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Category Archives: 税務関連

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現在の朝ドラは「舞い上がれ」です。空へのあこがれからパイロットを目指し航空学校を卒業した主人公が、父が急死したとことで、父が経営していたネジ工場を向上を引き継いだ母とともに立て直すという展開になっています。この中で、ねじ工場を投資家の兄に売却し資金を得てその資金で会社の立て直しを図るという話が登場してきます。これはいわゆる「セールアンドリースバック取引」と呼ばれるものです。今日はその概要を見ていきたいと思います。

 

いわゆる「セールアンドリースバック取引」とは何なのでしょうか?

簡単に言えば、今持っている土地や建物などの不動産は、見た目には手放さないまま売却(もしくはリース)している形にして資金を得て、貸主には毎月返済していくという取引のことを言います。つまり、見た目は不動産を今まで通りに使っていても問題はないのに、資金は得ることができるという非常に便利な取引なわけです。

 

これに似たものとして「リバースモーゲージ」というのがあります。「リバースモゲージ」は「セールアンドリースバック」との違いに注目すれば何なのかが理解できます。

大きく違う点は「資産の売却をしているかどうか」です。資産自体は売却する(所有権は手放す)のが「セールアンドリースバック」であるのに対して、「リバースモゲージ」は資産の売却はせず、資産を担保にしてお金を借りるという点です。お金を借りるというのが「リバースモゲージ」の特徴であるため、そのことから資金使途は事業資金などに制限されます。一方で「セールアンドリースバック」取引は資金使途に制限はありません。

 

さて、今日はこのセールアンドリースバックはどのように経理処理されるのかという話をしたいと思います。

 

「セールアンドリースバック」というのは名前からしても「リース取引」の一形態です。資産はいったん売却するという取引と、それとは別にお金を借りるという取引と、二つの取引を同時に行うものになります。二つの取引を別々に処理していけば、それほど難しくはないと理解できるはずです。

 

問題なのはこの「セールアンドリースバック」は取引形態によって主に二つの会計処理に分かれるということです。実は会計基準と税務処理とで微妙に考え方が違うのですが、少し税務寄りにここでは解説していきます。今日はごく簡単にこの概要を以下で説明したいと思います。

 

まず、リース取引には主に「ファイナンスリース」と「オペレーティングリース」の二つがあります。「ファイナンスリース」に該当するかは主に次の二つです。

①途中解約不能

②フルペイアウト

 

上記のうち①はいいと思います。リース契約の途中での解約はできない取引です。②のフルペイアウトというのは、たとえば固定資産税など、その物件にかかる経費負担をしているかどうかです。固定資産税を払っているのであればリースといっても実質的に所有権は残っているものだと判断されるわけで、それを「フルペイアウト」と呼びます

この①と②の要件を満たしていれば「ファイナンスリース」で、どちらか片方(もしくは両方)満たしていないのであれば、「オペレーティングリース」になります。

 

では、次にファイナンスリースとオペレーティングリースで取引がどう違うのか、簿記の仕訳で見ていきたいと思います。簿記がよくわからない方はここはざっと見ていただければ結構です。

 

ファイナンスリースの場合

<売却損の場合>

(預金)40000  (建物)50000

(売却損)10000

(長期前払費用)10000 (売却損)10000

<売却益の場合>

(預金)60000  (建物)50000

         (売却益)10000

〇オペレーティングリースの場合

<売却損の場合>

(預金)40000  (建物)50000

(売却損)10000

<売却益の場合)

(預金)60000  (建物)50000

         (売却益)10000

 

税務と会計が一致していないのですが、一応、ここでは税務上の考え方で処理していくこととします。

売却の場合に損が出たときは一度に経費計上はできません。リース期間で案分して費用に計上していくことになります。一方で、売却益が出た場合には、税務上は一括で収入に計上することになります。(会計の考え方だと、一度に収入に計上するわけでなく、いったん「長期前受収益」にしてリース期間に応じて収入計上することになります)

また、オペレーティングリースでは、売却時の差額は売却損か売却益かどちらかで処理することになります。

 

さて、上記は売却時ですが、次はそのあとはどうなるかです。

〇ファイナンスリースの場合

(リース資産)40000  (リース債務)40000

毎月の返済時

(リース債務)800  (預金)1000

(支払利息)200

〇オペレーティングリースの場合

毎月の返済時

(リース料)1000  (預金)1000

 

ということで、ごく簡単にしましたが、ご理解できましたでしょうか。

 

それから、消費税のことも少しふれておきます。消費税については売買取引と判定され場合には、売却価額が課税売上になります。一方で、金融取引とみなされた場合には、売却額は借入金と同じとみなされ、消費税は発生しないことになります。

売買取引か金融取引かについては、当事者間の関係やリース資産の内容等から総合的に判断されます(これは法人税基本通達12の5-2-1に載っている話となります)。

また、ファイナンスリースの場合には返済する際には、リース債務の返済や支払利息であるため消費税は関係しないのですが、ファイナンスリースの場合には支払額全体がリース料となるため、消費税は仕入れ税額控除できることになります。

 

ファイナンスリースなのか、オペレーティングリースなのかによって、会計処理や消費税の処理の仕方がガラッと変わります。これをお読みいただいているのが中小企業経営者の皆さんやその経理担当者だとしたら上記のような処理をするのだとざっくりとまずは理解しておいていただければと思います。

 

さて、朝ドラ「舞い上がれ」に出てくる工場をお兄ちゃんに売却するという話ですが、話の概要からすると、おそらくですが、セールアンドリースバック取引のうち、ファイナンスリース取引なのではないかと思います。お兄ちゃんが社長であるお母さんに「1度でも返済が滞ったらすぐに売りに出すからな」という趣旨の発言をしていることから、たぶん所有権自体はお兄ちゃんにわたっているのではないかと思われるからです。

ただ、このお兄ちゃんが将来的に社長になってこのねじ工場を継いだとすると社長個人に返済するという話になるわけです。その場合、例えば会社の状況が好転したら会社の資金でお兄ちゃんへの借入をいったん返済するというのもアリなのではないかと思ったりするわけです。お兄ちゃんがお父さんの遺志を継ぎ、ねじ工場を引き継ぐなんて話はどうなんでしょうか。

「舞い上がれ」は今後どのように展開していくのか見ものですが、このセールアンドリースバック取引をした工場はどうするのかも注目していくと面白いかもしれません。

 

以上、今日は朝ドラ「舞い上がれ」から見る「セールアンドリースバック取引」のお話でした。



今日はこの令和5年1月1日から改正のあった実務上の取り扱いの話です。

引っ越しなどの納税地の移動があった場合の話です。

 

従来、引っ越ししたりして納税地に変更が生じた場合、その異動前の納税地の所轄税務署長に対し、「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を提出しなければならないこと とされていました。

 

これが、令和4年度税制改正に伴い、納税義務者が納税地を異動又は変更した場合の手続に関して見直しが行われ、異動後及び変更後の納税地については、国税当局において、提出された確定申告書等に記載された内容等から把握可能であることを踏まえ、令和5年1月1日以後は、「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」について、その提出が不要とされました

 

令和5年1月1日以後に納税地の異動又は変更がある場合には、納税地の異動や変更がある場合は、異動後の納税地を所得税又は消費税の申告書に記載することでいいことになったのです。

我々納税者にとっては手間が一つ省けて少し楽になる改正といえます。

 

ちなみに、納税地の変更と異動は言葉の意味としては同じような意味ですが、税務上の届け出の際には違う意味として取り扱われています。

 

納税地の変更」は、主に所得税(個人の消費税)の場合、住所地を居所地に変更する場合や、 住所地又は居所地だった納税地を事業場等の所在地を納税地とする場合、あるいは、居所地又は事業場等の所在地だった納税地を住所地を納税地に変更する場合などに使われるものです

一方で、「納税地の異動」は、転居等により納税地に異動があった場合に納税地が変わることを言います。

つまり、引っ越しして納税地が変わるというのは「納税地の異動」になります。

 

また、「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」について、提出することにまったく意味がないわけではありません。

たとえば、税務署から送付される書類は届け出を出しておけば原則としては届け出を出した納税地に送られてくることになります。

税務署からの書類の送付がされないと困る場合は届け出を出しておくというように考えていただければよろしいのかと思います。

 

ということで、今日は納税地の異動・変更の場合の届け出の話でした。



今日は私の顧問先からも何度かご質問いただいている出張に行った際の日当手当について書いていきたいと思います。

 

私の顧問先からときどき「出張に行った際の日当を会社からもらってもいいんですよね」「出張に行った場合の日当は1日いくらまでだったら計上していいのでしょうか」といったことを聞かれます。

こうしたご質問をされると私は多少の違和感を覚えるわけですが、そもそも「出張の日当」というのをこうしたご質問をされる中小企業の会社経営者はどのように理解されているのかを自分なりに整理してみました。だいたいこんな感じなのでしょうか。

 

〇出張旅費というのを規定すれば従業員であろうが役員であろうが1日当たり〇〇円で計上できる。

〇役員の場合には従業員よりも多く日当の計上が可能である。

〇1日当たりの日当の金額には税務上、認められる金額の範囲がある。

〇会社側は領収書もなく経費計上できて、もらう側の役員や従業員は非課税となる

〇認められうるぎりぎりの金額で計上して1年分を計上しても損金計上できる

 

だいたい、こんな感じで認識されているのだと思います。

要するに、出張の日当というのが中小企業経営者にとって都合のいいもので、節税に利用できるものだというような認識なわけです。

 

インターネットで「出張日当 相場」とか検索をすると複数のサイトで1日いくらくらいだったら認められるとか言ったことが細々と書かれているサイトも存在します。ですが、皆さんにくれぐれも認識していただきたいのはそもそもそのような金額に、税務上、法令の根拠となるものはないということです。

おそらくこうした金額はどこから算定しているものなのでしょうか。これは、一つは過去の出張の日当について争われたいくつかの税務訴訟が根拠になっています。あとは、いわゆる社会通念(世間一般の常識的な認識)から、だいたい国内だといくら、国外だったらいくらという一般的に旅費にかかるお金を判断基準としているようです。

 

世間一般の相場観というのも大事なのですが、ちょっとあいまいな部分もあるので、ここでは過去の税務判例の裁決事例というのを参考に「出張の日当」についての妥当性を考えていきたいと思います。

 

題材にするこの事例は期末に出張の日当を期末に一括で計上したことが否認された事例です。こんなことが裁決で書かれています。

「原告は、旅費支出につき従来実費支給制度をとっていたところ、係争事業年度末に旅費規程を制定してこれを定額支給制度に改め、原告代表者〇〇〇〇にかかる旅費につき遡及して新規程を適用し、期末に一括計算して右未払金を計上したものである。

しかし旅費というものは本来実費により支給されるべきものであり、(但し、旅費規程により定額制を定め、それによっている場合でもそれが本来の実費弁償に代るものとして社会通念上妥当な合理的基準に基づき算定されているならば、実費との間に多少の過不足があっても会社からみれば必要経費として認められるべき性質のものである。)右のように期末に一括計算して未払金処理をすること自体不自然なものであるのみならず、原告には出張命令簿、復命簿等証拠書類の備付もなく、右未払金の計上は期末において記憶等により旅費精算書用紙に一括記入したものに基づくものであり、出張事実の存在自体不確実なものである。」

 

この事例は、なんと昭和35年というかなり古い事例です。かなり以前から争いになるケースが多いということなのでしょう。

上記の裁決例の途中の文言に注意してほしいのですが、「旅費というものは本来実費により支給されるべきものであり、(但し、旅費規程により定額制を定め、それによっている場合でもそれが本来の実費弁償に代るものとして社会通念上妥当な合理的基準に基づき算定されているならば、実費との間に多少の過不足があっても会社からみれば必要経費として認められるべき性質のものである。)」とある点です。要するに、日当旅費が認められるのは実費精算したとしても違いがあまりないケースだと言っているわけです。

 

さらに、この裁決事例では、このあと公務員の出張旅費との比較に言及しています。

「そもそも旅費は職務を遂行するに通常必要な旅行をなした場合にその旅行実費を弁償するために受けるものである。

国はもちろん地方公共団体、企業等の旅費支給者の多くがいわゆる定額旅費制度を採っているのは、旅行経路、利用交通機関および宿泊施設等について個々にその実態を把握したりその実費費用を計算したりすることの困難煩累であるところから合理的な根基により社会通念上の実質に近い定額を予め規定して事務的手続を簡素化する趣旨によるものである。そこで税務の執行面においては、右定額が本来の実費弁償に代えて社会通念上妥当な合理的基準に基づき算定されているならばその定額と旅行実費との間に若干の過不足があってもそれは僅少の差に止まるであろうから社会通念および課税技術上敢えてその過剰分については課税を行わないわけである。

税法は、非課税所得としての旅費額の範囲あるいは損金として認められる限度については直接これを規定していないが、それは当該会社の規模、業態及び業績その他の諸状況からみて当該会社の業務遂行上通常且つ必要なものであると一般に観られる程度のものでなければならないのである。」

 

少し長いですが、引用したのは出張旅費が認められる根拠についてきちんと書かれているためです。要するに、出張した際にかかる様々な経費、たとえば食費であったり、電話代などの通信費、宿泊を伴えば宿泊費や朝食代など、様々なものがかかります。これらをいちいち計算して精算するのは煩雑であるために「日当」を認めると言っているわけです。こうした趣旨から実費精算した場合と日当の額に大きな差異がないことが条件だと言っているわけです。

 

また、公務員の日当手当が日帰りなのか、宿泊なのかとか、距離によって分けていたりといったことをしていることからこうした基準を設けて、代表者なら1日いくらまでなら認められるといったことを細かく書かれているサイトもあるようです。

しかし、上記のような裁決事例などからすると、いくらまでならいいと言い切れないと思います。つまりは、日当の金額の根拠もあいまいだということです。

 

これらのことから、私としては「日当旅費手当」ではなく実費精算をして、従業員であれば〇〇手当という形で給与にして支給するのが、まずは正攻法ですがいいのかなと思います。そのうえで「日当旅費手当」をどうしても計上したいということであれば、以下のような点に留意して取り扱う必要があるだろうと思います。

〇「日当手当」は通常かかる旅費や滞在費、食費等の実費を考慮し、その実費と大きな違いのない形で金額設定すること

〇宿泊の有無、距離、飛行機や新幹線などの公共交通機関のどれを使用したのかといった点を考慮した設定とし、たとえば宿泊費や交通費を実費精算を別にしている場合には、それらを控除した金額設定にする必要があること

〇可能ならば就業規則などで「出張旅費規程」を作成し、労基署に届け出をして受領印をもらえればなおよいであろうこと

〇旅費について、どこでどんな活動(業務)をしたのかというのを書いた滞在日誌のような記録をきちんと残しておくこと

〇日当手当の精算は決算時に年1回のような処理ではなく、随時処理をし、決算時に節税目的の調整のような行為が行われる余地がないようにするこ

 

思いつく範囲で書いてみると、上記のようなことがあげられるだろうと思います。

 

「日当手当」のすべてが否定されるわけではないとは思います。ですが、実費精算できるのであればまずは実費精算すべきと思います。そのうえで、日当を出す場合には、まずは規定を作り、その通りに運用すること、お金は後でまとめてではなくその都度精算していくこと、そしてできれば適宜、金額について見直しを加えることなどに気を付けてはいかがかと思います。

 

ということで、今日は「日当旅費手当」についての話でした。



さて、今日は昨日、マスコミにも報道されたインボイス制度の話です。

 

自民党の税制調査会というのが通例としてこの時期に政府に対しての意見の取りまとめを行います。通常、12月中には自民党の税制調査会の意見を政府に提言することになっています。

この自民党の税制調査会の意見というのがそのまま税制改正に反映されることが多いため、税理士など税務にかかわる実務家もこの自民党の税制調査会の意見がどんな意見が出るのかをこの時期は特に注意深く見守っているといった状況なわけです。

 

さて、その自民党の税制調査会から出てきたのがインボイスのいわゆる「激変緩和措置」といわれるものです。免税事業者がインボイス制度の導入にあわせて令和5年10月1日から課税事業者になる場合、売上高の税額の2割を納税する形の制度を導入しようという話が出ています。

 

私もこの話をNHKのニュースで聞いて知ったのですが、正直、椅子から落ちそうになるくらいびっくりしました。

売上の2割にするということは、売上が1000万円を超えない事業者の場合、例えば売り上げが800万円の事業者だと、80万円の消費税を預かるわけですが、その80万円の2割、つまり16万円を納税すればいいという話となります。

現在もある簡易課税を選択したとすると、サービス業の場合、売上の50%なので、このケースだと40万円の納税額になるものが16万円で済むわけです。この違いは大きいですよね?

 

インボイス制度に伴って、現在、免税事業者になっている方は課税事業者になった方がいいのか、免税事業者のままがいいのか、正直迷われている方も多いかと思います。

ですが、この制度があるのだとすると、少し緩和されることは間違いなさそうです。

 

ただ、この制度、報道によれば、3年程度の時限的な措置で検討しているということなので、いずれは通常の方法で納付していくことにはなりそうです。

 

この制度を使う場合、届け出はどうするのかとか、すでに簡易課税を出してしまっている場合には適用できないのかとか、いろいろと疑問点はあるわけですが、それらはこれから詰めていくという話なのだろうと思います。

 

いずれにしても、一つ言えるのは、インボイス制度に関しては導入することは決まっているものの制度の詳細はまだ動きはありそうです。そうした動きを注視しながら届け出を出していく形でも遅くないのかなと個人的には思います。

 

以上、今日はインボイス制度の話でした。



さて、今日は8月1日に国税庁から出された事業所得と雑所得についてのパブリックコメントについてです。

パブリックコメントというのは、法令などの解釈通達などを改正する際に、広く一般に意見を求める手続きのことをいいます。

今回のパブリックコメントについては、事業所得と雑所得の区分について、次のように取り扱うことについてです。

 

事業所得と業務に係る雑所得の判定について、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すること、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が 300 万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱う

 

上記のよう事業所得と雑所得の区分についての所得税の解釈を変えるようにしたいのですがどうでしょうかと意見を広く求めているということです。意見募集期限は「8月31日まで」となっています。

さて、今回の通達改正の特徴ですが、それは副業の収入の基準として年間300万円という金額の基準を設けたことです。これで今まで事業所得と雑所得の区分が不明確だったのがある程度、金額で明確化されるということです。

ただし、「社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すること」という「総合的な判断」が前提としてあるという話なので、従来からの事業所得と雑所得の判定基準が全くなくなるわけではないのですが、基本的には、以下の3つで判定するとしています。

  • 主たる所得でない(副業である)
  • 収入金額が300万円以下
  • (納税者による)反証がない

この3つがそろったら、事業所得ではなく雑所得(業務)と判断しますという話です。

これまでも実務上、事業所得なのか雑所得なのかというのは実務上の悩ましい問題としてありました。たとえば、サラリーマンが副業をしたとします。このサラリーマンが趣味で副業をやっていたことを事業所得として申告したとします。事業所得は赤字だったりするとそれが給与所得と通算できます。そうなると、給与所得で出ていた税金を事業所得の赤字と通算して還付できるということになります。

事業所得が赤字だとほかの所得と通算ができるため、他に所得があれば税金が減らせます。ところが、雑所得と判断されるとそこで赤字になっても他の所得とは通算ができないことになります。サラリーマンの副業が年間収入300万円以下のため雑所得と認定されると毎年、赤字を通算していたのが通算できなくなるということになるわけです。

また、事業所得が赤字の場合だけでなく、事業所得が黒字であったとしても問題が出てくることがあります。たとえば、副業をしているサラリーマンが事業所得を青色申告でやっていたとします。毎年、この副業は黒字であったものの、青色申告特別控除を使っていたとします。仮に事業所得でないと判定されるとすると、青色申告特別控除が使えなくなるという問題が生じてきます。

 

つまり、サラリーマンの副業の年間収入300万円以下だとすると、赤字であれ、黒字であれ、雑所得と認定される可能性があり、影響が出てくるわけです。

 

同じようなことが例えば庭先で野菜を作っている農家にも当てはまります。この農家はたとえば不動産所得などの主たる所得があり、庭さきでやっている農業の所得は毎年、赤字となっていたとします。この赤字の農業所得は黒字の不動産所得と通算して税金を減らしていたりするわけです。こうしたケースも庭先で野菜を売っていたのが副業とみなされれば、上記のサラリーマンの副業と同様に雑所得と認定され、損益通算できないという問題が出てくる可能性があります。

このように、実務でも、事業所得なのか雑所得なのかは区分が曖昧で、たびたび議論となっていました。そのため、今回の通達の改正はここを明確にしようとする意図があるわけです。

 

なお、この通達案の取扱いは、「令和4年分以後の所得税について適用します。」とあることから、この案のとおりとなれば早速、来年の確定申告から影響が出る話となります。改正となれば関係する人も多いでしょうから、決して影響は小さくない話です。今後の動向に注意が必要といえます。

 

以上、今日は事業所得と雑所得の話でした。



だいぶ久しぶりのブログ更新となりました。

今日は顧問先の皆さんからのご質問から印紙の話を書いていこうと思います。

 

当院では、数回の治療分をまとめて最初に代金をいただくことがあります。その際に5万円を超える金額になることがあります。前にどこかで印紙は貼らなくていいと聞いていたことがあった気がしましたし、以前に勤務していた接骨院でも印紙を貼ったことがありません。ところが、領収書を発行したところ、ある患者さんから印紙が貼られていないという指摘を受けました。印紙は貼らないといけないのでしょうか。

 

このようなご質問をいただきました。さて、印紙は貼らないといけないのでしょうか?

 

印紙税法では、売上代金についての金銭又は有価証券の受取書(領収書)については、原則として、印紙税が課税される、つまり、印紙を貼らないといけないこととされています。ただし、ここには例外があって、その記載金額が5万円未満の受取書については、印紙税は非課税とされています。この5万円というのは領収書に記載されている金額です。消費税抜きの金額なのかというご質問をいただくことがありますが、税抜きとか税込みとかは関係なく記載されている金額を5万円以上なら印紙を貼らないといけないとされています。

 

一方で、印紙税法では、売上代金についての領収書で、その記載金額が5万円以上のものであったとしても、「営業に関しない受取書」については、印紙税は非課税とされています。

その「営業」とは、営利を目的として同種の行為を反復継続して行うことをいうとされています。ただし、医師等の行為については、その職業の本来あるべき姿や、専門的技術・知識を有する個性的特徴を持つ職業であることから、印紙税法上の営業行為には該当しないと解されています。

この「医師等」の範囲には、医師のほか、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、保健師、助産師、看護師、あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、獣医師等が含まれることとされています。

要するに、国家資格者の発行する領収書は印紙を貼らなくていいということになるわけです。

 

これとよく比較されるのが、セラピストや整体師です。セラピストというのは国家資格ではなく、民間の資格です。また、整体師というのは資格というもの自体がありません。こうした一定の国家資格ではない人が発行する領収書は通常通り、印紙税は課される(印紙を貼る)対象となります。

 

また、ちょっとややこしいのですが、たとえば柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師・はり灸師が整体を行って料金をもらう場合、これはあくまでも「医師等」の行為であることから、印紙税は課されない(印紙は貼らなくていい)ということになります。

 

一定の資格があるのかないのか、ここが判断基準となります。

 

ということで、今日は柔道整復師等の治療院の印紙の話でした。



今日は久しぶりにブログの更新をします!

最近、私の顧問先にも銀行に行かずに納税する「電子納税」をお勧めしています。

その「電子納税」というのはどうやってやるのか、やり方をご紹介していこうと思います。

 

 

まず、電子納税の前に、税金は支払先という観点から分類すると、大きく二つに分けられます。一つは「国税」、もう一つは「地方税」です。支払先が国なのか、都道府県・市区町村の地方自治体なのかによって分けられます。

電子納税についても、この「国税」と「地方税」でやり方が大きく異なります。

今日はまずは「国税」のe-tax(イータックス)について説明していこうと思います。

 

「国税」にはどんな税金があるのでしょうか。

代表例が、所得税です。個人の所得税のほか、給与や報酬の源泉所得税もあります。また、法人税や地方法人税も国税です(名前は「地方」法人税ですが、国税です)。ほかにも、消費税や相続税・贈与税などが代表的な国税です。

 

これらの税金を納付する場合、納付書を使って銀行や郵便局などで支払う方法ではなく電子納税する場合、主には4つのやり方があります。

ダイレクト納付、インターネットバンキング等納付、クレジットカード納付、コンビニ納付の4種類です。

 

電子納税する場合には、まずは、利用者識別番号を取得する必要があります。「電子申告・納税等開始届」というのを税務署に提出します。この提出自体をウェブ上からできます。E-taxで検索し、「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」をクリックし、お名前等(法人だったら法人番号等)を入力していきます。利用者識別番号とを取得したら電子納税ができる環境が整います。

 

まずは、電子納税のうち、一番一般的な「ダイレクト納付」です。

ダイレクト納付をする場合にはまず事前に税務署に「国税ダイレクト方式電子納税依頼書」という書類を提出します。書類自体は国税庁のHPからも入手可能です。銀行口座等の必要事項を記入し、税務署へ提出すると、だいたい1か月ほどでダイレクト納付の登録が完了します。

 

また、ダイレクト納付の届け出自体をe-taxでもできます。税務署及び金融機関窓口に出向く必要がなく、ダイレクト納付利用届出書への記入や届出印の押印も不要です。

 

Web上でダイレクト納付の届け出をやる方法ですが、まず、e-taxで利用者識別番号ログインし、メニューの画面の真ん中に「申告・申請・納税」というのをクリックします。その中にダイレクト納付の届け出があります。ここをクリックし、必要事項を記入すればダイレクト納付の口座登録ができます。

 

ダイレクト納付での国税の納付は、現在、国税のすべての税目に対応しており、非常に便利になっています。

 

ただし、ダイレクト納付の場合に注意しないといけないのは、従来は所得税や法人税、消費税といった納付書が申告期限の際に郵送されてきたと思いますが、それが送られてこなくなることです。納付書が来ないと思ったら、ダイレクト納付にしているのではないかと思います。この点は注意点でしょう。

 

次に、インターネットバンキングによる納付です。

インターネットバンキング等による登録方式と入力方式の二つがあります。E-Taxによって申告又は納付情報を登録してその情報によりインターネットバンキング等によって納付を行います。入力方式は直接イン ターネットバンキング等に必要な情報を入力して納付を行います。 インターネットバンキング以外にもATMを利用して納付することもできますが、これはダイレクト納付に対応していない金融機関を利用するケー ス等の場合でしょう。 登録方式は納税情報の登録まではダイレクト納付と同様の手続になります。e-Taxメッセージボックス一覧で納付区分通知を確認 し、インターネットバンキング等で納付を行います。

入力方式の場合には、e-Taxで納税情報登録は必要ありません。ただし、インターネットバンキング等で納付番号や納付目的コード等の複数の内容を入力して行うことになります。そのため、入力方式の場合には登録方式と比べて入力ミスが発生するリスクがあります。

また、インターネットバンキング等での納付の際には振込み限度額がありますので、納付税額が多額の場合には注意が必要です。

 

そして、3つ目のクレジットカード納付です。

クレジットカードでの納付には2つあります。 1つ目はe-Taxを通じてダイレクト納付やインターネットバンキ ング等の登録方式と同様の情報を利用してクレジットカード決済で 納付を行う方法です。 2つ目は、「国税クレジットカードお支払サイト」で直接納税情報を入力して納付を行う方法です。ク レジットカード納付には一定の手数料がかかりますが、クレジット カードのポイントが加算されるのが特徴的です。このため、あえて手数料がかかってもクレジットカード納付を選択される方もいらっしゃいます。また、クレジットカードは、たとえば法人の税金を社長の個人名義のカードで支払うことも可能です。

また、クレジットカードでの納付の際には、クレジットカードの利用限度額があります。そのため、納付税額が多額の場合には利用限度額がありますので注意が必要です。

 

ちなみに、クレジットカード納付の場合の手数料は以下のようになっています。

納付税額・決済手数料(税込)

1円~10,000円 83円

10,001円~20,000円 167円

20,001円~30,000円 250円

30,001円~40,000円 334円

40,001円~50,000円 418円

以降も同様に10,000円を超えるごとに決済手数料が加算

 

最後に、コンビニ納付です。

この方法は正直申し上げまして、私も利用したことがありません。

コンビニ納付の特徴は、e-Taxを利用することなく納付することができることです。

自宅等で作成し発行したQRコードをコンビニに持参して納付を行います。

利用可能なコンビニはローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ (いずれも「Loppi」端末設置店舗のみ)、ファミリーマート(「Fami ポート」端末設置店舗のみ)です。

税務署から交付又は送付されるバーコード付納付書の納付ができるコンビニとは必ずしも一致しないので注意が必要です。

また、納付税額の制限もあり30万円以下の納付税額の場合にのみ利用できます。

 

一般的には「電子納税」というと上記の4つになりますが、銀行の窓口に行かずに納付できるものとして、個人の所得税や消費税の振替納税があります。こちらも振替納税の届け出をすることで利用が可能となります。令和3年1月以降は、e-taxでオンラインでの振替納税の提出も可能となっています。

 

以上が電子納税のやり方です。

私としてはおすすめはやはり「ダイレクト納付」です。手数料もかかりませんし、納付の仕方は非常に簡単です。ダイレクト納付にしないとしてもダイレクト納付の口座の登録だけでもしてもいいと思います。

ダイレクト納付に限らずPCやスマホが使えるのであれば、銀行に行くことなく簡単に納税ができます。便利に簡単に納税ができる「電子納税」について、参考にしていただければ幸いです。

 



今年の確定申告は、3月14日・15日という申告期限間際にe-taxが通信障害で申告できない状態が続き、電子申告ができないというハプニングがありました。「申告はどうすればいいんだろう」と不安に思った方も多いと思います。

さて、その通信障害があった方で、65万円の控除を受ける場合の話を今日はしていこうと思います。

 

事業所得や不動産所得などで青色申告特別控除の65万円の控除を受ける場合、電子申告していることが要件となっています。

そのため、通信障害があって電子申告できないと、この65万円の控除が受けられるのかという疑問があります。

 

国税庁は当初、「先般発生したe-Taxの接続障害が原因で、3月15日までに書面で申告書を提出した場合、令和3年分の所得税について65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、申告書に「e-Taxの障害による申告・納付期限の延長申請」である旨を記載し、改めてe-Taxで提出する必要がありますのでご注意ください。」とコメントを出していました。

期限が3月15日なので、慌てて紙で出した場合には、改めてe-taxで申告が必要となっているわけです。

 

ですが、接続障害があったケースでも様々な対応方法があります。しかし、これらの対応方法によって損得が出てしまうのもおかしな話です。そこで、国税庁はその後、接続障害に対しての対応方法によってその後の対応の仕方が異なることをお知らせとして出しています。

 

まず、接続障害があったため、申告自体を3月15日までにしなかった方は、ある意味、一番単純です。申告書に「e-Tax の障害による申告・納付期限 の延長申請と記載して4月15日までにe-taxで申告すればいいです。これは一番シンプルです。

 

次に、紙で出す場合、青色申告特別控除は65万円ではなく55万円となります。そのため、慌てて紙で出した方で多くの方は65万円の控除を取らずに55万円の控除として申告書を出しているケースも考えられます。

この場合は、改めてe-taxで申告すれば65万円の控除を受けることができます。紙で出していてもあとからe-taxをすればいいのです。これに該当する方は、申告書には「e-Tax の障害による申告・納付期限 の延長申請」と記載して4月15日までに改めてe-taxで申告するようにしましょう。

 

また、国税庁は「令和 4 年 3 月 14 日(月)又は 15 日(火)に、65 万円の青色申告特別控除を適用する申告書を e-Tax で提出しようとしたものの、今回の接続障害のために、当該申告書 (65 万円の青色申告特別控除を適用する申告書)を書面に印刷して提出した方は、改めて当該申告書を e-Tax で再提出していただく必要はありません。」と案内を出しています。紙で出したがその青色申告特別控除は65万円と記載して出したというケースです。この場合にはあとからe-taxの申告をする等のことはしなくていいというわけです。結果、このケースでは何もしなくていいと言っています。

 

接続障害があってご自身がどれを選択したのかによって、事後の対応方法は異なります。ご自身がどれに当てはまるのか、今一度確認してみてください。



さて、本日付で国税庁からコロナ特例を使って振替納税をした場合の振替納税の日時が発表されました。

 

このコロナ特例の申告期限の延長というのは、新型コロナウイルス感染症の影響で期限内の所得税等の確定申告が困難である場合のみに使える申告・納付期限の延長措置のことです。具体的には「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と申告書の上部に記載することでこの延長措置が受けられます

 

通常の申告期限は昨日、3月15日でしたが、その期限までにコロナの影響で申告書が出せなかった方はこの特例を使うことで申告と納付が猶予されます。

詳しくは私の以前のブログ記事を参照してください。

 

https://vanguardwan.com/blog/%e4%bb%8a%e5%b9%b4%e3%82%82%e7%a2%ba%e5%ae%9a%e7%94%b3%e5%91%8a%e6%9c%9f%e9%99%90%e3%81%8c4%e6%9c%8815%e6%97%a5%e3%81%ab%e5%bb%b6%e9%95%b7

 

さて、今日、国税庁から発表されたのはこのコロナの特例を使って申告・納付を延長した場合の振替納税の取り扱いです。

 

通常の申告期限で納付した場合、今年は所得税は4月21日、消費税は4月26日に口座振替になります。

 

これに対してコロナ特例を使って、3月16日から4月15日に申告(消費税については4月1日から4月15日に申告)した場合には、振替納税される日は次のようになります。

所得税 5月31日

消費税 5月26日

 

消費税の方が早い日程になっていますので気を付けましょう。

 

現在、国税の納付方法は実に7種類もあります。(これについてはまた別の機会にこのブログで触れていきます)振替納税もその一つにすぎませんが、所得税や個人事業者の消費税は振替納税を利用されているケースが多いです。日程に気を付けましょう。



さて、私も確定申告作業に追われ、ブログの更新がままなりませんでした。久しぶりの更新です。

 

急遽、申告にかかわる話なのでブログを更新いたします。

3月14日から断続的にe-taxでの申告が通信障害によってできない状況が続いています。

国税庁は急遽、通信障害の場合のe-taxの申告方法について発表しております。

 

e-tax申告の際に、「特記事項」の欄に「e-taxの障害による申告・納付期限延長申請」と記入すれば、申告書の提出日は3月15日とみなされることになっています。

 

これは所得税のほか、贈与税についても同様です。

(消費税については申告期限が3月31日なのでこの通信障害の特例についての記述はないようです)

 

また、紙で申告書を提出する場合についても、申告書の第1表の上部にe-taxの障害による申告・納付期限延長申請」と記入して申告書を提出すればいいことになっています

 

通信障害で申告ができなかった方はe-tax、紙の申告、いずれの場合にも忘れずに対応するようにしましょう。

 

また、電子申告することで青色申告の者が65万円の控除を受ける場合について、次のように書かれています。

電子申告により65万円の青色申告特別控除の適用を受ける場合は、書面の提出はせず、個別の申告期限を延長して、後日、e-Taxにより電子申告をしてください。

慌てて書面で提出することはせず、「e-taxの障害による~」と書いて対応するようにしましょう。

 

また、慌てて紙で出してしまった方については、税務署に聞いてみたうえで改めて上記の方法で電子申告する等、落ち着いて対応してはいかがかと思います。

 

申告期限の日に通信障害が起こるというのは、いまだかつてないことです。ですが、対応方法はありますので慌てずに対処しましょう。


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