さて、この2月から介護事業所は新たな処遇改善加算の対応を迫られることになります。
「介護職員処遇改善支援補助金」です。
昨日、1月31日付で厚労省からこの新たな処遇改善加算について、Q&Aが出ました。これによって概要がようやくわかりました。今日はそれについて要点のみをかいつまんで書いていこうと思います。
この「介護職員処遇改善支援補助金」とは、令和4年2月から9月までの間、介護職員の処遇改善を図るために交付されるものです。介護職員1人当たり9000円を昇給の目安としたものとしています。あたり前の話ですが、これは事業所に対して交付されるわけではなく、事業所を通じて介護職員に交付されるものです。
目的は介護職員の処遇改善です。ですから、たとえばこの補助金を使って社員の福利厚生目的の旅行に行くとか、研修費用に充てるとかといったことは許されません。あくまでも職員の給与として渡す必要があります。
さて、1月31日に発出されたQ&Aから次のようなことがわかります。
まず、この補助金は支給額の3分の2以上は基本給や毎月変わらない手当で支給することを要求しています。逆に言えば、3分の1までは毎月の給与ではなく、賞与で支給してもいいという話です。
毎月の基本給や手当で支給するということは、賃金規定などの改定をする必要があることになります。この賃金規定の改定は3月までに行う必要があるので、介護事業所としてはすぐに取り組む必要があるということになります。
また、基本給や毎月変わらない手当で支払う必要があるという点は、逆に言えば、毎月変動のある手当として支払う形はとれないということになります。
介護職員の給与のベースアップが目的にあるということです。
そして、支給対象者です。原則的には介護職員である必要があるでしょうが、特に、介護職員に限定しているということではなさそうです。ということは、事務職員だったり、ドライバーや看護師などであっても支給対象としてもいいことになりそうです。
この点は、特定処遇改善加算の場合には、介護福祉士の資格のある介護職員、それ以外の介護職員、介護職員以外という3つの区分に分けて支給額を傾斜配分していくのと異なります。ただし、名称からして「介護職員処遇改善支援補助金」なので、介護職員以外への配分は大きくなりすぎないように注意が必要でしょう。
次にいくら交付されるのかです。
「ある月の総報酬額×交付率」で計算されて補助金が交付されます。
交付率はサービスの内容によって異なりますが、訪問介護だと2.1%、デイサービスだと1%・・・などとなっています。総報酬額にサービスごとの交付率を掛けるだけなので、計算自体は単純です。また、2月のサービス提供分から交付されるということなので、2月と3月の分はまとめて賃金改善分を職員に支給する必要があります。賃金規定を改定し、すぐに交付する形にしないといけません。
そして、今年に関しては、この補助金があるために処遇改善加算計画書は提出期限が4月15日となっています。つまり、4月15日までに、処遇改善加算・特定処遇改善加算とともに、今回の「介護職員処遇改善支援補助金」の計画書を提出することになります。
またこの補助金に対しての実績報告書は令和5年1月に提出する必要があります。
最後に、この「介護職員処遇改善支援補助金」ですが、令和4年9月分までとなっています。では、10月以降は補助金がなくなってしまうのかという疑問があると思います。基本給や毎月の手当は上げておいて、補助金が9月まででなくなってしまったのでは、いってみればはしごを外される形になりはしないのかという疑問です。
これについては、10月以降はこの「介護職員処遇改善支援補助金」は加算に変わって支給されるということになるようです。
9月までは補助金として支給され、10月以降は加算として支給されるということは、9月までは利用者さんの負担金に変化はないわけですが、10月以降は利用者さんの負担金が増えるということにもなります。
また、10月以降加算に変更するということは、8月までに加算の届け出を出す必要があるということにもなります。この辺については、時期が近くなったらなんらかの案内があると思いますので、その情報に注意する必要があるでしょう。
介護職員の人材確保は年々、困難になってきています。そうした状況の中、介護職員の人材確保には処遇改善金を上手に使っていくことは必須です。この2月から始まる処遇改善支援補助金も上手に使うことは介護事業所にとっては重要な案件となります。そのためにまずは賃金規定の改定の検討を早急に行う必要があります。介護事業所の経営者の皆さん、早速、検討してみてください。
ということで、今日は処遇改善支援補助金の話でした。