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Category Archives: 銀行融資


今日は私の顧問先であった話を元に書いていきます。

この顧問先の介護事業所は、介護保険法の改正のたびに影響を大きく受け、改正後に経営状況が悪くなるということを繰り返していました。年々、経営状況が厳しい状況にあり、いよいよ介護保険外のサービスを中心に事業所経営をしていこうと舵を切っているところです。介護保険外サービスの新規事業に参入するということは資金が必要なわけで、金融機関からの借入が必要な状況なわけです。ところが、ここ数年、あまり経営状況がよくないためほとんど銀行に顔を出さなくなっていたということです。

そこで、銀行融資についてのご相談を私が受けたということです。

そもそもなぜ銀行に行かなかったのでしょうか?

おそらく、経営状況が悪い状況で行くといろいろと自社に不都合なことを言われると嫌ったということなのでしょうか。これでは状況が悪いから行かないなどということでは銀行との関係も上手くいくはずはありません。

銀行にはいいところを見せておきたい。

銀行にいちいち状況を説明しなくてもいい。

決算時以外に試算表を銀行に提出することはしたことがない。

そもそも決算書も銀行から言われるまでは出さない。

このような意識の経営者の方は要注意です。

考えてもみてください。

ちょくちょく会っていて、家族のことや仕事のことなど、その人のことを良く知っている人が「お金を貸してほしい」と言われた場合と、一方で、高校の同級生で何十年ぶりかに会う友人に「お金を貸してほしい」と言われた場合とで比較して考えてみたらわかると思います。何十年ぶりに会って状況がどうなのかわからない人にお金を貸すでしょうか?

銀行だって同じなわけです。

状況が悪い時はなおさらです。銀行に足繁く通って、自社の企業の状況を報告に行っていないといけません。これからこうするから業績は回復するという説明を聞いていて、金融機関側も状況が悪いことを把握していたとしたら、いざというときに頼りにできる存在になる可能性が大きいです。

件の社長さんも経営状況がいい時には毎月のように銀行に試算表をもって自社の経営状況を報告に行っていたものです。私も同席してほしいと言われて、よく一緒に銀行に行っていました。ところが、経営状況が悪化するにつれて、銀行へ行く頻度が減っていきました。私も行く回数が減って、一緒に行くことはなくなりました。ついには、社長さん自身が決算が終わっても決算報告すらいかなくなってしまったのです。その状況でいきなりお金を借りに行っても借入することは難しいでしょう。

銀行といっても担当者は「ヒト」です。信用というのは、頻繁に経営状況を報告しに行ったりして、少しずつ醸成されていくモノです。時間をかけて銀行との信頼関係を築いていくことがあとでお金を借りるときに活きてくるわけです。

ちなみに、件の社長さんですが、銀行からの融資が難しいため、結局、日本政策金融公庫からの融資を受けることになりました。公庫であれば、経営状況がかなりひどい状況でなければ銀行よりは可能性があると判断したためです。公庫の特徴として、書類上のやり取りになることが多いため、担当者との意思疎通などがあまりなくても、融資を受けられる可能性があるのです。この辺の公庫の融資の考え方は私の以前のブログを参考にしてみてください。

以上、参考になさっていただければ幸いです。




今朝の国会の参議院決算委員会(平成31年4月4日)での議論は企業経営の考え方にも参考になる議論だと思って、しばし聞いていました。どのような議論だったのか、そのサマリーをここで書いていきたいと思います。

 

お金の正体は何かといえば銀行が集めたお金の預貯金の額で貸しているわけではなく、要するに、銀行はこの会社が信用に足りるからお金を貸す、つまり、信用創造をしているわけです。貸したお金によってだれかの預貯金の額が増えている。借り入れが増えれば誰かの預貯金が増える。これが実際に起こっていることなんです。」(自民党 西田昌司議員)

 

マネーストック、マネーサプライというのは銀行預金が企業や家計の資金需要を受けて銀行が信用創造を行うことによって資金貸付を行っていることは確かです。」(黒田東彦日銀総裁)

 

借金は預金を集めて借金をしていると思っていたわけですが、そうではなく、預金は誰かが借金をすることによって出ているんだと、まさにこれは地動説から天動説という話なんです。

通貨がモノだったら、商品だったらそうなんですが、そうではないんです、信用創造なんです。地動説から天動説への大転換が必要なんです。」(自民党 西田昌司議員)

 

この議論は、いわゆる「MMT理論」というものを議論しているものです。MMT理論というのは「政府は紙幣を印刷すれば借金を返せるのだから、政府が破産することはありえない。したがって、財政赤字を気にすることはない。もっとも、財政赤字は無限には増やせない。そんなことをしたらインフレになる。つまり、増税するのはインフレを抑制するために必要だからなのだ」という理論です。つまり、「増税は財政赤字を減らすためではなく、インフレを抑制するために行うのであって、インフレが心配ないのであれば増税は不要である」というのがMMT理論です。(よくわからない方はMMT理論の部分は読み飛ばしていただいて結構です)

 

西田議員と政府とのやり取りはこのMMT理論の是非についてというのが主な論点ですが、これは企業経営においても重なる部分のある考え方だと思いますので、今回のブログで取り上げたいと思います。

 

企業が借金をするということの従来の考え方は銀行が集めた預金を貸しているという考え方でした。しかし、今はこうした考え方は実務的ではないといわれています。むしろ逆なのではないかと考えられているわけです。つまり、銀行が「この会社にはお金を貸せる」と評価してお金を貸すと、その企業の預金残高が増えるわけです。その預金残高が増えることで、様々な企業活動をすることにつながり、様々な用途にお金が使われ、景気が良くなると考える考え方です。銀行は「集めたお金を貸している」のではないというのが前提にあります。銀行がお金を貸すのは「貸せる会社だから貸している」わけです。これを「信用創造」といっているわけです。「実際にあるお金」という「モノ」を貸しているわけではないというわけです。これは私は企業経営の(もっといえば経済の)本質をついている話だと思うわけです。

 

企業経営においてはこの「信用創造」という考え方を理解する必要があります。銀行が「お金を貸せる企業」だと思わせる状況、そのことこそが重要なわけです。それを「信用創造」といっています。この「お金を貸せる企業」と思わせる状況を作ると倒産という企業経営の究極的な状況から遠ざけることができます。つまりは企業経営を存続できる状態にすることができるわけです。企業経営の肝は「倒産から遠い状況に置くこと」だという話は以前のブログでもしました。↴

https://vanguardwan.com/blog/%e9%8a%80%e8%a1%8c%e8%9e%8d%e8%b3%87%e3%81%ae%e9%89%84%e5%89%87%e3%80%81%e3%80%8c%e6%99%b4%e3%82%8c%e3%81%9f%e6%99%82%e3%81%93%e3%81%9d%e5%82%98%e3%82%92%e5%80%9f%e3%82%8a%e3%82%8b%ef%bc%81%e3%80%8d

 

それが「信用創造」なわけです。

 

先日、「整骨院の倒産件数が年間で50件だったという記事があった」と話をしていただいた整骨院の先生がいらっしゃいました。その先生もおっしゃっていましたが、そうなんです。これだけの整骨院の数があっても、昨年1年間で倒産した整骨院はたったの50件なんです。

介護事業所についても、東京商工リサーチの記事に次のような記事があります。

「2018年(1‐12月)の「老人福祉・介護事業」倒産は106件(前年比4.5%減)だった。介護保険法が施行された2000年度以降では、7年ぶりに前年を下回った。ただ、倒産件数は過去3番目に多く、高止まり状況が続いている。」(東京商工リサーチ)

しかし、介護の事業所の数はデイサービスだけでもコンビニエンスストア並みかそれ以上に件数があるそうです。しかし、昨年1年間の倒産件数は100件程度しかないわけです。

そのように考えると、整骨院や介護事業所の企業経営は他の業種と比較すれば、むしろ、経営環境においては他業種に比べ、有利な状況にあると言えます。

 

企業経営にとって重要なことは「信用創造」です。そのためには、銀行などの金融機関から信用される企業を作ることが大事です。今日の参議院の決算委員会の審議をみていて改めて思ったのは、企業経営とは借金の多寡を気にした経営ではなく、銀行などの金融機関から信用される企業を作ること(信用創造すること)が最も大事なことだと改めて認識したわけです。

 

中小企業の経営者の皆さんにとって、今日のこの話が何らかの参考になればと切に思います。

 




さて、今日は融資の話です。

実際に、私の顧問先であった話で、「社団法人で銀行からお金を借りようと思ったらできなかった」という話がありました。今日はこの話を参考に社団法人は銀行からお金を借りることができないという話をしていきます。

まず、一般社団法人とは営利を目的としない法人とされています。(社団法人と財団法人もありますが、どちらも非営利法人です。今日は主に社団法人について書いていきます)

「営利を目的としない」というと、お金を稼いではいけないと思われてしまいますが、ここで言っている「営利を目的としない」というのは株式会社などでいう利益の配当のことを言っています。株式会社や合同会社は利益が出たら、株主(出資者)に配当をすることができます。営利法人の大きな特徴です。社団法人はその配当ができないのです。それを「営利を目的としない」と言っているのです。ですから、社団法人であっても収益を上げて、収益が上がったらその分を従業員に給与として支払っても何ら問題はないとされています。

私の顧問先でも、介護事業所で社団法人になっているケースがあります。一般的には社団法人でも一般法人同様に、利益が出れば法人税も払います。その意味では何ら株式会社などの一般の営利法人とかわらないのです。

 

さて、この社団法人と株式会社などの営利法人の大きな違いとして「融資」があります。社団法人の場合、融資を受けづらいということがあります。法人設立の際にこれは知っておいていい話でしょう。

 

たとえば、銀行で初めて融資を受けようとする場合、営利法人だったら制度融資を勧められると思います。制度融資というのは銀行の融資で保証協会の融資のうち、市区町村や都道府県が保証する保証協会の融資のことを言います。銀行は制度融資は融資が通りやすいので、特に初めて融資をするような場合には、制度融資を勧めてくることが多いです。

この制度融資は、対象となるのが営利法人です。社団法人は非営利法人と区分されているため、原則的には、社団法人に制度融資は使えません

 

また、制度融資に限らず、保証協会の融資自体が営利法人を対象としているため、難しいです。保証協会というのは、営利法人を支援して営利法人が収益を上げ、雇用をして地域の経済を活性化させることを支援するというのが基本的な立場なようで、非営利法人とは立ち位置が違うということのようです。

 

では、銀行の融資が全く受けられないかというと、あとは保証協会の融資ではなく、保証協会の保証を取らずに銀行が直接融資するプロパー融資があります。プロパー融資であれば可能性はゼロではないです。社団法人としての実績や土地や建物などの担保があるとかというのがあれば、社団法人でもプロパー融資は可能なようです。

 

しかし、実際には、社団法人がはじめて融資を受ける場合、銀行がいきなりプロパー融資をするというのは考えづらいです。

そこで、社団法人の融資として可能性が浮上するのが日本政策金融公庫による融資です。

日本政策金融公庫の場合、保証協会のように非営利法人が対象外ということはありません。NPO法人であっても、社団法人であっても、融資することが可能な事業であれば融資できます。したがって、社団法人で融資を受ける場合、まずは日本政策金融公庫での融資を検討することになります。

 

あとは、どうやって融資を受けるかです。

社団法人が日本政策金融公庫で融資を受ける場合、重要なのが事業計画書です

社団法人なのに融資が必要な理由です。何に使って、どう収益に反映させていくのか。一般の営利法人以上に事業計画が非常に重要になってきます。

 

そもそもですが、社団法人というのは数名の社員がお金を出し合って、地域のためといった非営利の目的が事業の目的としてあるはずです。(建前かもしれませんが・・・)お金を出し合った範囲で事業を始めて、そのお金を出し合った以外に融資が必要というのは何か理由があるはずです。営利法人のような運転資金ということで借りたいのであれば、営利法人でやるべきです。その方が融資も受けやすいからです。また、法人税の計算の仕方も営利法人と社団法人では何も変わりません。税務上のメリットも通常の社団法人なら特段あるわけではありません。(財団法人なら法人税がかからない等の税務上のめりっともあります)それでも、社団法人にして融資を受ける必要があるというのは、何らかの事業目的があるからのはずです。営利法人以上に明確な目的があるはずです。それを事業計画に落とし込んでいけば自ずと事業計画書になるはずです。

社団法人が日本政策金融公庫で融資を受ける場合、事業計画書をきちんと作成するのがまずは重要なことだということはよく理解しておいた方がいいでしょう。

 

また、銀行の融資もまったく受けられないわけではありません。制度融資などの信用保証協会の融資は難しいですが、プロパー融資であれば融資を受けられる可能性はあります。プロパー融資が受けられるか、相談くらいはしてもいいと思います。

 

ちなみにですが、社団法人だとたとえば「小規模事業者持続化補助金」が受けられないといったような論点もあります。融資以外にも社団法人には意外とできないことがあるということです。

 

いずれにしても、社団法人で融資を受ける場合は、日本政策金融公庫に相談してみること、そして、事業計画書をきちんと作成すること、この点は押さえておきましょう。




さて、今日は税理士向けの日本政策金融公庫のセミナーで使われた「金融機関が見る融資審査のポイント」というレジュメを参考に、主に、日本政策金融公庫の融資の際のポイントについて、書いていこうと思います。

以前にある顧問先の社長に「銀行に貸してもらえるように化粧して奇麗な感じの決算書にしてほしい」と言われたことがあります。この社長の言っていることは「悪い部分も化粧で隠して見栄えのいいようにして」というかなりわがまま?なものを意味していたわけなのですが、ですが、見栄えのいい決算書というのは確かにあります。その見栄えのいい決算書というのは、実はよく理解していない税理士は多いのです。

このブログは主には中小企業の経営者に見ていただけるように書いています。その意味でいえば、中小企業の経営者もこれを知っておいて見栄えのいい決算書にしてもらうように税理士にお願いする、そのお願いのポイントというのを知っておいてほしいと思います。

さて、今日、紹介する公庫のレジュメの審査のポイントですが、まずは前提として創業融資以外の通常の融資の話を前提にしています。公庫のレジュメに沿ってお話をしますと、ポイントは大きく四つあります。

ポイント1:ヒトとモノ

○ヒト

・信頼性・・・経営者自身が正直かどうか

・謙虚さ・・・他人の意見を聴く姿勢があるか

・決断力、責任感・・・迅速な決断を行っているか、失敗の言い訳をしていないか

・計数観念・・・数字の見通しを自分の言葉で語れるか

○モノ

・製品(商品)力・・・市場に受け入れてもらえる独自性のある製品(商品)があるか

・技術力・・・他社と比べてどの点に優位性があるか

・サービス・・・他社とどこが違うのか、従業員の能力はどうか

・販路・・・どうやって市場を開拓したか、これからどう販路を開拓するのか

上記のようなものを総称して「定性評価」といいます。これらは決算書などの数字には表れない評価項目です。しかし、こうした点も一つ一つ、評価されているのです。なにげない会話から、経営者自身の人となりを判断しています。金融機関の人間は、そうしたことが習慣化されています。それは中には(特に新人だと)そこまで頭の回らない担当者もいるでしょう。しかし、こうした経営者自身の人となりや、会社自体の持つ販売力といったものは、特に近年の融資審査のポイントには重要な部分を占めています。銀行に行くときはこうしたことも見られているという意識は持つようにしましょう。

ポイント2:売上高、利益

○売上高

・企業のサイズ(規模)を売上で把握

・誰に、何を売って、いつ売上にあげて、いつ回収しているのかを確認

・取引先別、月別、店舗別といった形での売り上げも確認

・決算以降の売上の把握

○利益

・「利益+減価償却費」が返済財源の目安

・赤字の場合には、その理由と今後の方針

・今後の利益の見通し

ポイント1が「定性評価」であるのに対し、売上高や利益といった決算書から読み取れる数字のことを「定量評価」といいます。この「定量評価」の中でも「売上」と「利益」が最も重要なポイントです。

まずは、売上です。売り上げの中でも金融機関が気にするのは、「いつ売上に計上して、どのくらいのサイクルでその売り上げを回収しているのか」という点です。たとえば、2か月で回収しているのであれば、売上の2か月分が売掛金に計上されているはずです。その分は現金が入ってくるのがあとになるわけです。そうすると、その分の資金が足らなければ金融機関から借入で賄わないといけないと判断されます。このように、「いつ売上にあげていつ回収しているのか」というのは融資とも直接かかわりのある大事なポイントです。面談の際などに、こうした点は必ず、確認されるはずです。

また、売上というのも単にトータルの売上だけではなく、取引先別、月別、店舗別といった部門別の売上という細分化した情報も金融機関が知っておきたい点です。こうした点を整理した資料を用意しておくと大変、印象がいいわけです。

また、利益で最も大事なポイントは「利益+減価償却費」を返済財源として考えているという点です。ここでいう「利益」というのは普通は「経常利益」のことです。決算書がお手元にあれば、損益計算書を見てください。「経常利益」となっている部分がありますよね。その「経常利益」に「減価償却費」を足した金額が、一般的には「返済原資」と呼ばれます。返済額がその範囲であれば、お金を貸せると判断しているわけです。

また、「今後の見通し」も是非、聞きたいポイントです。たとえ赤字であっても理由のある赤字なのか、今期赤字でも来期以降、巻き返せるのか、その辺が知りたい情報なわけです。その辺もきちんと整理して金融機関の担当者に伝えられるととてもいいわけです。

ポイント3:自己資本、借入金

○自己資本

・中小企業の場合、経営者の個人資産や個人の負債はどうなっているのか

・債務超過の場合、債務超過であっても企業が存続できたのであればそれがなぜか

○借入金

・借入金の残高明細(金融機関ごとの借入残高、1年間の返済額、利率など)

・継続的に借り入れ可能な状況か

ポイントの3つ目は主に、貸借対照表の項目です。

金融機関が貸借対照表を見る場合、決算書の貸借対照表はそのままは見ていません。ほとんどの中小企業が個人と法人というのは実質的に一体です。ですから、個人の資産や負債の状況もあわせて加味します。また、ポイントの2でやった「経常利益+減価償却費」の金額と1年間の返済金額を比べて、1年間の返済金額の中に「経常利益+減価償却費」が収まっているかも確認します。

ポイント4:貸付金・仮払金、その他

○貸付金・仮払金

・代表者の貸付金や仮払金がないか・・・実質的に資産とはいえないものが含まれていないか

・将来的に貸付金や仮払金は解消可能か

○その他

・1期前、2期前の決算書と比較して、良い方向に向かっているか、悪い方向に向かっているか。

・損益計算書の変化と貸借対照表の変化とに整合性があるか

ポイントの4つ目は、これらは要するに、決算書上の「汚れ」がないかという点です。

たとえば、貸付金といっても会社が社長へ貸しているお金だったりすると、中小企業の場合、実質的にそれは返さなくていいお金だったりします。仮払金も同様です。代表者へ仮払いしたお金で、実質的に返さなくていいお金だったりすると、資産性があるとは言えなくなります。こうした実質的に資産と言えない項目については、なかったものとして貸借対照表を作り替えます。

また、公庫などの金融機関では、決算書を2期か3期、比較してみます。すると、会社全体がいい方向に向かっているのか、はたまた悪い方向に向かっているのかがわかります。たとえば、売上が3期くらいで比較してみた場合、2割増くらいに増加していたとします。仮にその売上の伸び以上に人件費が増えていたとしたら、売上の伸びが人件費の伸び(売り上げの増加に伴う人員増加)に追いついていないだけで、人が増えたとことによる売上増加はもう少し時間がかかるとか、説明がつけばいいわけです。

また、例えば売り上げは伸びているのに、売掛金が異常に増えているとか、利益は増えているが、在庫(棚卸)も増えているとか、そういう状況があったとします。そういう状況だと決算書の数字はそのまま鵜呑みにできないと判断するわけです。売掛金を増やして売り上げを増やし、見栄えをよくしようとしただけではないのか、あるいは在庫が増えて、在庫の増えた分の利益が増えているのであれば、単に在庫を数字上だけで調整しただけではないのか、となるわけです。

要するに、決算書にあるウソを見抜くというのがポイント4です。

公庫のこのレジュメを今日は抜粋しながら、融資審査のポイントについて書きましたが、これらは決して難しい話ではありません。ある程度、決算書のわかる人であればだれでもわかるような話です。冒頭に書いたような「悪い部分も化粧で隠して見栄えのいいようにして」というのは、どこかでばれる話なわけです。結局、融資審査のポイントとしては、定性評価部分は社長の努力で何とかするしかないですが、定量評価の部分は売り上げを伸ばし、少しでも利益を出すようにするしかないわけです。

公庫のレジュメからも、結局、「売上を伸ばし、利益を増やす」という当たり前のことしかないというのが融資のポイントだというです。

以上、今日は公庫の融資審査のポイントという話でした。




さて、今日は日本政策金融公庫の融資について少しご紹介したいと思います。

以前にもご紹介したことがありますが、今日は政策金融公庫の融資は利用がなければ企業経営の観点からも利用したほうがいいですよ、という話です。

株式会社日本政策金融公庫は平成20年10月に発足した法人です。前身が「国民生活金融公庫」「農林漁業金融公庫」「中小企業金融公庫」の三つが合併してできた法人です。一般的には「公庫」と呼ばれることが多いようです。

この「公庫」の融資の特徴は次の二つだと私は思っています。

 

Ⅰ 小規模事業者への融資が多い

融資先の半分は個人事業の融資だそうです。また、1件平均の融資額が703万円であるそうです。つまり、他の金融機関の融資に比べて小規模な融資が多いのが公庫の融資の特徴なわけです。

 

Ⅱ 無担保融資が多い

融資の件数は87万件にのぼり、そのほとんどが無担保融資です。担保のない融資が主体ということはきちんと審査をしたうえで融資をしているということです。これも公庫の融資の特徴です。

 

企業経営にとって最も重要なのは資金をある程度、持ちながら経営することというのは再三、このブログでもみてきました。政策公庫の税理士向けのセミナーのレジュメには次のようなことが書かれています。

 

(複数金融機関からの借入)

○小規模企業でも、複数の金融機関から借入していることが一般的です。

○複数の金融機関から借り入れることで安定した資金調達が期待されます。

○金融機関の特徴に応じて、借入先を使い分けることが上手な付き合い方といえます。

 

複数の金融機関から融資を調達することが経営の安定化につながるといっているわけです。

また、「民間の金融機関」と「公庫」、「保証協会付き融資」と「プロパー融資」、民間金融機関でも「信用金庫・信用組合」と「地方銀行・第二地銀」といったように複数の違う組み合わせの融資をすることも大事であるといっています

そして、 「公庫」が率先して、「複数の金融機関と付き合いましょう」と言っている点も重要です。

 

中小企業の経営者の皆さん、もし「公庫」の融資を今受けていないのであれば、まずは「公庫」からの融資を受けてみることをお勧めします。

次回は、融資の際の審査のポイントについて、見ていきましょう!




先日、日本政策金融公庫の税理士向けのセミナーに参加してきました。

皆さんにも参考になりそうな話もありましたので、その辺の話を今日はしていこうと思います。

 

公庫の融資は融資件数にすると87万件あるそうです。1件当たりの平均融資額が703万円となっています。比較したデータがないとなかなかイメージしづらいので、信用金庫と比較してみましょう。信用金庫は全体で融資先が113万件で、1件当たりの平均融資額は3,971万円だそうです。また、銀行は融資先が202万件で、1件当たりの平均融資額が9,873万円だそうです。

ここからわかるのは、公庫の融資というのは中小企業向けの比較的小規模な融資が多いということです。また、公庫の融資の85.5%は無担保融資です。

つまり、公庫の融資は「1,000万円以内の少額で無担保融資」が特徴なわけです。

 

さて、この公庫の融資ですが、その約20%は税理士事務所からの紹介だそうです。平成29年の1年間で、税理士事務所からの紹介の融資は46,698件、金額で4,066億円に上ります。単純に1件当たりを平均すれば約870万円程度の融資となります。つまり、税理士事務所を通じて公庫の融資の申し込みをする場合もやはり、融資額が1,000万円以下の融資が多いというのがわかります。

 

さて、この公庫の融資ですが、税理士事務所からの紹介が多いのは理由があります。

一つは、税理士事務所の場合、公庫の特定の担当者がつきます。基本的にはその企業がどの所在地にあっても、一つの税理士事務所に一人の担当者がつきます。その事務所の公庫の案件を担当者が一手に引き受けてくれるわけです。税理士事務所は経理面の情報をすべて把握していますから、顧問先の会社さんが改めて書類を用意する手間も省けるというメリットもあります。

また、こうした公庫の融資を税理士事務所を窓口として融資する場合、民間の金融機関との連携もしていることも大きなポイントです。たとえば、2000万円の融資が必要な案件で、公庫から10,000千円、民間の金融機関から10,000千円という形の融資も可能です。公庫が民間の金融機関とのやり取りをして、公庫単独では出せない金額の部分を民間の金融機関との連携で出す形にもっていくわけです。これも税理士事務所を窓口とした公庫の融資の特徴といえます。

また、税理士事務所を窓口とした公庫の融資の特徴として、どうしても数字の面からの説明が苦手な経営者や自分の事業について説明するのが難しい経営者をサポートすることができるという点もあります。融資に必要な部分の説明を税理士側からすることで、融資をサポートすることもできます。会社の内情をよく知っている税理士側から、公庫が必要としている情報提供をすることで融資がスムーズに進むという点もあります。

 

このように、税理士事務所を窓口にした融資は、顧問先の中小企業の皆さんにとっても非常にメリットが大きいわけです。

 

また、公庫の融資の特徴が最も現れるのが私は「創業融資」にあると考えています。創業融資というのはこれから事業を始める融資なので、財務データがないため評価が難しい融資でもあります。この創業融資でも税理士事務所を窓口とした融資は有利に働いてきます。創業融資というのは、まだ事業を始めていない段階での融資ですから、不確実性の高い融資です。ですが、公庫は古くから創業融資に取り組んでいるので、一定の方法論をもっています。公庫の創業融資は、私は三つの論点があると思っています。

 

① 必要資金のうち自己資金をできれば3割程度用意しているか

② やろうとしている事業のこれまでの経験がどの程度あるのか

③ 経営者としての計数観念があるか?

 

特に③は重要です。「計数観念」というと数字に強くないといけないというイメージを持ちますが、そうではなく、経営者として売上や経費についてシビアにきちんと考えているかという点です。楽観的ではなく、根拠をもってどのくらいの売上が上がり、どの程度の経費が掛かり、どのくらい利益が上がるのか、きちんと計算しているかという話です。また、これを他人任せにせず、経営者自身が考えているのか、それも見ています。

創業融資について私もサポートする機会も多いのですが、やはりこの経営者としての自覚のようなものは経営者自身の問題ですので、非常に難しい点です。よく事業計画も私に作ってほしいという話もあるのですが、それでは意味がないです。売り上げ計画や経費の予測など、自分自身でいろいろと考えてみることが重要です。まずは自分で事業計画を作ってみて、作った後に税理士にも見せて相談してみるという形でやってみてはどうかと思います。公庫もそうした経営者の姿勢のようなものを見ているわけです。

 

いずれにしても、今回、日本政策金融公庫のセミナーに参加してみて、創業融資からその後の融資も公庫の融資を税理士事務所を窓口としてやっていくことは中小企業の経営にとっては不可欠なものだと改めて感じました。

税理士事務所を窓口にした公庫の融資、是非、利用してみてはいかがでしょうか?




さて、今日は「経営力向上計画」を使った融資制度の話です。

中小企業経営力強化資金」というものです。

 

これは日本政策金融公庫の融資制度です。名前くらいは知っておいた方がいいでしょう。

助成金や補助金を使う場合にはセットで考えたほうがいい融資制度でもあります

どういうことかといいますと、助成金にしても補助金にしてもお金が先に出ていく行為があります。先に出ていくお金をあとから助成金や補助金で穴埋めするというのがお金の基本的な流れです

それに対して、融資というのは基本的には何か事業を始めるときに先にお金をもらうものです

結構、勘違いされている方もいらっしゃるのですが、助成金や補助金というのは後からお金をもらうわけです。ということは、先に出ていくお金をどう工面するのかという問題がそもそもあります。

これを穴埋めするのが融資なわけですが、「経営力向上計画」を使った融資制度、政策公庫の「中小企業経営力強化資金」を今日は紹介いたします。

 

「中小企業経営力強化資金」の「ご利用いただける方」について、次のように記載しています。

 

次のすべてに当てはまる方

・経営革新又は異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む。)を行おうとする方

・自ら事業計画の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導及び助言を受けている方

 

経営革新というと難しそうですが、それほど難しく考えなくてもいいものです。

たとえば、治療院であれば、今までとは違う自費サービスをやるとか、そういうことでもいいのです。あるいは、HPを新しくして、今までとは違う人たちを呼べるようにするとか、そういう内容でもいいわけです。

つまりは、「経営革新」というと難しそうですが、普通に考えていいわけです

この融資のポイントは「経営力向上計画」を経営革新等支援機関に書いてもらうことです。それで、その「経営力向上計画」を融資の申し込みの際に、添付すればいいだけです。

実は、それほど難しい制度ではないのです。

 

「経営力向上計画」というのは、以前にも書きましたが、「これからこういうことをやって生産性を上げる予定です」というようなことを書いたものです。それを主務官庁の許可をもらいます。介護施設や治療院の場合、厚生労働省に送って許可をもらいます。おおよそ1ヶ月くらいで印鑑がつかれたものが返送されます。

公庫にはその印鑑をついてもらった「経営力向上計画」の写しを提出します。

 

この「経営力向上計画」は基本的には「経営革新等支援機関」で作ってもらいます。通常は、税理士や公認会計士などの会計事務所で取り扱っています。そこで作ってもらったものを出すわけです。

 

さて、この「中小企業経営力強化資金」ですが、どういった特徴があるのでしょうか?

 

・無担保、条件によっては代表者の保証が不要な無保証になることがある

・金利はおおむね2%前後

・設備であれば最大20年、運転資金であれば最大7年での融資制度

 

それほど特徴的なことはない普通の融資制度だと思いましたでしょうか?

この融資制度は特別、金利が安いというわけでもありません。公庫の通常融資よりも少しだけ金利が安い程度です。ひょっとしたら民間の金融機関の方が金利が安い制度融資などがあるかもしれません。私はポイントはそこではないと思っています。この制度の融資というのは他の融資制度とは別枠の融資制度であることが非常に重要な話だと思っています。

つまり、他に融資を受けていても、それとは別に枠を設けてもらっていることが特徴的なわけです。言い換えると、他の融資制度の枠は残しながらこの融資制度を利用できるというのが特徴的なわけです。

 

助成金や補助金を受けるということは、新しい事業や今までにないことを始めるということでもあったりします。そういうタイミングだからこそ使えるこの政策公庫の「中小企業経営力強化資金」という制度、是非、使ってみてはいかがでしょうか?

PS:
もし、あなたの介護事業所が
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さて、今日は銀行融資で銀行がやってはいけないことがあるという話です。

ちょうど1ヶ月くらい前になりますが、東日本銀行が金融庁から業務改善命令を受けました。まずはその記事です。↴

https://jp.reuters.com/article/higashi-nippon-bank-fsa-idJPKBN1K315N

 

東日本銀行が業務改善命令を受けたのは何点かありますが、主に次の二点についてこのブログでは書いていこうと思います。

まず一つ目が、本来受け取るべきではなかった手数料を受け取っていたというものです

具体的には、地方公共団体の制度融資を使った融資で手数料を受け取っていたというものです。

もう一つがいわゆる「歩積み両建て」というものです。

これは、融資を受けた金額の一部を定期預金にしてもらうという約束をして融資をすることです。

他にも、支店の営業エリア内に実態のない融資先の営業所の登記を行わせ、支店長専決権限を行使させる、といったこともやっていたようですが、上記の二点に絞ってその問題点について考えてみましょう。これらは、銀行融資では固く禁止されている行為で、今回は金融庁からその指摘を受けました。では、なぜいけないのでしょうか?

 

一つ目はわかると思います。

銀行融資で本来、受け取るべきでない名目で手数料を受け取るというのが禁止されているのは何となくお分かりだと思います。今回の大きな問題は「制度融資」という税金を使った融資制度なのにもかかわらず、銀行が手数料を徴収していたという点です。融資を受ける側からすると、手数料が発生していることについて大きな疑問を持たなかったのかもしれませんが、税金を使った制度を使ったら銀行が手数料を取るというのは自治体との協定で禁止されています。さらに言えば、融資を受ける側から手数料を取ってしまったら制度融資を勧めることが銀行のためにやっているようなものになってしまうからということもあるのだと思います。

 

そして二つ目の「歩積み両建て」というのは、昔はよくあった話で、禁止されている融資の最たるものです。

具体例で考えればわかります。たとえば、1億円を融資したとします。そのうち、5000万円を定期にしてほしいと融資の際に依頼したとします。

こんなことをするのであれば、単純に5000万円を融資すればいいのでは?と思うかもしれません。これは具体例で考えればよくわかります。

たとえば、1億円の融資を利率2%で融資を受けたとします。年間の支払う金利は200万円です。「歩積み両建て」で同時に5000万円の定期を組んだとします。そうすると銀行は、1億円から定期預金の5000万を引いた金額で実際には考えます。銀行的には、この会社には定期預金の5000万を差し引いた5000万円を実質的に貸している金額と考えます。銀行からすると、実質的に貸している5000万円に対して、利率200万円を受け取っていることになり、実質的には利率4%で貸しているのと同じになるわけです。もちろん、定期を組んでいるわけですから銀行からしたら定期の利息を支払う部分がありますが、現状では、定期の利息と言っても年利で0.1%とか0.2%とかです5000万円の定期であっても会社からしたら受け取る利息は5万円とか10万円とかいうレベルです。銀行からしたら圧倒的に受けとる利息の方が大きいわけです。単純に5000万円を利率2%で融資しても受け取る利息は100万円です。このように考えれば銀行の受け取る利息が「歩積み両建て」の方がはるかに大きくなることがお分かりだと思います。

このように、ある意味、企業からしたらわからないうちに銀行が儲かるような仕組みになってしまっていることに問題があるといっているわけです。加えていえば、「歩積み両建て」で積んだ定期預金は簡単には解約できないようにしています。企業からしたら事実上、1億円の融資ではなく5000万円の融資と同じことなわけです。倫理的にも問題があるのはお分かりだと思います。

 

さて、このように、融資でやってはいけないことがあるというのを経営者の皆さん、ご存知でしたでしょうか?知らなかったということであれば知っておいた方がいいでしょう。

その上で、たとえば、銀行から「投資信託があるのだが、買ってほしい」とか「カードローンの契約をしてほしい」とか、そういった依頼を受けたことがある人も多いと思います。

これらは、銀行が本業の貸付業務でなかなかもうけが出ないため、本業以外の業務で稼いでいこうという表れです。本業のお金の貸付でもうけが出ないため、支店単位でノルマを課して「投資信託」や「カードローン」、あるいは「保険」といった部分で儲けようとしているわけです。

 

経営者の皆さんは、こうした銀行の申し出に「無下に断ったら融資に影響が出るのではないか」と思うようです。実際、経営者の皆さんから「銀行から投資信託の販売を持ち掛けられたんだけど、やっておかないといけない(融資に不利になってしまう)のでしょうか」といったようなご相談を受けることは多いです。ですが、仮にこうした「投資信託」や「カードローン」や「保険」の勧誘を断ったことで、融資の判断に影響させるような行為も禁止されていることです。純粋にその「投資信託」や「カードローン」「保険」が魅力のあるもので、経営者自身がこれらをやってもいいと判断しているのなら別ですが、必要もないのに「融資に影響がある」と思う必要は全くありません。むしろ、そうしたことをちらつかせてくるとしたら、金融庁に言ってもいい違反行為です。経営者の皆さんは毅然とした態度で臨むべきです。

 

今回の東日本銀行の業務改善命令は経営者自身も知っていれば起こらなかったような話なのではないかと思います。もしご存知ない経営者の方がいらっしゃいましたら、この機会に「やってはいけない融資」について知っておきましょう。




週刊ダイヤモンドという経済誌にソフトバンクグループのCFO、財務担当の責任を担う後藤芳光さんの「返せる自信があるのなら借金はいくらでもしていい」というインタビュー記事が載りました。(2018/6/16版の記事です)

今日は会社の借入金について、改めて考えてみたいと思います。

まずは雑誌の記事を少し紹介しましょう。

「上場企業の経営者が株主に対して、『無借金経営です』と胸を張るというのは、何を考えているんだといいたいですね。株主からしたら、企業価値を上げてもらわねば困る。ところが、借金をしなければ、手元資金の範囲でしか成長できない。にもかかわらず、借金は悪だと。もはや、論理を超えていますよね。背景には日本人の美徳のようなものがあるかもしれません。日本人は、借金と聞いた瞬間に一歩引いてしまうんです。それは海外から見たら不思議に映るでしょうね。」

こんな書き出しで始まります。

借金はいくらしても問題ない。問題なのは現預金をいくらもっているかだというような内容が書かれています。

 

さて、そのソフトバンクですが、借金(有利子負債といいます)、売上を比較してみてみると、以下のようになります。以下は2018年3月期決算の数字です。

 

売上高   9,158,765百万円

有利子負債 17,042,188百万円

純利益   1,038,977百万円

 

桁が大きすぎていくらなのかわかりづらいかもしれません。売り上げが年間約9兆円に対して、借金は17兆円もあります。売り上げの実に倍くらいの借金があるわけです。ですが、利益は約1兆円あります。2017年3月期は利益が1.4兆円だったので、昨年比で約4000億円利益が減少していますが、依然として高い利益を出しています。

ソフトバンクの会長の孫正義さんはご自身のことを「借金王」と言っているらしいですが、これだけ借金があっても問題がないのは、現預金が約3兆円もあるためです。借金と言ってもすぐに返済を迫られるわけではありません。経営にとって大切なのは借金をいかに少なくするかではなく、できるだけ多くの現預金を持つことです。そして、確実に毎期、利益を出すことです。これによって、銀行はより貸しやすくなります。こうした状況が売上以上の借入金をしても問題ない状況を生み出しています。ソフトバンクという日本を代表する企業がこれを証明しています。

 

私の手元に「会社四季報」があります。「会社四季報」というのはその会社の事業の概要が書かれている辞書のようなもので、日本の上場企業の決算状況のダイジェスト版が載っています。この「会社四季報」を参考にいくつかの有名企業の売上と有利子負債の状況をみてみると、有利子負債が0となっている企業も数多くあります。借金はよくないと考えている表れでしょう。一方で、売上を上回る有利子負債がある有名企業も数多くあります。どんな企業があるのか、少し見てみましょう。

 

小田急電鉄

2018年3月期

売上高 524,660百万円

有利子負債 611,473百万円

純利益は29,328百万円と過去最高益。複々線化で混雑緩和し、利用者増加。

 

JR東日本

2018年3月期

売上高 2,950,156百万円

有利子負債 3,190,523百万円

純利益は 288,957百万円と直近5年で最高益。東京駅「グランスタ」やさいたま新都心の商業施設や賃貸ビルが好調。

 

東京ドーム

2018年1月期

売上高 83,686百万円

有利子負債 140,511百万円

純利益は8,116百万円と直近5年で最高益。スパラクーアが利益に貢献。

 

住友不動産

2018年3月期

売上高 948,402百万円

有利子負債 3,473,511百円

純利益は119,731百万円と直近5年で最高益。リフォーム・仲介事業が好調を持続。

 

NECキャピタルソリューション

2018年3月期

売上高 231,432百円

有利子負債 729,073百万円

純利益は6,006百万円と直近5年で最高益。情報通信機器・リースが堅調。

 

これらの企業の経営状況は決して悪い状況ではなく、むしろ好調な経営状態を維持しています。

 

よく私が聞かれることに「借入金はいくらまでしていいんですか?」というものがあります。

これは正直言うと、困る質問です。結局、いくらまで借入していいかなどというものは答えがないからです。現預金が少ないのであれば資本金を大きくするか、借り入れ(有利子負債)をするかしかないわけです。これまでこのブログで何度となく、書いてきましたが、どこまで借金をしていいのかと考えるのではなく、現預金を多く持つことが大事です。現金が少ないのであれば、借入金で賄うしかないでしょう。

これまでのブログは以下を参照してください。

 

月商の6か月分の借入金で倒産危機!?税理士や会計士の借入金にまつわる誤解

借入金なしの経営は危険!手元資金に不安がなくても借入しよう!

 

銀行融資の鉄則、「晴れた時こそ傘を借りる!」

 

上記のような大企業の決算を参考にしてみてはいかがでしょうか?



さて、今日は制度融資のお話です。

銀行から借り入れをする際に市区町村や都道府県、もしくは商工会議所や商工会を通じた制度融資というものを勧められることがあります。この制度融資とは何のことでしょうか

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制度融資のほとんどは、信用保証協会の保証のある融資制度ですので、保証協会の制度融資について説明していきます。

 

この制度融資というのは市区町村などに「あっせんの申し込み」というのをします。決算書などを見せて、要するに1次審査です。だいたいが簡単な面談などを行い、市区町村のお墨付きという意味の印鑑をもらいます。

次に、銀行に融資の申し込みをします。銀行の融資には、銀行から直接借りる『プロパー融資』と信用保証協会が融資の保証を行う『信用保証協会融資』がありますが、この制度融資はこのうち、信用保証協会が保証を行う信用保証協会の融資制度になります。

信用保証協会というのは都道府県ごとにあるもので、信用保証協会が保証人となって銀行融資をするというものです。信用保証協会には一定の保証料を支払います。

銀行からすれば、保証協会の保証がついているため、お金を貸しやすいわけです。

その保証協会の審査が2次審査です。

信用保証協会の審査が無事通過すると、今度は銀行で審査されます。これが3次審査です。

3次審査が終わると、無事、融資が実行されます。

 

流れとしては次のような手順を踏みます。

 

融資のあっせん申し込み

(市区町村の産業振興課などの窓口に行く)

     ↓

市区町村の産業振興課などで面談

(中小企業診断士などが面談する場合もあります)

     ↓

市区町村から「あっせん状」が発行される

     ↓

「あっせん状」をもって銀行で融資の申し込み

(保証協会の融資の申し込み)

     ↓

信用保証協会による審査

     ↓

 銀行による審査

     ↓

   融資の実行

 

要するに、市区町村や都道府県の制度融資というのは、保証協会の融資制度を利用し、銀行が貸しやすい環境を整えているわけです。市区町村や都道府県が融資のあっせんを行うため、保証協会の保証も付きやすく、信用保証協会の保証が付けば銀行も融資もしやすくなるということです。

 

また、融資の利子や保証協会に支払う保証料の一部を市区町村や都道府県が負担するというのもこれらの制度融資の特徴です。利子や保証料が安く借りられることから、制度融資の利用が銀行でも勧められるわけです。

 

さて、この制度融資ですが、どのような種類があるのでしょうか?

市区町村や都道府県によって異なりますが、一般的には次のようなものがあります。

 

・小規模企業小口資金

・経営基盤強化資金

・一般的な制度融資

 

市区町村や都道府県によりますが、だいたいこの3つがあるようです。

 

順に簡単に解説しましょう。

 

・小規模企業小口資金

市区町村や都道府県によっては「小規模企業振興資金」と呼んでいたりします。内容はほぼ、同じものです。

これは従業員数が20名以下(卸売業や小売業、サービス業は5人以下)の企業が対象です。他に保証協会の融資があればそれを合算して、最大で2000万円まで借りることができます。

 

・経営基盤強化資金

一般的には「セーフティネット保証5号融資」とか「5号融資」と呼ばれることが多いです。これは、中小企業信用保証法第2条第5項第5号に該当する融資のためそのように呼ばれます。

この制度融資の特徴は、前年比で売り上げが5%以上下がっていることが条件であることです。前年の同月と比べて3か月間で見ると、売上が5%以上下がっていると適用になります。「売り上げが下がる」と融資が受けられるというのはこの制度融資くらいのものでしょう。

一般的には、銀行は売り上げが前年比で下がっていたり、利益が少ない(もしくは赤字である)と貸しづらいわけです。それを市区町村や都道府県がサポートすることで融資を促そうとしているわけです。

 

この制度融資の特徴は業種が限定されているということです。景気の動向などを踏まえ、中小企業庁が対象業種を決めますので、そもそも対象外の業種になってしまうとこの制度融資は使えません。

 

ちなみに、私の関与することの多い「治療院」や「介護事業所」は残念ながら、対象業種に含まれていません。以前は対象業種に含まれていましたが、現在は対象業種が絞られ、対象外になっています。

 

・一般的な制度融資

小規模の中小企業でもなく、5号融資の対象でもない場合に、それ以外の一般的な制度融資を使います

 

この3つの制度融資は、中小企業経営者は是非、知っておきたいところです。もし制度融資が使えるのなら、使ったほうがいいでしょう。保証協会の保証を取り付けやすいですし、銀行は融資しやすくなります。また、利率や保証料も一部、市区町村や都道府県が持ってくれますから、普通に保証協会付き融資を受けるのなら、制度融資を是非、利用したいところです。

 

ちなみに、これらの制度融資の欠点はというと、普通の融資よりも時間がかかることです。市区町村のあっせんを受けてからになります。また保証協会での融資の審査もあります。そのあと銀行の審査もあるわけですから、通常の融資よりもチェックポイントが多いわけです。通常であれば、あっせんの申し込みをしてから融資が実行されるまで約1ヶ月ちょっとかかるものと思っていいです。

もし急いでいるのであれば制度融資は不向きかもしれません。

 

1ヶ月くらいなら時間がかかっても大丈夫であれば、制度融資を検討してみてはいかがかと思います。

今日は、市区町村や都道府県で行っている制度融資の話でした。