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今日から運用開始のマイナンバーの健康保険証利用の話です。

 

マイナンバーカードの保険証運用が今日、10月20日から始まります。このマイナンバーカードの保険証利用(通称「マイナ保険証」)は国が進める医療のデジタル化の一環で、カードの読み取り機のある医療機関や薬局で使用できるものです。

 

マイナンバーカードを保険証利用するためには、まずはマイナンバーカードを作成する必要があります。そのうえで、「マイナポータル」という専用サイトにアクセスして「保険証利用」に同意する必要があります。登録するには、パソコンとマイナンバーカードを読み取るカードリーダーというのが必要です。マイナAPというソフトがダウンロードされていなければそのソフトのダウンロードも必要となります。また、マイナンバーカードを作ったときに設定した4桁の暗証番号も必要となります。

それから、今までどおり健康保険証でも医療機関を受診することができますので、マイナンバーカードを保険証利用したとしてもその後、健康保険証が利用できなくなるということはありません。

 

「マイナ保険証」のメリットは、本人の同意があれば医療機関や薬局が本人の薬の使用歴を確認できたりする点です。

例えば、特定検診情報が医療機関で共有化されることになります。特定検診情報とは、40歳から74歳までの方を対象に、メタボリックシンドローム に着目して行われる健診結果の情報です。 75歳以上の方については後期高齢者健診情報を医師等が閲覧できるようになります。

また、薬剤情報も共有化されます。薬剤情報とは、医療機関を受診し、薬局等で受け取ったお薬の情報です。過去に処方されたお薬の情報 (調剤年月日、医薬品名、成分名、用法、用量など) です。この薬剤情報には、注射・点滴や入院中等の情報も含まれます。令和3年9月以降に診療したものから閲覧が可能となり、 過去3年分の情報が参照可能となります。

 

医療機関側にとっても患者さんのデータがマイナンバーカードから連動されることから事務負担の軽減につながるというメリットもあります。保険診療を受けることが出来る患者かどうかを即時に確認することが可能となり、 レセプトの返戻が減ります。また、窓口の入力の手間も減ります。

 

このように、マイナンバーカードを利用したこうした取り組みはその利用が多岐にわたることから「医療のデジタル化」と呼んで活用が期待されているわけです。

 

しかし、現在、マイナンバーカードの対応ができる医療機関は全体の約8%程度のようです。

また、マイナンバーカード自体の普及率が約4割程度であり、まだ持っていない国民の方が多いのが実態です。

 

また、医療機関側もこの「マイナ保険証」に対応するには専用のカードリーダーを用意する必要があります。

マイナンバーカードを利用した受付方法は3つあります。

一つは「顔認証付きカードリーダー」での確認、受付での「目視」の確認、「暗証番号(4桁)」の入力をしてもらうことでの確認の3つです。

 

顔認証付きカードリーダーは診療所・薬局には1台まで、病院は3台までの導入は無料でできます。ただ、これらの情報をレセプトに連動させるためのシステムの改修費用については導入しているシステムによって上限があるようです。レセプトのシステムについてはそれぞれのレセプトのベンダーさんに確認する必要があるでしょう。

 

また、柔整・鍼灸マッサージの施術所では、当初はマイナ保険証の利用はできません。厚生労働省によると、早ければ令和4年からスタートできるように準備しているとのことです。

 

私も試しに「マイナ保険証」の登録をやってみましたが、マイナンバーカードとカードリーダーがあれば、それほど難しくなく登録ができました。マイナンバーカードをお持ちの方は試しに登録してみてはいかがかと思います。

これからますますマイナ保険証の利用が増えることが予想されます。まだマイナンバーカードを作っていない方はまずはマイナンバーカードを作ってみていただいて、マイナポータルから保険証の登録をやってみてはいかがかと思います。



先日、会計検査院の調べで個人の方が倒産防止共済を経費にあげている場合に必要な書類が添付されていない申告書が多く見受けられたという指摘がありました。

 

中小企業倒産防止共済とは何なのか。倒産防止共済を運営する中小企業基盤整備機構のサイトには次のように書かれています。

取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できる税制優遇も受けられます。

 

また、「掛金月額は5,000円~20万円まで自由に選べ、増額・減額できます。また確定申告の際、掛金を損金(法人の場合)、または必要経費(個人事業主の場合)に算入できるので、節税効果があります。」ということも書かれています。

倒産防止共済に加入する多くの事業者はこの節税効果を狙って加入するケースが多いと思います。それから次の点も特徴的です。

共済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12か月未満は掛け捨てとなります)。」

 

さて、上記の節税効果の話ですが、倒産防止共済は何もしなくても支払ったものが全額、必要経費(法人の場合には損金)になるわけではありません。

 

個人事業主の方が掛金を必要経費として算入するには、任意の用紙で『中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書』を作成し、確定申告書に添付してはじめて必要経費に計上できます。また、法人の場合には「別表十(七)」のうち「3 特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」の項目に必要事項を記載したものを提出して初めて損金算入できます

 

倒産防止共済は原則は支払った金額は「積立金」です。支払った金額を必要経費(損金)とするのは、あくまでも特例的な取り扱いというのが税務の立場です。

 

さて、この個人の方の場合の『中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書』を作成し、確定申告書に添付というのができていないと会計検査院から指摘があったというわけです。会計検査院というのは税金の使い方や処理が正しく行われているかをチェックする役所です。そこから指摘を受けたわけです。

2018年の個人事業主の倒産防止共済の状況を調べたところ、「抽出した1567加入者のうち6割近くで、優遇時に必要な明細書の確認ができなかった」とあります。

また、倒産防止共済を解約した場合には収入計上する必要があるわけですが、それについても「任意解約時に受け取った返戻金を収入として計上する必要があるのに、2016年から18年の解約者464人のうち4割で収入計上が確認できなかった」とあります。

 

私が気になるのはこのように倒産防止共済をめぐる経理処理がきちんとなされていないと会計検査院が指摘したということは、今後、税務調査などを通じてこの点を厳しく見られるのではないかということです。せっかく倒産防止共済に加入して節税を図ったつもりだったのに「必要な書類が出ていないから経費計上できない」といわれる可能性があるわけです。会計検査院からの指摘があると、それを受けて税制も変わったりすることがよくあります。この倒産防止共済の場合、すでに制度としてあるのにきちんと運用されていないという話なので、税務署が明細書の添付の有無の確認が厳しくなる、もしくは税務調査での指摘が増えるのではないかということです。

 

特に個人事業者の場合、必要書類を添付しないと必要経費に算入できないという点は知らない方も多いと思います。税理士がついていても忘れてしまうケースも多いと思います。

もしこれまで添付していなかったという事業者の皆さんがいらっしゃいましたら、気を付けましょう。

 

ということで、今日は倒産防止共済に加入した場合の添付書類の話でした。

 



さて、今日は最新情報です。

雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の上乗せ助成金である東京都の「雇用環境整備促進奨励金」という助成金があります。この申請期限が10/31までだったのが12/28まで延長されました。

この機会に該当事業所の方は是非、申請を検討してください。

 

この「東京都雇用環境整備促進奨励金」というのは、雇用調整助成金、緊急雇用安定助成金、産業雇用安定助成金、小学校休業等対応助成金それから両立支援助成金のうち「新型コロナウイルス感染症小学校休業等対応コース」「介護離職防止支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例))」「(育児休業等支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例))」を受給している場合がまずは該当の可能性があります。これらの事業所が一定の取り組みを行うと受給できるというものです。

 

一定の取り組みというのはまずは「休業手当」について就業規則に定めることです。これは非正規社員に対しても定める必要があります。

休業手当というのは、会社都合で休ませた場合に社員に6割以上の給与を支払うきていのことです。この規定を定める予定がないのであれば、この助成金の対象外です。

 

それから、テレワークです。

現状ですでにテレワークを導入していると該当しません。これから導入しようとする場合です。

 

テレワークを導入している場合は申請できないのか、あるいは職種的にテレワークを導入できない場合には申請できないのかというとそうではありません。その場合、以下のいずれかの導入を検討していれば申請できます。

 

・時差出勤制度

・フレックスタイム制度

・非常時に取得可能な有給の休暇制度の導入(ワクチン休暇制度)

 

非常時に取得可能な有給の休暇制度というのは、法定の年次有給休暇とは別に定める休暇の制度です。

 

受給額は10万円です。

 

もう一点、注意点があります。昨年度おこなっていた同じ名前の奨励金があったと思います。金額も同じ10万円でした。昨年この助成金をすでに受給している事業所は対象外です。

今回は前回、書類の提出に不備があって提出できなかったとか、そもそも知らなくて提出していなかったとか、そういった事業所が対象となります。

 

雇用調整助成金等を受給していて、テレワーク等の導入を検討している事業所さんで、昨年、この助成金を受給していない都内の事業所さんは、期限が延長されていますので、是非、検討していただければと思います。

特に、昨年、書類の不備で書類が返ってきて申請を諦めたというような事業所さんは期限が延長されていますので、申請なさってみてはいかがかと思います。

 

以上、今日は東京都の助成金の話でした。

 



さて、今日から何回かに分けてインボイス制度の話をしていこうと思います。

税理士の間では、消費税法施行以来の大改革とかなり前から大きな話題になっていますが、巷ではインボイスといってもピンとこない方が多いようです。今日はその概要だけ説明したいと思います。

 

会計ソフトを手掛ける弥生会計が調査したところによると、全国の個人事業者や従業員数30人以下の小規模事業者に「インボイス制度のことを知っているか」を調査したところ、全体の約8割の方がインボイス制度について「全く知らない、聞いたことがない」と答えたそうです。

我々税理士からすると、これだけの大改正についてほとんどの事業者が知らないとは・・・と愕然とするアンケート結果です。

 

ニュースを見てもコロナ、総裁選など、今目の前にあるようなテーマが多く、インボイスや来年から導入される領収書や請求書の電子保存の話など、差し当たって影響がない話はあまり報道されないように思います。インボイス制度にしても電子保存の話にしても会計や税務処理にかかわる大きな話題なのですが、こうした報道の状況もあり、事業者の間ではほとんど知らないというところが実態のようです。

このブログでは、まずはインボイス制度の話を書いていこうと思います。その次に電子保存の話を書いていきます。よく知らないという事業者の皆さんはこのブログを通して参考にしていただければと思います。

 

さて、今日はインボイスの話の概略です。

 

インボイス制度とはなんでしょうか?

大きくは二つあります。

一つは、事業を営んでいる中小企業や個人事業者は、税務署に登録申請をしてもらった「登録番号」を領収書や請求書に記載しないといけなくなるということです。

この登録申請が実は、令和3年10月1日から始まっているわけです。あまり報道されないのですが、この10月1日から始まっているんです。

 

そして、この登録番号の書かれた領収書や請求書のことを「インボイス」(適格請求書等)と呼ぶわけです。

 

では、このインボイスを発行するのはどういう意味があるのかということです。

消費税というのは売り上げなどで預かった消費税からいろいろな経費等の支払いの際に支払う消費税の差額を事業者が納付するという基本的な仕組みがあります。この支払った消費税のことを「仕入税額控除」と呼びます。この仕入税額控除ができるのが、インボイスが書かれた領収書や請求書をもらっている場合に限ることにするというのがインボイス制度の概要です。

 

この「インボイス」(適格請求書等)は次のような項目の記載がされていないといけません。

  • インボイスの発行事業者の名前
  • 登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 消費税率・消費税額
  • 相手方の名前

 

このうち②の登録番号は税務署に届け出をして番号をもらいます。登録番号は頭にTがついてそのあとは13桁の数字が続きます。法人の場合には、Tのあとはすでにある法人番号が入ります。個人の場合にはTの後の番号は新たに税務署から付与されます。

この登録が税務署に届け出しないともらえないわけです。

 

ポイントの二つ目は、インボイスの登録は課税事業者でないと登録できません。逆に言えば、インボイスの登録をするということは自動的に課税事業者となります

 

最近、ネットの記事でもよく見られますが、たとえばウーバーイーツの配達員や個人タクシーの運転手など、現状、消費税の免税事業者になっている個人は売り上げの相手方が会社などの事業者が多い場合、インボイスの登録をして課税事業者になることを選択しないといけない人も出てくるのではないかということがあります。たとえば、副業でやっている個人事業者は売り上げの相手先が個人ではなく、事業者の場合、その事業者が仕入税額控除できなくなることからインボイスの登録を迫られることが想定されます。

 

このように現状で、年間の売上が1000万円未満で免税事業者である人が、取引先との関係でインボイスの登録をしないといけなくなる場合、今まで納付していなかった消費税を納付しないといけなくなるわけです。

これが二つ目のポイントです。

 

インボイスの登録は令和3年10月1日から始まりましたが、実際のインボイスの導入は令和5年10月1日からとなります。まだ実際の導入までは2年くらいは時間がありますからその間にいろいろと準備していく必要があるわけです。

 

ということで、今日はまずはインボイス制度の概要についての話でした。



さて、今日は11月まで延長が決まった雇用調整助成金の特例措置の話です。

 

雇用調整助成金の特例とは何か、11月まで延長されたというのは何のことか、というのは以前の私のブログを参考にしてみてください。

雇用調整助成金は11月まで延期、月次支援金はどうなる?

 

今日は経理処理の話です。

 

雇用調整助成金の経理処理は二つあります。

以前の私のブログにも書いてあります。

 

雇用調整助成金はいつ収入に計上すべきなの?

上記の内容は根拠も示していて少し長くて読みづらいとお感じになるかたもいらっしゃると思います。結論だけ簡単に書きますと、次のようになります。

 

雇用調整助成金の原則を使っている場合(計画書を提出して休業する取り扱いをしている場合)・・・入金がなくても休業手当を支給した年度で収入計上

 

雇用調整助成金の特例措置を使っている場合(事前に休業の計画書を出したりしていない場合)・・・支給決定があった年度で収入計上

 

雇用保険の助成金については原則はこの特例措置のように「支給決定があった年度」で収入にあげます。雇用調整助成金の原則的な場合のように事前に計画書を出すような助成金は例外的に費用と収入を同じ年度に対応させるといっているわけです。

 

この収入と費用を対応させる取り扱いについては、法基通2-1-42というところに書いてあって、税理士の先生でも勘違いされている方が多くいらっしゃるように聞いています。

今回、多くの会社で使っている雇用調整助成金の特例措置は、決定があった年でいいという点、今一度、確認しておきましょう。

 

以上、今日は雇用調整助成金の収入計上時期の話でした。



月次支援金の申請にあたっての事前確認で、東京都の月次支援金のことをご存じでない方が非常に多いです。「そんなのがあるんですか?」といわれることがしばしばです。

東京都の事業者の皆さん、月次支援金の申請が完了したら東京都月次支援金があります。今日はこの東京都月次支援金の概要についてご説明いたします。

まずは、東京都産業労働局のHPから東京都月次支援金についての概要をそのまま抜粋します。

平成31年(令和元年)または令和2年と比較した、令和3年4月、5月、6月の月間売上額の減少率に応じて、月ごとに給付額を決定します。※定額給付ではありません。

<支給上限額(月額)>
1.減少率70パーセント以上の酒類販売事業者
・中小企業等:40万円
・個人事業者等:20万円
2.減少率50パーセント以上70パーセント未満の酒類販売事業者
・中小企業等:20万円
・個人事業者等:10万円
3.減少率50パーセント以上のその他事業者
・中小企業等:5万円
・個人事業者等:2万5,000円
4.減少率30パーセント以上50パーセント未満の事業者
・中小企業等(業種は問いません):10万円
・個人事業者等(業種は問いません):5万円

次に、用意する書類です。これは月次支援金とほぼ同じです。そのため、国の月次支援金の申請をした後なら、そんなに大変ではありません

東京都月次支援金の申請のために改めて必要な書類は以下の二つです。

・国の月次支援金の給付通知書の写し

・確認書(様式第2号)

ただし、酒類提供事業者については、「酒類販売業免許通知書の写し又は酒類製造免許通知書の写し等」も必要となります。

また、上記の「確認書」というのは東京都の書式があります。東京都の月次支援金のHPからダウンロードして使用してください。

また、申請は原則はネットからのオンライン申請です。ただ、郵送でも申請を受け付けています。また、先日、都税事務所へ行ったときに、この東京都月次支援金の申請のための書類が山積みされていました。紙で出す場合には、都税事務所へ行って用紙をもらってきて申請してみてはいかがかと思います。

なお、この東京都月次支援金は郵送申請もできます。郵送先は以下です。
郵便番号111-8691
浅草郵便局 私書箱121号
東京都中小企業者等月次支援給付金 申請受付
※簡易書留など郵便物の追跡ができる方法で郵送してください。

また、申請には期限があります。

期限を過ぎたら申請できませんので、要注意です。

それぞれ以下のようになっています。

4月・5月・6月分・・・・7月1日から10月31日

7月分・8月分・・・9月1日から来年1月14日

※7月・8月分の特例申請は10月以降の予定

以上、東京都月次支援金の話でした。



小学校等の休業のために休暇制度を導入した事業者もしくはこれから導入しようと検討している事業者の皆様、ご存じでしょうか。助成金を受けられる可能性があります。今日はその話です。

両立支援助成金という助成金の中の「育児休業等支援コース」に特例として設けられたのが、「新型コロナウィルス感染症対応特例」です。

まず、大前提の確認ですが、この制度は厚生労働省の助成金です。ですから、要件に該当すれば受給できます。

この助成金は、新型コロナウイルス感染症への対応として、臨時休業等をした小学校等に通う子どもの世話を行う労働者に対し、有給の休暇、つまり、休んだ期間の給与を全額支給した場合に対象となるものです。休んだ休暇が労働基準法上の年次有給休暇であった場合にはを除かれます。この小学校等の臨時休業に伴う有給休暇制度を作った事業主に対して支給されるというのが今回の助成金の趣旨です。

この助成金の要件は次の二つがあります。

まず、一つ目は次の(イ)と(ロ)のどちらも実施されていることが必要とされています。

(イ)小学校等(小学校、保育園、幼稚園など)が臨時休業等になった場合、及び子どもが新型コロナウイルス感染症に感染した又はその恐れがある等の場合に、子どもの世話を行う必要がある労働者が、特別有給休暇(賃金が全額支払われるもの)を取得できる制度を規定化していること

(ロ)小学校等が臨時休業等した場合でも勤務できる両立支援の仕組みとして、次のいずれかの制度の社内周知を実施していること。

・テレワーク勤務

・短時間勤務制度

・フレックスタイムの制度

・始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(時差出勤の制度)

・ベビーシッター費用補助制度等

そして、二つ目の要件が、労働者一人について、上記の(イ)に定めた特別有給休暇を4時間以上取得することです。

さて、この助成金、では実際にいくらもらえるのかです。

助成金の受給額は1人当たり5万円で、1事業所あたり10名まで上限50万円となっています。

さて、では実際、この助成金を受給したい場合、いつまでに届け出しなければいけないのでしょうか。申請期限は特別有給休暇を取得した日付によって異なります。

次のようになっています。

特別有給休暇を取得した日 申請期間
令和3年4月1日~令和3年6月30日 令和3年4月1日~令和3年8月31日
令和3年7月1日~令和3年9月30日 令和3年7月1日~令和3年11月30日
令和3年10月1日~令和3年12月31日 令和3年10月1日~令和4年2月28日
令和4年1月1日~令和4年3月31日 令和4年1月1日~令和4年5月31日

現在申請できるのは、7月1日~9月30日の間に小学校等の休業に伴う有給の休暇(労基法上の年次有給休暇以外の有給休暇)を取得した者がいた場合となっています。

さて、上記が概要ですが、では、実際の細かい論点を見ていきましょう。

まず、学校等が臨時休業等を行ったことの確認資料とは、どのようなものをいうのでしょうか。

 これについてはQ&Aに次のように書かれています。

学校等が保護者宛に通知する文書、保護者宛に臨時休校のお知らせとして送信された電子メール、学校等がホームページに休校情報を掲載している場合は当該ページなどが該当する。」

休業のお知らせの文書は大事に取っておいていただく必要があります。

また、小学校等の休業に伴う有給休暇制度は就業規則等に明示する必要があります。ただし、常時使用する労働者が10人未満の場合には就業規則の提出義務がありません。このような場合には、書面について全労働者へメール送信、回覧、掲示、配布等により周知した場合、日付があるもの(メール送信、回覧の場合は全労働者に送信・回覧(回覧の確認がある等)されたことが確認できるもの、社内に掲示した場合は社内に掲示していることが客観的に分かる写真等、周知したことが実質的に分かるもの)や労働者代表の氏名及び周知日が確認できる申立書等が必要とされています。

また、通算して特別有給休暇を4時間以上取得した場合に対象となるため、たとえば次のように分割して取得しても累計で4時間以上になっていれば対象者とすることができます。

計算例:

4/14 1時間取得

4/15 1時間30分取得

4/16 1時間取得

4/17 30分取得←取得合計4時間となり支給対象となる。

また、このような場合、対象労働者としてカウントできるのは累計で4時間に達したときとなります。

それから、Q&Aには次のようなものもあります。

年次有給休暇や欠勤を、事後的に特別有給休暇に振り替えた場合は対象になるか

本特例においては対象になる。なお、年次有給休暇を事後的に特別有給休暇に振り替える場合には、労働者本人に説明し、同意を得ることが必要。

最初は小学校等の休業に伴う有給休暇制度がなくても、あとから作って、さかのぼって小学校等の休業に伴う有給としても対象になると言っています。

これから、小学校等の休業に伴う有給制度を作っていこうとしている事業主の方はそれでも対象になりますので、その点も考慮に入れましょう。

コロナ禍でお子さんがお休みになってしまうため、休業を余儀なくされる方も多いと思います。そうした従業員さんに新たな休暇制度を設けると事業主にはこうしたメリットもあります。この際、ぜひ、検討してみてはいかがかと思います。



さて、今日はコロナ関連の助成金、給付金について、いつまであるのかという点について現状でわかっているものをまとめてみましたので参考にしていただければと思います。

まず、雇用調整助成金です。雇用保険被保険者以外の場合の緊急雇用安定助成金についても同様です。

現状の措置は9月30日までとなっていましたが、これについては11月30日まで延期されています。11月の休業までが対象となりますので、それを元にコロナの影響のある事業者の皆さんは休業の予定等を立てていただければと思います。

次に、月次支援金です。

月次支援金については、10月以降どうなるのかという話は結構出てきます。ですが、現状では9月までとなっています。今後も月次支援金のサイトや報道等で延長になるのかどうなのか、確認していただければと思います。

それから、東京都月次支援金です。

これについては、4月~6月の東京都月次支援金の申請については10月31日までの申請になっていて、7月・8月の東京都月次支援金の申請については、来年の1月14日までになっています。

東京都月次支援金については、9月分については発表になっていません。たぶん9月分についても申請ができると思いますが、こちらも東京都のHP等で確認していただければと思います。また、国の月次支援金の延長がされるとこちらも延長になる可能性が高いです。こちらもあわせてチェックしていきましょう。

また、日本政策金融公庫などのコロナの特別貸付制度(3 年間無利子 + 最長 5 年間元本据え置き)については、今のところ2021年の年末までとしています。ただ、一部、お聞きしている情報によると年明けに延長の方向という話です。

いつまであるの?というご質問もよくいただくため、よくあるコロナ関連の助成金・給付金等という論点のみ、書いていきました。

参考にしていただければ幸いです。



さて、今日も何件か月次支援金の事前確認がありました。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響を受けている方も多くいらっしゃいます。そこで、今日は改めて月次支援金の概要について書いていこうと思います。

月次支援金のHPによると、2021 年 4 月以降に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が実施された地域において、要請による休業又は時短営業を実施している飲食店と直接・間接の取引がある事業者や、これら地域における不要不急の外出・移動の自粛 による直接的な影響を受けている事業者が対象となっています。

月次支援金の申請をする際に、実はこの入口の部分がわかりづらくて自分は対象なのだろうか、と疑問に思っていらっしゃる方は多いようです。

そこで、上記のHPの記載内容をもう少し嚙み砕いてみましょう。

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域である事業者はもちろん対象になります。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域でない事業者は対象にならないかというとそうではありません。これらの対象地域にない事業者であっても、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域にある事業者との取引があったり、あるいは間接的に影響を受けている事業者も対象となると言っています。

直接的に影響を受けている事業者というのは具体的には以下のような事業者です。

・飲食料品店、衣料品店、美容院等、日常の店

・学習塾や習い事の教室

・クリニックや福祉施設、ドラッグストア

・スポーツ施設や劇場、博物館

・旅館、レンタカー、タクシー、旅行代理店

これらの事業者は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域で事業をしている事業者です。これはわかりやすいのでいいと思います。

問題なのは間接的に影響を受けている事業者です。

具体的には次のような事業者です。

・士業等の専門サービス事業者

・システム開発等の IT サービス事業者

・映像・音楽・紙媒体のデザイン制作事業者

・飲食料品の卸売事業者

・農業や漁業を営む事業者

これらの事業者は一見すると、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響を受けていないように思えます。しかし、取引している事業者が緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響を受けていて、その余波で売り上げは減っているというケースも当てはまるわけです。

取引していて、間接的な影響があり、その影響が説明できれば対象になると考えていいと思います。

実際、私の事務所へ事前確認のご依頼があるケースはほとんどがこの間接的に影響を受けている事業者の方で、いろんな事業の方からご連絡をいただいています。間接的に影響を受けている事業者というのは、結局、ほぼすべての事業者といっていいのだろうと思います。

さて、業種として注意すべき点は、飲食店です。飲食店は協力金の支払い対象になっている場合には月次支援金の申請はできません。飲食店で月次支援金の対象となる場合というのは都道府県の休業協力金の申請をしていない事業者ですから、この点は注意が必要でしょう。

そして、この月次支援金の対象になる売り上げについての話です。売り上げについては判定月ごとで判定します。1か月ごとに前年もしくは前々年の売上と比較して50%未満である月について申請ができます。(もちろん売り上げの減少が緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響を受けているための売上の減少である必要があります。)

また、受給額がいくらになるのかという点です。受給額については、次の算式で計算します。

2019 年又は 2020 年の基準月の売上 - 2021 年の対象月の売上

2019年か2020年の対象月と同じ月で比較して売上の差額が支給されます。法人の場合、上限が20万円、個人の場合、上限が10万円となります。これは店舗単位ではなく、法人(事業)単位となります。

それから、この月次支援金には税理士等の事前確認が必要です。事前確認では実際に事業をやっているのか、月次支援金の基本的な仕組みを理解しているのかなどといったことの確認がされます。月次支援金の前にあった一時支援金を含め、この税理士等による事前確認が1回は必要になります。一時支援金・月次支援金を通じて、一度でも前に税理士等の事前確認を受けていれば、2回目以降は改めて事前確認を受ける必要はありません。

もう一点、この事前確認については期限がある点が注意点です。この期限は申請期限よりも早くなっています。

現在、申請できる月次支援金は7月~9月分ですが、事前確認の期限、月次支援金の申請期限はそれぞれ次のようになっています。

対象月 事前確認の期限 申請期間
7月分 2021年9月27日 2021年8月1日~9月30日
8月分 2021年10月26日 2021年9月1日~10月31日
9月分 2021年11月25日 2021年10月1日~11月30日

事前確認が必要な場合には、期限ぎりぎりだと事前確認機関の側が受けられないケースが多いです。実際、私の事務所でも、期限が近くなると事前確認の依頼が多くなります。しかし、受けられる数にも限りがあるのですべては受けられません。事前確認を受けるにしても期限の2週間以上前にした方がいいだろうと思います。

また、今のところ、月次支援金の対象月は9月までです。10月以降は未定ですが、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の措置が10月まで延長されれば10月についても月次支援金の対象になる可能性はあります。これについては新しい情報について月次支援金のHPなどでチェックしていきましょう。

それから、東京都の法人や東京都にお住まいの方が申請される場合、東京都月次支援金というのがあります。国の月次支援金が入金になった後、国から届く月次支援金の入金案内を使って東京都月次支援金の申請ができます。東京都の方は忘れずに申請しましょう。

以上、改めて、月次支援金の話でした。



さて、今日は前回と引き続きで見ていただければと思うテーマです。前回は社会保険の扶養という話をしました。どこからが社会保険の扶養になるのかという話を書いていきました。

今回は税務の方での扶養、「生計を一にする」という考え方を書いていきたいと思います。

税務では扶養親族になるかどうかというのを「生計を一にする」という言葉で表現します。では、この「生計を一にする」というのは具体的には何を意味するのでしょうか。

所得税法の基本通達という中で、「生計を一にする」というものの意味を次のように書いています。

法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。

(1) 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。

イ当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合

ロこれらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合

(2) 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。

社会保険では扶養親族かどうかは原則としては3親等内の親族としつつ、「同一世帯」というもので規定しています。これに対して、税務の扶養は「生計を一」というもので規定しています。まずは社会保険と税務に共通していえるのは、扶養というのは「同居」が要件ではないということです。

ただ、税務の方の「生計を一」は上記の通達の(2)で「親族が同一の家屋に起居している場合には、(略)生計を一にする」とあるので、同じ家に住んでいれば原則的には「生計を一」と考えていいようです。ただ、上記の通達の(2)にも書かれている通り、「明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き」とあるので、明らかに別生計の場合には扶養にはならないとされています。これは社会保険の方も同じです。「被保険者と住居および家計を共同にすること」に該当していても、生活費の支援がない場合には扶養にはならないとされています。この辺はおおむね共通する点です。

そして、税務の方が難しいのは、上記の通達の(1)です。これは、「同居」でない場合を書いています。同居でない場合には、二つあるとしています。

一つは、単身赴任のお父さんや大学に通っているお子さんなどのことです。お盆やたまの休みに帰ってくるような関係なら、扶養だと言っています。

もう一つは、生活費や学費などのお金を送金していることといっています。

この二つの要件が両方必要な要件なのか、片方だけ当てはまればいいのか、ここがこの通達だけだと読み取れないわけです

たとえば、単身赴任のお父さんがいて休みの日には帰ってきます。自宅にいる奥さんはご自身がパートで働いている収入で家計は賄っているため、送金をしてもらったりはしていないとします。そうすると、最初の要件には当てはまるのですが、二つ目の要件には該当しないので、この場合は扶養にはならないということになります。

では、このケースではどうでしょうか。

田舎に高齢のお母さんがいらっしゃいます。息子さんは東京に住んでいます。この息子さんはお母さんに毎月、一定額のお金を送金しています。つまり要件の二つ目には該当しています。しかし、普段、お母さんの所へ行ったりということはほとんどしません。お母さんも息子さんに会いに行ったりすることはありません。この場合、要件の一つ目には該当しません。では、このケースでは扶養ではないという話になるのでしょうか?

単身赴任のお父さんと奥さんの関係にしても、送金はしてもらっていなくても実際にはその家はお父さんの名義の家で、たまたま今は奥さんのパート収入で家計を賄っているということだったら、扶養の関係といってもいいのではないでしょうか。また、二つ目の例として挙げたお母さんと息子さんの関係も、あってはいなくても経済的に息子さんが支えているのなら扶養といってもよさそうですよね?

国税庁のHPでは「生計を一にする」という言葉について、次のように記述しています。「日常の生活の資を共にすることをいいます。
会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときや、日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているときは、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

つまり、お金の送金の有無とたまに一緒に生活することの両方がないと扶養にならないというわけではない(どちらかが当てはまればいい)という趣旨のことを言っているようです。

ここは、税理士によっても解釈が分かれるところのようですので、このブログではこれくらいにしておきますが、税務の扶養は特に「別居」の場合、解釈が難しいというところです。。

前回のブログと合わせて、社会保険や税務の扶養というのを整理してみると、社会保険も税務も扶養の考え方はほぼイコールではあるものの、たとえば、同居していないケースなどで考え方に少し違いがあるというくらいの整理でいいのかと思います。

同居でない場合、扶養に入れられるか入れられないかは、よく検討した方がいいでしょう。

ということで、今日は税務の方の「扶養」の話を通じて、社会保険と税務の扶養の違いについての話でした。


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