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Category Archives: 税務関連


だいぶ久しぶりのブログ更新となりました。

今日は顧問先の皆さんからのご質問から印紙の話を書いていこうと思います。

 

当院では、数回の治療分をまとめて最初に代金をいただくことがあります。その際に5万円を超える金額になることがあります。前にどこかで印紙は貼らなくていいと聞いていたことがあった気がしましたし、以前に勤務していた接骨院でも印紙を貼ったことがありません。ところが、領収書を発行したところ、ある患者さんから印紙が貼られていないという指摘を受けました。印紙は貼らないといけないのでしょうか。

 

このようなご質問をいただきました。さて、印紙は貼らないといけないのでしょうか?

 

印紙税法では、売上代金についての金銭又は有価証券の受取書(領収書)については、原則として、印紙税が課税される、つまり、印紙を貼らないといけないこととされています。ただし、ここには例外があって、その記載金額が5万円未満の受取書については、印紙税は非課税とされています。この5万円というのは領収書に記載されている金額です。消費税抜きの金額なのかというご質問をいただくことがありますが、税抜きとか税込みとかは関係なく記載されている金額を5万円以上なら印紙を貼らないといけないとされています。

 

一方で、印紙税法では、売上代金についての領収書で、その記載金額が5万円以上のものであったとしても、「営業に関しない受取書」については、印紙税は非課税とされています。

その「営業」とは、営利を目的として同種の行為を反復継続して行うことをいうとされています。ただし、医師等の行為については、その職業の本来あるべき姿や、専門的技術・知識を有する個性的特徴を持つ職業であることから、印紙税法上の営業行為には該当しないと解されています。

この「医師等」の範囲には、医師のほか、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、保健師、助産師、看護師、あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、獣医師等が含まれることとされています。

要するに、国家資格者の発行する領収書は印紙を貼らなくていいということになるわけです。

 

これとよく比較されるのが、セラピストや整体師です。セラピストというのは国家資格ではなく、民間の資格です。また、整体師というのは資格というもの自体がありません。こうした一定の国家資格ではない人が発行する領収書は通常通り、印紙税は課される(印紙を貼る)対象となります。

 

また、ちょっとややこしいのですが、たとえば柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師・はり灸師が整体を行って料金をもらう場合、これはあくまでも「医師等」の行為であることから、印紙税は課されない(印紙は貼らなくていい)ということになります。

 

一定の資格があるのかないのか、ここが判断基準となります。

 

ということで、今日は柔道整復師等の治療院の印紙の話でした。



今日は久しぶりにブログの更新をします!

最近、私の顧問先にも銀行に行かずに納税する「電子納税」をお勧めしています。

その「電子納税」というのはどうやってやるのか、やり方をご紹介していこうと思います。

 

 

まず、電子納税の前に、税金は支払先という観点から分類すると、大きく二つに分けられます。一つは「国税」、もう一つは「地方税」です。支払先が国なのか、都道府県・市区町村の地方自治体なのかによって分けられます。

電子納税についても、この「国税」と「地方税」でやり方が大きく異なります。

今日はまずは「国税」のe-tax(イータックス)について説明していこうと思います。

 

「国税」にはどんな税金があるのでしょうか。

代表例が、所得税です。個人の所得税のほか、給与や報酬の源泉所得税もあります。また、法人税や地方法人税も国税です(名前は「地方」法人税ですが、国税です)。ほかにも、消費税や相続税・贈与税などが代表的な国税です。

 

これらの税金を納付する場合、納付書を使って銀行や郵便局などで支払う方法ではなく電子納税する場合、主には4つのやり方があります。

ダイレクト納付、インターネットバンキング等納付、クレジットカード納付、コンビニ納付の4種類です。

 

電子納税する場合には、まずは、利用者識別番号を取得する必要があります。「電子申告・納税等開始届」というのを税務署に提出します。この提出自体をウェブ上からできます。E-taxで検索し、「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」をクリックし、お名前等(法人だったら法人番号等)を入力していきます。利用者識別番号とを取得したら電子納税ができる環境が整います。

 

まずは、電子納税のうち、一番一般的な「ダイレクト納付」です。

ダイレクト納付をする場合にはまず事前に税務署に「国税ダイレクト方式電子納税依頼書」という書類を提出します。書類自体は国税庁のHPからも入手可能です。銀行口座等の必要事項を記入し、税務署へ提出すると、だいたい1か月ほどでダイレクト納付の登録が完了します。

 

また、ダイレクト納付の届け出自体をe-taxでもできます。税務署及び金融機関窓口に出向く必要がなく、ダイレクト納付利用届出書への記入や届出印の押印も不要です。

 

Web上でダイレクト納付の届け出をやる方法ですが、まず、e-taxで利用者識別番号ログインし、メニューの画面の真ん中に「申告・申請・納税」というのをクリックします。その中にダイレクト納付の届け出があります。ここをクリックし、必要事項を記入すればダイレクト納付の口座登録ができます。

 

ダイレクト納付での国税の納付は、現在、国税のすべての税目に対応しており、非常に便利になっています。

 

ただし、ダイレクト納付の場合に注意しないといけないのは、従来は所得税や法人税、消費税といった納付書が申告期限の際に郵送されてきたと思いますが、それが送られてこなくなることです。納付書が来ないと思ったら、ダイレクト納付にしているのではないかと思います。この点は注意点でしょう。

 

次に、インターネットバンキングによる納付です。

インターネットバンキング等による登録方式と入力方式の二つがあります。E-Taxによって申告又は納付情報を登録してその情報によりインターネットバンキング等によって納付を行います。入力方式は直接イン ターネットバンキング等に必要な情報を入力して納付を行います。 インターネットバンキング以外にもATMを利用して納付することもできますが、これはダイレクト納付に対応していない金融機関を利用するケー ス等の場合でしょう。 登録方式は納税情報の登録まではダイレクト納付と同様の手続になります。e-Taxメッセージボックス一覧で納付区分通知を確認 し、インターネットバンキング等で納付を行います。

入力方式の場合には、e-Taxで納税情報登録は必要ありません。ただし、インターネットバンキング等で納付番号や納付目的コード等の複数の内容を入力して行うことになります。そのため、入力方式の場合には登録方式と比べて入力ミスが発生するリスクがあります。

また、インターネットバンキング等での納付の際には振込み限度額がありますので、納付税額が多額の場合には注意が必要です。

 

そして、3つ目のクレジットカード納付です。

クレジットカードでの納付には2つあります。 1つ目はe-Taxを通じてダイレクト納付やインターネットバンキ ング等の登録方式と同様の情報を利用してクレジットカード決済で 納付を行う方法です。 2つ目は、「国税クレジットカードお支払サイト」で直接納税情報を入力して納付を行う方法です。ク レジットカード納付には一定の手数料がかかりますが、クレジット カードのポイントが加算されるのが特徴的です。このため、あえて手数料がかかってもクレジットカード納付を選択される方もいらっしゃいます。また、クレジットカードは、たとえば法人の税金を社長の個人名義のカードで支払うことも可能です。

また、クレジットカードでの納付の際には、クレジットカードの利用限度額があります。そのため、納付税額が多額の場合には利用限度額がありますので注意が必要です。

 

ちなみに、クレジットカード納付の場合の手数料は以下のようになっています。

納付税額・決済手数料(税込)

1円~10,000円 83円

10,001円~20,000円 167円

20,001円~30,000円 250円

30,001円~40,000円 334円

40,001円~50,000円 418円

以降も同様に10,000円を超えるごとに決済手数料が加算

 

最後に、コンビニ納付です。

この方法は正直申し上げまして、私も利用したことがありません。

コンビニ納付の特徴は、e-Taxを利用することなく納付することができることです。

自宅等で作成し発行したQRコードをコンビニに持参して納付を行います。

利用可能なコンビニはローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ (いずれも「Loppi」端末設置店舗のみ)、ファミリーマート(「Fami ポート」端末設置店舗のみ)です。

税務署から交付又は送付されるバーコード付納付書の納付ができるコンビニとは必ずしも一致しないので注意が必要です。

また、納付税額の制限もあり30万円以下の納付税額の場合にのみ利用できます。

 

一般的には「電子納税」というと上記の4つになりますが、銀行の窓口に行かずに納付できるものとして、個人の所得税や消費税の振替納税があります。こちらも振替納税の届け出をすることで利用が可能となります。令和3年1月以降は、e-taxでオンラインでの振替納税の提出も可能となっています。

 

以上が電子納税のやり方です。

私としてはおすすめはやはり「ダイレクト納付」です。手数料もかかりませんし、納付の仕方は非常に簡単です。ダイレクト納付にしないとしてもダイレクト納付の口座の登録だけでもしてもいいと思います。

ダイレクト納付に限らずPCやスマホが使えるのであれば、銀行に行くことなく簡単に納税ができます。便利に簡単に納税ができる「電子納税」について、参考にしていただければ幸いです。

 



今年の確定申告は、3月14日・15日という申告期限間際にe-taxが通信障害で申告できない状態が続き、電子申告ができないというハプニングがありました。「申告はどうすればいいんだろう」と不安に思った方も多いと思います。

さて、その通信障害があった方で、65万円の控除を受ける場合の話を今日はしていこうと思います。

 

事業所得や不動産所得などで青色申告特別控除の65万円の控除を受ける場合、電子申告していることが要件となっています。

そのため、通信障害があって電子申告できないと、この65万円の控除が受けられるのかという疑問があります。

 

国税庁は当初、「先般発生したe-Taxの接続障害が原因で、3月15日までに書面で申告書を提出した場合、令和3年分の所得税について65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、申告書に「e-Taxの障害による申告・納付期限の延長申請」である旨を記載し、改めてe-Taxで提出する必要がありますのでご注意ください。」とコメントを出していました。

期限が3月15日なので、慌てて紙で出した場合には、改めてe-taxで申告が必要となっているわけです。

 

ですが、接続障害があったケースでも様々な対応方法があります。しかし、これらの対応方法によって損得が出てしまうのもおかしな話です。そこで、国税庁はその後、接続障害に対しての対応方法によってその後の対応の仕方が異なることをお知らせとして出しています。

 

まず、接続障害があったため、申告自体を3月15日までにしなかった方は、ある意味、一番単純です。申告書に「e-Tax の障害による申告・納付期限 の延長申請と記載して4月15日までにe-taxで申告すればいいです。これは一番シンプルです。

 

次に、紙で出す場合、青色申告特別控除は65万円ではなく55万円となります。そのため、慌てて紙で出した方で多くの方は65万円の控除を取らずに55万円の控除として申告書を出しているケースも考えられます。

この場合は、改めてe-taxで申告すれば65万円の控除を受けることができます。紙で出していてもあとからe-taxをすればいいのです。これに該当する方は、申告書には「e-Tax の障害による申告・納付期限 の延長申請」と記載して4月15日までに改めてe-taxで申告するようにしましょう。

 

また、国税庁は「令和 4 年 3 月 14 日(月)又は 15 日(火)に、65 万円の青色申告特別控除を適用する申告書を e-Tax で提出しようとしたものの、今回の接続障害のために、当該申告書 (65 万円の青色申告特別控除を適用する申告書)を書面に印刷して提出した方は、改めて当該申告書を e-Tax で再提出していただく必要はありません。」と案内を出しています。紙で出したがその青色申告特別控除は65万円と記載して出したというケースです。この場合にはあとからe-taxの申告をする等のことはしなくていいというわけです。結果、このケースでは何もしなくていいと言っています。

 

接続障害があってご自身がどれを選択したのかによって、事後の対応方法は異なります。ご自身がどれに当てはまるのか、今一度確認してみてください。



さて、本日付で国税庁からコロナ特例を使って振替納税をした場合の振替納税の日時が発表されました。

 

このコロナ特例の申告期限の延長というのは、新型コロナウイルス感染症の影響で期限内の所得税等の確定申告が困難である場合のみに使える申告・納付期限の延長措置のことです。具体的には「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と申告書の上部に記載することでこの延長措置が受けられます

 

通常の申告期限は昨日、3月15日でしたが、その期限までにコロナの影響で申告書が出せなかった方はこの特例を使うことで申告と納付が猶予されます。

詳しくは私の以前のブログ記事を参照してください。

 

https://vanguardwan.com/blog/%e4%bb%8a%e5%b9%b4%e3%82%82%e7%a2%ba%e5%ae%9a%e7%94%b3%e5%91%8a%e6%9c%9f%e9%99%90%e3%81%8c4%e6%9c%8815%e6%97%a5%e3%81%ab%e5%bb%b6%e9%95%b7

 

さて、今日、国税庁から発表されたのはこのコロナの特例を使って申告・納付を延長した場合の振替納税の取り扱いです。

 

通常の申告期限で納付した場合、今年は所得税は4月21日、消費税は4月26日に口座振替になります。

 

これに対してコロナ特例を使って、3月16日から4月15日に申告(消費税については4月1日から4月15日に申告)した場合には、振替納税される日は次のようになります。

所得税 5月31日

消費税 5月26日

 

消費税の方が早い日程になっていますので気を付けましょう。

 

現在、国税の納付方法は実に7種類もあります。(これについてはまた別の機会にこのブログで触れていきます)振替納税もその一つにすぎませんが、所得税や個人事業者の消費税は振替納税を利用されているケースが多いです。日程に気を付けましょう。



さて、私も確定申告作業に追われ、ブログの更新がままなりませんでした。久しぶりの更新です。

 

急遽、申告にかかわる話なのでブログを更新いたします。

3月14日から断続的にe-taxでの申告が通信障害によってできない状況が続いています。

国税庁は急遽、通信障害の場合のe-taxの申告方法について発表しております。

 

e-tax申告の際に、「特記事項」の欄に「e-taxの障害による申告・納付期限延長申請」と記入すれば、申告書の提出日は3月15日とみなされることになっています。

 

これは所得税のほか、贈与税についても同様です。

(消費税については申告期限が3月31日なのでこの通信障害の特例についての記述はないようです)

 

また、紙で申告書を提出する場合についても、申告書の第1表の上部にe-taxの障害による申告・納付期限延長申請」と記入して申告書を提出すればいいことになっています

 

通信障害で申告ができなかった方はe-tax、紙の申告、いずれの場合にも忘れずに対応するようにしましょう。

 

また、電子申告することで青色申告の者が65万円の控除を受ける場合について、次のように書かれています。

電子申告により65万円の青色申告特別控除の適用を受ける場合は、書面の提出はせず、個別の申告期限を延長して、後日、e-Taxにより電子申告をしてください。

慌てて書面で提出することはせず、「e-taxの障害による~」と書いて対応するようにしましょう。

 

また、慌てて紙で出してしまった方については、税務署に聞いてみたうえで改めて上記の方法で電子申告する等、落ち着いて対応してはいかがかと思います。

 

申告期限の日に通信障害が起こるというのは、いまだかつてないことです。ですが、対応方法はありますので慌てずに対処しましょう。



巷では新型コロナウィルスのことが毎日、報道されています。こうしたことを受け、国税庁は、新型コロナウイ ルス感染症の影響により申告等が困難な方については、令和4年4月 15 日までの間、簡易な方法により申告・納付期限の延長ができるようになりました。

 

オミクロン株の影響で、かなりの数の方が感染したり、濃厚接触者となり自宅待機を余儀なくされることが予想されます。こうしたことを受け、国税庁は2月3日付で、確定申告の2月16日から3月15日の間に申告することが困難となる納税者を対象に申告期限を4月15日まで延長することとしました。

 

では、確定申告を3月16日以降にする場合、具体的にはどうすればいいのでしょうか。

 

具体的には、申告書の余白等に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限の延長申請」と申告書に記載するだけでいいことになっています。この措置は昨年もありました。今年も同様にこの取り扱いとなります。

 

この方法による場合の注意点は次のようなものです。

申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限の延長申請」と書くだけなので、申告の延長申請の申請書を別に作る必要はない。

e-taxでの申告の場合、「送信準備」画面の「特記事項」欄に、 「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と入力する。

〇この申告期限の延長は所得税だけでなく、消費税や贈与税も同様に延長できる。

〇e-taxで消費税の申告をする場合、「納税地等入力」画面の「納税地情報」欄の「建物名・号室」部分に、 「(新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請)」と入力する。

 

e-taxによる申告の場合、記載の方法を注意して申告する必要がありそうです。

 

また、この規定を使って申告する場合、納税の仕方には注意が必要です。

令和4年4月 15 日(金)までの簡易な方法により申告と同時に延長を申し出た場合 は、原則として、申告書を提出した日が申告・納付期限となります。つまり、申告書を出したその日が納付期限となります。先に納付を済ませてから申告するといったような形を考えておく必要があります。

 

また、振替納税を使っている場合、振替納税が通常通り使えなくなります。これについては、国税庁のQ&Aには「振替納税を利用されている方の振替日については、別途お知らせします。」とあるので、別途、振替納税の日が定められる可能性もあります。これから情報が出されると思われますので確認が必要でしょう。

 

また、4月 16 日(土)以降も新型コロナウイルス感染症の影響が続き、申告等ができなかった場合も考えられます。その場合には、現在もある「災害等による延長申請書」というのを提出することで延長していくことになります。この申請は申告等ができるようになった日から2か月以内に「延長申請書」を所轄の税務署に提出して、延長される日の指定を受けます。税務署が指定した日が申告・納付期限となります。

 

それから、この措置は所得税や個人の消費税、贈与税といった今回の確定申告の話なわけですが、国税庁のQ&Aによると

法人税や相続税といったその他の税目についても、新型コロナウイルス感染症の影響 により期限までに申告・納付等が困難な方もおられると考えられ、そのような方につい ては申告書の余白に所定の文言を記載いただく等の簡易な方法による延長が認められます

とあることから、法人税や相続税についても、同じ措置が取れるようです。

 

いずれにしても、コロナの影響で確定申告ができない場合、簡易な方法での申告期限の延長ができるということを知っておいていただければと思います。

 

以上、今日は確定申告期限の延長の話でした。



先日、会計検査院の調べで個人の方が倒産防止共済を経費にあげている場合に必要な書類が添付されていない申告書が多く見受けられたという指摘がありました。

 

中小企業倒産防止共済とは何なのか。倒産防止共済を運営する中小企業基盤整備機構のサイトには次のように書かれています。

取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できる税制優遇も受けられます。

 

また、「掛金月額は5,000円~20万円まで自由に選べ、増額・減額できます。また確定申告の際、掛金を損金(法人の場合)、または必要経費(個人事業主の場合)に算入できるので、節税効果があります。」ということも書かれています。

倒産防止共済に加入する多くの事業者はこの節税効果を狙って加入するケースが多いと思います。それから次の点も特徴的です。

共済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12か月未満は掛け捨てとなります)。」

 

さて、上記の節税効果の話ですが、倒産防止共済は何もしなくても支払ったものが全額、必要経費(法人の場合には損金)になるわけではありません。

 

個人事業主の方が掛金を必要経費として算入するには、任意の用紙で『中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書』を作成し、確定申告書に添付してはじめて必要経費に計上できます。また、法人の場合には「別表十(七)」のうち「3 特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」の項目に必要事項を記載したものを提出して初めて損金算入できます

 

倒産防止共済は原則は支払った金額は「積立金」です。支払った金額を必要経費(損金)とするのは、あくまでも特例的な取り扱いというのが税務の立場です。

 

さて、この個人の方の場合の『中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書』を作成し、確定申告書に添付というのができていないと会計検査院から指摘があったというわけです。会計検査院というのは税金の使い方や処理が正しく行われているかをチェックする役所です。そこから指摘を受けたわけです。

2018年の個人事業主の倒産防止共済の状況を調べたところ、「抽出した1567加入者のうち6割近くで、優遇時に必要な明細書の確認ができなかった」とあります。

また、倒産防止共済を解約した場合には収入計上する必要があるわけですが、それについても「任意解約時に受け取った返戻金を収入として計上する必要があるのに、2016年から18年の解約者464人のうち4割で収入計上が確認できなかった」とあります。

 

私が気になるのはこのように倒産防止共済をめぐる経理処理がきちんとなされていないと会計検査院が指摘したということは、今後、税務調査などを通じてこの点を厳しく見られるのではないかということです。せっかく倒産防止共済に加入して節税を図ったつもりだったのに「必要な書類が出ていないから経費計上できない」といわれる可能性があるわけです。会計検査院からの指摘があると、それを受けて税制も変わったりすることがよくあります。この倒産防止共済の場合、すでに制度としてあるのにきちんと運用されていないという話なので、税務署が明細書の添付の有無の確認が厳しくなる、もしくは税務調査での指摘が増えるのではないかということです。

 

特に個人事業者の場合、必要書類を添付しないと必要経費に算入できないという点は知らない方も多いと思います。税理士がついていても忘れてしまうケースも多いと思います。

もしこれまで添付していなかったという事業者の皆さんがいらっしゃいましたら、気を付けましょう。

 

ということで、今日は倒産防止共済に加入した場合の添付書類の話でした。

 



さて、今日から何回かに分けてインボイス制度の話をしていこうと思います。

税理士の間では、消費税法施行以来の大改革とかなり前から大きな話題になっていますが、巷ではインボイスといってもピンとこない方が多いようです。今日はその概要だけ説明したいと思います。

 

会計ソフトを手掛ける弥生会計が調査したところによると、全国の個人事業者や従業員数30人以下の小規模事業者に「インボイス制度のことを知っているか」を調査したところ、全体の約8割の方がインボイス制度について「全く知らない、聞いたことがない」と答えたそうです。

我々税理士からすると、これだけの大改正についてほとんどの事業者が知らないとは・・・と愕然とするアンケート結果です。

 

ニュースを見てもコロナ、総裁選など、今目の前にあるようなテーマが多く、インボイスや来年から導入される領収書や請求書の電子保存の話など、差し当たって影響がない話はあまり報道されないように思います。インボイス制度にしても電子保存の話にしても会計や税務処理にかかわる大きな話題なのですが、こうした報道の状況もあり、事業者の間ではほとんど知らないというところが実態のようです。

このブログでは、まずはインボイス制度の話を書いていこうと思います。その次に電子保存の話を書いていきます。よく知らないという事業者の皆さんはこのブログを通して参考にしていただければと思います。

 

さて、今日はインボイスの話の概略です。

 

インボイス制度とはなんでしょうか?

大きくは二つあります。

一つは、事業を営んでいる中小企業や個人事業者は、税務署に登録申請をしてもらった「登録番号」を領収書や請求書に記載しないといけなくなるということです。

この登録申請が実は、令和3年10月1日から始まっているわけです。あまり報道されないのですが、この10月1日から始まっているんです。

 

そして、この登録番号の書かれた領収書や請求書のことを「インボイス」(適格請求書等)と呼ぶわけです。

 

では、このインボイスを発行するのはどういう意味があるのかということです。

消費税というのは売り上げなどで預かった消費税からいろいろな経費等の支払いの際に支払う消費税の差額を事業者が納付するという基本的な仕組みがあります。この支払った消費税のことを「仕入税額控除」と呼びます。この仕入税額控除ができるのが、インボイスが書かれた領収書や請求書をもらっている場合に限ることにするというのがインボイス制度の概要です。

 

この「インボイス」(適格請求書等)は次のような項目の記載がされていないといけません。

  • インボイスの発行事業者の名前
  • 登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 消費税率・消費税額
  • 相手方の名前

 

このうち②の登録番号は税務署に届け出をして番号をもらいます。登録番号は頭にTがついてそのあとは13桁の数字が続きます。法人の場合には、Tのあとはすでにある法人番号が入ります。個人の場合にはTの後の番号は新たに税務署から付与されます。

この登録が税務署に届け出しないともらえないわけです。

 

ポイントの二つ目は、インボイスの登録は課税事業者でないと登録できません。逆に言えば、インボイスの登録をするということは自動的に課税事業者となります

 

最近、ネットの記事でもよく見られますが、たとえばウーバーイーツの配達員や個人タクシーの運転手など、現状、消費税の免税事業者になっている個人は売り上げの相手方が会社などの事業者が多い場合、インボイスの登録をして課税事業者になることを選択しないといけない人も出てくるのではないかということがあります。たとえば、副業でやっている個人事業者は売り上げの相手先が個人ではなく、事業者の場合、その事業者が仕入税額控除できなくなることからインボイスの登録を迫られることが想定されます。

 

このように現状で、年間の売上が1000万円未満で免税事業者である人が、取引先との関係でインボイスの登録をしないといけなくなる場合、今まで納付していなかった消費税を納付しないといけなくなるわけです。

これが二つ目のポイントです。

 

インボイスの登録は令和3年10月1日から始まりましたが、実際のインボイスの導入は令和5年10月1日からとなります。まだ実際の導入までは2年くらいは時間がありますからその間にいろいろと準備していく必要があるわけです。

 

ということで、今日はまずはインボイス制度の概要についての話でした。



さて、今日は11月まで延長が決まった雇用調整助成金の特例措置の話です。

 

雇用調整助成金の特例とは何か、11月まで延長されたというのは何のことか、というのは以前の私のブログを参考にしてみてください。

雇用調整助成金は11月まで延期、月次支援金はどうなる?

 

今日は経理処理の話です。

 

雇用調整助成金の経理処理は二つあります。

以前の私のブログにも書いてあります。

 

雇用調整助成金はいつ収入に計上すべきなの?

上記の内容は根拠も示していて少し長くて読みづらいとお感じになるかたもいらっしゃると思います。結論だけ簡単に書きますと、次のようになります。

 

雇用調整助成金の原則を使っている場合(計画書を提出して休業する取り扱いをしている場合)・・・入金がなくても休業手当を支給した年度で収入計上

 

雇用調整助成金の特例措置を使っている場合(事前に休業の計画書を出したりしていない場合)・・・支給決定があった年度で収入計上

 

雇用保険の助成金については原則はこの特例措置のように「支給決定があった年度」で収入にあげます。雇用調整助成金の原則的な場合のように事前に計画書を出すような助成金は例外的に費用と収入を同じ年度に対応させるといっているわけです。

 

この収入と費用を対応させる取り扱いについては、法基通2-1-42というところに書いてあって、税理士の先生でも勘違いされている方が多くいらっしゃるように聞いています。

今回、多くの会社で使っている雇用調整助成金の特例措置は、決定があった年でいいという点、今一度、確認しておきましょう。

 

以上、今日は雇用調整助成金の収入計上時期の話でした。



さて、今日は前回と引き続きで見ていただければと思うテーマです。前回は社会保険の扶養という話をしました。どこからが社会保険の扶養になるのかという話を書いていきました。

今回は税務の方での扶養、「生計を一にする」という考え方を書いていきたいと思います。

税務では扶養親族になるかどうかというのを「生計を一にする」という言葉で表現します。では、この「生計を一にする」というのは具体的には何を意味するのでしょうか。

所得税法の基本通達という中で、「生計を一にする」というものの意味を次のように書いています。

法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。

(1) 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。

イ当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合

ロこれらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合

(2) 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。

社会保険では扶養親族かどうかは原則としては3親等内の親族としつつ、「同一世帯」というもので規定しています。これに対して、税務の扶養は「生計を一」というもので規定しています。まずは社会保険と税務に共通していえるのは、扶養というのは「同居」が要件ではないということです。

ただ、税務の方の「生計を一」は上記の通達の(2)で「親族が同一の家屋に起居している場合には、(略)生計を一にする」とあるので、同じ家に住んでいれば原則的には「生計を一」と考えていいようです。ただ、上記の通達の(2)にも書かれている通り、「明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き」とあるので、明らかに別生計の場合には扶養にはならないとされています。これは社会保険の方も同じです。「被保険者と住居および家計を共同にすること」に該当していても、生活費の支援がない場合には扶養にはならないとされています。この辺はおおむね共通する点です。

そして、税務の方が難しいのは、上記の通達の(1)です。これは、「同居」でない場合を書いています。同居でない場合には、二つあるとしています。

一つは、単身赴任のお父さんや大学に通っているお子さんなどのことです。お盆やたまの休みに帰ってくるような関係なら、扶養だと言っています。

もう一つは、生活費や学費などのお金を送金していることといっています。

この二つの要件が両方必要な要件なのか、片方だけ当てはまればいいのか、ここがこの通達だけだと読み取れないわけです

たとえば、単身赴任のお父さんがいて休みの日には帰ってきます。自宅にいる奥さんはご自身がパートで働いている収入で家計は賄っているため、送金をしてもらったりはしていないとします。そうすると、最初の要件には当てはまるのですが、二つ目の要件には該当しないので、この場合は扶養にはならないということになります。

では、このケースではどうでしょうか。

田舎に高齢のお母さんがいらっしゃいます。息子さんは東京に住んでいます。この息子さんはお母さんに毎月、一定額のお金を送金しています。つまり要件の二つ目には該当しています。しかし、普段、お母さんの所へ行ったりということはほとんどしません。お母さんも息子さんに会いに行ったりすることはありません。この場合、要件の一つ目には該当しません。では、このケースでは扶養ではないという話になるのでしょうか?

単身赴任のお父さんと奥さんの関係にしても、送金はしてもらっていなくても実際にはその家はお父さんの名義の家で、たまたま今は奥さんのパート収入で家計を賄っているということだったら、扶養の関係といってもいいのではないでしょうか。また、二つ目の例として挙げたお母さんと息子さんの関係も、あってはいなくても経済的に息子さんが支えているのなら扶養といってもよさそうですよね?

国税庁のHPでは「生計を一にする」という言葉について、次のように記述しています。「日常の生活の資を共にすることをいいます。
会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときや、日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているときは、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

つまり、お金の送金の有無とたまに一緒に生活することの両方がないと扶養にならないというわけではない(どちらかが当てはまればいい)という趣旨のことを言っているようです。

ここは、税理士によっても解釈が分かれるところのようですので、このブログではこれくらいにしておきますが、税務の扶養は特に「別居」の場合、解釈が難しいというところです。。

前回のブログと合わせて、社会保険や税務の扶養というのを整理してみると、社会保険も税務も扶養の考え方はほぼイコールではあるものの、たとえば、同居していないケースなどで考え方に少し違いがあるというくらいの整理でいいのかと思います。

同居でない場合、扶養に入れられるか入れられないかは、よく検討した方がいいでしょう。

ということで、今日は税務の方の「扶養」の話を通じて、社会保険と税務の扶養の違いについての話でした。