新型コロナウイルス感染症の影響等により、雇用維持のために一時的な休業を行った場合に会社が支払った休業手当の一部を助成する雇用調整助成金の特例措置というのが昨年4月から続いていました。この特例措置は4月30日までとなり、5月以降は段階的に縮減されていきます。今日はこの特例措置がどうなるのかをご案内していきたいと思います。
雇用調整助成金の特例措置とは、日額15,000円まで出るとか、計画書の事前提出が不要であるとか、小規模事業者については給与明細や出勤簿などを添付すれば比較的、簡易な手続きで助成金申請ができる措置の助成金でした。その特例措置は4月末までになっています。
では、4月末のすべての休業について終わるのかというところからいきます。これは賃金締切日がポイントになります。
令和2年4月1日から令和3年4月30日までの期間を1日でも含む賃金締切期間(判定基礎期間)となっています。
つまり、賃金締切日が毎月15日の企業の場合、現状の特例措置は4月30日までの休業ではなく、5月15日までの休業が対象となります。
一方、「雇用保険被保険者ではない従業員」を休業させたときに受給可能な「緊急雇用安定助成金」の特例措置の期間は令和2年4月1日から令和3年4月30日までの期間です。
これは厚労省の出しているFAQによると5月からの段階的な縮小の適用について「 判定基礎期間の初日が令和3年5月1日以降の支給申請から適用されます。令和3年4月30日までを1日でも含む判定基礎期間には、上限額 15,000円と中小企業の助成率最大10/10が適用されます。 」とあるので、1日でも4月30日にかかっていれば、緊急雇用安定助成金についても従来の措置が適用されるようです。
さて、次に、5月から6月に段階的に縮小していくというのはどのような措置になるのでしょうか。
5月~6月の特例措置の縮減(中小企業の場合)は以下の通りです。
・日額上限:現状 1日1人あたり15,000円
→ 1日1人あたり13,500円(△1,500円)
・助成率:現状 最大10/10
→ 最大 9/10(△1/10)
ただし、感染が拡大している地域や、特に業況が厳しい企業については特例を設ける予定となっています。
では、その特例というのはどうなっているのでしょうか。
まず、「感染が拡大している地域の特例」というのは、具体的にはまん防対象地域の飲食店等のことをいいます。
「感染が拡大している地域」については、厚労省のリーフレットによると、以下の地域です。
【令和3年4月5日~令和3年6月30日(予定の期間を含む(※))】
・宮城県:仙台市
・大阪府:大阪市
・兵庫県:神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市
【令和3年4月12日~令和3年6月30日(予定の期間を含む(※))】
・東京都:23区、八王子市、 立川市、武蔵野市、府中市、調布市、町田市
・京都府:京都市
・沖縄県:那覇市、宜野湾市、浦添市、名護市、糸満市、沖縄市、豊見城市、うるま市、南城市
【令和3年4月20日~令和3年6月30日(予定の期間を含む(※))】
・埼玉県:さいたま市、川口市
・千葉県:市川市、船橋市、松戸市、柏市、浦安市
・神奈川県:横浜市、川崎市、相模原市
・愛知県:名古屋市
【令和3年4月22日~令和3年6月30日(予定の期間を含む(※))】
・兵庫県:明石市、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町
これらの飲食店等が都道府県知事による営業時間の短縮等の要請等に協力し、
5~6月の休業については特例措置の縮減は行われず、
・日額上限:1日1人あたり15,000円
・助成率:最大10/10
と現状の特例と同等の雇用調整助成金を受給できます。
また、「特に業況が厳しい企業」の特例というのもあります。
これは、「売上高等が30%以上減少している企業の特例」というものです。
次に「特に業況が厳しい企業」については、対象とされているのは、生産指標(売上高等)が最近3か月の月平均で前(々)年同期比30%以上減少している企業です。 地域や業種は問いません。
これに該当する場合、5~6月の休業については、「感染が拡大している地域の特例」と同様に特例措置の縮減は行われず、
・日額上限:1日1人あたり15,000円
・助成率:最大10/10
となります。
5月・6月は上記のようになりますが、7月以降の雇用調整助成金の特例措置はどうなるのでしょうか。
7月以降については、雇用情勢が大きく悪化しない限り、さらに特例措置を縮減していく予定となっています。今のところは、詳細は不明ですが、特例ではない通常の雇用調整助成金は、
・日額上限:1日1人あたり8,370円
・助成率:最大2/3(中小企業の場合)
となっています。最終的にはその水準まで縮減されることが予想されるところです。
ということで、今日は、現在、雇用調整助成金の特例措置がどうなるのかという話でした。