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Category Archives: 税務関連


今日のテーマは「経営力向上計画」です。まずは、「経営力向上計画」とは何かご存知でしょうか?この「経営力向上計画」は今後の中小企業の経営にとっては必要不可欠な重要なものになっていくと私は考えています。

 

では、そもそも「経営力向上計画」というのは何でしょうか?

これはざっくり言えば、「こういうことをこれからやって生産性を向上させるので、承認してください」というような内容のものをその事業を管轄する役所に提出します。その承認を受けると、大きくは「税制優遇」と「金融優遇」の二つが受けられるものと理解していただければいいでしょう。

「金融優遇」は主に日本政策金融公庫の融資で、金利優遇が受けられるというものです。これについては、また別の回に説明します。

税制優遇」のメインは「固定資産税の軽減」です。そして、もう一つあるのが「所得拡大促進税制」という法人税や所得税が安くなる制度が適用できるという点です。

今日はこの「税制優遇」の「所得拡大促進税制」の部分のお話をしていきます。

この話は改正になる「所得拡大税制」の話です。対象になるのは、平成30年4月1日以降に開始する事業年度、つまり、3月決算法人の来年の申告がスタートです。また、中小企業が対象になる部分のみをこのブログでは解説します。その点、ご了解ください。

 

この所得拡大促進税制というのはざっくりいうと、給与を増やすと法人税が安くなるというものです。現在もありますが、平成30年4月1日以降に開始する事業年度からは大きく制度が変わります。この新制度の方の所得拡大促進税制について、どのくらい安くなるのか、そしてどのくらい安くなるのか。これをこのブログで要点を解説してこうと思います。

 

この新しい「所得拡大促進税制」を理解するには、以下のような流れで、順に要件に当てはめていけばわかります。

 

継続雇用者給与等支給額が前年の継続雇用者給与等支給額よりも1.5%以上増加している

                 ↓

給与等の増加した額の15%を法人税額から控除できる(上限は法人税の20%)

                 ↓

継続雇用者給与等支給額が前年の継続雇用者給与等支給額よりも2.5%以上増加している

                 ↓

次の二つのいずれか一つをクリアしていたら、給与等の増加した額の15%ではなく25%を法人税額から控除できる(上限は法人税額の20%)

  1. 前年の教育訓練費よりも10%以上教育訓練費が増加している
  2. 事業年度終了までに「経営力向上計画」の認定を受けている

 

まず、基礎用語について理解が必要なものが一つあります。それが、「継続雇用給与等支給額」というものです。この「継続雇用者給与等支給額」というのは「雇用保険法第60条の2第1項に規定する一般被保険者に該当するもの」となっているので、要するに、雇用保険に加入している人を数えていきます。さらにこの「継続雇用給与等支給額」というのは前年と本年で24か月間、フルに在籍していた者が対象となっています

 

そうすると何となく理解できてきましたでしょうか?

 

前年と本年で2年間、フルに在籍している雇用保険に加入している社員の給与が、前年よりも1.5%増えていれば、増えた給与の額の15%が税額控除され、さらに、増加額が2.5%以上であれば、教育訓練費が前年よりも10%増加しているか、経営力向上計画を出してあるかすれば、法人税額から25%増加できるという流れです。

 

さて、ここで最初の話に戻ります。

「経営力向上計画」というのがなぜ重要なのかということです。

要するに、法人税(もしくは所得税)が安くなる制度の適用の可能性があるからということになります。

 

ちなみに、この所得拡大促進税制は適用が、平成30年4月1日以降に始まる事業年度です。個人にも適用されますが、個人の場合には、平成31年の確定申告からの適用です。

現在の所得拡大促進税制については、以前のブログをご参照下さい。↴

給与を上げて生産性が上がると税金が減る!助成金が増える!!

 

なお、経営力向上計画の詳細については、下記を参照してみてください。

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/

 

「経営力向上計画」というのは、税制や融資などの際に有利になる中小企業にとっては大きな味方になってくれる制度です。今後、ますます重要性を増してきます。このブログでも折に触れて、ご紹介していきたいと思います。

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さて、今日の話は従業員さんの給与を上げると企業にとってはどんな特典があるのかという話です。主には「所得拡大促進税制」の話と助成金の「生産性要件」の話です。この二つは同一線上にある話であるということを経営者の皆さんにはご理解いただければと思います。

税制と助成金。この二つに従業員さんの給与を上げる「昇給」というのは関係があるというのをまずはご存知でしたでしょうか。

まずは税制の「所得拡大促進税制」の話です。

これはざっくりいうと、前年よりも給与の支払額が増えて、1人当たりの給与も昨年よりも増えた場合、中小企業はその増やした給与の20%を法人税から控除できるというものです

給与を増やすと法人税が減るわけです。法人税が減ると法人事業税が減ります。法人税の金額に税率を掛けて計算するためです。つまり、実際には法人税の20%以上が減税になる仕組みになっています。

 

要件は主には次の三つです。

  1. 平成25年4月1日以降に開始する事業年度の一つ前の事業年度(これを「基準年度」といいます)と比べて中小企業の場合3%給与が増加していること
  2. 前年の給与の額<本年の給与の額
  3. 前年の一人当たりの給与の額<本年の一人当たりの給与の額

 

この要件を見てもお分かりの通り、要するに一人一人の給与を上げると適用できるのが所得拡大促進税制です。

 

また、この所得拡大促進税制は来年から仕組みが変わります。正確には、平成30年4月1日以降に始まる事業年度から変わります。

中小企業の場合、要件は主に次の二つです。

  1. 「前年の給与の額<本年の給与の額」の増えた割合が2.5%以上
  2. 次のうちのどちらかを満たすこと
  1. 教育訓練費が前年より10%以上増えていること
  2. 事業年度終了の日までに経営力向上計画を出していること

 

経営力向上計画というのは、認定支援機関で作成するものです。認定支援機関のほとんどが税理士事務所などの会計事務所です。この税制を使うためにも経営力向上計画が非常に重要になってきます。この辺の話はまた今度のブログで書いていこうと思います。

 

さて、一方で、生産性を上げるともらえるご褒美が助成金の「生産性要件」です。これは、3年前の決算と比べて生産性要件が向上すると助成金の金額が増えるというものです。

概略としては、以下の算式で計算した金額が3年前より増えていればいいというものです。

 

生産性= 付加価値(

    雇用保険被保険者数

付加価値=「営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課」で計算した金額。

※人件費に役員報酬は含まない

生産性要件については、以前のブログを参照してみてください↴

助成金が増える!「生産性要件」とは何のことか、ご存知でしょうか?

また、この生産性要件はいろいろな助成金に採用されています。次のようなものが代表例です。

  • (再就職支援関係)
    • 労働移動支援助成金
      早期雇入れ支援コース、中途採用拡大コース
  • (雇入れ関係)
    • 地域雇用開発助成金
      地域雇用開発コース
  • (起業支援関係)
    • 生涯現役起業支援助成金
  • (雇用環境の整備関係)
    • 人材確保等支援助成金
      雇用管理制度助成コース、介護福祉機器助成コース、介護・保育労働者雇用管理制度助成コース、人事評価改善等助成コース、設備改善等支援コース、雇用管理制度助成コース(建設分野)、若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)、作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
    • 65歳超雇用推進助成金
      高年齢者雇用環境整備支援コース、高年齢者無期雇用転換コース
    • キャリアアップ助成金
      正社員化コース、賃金規定等改定コース、健康診断制度コース、賃金規定等共通化コース、諸手当制度共通化コース、選択的適用拡大導入時処遇改善コース、短時間労働者労働時間延長コース
  • (仕事と家庭の両立支援関係)
    • 両立支援等助成金
      出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育児休業等支援コース、再雇用者評価処遇コース、女性活躍加速化コース
  • (人材開発関係)
    • 人材開発支援助成金
      特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コース、建設労働者認定訓練コース、建設労働者技能実習コース 
  • (最低賃金引き上げ関係)            
    • 業務改善助成金

実に、多くの助成金に生産性要件があるだけでなく、多くの事業所で適用可能性の高い助成金が実に多いこともわかります。

国の今の方向性は「一人当たりの給与を上げる」「生産性を上げる」です。これらをすると、税金が安くなり、助成金が増えるというおまけがつくよと言っているわけです。

国の方向性になるべく合わせるようにしていくことは、中小企業にとっては大きなプラスになります。経営をしていくにあたってはこうした国の方向性に合わせた経営から国から多くの恩恵を受けることは、よりいい経営環境で経営できることにつながります。経営者にとってはこうした時代感覚というのは非常に重要です。

「所得を上げる」「生産性を上げる」「同一労働同一賃金」。これが今の時代の流れです。「所得を上げる」というのが今回紹介した所得拡大促進税制であり、最低賃金の引き上げです。「生産性要件」というのが今回紹介した助成金の生産性要件であり、経営力向上計画です(経営力向上計画はまた今度説明しましょう)。「同一労働同一賃金」がハマキョウレックス事件の最高裁判決であり、キャリアアップ助成金です。

次回も引き続き、こうした時代の要請という観点から見ていこうと思います。



私の出身は新潟県の柏崎です。

知る人ぞ知る話なのですが、柏崎の花火大会というのは全国的に見ても大変、大規模な花火大会です。私も東京に来てもう20年以上になってしまい、高校生まで柏崎に住んでいた期間よりも長くなってしまいました。柏崎にいたころには全く知りませんでしたが、柏崎の花火大会は私の郷土の自慢の一つなんだなあと今になって思います。

その柏崎の花火大会が今日ありました。BSフジでは生放送されていました。

この花火大会にある「協賛金」の税務上の取り扱いを考えていきましょう

花火大会を開催するにあたっては、たいていスポンサーを募ります。そのスポンサーになった企業側の会計処理(税務処理)の話です。

花火大会の「協賛金」の税務処理は主に3つあります。

 

「広告宣伝費」で処理する場合

これはわかりやすいです。花火大会の協賛金が「広告宣伝費」になるのは、花火大会のスポンサーであることをPRできれば「広告宣伝費」として取り扱えます。パンフレットにスポンサー企業として載せてもらえるとか、花火を上げる際にスポンサー企業の名前としてアナウンスしてもらえるとか、不特定多数の者の目に触れる形があれば、「広告宣伝費」として処理できます

「広告宣伝費」は100%経費計上できる項目であり、なおかつ、消費税の課税仕入れとして消費税を控除できる項目です。会社の処理としては、花火の協賛金はなんとかして「広告宣伝費」として処理したいところなわけです。

 

「交際費」で処理する場合

これは、広告宣伝という意味程ではないものの、地元の企業として円滑に事業を進めるために必要に迫られて協賛金を出した、というようなケースだと「交際費」として処理します。

花火大会のプログラムに企業名を載せるとか、花火を打ち上げる際に企業名を言ってもらえるとなれば、上記の「広告宣伝費」になるでしょうが、そこまではいかないケースです。

「お付き合い」や特定の取引先の関係で支出した協賛金であれば「交際費」でしょう。

ちなみに、「交際費」になってしまうと、全額損金に計上できるとは限りません。中小企業の場合には800万円までは全額損金算入されますが、大企業の場合には損金算入には限度額があります。

消費税は、事業を円滑に進めるためという目的なのであれば、課税仕入れとして消費税を控除できるでしょう

 

「寄付金」として処理する場合

広告の意味合いもなく、事業を円滑に進めるという目的もなく、支出したものは「寄付金」として処理します。寄付金は損金算入できる限度額があり、全額損金算入できるわけではありません。

(資本金の額×当期の月数/12×2.5/1000+所得の金額×2.5/100)×1/4=損金算入限度額

この限度額の範囲でしか損金算入されません。

また、寄付金となった場合、消費税の課税仕入れとして消費税を控除することは難しいでしょう

 

また、これらの協賛金をお金を出すのではなく、お酒だったり商品券だったりといった物品で出すこともあると思います

物品で出しても処理の考え方としては同じです。不特定多数の者の目に触れる形であれば「広告宣伝費」ですし、特定の企業に対して、取引先の手前、支出したのであれば「交際費」、これらの利害関係がまったくなければ「寄付金」です。

ただ、物品で支出した場合、注意点は「商品券」や「ビール券」などの金券で支出した場合です。金券を渡した場合、これは消費税は仕入れ税額控除できません。「広告宣伝費」に該当する支出であっても、「商品券」を渡したのであれば、消費税は引けないということになります。

 

まとめますと、花火大会などの協賛金は、会社側としては

 

広告宣伝費>交際費>寄付金

 

の順で考えたほうがいいです。

その際、どういう基準で分けるのかというと、協賛金の意味合いの程度です。

 

企業名などが不特定多数の者の目に触れる>

特定の取引先などのために協賛金を支出した>

特に広告や事業の円滑化などの目的があったわけではない

 

上記の順に「広告宣伝費」「交際費」「寄付金」として処理されることになります。

 

会社としてはなるべく「広告宣伝費」として処理したいところでしょう。

また、消費税の経理処理も寄付金であれば控除できませんが、広告宣伝費や交際費であれば控除できます。

そうしたことを考慮すると、たとえば、企業名を何らかの形で載せてもらうなど、不特定多数の者の目に触れるというのが重要になります。

花火大会以外にも、盆踊りなどの夏祭りなど地域のお祭りごとにも当てはまります。

是非、知っておきたいところです。



前回は退職金の源泉徴収の話をしました。

今日はその続きです。

退職金の源泉徴収は計算が終わるとやれやれという感じで、では源泉を引いて支払います、となるんですが、一つ忘れてはいけないものがあります。

退職金は所得税の源泉徴収もありますが、住民税もあるんです

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退職金の源泉徴収は中小企業だとそもそも発生しないケースがほとんどです。

だいたい退職所得控除額の中に収まります。

 

勤続20年未満の人だと、40万円×勤続年数までは源泉徴収が発生しないので、あまり退職金を払って源泉徴収が発生するケースが多くないんです。勤続10年だと400万以上支払わないと発生しないわけです。

中小企業というと、従業員数が100名未満のようなところが多いですが、そういうところで、上記の金額を超えるようなケースってそうそうないわけです。

 

それはともかく、仮に、源泉徴収税額が発生したとすると、十中八九、ほぼ住民税も発生するはずです。

 

ですが、恐れることはありません。

所得税の退職金の源泉徴収の金額が出ていれば、住民税の源泉徴収の金額は簡単に出ます。

 

 

退職金の源泉徴収を計算するには次の算式で計算します。

(退職金の額-退職所得控除額)×1/2

千円未満は切り捨てします。

 

ここまでは一緒です。住民税の場合は、

この金額にただ10%かけるだけです

 

前回の例でいうと、退職金500万円、勤続10年の人だったら次のようになります。

 

(500万円-40万円×10年)×1/2=50万円

50万円×10%=5万円

 

住民税は5万円です。

この住民税5万円はその従業員の住んでいる市区町村に納めます。

特別徴収しているのであれば、給与から差し引いて支払う納付書がありますよね。その納付書に「給与分」「退職金分」とかあると思います。そこに金額を書いて納付します。

 

納付期限は支払った月の翌月10日までです

 

それから、このケースで実際に税金を引いた後の本人へ支払う金額は

 

5,000,000円-25,525円-50,000円=4,924,275円

 

となります。

 

退職金というのは、源泉徴収があったり、住民税もあったり実はややこしいです。

ここでは書きませんでしたが、たとえばその退職者が障がい者だったりすると計算方法が少し違ったりもします。

 

退職金は、源泉徴収のことをよく確認してから支払うようにしましょう。



7月10日までは何かと事務処理しなければならないことが多く、忙しかった方も多いことと思います。私もそうでしたが・・・

さて、今日は退職金の税金の話をしていこうと思います。

退職金の税金は普通の給与の税金とは全く計算の方法が異なります。どのように計算してどのように納付していったらいいのでしょうか。

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まず、所得税の計算方法についてです。

 

退職金の税金のポイントは三つです。

まず、一つ目は退職金の税金は「(退職金の額―退職所得控除額)×1/2」で計算します。

では、退職所得控除額はどのように計算するのでしょうか。

 

勤続年数が20年未満か、20年以上かによって金額が変わります。

20年未満・・・勤続年数×40万円

20年以上・・・800万円+(勤続年数―20年)×70万円

この勤続年数は1年未満の年数は1年に切り上げして計算します。納税者有利の計算方法になっています。

 

ちなみに、この「退職所得控除額」は最低でも80万円となっていますから、逆にいえば、退職金の額が80万円未満の場合、計算しなくても退職金の税金はゼロになることがわかります。

 

さて、具体的な金額で考えてみましょう。

たとえば、退職金が500万だったとして、10年勤続だったとします。

そうすると、(500万円―400万円)×1/2=50万円となります。これに累進課税を掛けるわけです。

A 課税退職所得金額 B 税率 C 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

計算して出た金額を上記の表に当てはめて税額を出します。

この場合、税額は50万円×5%で、25,000円となります。

さらに復興所得税がありますから、102.1%を掛けます。ですから、税額は25,525円となります。

この最後に102.1%を掛けるのを忘れないようにしましょう

 

計算の仕方はご理解できましたでしょうか?実はそれほど複雑な計算はしていません。

 

さて、この税金ですが、どのように納めるのでしょうか?それが二つ目です。

退職金の所得税は源泉所得税の納付書で納めます

原則の納付は、源泉徴収した翌月10日までに納めます。給与の支給人員が常時10人未満

の場合、納期の特例の届け出をしていれば、1月~6月の給与の源泉所得税は7月10日までに、7月~12月の給与の源泉所得税は翌年1月20日までに納付する形になります。

この源泉所得税の納付の時に一緒に納めるわけです。

納付書に「退職手当等」の欄がありますから、ここに記載して納付します

 

最後に、書類です。

退職金の税金のこの計算方法は「退職所得の受給に関する申告書」を提出して初めてできる計算方法です。この「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合には、退職金の金額×20.42%を計算して納付します。

そして、「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合には、「分離課税」といって確定申告をしなくても税額の精算が終了したものとします。つまり、確定申告が不要になるわけです。一方で、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合、20.42%の税金を源泉徴収されるわけですが、この場合には、確定申告することによって税額精算する必要があります。

 

このように3つのポイントごとに整理すれば、実は退職金の所得税はそれほど難しくないことがわかると思います。

次回は、退職金の住民税について説明していこうと思います。



この時期は税金の出費が多い時期です。また、事務処理すべき書類が多い時期でもあります。そのことは把握していますでしょうか?

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どんなものがあるのか、まとめてみました。

 

労働保険の申告納付・・・6月1日から7月10日

算定基礎届の提出・・・7月1日から7月10日

源泉所得税(納期の特例)の納付・・・7月10日

固定資産税の納付・・・6月末

普通徴収の住民税の納付・・・6月末

 

これらに加えて、算定基礎届に関しては、新規に社会保険に加入した事業所は社会保険の調査の案内が来ていると思います。また、算定基礎届にあわせて、調査対象になっている事業所もあるはずです。算定基礎届の提出時に、賃金台帳などの書類を用意しないといけません。

 

この他にも治療院の場合、「事業税のお尋ね」が来たりしていると思います。保険診療と保険診療以外の内訳のお尋ねです。この回答もだいたい今の時期です。

介護事業所の場合、7月は処遇改善加算の報告書の提出があります。ほぼすべての介護事業所で該当するはずです。提出期限は7月末です。

 

このように提出すべき書類や支払うべき税金が多いのがこの時期なのです。

これらについて、次回以降、順番にこのブログでご紹介していこうと思います。



今日は青色申告会についてです。

青色申告会、名前くらいは聞いたことがあるでしょうか?これはいったいどんな組織なのでしょうか?加入したほうがいいものなのでしょうか。

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まず、青色申告会とは、どういう組織なのでしょうか。

全国青色申告会連合会のHPから以下を抜粋しました。

「「青色申告会」は個人事業主を中心として組織される納税者団体です。「税は公平でなければならない」というシャウプ勧告をもとに、納税者が自主的につどい、結成されました。 それから今日に至るまで、青色申告会は正しい申告・納税を勧め、公平な税制の創設、社会保障制度の改善を要望し、税制改正史上数々の成果をあげてきました。全国各地の青色申告会は、会員の中から選ばれた役員を中心に自主的・民主的に運営されています。その活動は会ごとに特徴をもち、後継者専従者や若手経営者を中心とした青年部や、配偶者専従者を中心とした女性部が組織されるなど、多彩な活動を展開しています。」

 

今でこそ当たり前になっている、自分で申告書を書いて納税するというやり方をスムーズに進めるために作られた組織なわけです。青色申告会があったからこそ今の申告納税制度が確立されたといっても言い過ぎではないかもしれません。

 

さて、そうした経緯のある青色申告会ですが、青色申告会というのは何をやっているのでしょうか?

 

基本的には個人の申告の手伝いをしてくれる組織です。帳簿の作成の指導や確定申告のお手伝いをしてくれるというのが青色申告会の中核業務です。ただ、領収書を整理したり、基本的な帳簿をつけたり、といったことはご自身でやらないといけません。青色申告会ではそこまではやってくれません。また、経営相談というのもやってくれると青色申告会のHPには書いてはありますが、基本的な業務としては帳簿の作成指導、確定申告書の作成のお手伝いです

青色申告会では、確定申告書を作ってくれるわけではありません。あくまでも確定申告書を作るのは納税者自身です。その手助けだったり、チェックだったりをするのが青色申告会です。直接的に確定申告書を作ってしまうと、税理士法違反になってしまったりということもあるのでしょう。

 

また、青色申告会というのは税務署ごとに組織されています。加入することを検討されるのでしたら、住所地の管轄の税務署に行ってみてください。その近くにあるはずです。

 

会費は入会される青色申告会によって多少、違うようですが、だいたいが入会金で1,000円あとは年会費で年額18,000円程度のようです。

 

さて、このような組織が青色申告会ですが、入会したほうがいいのか、どのように考えたらいいのでしょうか?

 

まず、基本的には税理士に依頼されている方は加入しなくていいと思います。青色申告会の加入意義は確定申告だからです。確定申告を青色申告会でみてもらえる。これが青色申告会の最大の特徴です。税理士にすでに依頼しているのでしたら、青色申告会に改めて加入する必要はあまりないです。

税理士に依頼しておらず、確定申告に多少、不安があるのでしたら加入したほうがいいでしょうまた、法人の申告は税理士に依頼していて、個人の確定申告はご自身でやっているような場合、個人の確定申告をみてもらうのに青色申告会に入っておくというのもあるかもしれません

 

また、法人の場合には青色申告会ではないです。青色申告会の対象は基本的には個人の申告です。法人の場合、「法人会」という別の組織があります。では、法人会とはどんな組織なのでしょうか?

法人会のHPには次のように書かれています。

「法人会は公平で健全な税制実現のため、会員企業の声を立法府等にアピールするとともに、税の啓発や租税教育を積極的に進めています。」

 

法人会というのは、私はよく「交通安全協会」みたいな組織と説明しています。

(こんなことを言ったら法人会の人に怒られるかもしれませんが)入っていても特段、何かのサービスを受けられるというわけでもないのです。あえて言えば、税制改正などの情報が入ってくるのが特長でしょう。経営相談もされているようですが、経営相談は商工会議所や青色申告会なんかでもやっています。「法人会」の特徴とまではいえません。

 

会費は、個人の場合には月額500円、法人の場合には資本金の金額によって月額500円~4,000円といったところです。

 

また、よく法人会に加入していると税務調査が来なくなるといったことを言われる方がいらっしゃいますが、基本的にはあまり関係はないと思います。やはり、税制改正などの税の情報が得られるのが最大のメリットなのでしょう。ただ、それも税理士と顧問契約しているのでしたら顧問税理士から情報をもらえばいいとは思います。

 

前回のブログで、商工会議所(商工会)について書きました。今日のブログでは、青色申告会と法人会について書きました。入ったほうがいいのかどうなのか?

このブログを参考にしてみてください。



4月・5月くらいの時期というのは、意外と税務調査が多い時期にもなります。確定申告が終わってひと段落したから今度は税務調査ということもあるのかもしれません。ですが、5月にもし税務調査があったとしたら、納税者側には割と有利になります。これは経営者の皆さんは知っておいてもいいことでしょう。

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通常、税務調査というのは申告書を提出してから2か月・3か月~6か月くらいのタイミングで来ます。5月に税務調査があるということは9月決算~12月決算辺りの会社か、早いと1月の決算の会社もあるかもしれません。個人の確定申告の税務調査は、申告書を提出したばかりですから、もう少し先かもしれません。

 

さて、冒頭の5月の税務調査が納税者に有利とはどういうことでしょうか。

 

その前に、税務署の事業年度はご存知でしょうか?6月末までが事業年度です税務署は7月を最初にして6月末で事業年度が終わりになっています。普通の会社とはちょっと違います。

つまり、税務署としては「今取り掛かっている税務調査は何としても6月末までには税務調査は終わらせないといけない」という事情があるわけです。税務調査というのは、税務調査に入った後、その後の納税者や税理士との細かいやり取りがありますから、6月末までに終わらせるということは実質的には6月の初旬にはある程度、目途をつけないといけないわけです。

調査官も異動があります。調査が途中なのに違う税務署に異動してしまっては大変です。税務署側にはリミットがある。終わりがあるのですから、あまり突っ込んだ話にはならないということは往々にしてあります。そのために、納税者側に有利になるという話なわけです。

また、税務調査の最中でなかなか進まない案件というのもあります。仮に5月くらいでそういう案件があると、他の調査官が入って手伝いをするというのもあるようです。そうまでしても、税務署の事業年度内に終わらせたい。これが税務署側の心理なわけです。

 

逆に、7月以降になってしまうとどうでしょうか?

税務署にとっては新年度になりますから、時間はあるわけです。税務調査が7月以降になってくると、今度は逆に納税者側に不利になる可能性があります。しかし、実際には、7月になったばかりというのは引継ぎがあったりしますし、新人の調査官も7月から入ってきます。会計事務所に勤務していた頃、たまたま7月1日に税務署に用事があって行ったら新人と思しき調査官が職員さんの前で挨拶をしている風景に出くわしました。そうした事情から7月に税務調査というのはそもそも少ないように思います。

 

いずれにせよ、税務署は6月末で事務年度が終わるということは知っておいて損はないことだと思います。



今日は犬や猫は経費で落とせるのかという話です。

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実はこの相談は受けることがたまにあります。犬を扱う商売の場合は、これは商売に直結するものですから、当然、経費計上できます。では、本来の業種が犬とは関係のない業種の場合でも、経費計上できるのでしょうか?

また、経費で計上するにしてもどういう勘定科目でどうやって経費に計上するのでしょうか?

 

牛や豚などの生き物は、その取得価額が30万円以上の場合、「生物」という勘定科目で資産計上します。一方で、犬や猫は同じ生き物ではありますが、「備品」として資産計上します。犬や猫が「備品」?と思われるかもしれませんが、税法上の扱いは「備品」です。また、30万円以上は資産計上ということは、逆に「30万円未満の場合には資産計上ではなく、経費で落とせるの?」と思いましたでしょうか?その通りです。青色申告の場合、10万円以上30万円未満のものは「少額減価償却資産」としてその購入した期に一括で経費計上できます。(10万円未満であれば「消耗品費」として経費計上できます)

 

減価償却資産になった場合、何年かにわたって経費に計上していくことになります。では、何年で減価償却を計算する(つまり、耐用年数は何年)でしょうか。

 

犬や猫は、税法上の「備品」の「その他」に該当するため、8年です。8年で経費に計上していくわけです。ちなみにですが、熱帯魚も「備品」の仲間に入ります。熱帯魚の耐用年数は2年となっています。

 

さて、冒頭に、犬を扱う商売ではない業種で経費計上するご相談を受ける場合があるという話をしました。では、犬を扱う商売ではない場合でどんな場合に経費計上できるのでしょうか。

 

たとえば、そのお店の看板犬だったり、番犬になっているようなケースが該当するでしょう。お店の看板ですから売上にも貢献しているというわけです。また、会社で飼われていて、社員全員で面倒を見ているようなケースでも「備品」として資産計上が認められるでしょう。

一方で、単なるペットとして飼われている場合、たとえば、たまに仕事場に連れてくる程度の場合には、経費計上するのは難しいでしょう。

「会社の犬」なのか、「個人として所有している犬」なのか。線引きが難しい話ですが、「会社の犬」として経費計上する場合には、会社で飼っているという実態が必要だということです。

要するに、業務との関連性がどの程度あるのかによってくるわけです

 

また、その「会社の犬」のフードやペットシーツといったものは経費に計上できるでしょうか?

その犬が看板犬だったり、会社で飼われている犬なのであれば、問題なく計上できるでしょう。ここでも、業務の関連性が高い犬かどうかが問題なわけです。業務との関連性が高ければ、それに伴う費用ということで、ドックフードやペットシーツ、犬用の寝室であるクレートなども経費計上できるということになります。

 

さて、ここまでの話はそれなりに知られている話です。

ここからは税理士でも知らない人が多い話です。

 

では、犬や猫は償却資産(固定資産税)はかかるのでしょうか?

 

土地や建物は所有していると固定資産税がかかります。土地や建物以外でも、減価償却資産を所有しているとかかってくるのが、「償却資産」です。内装工事の費用だったり、パソコンや机などの備品、機械などが税金がかかる対象資産です。

 

さて、固定資産税について規定している地方税法ではどのように規定されているのでしょうか。その記述の一部を抜粋します。

 

次に掲げる資産は固定資産税の課税客体(固定資産税が課税される対象)とならない。

・自動車税、軽自動車税の課税対象となる自動車等

・・・・

・牛、馬、果樹その他の生物

 

牛や馬は勘定科目は「生物」です。ですが、犬や猫は勘定科目でいうと何でしたでしょうか?そうです。「備品」でした。つまり、「生き物」ではありますが、税法上の「生物」ではありません。ということは、や猫も償却資産となって、固定資産税がかかるわけです。

牛や馬は固定資産税がかからずに、犬や猫は固定資産税がかかるというのはなんだか変な感じもしますが、税法通りに解釈するとそうなるわけです。

 

ちなみに、10万円以上30万円未満の「犬」で、青色申告の場合の「少額減価償却資産」として1回で、購入した年に経費計上しているものについては、これは償却資産として申告する必要があります。つまり、10万円以上の犬は業務用の犬とした場合、「償却資産」として固定資産税がかかるわけです。

 

ということで、今日は「犬」の経理処理についてのお話でした。



確定申告が終わりました。確定申告作業をされた皆さん、大変お疲れ様でした。

私もなかなかブログを更新できず、日々、追われる毎日でした。

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「期限までに申告できなかったらどうなるのですか?」

確定申告でときどきいただくことのある質問です。

そもそも期限までに申告することがまずは大事なのですが、何らかの事情で期限までに申告できなかったりということも考えられます。

 

期限までに申告できない場合、どのような不利益があるのでしょうか。

これは、税額が出る場合とでない場合とに分けられます。

 

まず、税額が発生する場合には、加算税という余計な税金が発生します確定申告で出た税額の10%です。10万円だったら1万円ということです。その他に、延滞税がかかります。期限から2か月までは年利2.6%ですが、2か月過ぎると年利14.6%と恐ろしく高い利率になります。

 

税額が発生しない場合、こうした加算税・延滞税は発生しないわけですが、青色申告の場合、2年続けて期限後申告となると、青色申告が取り消されてしまう可能性があります。青色申告が取り消されてしまうと、青色申告特別控除(10万円もしくは65万円の控除)や、30万円未満の資産は購入時に費用処理できることなど、様々ある青色申告の特典がなくなってしまいます。

 

また、そもそも3月15日が期限というものではないものがあります

税額を戻す「還付申告」です。

国税庁のHPによると、還付申告を次のように説明しています。

「確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税した所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税が還付されます。この申告を還付申告といいます。」

給与所得者はそもそも確定申告をする義務はありません。年末調整でいったん税額が確定しているからです。その申告義務のない人が、たとえば医療費控除やふるさと納税などの寄付金控除、あるいは住宅ローン控除などをして税金の還付を受ける場合、税金が還付になります。それらのことを「還付申告」と言っているわけです。その「還付申告」の場合には、そもそも3月15日が期限ということではないのです。

 

確定申告書の提出時期は、2月16日~3月15日ですが、還付申告の場合には、翌年1月1日から提出できます。そこから5年の間に提出すればいいのです。

ですから、たとえば、平成29年の還付申告の提出期限は、平成34年(2022年)12月31日ということになります。

 

「住宅ローン控除があるのに申告するのを忘れていた。もう税金は控除できないのかなあ・・・」と思う必要はありません。3月15日を過ぎても還付申告であれば問題ありません。

 

ただ、事業所得や不動産所得のある人が、税額が還付になる場合には、これは還付申告とは言えません。事業所得や不動産所得のある人は、申告義務がない人ではないからです。給与所得者のように申告義務のない人が還付を受ける場合には、「還付申告」となるため3月15日が期限ということではないということです。

 

ちなみに、この還付申告の期限の5年というのは、国税の還付請求の期限のため、5年が延長されることはありません。

 

ということで、今日、終わったばかりの確定申告の期限の話でした。