手技療法の治療院、介護事業の経営に役立つ最新情報や知って得する情報満載のブログです!

さて、確定申告の真っ最中です。私もまさに確定申告の事務作業の真っ最中です。

「ふるさと納税」の申告の仕方についてのご質問を受けることも多いです。

「ふるさと納税」の申告の仕方について、二回にわたって書いていこうと思います。

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まず、「ふるさと納税」といっても従来からある「寄付金控除」であることは大丈夫でしょうか?都道府県や市区町村への寄付は確定申告で控除されます。違うのは住民税です。

「ふるさと納税」した分は、自分が住んでいる市区町村の住民税が減り、その自治体へ納税したのと同じ効果になります。

つまり、「ふるさと納税」分と自分の納付している住民税を合算すれば納付額は同じというのが基本的な仕組みです。

ただし、寄付した金額から2000円は控除しますから2000円については必ず課税されるということになります

つまり、10万円を「ふるさと納税」したとしても控除の対象は98000円です。

 

さて、ここまではご理解いただいている方も多いでしょうね。

ここからは少しだけマニアックな話をします。

 

まず、「ふるさと納税」の場合、申告書のどこに記載するのか、です。

一つは、寄付金控除の欄に記載します。これはいいでしょうね。もう一つ、記載する欄があります。確定申告書の第2表下の方に「住民税・事業税に関する事項」の欄の右の方に「寄付金税額控除」の欄があります。この「都道府県、市区町村分」の欄に「ふるさと納税」した金額を記載します。

ですが、そもそもこの部分は国税庁のHPの確定申告のサイトで入力して申告している人にとってはあまり関係ないかもしれません。自動的に連動しますからね。

 

では、もう一点。

赤十字社への寄付は基本的には普通の「寄付金控除」です。ですが、たとえば、東日本大震災や熊本地震などの義援金として赤十字社に寄付したものは「ふるさと納税」と判断されます。

上記の確定申告書の第2表の下の「寄付金税額控除」に「都道府県・市区町村分」とありますが、ここに記載しないと「ふるさと納税」とみなされません。赤十字社への寄付だからということでその下の「住所地の共同募金会、日赤支部分」の欄に書いてしまうと「ふるさと納税」にはなりません。「ふるさと納税」にならないということは住民税の控除がないということになります。

これは少しマニアックな論点ですが、要注意です。

 

ちなみに、この辺の話は全て所得税の確定申告書の手引きに載っています。

寄付金控除の説明書きに書いてありますからよく読んで申告書を作成するようにしましょうね。



いろいろと忙しく、なかなかブログを更新できませんでしたが、先週末くらいに税理士登録通知が来ました。

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 確定申告から税理士としても活動できることになりました!

しばらくブログを更新していなかったのですが、マイナンバー関連の記事を中心に、社会保険関係の記事など、私の過去のブログをご覧いただいた方が毎日、大勢いらっしゃるようです。

税理士登録できたこともあり、今後は税務の記事も充実させていこうと思います。

是非、ご覧くださいね。



前回に引き続き、新年度から導入される介護職員処遇改善加算の話です。

新加算Ⅰを取るために必要なキャリアパス要件Ⅲとは何かについて、説明していこうと思います。

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キャリアパス要件Ⅲとは

経験もしくは資格等に応じて昇給する仕組み、または一定の基準にもとづき定期に昇給を判定する仕組みを設けること

となっています。

つまり、①経験②資格③その他の基準 に基づいて昇給する仕組みを導入するということです。

 

どういうことか?

 

まず、経験。これは簡単です。

たとえば、まず次のような賃金テーブルを導入します。

 

A B C
1号棒 160,000 180,000 200,000
2号棒 161,000 182,000 202,500
3号棒 162,000 184,000 205,000
4号棒 163,000 186,000 207,500
5号棒 164,000 188,000 210,000
6号棒 165,000 190,000 212,500
7号棒 166,000 192,000 215,000
8号棒 167,000 194,000 217,500
9号棒 168,000 196,000 220,000
10号棒 169,000 198,000 222,500

 

横軸のA,B,Cというのはその職員のランクです。

たとえば、Aランクは未経験者、Bランクは一般職員、Cランクは他の職員を指導できる職員といった形で分類します。Aランクの職員は介護の仕事が全く初めての職員です。全く初めての職員がある一定程度、技能が習得できたと判断した場合、Bランクに、さらにその職員が他の職員を指導する地位にある場合にはCランクといった具合で分けます。

そして、縦軸の号俸は、毎年、これを一つずつ上げていくというものです。

つまりは、勤続年数によって昇給していく仕組みということです

働いた年数によって昇給していくわけですから、単純でわかりやすいというのが特長です。

 

では、資格に基づく昇給の仕組みとはどういうものか

今度は上記の表を経験(勤続年数)ではなく、資格によって分けるということです

 

無資格 ヘルパー2級・初任者研修 介護福祉士 PT/OT(機能訓練士) 看護師
1号棒 160,000 180,000 200,000 210,000 220,000
2号棒 161,000 182,000 202,500 213,000 225,000
3号棒 162,000 184,000 205,000 216,000 230,000
4号棒 163,000 186,000 207,500 219,000 235,000
5号棒 164,000 188,000 210,000 222,000 240,000
6号棒 165,000 190,000 212,500 225,000 245,000
7号棒 166,000 192,000 215,000 228,000 250,000
8号棒 167,000 194,000 217,500 231,000 255,000
9号棒 168,000 196,000 220,000 234,000 260,000
10号棒 169,000 198,000 222,500 237,000 265,000

 

上記のような号俸を、一号俸ずつ、毎年、昇給していくというようなものです。

これも資格に紐づいているので割とわかりやすいやり方です。

 

このように、キャリアパス要件Ⅲというのはどのように昇給していくのかという仕組みを導入するようにすることです。これまでのキャリアパス要件ⅠやⅡにはこのように定期的に昇給することは必ずしも約束されていなかったわけです。

それを勤続年数や資格といった基準によって、昇給する仕組みを導入するという話、これがキャリアパス要件Ⅲです。

 

ちなみに、「または一定の基準にもとづき」昇給する仕組み、とあることから、勤続年数や資格以外の物差しを使って昇給する仕組みを導入することもOKです

「能力」、つまり、仕事の出来具合ということですが、これは客観的に評価するのが難しいです。難しいですが、何か物差しを作れば、能力で昇給するというのも“アリ”ではあります。

 

さて、ここまで読んできて疑問に思う方もいらっしゃるでしょうね。

つまり、「介護報酬は毎年、上がるんだったら毎年、定期昇給するのもわかるけど、平成30年改訂ではデイサービスや訪問介護は基本報酬は下がる予定だという話なのに、『毎年定期昇給』なんてできない」というような話です。

 

もっともな話です。

 

解決策になるかどうかはわかりませんが、たとえば、上記の号俸のピッチ(刻み)を小さくするのも一つです。

毎年、昇給はするけど、基本給の部分は500円ずつにするとか、そういうことです。ただ、それだけだと、やる気があって能力の高い職員に不満が出てしまいます。もしピッチを小さくするのであれば、並行して、能力給の制度を設け、そこで評価が高い職員に手当を多くつけるとか、そういった方法を同時に検討することが必要だろうと思います。

 

また、処遇改善加算の新加算Ⅰを選択しないといけないということでもないわけで、新加算Ⅰは採らないということもありうるかもしれません。

しかし、この場合、処遇改善加算の新加算Ⅰを選択している他の事業所にいい職員が集まってしまうということもあり得ます。ただでさえ、人材が不足している介護業界なのに、処遇改善加算の新加算Ⅰを選択しないことが原因で能力の高い職員の人材流出につながってしまうことにもなりかねません。

(私は個人的には、そういった事情を考えれば処遇改善加算の新加算Ⅰを選択しないという選択はないのではないかと思っています。)

 

いずれにしても、まだ処遇改善加算の計画書の具体的な話が出てきていない現状では、まずは就業規則の改定(特に賃金規定の改定)の検討をすることが、今、事業所のやるべきことでしょう。

また、どこをどう変えたらいいのかわからない事業所は、やはり社労士などの専門家を交えて考えていくべきだろうと思います。

 

処遇改善加算の新加算Ⅰ。

どう対処していくのかは、大げさに言えば、あなたの介護事業所の経営を左右しうることにもなると思いますので、よくよく考えてみてください。



介護職員に支給される処遇改善加算が変わる!?

その情報自体はまずはご存知でしょうか?

私の顧問先にも12月、1月にお伺いした時にお話ししても、ほぼ皆さんご存じありませんでした。介護関係の改正の情報というのもなかなか入ってこないんですね・・・

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処遇改善加算の改定の詳しい内容は下記を参照してみてください。☟

http://www.joint-kaigo.com/article-3/pg547.html

要するに、新加算Ⅰを取るには、キャリアパス要件Ⅰとキャリアパス要件Ⅱに加えて、「キャリアパス要件Ⅲ」が必要だという話です。これをクリアすれば、今まで処遇改善加算Ⅰで常勤換算で1人当たり月額2万7千円支給していた処遇改善加算を新処遇改善加算Ⅰに該当すれば3万7千円と1万円増額できるというものです。

 

「介護報酬の改定って、平成30年じゃないんだっけ?」と思った方、その通りです。

平成30年は医療と介護の同時改定の年です。

介護事業所の経営者だったら聞いたことのある話だと思いますが、デイサービスや訪問介護に大規模な報酬改定があります。

もともと処遇改善加算も平成30年改訂で変わる予定でした。

今回の処遇改善加算の改定は、安倍首相の意向を反映して、その平成30年改訂より1年早くやってしまおうというものです。

 

これは、平成28年9月26日の安倍首相の所信表明演説に表れています。以下のような内容です。

「介護の仕事は、本当にやりがいがある。そのことを国民の皆さんに正しく理解してもらいたい。

介護福祉士を目指す学生、小金栞さんから聞いた言葉が、私の耳から離れません。大きな希望を持って介護や保育の道を進んだ、こうした皆さんの高い使命感に、私たちはしっかりと応えていかなければなりません。

技能や経験に応じた給料アップの仕組みを創るなど処遇の改善に取り組みます。補助者の活用などにより現場の負担軽減を進めます。再就職準備金を倍増する他、あらゆる手を尽くして、必要な人材の確保に努めていきます。」

 

この安倍首相の発言を受けて、処遇改善加算が1年早く改定されるわけです。

 

さて、では、新加算Ⅰというのはどういうことをしないといけないのか?

つまりは、キャリアパス要件Ⅲというのは何なのか?という話です。

その前にキャリアパス要件ⅠとⅡは何なのか。振り返ってみましょう。

 

キャリアパス要件Ⅰ・・・職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備すること

キャリアパス要件Ⅱ・・・資質向上のための計画を策定して研修の実施または研修の機会を確保すること

 

このような内容でした。

要するに、要件Ⅰは賃金規定の整備、要件Ⅱは研修の実施。簡略すればそういう話です。

では、キャリアパス要件Ⅲは何か。

 

経験もしくは資格等に応じて昇給する仕組み、または一定の基準にもとづき定期に昇給を判定する仕組みを設けること

 

要するに、キャリアパス要件Ⅲをクリアするには「定期昇給の仕組み」を作ること、と言っているわけです。ということは、就業規則の改定が必要なわけです。

 

通常、処遇改善加算計画書は2月中に出さないといけないわけですが、まだ厚生労働省から詳細が出ていないため、出せません。今日現在の東京都のHPでも処遇改善加算の計画書はまだ出さないようにと書いてあります。☟

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kourei/hoken/shogu/index.html

 

おそらくは、平成29年の処遇改善加算計画書の提出は、期限が4月くらいになるものと思います。

 

つまり、今、介護事業所に必要なのは、処遇改善加算の新加算Ⅰを取るには就業規則の改定の作業が必要という認識です。まだ計画書は出さなくていいわけですから、新加算Ⅰを取るなら、今のうちに就業規則の改定の検討をしないといけません。

 

処遇改善加算の新加算Ⅰを取るために必要な「定期昇給の仕組み」というのは何なのか?

次回のブログでかいつまんでご説明いたします。



今日の話は従業員さんの退職金制度。いわゆる「中退共」、中小企業退職金共済制度です。

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中退共というのは「国が作った退職金制度」です。この制度の運営は「独立行政法人勤労者退職金共済機構」がやっています。

どのような仕組みかというと、まず、事業主と機構が中退共の契約を結びます。掛け金は事業主が機構に毎月、支払います。そして、実際に掛け金の対象になっている従業員さんが退職したら機構から直接、本人に退職金が支払われます。

 

この制度がわかりやすいのが、事業主が機構に支払う掛け金は全額事業主負担で、全額損金(個人事業だったら全額必要経費)ということです。経理処理も簡単です。なにより仕組みが単純でわかりやすい。これは大きな特徴です。

 

加入には条件があります。次の条件を満たす企業が加入できます。

・一般業種 常用従業員数300人以下または資本金3億円以下

・卸売業  常用従業者数100人以下かたは資本金1億円以下

・サービス業 常用従業者数100人以下または資本金5千万円以下

・小売業  常用従業者数50人以下または資本金5千万円以下

 

原則としては、従業員全員を加入させないといけませんが、定年などで短期間で退職することが明らかな従業員や休職中の従業員、有期雇用契約労働者は加入させなくてもいいことになっています。また、法人の役員だったり、小規模企業共済制度に加入している場合には、そもそも加入できません。

 

また、最近変わったこととして、同居の親族のみを雇用する事業所についても一定の条件のもとに加入できることになった点です。家族経営の会社でもこの制度を使えるのは魅力です。

 

掛け金は月額5000円以上3万円未満で1000円から2000円刻みになっています。

 

実際に支給される退職金を見てみますと、掛け金1万円で3年(36ヶ月)かけた場合、退職金は36万円です。つまり、払った金額と同額ということです。それが同じ1万円を4年(48ヶ月)かけると481,700円、5年(60か月)かけると608,200円となります。つまり、払った金額よりも多く退職金が支払われるということです。この辺は実際の掛け金を決める際の参考になりそうです。

 

よく考えてみてほしいのですが、従業員さんの退職金をねん出するのに積立するという方法もあります。しかし、積立はあくまで積立です。経理上は、

(積立金)××× (預金)×××

となるだけで、税金は減りません。

しかし、中退共は

(保険料【もしくは福利厚生費】)×××(預金)×××

となり、費用に計上できます。つまり、その分、税金が減るわけです。

これも中退共の大きな特徴です。

 

さて、この中退共のさらに特徴的な部分について、いくつかご紹介いたします。

 

・掛け金の助成がある

初めて中退共に加入する事業所は月額2分の1を加入後4か月目から1年間国から助成してもらえます。また、18,000円以下の掛け金を増額する場合には増額した金額の3分の1が助成されます。(月額2万円以上の掛け金からは増額の対象にはなりません)

・転職後も前の企業の掛け金期間を通算できる

前の会社でも中退共に入っている場合で、仮にその会社を退職した時に退職金をもらわずに退職した場合には、前の会社と今の会社の中退共の加入期間を通算できます。期間が長ければ退職金の金額も増えるので、お得な話です。

・東京都の正規雇用転換促進助成金に上乗せ支給がある

中退共に加入している事業所で、正規雇用に転換した後、その従業員を中退共に加入させると1人当たり10万円増額される制度があります。

 

手続きが簡単で、国の助成もあって、しかも正規雇用に転換した場合には東京都の上乗せ支給も受けられる・・・

なんかいいことずくめなのですが、一点だけ注意点があります。

それは、この制度は従業員の請求によって支払われる制度であるため、退職事由のいかんにかかわらず、本人に退職金が支払われるということです。

ですから、たとえば懲戒解雇の従業員にも退職金が支払われるということになります。

 

実際、この点を嫌がる事業主さんも多いです。

 

実務上は、たとえば、「勤続年数3年以上になったら中退共に加入できる」とかしたらどうですかというようなことをお伝えしています。

実際、会社にとってあまりいいとは言えない従業員さんというのは入社3年目くらいまでになんかやらかしてしまうことが多いです。

逆に、3年たてば、その従業員さんがどの程度の働きをするのかはわかるようになると思います。それから中退共の加入をするとかすれば少しはデメリットを軽減できるのでは?という話をします。

 

安定的でわかりやすく、かつ、節税にもつながる中退共。私はこの制度は中小企業に向いている退職金制度だと思います。是非、検討してみてはいかがでしょうか?



大相撲の初場所で稀勢の里関が初優勝しました。

場所後、横綱昇進が決まりました。

実は、私も9日目の取組を見に国技館に行っていました。父と行ってきたのですが、私自身も初めての国技館で、生で見る相撲の雰囲気は独特なものがありましたね。

9日目はその優勝した稀勢の里関が唯一黒星を喫した日でもありました。横綱2人が負けるという波乱の一日でした。(座布団も乱舞していました!!)

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日本人力士が横綱になるのは実に19年ぶりだそうで、関係者の皆さんにとっては悲願だったことが良く伝わってきます。

スロー記録というのをまとめるとこんなものがあるそうです。

  • 30歳6カ月22日 師匠の隆の里の30歳9カ月に続いて58年以降初土俵で4位、昭和以降で7位の高齢昇進。
  • 初土俵から89場所 隆の里の91場所に次いで昭和以降3位。
  • 新入幕から73場所 昭和以降では1位。
  • 大関在位31場所 昭和以降では3位。

う~ん、晩成型なんですね・・・

この稀勢の里関をみると、以前に読売新聞の記事を思い出します。

この記事では、「学問の神様」と言われた菅原道真が書いたとされる詩が紹介されています。

42年 初めて及第す まさに知るべし 大器晩成の人と

42歳で官吏の登用試験に合格した橘風という人を祝った詩とされています。

今泉さんという方が何年も挑戦し続けたプロ棋士の試験に合格したことをこの菅原道真の詩とともにたたえるような内容です。今泉さんは41歳でプロ棋士試験に合格したそうで、新人プロ棋士としては戦後最年長だそうです。介護施設で働いていたそうで、介護施設の職員はもちろん利用者さんも、周りはみんなプロ棋士を目指していることを応援していたそうです。実にいい話です。

 

大器晩成。経営的に考えると、成功するまでに時間とコストがかかっているということです。

経営者はそういうことを嫌がります。結果が出るのに時間がかかるのは経営にとってはリスクだからです。ですが、結果が出るまで辛抱強く待つことも必要なんだと思います。

ちなみに私事ではありますが、私も税理士試験に実に19年もかけました。

大器かどうかは不明ですが、私も晩成なんですかね。稀勢の里関にもその意味で親近感を感じます。



前回に続いて、傷病手当金です。

前々回に書いた休職規定との絡みで、私の顧問先からも質問が多いものになりますが、傷病手当金というのは退職した後も受給できるという話です。

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「傷病手当金って、退職しても受給できるの?」という感じで、たいていの経営者の方にこの話をすると驚かれます。

退職後も健康保険の給付を継続して受けられることを「資格喪失後の継続給付」といいます。ただし、この「資格喪失後の継続給付」を受給するには要件があります。

まずは、退職日以前に1年以上被保険者期間がないといけません。それから、退職日前から傷病手当金を受給していないといけません。したがって、1年未満の被保険者期間だと受給できませんし、退職後に傷病手当金の要件に該当しても受給できません。

この1年以上の被保険者期間というのは、前職の会社に勤めていた期間が1年以上でなくても、前々職の会社と前職の会社の被保険者期間が継続していて(1日もあいていなくて)1年以上の被保険者期間があれば該当します。また、たとえば前々職が協会けんぽで前職が組合健保の場合のように保険者が異なっていても通算して1年以上あれば要件に該当します。

 

以前にかわいそうな例があったのですが、前職の被保険者期間があと数日で1年になる方で、前々職の退職日がたった1日空いていたために前々職と前職の通算もできずに、結局この傷病手当金の資格喪失後の継続給付を受けられなかったことがありました。

どうやら、前々職の退職時に会計事務所から「退職日を月末にすると社会保険料がかかるから月末の1日前を退職日としよう」と言われ、その方はその通りにしたらしいです。そして、再就職して、病気になってしまい、傷病手当金を受給している間に退職となってしまったのですが、運悪く、ちょうど被保険者期間が1年になる前に退職となってしまったため1年以上の要件を満たさず、しかも前々職でわざわざ退職日を月末の1日前にしてしまったために1日空いていることになってしまい、前々職との被保険者期間の通算もできず、結局、傷病手当金の資格喪失後の継続給付を受けられなかった、ということがありました。

おそらく、その会計事務所もそこまでは考えていなかったのでしょうが、こうしたこともあるので「退職日を月末の1日前に」というようなことはしないようにと思います。

(そもそも、退職日を月末の1日前にすれば社会保険料の負担が減るというようなアドバイスを会計事務所が顧問先にするケースがあるように聞くのですが、これはコンプライアンス違反であると私は考えています。)

 

さて、この資格喪失後の継続給付ですが、いくつかポイントがあります。

まず、いつまで受給できるのかという点です。これは、最初に受給し始めてから1年6か月が限度です。「退職から」ではなく、「最初に受給し始めてから」というのがポイントです。

つまり、退職前にたとえば6か月受給していて、就業規則の休職規定によって自然退職の扱いになり退職となったとしたら、退職後受給できるのは1年までになります。

あるいは、たとえば傷病手当金を1か月受給してそのあと復帰して1か月働いたものの、また同じ病気で1ヶ月傷病手当金を受給して退職した場合、最初の受給したところから1年6か月ですので、退職後は1年3か月の期間までと判断されます。

実際に受給した期間が1年6か月ということではなく、受給し始めてから1年6か月ですから、その辺も要注意です。

 

また、傷病手当金の資格喪失後の継続給付の手続き自体どうするのかということも、よく質問を受ける点です。これは、傷病手当金の用紙自体は同じ用紙を使いますが、「事業主記入欄」は退職していますから当然、書く必要はありません。退職前の会社に証明をもらうと思う方がいらっしゃいますが、退職した後はその部分は必要ないことになります。

ということは、退職後の「傷病手当金」は1面の「被保険者の記入する欄」に住所・氏名・生年月日・振込口座等を書き、「医師の記入する欄」に担当医師の証明をもらえばそれで完了になります。意外と簡単ですよ。

 

そして、この点もよく質問を受けるのですが、退職していますから、いわゆる「失業保険」との関係の話です。

いわゆる「失業保険」(正確には「雇用保険の基本手当」といいます)は「働く意思と能力があるのに再就職できない」状況にある人がもらうことのできるものです

「傷病手当金をもらいながら、失業保険ももらえるのではないか」と考える人がいるのですが、それはそもそもそれは出来ないということになります。傷病手当金をもらっているということは「病気や怪我で仕事ができない」わけですよね?それでは、そもそも失業保険をもらう要件である「働く能力」がないことになるわけです。ですから、そもそも傷病手当金をもらっている人は失業保険は受給できません

そう考えると、そもそも失業保険と傷病手当金は両方同時にもらえるわけがないということがお分かりになると思います。

 

その代わりに、ハローワークには「受給期間の延長手続き」というのをする必要があります。

雇用保険の給付は退職日から1年までが原則です。しかし、傷病手当金を受給しているということは「働けない」わけです。何もせずにそのままにしておくと、退職から1年が経過してしまいかねません。そのため、「病気や怪我で働けない」ということを申請して、この1年という期間を延長させるわけです。最大で4年間延長できます。傷病手当金を受給中に退職した人には「ハローワークに受給期間の延長手続きをしないといけないよ」という点もアナウンスしてあげたほうがいいでしょうね

 

最後にですが、傷病手当金は通常、給与の代わりに受け取るものです。そのため、給与の締日ごとに請求するのがいいと思います。締日ごとであれば計算もしやすいですし、特に事情がないのであれば1か月ごとに精算するのがよろしいかと思います。ただ、もちろんまとめて数か月分を請求するのでもOKです。ただし、支給申請は2年以内の期間に限ります(社会保険の給付は時効が2年です)ので、その点も注意してください。

 

ということで、退職後(資格喪失後)の傷病手当金について、今日は解説しました。



今日は前回に続き、傷病手当金の話です。

傷病手当金というのは、前回説明した通り、「業務外」の事由で休んで、休んでいる期間中給与が出なかった時に支給されるものでした。

実はこの傷病手当金というのは奥の深い話があります。

私も実務上、質問があったりして調べて「こんな規定もあるんだ」「そういえば、こういう取り扱いもあったね」なんてことを初めて知ったり、改めて確認したりという部分が多いのも傷病手当金です。

今日は、傷病手当金の「基本のキ」について、まずは解説していこうと思います。

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傷病手当金は、4つの要件が必要です。

  1. 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
  2. 仕事に就くことができないこと
  3. 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
  4. 休業した期間について給与の支払いがないこと

 

このうち、①と④はいいですよね?前回説明しました。業務以外の理由でのけがや病気で休んでしまって、その間の給与が支給されていないことです。

上記のうち、②はどうでしょうか?「仕事に就くことができないこと」というのは、当たり前でしょ?と思いますよね。そうなのですが、実際、私のある顧問先から「仕事に就くことができないというのはどう証明するのでしょうか。」と聞かれたことがあります。

 

これは実際の傷病手当金の支給申請書を見ればすぐわかるわけですが、まず「事業主が証明する欄」があり、傷病手当金の支給申請を出した期間について仕事に就くことができなかったことを事業主が証明します。さらに「担当医師が証明する欄」があり、そこで担当している医師が支給申請期間中確かに仕事に就くことができなかった、と証明します。

つまり、[仕事に就くことができなかった」ということを事業主と医師が証明することでこの上記の②の要件をクリアするようになっています。

 

そして、上記の要件の③です。

連続する3日間」というのがポイントです。(この3日間を「待期期間」と呼んだりします。)たとえば、2日続けて休んで3日目に出勤して、4日目にまた休んでしまうと「連続する」という要件に当てはまらないため対象外になってしまいます。病気や怪我で休んだ最初の3日間は連続して休んでいないといけないわけです。逆に、最初の3日間を連続で休み、4日目に出勤し、5日目からまた休んだのであれば要件の③はクリアします。4日目以降、出勤していた日があってもいいわけです。最初の3日間を続けて休んでいることが要件なわけです。

さらに、この待期期間3日間については、給与を支給していても問題ありません

つまり、最初の3日間は有給休暇で処理し、4日目から傷病手当金の支給申請するということも可能なわけです。待期期間の3日間は休んでいればよく、給与の支給の有無は聞いていないわけです。ここは、実務上、重要なポイントになります。

 

傷病手当金の要件4つについて、今日は簡単に説明しました。

次回は、もう少し突っ込んだ部分について考えていきたいと思います。



休職制度というのがあります。

病気だったり、怪我だったりで、会社を休んだ場合の制度です。

私の顧問先からの質問があったことで、最近、この休職制度に関する質問も多いので、ちょっと考えてみたいと思います。

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まず、休職した従業員が、業務上の理由での病気や怪我なのか、業務外の理由による病気や怪我なのかで対処の方法が変わってきます。

 

前提として、この休職制度を理解する際に認識しなければいけないのは、働いていなければ給与の支払い義務はないという大原則です。「ノーワークノーペイ」と言ったりします。

 

しかし、業務上の理由で怪我や病気になって、出勤できなくなった のであればどうでしょうか。仕事で病気や怪我をして休んでいて給与が全く支払われないというのはどうなの?と思いますよね。業務上の理由で休まざるを得ない場合(会社が休むことを命令した場合)、労働基準法では、休業補償をしないといけないとなっています。休業補償については、今回の本題ではないので、詳しくは説明しませんが、会社の都合で休ませている場合、休む前の給与の約6割を支給しないといけません。その休業補償を労災で補償できる制度があります。それが労災の休業補償給付です。つまり、会社の業務上の理由での病気や怪我なのであれば、給与の代わりに労災で休業補償給付が支給されます

 

一方で、業務外の理由で病気や怪我になってしまい、出勤できない のであればどうでしょうか。まず、ノーワークノーペイの原則で、給与は支給されません。ただ、もちろん休んでいる間、年次有給休暇を利用することも選択肢としてあります。有給休暇を使えば、休んでいる期間、給与は出ます。しかし、年次有給休暇には日数の限界があります。有給がなくなったらどうなるでしょうか?また、従業員側が有給休暇は使いたくないという選択することだってあり得ます。その場合、どうしたらいいのでしょうか?

 

そこで、休業制度です。

つまり、休業制度というのは「業務外」の事由で会社を休むことになってしまった場合を規定したもの なのです。では、なぜ、この休業制度が必要なのか?

たとえば、こんなことを考えてみたらわかると思います。

最近、私の顧問先であったのですが、アキレス腱を断裂して長期入院を余儀なくされた方がいらっしゃいました。最初は有給休暇を使っていたのですが、日数も限られています。ある所から、有給休暇の日数がなくなってしまいました。有給がなくなってその後はどうなるのか?当然、休んでいる従業員さん自身が一番心配です。有給休暇がなくなるとその従業員さんの生活にも支障が出てきます。社長も心配されてそういう場合にはどうなるの?と聞かれました。その会社さんにはきちんと就業規則があり、休職規定もありました。

その就業規則の休職規定を一部引用(若干内容は訂正しています)すると、以下のようなものです。

 

第〇条(休   職)

1.社員が以下の各号の一に該当するときには休職を命ずることがある。

①業務外の傷病による欠勤が連続1ケ月以上にわたったとき。

②家事の都合、その他やむを得ない事由により1ケ月以上欠勤したとき。

③公の職務につき、業務に支障があるとき。

④出向をしたとき。

⑤前各号のほか、特別の事情があって、会社が休職をさせることを必要と認めたとき。

2.休職期間は次のとおりとする。

①前項①の場合 勤続3年未満  3ヶ月

勤続3年以上  6ヶ月

ただし情状により期間を延長することがある。

②前項②③④⑤の場合 その必要な範囲で、会社の認める期間

3.休職期間中、賃金は支給しない。

4.休職中、一時出勤しても、3ケ月以内に同じ理由で欠勤するようになったときは期間の中断は行なわない。

5.休職期間満了後においても休職事由が消滅しないときは、満了の日をもって自然退職とする。

 

 

ここで会社として大事なのは、第4項と第5項です。まず第5項がもしなかったらどうでしょうか。長期間、病気療養している社員がいれば、会社の経営にも大きな影響があります。代わりの社員を入れることも考えないといけません。しかし、復帰する可能性があるのであれば、新しい社員を入れるべきかどうかということになってしまいます。

かといって、会社都合の退職にしてしまうのも問題があります。本人に退職の意志がないのであれば自己都合退職でもありません。そういう場合に対応するため、この休職規定によって「自然退職」とするわけです

 

さらに第4項はなぜ規定するのかというと、これは最近特に多い「うつ病」などの精神疾患の場合を想定しています。精神疾患にり患すると長期間に及ぶことが想定されます。復帰しても再度休んでしまうこともよくある話です。そういう場合、3か月以内に再発した場合には前後の期間を通算して休職期間が何日になっているのかを考えるわけです。

 

いったん休職期間満了で退職とすることは、会社側の都合という側面が重視されるように思える規定ですが、これは本人にとっても意味があると私は思います。本人的にもいったん退職としてリセットするという意味もあるわけです。

 

そうはいっても、休職期間中や休職期間がやんだあと、給与がないのであれば本人の生活はどうなるのか、という問題があります。

そこを保障するのが健康保険の「傷病手当金」です。これを活用することで、休職期間中あるいは休職期間がやんだ後も病気や怪我が継続している場合、本人の生活を保障することができます。

 

傷病手当金については、次回のブログでまた説明しましょう!今日は休職期間についての話でした。



私のブログで昨年、「マイナンバー」関連の記事が最もご覧いただいていた数が多かったようです。そこで、今日はマイナンバーの話です。

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まずは読売新聞の記事です。↴

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170102-00050086-yom-pol

 

厚労省がマイナンバーカードを保険証の代わりに使うというものです。2018年度、つまり来年度からできるようにするというものです。

これによって何が変わるのかというと、たとえば、転職しても保険証が変わることがありません。従来ですと、転職すると、原則的には転職したての頃は保険証がないという状況がありました。(「健康保険被保険者資格取得証明書」というのを発行すれば保険証が来るまでの間、医療機関で健康保険を使って受診できるということはありますが、あくまでもこれは例外措置です。)

また、たとえば、医療機関としては、患者さんの薬が二重になったり、相性の悪い薬などもわかるようになるというメリットもあります。現状ですと、患者さんからの申し出がないと他の医療機関で何の薬が処方されているのか、確認ができない状況でしたが、それも解決されます。これは患者さん側にとっては大きなメリットです。

 

しかし、当然、デメリットもあります。

一番は、情報漏えいの問題です。

マイナンバーカードというのは、それが有効に利用されれば利便性は上がりますが、税金や社会保険、年金など個人情報がすべて詰まっているものです。医療機関からそうした情報が洩れるという心配も表裏一体として存在します。

 

実は、厚労省のマイナンバーカードを保険証の代わりに使うという話自体は、別に目新しいものではありません。マイナンバーの制度導入前からあった話です。ただ、マイナンバーの情報漏えいの問題があり、また医師会などの反対もあって、当面の間ということで延期されていました。それが2018年から実現を目指すというかなり具体的な話になってきたということです。2018年というのは、医療保険と介護保険が同時改正になる年です。おそらく、それに合わせた話なんだろうと思います。

今回は話題に出ていないようですが、将来的には、介護サービスにもマイナンバーを使うことに話が拡大するだろうと思います。高額所得者が3割負担になったりとか、介護の利用者の負担割合が利用者の所得によって変化があるのであれば、税と共通のマイナンバーを使おうと思うのは自然の流れです。

 

さて、それに対して、医療機関や介護事業所はどう対処していくべきか?

情報管理の問題が当然、課題となってきます。

2018年から本当にマイナンバーカードを使うようになるかどうかは、今後の議論を見守っていく必要がありますが、それはそれとして、今から患者さんが利用者さんの情報管理を考えていく必要があります。例えば、受付の後ろの棚にカルテを鍵付でない棚にそのまま置いている医療機関も多いと思います。これも、鍵付きの棚に入れていく必要が出てきます。また、マイナンバーを扱うため、事務取扱責任者もマイナンバーの取り扱いに理解のある人を配置する必要もあるでしょう。

実際、私が関与している治療院で、保健所の新規設立の調査に立ち会うと、鍵付きの棚の設置を指摘されているところもありました。マイナンバーがどうなるかにかかわらず、鍵付きの棚の設置は早めに対処しておいてもいいのではないかと思います。

 

いずれにしても、マイナンバー関連の動きには今年も目が離せないといった状況ではないかと思います。このブログでも、マイナンバー関連の新しい情報を随時、更新していきますので、見逃さないようにしてくださいね。