にかかる場合、1等級だけでも月額変更しないといけないのでしょうか。

これは、たとえば月額130万円の報酬が140万円に変更した場合、健康保険の等級でいうと49等級から上限の50等級に変更となります。この場合、1等級しか変わっていないことになりますが、このように標準報酬の上限に係る場合、月額変更として扱います

もちろん固定的賃金の変更があって、支払基礎日数が17日以上あることが前提ですが、上限に係る場合には1等級であっても月額変更とします。

そうすると、厚生年金は上限の標準報酬が650千円です。650千円にかかる場合1等級の変動でも月額変更かというように考えるかもしれません。

たとえば、給与が63万円が66万円に変わった場合、等級は620千円から650千円にかわります。この場合、確かに1等級のみの変更で、標準報酬の上限に係る給与の変更ですが、これは月額変更というわけではないです。健康保険の等級は650千円の上があります。ですから、この場合には健康保険の標準報酬で見て2等級以上ということになります。たとえば、給与63万円の方が68万円になると、健康保険の等級が620千円から680千円と2等級変わるため月額変更に該当します。この場合、厚生年金は620千円から650千円になるだけで1等級しかかわらないことになりますが、月額変更に該当するということです。

自社で給与計算をやっている会社さんのほかにも税理士の先生も給与計算を行うことが多いため、どうしてもこうした月額変更にかかわる事務処理にかかわってきます。上記のような論点は、税理士の先生でも考えてしまうような論点なわけです。

参考にしていただければと思います。



以前に法人の代表者変更をした時の届け出の話をしました。

今回は法人の所在地の変更があった場合の税務、社会保険、労働保険などの届け出について書いていこうと思います。

法人の所在地変更の届け出関係は実は少し複雑です。

所在地の変更がどこからどこに変更したかによって、どこに届け出をするのかが変わってくるからです。税務署、年金事務所、労働保険など、統一性はないためちょっと、やっかいです。順番に見ていきましょう。

まず、代表者の変更と同じ点があります。それは、登記所への届け出を一番最初にすべきということです。登記所に届け出をして、本店所在地変更後の謄本を添付して様々な手続きをしていくという流れになります。

まず、登記の変更についてです。

本店所在地の登記の変更は登記所の管轄内の届け出か、管轄外への届け出かによって手続きの仕方が異なります。登記所にはそれぞれ管轄区域があります。管轄登記所の変更がない所在地変更と登記所をまたがって別の登記所への所在地の変更とで手続きの仕方が違ってくるわけです。管轄が変わると手続きが変わるというのは役所側の発想といえばそうなのですが、この管轄内の移転か管轄外の移転かという点は、本店移転の手続きを通して気にしないと手続きができない点ですから、まずはそこを気にするという点を頭に入れておきましょう。

登記所の管轄内の移転であれば手続きはそれほど難しくはありません。議事録等を添付して所在地の変更の手続きすればいいだけなので、以前に解説した代表者の変更とそれほど大きな違いはありません。もし管轄区域内の移転であれば、法務局の出している記載例などを参考にして議事録を作ってみてください。

ちょっと面倒なのが、管轄外への移転の場合です。管轄区域外への移転の場合、流れとしてはまずは移転前の登記所に移転する旨の議事録を添付して移転する登記をします。いったん移転前の登記所で登記をするわけです。そのうえで、移転した後の登記所に改めて登記されている内容の届け出をするという流れになります。登記されている内容というのは、「商号」(会社名のことです)「所在地」「目的」「資本金」「取締役の名前」・・・といった登記されている事項のすべてを新しい登記所で改めて登記しなおすわけです。

これだけでもなんだか面倒な感じがするかもしれません。

移転前の登記所に移転する議事録を添付し、移転しておいてから、新しい登記所登記事項のすべてを登記しなおす。その流れをまずは知っておきましょう。

そのうえで、この移転前と移転後の書類のすべてを移転前の登記所に出します。移転前・移転後、それぞれの登記所に書類を出すわけではないという点も注意点です。

新しい登記所では印鑑の登録もされていませんから、印鑑届も移転後の登記所への書類に添付が必要です。

移転前の登記所でこれらの書類をチェックして移転後の登記所へ書類を送付するようです。そのため、管轄外への移転の場合、登記完了までが通常よりも少し時間がかかります。

時間がかかるという点も知っておいたほうがいいでしょう。

さて、登記所の手続きが終わったとします。その後は税務署、都道府県税事務所、市町村、年金事務所、労働保険、雇用保険とそれぞれ手続きしていきます。

まず、税務署ですが、これは税務署の場合も管轄をまずは確認してください。管轄の税務署が変わらないのだったら同じ税務署ですから「異動届」をその税務署に出せば終わりです。問題なのは税務署の管轄が変わる場合です。

この場合には、異動前の税務署に「異動届出書」を提出します。異動後の税務署には提出しなくてもいいです。この際に、登記簿謄本の提出は不要です。税務署への届け出は添付書類がいらないという点は、本店移転の手続きを通じて特徴点かもしれません。

次に、都道府県税事務所と市町村への届け出です。こちらは異動前・異動後の両方の都道府県税事務所・市町村に「異動届出書」を提出します。

ただし、東京都の場合、異動前の納税地に異動届を出せばそれでいいことになっています。また、都のHPによると異動後の納税地に出しても問題はないということです。

東京都の都税事務所の場合には異動前か異動後かどちらかの都税事務所に異動届を出すようにします。

税務署と異なり、都道府県税事務所や市町村への異動届は移転後の登記簿謄本の写しの添付が必要となります。忘れずに添付しましょう。

そして、社会保険の手続きです。

税務署や都道府県税事務所などと同じく、まずは年金事務所の管轄を確認しましょう。管轄内での移転だったら簡単です。「適⽤事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」を出せばそれで終わりです。

では、管轄外の移転だったら移転前と移転後のどちらの年金事務所に届け出をしたらいいのでしょうか。

これは移転前の所在地の管轄の年金事務所へ「適⽤事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」を出すことになります。

年金事務所への本店移転の届け出は「事実発生から5日以内」となっています。しかし、登記簿謄本を添付しなければならないことから5日以内というのは実質的には難しいでしょう。実務上は登記が完了したら早めに届け出を出すということになるだろうと思います。

最後に労働保険(労災保険・雇用保険)の手続きです。

労災保険と雇用保険の手続きは労災保険の手続きが先になります

まず、同一の都道府県内の移転の場合です。

同一都道府県内の移転の場合、管轄の労働基準監督署が変わるか、変わらないかで分かれます。管轄の労働基準監督署が変わらなければ簡単です。「労働保険名称・所在地等変更届」を移転後10日以内に提出します。ただし、登記簿謄本かもしくは賃貸借契約書など、事業実態のわかるものを添付する形です。登記簿謄本でなくてもいいことから、他に所在地移転のわかる書類があればそれで手続きしてもいいでしょう。登記簿謄本を添付するのなら、登記が完了した後の手続きになります。10日以内だと間に合わない可能性がありますが、その場合にはなるべく早めに出すようにすればいいでしょう。

同一都道府県で労働基準監督署が管轄外の移転の場合には、移転後の労働基準監督署に労働保険名称・所在地等変更届」を出します。

この場合も変更後の登記簿謄本もしくは賃貸借契約書を添付して提出します。労働基準監督署の管轄の変わる本店移転の場合、新しく労働保険番号が振られます。労働保険番号は以前のものは使えませんのでその点は注意しましょう。

そして、意外と面倒なのが都道府県をまたいだ移転の場合です。

前提として、営業所は本店所在地のみだったとします。

都道府県が変わると管轄の労働基準監督署はもちろんですが、監督署の一つ上の役所である労働局も変わります。管轄の労働局が変わる場合、手続きとしては旧本店所在地の都道府県の労働保険関係をいったん廃止して、新しい都道府県で新たに労働保険に加入するという流れになります。つまり、移転前の都道府県では労働保険料精算をして廃止をするわけです。移転後の都道府県では、「労働保険名称・所在地等変更届」で対応するのではなく、「労働保険関係成立届」と「概算労働保険料」の申告という形でまったく新しく事業を始めるのと同じ手順で手続きします。労働保険の場合、都道府県が変わる移転は意外と面倒なんです。

さて、労働保険の手続きが終わったら今度は雇用保険です。雇用保険の本店移転は、変更のあった日の翌日か10日以内に「雇用保険事業主事業所各種変更届」を、事業所の所在地を管轄するハローワークに提出します。これも雇用保険の管轄を確認して管轄に変更がなければこの届け出を出せばそれで終わりです。

ハローワークの管轄が変わる場合、これは移転後の所在地を管轄するハローワークへ「雇用保険事業主事業所各種変更届」を出します。この際に、「労働保険名称所在地等変更届」の控と本店所在地の確認書類を添えて、事業所の所在地を管轄するハローワークに提出します。労働基準監督署と同じく、賃貸借契約書であれば登記が終わってからということはないのですが、登記簿謄本を添付して本店の所在地変更の届け出をする場合、やはり登記が完了してからの手続きとなります。

また、労働保険の「労働保険名称所在地等変更届」の控えを添付することが必要なことから、労働保険の手続きも終わらないと手続きできません

それから、上記の労働保険は雇用保険の手続きは一元適用事業(労災と雇用保険が一体となっている場合)を前提としています。建設業などの二元適用事業の場合には、労災保険については、移転後の所在地を管轄する労働基準監督署に「労働保険名称、所在地等変更届」を提出し、雇用保険については、移転後の所在地を管轄する公共職業安定所に「労働保険名称、所在地等変更届」及び、「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出することになります。

いかがでしたでしょうか。

本店移転した場合の手続きはなかなか複雑だと思います。

ちなみに、このブログでは支店等の複数の営業所があることを前提とせず、本店所在地のみに営業所がある場合を前提に進めましたので、その点、ご承知いただければと思います。

ということで、今日は本店移転をした場合の手続きについての話でした。



今日はまた最近、私の顧問先でもあった話です。

基礎年金番号がわからなくても社会保険の加入や喪失などの手続きができるのかという話です。

社会保険の手続きには以前は「基礎年金番号」が必須でした。

そのことはこのブログでもかなり以前に書いています。↓

このブログを書いたときは上記のような取り扱いで、原則、基礎年金番号が不明だと原則的には手続きできませんでした。ですが、この後、マイナンバー制度の普及に伴い、平成30年3月以降の届け出については、原則、マイナンバーがわかれば基礎年金番号が不明であっても手続きができるようになりました

マイナンバーの記載をして紙で社会保険の手続きを年金事務所に提出する場合には、その手続きの対象者のマイナンバーカードの写し、もしくは、マイナンバー通知書の写しと免許証等の本人確認書類の写しの提出も必要となってきます。

いまだに上記の「基礎年金番号が不明な場合の社会保険の手続きはどうするのか?」という私のブログを参照されている方が一定数、いらっしゃるようなので、このページをご覧になった方、気を付けてください。現在は変わっています!基礎年金番号が不明でもマイナンバーだけで手続きできるようになっています!!

それから、電子申請だと、マイナンバーカード等の添付書類も不要になっています。その意味でも、電子申請で手続きすることをお勧めします。

マイナンバーでの手続きが主になっているということは、日本年金機構の下記のページも書いてあります。ぜひ、参照してみてください。

https://www.nenkin.go.jp/service/mynumber/1224.html