手技療法の治療院、介護事業の経営に役立つ最新情報や知って得する情報満載のブログです!

Category Archives: 税務関連


さて、前々回まで、治療院の消費税に絞っていくつか書いていきました。

治療院が「保険診療から自費に移行する」と起こる税金の問題として、消費税のことがあることは書きました。その消費税の納税義務は法人化することで最大、2年間、納付を逃れることができるということを聞いたことのある方も多いと思います。

yjimage

これは、消費税の判定の仕組みに由来します。

消費税を納める事業者であるかどうかは、2年前の課税売上が1000万円を超えるかどうかによって判定します。たとえば、平成29年1月から12月の期が課税事業者かどうかは、平成27年1月から12月の期の課税売上が1000万円を超えているかどうかで判断します。この辺の話は以前のブログを再度、ご参照ください。↴

自費中心診療の問題点 治療院の消費税について考えてみよう!

たとえば、平成27年の1月から12月の期の課税売上が1000万を超えたとします。普通にやれば、平成29年1月以降の期で消費税を納付することになります。それを、たとえば、平成29年1月に法人化したとします。12月決算の法人だったとすると、平成29年、平成30年まで消費税を納めなくてよくなる、ということです。

これは、法人化した場合、平成29年・平成30年は2年前がないことになるため、そもそも2年前の課税売上が1000万という判定自体ができないためです。

結果、最大2年間、消費税の納付を逃れることができるわけです。

ここまでの話は、少し勉強されていたり、どこかで聞いたことのある方も多いと思います。

治療院の場合、さらにもう一点踏み込んで知っておく必要があります。

それが、「特定期間の課税売上高の判定」というものです。

 

先ほどの例ですと、平成29年1月に法人化しています。この場合、平成29年1月~平成29年6月までの半年間で売り上げが1000万円を超えている場合、平成30年1月から消費税は課税事業者になるというものです。これが、「特定期間の課税売上高の判定」の話です。

この場合、免税となる期間は平成29年の1年のみとなります。

ただし、仮に平成29年1月から6月までの売上が1000万円を超えていても、平成29年1月から6月の給与等の金額が1000万円を超えていない場合には、平成30年1月から課税事業者になることはありません。

給与等の支給額というのは、特定期間中に支払った源泉所得税の対象となる給与等の金額のことをいいます。源泉徴収簿などから算出するため、金額の計算はすぐに出るはずですよね。

 

結局、この特定期間の判定を使うのは、売上と給与等の両方が法人設立から6か月で1000万円を超える場合だと押さえておいていただければいいかと思います。

 

また、たとえば、半年で消費税の課税売上が1000万円を超えるし、半年の給与の金額も1000万円を超えることが明らかな場合、どうするのかという問題があります。

 

消費税が免税事業者になる期間をなるべく多くとりたいということであれば、たとえば、上記の例の場合、1期目の決算を平成29年7月とした場合、1期目は平成29年1月から7月となり、特定期間自体がないことになります。1期目が7ヶ月の場合、この特定期間の消費税の判定を行わないというルールがあるためです。つまり、1期目を平成29年7月で終わる7月決算法人とすると、2期目の平成29年8月から平成30年7月までの期も免税事業者となり、結果として、平成29年1月から平成30年7月までは消費税が免税になることになります。

 

この辺の話はちょっと複雑な部分もあるため、もし半年で課税売上が1000万円を超え、なおかつ、給与等の金額も1000万円も超える場合、決算期をいつにするのか、給与の設定をどうするのかについて、税理士などの専門家の意見を聞きながら決めていただいたらいいのではないかと思います。

 

法人化すると、最大2年間、消費税が免税になるという話、おおよそ理解できたでしょうか?



さて、今日も前回の続き、消費税の話です。

今日は簡易課税の話です。

yjimage

治療院の場合、ほとんどのケースが、本則課税ではなく簡易課税を選択したほうが税額が少なくなるはずです。ただし、たとえば複数店舗展開していて課税売上が5000万円を超える場合には簡易課税は選択できないことは、前回のブログで書きました。その場合には、簡易課税を選択したくてもできないわけですが、そういう事情以外は、たいていが簡易課税を選択する方が税額が少なくなり、有利になるはずです。

 

では、簡易課税とはどういう計算をするのでしょうか。

前回も少し説明しましたが、売上に係る消費税から控除する仕入税額控除の金額をみなし仕入税額控除として、売上にかかる消費税の何%と決まった率を掛けて計算します。

仕入税額控除をどういう割合にするかは第1種から第6種まであるどこに当てはまるかで変わってきます。

 

第1種・・・卸売業

第2種・・・小売業

第3種・・・製造業等

第4種・・・飲食業、第1種から第3種・第5種・第6種のいずれにも該当しない業種

第5種・・・サービス業

第6種・・・不動産業

 

仕入税額控除の率は、以下のようになります。

 

第1種・・・90%

第2種・・・80%

第3種・・・70%

第4種・・・60%

第5種・・・50%

第6種・・・40%

 

さて、治療院の場合ですが、第5種のサービス業に該当します。第何種に該当するかは、原則として「日本標準産業分類」というものによるのですが、この分類のうち、大分類のサービス業の中に「医療、福祉」というものがあり、これに該当するためです。

 

ということで、第5種の50%で計算します。

ですから、治療院の自費売上が1万円で預かっている消費税が800円だとしたら、その50%の400円を仕入れ税額控除して、400円が納付税額になるわけです。

 

この簡易課税の難しいのは、一つ一つの売り上げの内容によって第何種かを分ける必要があるということです

どういうことかと言いますと、たとえば、治療院でコルセットや包帯を販売したとします。物品販売は簡易課税では第1種か第2種になります。第1種は卸売業(業者への販売)ですから、治療院の場合には第2種の小売業(消費者への販売)になります。コルセットや包帯の販売は消費者への販売なりますから、第2種、つまり仕入れ税額控除は80%で計算するわけです。

また、往診で使っている車を売却した場合には、「第1種から第3種・第5種・第6種のいずれにも該当しない」ということで第4種になります。

これらは、第2種だったり、第4種だったりと、通常の第5種よりも仕入税額控除の%の率を高く計算できるため、売上の区分をきちんと分けたほうが消費税の金額が少なくなります。

簡易課税は、特例計算というのがあり、第2種にあたる物品の販売や第4種にあたる車の売却をすべて第5種で計算しても間違いではありません。これはどういうことかといいますと、何種類かある売り上げのうち、1種類の課税売上の割合が全体の75%以上の場合、何種類かの売り上げがあってもすべての売上を1種類の事業とみなして全体の課税売上を計算してもいいという特例があるためです。したがって、治療院の場合、通常の治療院の治療による自費収入の売上が課税売上のうち75%以上なのであれば、全部を第5種として計算しても間違いではないです。ですが、治療院の場合、こうした別の業種区分と見ることができるものがあれば分けたほうが消費税が少なくなるので有利になります。ということで、治療院の場合、多少面倒でも、売上の種類を「通常の治療の自費収入」と「物品販売」と「その他の売上」くらいの感じで、できるだけ分けて計算したほうがいいでしょう。

 

さて、この簡易課税を選択した場合ですが、原則課税の方が税金が少なくなるケースがまれにあります。たとえば、設備投資をして高い治療器械を購入したり、往診車などの車を購入した場合など、数百万円するような固定資産を購入した場合です

この場合は、ケースバイケースですが、原則課税の方が税額が少なくなるケースもありますので、注意が必要です。

といいますのも、簡易課税は前回説明した通り、その事業年度の始まる前までに届け出しないといけません。そして、簡易課税を原則課税に戻す場合も、原則としては、課税期間が始まる前までに届け出を出さないと戻せません。

たとえば、平成29年中に治療器械と往診車を買う予定があったとします。計算してみると、簡易課税ではなく、原則課税を使ったほうが有利になりそうだったとします。その場合、平成28年12月31日までに「簡易課税選択不適用届出書」を税務署に出さないといけません。

 

ちなみにですが、少し複雑な話になるので、このブログではしませんが、1個の固定資産が数百万円の固定資産を購入する場合には、「調整対象固定資産」というのに該当する場合があり、この場合には原則課税でないほうがいい場合もあります。

 

いずれにしても、消費税のこの辺の話は税理士でも適用を間違えるケースがあるほど複雑です。治療院の先生方としては、基本的にはご自身では判断せず、税理士に聞くなり、税務署に聞くなりするのが無難だと思います。治療院の先生方としては、簡易課税の基本的な計算方法をまずは知っていただくことかと思います。



さて、今日は前回に引き続き、治療院の税金シリーズで、消費税の話です。

治療院経営にとって、消費税の知識は必須です。これを機会によく理解しておきましょう。

さて、前回は、消費税の課税事業者になる判定方法とどういう売り上げが消費税の課税売上になるのかの話でした。

今日は、もう少し具体的に数字を使って話をしようと思います。

yjimage

 

その前に、消費税の計算方法は本則課税と簡易課税と二通りありますが、それはご存知でしょうか。

 

本則課税は次のような計算方法です。

 

消費税のかかる売上・・・1万円(消費税は800円)

支払っている消費税・・・4000円(消費税は320円)

 

この場合、納める消費税は売り上げの消費税800円から支払った消費税320円の差額480円です。

支払っている消費税というのは、商品を買ったり、サービスの提供を受けたりして支払いをした時に消費税を払いますよね。そのことを指しています。

本来、消費者が直接、国に支払うべき税金を事業者が代わりに支払う税金が消費税です。つまり、

 

消費者(患者さん)800円⇒事業者(治療院)800円⇒国

 

という流れで、事業者である治療院は消費税を国に納めるわけです。

このとき、事業者である治療院が消費者の立場で支払っている消費税がありますよね。計算上はこれを控除するわけです。

 

消費者(治療院)320円⇒事業者320円⇒国

 

患者さんから受け取った消費税から消費者の立場で支払った消費税を控除して(消費税法では「仕入税額控除」と言います)、その差額を納付するのが消費税の基本的な仕組みです。

 

これに対して簡易課税は、この「仕入税額控除」の部分をだいたいで計算します。

治療院の場合、第5種事業に該当することがほとんど(次回のブログで詳しく説明します)なので、売上で預かった消費税の50%が仕入税額控除とみなして消費税の計算をします。

上記の例ですと

800円×50%=400円

を仕入れ税額控除とみなします

そうすると、消費税は800円-400円で400円を国に納めることになります

 

簡易課税というのは小さい事業者には消費税の仕入税額控除の計算が煩雑だろうということで、特別に売り上げから簡単に消費税が計算できる方法を認めたわけです。

 

さて、では、本則課税にすべきか簡易課税にすべきかというのがどちらでも選択できるのかということになります。これは選択できます。計算してみてどちらか少ないほうで申告すればいいわけです。ただし、簡易課税を選択する場合、その課税期間が始まる前までに届け出を出さないといけません。

たとえば、平成29年から簡易課税にしたいのであれば、平成28年12月31日までに税務署に「簡易課税選択届出書」という書類を出さないと簡易課税を選択できません。平成29年の計算をしてみたら本則課税よりも簡易課税の方が税金が少なかったと気づいても、平成28年12月31日までに出していなければ簡易課税では計算できません。

平成29年が消費税の課税事業者かどうかは、平成27年の申告書を出した時点ではわかっていますから、平成28年12月31日までには簡易課税の届け出は出せるはずですよね。

 

この簡易課税かどうかというのは治療院経営にとっては大変重要です。ちなみに、ほとんどの治療院では、簡易課税が有利になるはずです。一応、計算してみたほうがいいとは思いますが、治療院の場合、ほぼ簡易課税を選択することになるはずです。

 

また、簡易課税が有利でも簡易課税を選択できない場合もあります。

これにはいくつかありますが、代表的なものは 課税売上が5000万円を超えるケースがあります。課税売上が5000万円を超えるというのはほとんどが複数の治療院の店舗を構えているケースです。一店舗で課税売上が5000万円を超えるケースというのはほとんどないですよね?

2店舗、3店舗とやっていくと課税売上で5000万円を超えることはあり得ます。その場合には、一法人で本則課税でやっていくのがいいのか、あるいは、法人をいくつかに分けて簡易課税で計算していった方がいいのか、どちらが有利になるのかを計算する必要があります。まあ、ここまで売り上げが上がってしまっているのであれば、治療院の先生ご自身で計算するのではなく、税理士などの専門家に計算してもらったほうがいいと思います。

 

ちなみに、この課税売上が5000万円を超えた場合ですが、5000万を超えたら即、本則課税になるわけではありません。課税売上が5000万円を超えた翌々年から本則課税になります。この辺は前回、ご説明した消費税の判定の仕組みと考え方は同じです。この5000万円のルールは、簡易課税を選択していても、強制的に本則課税になりますので、注意が必要な点です。

 

さて、今日はもう少し数字を使ったお話をしていきましょう。

先ほどの本則課税の例というのは、わかりやすく説明するために書きましたが、実際には治療院の売上は、保険診療などの非課税売上と自費などの課税売上が混在しています。この場合には、実は計算が少し複雑になります。

できるだけ単純化した例で説明します。

 

<売上>

自費売上 1万円(消費税800円)

保険診療売上 1万円(消費税0円)

<仕入税額控除>

支払った消費税 8000円(消費税320円)

 

この場合、この支払った消費税が自費売上に対応するものなのか、保険診療に対応するものなのか、不明だったとします。(ほとんどが不明なものだと思います)

その場合、この320円は全額仕入税額控除できません。売り上げの割合で、自費に対応する割合しか控除できません。つまり、

 

320円×1万円(自費売上)/1万円(自費売上)+1万円(保険診療)=160円

 

という形で、売り上げ全体のうち、自費売上部分しか控除できません。

結果、治療院が納める消費税は800円-160円=640円 となります。

 

一方で、この支払った消費税が自費売上に対応する消費税というのが明らかにわかっていれば、全額控除できます。たとえば、支払った消費税は自費売上の鍼の仕入だったとします。そうすると、保険診療ではなく、自費売上に対応するものというのが明らかです。この場合には、全額、仕入れ税額控除できます。結果、治療院が納める消費税は

 

800円-320円=480円

 

となります。

 

この辺の話は税理士や会計事務所にお勤めの方にはいたって当たり前の話です。しかし、治療院の先生には縁遠い話なので、図を描いてみたりして説明はしますが、いつも説明に苦慮する部分です。できるだけわかりやすくは書いたつもりですので、上記のような基本的な部分だけは理解していただけるといいかなと思います。

 

次回は、この続きで、治療院の消費税で、簡易課税の計算について少し突っ込んだ部分も含めて話を進めていきたいと思います。



先週は一週間、夏季休暇としていました。今日から再開します。

さて、夏季休暇前に治療院は保険診療中心から自費診療中心に切り替えるべきという話をしました。その関連で、その場合に、税金などにどういった影響があるのかについて、何回かに分けて書いていこうと思います。

yjimage

保険診療中心から自費診療中心に移行していくと、実はいくつかの税金の問題が発生します。大きな問題としては、消費税の問題です。これらも知ったうえで、保険から自費への転換を図っていく必要があります。

基本的な部分からご説明いたしますので、治療院の経営に役立ててみてください。(実際には細かい話もありますが、多少、割愛します)

治療院の消費税の問題というのは「保険診療中心だったころは、免税事業者で消費税を払ったことがなかったのに、自費中心にすることで課税事業者になって消費税を払わないといけなくなる」というものです。

 

治療院の収入は内容によって消費税がかかるものとかからないものがあります。

保険診療は消費税は非課税です。一方で、自費治療(実費治療)は消費税は課税取引になります。

消費税は課税とされる売上が年間で1000万円を超えると、1000万円を超えた年の翌々年から消費税の課税事業者になります

ですから、たとえば、個人事業者の場合、平成29年1月から12月の課税売上が1000万円を超えると、平成31年は消費税を支払う事業者になります。ですが、平成30年の課税売上が1000万未満であれば、翌々年の平成32年は消費税は免税事業者、つまりかからないわけです。

1年ごとに消費税がかかるかからないを判断して、原則として翌々年が課税事業者になるというわけです。なぜ翌々年かというと、これはたとえば平成29年が売り上げが1000万円を超えているかどうかがわかるのは、平成30年に入ってからのはずです。1月か2月か、そのくらいにわかるわけです。わかるころにはすでに平成30年は始まっています。消費税というのは、消費者に転嫁される税金なので、治療院の場合、平成29年が1000万円を超えていたのであれば、治療院の患者さんに消費税をその分、上乗せしてもらう必要があります。平成29年が1000万超えていたからといって、平成30年から消費税の課税事業者にしてしまうと、すでに経過してしまった1月や2月の売上分は消費税をもらわなかったということになってしまいます。そのために、翌々年、つまり平成31年から徴収するようにしているわけです。

この考え方は消費税法に共通してある考え方ですので、是非、知っておきましょう。

 

さて、いつから消費税がかかるのかは分かったと思います。

では、どの売り上げが消費税がかかるのでしょうか?

 

治療院の場合には、おおむね、以下のような形になります。

 

保険診療売上・・・非課税

自費売上・・・課税

物品販売売上・・・課税

自賠責保険売上・・・非課税

助成金などの補助金収入・・・不課税

受取利息・・・非課税

 

非課税と不課税というのは違うのですが、ここでは説明は省きます。

あとは、たとえば、整骨院で鍼灸マッサージをした場合には、その鍼灸マッサージ売り上げは課税です。訪問の鍼灸マッサージは保険診療となれば、非課税です。この辺は保険請求するかどうかで分かれますので、注意が必要です。

 

さて、今日は、消費税の判定の話と、どの売り上げに消費税がかかるのかというお話でした。

次回は、簡易課税など、もう少し突っ込んだ話をしていきましょう。



今日は最近、顧問先からも質問の多い、イデコについてです。

前回、確定拠出年金について説明しましたが、このイデコは「個人型確定拠出年金」と呼ばれるものです。

前回同様、経営者の皆さんは、必要最低限を知っておけばいいと思いますので、概略をご説明いたします。

yjimage

まず、このイデコですが、実は平成29年1月から運用が変わりました

以前は個人事業主など、自営業者に限られた制度でしたが、サラリーマンや公務員、専業主婦など、基本的には全ての人が対象になるように変わりました。

 

イデコは、確定拠出年金ですから、払い出しは基本的には60歳以降しかできません。その制限がある代わりに、支払った金額が全額所得控除できるというメリットがあるのでした。また、運用は加入者本人が行います。また、受け取りについては年金で受け取れば「公的年金等の雑所得」となり、一時金で受け取れば「退職所得」となる。こうした点は、イデコと全く同じです。

基本的には前回の「確定拠出年金」と同じであると、まずは理解してください。

 

その上で、ではどういう特徴があるのかを箇条書きしてみましょう。

 

・20歳以上60歳未満だったらだれでも加入できる制度である。

・掛け金は月額5000円から始められ、1000円単位で掛け金を決められる。

・ただし、掛け金には上限がある(後ほど説明します)

・イデコに加入したい場合には、証券会社や銀行のイデコの相談窓口に行って加入する必要がある。

・口座管理手数料がかかる。

 

さて、掛け金には上限があるわけですが、この上限は、国民年金の何号の被保険者かによって変わってきます。

第一号被保険者、つまり基本的には自営業者の場合には、最大で月額6.8万円までかけることが可能です。第二号被保険者の場合には、少し複雑です。会社で「確定拠出年金」に加入している場合には、上限は2万円ですが、「確定拠出年金」に加入していない会社にいるのであれば、掛け金の上限は2.3万円です。公務員は1.2万円までしかかけられません。さらに、第三号被保険者の場合、上限は2.3万円となっています。

 

このように上限額に差があるのは、確定拠出年金が全額所得控除という税制上のメリットのある制度なので、他で加入している場合には二重に加入する形をとると不公平になってしまうことを考慮しているようです。

 

さて、私は顧問先には、イデコをご案内する際に、順番があるという話をします。

確かに、イデコは税法上のメリットも大きいですし、魅力のある制度です。検討する価値はあります。ですが、特に、小規模事業所の社長さんはイデコの前にまずは「小規模企業共済」というものがあります。これに加入することを検討するようにお話しています。

イデコ(というよりかは「確定拠出年金」といったほうがいいでしょう)のデメリットは、60歳になるまで払い出しができないことです。拘束されるお金だということです。だからこそ税制上のメリットを享受できるわけですが、その拘束されるお金というのが経営者にとっては厄介です。

小規模企業共済であれば、資金繰りに困った時には、貸出制度もありますし、途中解約して現金化することも可能です。イデコの場合には、原則的には途中解約して現金を引き出すことは出来ません。

 

小規模事業所の場合、「小規模企業共済」の次に「イデコ(iDeCo)」の検討という順番ではないかと私は考えています。



7月10日というと、実はいろいろと事務作業が多く、忙しい時期です。

算定基礎届、労働保険の年度更新、納期の特例(源泉所得税を半年に1回納付する方法)の源泉所得税の納付・・・

毎年、特に、小規模事業者にとっては忙しい上に、キャッシュが出ていくことが多いというのがこの時期です。

私の顧問先は従業員数が10名・20名程度かそれよりも少ない数の小規模事業所が多いため、どうしてもこの時期はこうした事務作業が多くなり、かなり忙しくなります。そのために、なかなかブログの更新もできませんでした。

私の趣味で声楽を勉強していて、その一環で合唱をやっているのですが、その練習にも参加できずにおりました。

yjimagePI2PIH68

さて、私の近況はさておき、今日は確定拠出年金についてです。

日本版401Kなんて言われたりします。

経営者の皆さんだったら、どこかで聞いたことくらいはあるのではないでしょうか?

しかし、どういうものなのか、よくわからないといった方が多いのではないかと思います。

経営者の皆さんからも質問の多いこの確定拠出年金について、私が顧問先の皆さんに説明するときのだいたいの概要について、書いていこうと思います。

 

まず、確定拠出年金というのはどういう位置づけのものか、わかりますか?

違う言い方をすると、なぜこういうものを企業が導入するのでしょうか?

 

これはまず、「退職金制度」の一環として導入しているということです。

確定拠出「年金」と言っていますが、「退職金制度」なんです。このことはまず理解しておきましょう。

 

企業の退職金制度というのは、従来は「基本給×功績倍率」なんていう形で計算しているものが多かったと思います。この功績倍率はだいたいが勤続年数によっているようなものです。この制度は、企業が退職金の支払い義務を負う形のものであることから、企業にとってはリスクになります。そのため、この制度をやっていたとしても多くの企業では時間をかけて移行しているというのが現状です。

また、「厚生年金基金」といったもの(いわゆる三階建ての年金)もありましたが、近年は厚生年金基金自体が運用がうまくいかないところも多いようです。

そこで、「確定拠出年金」です。これは、企業が掛け金を支払ったらあとの運用は本人に任されるものです。本人の負担と会社の負担があり、本人負担・会社負担がそれぞれ全額控除(従業員本人は全額社会保険料控除、会社側は支払ったものは全額損金)で、会社としては支払ってしまえばあとの運用は本人がやることなので、退職金の支払い義務が生じないというメリットがあります。

数年先の経営がどうなっているのか読めないような今の時代の経営には合っている制度であると言えます。

 

では、あとはどんな特徴があるのでしょうか?

箇条書きしてみるとよく理解できると思いますので、書き出してみましょう。

 

(本人にとっての話)

・確定拠出年金の口座はその会社を辞めても次に再就職した会社でも引継ぎできる。

・個人ごとにいくら残高があるのかを、ネットでいつでも確認できる。

・原則として、確定拠出年金の口座からの払い出しは60歳以降

・払い出し時に、一時金としてもらえば退職所得となり、年金形式でもらえば公的年金等の雑所得とみなされる

・厚生年金に加入している人は全員が対象

・支払った掛け金は全額、社会保険料控除

 

(会社にとっての話)

・運用が低迷しても、確定給付年金のように追加負担はない。

・確定拠出年金の支払いをすれば会社としては退職債務は負わない。

・支払った掛け金は全額所得控除

・月額55,000円が掛け金の上限

・あとから掛け金の減額は出来ない

・勤続年数が3年未満の社員は、退職時に掛け金相当額の返還を求めることができる

 

 

こんなところでしょうか。

経営者の視点からすれば、要するに、支払ってしまえば責任はないという実に簡単なところが確定拠出年金の一番のメリットと言えます。

 

概要だけでも少し理解できましたか?

いろいろと確定拠出年金のことを説明している本もたくさん出ていますが、経営者の皆さんは上記のような概要だけ知っておけば私はそれでいいのではないかと思います。

 

次回は、個人型確定拠出年金、通称iDeCo(イデコ)について、これも簡単に概要だけご説明することにします。



前回に続き、セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の話です。

yjimage

まず、最初に言っておきますとこれは税理士でも失念しているケースが多いので特に注意が必要な点です。

セーフティ共済は払ったら原則、全額損金計上というのは前回、お伝えした通りです。

ですが、税法的にはこれは正しくはありません。

実は、税法上は「原則:積立金、例外:損金(必要経費)」なんです。

えー、って思いましたか?

 

法人の場合、別表10(6)『特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書』に記載し、『適用額明細書』に条文番号等を記載して初めて損金計上できることになっています。

個人の場合には、こうした別表はないことから、任意の形式で『中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書』というのを書いて添付しないと必要経費にできないことになっています。

 

これはどういうことなのでしょうか?

 

実はどうも税務の考え方は、セーフティ共済というのは基本的には積立金と認識しているようなのです。

前回のブログで、セーフティ共済は積立金というイメージがあると書きましたが、税務はその考えを前提としておいているようなのです。

そのため、「損金(個人は必要経費)に計上するのであれば別表を添付する」となっているようです。

 

では、個人の場合の簡単な添付書類というのはどういうものでしょうか。これは本当に簡単なもので問題ないようです。

 

「平成〇年分確定申告において、租税特別措置法28条第1項二号に基づく中小企業倒産防止共済掛け金は次の通りです。○○円  ××太郎印」

 

とこんな感じの文章で作ったものを添付します。

 

ここまでやって損金計上(必要経費)できるということです。この別表や個人の場合の任意の書類添付については、冒頭に書きました通り、税理士でも失念の多いものであることも頭に置いておきましょう。

 

ちなみにですが、過去に出した申告書にこの別表や明細書が添付されていなかった場合ですが、即座に損金や必要経費の計上が否認されるというのは考えづらいかなと個人的には考えています。実務上は「今度からちゃんと出すようにしましょうね」という話で終わるような気がします。

ただ、あくまでも、規定上は別表や明細書の添付が要件とされていますから、その点は誤解のないように。

 

また、もう一点。

これも忘れがちですが、このセーフティ共済はかけらける金額に上限があります

累計で800万円です。それ以上はかけられません。

ということは、累計額でいくらになっているかの管理が別に必要になるということです。

「今期もセーフティ共済を掛けようと思ったら上限いっぱいで掛けられないと言われた」と後からわかってもそれで節税を図ろうとしていた場合、計算が狂います。

累計額については、毎年2月頃に中小企業基盤整備機構から掛け金累計額についてお知らせが来ます。セーフティ共済の累計額を表などで管理するのと同時に、毎年、その通知で改めて確認するようにしましょう。

 

ということで、2回にわたってセーフティ共済についての話でした。

 



経営者の皆さん、セーフティ共済(中小企業倒産防止共済とも言います)というのをご存知でしょうか?もしご存じなければ必ず知っておいた方がいいものです。この機会に概略だけでも知っておきましょう。

safty-hyousi

まず対象になるのは「1年以上事業を行っている中小企業」です。創業間もない事業者は対象外です。また、「一般消費者を取引先とする事業者、金融業者および不動産賃貸業者などは、取引先事業者に対する売掛金債権等が生じず、共済金の貸付けの対象とならない」となっている点も要注意です。

 

さて、まずこの共済制度がどんなものなのかということです。

運用主体である中小企業基盤整備機構の出しているセーフティ共済の説明文を以下に引用します。

 

貴方の会社が健全経営でも「取引先の倒産」という事態はいつ起こるかわかりません。経営セーフティ共済(正式名称:中小企業倒産防止共済制度)は、そのような不測の事態に直面された中小企業の皆様に迅速に資金をお貸しする共済制度です。」

 

つまり、この共済制度というのは、売掛金の相手先が倒産して売掛金が回収できなくなった場合、中小企業基盤整備機構がその回収不能になった売掛金の代金相当額のお金を貸してくれるというものです。貸すという話で、もらえるわけではないです。また、無利子で貸してくれます。ただし「貸付けを受けた場合、共済金の貸付額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛金から控除されます。控除された額に相当する掛金の権利は消滅します。」(中小企業基盤整備機構の説明文から引用)となっています。

つまり、共済の事由が発生してお金を貸してもらった場合、貸してくれたお金の10分の1は戻ってこないということです

 

このセーフティ共済のイメージですが、払ったお金が積まれている感じです

実際に共済の事由(売掛金の相手先の倒産)が発生したら、お金を貸してもらえますが、貸してもらったら貸してもらったうちの10分の1の金額は積んでいたお金からマイナスされる。こんな感じでイメージしていただければわかると思います。

 

また、私の関与先は介護事業所や治療院が多いわけですが、こうした事業の場合、売掛金の相手先が国保連や各保険者だったりするわけで、これが倒産するということはまず考えられないことです。つまり、こうした業種では、この共済の本来の機能を使うことはまずないと言えます。

 

さて、このセーフティ共済ですが、実際にはその共済制度自体というよりかは、節税を目的として加入することが多いです。(特に、介護事業所や治療院のような共済自体の本来の機能を使うことがないような業種ではほぼ、節税目的です。)

このセーフティ共済の掛け金は全額、損金(個人だったら必要経費)になります。払ったものが全額引けるわけです。さらに、40か月以上かけると、解約しても払ったものは100%戻ってきます。払っている間は全額損金(もしくは必要経費)で、40か月以上、かけていれば解約しても全額戻ってくる(戻ってきた場合には、全額収入計上【雑収入】)ため、税金が出るときに支払い、逆に赤字傾向の時に解約して現金化(収入計上)するような形を取れば、節税が図れるわけです。

 

また、解約はしたくないが、資金が必要というような場合、解約手当金の95%の範囲でお金を借りることも可能です。この貸付制度は仮に返せないとしても積み立てている共済金からマイナスされるだけですので、その意味でも利用しやすい制度です。

 

また、月額5,000円~200,000円まで5,000円刻みで選択できます。月払いにもできますが、年払いも可能です。

保険料というのは、セーフティ共済に限らず、原則、支払ったときに費用計上(損金計上)となります。そのため、私は顧問先には、決算月に加入し、年払いにすることをお勧めしています。決算月に年払い契約することで、毎年、決算前の状況を見ながら掛け金をいくら払うのかを検討できるからです。決算が厳しい状況(赤字決算)なのであれば、決算の翌月に支払って、次期の経費にすることも可能です。状況を見ながら今年はいくら払うか、もしくは払うのをやめて次期に繰り越すかを決められるので、決算月契約しに年払いにすることが私のお勧めです。

 

また、月額20万円までかけられることから、たとえば、20万円×12ヶ月分で240万円をいっぺんに支払ってもすべて経費計上されます。たとえば、月払いで月額20万円払っていて、決算月に翌年の12ヶ月分を前払いすると、合計で年間480万円支払うことになり、支払ったときに経費計上という点から、480万円すべて経費計上とすることも可能です。

 

ただし、前払いする保険料が1年を超えた期間になってしまうと、その期間に対応した部分のみが経費計上になりますので注意が必要です。

たとえば、平成29年3月決算の法人で、平成29年3月に平成29年4月~平成30年3月までの保険料を前払いしたのであれば全額経費計上が可能ですが、平成29年4月分~平成30年4月分(13か月分)を前払いしてしまうと、期間に対応する部分のみが経費計上になることから、平成29年3月決算ではすべて経費計上できないことになります。

この辺は、いつまでの期間について支払ったら経費計上できるのかという点はよく考えて検討すべきです。

 

セーフティ共済の特徴をもう一度まとめますと・・・

・売掛金の相手先が倒産したらその売掛金の金額の範囲内でお金を貸してもらえる。

・払ったときに全額損金計上(必要経費)、解約金を受け取ったら全額収入計上

・解約せずにお金を借りることもできる。

・月額5,000円~200,000円まで掛け金を選択できる

・40か月以上かけていれば解約しても払ったお金は100%お金は戻ってくる。

・月払い、年払いいずれも選択できるが、決算月に契約し、年払い契約にするのがお得

・13か月以上の分を前払にしてしまうと、今期の経費にはできず、次期以降の経費になる

 

こんなところでしょうか。

 

今日はこれぐらいにして、次回はこのセーフティ共済に加入した後の注意点などについて、書いていこうと思います。



今日は最近、とても質問の多い「住民税の特別徴収義務化」の話です。

yjimage

その前に、住民税の仕組みについて、基本的な話を理解しておきましょう。

住民税の支払いは基本的に前年の住民税を翌年度支払います。

たとえば、平成29年度(平成29年の6月以降)に支払う住民税は、平成28年1月から12月の所得に対しての住民税です。納付するのが1年ずれる。これは住民税の理解の基本です。

 

そして支払い方が2種類あります。「普通徴収」と「特別徴収」というものです。

普通徴収というのは、6月、8月、10月、2月の年4回です。(固定資産税や事業税など、他の地方税の納付がない月に住民税を徴収するという配慮があるようです)

一方、特別徴収というのは給与から天引きされる方法で、6月から翌年5月にわたって、年12回で給与の支払いをする会社で給与から天引きして支払う方法です。

 

今回の論点はこの「特別徴収」です。

実は、今までは会社は「普通徴収」にするのか、「特別徴収」にするのかは事実上、選択できました。つまり、会社側は「特別徴収にすると会社で給与から天引きして従業員の住民税を納付しないといけなくなる。事務負担が増えるから『普通徴収』にして住民税は自分で納付してもらうようにしよう」ということが可能だったわけです

それが、平成29年からは「特別徴収」という給与から天引きされる方法が原則になったわけです。つまりは、「特別徴収」というのは「特別」と言っておきながら、平成29年度からはこれを原則的な取り扱いにするわけです。

 

ほとんどの企業では、住民税の特別徴収、つまり給与から天引きするやり方をやっています。そのため、多くの企業(個人事業も含みます)では、別に従来と変わりがありません。

しかし、たとえば従業員数が5人未満の事業所だったりすると、住民税は「普通徴収」にして自分で納付してもらう形を取ることが多いです。そのような本当に小規模(従業員数5人未満のような)事業所では、単純に会社の事務負担が増えるだけだということで、「特別徴収」という方法を選択しなかったわけです。それが、平成29年からは、現在いる従業員に対しては、一律「特別徴収」にするとなったわけです。

 

では、どのような場合に「普通徴収」が選択できるのかという話です。これは、以下のような場合のみの話です。

 

普通徴収を選択できる場合

 

普A 総従業員数が2人以下

(他の区市町村を含む事業所全体の受給者の人数で、以下の普B~普Fの理由に該当して普通徴収

とする対象者を除いた従業員数)

普B 他の事業所で特別徴収

普C 給与が少なく税額が引けない。

普D 給与の支払が不定期(例:給与の支払が毎月でない。)

普E 事業専従者(個人事業主のみ対象)

普F 退職者又は退職予定者(5月末日まで)

(休職等により4月1日現在で給与の支払を受けていない方を含みます。)

※東京都のリーフレットを参照

 

このような理由がなければ原則として「普通徴収」は選択できないことになったわけです。住民税の「特別徴収の義務化」は「マイナンバー」の施行に合わせたものであると同時に、市区町村の徴税事務をやりやすくするという意味もあるのではないかと思います。

 

いずれにしても、「特別徴収」というのは避けられない制度改正ですので、これからは従業員の給与から住民税も徴収して納付しないといけないということはぜひとも知っておいていただければと思います。



2017年度の税制改正の大きな話として、配偶者控除の改正があります。

現在、配偶者控除を受けられるのが103万円であるのが150万円に変わるというものです。ニュースでも話題になっているのでご存知の方も多いことだと思います。3月27日の参議院本会議で賛成多数で可決され、正式に成立しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170327/k10010926701000.html

d3ee857bdab436a448729bbe9dfd0ebd_s

 

改正でますます複雑な印象を持たれる方も多いでしょう。

どこが改正されるのか、今後はどうなるのかを整理してみたいと思います。

 

まず、その前に、今回の改正は、平成30年から適用開始です。

平成29年は今まで通りです。いつから適用なのかは大事な点ですからまずはそこを確認しましょう。

 

その上で、配偶者控除は今は給与でいうと年間103万円です。それが年間150万円に拡大されます。これに伴い、配偶者特別控除も変わります。現在、配偶者控除がぎりぎり受けられない人、具体的には給与でいうと年間103万円以上141万円未満の方は、配偶者控除ではなく、配偶者特別控除が受けられます。103万円から控除額が徐々に少なくなり、141万円を超えたところで控除額がなくなります。

この配偶者特別控除の範囲は103万円を超え201万円までになります。

 

ただ、これは税法の改正であって、社会保険の扶養の基準に変更はありません。従来通り、130万です。また、今回の改正は所得税法の改正であって、住民税は変わりません。

 

こんな感じに書くと、どこがどう変わったの?と余計?がたくさんついてしまいますよね。

年間の給与の金額がいくらだったらどうなるのかを並べてみてみましょう。

 

年間給与100万円未満

住民税がかかりません。もちろん、所得税もかかりませんし、社会保険の扶養にもなれます。

年間給与100万円以上130万円未満

住民税はかかります。ただ、所得税の配偶者控除は受けられます。社会保険の扶養にはなれます。

年間給与130万円以上150万円未満

所得税の配偶者控除は受けられます。ただし、社会保険の扶養にはなれません。

年間給与150万円以上201万円未満

所得税の配偶者控除は受けられず、配偶者特別控除は受けられます。

 

従来と同じですが、配偶者特別控除は配偶者の所得が1000万円を超えると受けられません。また、社会保険の扶養についても、ご主人がお勤めの会社が社会保険加入者が501人を超えるような大企業の場合には、社会保険の扶養は年間給与が130万ではなく106万になります

また、配偶者(夫)の所得が1000万円を超えると配偶者控除は受けられなくなりました。従来は配偶者控除については特に所得の制限はありませんでしたので、この点も変わります。

 

ちょっとは整理がつきましたか?

 

繰り返しですが、この規定の適用は平成30年からになります。

来年の改正を踏まえ、今から対策が必要な方、よく考えておきましょう!