先週は一週間、夏季休暇としていました。今日から再開します。
さて、夏季休暇前に治療院は保険診療中心から自費診療中心に切り替えるべきという話をしました。その関連で、その場合に、税金などにどういった影響があるのかについて、何回かに分けて書いていこうと思います。
保険診療中心から自費診療中心に移行していくと、実はいくつかの税金の問題が発生します。大きな問題としては、消費税の問題です。これらも知ったうえで、保険から自費への転換を図っていく必要があります。
基本的な部分からご説明いたしますので、治療院の経営に役立ててみてください。(実際には細かい話もありますが、多少、割愛します)
治療院の消費税の問題というのは「保険診療中心だったころは、免税事業者で消費税を払ったことがなかったのに、自費中心にすることで課税事業者になって消費税を払わないといけなくなる」というものです。
治療院の収入は内容によって消費税がかかるものとかからないものがあります。
保険診療は消費税は非課税です。一方で、自費治療(実費治療)は消費税は課税取引になります。
消費税は課税とされる売上が年間で1000万円を超えると、1000万円を超えた年の翌々年から消費税の課税事業者になります。
ですから、たとえば、個人事業者の場合、平成29年1月から12月の課税売上が1000万円を超えると、平成31年は消費税を支払う事業者になります。ですが、平成30年の課税売上が1000万未満であれば、翌々年の平成32年は消費税は免税事業者、つまりかからないわけです。
1年ごとに消費税がかかるかからないを判断して、原則として翌々年が課税事業者になるというわけです。なぜ翌々年かというと、これはたとえば平成29年が売り上げが1000万円を超えているかどうかがわかるのは、平成30年に入ってからのはずです。1月か2月か、そのくらいにわかるわけです。わかるころにはすでに平成30年は始まっています。消費税というのは、消費者に転嫁される税金なので、治療院の場合、平成29年が1000万円を超えていたのであれば、治療院の患者さんに消費税をその分、上乗せしてもらう必要があります。平成29年が1000万超えていたからといって、平成30年から消費税の課税事業者にしてしまうと、すでに経過してしまった1月や2月の売上分は消費税をもらわなかったということになってしまいます。そのために、翌々年、つまり平成31年から徴収するようにしているわけです。
この考え方は消費税法に共通してある考え方ですので、是非、知っておきましょう。
さて、いつから消費税がかかるのかは分かったと思います。
では、どの売り上げが消費税がかかるのでしょうか?
治療院の場合には、おおむね、以下のような形になります。
保険診療売上・・・非課税
自費売上・・・課税
物品販売売上・・・課税
自賠責保険売上・・・非課税
助成金などの補助金収入・・・不課税
受取利息・・・非課税
非課税と不課税というのは違うのですが、ここでは説明は省きます。
あとは、たとえば、整骨院で鍼灸マッサージをした場合には、その鍼灸マッサージ売り上げは課税です。訪問の鍼灸マッサージは保険診療となれば、非課税です。この辺は保険請求するかどうかで分かれますので、注意が必要です。
さて、今日は、消費税の判定の話と、どの売り上げに消費税がかかるのかというお話でした。
次回は、簡易課税など、もう少し突っ込んだ話をしていきましょう。