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この8月1日から、社会保険にはいくつか改正がありました。

まず、後期高齢者が医療機関で支払う一部負担金が、年収によっては2割負担や3割負担になるというのがあります。

そして、経営者にとっては、年金の受給資格期間が10年に短縮されたというのは影響が大きい改正項目ではないかと思います。

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従来は、いわゆる老齢年金を受給するには、加入期間が最低25年ないと受給できませんでした。

この25年加入というのは、保険料支払済み期間とイコールではないので注意が必要です。この辺の話は私の以前のブログをご参照ください。↴

年金の「カラ期間」ってなに?

 

さて、経営者にとって、この改正が影響が大きいというのは、特に社会保険未加入事業所です。よく経営者の皆さんからはこんな話をお聞きします。

「年金は25年入っていないともらえない。今から自分が入っても25年にならないから掛け捨てになってしまう。だから、入りたくないんだ。」というような話です。

法人だと社会保険は強制加入なわけですが、社会保険に入らない(入りたくない)理由の一つになっていたのがこの25年(300か月)ルールです。

 

しかし、このハードルが10年に下がるわけです。ということは、たとえば、60歳から加入しても、厚生年金は70歳までは入れますから10年はクリアできることになります。

一般的に、国民年金だけでは40年保険料を払っても年金額は年間で約80万円です。

80万で生活するのは厳しいですよね?それを考えると厚生年金に加入して少しでも年金額を増やすというのは老後の生活保障としても必要のある話なわけです。

 

また、最近は介護施設でも外国人を雇うことが多くなってきましたから基礎知識として知っておく必要があるのが外国人の年金です。

外国人の場合、「年金をもらえる期間が10年になったと言っても10年も日本にいないし、いずれにしても掛け捨てになってしまう」というような話です。

これこそ、私の以前のブログ↓をよく読んでください。

年金の「カラ期間」ってなに?

 

要するに、外国人の場合には、日本国外に在住していた期間はカラ期間(合算対象期間)となり、10年の年金をもらえる期間の算定には、外国に住んでいた期間はカラ期間としてその期間を含めて判断します。そうなると、ほとんどの外国人はこのカラ期間を使って年金を受給できる可能性があるわけです。日本にいた数年だけ厚生年金を掛けていたとしても十分もらえる可能性はあるわけです。

ちなみに、外国人の場合、日本から出国した時に脱退一時金として、一時金でもらって年金はもらわないという選択もできます。

 

年金加入期間が10年になったというのは、経営者にとっては影響の大きい話ですので、上記のような基本的な部分の話だけでも頭に入れておいた方がいいでしょうね。



ブログの更新がここ最近、されておりませんでした。

7月というのは、私にとっては労働保険の年度更新、算定基礎届の提出、源泉所得税の納期の特例、そして、介護事業所では処遇改善加算の報告書の提出、と結構いろいろとあって忙しい時期ではあるので、なかなかブログが更新されずにおりました。

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さて、今日のテーマは「最低賃金」です。☝このチラシをご覧になったことのある方も多いと思います。

さすがに経営者の皆さんは「最低賃金」って何?という方はあまりいらっしゃいません。

時給者はわかりやすいですね。時給単価のことです。では、月給者の場合はどうでしょうか?月給者の場合には、月給の金額を通常の勤務時間で割った1時間当たりの金額がこの最低賃金を下回ってはいけないということになります。

 

さて、7月27日付で、労働局の諮問機関である中央最低賃金審議会というところで、最低賃金の目安というものが発表されました。

それによると以下のようなものです。

 

(ランクごとの目安)

各都道府県の引上げ額の目安については、 Aランク26円、Bランク25円、Cランク24円、Dランク22円 (昨年度はAランク25円、Bランク24円、Cランク22円、Dランク21円)。

注.都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて、引上げ額の目安を提示している。現在、Aランクで6都府県、Bランクで11府県、Cランクで14道県、Dランクで16県となっている。参考参照

(参考)各都道府県に適用される目安のランク

ランク 都 道 府 県
埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪
茨城、栃木、富山、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島
北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、徳島、香川、福岡
青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、 宮崎、鹿児島、沖縄

 

東京はAランクですから、現状の932円にプラス26円で、958円になります。

首都圏では、神奈川県は、現状が930円なので、956円埼玉県は、現状が845円なので、871円となります。

 

この答申は、例年通りだと、そのまま最低賃金として採用されます。

運用はだいたい、10月1日以降となるのが慣例です。

 

ちなみにですが、最低賃金は都道府県ごとに決まっていますが、最も最低賃金の低い都道府県はどこだかご存知でしょうか

現在は沖縄県と宮崎県の714円です。これらの都道府県はDランクですから714円に21円プラスして735円となります。

(最低賃金の最も高い都道府県はもちろん、東京都です)

 

最低賃金は東京都では、2020年に約1000円になるように引き上げを行っています。それらも踏まえて給与の設定をしていかないといけません。また、キャリアアップ助成金などの助成金受給の際には、最低賃金を下回っていないことが当然の条件となっていますので、助成金受給を考えていらっしゃる方は注意しましょう。

経営者の皆さんも十分に注意していく必要がありますね。



今日は最近、顧問先からも質問の多い、イデコについてです。

前回、確定拠出年金について説明しましたが、このイデコは「個人型確定拠出年金」と呼ばれるものです。

前回同様、経営者の皆さんは、必要最低限を知っておけばいいと思いますので、概略をご説明いたします。

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まず、このイデコですが、実は平成29年1月から運用が変わりました

以前は個人事業主など、自営業者に限られた制度でしたが、サラリーマンや公務員、専業主婦など、基本的には全ての人が対象になるように変わりました。

 

イデコは、確定拠出年金ですから、払い出しは基本的には60歳以降しかできません。その制限がある代わりに、支払った金額が全額所得控除できるというメリットがあるのでした。また、運用は加入者本人が行います。また、受け取りについては年金で受け取れば「公的年金等の雑所得」となり、一時金で受け取れば「退職所得」となる。こうした点は、イデコと全く同じです。

基本的には前回の「確定拠出年金」と同じであると、まずは理解してください。

 

その上で、ではどういう特徴があるのかを箇条書きしてみましょう。

 

・20歳以上60歳未満だったらだれでも加入できる制度である。

・掛け金は月額5000円から始められ、1000円単位で掛け金を決められる。

・ただし、掛け金には上限がある(後ほど説明します)

・イデコに加入したい場合には、証券会社や銀行のイデコの相談窓口に行って加入する必要がある。

・口座管理手数料がかかる。

 

さて、掛け金には上限があるわけですが、この上限は、国民年金の何号の被保険者かによって変わってきます。

第一号被保険者、つまり基本的には自営業者の場合には、最大で月額6.8万円までかけることが可能です。第二号被保険者の場合には、少し複雑です。会社で「確定拠出年金」に加入している場合には、上限は2万円ですが、「確定拠出年金」に加入していない会社にいるのであれば、掛け金の上限は2.3万円です。公務員は1.2万円までしかかけられません。さらに、第三号被保険者の場合、上限は2.3万円となっています。

 

このように上限額に差があるのは、確定拠出年金が全額所得控除という税制上のメリットのある制度なので、他で加入している場合には二重に加入する形をとると不公平になってしまうことを考慮しているようです。

 

さて、私は顧問先には、イデコをご案内する際に、順番があるという話をします。

確かに、イデコは税法上のメリットも大きいですし、魅力のある制度です。検討する価値はあります。ですが、特に、小規模事業所の社長さんはイデコの前にまずは「小規模企業共済」というものがあります。これに加入することを検討するようにお話しています。

イデコ(というよりかは「確定拠出年金」といったほうがいいでしょう)のデメリットは、60歳になるまで払い出しができないことです。拘束されるお金だということです。だからこそ税制上のメリットを享受できるわけですが、その拘束されるお金というのが経営者にとっては厄介です。

小規模企業共済であれば、資金繰りに困った時には、貸出制度もありますし、途中解約して現金化することも可能です。イデコの場合には、原則的には途中解約して現金を引き出すことは出来ません。

 

小規模事業所の場合、「小規模企業共済」の次に「イデコ(iDeCo)」の検討という順番ではないかと私は考えています。



7月10日というと、実はいろいろと事務作業が多く、忙しい時期です。

算定基礎届、労働保険の年度更新、納期の特例(源泉所得税を半年に1回納付する方法)の源泉所得税の納付・・・

毎年、特に、小規模事業者にとっては忙しい上に、キャッシュが出ていくことが多いというのがこの時期です。

私の顧問先は従業員数が10名・20名程度かそれよりも少ない数の小規模事業所が多いため、どうしてもこの時期はこうした事務作業が多くなり、かなり忙しくなります。そのために、なかなかブログの更新もできませんでした。

私の趣味で声楽を勉強していて、その一環で合唱をやっているのですが、その練習にも参加できずにおりました。

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さて、私の近況はさておき、今日は確定拠出年金についてです。

日本版401Kなんて言われたりします。

経営者の皆さんだったら、どこかで聞いたことくらいはあるのではないでしょうか?

しかし、どういうものなのか、よくわからないといった方が多いのではないかと思います。

経営者の皆さんからも質問の多いこの確定拠出年金について、私が顧問先の皆さんに説明するときのだいたいの概要について、書いていこうと思います。

 

まず、確定拠出年金というのはどういう位置づけのものか、わかりますか?

違う言い方をすると、なぜこういうものを企業が導入するのでしょうか?

 

これはまず、「退職金制度」の一環として導入しているということです。

確定拠出「年金」と言っていますが、「退職金制度」なんです。このことはまず理解しておきましょう。

 

企業の退職金制度というのは、従来は「基本給×功績倍率」なんていう形で計算しているものが多かったと思います。この功績倍率はだいたいが勤続年数によっているようなものです。この制度は、企業が退職金の支払い義務を負う形のものであることから、企業にとってはリスクになります。そのため、この制度をやっていたとしても多くの企業では時間をかけて移行しているというのが現状です。

また、「厚生年金基金」といったもの(いわゆる三階建ての年金)もありましたが、近年は厚生年金基金自体が運用がうまくいかないところも多いようです。

そこで、「確定拠出年金」です。これは、企業が掛け金を支払ったらあとの運用は本人に任されるものです。本人の負担と会社の負担があり、本人負担・会社負担がそれぞれ全額控除(従業員本人は全額社会保険料控除、会社側は支払ったものは全額損金)で、会社としては支払ってしまえばあとの運用は本人がやることなので、退職金の支払い義務が生じないというメリットがあります。

数年先の経営がどうなっているのか読めないような今の時代の経営には合っている制度であると言えます。

 

では、あとはどんな特徴があるのでしょうか?

箇条書きしてみるとよく理解できると思いますので、書き出してみましょう。

 

(本人にとっての話)

・確定拠出年金の口座はその会社を辞めても次に再就職した会社でも引継ぎできる。

・個人ごとにいくら残高があるのかを、ネットでいつでも確認できる。

・原則として、確定拠出年金の口座からの払い出しは60歳以降

・払い出し時に、一時金としてもらえば退職所得となり、年金形式でもらえば公的年金等の雑所得とみなされる

・厚生年金に加入している人は全員が対象

・支払った掛け金は全額、社会保険料控除

 

(会社にとっての話)

・運用が低迷しても、確定給付年金のように追加負担はない。

・確定拠出年金の支払いをすれば会社としては退職債務は負わない。

・支払った掛け金は全額所得控除

・月額55,000円が掛け金の上限

・あとから掛け金の減額は出来ない

・勤続年数が3年未満の社員は、退職時に掛け金相当額の返還を求めることができる

 

 

こんなところでしょうか。

経営者の視点からすれば、要するに、支払ってしまえば責任はないという実に簡単なところが確定拠出年金の一番のメリットと言えます。

 

概要だけでも少し理解できましたか?

いろいろと確定拠出年金のことを説明している本もたくさん出ていますが、経営者の皆さんは上記のような概要だけ知っておけば私はそれでいいのではないかと思います。

 

次回は、個人型確定拠出年金、通称iDeCo(イデコ)について、これも簡単に概要だけご説明することにします。



前回に続き、セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の話です。

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まず、最初に言っておきますとこれは税理士でも失念しているケースが多いので特に注意が必要な点です。

セーフティ共済は払ったら原則、全額損金計上というのは前回、お伝えした通りです。

ですが、税法的にはこれは正しくはありません。

実は、税法上は「原則:積立金、例外:損金(必要経費)」なんです。

えー、って思いましたか?

 

法人の場合、別表10(6)『特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書』に記載し、『適用額明細書』に条文番号等を記載して初めて損金計上できることになっています。

個人の場合には、こうした別表はないことから、任意の形式で『中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書』というのを書いて添付しないと必要経費にできないことになっています。

 

これはどういうことなのでしょうか?

 

実はどうも税務の考え方は、セーフティ共済というのは基本的には積立金と認識しているようなのです。

前回のブログで、セーフティ共済は積立金というイメージがあると書きましたが、税務はその考えを前提としておいているようなのです。

そのため、「損金(個人は必要経費)に計上するのであれば別表を添付する」となっているようです。

 

では、個人の場合の簡単な添付書類というのはどういうものでしょうか。これは本当に簡単なもので問題ないようです。

 

「平成〇年分確定申告において、租税特別措置法28条第1項二号に基づく中小企業倒産防止共済掛け金は次の通りです。○○円  ××太郎印」

 

とこんな感じの文章で作ったものを添付します。

 

ここまでやって損金計上(必要経費)できるということです。この別表や個人の場合の任意の書類添付については、冒頭に書きました通り、税理士でも失念の多いものであることも頭に置いておきましょう。

 

ちなみにですが、過去に出した申告書にこの別表や明細書が添付されていなかった場合ですが、即座に損金や必要経費の計上が否認されるというのは考えづらいかなと個人的には考えています。実務上は「今度からちゃんと出すようにしましょうね」という話で終わるような気がします。

ただ、あくまでも、規定上は別表や明細書の添付が要件とされていますから、その点は誤解のないように。

 

また、もう一点。

これも忘れがちですが、このセーフティ共済はかけらける金額に上限があります

累計で800万円です。それ以上はかけられません。

ということは、累計額でいくらになっているかの管理が別に必要になるということです。

「今期もセーフティ共済を掛けようと思ったら上限いっぱいで掛けられないと言われた」と後からわかってもそれで節税を図ろうとしていた場合、計算が狂います。

累計額については、毎年2月頃に中小企業基盤整備機構から掛け金累計額についてお知らせが来ます。セーフティ共済の累計額を表などで管理するのと同時に、毎年、その通知で改めて確認するようにしましょう。

 

ということで、2回にわたってセーフティ共済についての話でした。

 



経営者の皆さん、セーフティ共済(中小企業倒産防止共済とも言います)というのをご存知でしょうか?もしご存じなければ必ず知っておいた方がいいものです。この機会に概略だけでも知っておきましょう。

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まず対象になるのは「1年以上事業を行っている中小企業」です。創業間もない事業者は対象外です。また、「一般消費者を取引先とする事業者、金融業者および不動産賃貸業者などは、取引先事業者に対する売掛金債権等が生じず、共済金の貸付けの対象とならない」となっている点も要注意です。

 

さて、まずこの共済制度がどんなものなのかということです。

運用主体である中小企業基盤整備機構の出しているセーフティ共済の説明文を以下に引用します。

 

貴方の会社が健全経営でも「取引先の倒産」という事態はいつ起こるかわかりません。経営セーフティ共済(正式名称:中小企業倒産防止共済制度)は、そのような不測の事態に直面された中小企業の皆様に迅速に資金をお貸しする共済制度です。」

 

つまり、この共済制度というのは、売掛金の相手先が倒産して売掛金が回収できなくなった場合、中小企業基盤整備機構がその回収不能になった売掛金の代金相当額のお金を貸してくれるというものです。貸すという話で、もらえるわけではないです。また、無利子で貸してくれます。ただし「貸付けを受けた場合、共済金の貸付額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛金から控除されます。控除された額に相当する掛金の権利は消滅します。」(中小企業基盤整備機構の説明文から引用)となっています。

つまり、共済の事由が発生してお金を貸してもらった場合、貸してくれたお金の10分の1は戻ってこないということです

 

このセーフティ共済のイメージですが、払ったお金が積まれている感じです

実際に共済の事由(売掛金の相手先の倒産)が発生したら、お金を貸してもらえますが、貸してもらったら貸してもらったうちの10分の1の金額は積んでいたお金からマイナスされる。こんな感じでイメージしていただければわかると思います。

 

また、私の関与先は介護事業所や治療院が多いわけですが、こうした事業の場合、売掛金の相手先が国保連や各保険者だったりするわけで、これが倒産するということはまず考えられないことです。つまり、こうした業種では、この共済の本来の機能を使うことはまずないと言えます。

 

さて、このセーフティ共済ですが、実際にはその共済制度自体というよりかは、節税を目的として加入することが多いです。(特に、介護事業所や治療院のような共済自体の本来の機能を使うことがないような業種ではほぼ、節税目的です。)

このセーフティ共済の掛け金は全額、損金(個人だったら必要経費)になります。払ったものが全額引けるわけです。さらに、40か月以上かけると、解約しても払ったものは100%戻ってきます。払っている間は全額損金(もしくは必要経費)で、40か月以上、かけていれば解約しても全額戻ってくる(戻ってきた場合には、全額収入計上【雑収入】)ため、税金が出るときに支払い、逆に赤字傾向の時に解約して現金化(収入計上)するような形を取れば、節税が図れるわけです。

 

また、解約はしたくないが、資金が必要というような場合、解約手当金の95%の範囲でお金を借りることも可能です。この貸付制度は仮に返せないとしても積み立てている共済金からマイナスされるだけですので、その意味でも利用しやすい制度です。

 

また、月額5,000円~200,000円まで5,000円刻みで選択できます。月払いにもできますが、年払いも可能です。

保険料というのは、セーフティ共済に限らず、原則、支払ったときに費用計上(損金計上)となります。そのため、私は顧問先には、決算月に加入し、年払いにすることをお勧めしています。決算月に年払い契約することで、毎年、決算前の状況を見ながら掛け金をいくら払うのかを検討できるからです。決算が厳しい状況(赤字決算)なのであれば、決算の翌月に支払って、次期の経費にすることも可能です。状況を見ながら今年はいくら払うか、もしくは払うのをやめて次期に繰り越すかを決められるので、決算月契約しに年払いにすることが私のお勧めです。

 

また、月額20万円までかけられることから、たとえば、20万円×12ヶ月分で240万円をいっぺんに支払ってもすべて経費計上されます。たとえば、月払いで月額20万円払っていて、決算月に翌年の12ヶ月分を前払いすると、合計で年間480万円支払うことになり、支払ったときに経費計上という点から、480万円すべて経費計上とすることも可能です。

 

ただし、前払いする保険料が1年を超えた期間になってしまうと、その期間に対応した部分のみが経費計上になりますので注意が必要です。

たとえば、平成29年3月決算の法人で、平成29年3月に平成29年4月~平成30年3月までの保険料を前払いしたのであれば全額経費計上が可能ですが、平成29年4月分~平成30年4月分(13か月分)を前払いしてしまうと、期間に対応する部分のみが経費計上になることから、平成29年3月決算ではすべて経費計上できないことになります。

この辺は、いつまでの期間について支払ったら経費計上できるのかという点はよく考えて検討すべきです。

 

セーフティ共済の特徴をもう一度まとめますと・・・

・売掛金の相手先が倒産したらその売掛金の金額の範囲内でお金を貸してもらえる。

・払ったときに全額損金計上(必要経費)、解約金を受け取ったら全額収入計上

・解約せずにお金を借りることもできる。

・月額5,000円~200,000円まで掛け金を選択できる

・40か月以上かけていれば解約しても払ったお金は100%お金は戻ってくる。

・月払い、年払いいずれも選択できるが、決算月に契約し、年払い契約にするのがお得

・13か月以上の分を前払にしてしまうと、今期の経費にはできず、次期以降の経費になる

 

こんなところでしょうか。

 

今日はこれぐらいにして、次回はこのセーフティ共済に加入した後の注意点などについて、書いていこうと思います。



さて、今日は前回に続きです。

定額残業代を導入するにあたって、具体的にどんな点に注意したらいいのでしょうか?

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まず、前回の復習ですが、定額残業代導入に当たっては3点に注意する必要がありました

 

①雇用契約書にみなし残業代の金額とその残業代の時間数を明記すること

②就業規則や雇用契約書に実際に働いた労働時間数がみなし残業代の労働時間数を上回ったときは、その差額支給する旨が明記されていること

③給与明細書に、定額残業代の時間数とそれに対する定額残業代が明記されていること

 

この3点です。

それを前提にお話を進めていきましょう。

 

まず、大前提としてですが、従業員さんが個々にこの制度の導入に同意していることが重要です。個別に雇用契約書を結ぶ、従業員全員に同意書を書いてもらうなど、従業員さんが同意したうえでこの制度を導入していることが大事です。

 

会社が新しく「定額残業代」を導入する場合に、私がお勧めしているのが「従業員説明会」をやることです。簡単にレジュメを作って、制度について説明することです。

これは、説明会を通して、定額残業代についての説明があったという事実を残せるのでやってほしいと思います。実際、そこで質疑があれば受け付けたりすると、より理解も増し、効果的です。そこまでやっていてさすがに従業員さん側も「知らなかった」とも言えません。なにより、就業規則などの理解を深めることにつながることは経営者にとってもプラスの効果があると思います。こういうことに消極的な経営者も多いですが、従業員説明会をやることはむしろ経営者側にとってもプラス効果の方が多いと実感しています。

人数が少なくてもやる価値はあると思います。

 

さて、実際の導入にあたって、契約書等の具体的な内容はどういった部分に注意したらいいのでしょうか?

 

まず、みなし残業というのは何時間相当の時間外労働とするのかという点です。

これは、36協定(時間外労働・休日労働に関する協定書)は1か月の労働時間を45時間を限度とすることもあり、45時間以内というのが一般的なようです。

60時間というのはギリギリセーフ、80時間の時間外労働を設定するのはダメ、というのが今までの裁判例からのおおよその見方です。

結局、みなし残業の時間が長いと、長時間労働の温床になりかねないというのが主な理由です。時間外45時間(最大でも60時間)というのを一つの目安としましょう。

 

次に、休日労働や深夜労働などがある場合です。

これも裁判例から答えが出ている部分です。通常の時間外労働の他に、休日労働や深夜残業がある場合給与明細や雇用契約書などには必ず、「時間外部分○○時間で××円、休日労働○○時間で××円、深夜労働○○時間で××円」というように、個々の内訳を明示しないといけません。これは、時間外労働や休日労働、深夜労働はそれぞれ時間外手当の単価が異なるからです。(時間外労働は1.25倍、休日労働は1.35倍、深夜残業は25%増しです)

そのため、きちんとその内訳を明示しないと、定額時間外として認められないことがあるわけです。休日労働などを含んでいるのであれば、その内訳を給与明細や雇用契約書などに明示しましょう。

 

さらに、手当の名称です。

これも、就業規則や雇用契約書で「定額時間外制度による時間外手当」である旨がわかる表現にしないといけません

たとえば、「『役職手当』となっているのが実は『定額時間外』だった」とか、「『職務手当』」とあるのが実は『定額時間外』だった」とか言っても、伝わりづらいです。本人に認識がないとか、就業規則や雇用契約書からもはっきり読み取れないなどとなると、そもそもその手当は「定額時間外」だったのか、疑わしくなります。

たとえば、「役職手当」というと「役職に対して支払われる手当」であって、時間外というニュアンスが伝わりません。「職務手当」というのも「職務(仕事)に対して支払われる手当」という感じがします。これが「時間外手当」だったと言っても、いざ争いになった時に会社側に不利に働く結果になりかねません。

一番すっきりするのは、はっきり「定額時間外手当」と書いてしまうことです

要は、本人にわかるように「○○手当」となっているのが時間外手当であることが明らかになっていなければいけないわけです。

 

最後にですが、経営者の皆さんに勘違いしてほしくないのは、「定額時間外制度」によって時間外手当を払わなくていい環境を作るわけではないということです。

中小企業にとって、残業代が増えることは死活問題になりかねません。ですから、一定程度、残業があってもその部分はすでに払っているよ、という形にすることは、経営的な観点からは、ある程度、やむを得ない側面もあると思います。しかし、だからと言って残業しても手当を全く払わないというのは法に違反しているだけでなく、長時間労働の温床となり、そういうことを常態化するといい人材が集まらなくなります。最近言われる「ブラック企業」というレッテルを張られてしまうわけです。いい人材が集まらなくなれば結果、経営を圧迫しかねません。

この制度は、ともすると、いわゆる「サービス残業」だったり、長時間労働を助長してしまうことにもなりかねない制度です。運用をしていく中で、時間外労働を少なくする努力も同時にしていくことが重要なポイントです。近年よく言われる「ブラック企業」とならないためにも、経営者には肝に銘じてほしいと切に願います。

 



さて今日は定額残業代の話です。

経営者の皆さんからのご相談として多いことの中に「残業代」についての話があります。経営者からのご相談なのでそのほとんどが「残業代」が経営を圧迫しているというようなお話です。解決法の一つとして話題に上がるのが、「定額残業代」についての話です。定額残業代を導入したい、あるいは導入している定額残業代について見直ししたいといったような相談です。

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まず、定額残業代というのはどういうものなのか、整理しましょう。

定額残業代というのは文字通りで、残業代を支払額を原則として一定金額に固定してしまうことです。つまり、たとえば給与が30万円の人の場合で、社長さんとしては残業代も込みで30万円と認識しているような場合、25万円を基本給で、5万円を残業代とするようなものです。

 残業代を一定にする「定額残業代」は中小企業に広く行われています。それはなぜでしょうか?

まずは経営者側の視点です。経営者としては例えば「給与が30万円」と言ったら残業代のことは考えずに30万円と思うはずです。30万円の給与と言っておきながら、残業をしたらそれとは別に「残業代」を支払うというのは経営者感覚としてはその残業代は「思ってもいない出費」という感覚のはずです。いい悪いは別として、それが経営者の感覚です。

だったら、雇用契約を締結する段階で、残業代を折り込んで雇用契約を締結したらどうか、というのが経営者側から見た「定額残業代」の捉え方です。

 

一方で、従業員側にとってはどうでしょうか?従業員側にとっては、残業をして残っていると「残業代を生活の当てにしているから残っている」などと思われたくはないということがあります。もし「定額残業代」の制度がない状況で会社に残っていると、経営者は残業代をできるだけ払いたくないですから「早く帰ってほしい」と圧力がかかります。しかし、やらなければならない仕事はあるわけです。残業をしようがしまいが、残業代を折り込んだ形で給与は支払われているわけですから、従業員さんとしても変な言い方ですが、「堂々と」仕事ができます。また、「定額残業代」の導入は無駄な残業時間の削減につながるという効果も期待できます。残っていてもお金になるわけではないので、従業員さんも早く帰るというわけです。実際、「定額残業代」を導入して無駄に会社に残ることをしないことで、残業時間を減らすことにつながった例もあります。仕事を早く終わらせ、余暇の時間を多く持つことは従業員さんにとってもいいことなわけです。

 

さて、この定額残業代ですが、裁判となるケースも多いのも事実です

経営者的には「残業代も払っている」といって、ルールを無視した運用をすることでトラブルになるわけです。この定額残業代は裁判例も多いことから、裁判所の判断もわりとわかりやすく整理されています。その裁判例から導き出されている「ルール」に則ってきちんとやらないと、いざ訴訟などの争いになった時に、会社側に不利になる傾向があることは、経営者側はよく理解しておくべきです。

あとは、経営者の方でよく勘違いされるのが、「これで余計な残業代は一切払わなくて済むようになる」と思っていらっしゃる方がいることです。これはとんでもない勘違いです!定額残業代で設定した時間数をオーバーすれば、オーバーした分は残業代として支払う必要はあります。こうした経営者の思い込みが、本来は起きるはずのなかった争いを生むこともあることはよく理解しておくべきです。

 

さて、その裁判例から導き出されている「定額残業代」のルールについて、確認しましょう。

会社の導入する「定額残業代」が、法律上、有効とされるにはどのような条件が必要なのでしょうか。大きくは以下の3つに大別されます。

 

  1. 雇用契約書にみなし残業代の金額とその残業代の時間数を明記すること
  2. 就業規則や雇用契約書に実際に働いた労働時間数がみなし残業代の労働時間数を上回ったときは、その差額支給する旨が明記されていること
  3. 給与明細書に、定額残業代の時間数とそれに対する定額残業代が明記されていること

 

 

今まで私が出くわした事例としては、「基本給の中に時間外部分××円と書いてある」とか、「○○手当は時間外手当として支払っている」とか、そういうものです。

きちんと、就業規則や雇用契約書で「定額残業代」について明記したうえで、何時間相当の残業代なのか、そこまでかかれていて初めて有効になります。

また、実際にたとえば「時間外手当30時間相当として支給している」と雇用契約書に書いてあって、給与明細にもその旨が明記されているのに、実際の労働時間が40時間で、差額の10時間分が支払われていないケースなどはダメです。

 

そして、経営者としてリスクなのはこの定額残業代がきちんと上記の3つのルールを守って運用されていないとこの制度自体が否定されることです。

つまり、たとえば「基本給25万円、定額残業代5万円」と雇用契約書に記載されていて、「定額残業代は時間外労働30時間分」と給与明細にも明記されていたとします。ところが、ある月の労働時間が40時間だったにもかかわらず、その差額の残業代が支払われなかったとします。そうすると、この制度自体が否定されます。つまり。「基本給30万円」とみなして、40時間相当の時間外手当を支払わなければならない事態も起こりうるわけです。

 

このように、この定額残業代という制度は実はルール通りにやらないと経営者にとっては厄介なことになってしまう制度であることはよく理解しておいてください。

次回は、定額残業代を実際に運用する場合における細かい留意点について、書いていこうと思います。



今日は最近、とても質問の多い「住民税の特別徴収義務化」の話です。

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その前に、住民税の仕組みについて、基本的な話を理解しておきましょう。

住民税の支払いは基本的に前年の住民税を翌年度支払います。

たとえば、平成29年度(平成29年の6月以降)に支払う住民税は、平成28年1月から12月の所得に対しての住民税です。納付するのが1年ずれる。これは住民税の理解の基本です。

 

そして支払い方が2種類あります。「普通徴収」と「特別徴収」というものです。

普通徴収というのは、6月、8月、10月、2月の年4回です。(固定資産税や事業税など、他の地方税の納付がない月に住民税を徴収するという配慮があるようです)

一方、特別徴収というのは給与から天引きされる方法で、6月から翌年5月にわたって、年12回で給与の支払いをする会社で給与から天引きして支払う方法です。

 

今回の論点はこの「特別徴収」です。

実は、今までは会社は「普通徴収」にするのか、「特別徴収」にするのかは事実上、選択できました。つまり、会社側は「特別徴収にすると会社で給与から天引きして従業員の住民税を納付しないといけなくなる。事務負担が増えるから『普通徴収』にして住民税は自分で納付してもらうようにしよう」ということが可能だったわけです

それが、平成29年からは「特別徴収」という給与から天引きされる方法が原則になったわけです。つまりは、「特別徴収」というのは「特別」と言っておきながら、平成29年度からはこれを原則的な取り扱いにするわけです。

 

ほとんどの企業では、住民税の特別徴収、つまり給与から天引きするやり方をやっています。そのため、多くの企業(個人事業も含みます)では、別に従来と変わりがありません。

しかし、たとえば従業員数が5人未満の事業所だったりすると、住民税は「普通徴収」にして自分で納付してもらう形を取ることが多いです。そのような本当に小規模(従業員数5人未満のような)事業所では、単純に会社の事務負担が増えるだけだということで、「特別徴収」という方法を選択しなかったわけです。それが、平成29年からは、現在いる従業員に対しては、一律「特別徴収」にするとなったわけです。

 

では、どのような場合に「普通徴収」が選択できるのかという話です。これは、以下のような場合のみの話です。

 

普通徴収を選択できる場合

 

普A 総従業員数が2人以下

(他の区市町村を含む事業所全体の受給者の人数で、以下の普B~普Fの理由に該当して普通徴収

とする対象者を除いた従業員数)

普B 他の事業所で特別徴収

普C 給与が少なく税額が引けない。

普D 給与の支払が不定期(例:給与の支払が毎月でない。)

普E 事業専従者(個人事業主のみ対象)

普F 退職者又は退職予定者(5月末日まで)

(休職等により4月1日現在で給与の支払を受けていない方を含みます。)

※東京都のリーフレットを参照

 

このような理由がなければ原則として「普通徴収」は選択できないことになったわけです。住民税の「特別徴収の義務化」は「マイナンバー」の施行に合わせたものであると同時に、市区町村の徴税事務をやりやすくするという意味もあるのではないかと思います。

 

いずれにしても、「特別徴収」というのは避けられない制度改正ですので、これからは従業員の給与から住民税も徴収して納付しないといけないということはぜひとも知っておいていただければと思います。



3月決算法人(5月申告)の対応に追われ、ブログの更新ができませんでした。

ようやく、月末の最終日に落ち着いたところです。

さて、今日は私が銀行との関係について顧問先によくする話です。3月決算法人の私の顧問先の会社さんにもこの話をずいぶんとしました。

決算が出て税理士から申告書が送られてきたらみなさんはどうされますか?送られてきた決算書はそのまま棚に入れてしまって終わりでしょうか?それとも、じっくりといろいろとみてみるでしょうか?

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もちろん、自社の経営状況の確認のため、送られてきた決算書を隅々までよく確認するのも大事でしょう。というよりかは、そういう経営者は経営者として大変立派です。

たいていの会社はなにかしら銀行融資があるはずです。(全くないという会社さんは逆に潜在的にリスクを抱えているとも言えます。この辺の話は私の以前のブログ [https://vanguardwan.com/blog/%e5%80%9f%e5%85%a5%e9%87%91%e3%81%aa%e3%81%97%e3%81%ae%e7%b5%8c%e5%96%b6%e3%81%af%e5%8d%b1%e9%99%ba%ef%bc%81%e6%89%8b%e5%85%83%e8%b3%87%e9%87%91%e3%81%ab%e4%b8%8d%e5%ae%89%e3%81%8c%e3%81%aa%e3%81%8f ]をご参照ください)

私は顧問先に「取引のある銀行に決算書のコピーを言われなくても出してくださいね」と一言添えています。私が忘れていなければ、お伝えしていることです。

 

この「銀行に言われなくても」という点が大事です。

銀行というのは経営者の皆さんはどう考えていらっしゃるか、様々でしょうが、私は「最も大事な取引先の一つ」と定義しています。

もちろん、直接的なお客様(治療院であれば「患者さん」介護施設であれば「利用者さん」)は大事です。目の前の「お客様」ですよね。

ですが、銀行というのはそれと同じくらい大事な「お客様」です。

その銀行の視点に立って考えればなぜ「言われなくても決算書を出すこと」が大事なのかがわかります。

 

銀行はお金を貸した後、何に一番関心があると思いますか?

「また融資できないかな?」

それもあるでしょうね。

ですが、銀行的には「貸したお金がきちんと返ってくるのか」これが貸した後の一番の関心事です。 「保全」なんて言ったりします。もっとわかりやすく言えば、「貸した金はちゃんと返してくれるんでしょうね」という話です。ご自身が誰かにお金を貸したことを考えれば容易にそれがわかるはずです。

 

銀行が「貸した金は返ってくるのか」のチェックをするのに一番役に立つのは「決算書」です。 「決算書」というのは経営状況のだいたいが把握できる書類です。なかには粉飾決算していて決算書の数字よりも実態の経営状態が悪い会社もあります。しかし、そういったものも実は決算書をわかっている人がみればわかります。見る人が見ればわかる。これが決算書です。だいたい、経営状態の8割が決算書で分かると言っても過言ではないでしょう。

ちなみに、ここでいう「決算書」というのは「貸借対照表」や「損益計算書」の決算書だけではなく、法人税の申告書一式を指します。つまり、「法人税別表」だったり「勘定科目内訳書」だったり、そういったものも含めて「決算書」といいます。銀行から「決算書を出してください」と言われたら、要するに「税務署に提出した申告書一式」と思っていただればいいと思います。たまに「銀行から決算書がほしいと言われた」と言って、「貸借対照表」や「損益計算書」だけを提出する経営者がいらっしゃいますが、銀行が「決算書」と言ったらそれ以外の法人税申告書の別表や勘定科目内訳書を含めた申告書一式ですのでご注意を。

 

さて、本題です。銀行から言われなくてもなぜこの決算書を出したほうがいいのかという話です。ここまで読み進めた方はお分かりかと思いますが、要するに「信頼関係」の問題です。お金を貸した後、銀行が一番気になるのは「貸したお金は回収できるのか」です。それを確認するには「決算書」が一番です。要は、「うちの会社は大丈夫。ちゃんと借りたものは返します。決算書を見ればわかりますよね」というアピールでもあります。

じゃあ、決算の内容が悪ければ見せないほうがいいとも思うかもしれません。

これはむしろ逆です。悪いのであれば、それを早めに見せたほうがいいです。その上で、「昨年は×××円の赤字決算でしたが、来期(進行年度)は××という新規事業も立ち上げて挽回します」とか説明を加えます。それだけでいいのです。

逆に、赤字決算だった時に決算書をなるべく見せまいとして銀行に言われるまで決算書を開示しなかったらどうでしょうか。仮に上記のような説明を聞いても言い訳のように聞こえないでしょうか?

経営をしていたらいい年もあれば悪い年もあります。毎年、黒字決算なんて言うのはなかなか難しいです。(無理とは言いませんが、難しい話ですよね)問題は、悪い時に悪い情報を隠す方が銀行はあまりいい印象を持たないということです。 

また、銀行に言われなくても決算書を出す会社は信頼度が高くなることは間違いないです。それが融資の審査にいい影響はあっても悪い影響があるはずはありません。銀行は大事な「取引先」だからこそ銀行の一番欲している資料を先に出すのは「いい信頼関係」を構築する上でも当然だと思います。

 

ついでにもう一つ付け加えますと、毎月でないにしても例えば、決算から半年たった時点(決算までの中間の時)に試算表(半年の途中経過の「貸借対照表」と「損益計算書」)も出せたら出したほうがいいと思います。決算までの途中の状況を報告をすることはより信頼関係を構築するのにはプラスに働くはずです。なにか銀行に支払いに来たついでといって試算表を渡せばいい話です。税理士が関与していれば(1年に1回の関与でなければ)試算表は定期的に出してくれるはずです。それを渡せばいいだけの話です。そんなに難しいことではないはずです。

 

銀行は会社経営を円滑に進めるために必要不可欠な存在です。銀行という「取引先」とううまくやっていくのは「コツ」などというものはなく、一にも二にもそうしたちょっとしたことをやってこつこつ積み重ねていく「信頼関係」だということを経営者の方には是非、肝に銘じていただきたいと思うところです。