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ちょっとブログの更新がご無沙汰してしまいました。

今日は退職金規定の話です。

そもそも中小企業の皆さんにとって、退職金規定は必要なのでしょうか?

この辺を入り口にして話を勧めようと思います。

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逆に考えます。

「退職金規定は何のために必要なのか?」

これを考えると、多くの中小企業で必要であることがわかるはずです。

 

まず、勘違いしてはいけないので前提として書いておきますが、退職金はなくてもいいものです。ただ、退職金があるのであれば規定を作る必要があります。規定があれば会社には退職金を支払う義務が生じます。これを「相対的記載事項」と言います。つまり、規定があれば書かないといけないですし、規定がないのであれば書く必要がないというものです。

 

よく「退職金って払わないといけないの?」と中小企業の社長さんに聞かれることがあるのですが、「規定があれば払わないといけないし、規定がなければ支払う義務はない」とお答えしています。これは、賞与も同じです。賞与も規定があれば規定に則って支払い義務が生じますが、規定がなければ会社に支払い義務はありません。退職金規定も規定があれば払わないといけないものですが、そもそも退職金規定がない会社は退職金自体は支払う必要のないものになります。

 

それで、私見を結論から言いますが、「退職金って支払ったほうがいいの?」と聞かれたら私は迷わず「退職金規定を作ってきちんと支払う形にしたほうがいい」とお答えしております。それはなぜか?

退職金規定が必要な理由を思いつくままに書いてみました。

 

  1. 退職金を支払えば人材確保につながる
  2. 退職金は損金になるため、業績が良ければ節税になる
  3. 中小企業にとっては、リストラの際の「手切れ金」としての意味合いを持たせることができる。
  4. 中小企業であっても社員の老後の面倒をみることは福利厚生の観点からも必要
  5. 社員の労働意欲の向上に役立つ

 

まだあるのかもしれませんが、こんなところが思い浮かぶところです。

大まかに考えるとこんな感じだと思います。「中小企業にとっては退職金の支払いは大変な負担。規定を作ってしまうとそれに縛られ経営が苦しくなるのではないか。だったら退職金なんて支払わなくていいのではないか。」こんなところではないでしょうか。

 

私は、このように考える社長さんに、上記のうちの特に1.の理由で、退職金制度をきちんと整備していくべきだというお話をします。大企業と中小企業の差は福利厚生面で出てきます。特に退職金規定などの部分があるかないかは、大きな会社との差になってしまいます。近年、どの業種でも共通して人材難に悩んでいます。大きな会社との差は、休暇・休日であったり、退職金制度であったりといった部分です。これを整備しているのかどうかは、いい人材を雇うことと決して無関係ではありません。いい人材を雇えば、売上の拡大につながります。これは多くの中小企業経営者が実感するところだと思います。

いい人材を雇うためにも、中小企業にとっては退職金制度は不可欠であるわけです。

 

もっと違う言い方をしますと、退職金制度というのは職探しをしている人にとってはメルクマークの一つにもなっています。逆にいえば、求人票の「退職金制度」が「無」になっていれば、職探しをしている人のふるいから落とされます。一度、ふるいから落とされてしまっては二度とそのふるいに戻ることは出来ません。

中小企業は人材を雇う場合には、企業の方が選ばれていることは忘れてはなりません。

 

では、どういう規定を作っていくべきなのか?

これについては、また次回、書いていくこととします。



さて、今日は前回に引き続き、外国人の年金の話です。

外国人は厚生年金に加入しても日本の年金はもらえない。だから、年金に加入したくない、と言われたときにどう対処すべきか、考えてみましょう。

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まずは「合算対象期間」の話です。「カラ期間」などと呼ばれたりもします。

これは、たとえば、日本国籍があって海外に居住している人は、日本の国民年金を払ってもいいし払わなくてもいい任意加入であったりします。

そういう期間は、年金をもらうのに必要な10年という期間のカウントには入れるというものです。ただし、年金を支払っていなければ年金額には反映されません。

この例示は日本年金機構のHPの以下のページに載っていますので参照してみてください。↴

http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/jukyu-yoken/20140421-05.html

 

ここに載っているもので、たとえばこんなものがあります。

昭和36年5月1日以降に日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、海外在住期間のうち、取得又は許可前の期間

 

今は日本国籍を取得して日本人になっているが、日本人になる前の海外に在住していた期間があれば、それは合算対象期間とすると言っています。

たとえば、平成29年4月に日本人と結婚して日本に帰化した方がいるとします。仮に40歳だったとしましょう。この人が来日したのは5年前だったとします。日本に来る前の35歳より前の期間については、海外に在住していたとします。そうすると、20歳~35歳までの期間は合算対象期間となります。この場合、20歳から35歳で15年になりますから、年金の受給権は発生するわけです。つまり、日本に帰化することで、日本の年金の支払いをすればその分、年金がもらえるようになるわけです。

 

外国人の場合、この合算対象期間というものが当てはまる期間があるかどうかをよく検討しないといけません。

 

また、日本人が海外で働く場合、働いている国の社会保障制度に加入をする必要があります。この時、日本の社会保障制度との保険料と二重に負担しなければならない場合が生じています。また、日本や海外の年金を受けとるためには、一定の期間その国の年金に加入しなければならない場合があるため、保険料の掛け捨てになってしまうことがあります。そのため、保険料の二重負担となったり、掛け捨てにならないようにするために、日本の年金加入期間を協定を結んでいる国の年金制度に加入していた期間とみなして取り扱い、その国の年金を受給できるようにする(年金加入期間の通算)とを目的としたものが社会保障協定です。

たとえば、ドイツやアメリカ、フランスなどはそれらの国の年金制度と日本の年金制度は通算されます。この制度を使えば、ひょっとしたら、仮に外国人が厚生年金に加入した場合、年金制度が通算される可能性があります。(イギリスや韓国などは、年金の通算ではなく、二重負担防止の規定のみになっています)

ただし、これらの国について、無条件に通算されるわけではなく、各国の制度によって違いがあります。それらはよく調べないと通算できるかどうかはわかりませんので注意が必要です。

各国の社会保障協定による年金の通算については、日本年金機構のHP↴をご参照ください。

http://www.nenkin.go.jp/service/kaigaikyoju/shaho-kyotei/kyotei-gaiyou/20141125.html

 

細かい制度の中身は置いておいても、ここで大事なことは、外国人が厚生年金に加入しても、年金はもらえないと、安易に判断しないことが大事です。

合算対象期間を使って年金の受給ができることもありますし、加入した年金が通算されるために掛け捨てにはならない場合もあります。経営者の皆さんが外国人を雇った場合、辞めた時に脱退一時金をもらうべきかどうなのか、これらの話を踏まえて十分検討するようにお伝えするのがいいのではないかと思います。



外国人を雇って社会保険に入れる場合に、厚生年金のことを聞かれることは多いです。

「厚生年金に加入しても年金はもらえない。掛け捨てになってしまう。」

このような話をされることが多いです。

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外国人の年金はいくつか類型があります。

実務上は大きく3つあると理解しておけばいいと私はお話します。

 

外国人であれば、当然、本国に帰ってしまうことが想定されます。そうすると、せっかくかけた厚生年金はどうなってしまうのか?この疑問があると思います。10年かければ日本の厚生年金がもらえます。しかし、10年かける以前に本国へ帰ってしまったらどうなるのかという話です。

 

まずは「脱退一時金」というのがあります。

これは、本国へ帰国する前にかけた厚生年金の一部を一時金としてもらってしまうというものです。将来、厚生年金はもらわずに一時金でもらってしまって終わりにしてしまうというものです。

6か月以上厚生年金に加入していれば、脱退一時金をもらうことができます。ただ、10年以上加入している場合、そもそも年金の受給権が発生するため、脱退一時金は受給できません。また、脱退一時金をもらう場合には、外国へ出国後2年以内に請求しないといけません。

 

では、いくらもらえるのでしょうか?

日本年金機構のHPから以下は抜粋します。

 

次の式で計算されます。

(1)被保険者であった期間の平均標準報酬額 × (2)支給率

(1)被保険者期間であった期間における平均標準報酬額は以下の A+Bを合算した額を、全体の被保険者期間の月数で除して得た額をいいます。

A 平成15年4月より前の被保険者期間の標準報酬月額に1.3を乗じた額  B 平成15年4月以後の被保険者期間の標準報酬月額および標準賞与額を合算した額

(2)支給率とは、最終月(資格喪失した日の属する月の前月)の属する年の前年10月の(最終月が1~8月であれば、前々年10月の保険料率)保険料率に2分の1を乗じた保険料率に以下の表の数を掛けたものをいいます。

被保険者期間 掛ける数
6月以上12月未満 6
12月以上18月未満 12
18月以上24月未満 18
24月以上30月未満 24
30月以上36月未満 30
36月以上 36

 

上記の年金機構のHPを参考に、具体的に計算してみましょう。たとえば、

毎月給与が25万円で、賞与を2回で合計20万円もらったとします。24ヶ月加入して脱退一時金をもらう場合、どうなるのか計算してみましょう。

 

(250,000円×24月+200,000)÷24か月=258,333円(標準報酬月額)

258,333×18.3%【便宜上、今の保険料率を使用】×1/2×24=567,299円

 

ということで、脱退一時金の金額としては567,299円となります。

ただ、実際には、所得税が20.42%源泉徴収(115,842円)されるため、実際に支給されるのは451,457円となります。

 

ちなみにこの脱退一時金は税務上、「退職所得」という扱いになり、確定申告すれば税額が還付されます。(納税管理人の選出をするなどが必要です)

 

外国人の年金について、脱退一時金について書きましたが、次回は残りの二つの類型についてみていきましょう。

 



今日は前回の外国人の雇用保険の話に続いて、外国人を雇用した場合の社会保険の手続きについて、見ていきましょう。

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まず、外国人を雇用するとその外国人からよく言われるのが次のようなことです。

健康保険は入りたいけど、厚生年金は入りたくない

 

これは、今の日本の社会保険の制度上、できません。健康保険と厚生年金は一体ですから、健康保険だけ加入して厚生年金には加入しないということはそもそもできません。

ただ、厚生年金については脱退一時金の制度があったり、あるいは10年加入していなくても合算対象期間(カラ期間)のルールを使って将来、年金をもらうことも可能です。

この辺の話は、今日の話の論点からずれるので、次回に話をしていこうと思います。

 

さて、外国人が社会保険に加入したいという場合、手続き上、何が必要なのかです。

まずは「健康保険・厚生年金資格取得届」は、もちろん必要です。扶養の方がいらっしゃれば、「扶養(異動)届」も一緒に提出します。ここまでは通常の日本人の場合と同じです。

その他に、次の二つが必要になります。

 

まず、「ローマ字氏名届」が必要です。

前回のブログで書きましたが、在留カードに書かれているローマ字のお名前を書く用紙です。これは資格取得届とは別にあるので、この用紙に在留カードに記載されている通りに記載します。

また、その外国人の配偶者が扶養親族になっていて、その配偶者の方も外国人の場合には、「第3号被保険者ローマ字氏名届」というのも必要になります。これも「ローマ字氏名届」と同様に、在留カードに記載されている通りに記載します。

ちなみに、この「第3号被保険者ローマ字氏名届」については、第3号被保険者である配偶者自身が署名・捺印します。「ローマ字氏名届」に捺印するのは雇っている法人ですから、そこは違いますので注意が必要です。

 

さて、外国人の場合にはもう一つ、書類が必要です。

なんだかわかりますか?

年金の方の話です。

実際に手続きすることを想像してみたらわかるのではないでしょうか。

 

外国人の場合、よく考えていただきたいのですが、「基礎年金番号」ってないはずですよね?

「基礎年金番号」というのは20歳になった日本国民に番号が振られます。しかし、外国人ですから、この番号自体を持っていません。つまり、基礎年金番号がないことになります。

そうすると、手続きの時は、この「基礎年金番号」を割り振ってもらうための書類が必要になります。書類としては「年金手帳再交付申請書」というものになります。

本来はこの書類は、一度年金手帳を発行された人が再交付を受ける際に使う書類ですが、外国人の場合にもこの書類を提出して、まずは「基礎年金番号」を割り振ってもらうことになります。もちろん、年金手帳も新しいものが交付されます。

 

また、外国人と言っても、以前に日本で働いていた人は「基礎年金番号」を持っていることがあり得ます。以前に日本で働いていてその際に社会保険に加入していたのであれば、「基礎年金番号」を持っていますからこの点は確認が必要でしょう。

 

外国人を雇う場合には、通常の手続きの際に必要な「資格取得届」「扶養(異動)届」の他に、「ローマ字氏名届」(場合によっては「第3号被保険者ローマ字氏名届」)、「年金手帳再交付申請書」といったところが必要なのはお分かりになりましたでしょうか。

 

もう一点、外国人を社会保険に入れる際に、その本人にお伝えしておいた方がいいことが、その雇う外国人に扶養親族がいて、その扶養親族が外国に住んでいる場合、日本の健康保険の扶養親族に入れられるのかという話です。

こういった相談も、実際、たまにあります。

 

結論としては、扶養親族の要件を満たしていれば外国に住んでいても扶養親族に入れることができます。つまり、外国に住んでいるのに日本の健康保険が使えるんです。

 

なんだか不思議だと思うかもしれませんが、これは法律的には別におかしくありません。

扶養親族の基準(年収130万円未満【日本円換算で】など)を満たしていれば当然に扶養親族に入れてもいいわけです

 

ただし、保険証は外国の医療機関では当然、使えません。この場合、どうするかというと、外国でかかった医療費があればいったん全額、自己負担で支払っておいて、あとで自己負担部分の3割を除いた7割部分を戻してもらうことになります。

健康保険海外療養費支給申請書」という書類があるのでその書類に記載して協会けんぽに提出することで、あとからお金を返してもらうことができます。

実際にお金を返してもらう場合には、この書類の他に領収書やパスポートなど、提出書類がいくつかありますから、手続きはやや煩雑です。

なお、外国に住んでいる方を扶養親族にする場合、実際に「扶養(異動)届」にどう記載していくかというところで、住所をどう記載したらいいのか、と思う方もいらっしゃると思います。

外国に住所地がある場合、住所の欄には国の名前だけ記載すればいいことになっています。「中国」とか「韓国」とか「アメリカ合衆国」とかだけ書けばいいんです。中国のどこかまで記載する必要はありません。

 

外国人の社会保険の手続きは、雇用している外国人に事業主側から本人にきちんと説明しないといけません。上記のようなことは雇う際に、きちんと把握しておきましょう。

次回は、外国人の厚生年金について、ご説明していきます。

 



さて、今日は前回の続きです。

外国人を雇い入れた場合の手続きについてです。今日はまずは雇用保険についてです。

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まずは、厚生労働省のQ&Aを参照してみましょう。

「外国人を雇用した場合、社会保険や労働保険に加入させなければいけませんか。」

「雇用保険については、原則として、国籍を問わず日本人と同様に適用されます。健康保険等の社会保険や労災保険については、外国人労働者も日本人と同様に適用になります。」

 

つまり、外国人であっても社会保険や雇用保険に入るかどうかは同じ基準で適用されます

至極、当たり前のことですが、これは経営者の皆さんからはよく聞かれる点です。社会保険の適用基準は同じなんです。

 

では、雇用保険や社会保険の手続きはどうなっていたのでしょうか。

雇用保険の場合、週の労働時間が20時間以上だったら加入義務があります。

社会保険の場合は、常勤の勤務者の4分の3以上の勤務だったら加入義務があります。

この基準で判断します。

 

その上で、雇用保険について、今日はご説明いたします。

その前に、外国人を雇った場合、雇用保険に加入している者だけでなく、雇用保険に加入していない者についても届出をしないといけません。これはご存知でしたでしょうか。

 

雇用保険に加入する者については、「雇用保険被保険者資格取得届」の下の17~22という欄があります。そこに「国籍」「在留資格」「在留期間」などを書く欄があります。日本人の場合にはこの欄は空欄になりますが、外国人が雇用保険に入る場合にはこの欄に記入が必要です。この17~22の欄を記入するためには「在留カード」があればOKです。この欄に記載することを要求されている項目は、この「在留カード」にすべて記載されているからです。

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前回、お話した通り、外国人を雇い入れる場合には「在留カード」で就労資格の確認をすることが必要です。同時に、雇用保険の届け出にも必要なので「在留カード」の確認が必要ということです。

初めて外国人を雇う場合には、「在留カード」が必要。これは覚えておきましょう。

 

さらに、雇用保険に加入しない場合にも、外国人を雇う場合には、届け出が必要です。

外国人雇用状況届出書」というのをハローワークに届出しないといけません。

必要な項目は、「氏名」「在留資格」「在留期間」「生年月日」「性別」「国籍」などです。

いずれも「在留カード」で確認できる項目です。

ちなみに、「氏名」については、「在留カード」に記載してある通りにローマ字で記載します。

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いずれにしても、雇用保険に入る入らないにかかわらず、「在留カード」で確認が必要だということがわかりますね。

 

さて、これらの届け出ですが、いつまでに出す必要があるのでしょうか?

 

雇用保険被保険者資格取得届 ⇒ 雇い入れの月の翌月10日まで

外国人雇用状況届出書    ⇒ 雇い入れの月の翌月末日まで

 

となっています。

つまり、9月1日に雇い入れたのであれば、雇用保険に加入する場合には、雇用保険被保険者資格取得届を10月10日までに、雇用保険に加入しない場合には、外国人雇用状況届出書を10月31日までに提出すればいいということになります。

また、これらの届け出は、退職した場合にも必要です。

期限については、取得(入社)の場合と同じです。つまり、雇用保険資格取得届は「離職した日の翌月10日」で、外国人雇用状況届出書は「離職した日の翌月末日」までに届け出る必要があります。

実務的には、「雇用保険被保険者資格取得届」については、遅くなってしまうと、タイムカードは賃金台帳の提出が求められます。また、「外国人雇用状況届出書」については、遅くなっても早めに出せば問題ないと思います。気づいたら、遅くなっても早めに出しましょう。場合によっては、遅くなってしまうと、タイムカードや賃金台帳の提出を求められることもあるものと思います。

ちなみに、「永住外国人」に関しては、これらの届け出は必要ありません。あくまでも対象となるのは「在留カード」を持っている外国人ということです。「永住外国人」は「在留カード」ではなく「特別永住証明書」というのが交付されています。これを持っている外国人は、雇用保険のこれらの届け出の必要はありません。

 

今日のお話をまとめますと、外国人を雇用したら、まずはハローワークに届け出が必要、ということは知っておきましょう。そして、その届け出には「在留カード」がないと必要事項の記入ができません。「在留資格」などを確認する意味でも、「在留カード」をもらうようにしましょう!



外国人を雇うことはあまり珍しいことではなくなってきました。特に、私の関与することの多い介護施設では増えてきていて、外国人が働くのは特に違和感もないような状況です。

ですが、外国人を雇用することで何か問題点はないのか、どういう点に気をつけたらいいのか、そういったところはあまりよくわかっていない経営者が多いのも事実です。

そこで、労務管理上、どういう点に注意したらいいのかについて、何回かに分けて書いていこうと思います。

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手続き的なお話をする前に、外国人を雇用する際の最低限の心構えとして、私はこの二つは頭に置いておかないといけないと顧問先の社長さんにはよくお話しています。

1,ビザの確認をしましょう。

この辺は、さすがに経営者の皆さんは、確認しているケースが多いようです。外国人が日本に在留する場合、27種類のビザのうち、どれで入国しているのかが問題です。それを必ず実物で確認するようにしましょう。ビザと言いましたが、「在留カード」というカードのようなものです。就労することが禁止されているものもありますので、まずはこのビザの確認が経営者の皆さんのやることです。たとえば、「留学」目的だったり、「家族滞在」が目的だったりすると就労は出来ません。

就労でない目的の在留カードである場合、就労が認められるためには資格外活動許可の申請が必要です。その辺をきちんと確認する。それも「在留カード」の原本で確認することがまずは経営者がやるべきことです。

2,労働契約書を締結しましょう。

仮に、日本で働くことのできる就労ビザだったとします。その場合、次にやることは労働契約書の締結です。外国人を雇うことは日本の経営者が思っている以上に、トラブルがつきものです。何時から何時まで働くのか、休憩時間はどうなっているのか、休日はどうなのか、給与はどうなっているのか、一つ一つ契約書にきちんと載せることが重要です。口頭で伝えたというのはトラブルのもとになります。これは、日本人以上にその傾向があるので注意しましょう。

 

私はこの二点にまずは注意するようにお伝えしています。

 

さて、その上で、手続き上必要なことはどういうものがあるのか?これについては、次回にしましょう。



朝ドラ「ひよっこ」ですが、最終盤に差しかかっていています。

もちろん、ヒロインの「みね子」を演じる有村架純さんがどうなるのかも気にかかりますが、このブログは経営についての様々な問題をテーマにしたブログです。その観点から私が注目したいのは、そのみね子の茨城の実家で新事業を立ち上げる という話が参考になる話ですので取り上げたいと思います。

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朝ドラを見ていない人もいらっしゃると思いますので、「ひよっこ」のドラマのあらすじを簡単に説明しておきます。

物語の舞台は、前回の東京オリンピックがあった1964年(昭和39年)頃から始まります。茨城の山奥の村(奥茨城村という村)で高校生3年生になっていたみね子ですが、ある日、東京に出稼ぎに行っていたお父さんが突然、失踪します。突然のお父さんの失踪に、矢田部家の生活はひっ迫します。そんな状況の中、お父さんに代わって矢田部家を支えて実家に仕送りをするため、みね子は上京します。この時代にあったいわゆる「集団就職」です。その後の東京で働いていた会社が倒産し、失踪したお父さんが行ったことのある洋食店で働き始めていたところ、失踪したお父さんが見つかり・・・といった話が朝ドラ「ひよっこ」のだいたいの話の筋です。

 

さて、そのヒロインみね子の実家の矢田部家では、「そもそもこうやってみね子が東京に行って仕送りをしないといけない状況を改善しないといつまでたっても豊かな生活ができない」とみね子のおじさん(お父さんの弟)の宗男が新しい事業の立ち上げを提案します。

そして、新しい事業として提案するのが「花」の栽培ビジネスです。「花き」ビジネスといいます。

「花き」というのは、観賞用の植物と定義されています。現在においては、年間1兆円もの市場規模のあるビジネスです。

数字が大きくなると、わかりづらいので、同じ1兆円規模のビジネスを探してみると、野球やサッカー、ゴルフ、相撲などのプロスポーツがほぼ1兆円のようです。

 

ちなみに、私の関与することの多い治療院ビジネス(整骨院の他、リラクゼーションサロンなども含める)は4兆円規模だそうで、介護サービス事業はその倍以上のなんと9兆円にも上るビジネスだそうです。どちらの産業も市場規模が拡大傾向で、特に介護サービス関連産業は2025年には15兆円規模になるとの民間シンクタンクの試算もあるようです。

 

さて、オリンピックの後、この花きビジネスに参入しようというのはなかなか目の付け所が良かったと思います。まずは、全体を俯瞰してみた時に成長が見込める産業であった点です。このドラマでも語られていますが、昭和40年代というとみんなが豊かになってきて、「モノ」が足りてきている頃です。「花」を鑑賞したりという「ココロ」を満たす産業というのはこの時代の成長産業と言えます。

新しいビジネスを始めるにあたっては、こうした大きな視点からのものの見方というのは非常に重要です。日本全体、場合によっては世界経済の視点からの経済の動向から物事を判断していく物の考え方が必要です。

また、コストの面からもプラス面が多いと言えます。花は最初の苗木や種などはコストがかかりますが、最初、きちんと育てられればその後のコストは抑えられます。また、地理的に見ても茨城から大消費地の東京へは遠いわけでもなく、輸送コストが比較的かかりません。コストが低く抑えられれば、仮に少ない売り上げであっても利益を出すことがより容易になります。同じ100万円の売上でも、原価が10万円しかかからない場合と50万円も原価がかかる場合とを比べてみればわかります。人件費が同じようにかかるのであれば、原価がかからないビジネスはそれだけ利益が上がりやすくなるだけでなく、リスクも少ないということが言えます。

 

また、もともと農家ですから、「植物を育てる」という意味では比較的今までやっていたことに近いビジネスです。これも重要な要素だと言えます。これからやる産業が全く新しい分野だとなかなかとっつきづらいです。いくら成長産業と言っても全く経験のない分野のビジネスを始めるとなると一から学びなおすことになります。

たとえば、治療院の先生がまったく経験のない農業を始めるというのを想像してみればわかります。軌道に乗せるまでに時間がかかりますし、コストもかかることが容易に想像つきます。すでにそのビジネスに参入している人に追いつくのに時間がかかるだけでなく、後から参入した人に追いつかれてしまうこともあるかもしれません。

 

朝ドラ「ひよっこ」では、この全体を俯瞰した考えを、ヒロインみね子のおじさんがやっています。そして、素人がいきなり全く知らない分野のビジネスを始めても上手くいきません。それを習う師匠もきちんと調べて、そこもケアしています。

治療院の場合、リラクゼーションサロンなどのビジネスが近いのと同じです。介護事業であれば家事代行サービスなどが近接ビジネスであるのと同じ関係と言っていいでしょう。つまり、今あるノウハウやマンパワー、場合によっては設備なども現状のものを使えることもあるでしょう。仮にそのビジネスがうまくいかなくなったとしても、全く違う産業に進出したのと違い、その設備やマンパワー、ノウハウは本業に使うことも可能です。また、違う近接ビジネスに使うこともできます。

 

新規事業に進出する場合のポイントをまとめるとこんな感じでしょうか。

  1. ビジネス全体を俯瞰して、成長が見込める分野であるかどうか
  2. 売上とコストを比較して、利益が上がることが見込めるか
  3. 現状のビジネスでのノウハウ、設備、ヒトを使える分野であるかどうか

 

これに加えていえば、資金が潤沢にあるかということを挙げてもいいと思います。銀行から借り入れをして資金準備をしてもいいと思いますが、とにかく何か始めるにあたっては、思ったよりもお金がかかるものです。資金が十分に用意されているのかというのも重要な要素です。

 

治療院でも介護でも、昨今医療保険や介護保険という国の「保険」が低調気味です。

しかし、これらの産業全体としては、先ほど書いたように拡大基調にあるビジネスです。

視野を広げて、自分の今あるノウハウに少しだけプラスアルファすることで何ができるのかを考えるという視点は朝ドラ「ひよっこ」からも学べる点だと思います。



今日はインフォメーションです。

経理担当者はだいたい把握されていると思いますが、厚生年金保険料が9月分から変更になります。18.182%がこの平成29年9月から18.3%になります。

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平成16年に法改正があり、平成29年までの間、毎年0.354%上がって、18.3%で上限になります。ひょっとしたらまた改正があるかもしれませんが、しばらくは、18.3%です。

料率は比較的覚えやすくなったのでは?と思います。

厚生労働省の記事は以下です↴

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000175945.html

 

平成16年のころは、13.934%だったわけで、この13年で4.366%上がっているわけです。標準報酬月額260千円だと11,351円違います。結構上がっていますよね。

 

ちなみに国民年金は、この4月ですでに上限額になっています。平成29年は16,900円で、これで毎年上がっていた国民年金の保険料は上限になります。ちなみに、こちらは、平成16年は13,580円だったので、この13年で月額3,320円上がったことになります。

 

それから、いつから新しい厚生年金の保険料率にするのかというのも注意が必要な点です。この厚生年金保険料の変更は9月分の保険料からです。9月分の保険料は何月の給与から控除されているのかをよく確認する必要があります。当月締め当月末払いの給与形態であれば、9月末支給分から変更になりますが、たとえば、末締め翌月15日払いであれば、10月15日支給分から変更になります。15日締め当月25日払いなのであれば、原則としては、10月25日支給の給与から新しい厚生年金保険料になるはずです。

この辺はよく確認しましょう。

また、会社の口座からの引き落とし額が変わるのも、10月末納付分からですので、その点も注意してくださいね。



今日はいわゆる「公庫の融資」の話です。

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日本政策金融公庫は100%政府が出資している特殊な法人です。株式会社ですが、実質的には国の運営する金融機関です。

店舗数は日本全国に152店舗(平成29年9月現在)あり、貸出額は18兆3,397億円に上ります。貸出額だけ見れば、都市銀行のりそな銀行と三菱UFJ信託銀行の中間くらいに位置します。

中小企業への貸し出しがメインの金融機関で平均の貸出額は約700万円ということです。最も多い貸出額は300万円~500万円だと推測されます。

普通の銀行は、預金の預け入れをしてもらった資金を貸し出しに回すことで成り立っています。ですが、この「公庫」は銀行ではありませんから、預金を預け入れてもらうという機能はありません。

また、「保証」の機能もこの公庫自身で行います。民間の金融機関ですと、この「保証」の部分は担保を取ったり、保証協会での借り入れにして保証協会にしてもらったりするわけですが、そういった「保証」の機能は公庫自身で行います。

つまり、このような関係になります。

 

預金 貸出 保証
民間金融機関 ×
日本政策金融公庫 ×

 

保証協会の機能もあるけど、預金の預け入れ機能はない。そう考えると、民間の金融機関とはちょっと違う特殊な立ち位置にある金融機関だとお分かりいただけると思います。

 

さて、この公庫の融資ですが、まずはその特徴を知ることがまずは大事です。

 

公庫の融資と言えば、「創業融資」が特徴的です。

これは、政府が100%出資していることから由来しているものだと言えます。

国としても新しく事業を興すことを支援したいというメッセージでもあります。民間金融機関より、創業融資は積極的と言えます。

ただ、公庫の「創業融資」には決定的な特徴があります。その特徴を知っておくことが公庫の「創業融資」を成功させるコツだと言えます。

 

まず、公庫の「創業融資」は「ある決まったカタ」にはまっていることが非常に重要です。その「カタ」というのは、次のようなものです。

・経験を積んで来た業種での開業であること。

・開業までの準備期間にある程度の自己資金を用意していること。

・事業計画がきちんと立ててあり、資金使途が明確であること。

 

3つ目の要件はある意味、公庫の創業融資に限らず、どの融資でもいえることです。

 

特に、開業時の場合、定量評価(決算書など過去のデータによる評価)が当然、ありませんから、これからの部分の未来の評価となってきます。経営者の人柄や事業の将来性など目に見えない部分を評価しないと資金の貸し出しは出来ません。公庫の融資が「創業融資」で多いのは、政府系の金融機関であることから、民間の金融機関ではしづらいこうした「未来の評価」を積極的に融資の評価に入れる役割が期待されているためということもあるのではないかと思います。「定量評価」だけでした融資の評価がされなければ、いつまでだっても新しい事業をやる人が出てきませんからね。

公庫では、この「未来の評価」を一定の「カタ」に落とし込めて、その「カタ」にはまっていれば融資を受けつけるというスタンスを取っています。

 

たとえば、飲食店に10年勤務して、そのノウハウを活かしてお店を開くというようなケースです。この場合、かかる資金のうち、およそ3分の1程度を自己資金で用意しておくことができれば、融資を受ける際には有利に働きます。

 

さて、「公庫の融資」と言えば、まずは「創業融資」であることはいいと思います。

問題はここから先です。どういう特徴があって、どういうときに公庫の融資を考えるべきかということです。

 

公庫の特徴としては、今の話と多少矛盾する部分があります。それは、決算書などの定量評価が重視される傾向があること。それから、借り入れ実績があり、きちんと期日に返済していればそれも重視される傾向があるということです。

 

創業融資に積極的な「公庫の融資」ですが、実は過去の履歴が重要視されます。

最初は200万とか300万とかの融資であってもきちんと返済して決算書上も悪くなければ、次の融資では500万借りることも可能になります。それもきちんと返済していれば1000万借りることも可能ではなくなります。つまり、実際の公庫の融資は「過去の実績」という「定量評価」が重視され、その積み重ねがあって評価される形になっているのです。

 

一方で、「創業融資」は過去の評価である「定量評価」のない融資ですから、「定性評価」に重きを置かざるを得ません。「定量評価」を重視する公庫であっても「定性評価」を重視した融資をせざるを得ない、むしろ積極的に「定量評価」を重視した融資をしないといけないわけです。

 

そこで、公庫の融資は特徴的な考え方が融資に採用されます。つまり、「定性評価」といっても、目に見えるもの、創業融資の場合には、「過去の経験」だったり、「自己資金をいくら用意しているのか」だったり、といったことが融資の評価には非常に重要な要素になるわけです。

もし「過去の経験」や「自己資金」に問題があるのであれば、「保証人」を立てることも考える必要があります。

 

公庫の融資は、実務上は「名に見えない評価」、たとえば「将来性」とか、「事業の可能性」とか、は評価としては弱く、「過去の実績」「今までの経験」「自己資金」「担保」といった目に見える部分が重視されるということは知っておいていいでしょう。

 

こういうことは、顧問税理士がいても教えてくれないものです。それは、知らないからです。(税理士は銀行融資に対しては通常は門外漢です)

できれば、融資にも強い税理士を味方につけることが融資を成功に導くカギになるということも知っておいていいでしょうね。



今日は助成金の話です。

キャリアアップ助成金の上乗せ支給で、東京都は独自に「正規雇用転換促進助成金」というのを設けています。この助成金が予算をオーバーしたため、9月29日受け付け分で終了するとのことです。

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「東京都正規雇用転換促進助成金」については、聞いたことのある方も多いと思います。

国の「キャリアアップ助成金」の上乗せとして始まったもので、キャリアアップ助成金の以下の区分に該当すると各々支給されました。

 

有期雇用契約から正規雇用への転換・・・50万円(大企業の場合には40万円)

有期雇用契約から無期雇用契約への転換・・・20万円(大企業の場合には15万円)

無期雇用契約から正規雇用への転換・・・30万円(大企業の場合には25万円)

 

さらに、上記の労働者を中小企業退職金共済に加入させた場合には、上記の金額に10万円を加算して支給することになっています。

 

これは東京都独自の助成金のため、正規雇用や無期雇用契約への転換する労働者は東京都にある事業所の労働者でないと対象にはなりません。

 

また、国の「キャリアアップ助成金」の適用を受けた後、その国の受付が完了した後2か月以内に東京都に申請をするという、ちょっと特殊な扱いをするものです。

実際には、新宿の歌舞伎町にあるハローワーク新宿と同じ建物の中にあり、そこで手続きします。

 

気をつけないといけないのは、国のキャリアアップ助成金の申請が終わっている場合、2か月以内に申請しても、9月29日を過ぎてしまうと、一切受け付けしない点です。

せっかく、国の助成金が受付されていても、9月29日を過ぎてしまうことのないように注意が必要です。

 

ついでに言えば、この助成金に限らず、東京都の助成金などは予算があり、その予算額に達すると受理されなくなるというのはこれまでにもよくありました。

補助金にしても助成金にしても、これを当てにして人材を採用するというのはリスクがあることは忘れてはいけないことだということです。

 

以上、東京都の正規雇用転換促進助成金の話でした。