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さて、延長申請をしていない限り、原則的には昨日、申請が終わりましたが、一時支援金という国の事業がありました。その一時支援金の上乗せ支給の制度がお住いの自治体であるケースがあります。

その一時支援金の上乗せ支給の給付金について書いていこうと思います。

一時支援金の申請が無事に終わってホッとしている方も多いと思います。

一時支援金の申請をした皆さんは、お住いの自治体で一時支援金の上乗せの給付金があるのかを忘れずに調べてみてください。

東京都内などの首都圏の自治体で私の調べた範囲では次のような上乗せ支給があります。

板橋区

対象:板橋区に住所・所在地のある一時支援金の支給を受けた事業者

金額:個人事業者等 10万円 中小法人等 10万円

申請期限:令和3年6月30日

府中市

対象:府中市内で事業を営んでいる個人・法人で一時支援金の満額支給(法人60万円、個人30万円)を受けた事業者

金額:個人事業主 5万円 法人 10万円

申請期限:令和3年6月30日

君津市

対象:君津市内に主たる事業所のある一時支援金の支給を受けた事業者

金額:個人事業主 15万円 中小法人等 30万円

申請期限:令和3年8月31日

また、6月の中頃過ぎから国の行う予定の月次支援金について、東京都内に事業所のある事業者について東京都独自の上乗せ給付を始める予定です。

この上乗せ支給については、国の月次支援金では対象外になってしまう、売り上げが50%未満の事業者でも売り上げが30%以上減少している事業者は対象にする予定です。

【支給額】売上減少率50%以上:法人5万円、個人2.5万円
     売上減少率30%以上50%未満:法人10万円、個人5万円     

東京都の月次支援金の上乗せ支給は売り上げ減が30%以上であれば対象になります。

金額は大きくはないですが、忘れずに申請したいところです。

お住いの自治体で上乗せ支給の一時金がないのか、今一度、確認していただきたいところです。

ということで、今日は各自治体の一時支援金の上乗せ支給の話でした。



いろいろな業種の企業がある中、昨年よりも今年の方がよくない企業も多いと思います。昨年は融資を受ける必要はなくて使わなかったが、今、いわゆるコロナ貸付を使うことができるのか、という疑問を持たれる中小企業経営者も多いと思います。そこで、今日は日本政策金融公庫の「新型コロナウィルス感染症特別貸付」について、こういう場合はどうなるのかという点について書いていこうと思います。

いろいろな業種の企業がある中、昨年よりも今年の方がよくない企業も多いと思います。昨年は融資を受ける必要はなくて使わなかったが、今、いわゆるコロナ貸付を使うことができるのか、という疑問を持たれる中小企業経営者も多いと思います。そこで、今日は日本政策金融公庫の「新型コロナウィルス感染症特別貸付」について、こういう場合はどうなるのかという点について書いていこうと思います。」

まず、この日本政策金融公庫の「新型コロナウィルス感染症特別貸付」(以下は「コロナ貸付」と略して書きます)とは、最近1ヵ月間等の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます)の平均売上高が前3年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している中小企業が対象です。

公庫の既存の融資制度を適用した貸付残高にかかわらず別枠で、融資限度額は8,000 万円です。このうち 6,000 万円(日本公庫の既存融資のお借換部分も含みます。)を限度として、当初3年は災害発生時の 融資制度に適用される基準利率から 0.9%低減した利率が適用されます。3年経過後は災害発生時の融資制度 に適用される基準利率となります。

さて、疑問の一つ目です。

この政策金融公庫の融資を既存の融資の借り換えで利用することはできるのでしょうか。

公庫のQ&Aによると、以下のように書かれています。

お借換日までの利息等は必要ですが、基本的には可能です。 なお、以下の要件を満たす「つなぎ融資」に対応する場合を除き、民間金融機関の借入金のお借換えにはご利用いただけません。

 ① お客さま、民間金融機関のいずれからも、「日本公庫の新型コロナ感染症対策関連の融資を受ける予定でいたが、その間のつなぎ融資と認識して民間金融機関から融資を受けた(民間金融機関は融資を行った)」ことが確認できること。

 ② 前①で受けた融資の実行日が、新型コロナウイルスに関する経営相談窓口の設置日(令和2年1月29日) 以降であること。

公庫の既存融資を借り換えて「コロナ貸付」に一本化することは可能ですが、民間の金融機関の借り換えは基本的にはNGです。民間金融機関の融資を公庫のコロナ貸付に借り換えできるのは「つなぎ融資」という一部の例外的な場合に該当する場合だけです。

次の疑問です。これも私も顧問先の中小企業の経営者からいただくことの多い質問です。

この「コロナ貸付」は直近の売り上げが5%減となっていることが要件となっています。ところが、直近だと売り上げが5%減ではないケースも多々あります。そのような場合にはこの「コロナ貸付」が使えないのかという点です。

これについても、公庫の「コロナ貸付」のQ&Aに書かれています。

「ご利用いただける方は「最近1ヵ月間等の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高 が前3年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している方」とされていますが、新型コロナウイルス感 染症の影響でここ2週間で売上が急減しているものの、今月の売上高としては前3年のいずれかの年の同期と比較すると増加しています。このような場合は、新型コロナウイルス感染症特別貸付は利用できないのでしょうか。」

「最近1ヵ月間等(※)の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高」は、単純な前 3年のいずれかの年の同期の売上高との比較だけでなく、売上高の確認日を基準として、①確認日の前月の売 上高又は②確認日の前日や直近の売上集計日から遡って1ヵ月の売上高等を確認させていただきます。 たとえば、確認日が令和2年7月 18 日の場合は、最近1ヵ月の売上高は、①令和2年6月の売上高又は② 令和2年6月 18 日から令和2年7月 17 日までの合計売上高などで確認させていただきます。 なお、その際には帳簿等を確認させていただくことがございます。

(※)「最近1ヵ月間等の売上高」には、最近1ヵ月間の売上高に加え「最近 14 日間以上1ヵ月間未満の任意の期間」の売上高 を含みます。

上記のほかにも5%減ではないケースとして、たとえば、直近だと4%減だったとか、昨年は法人なり前の個人事業であったため、むしろ売り上げが今年の同月と比べると少なかったとか、そういったケースもあります。いずれもまずは公庫の担当者にその旨を相談してみた方がいいでしょう。

また、3年間利息が実質かからないという実質無利子化の制度もこの「コロナ貸付」を使うことで引き続き利用可能です

新型コロナウイルス感染症特別貸付は、一定の要件に該当する場合、当初3 年間、6,000 万円を限度として、災害発生時の融資制度に適用される利率から 0.9%低減した利率が適用されます。 ご融資後は、利息も含め日本公庫にご返済いただきますが、後日、低減した利率の利息部分について、お客さまへ3年間分の利子相当額を一括で助成する 利子補給の制度(特別利子補給制度)を中小企業基盤整備機構が実施しており、利子補給を受けることで、当初3年間は実質的に無利子でご利用いただけます。

これについては、私の以前のブログを参考にしてみてください。↓

以上、今日はまだまだ利用できる「コロナ貸付」の話でした。



3月に厚生労働省から職種別の賃金に関する調査結果が発表されました。今日はその中から介護職員の給与についてみていこうと思います。

厚生労働省の出している「賃金構造基本統計調査」によると、介護職員の男性の給与は月額23.6万円が平均値で、年間賞与等は55.2万円が平均値になっています。

一方で、女性は給与額が月額21.7 万円、年間賞与等は45.5 万円が平均値でした。

介護職員の場合、勤務年数によって給与の差異があります。そこで、経験年数別にみてみると、男性の場合、勤続15 年以上の方で給与が月額27.3 万円が、年間賞与等は76.5 万円が最も高い状況です。

一方で女性の場合は、勤続15 年以上で月額23.5 万円が、年間賞与等は59.9 万円となっています。

男女別にみても男性の方が少し高いようです。これは男性の方が管理職が多かったり、正規雇用として働いている職員が多いことが関係しているかもしれません。ただ、いずれにしても、ほかの業界と比べればまだまだ給与が低い状況に変わりはないようです。

介護事業所の経営者の皆様は、自身の介護施設と比較してみてはいかがかと思います。



さて、一時支援金の申請期限の5/31が迫ってきました。

コロナの影響でまだ令和2年の確定申告が終わっていない方、1月~3月の売上の集計ができていない方など、一時支援金の申請ができないでいる方はとりあえず「延長申請」を出すという方法があります。

これから申請をお考えの事業者の皆様は、とりあえず早めに必要書類を準備して、登録確認機関での事前確認を受けた上で、5/31までに申請をしたいところですが、いろんな理由で間に合わない場合、次の方法で「延長申請」することができます。

まず、5月31日(月)までに、①アカウント発行をします。一時支援金のサイトから仮登録すると、Cから始まる9桁の数字の番号が発行されます。そのうえで、②延長の申込みを行います。延長の申し込みには簡単に延長申請する理由を記入します。

現在、この延長申請をすることで書類の提出期限を2週間程度延長することができることになっています。

また、一時支援金の要件は次の二つに該当することです。

  • 2021年1月に発令された緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業または外出自粛等の影響を受けていること
  • 2019年比または2020年比で、2021年の1月、2月または3月の売上が50%以上減少

申請期限が近くなったこの時期に、いまだに一部の事業者の方から問い合わせがあったりして勘違いされているケースがあることがわかることがあります。たとえば、この一時支援金の対象は飲食店や飲食店の関連業者だけではありません。外出自粛等の影響を受けた事業者は対象になります。ですから、外出自粛等の影響があれば業種は問われません。また、緊急事態宣言が発令されていない地域の事業者であっても、外出自粛等の影響を受けていれば対象となります。

東京や大阪などの首都圏ではないから対象にならないと思っていらっしゃる方もいますが、外出自粛等の影響で売り上げの減少があるのであれば対象になります。

このように勘違いしていて対象にならないと思っていた方は、現状では書類の準備が全くできていないということもあり得ます。このような方は5/31まで時間がないのでとりあえず「延長申請」を出しましょう。

また、今回の一時支援金は、申請する前に「登録確認機関での事前確認」が必要です。この事前確認を受けられるのは提出期限の数日前までです。とりあえず延長申請を出して、次に先に事前確認機関に事前確認の予約をしてしまいましょう。書類をそろえたらそのあと、事前確認機関で事前確認をしてもらってください。

ということで、今日は一時支援金の延長申請の話でした。



現在、当社にも「一時支援金」の事前確認をしてほしいという依頼がほぼ毎日あります。

作曲家・声楽家・バイオリニストといった音楽家の方、舞台俳優、建設業関係の方、各種のコンサルタントの方・・・実に多種多様な方たちから事前確認のご依頼があります。

正直、すべては受けきれないので日程の合わない方はお断りすることもあります。

他の事前確認の登録機関に聞いたところ受けてくれないといった理由で当社にいらっしゃる方もおり、なるべく受けたいとは思っていますが、限界もあります。どうぞご容赦ください。

さて、この「一時支援金」の後継の制度ともいえる「月次支援金」の申請が来月からスタートします。今日はその概要についてお伝えしたいと思います。

月次支援金とは、2021年の4⽉以降に実施される緊急事態措置⼜はまん延防⽌等重点措置に伴う、「飲⾷店の休業・時短営業」や「外出⾃粛等」の影響により、売上が50%以上減少した中⼩法⼈・個⼈事業者等の皆様に支給されるものです。

現在、決まっているのは、2021年4月から6月の月ごとの売上が前年もしくは前々年の同月の売上と比べて50%以上減少した場合です。7月以降はどうなるのかはわかりません。

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で「飲食店の時短営業」「外出自粛」が売り上げ減少の影響であることが前提にあります。単に売り上げが50%以上減少しただけでは対象にはなりませんからまずはそこに注意しましょう。

さて、受給できる金額はいくらになるのでしょうか。

受給対象となる金額は「2019年⼜は2020年の基準⽉の売上ー2021年の対象⽉の売上」です。

法人であれば上限20万円個人事業者であれば上限10万円となっています。

さて、この月次支援金ですが、特徴的なのは「一時支援金」の仕組みを引き継いでいることです。2021年1月~3月のどれかの月の売上と2019年もしくは2020年の同月の売上が50%以上減少している等の要件に該当すると「一時支援金」が受給できます。この「一時支援金」を受給している場合、提出する書類がかなり簡素化されています。

まず、「一時支援金」を受けている事業者が「月次支援金」を受ける場合、税理士事務所等の「事前確認」が不要です。

それから、「一時支援金」の申請をした際に添付した確定申告書や通帳、本人確認書類(法人の場合には登記簿謄本)は改めて提出する必要はありません

売り上げが減少した対象の月の売上の帳簿と月次支援金の「宣誓・同意書」を出せば足りることとされています。

また、月次支援金は月ごとに申請するため、4月が前年もしくは前々年と比較して50%減となっていて、5月も50%減となっていた場合、4月分を申請した後、5月分も改めて申請ができます。6月も50%減だったら6月も申請可能となります。

そして、2回目以降の申請をする場合は提出する書類もさらに簡素化されます。該当月の売り上げの帳簿は添付しますが、1回目の申請に必要だった「宣誓・同意書」の添付も不要となります。一度、申請しているのだったら申請が楽になるわけです。

ただし、「一時支援金」を受給していなくて「月次支援金」を受給する場合、「一時支援金」で必要だった確定申告書2期分、通帳等の書類の提出が必要です。加えて、税理士等の事前確認も必要となります。

こうした仕組みは、たぶんですが、東京都の飲食店対象の休業協力金の仕組みを参考にしているものと思われます。東京都の休業協力金も期間をわけて何度もやっています。この申請をする際も2回目以降は確定申告書や本人確認書類、通帳写しといったいくつかの書類は省略されています。

そして、申請期間にも注意しましょう。

4⽉・5⽉分は2021年 6⽉中下旬〜8⽉中下旬、 6⽉分は2021年7⽉1⽇〜8⽉31⽇となっています。原則として、対象⽉の翌⽉から2ヶ⽉間を申請期限としています。

まずは、毎月の売り上げを出して該当するか否かの検討をしてみてください。申請期間が2か月間と意外と短いので、とにかく売り上げを集計して確認してみましょう。

ということで、今日は「月次支援金」の概要についてでした。



前回に続いて副業の労務管理の話です。

副業を認めることとした場合、実務上、会社はどんなことに気を付け、どんなことをしないといけないのでしょうか。

副業を認めることとした場合、実務上、どのようなことを考えていかなければいけないのでしょうか。

まず挙げられるのは、労働時間の管理という話です。

副業を認めれば、通常勤務分と含め、労働時間が増加します。労働基準法で定める法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えるという問題があるわけです。使用者側からすると、労働時間をどのように管理したらいいのかという点があります。

労働時間については、副業の事業所にしても、その労働者の主たる事業の事業所であってもその労働者の全労働時間をもとに時間外労働を考える必要があります。

では、実務上、どうやって管理したらいいのでしょうか。

これについては令和2年9月1日に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」というのを厚労省は出しています。それによると、労働時間の把握の方法は「自己申告制」によることとして、副業がある場合に使用者側としてはその本人からの申し出のあった労働時間をもとにして管理していくということです。

ガイドラインでは「労働者からの申告等により把握した他の使用者の事業場における労働時間が事実と異なっていた場合でも労働者からの申告等により把握した労働時間によって通算していれば足りる」としており、実際の労働時間がどうであるかは関係なく、あくまでも本人が申告した労働時間で労働時間を管理するとしています。

また、本人から労働時間の申告自体がなければ労働時間の通算自体は不要になります。

そして、時間外労働となるのはどちらの事業所か、という点については、労働契約の締結が先の事業所から労働時間をカウントしていくとしています。たとえば、A事業所とB事業所とあって、労働契約の締結がA事業所が先だったのであれば、A事業所の労働時間を優先し、B事業所で1日8時間の法定労働時間を超えれば超えたところから時間外労働と判断するということです。法定労働時間を超える方の事業所で36協定の締結が必要となるわけです。

また、1日のうちである日はB事業所で勤務し、A事業所はそのあとから勤務した場合、B事業所からカウントして、A事業所で法定労働時間を超えたら超えた部分が時間外労働とすることも認めれられるとしています。

つまり、労働契約の締結の順によらない方法でもよいとしています。

いずれにしても合理的な方法で労働時間の管理がなされていればいいのですが、ここで問題なのは割増賃金です。割増賃金は法定労働時間を超えたとされる事業所で支払うこととなります。

労働者の申告した時間数で労働時間を把握したうえで、契約の締結順か1日のうちの労働時間の提供の時間順かのいずれかの方法で労働時間を把握し、法定労働時間を超えた部分を時間外手当の支払う義務が生じるわけです。

理屈はわかりますが、この方法は実務的には結構大変ではないのかと思います。

厚労省もそれを心得ているのか、「管理モデル」としてこのような方法で導入してはどうですか、というのを示しています。

それは、労働契約を先に締結していたA事業所では通常通り自分の事業所だけで労働時間を計算し、あとから労働契約を締結したB事業所は初めからすべて時間外労働であるものとして労働時間の上限や時間外手当の支払いをするという方法です。

つまり、副業の事業所での労働時間はすべて時間外労働にするという方法です。

こうすれば、労基法にも違反せずに、労働時間を適切に管理できるとしています。

ただ、これも実際に副業側の事業所が時間外労働を負担することが前提となっているわけで、B事業所の方に不利な方法にも思えます。

いずれにしても、副業のある労働者の労働時間の管理というのは時間数の管理や割増賃金の支払いの問題など、実務的には難題であると思います。

また、雇用保険や社会保険はどうなるのでしょうか。

これについては原則的に事業所ごとの労働時間で加入の有無を判断することになります。

たとえば、A事業所で週の労働時間が25時間、B事業所で15時間だったとします。その場合、A事業所での所定労働時間が20時間以上なのでA事業所で雇用保険に加入することになります。

一方で、A事業所では週の労働時間が15時間、B事業所では週の労働時間が10時間である場合、いずれの事業所でも雇用保険には加入しなくていいことになります。

一方で、社会保険については事業所ごとに4分の3基準などで判定していくことになります。いずれの事業所でも満たしていなければ社会保険には加入しないことになりますし、1か所でも該当すれば加入することになります。(両方の事業所で基準に達すれば両方の事業所で社会保険に加入することになります)

労災については、副業・兼業がある場合の労災保険給付額については、A事業所・B事業所の合計の賃金を算定基礎として「給付基礎日額」を計算する方法となりました。これは、従来は労災が起こった事業所の給与のみで「給付基礎日額」を判定していましたが、法改正によってそのようになりました。

さて、このように副業の者を雇い入れする場合、副業側の事業所としてはいろいろと面倒な話が出てきます。そのため、労働法が適用されない形になる「個人事業主」として扱うことも考えられます。仕事の内容にもよりますが、副業側の事業所としては、いわゆる「外注費」扱いとする方法も法的に可能なのかの検討も必要でしょう。

副業を認める場合、副業側の事業所はもちろんのこと、主たる事業所の方もいろいろと検討しないといけない点があることは知っておいてください。

ということで今日は、副業・兼業の実務対応の話でした。



さて、今日は近年、話題に上ることの多い副業・兼業という話です。私の顧問先の中小企業でも副業・兼業を認める形の就業規則に変えるという話も出ることがあります。どちらかというと経営者側の思惑というより、従業員さん側からの要望という側面が強いようです。

今回と次回の二回にわたって、この副業について、考えてみたいと思います。

今日は「そもそも会社は副業を認めないといけないのか」という話です。

厚生労働省の調査によると、副業を希望する雇用者の割合は2017年のデータで全雇用者の6.5%にのぼっており年々増加傾向にあります。

一方で、副業を就業規則等で認めている企業は全体の1割程度で、副業を認めないとする企業の割合が75%と4分の3に上っています。

このように、雇用者側の要望があっても企業側が認めないケースが多いというのが実態のようです。

しかし、私の顧問先の介護施設でも複数の事業所で働く介護職員も多々います。とりわけ訪問介護では副業しているのが当たり前のような職場環境です。介護現場をはじめとして、様々な職場で現実としては副業をしている人の割合は増えているというのが私の実感でもあります。そのため、多くの中小企業でも少なからずこうした状況に対応し、今後は副業を認める方向で検討しないといけなくなるであろうと思われます。

また、過去の裁判例を踏まえても、副業を認める方向で検討しないといけないようです。

たとえば、ある大学の教授が大学に無許可で語学学校の講師の業務に従事し、そのために大学の講義を休校したことが懲解雇にあたるとした事件では、「兼職は・・・職場秩序に影響せず、かつ、使用者に対する労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度・態様の二重就業については、兼職を禁止した就業規則の条項には実質的には違反しない」(平成20年12月5日東京地裁)としていたり、運送会社の運転手が年に1、2回程度の貨物運送のアルバイトをしたことを理由にした解雇に対して、「本件アルバイト行為の回数が年に1、2回の程度の限りで認められているに過ぎないこと・・・職務専念義務に違反し、あるいは、被告との間の信頼関係を破壊したとまでいうことはできない」(平成13年6月5日東京地裁)といった判決からしても、仮に就業規則で副業を禁止したとしても、会社の通常業務に大きな影響がなければ結果としては認められるとされているのです。

一方で、毎日6時間にわたるキャバレーでの無断就労を理由として解雇したことが認められた事例(昭和57年11月19日東京地裁)や会社の管理職にある従業員が協業他社の取締役に就任していたことが懲戒解雇事由にあたるため解雇は有効とした事例(昭和47年4月28日名古屋地裁)もあり、要するに、本業に悪い影響が出るような副業や会社の経営を脅かす事態になりかねないような就業(他社の取締役になるなど)は認められないという判断がされているようです。

逆に言えば、こうした本業や会社に大きな影響があるような副業でなければ認める方向というのが今の労働法の立場であるようです。

では、仮に会社が副業を認めることにした場合、どういった制度設計にすべきなのでしょうか?たとえば、本人からの申告を前提として認めるといった制度にしたらいいのでしょうか。また、社会保険や雇用保険はどういう扱いになるのでしょうか。あるいは、時間外労働はどう管理すべきなのでしょうか。その際の割増賃金の支払いはどうすべきなのでしょうか。こういった実務的な部分をどうしたらいいのかという問題があるわけです。

その副業を認めた場合の具体的な実務対応について、次回、見ていきたいと思います。



さて、この4月からすでに運用が開始されているキャリアアップ助成金の正社員化コースの改正点について、今日は見ていこうと思います。

助成金の中でも、特に利用されることが多いのがこの「キャリアアップ助成金」の正社員化コースだと思います。

このキャリアアップ助成金の正社員化コースについて、ご存じない方もいらっしゃると思いますので、まずは概要を説明したいと思います。

このキャリアアップ助成金の正社員化コースというのは、有期雇用契約労働者やパートタイマーを正規雇用に転換した場合に受給できるものです。

有期雇用契約の者を正規雇用に転換すると57万円、有期雇用契約の者を無期雇用契約に転換した場合にはその半分の285,000円、そして、無期雇用契約の者を正規雇用に転換したら同じく285,000円が受給できます。

これらは1事業所あたりで年間20人を上限として受給できます。

たとえば、入社したばかりの社員を試用期間として雇うケースがあると思います。それを期間の定めのある6か月以上有期雇用契約として雇う形をとります。この有期雇用契約の期間が明けたら正社員として正式に雇用するという形の流れを作るわけです。

また、パートタイマーのような非正規の方を正社員にするケースも該当します。

最近、私の顧問先になった会社さんでも、前の税理士の先生から教わらなかったからということで全くこの助成金のことをご存じありませんでした。一人でも雇っている人がいれば十分に活用が考えられます。また、パートタイマーなどの非正規雇用の方がいらっしゃれば正規雇用への転換制度を作れば受給できる可能性があります。まだ一度もキャリアアップ助成金の正社員化コースを利用したことがないという事業主の方はこれを機に活用を考えてみてはいかがかと思います。

さて、このキャリアアップ助成金の正社員化コースですが、今回、4月1日から改正に伴って大きく変わっている部分があります。それは、賃金の昇給についての話です。

従来、今年の3月までの正社員化のケースは昇給の幅が正社員化前と正社員化後で5%以上の昇給になっていることが要件でした。この5%というのは基本給や定額で支給されている諸手当の金額が5%以上昇給していることが要件とされています。

それが、令和3年4月1日以降に正社員化する場合には、正社員化前後で3%の昇給があることが要件となっています。

昇給の幅が少しゆるくなっています。これは、賃金を支払う側の事業主にとってはよく知っておかないといけない改正点です。

また、この昇給には従来の要件には賞与も含んで5%でした。(ただし、賞与を含むのは就業規則などで支給することが決まっている賞与とされていましたから、臨時で支払う賞与は該当しないとされています。)それが、4月1日以降は賞与は含めないこととされています。

つまり、会社側としては、昇給の要件は3%と緩和されたものの、その昇給を見るときに賞与は完全に外してみないといけなくなったということです。

また、このキャリアアップ助成金には、いくつか加算されるケースがあります。派遣労働者を正規雇用として直接雇用すると285,000円の加算があったり、母子家庭(もしくは父子家庭)の母(もしくは父)を正規雇用等に転換した場合には、95,000円が加算されるなどといったものです。

その加算の要件に「若年雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を正社員等に転換した場合」に1人あたり95,000円が加算されるというものが従来はありました。これが廃止されました。その代わり、勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を 当該雇用区分に転換または直接雇用した場合、1事業所当たり1回のみ95,000円加算される制度は、「短時間正社員制度」も追加されています。

たぶんですが、廃止された加算の「若年雇用促進法に基づく認定事業主」というのがその認定を受けるケースがそれほど多くなかったのではないのかと思います。一方で、「短時間正社員」というのは、ケースとしては増えているのではないのかと思います。

正社員化というと、いわゆる「正社員」を思い浮かべるのでしょうが、このように「短時間正社員」「勤務地限定正社員」「職務限定正社員」といった「多様な正社員」と呼ばれる制度もあります。

この際に、こうした多様な正社員の規定も作れば、キャリアアップ助成金の加算もとれますし、この助成金をより活用していくというのも考えてもいいのかと思います。

今回の改正でこのキャリアアップ助成金の正社員化コースは以前よりもさらに活用しやすくなったのではないかと思います。中小企業の経営者の皆さんは、このキャリアアップ助成金の正社員化コースの活用は必須です。知らなかったという事業主の皆さん。これを機会に、正社員化に取り組んでこの助成金を十分に活用してはいかがかと思います。



コロナ禍にあって、日本政策金融公庫から昨年、融資を受けた事業者の方も多いと思います。

日本政策金融公庫から受けた融資がコロナ禍にあっての特別な融資だった場合、「新型コロナウィルス感染症特別利子補給制度」というのが使えることがあります。今日はこの制度についての話です。

この「新型コロナウィルス感染症特別利子補給制度」、通称、「特別利子補給制度」というのは、日本政策金融公庫や商工中金などの政府系金融機関からコロナ禍の貸し付けを受けた場合、最大で3年間、利子相当額を一度に受け取ることができるものです。

この制度は、コロナ禍にあって、政府系金融機関から借り入れをした場合、小規模の個人事業主は無条件に受けられるもので、小規模の法人事業主は、確認する最近1か月に加え、その後の2か月も含めた3か月間のうちのいずれか1か月で⽐較(前年⼜は前々年と同期⽐較)売り上げが15%以上減少している場合や、小規模事業者でない中小事業主の場合、売り上げが20%以上減少している場合に受けられるものです。(以前の私のブログを参考になさってください↓)

この特別貸付制度に該当すると、対象期間分の利子が一括で振り込まれます

問題なのはこの経理処理です。

入金があったときに一括で収入計上すればいいのでしょうか。

収入はいつ計上すべきなのか。法人税や所得税では、「収益計上時期」の原則というのがあります。原則として収入は、「その収入すべき権利が確定した日」に計上すべきであることになっています。法人であれば、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度、個人であれば、その収入すべき権利が確定した日の属する年分に、それぞれ計上することとなります。

そこからすると、この利子補給の入金は入金が確定したときに全額、収入計上すべきであることになります。

ですが、これについては、令和3年2月26日に更新した国税庁のFAQに回答があります。

該当する部分をそのまま以下に抜粋します。

「この特別利子補給制度は、日本政策金融公庫等の一定の金融機関から融資を受けることを条件に、その融資により発生する支払利子を、最長3年間、実質的に無利子とすることを目的として交付されるものです。
 そのため、この特別利子補給制度は、融資契約の変更等により利子相当額が変動した場合には、3年経過後に実際に支払った利子相当額により利子補給額が確定することとされています。したがって、特別利子補給制度においては、交付決定日には利子補給額が確定していないことから、利子補給額に係る収入を受ける権利は確定していないと考えられます。
 加えて、3年経過後の実際に支払った利子相当額と利子補給額の精算の手続は金融機関において行うこととされており、法人において実績報告などの手続はありませんので、通常の補助金とは手続き面でも異なる仕組みとなっています。
 このようなことから、この特別利子補給制度については、事前に最長3年分の利子相当額の交付を受けるものの、交付を受けた時点では収益として確定せず、支払利子の発生に応じてその発生する支払利子相当額の収益が確定し、無利子化される性質のものと考えられますので、その支払利子(費用)の発生に応じて、その発生する支払利子と同額の収益を計上することとなります。
 なお、この場合の会計処理については、交付を受けた利子補給金の額を、一旦前受金等として負債の部に計上し、支払利子の費用処理に合わせて、その支払利子相当額を前受金等から利子補給金収入等の収益の部に振り替えることとなります。税務上の取扱いも同様です。」

つまり、入金時にはいったん前受金で経理処理します。

(普通預金)/(前受金) ×××

そして、決算時に支払っている利息と同額の分を前受金から収入に振り替える形で以下のような処理をします。

(前受金)/(雑収入) ×××

このように処理することで支払利息(費用)と雑収入(収入)が同じ期にそれぞれ同額が計上され、実質、無利子化が図れるというわけです。

また、特別利子補給制度に似ているものとして、民間金融機関による実質無利子・無担保融資制度というのがあります。これを使って融資を受けた事業者の皆様も多いことと思います。この制度は、都道府県などが一定の制度融資について、保証料や利子を補助する制度です。これらの制度はほとんどが保証協会等に対して国等から補助分が直接支払われ、事業者が支払うことがないものになっています。そのため、これらの補助分は処理は特に必要とされていません。(国税庁のFAQにもこのことが載っています)

政策金融公庫などの政府系金融機関の場合との違いに注意しましょう。

ということで、今日は政府系金融機関からの利子補給を受けた場合の経理処理の話でした。



新型コロナウイルス感染症の影響等により、雇用維持のために一時的な休業を行った場合に会社が支払った休業手当の一部を助成する雇用調整助成金の特例措置というのが昨年4月から続いていました。この特例措置は4月30日までとなり、5月以降は段階的に縮減されていきます。今日はこの特例措置がどうなるのかをご案内していきたいと思います。

雇用調整助成金の特例措置とは、日額15,000円まで出るとか、計画書の事前提出が不要であるとか、小規模事業者については給与明細や出勤簿などを添付すれば比較的、簡易な手続きで助成金申請ができる措置の助成金でした。その特例措置は4月末までになっています。

では、4月末のすべての休業について終わるのかというところからいきます。これは賃金締切日がポイントになります。

令和2年4月1日から令和3年4月30日までの期間を1日でも含む賃金締切期間(判定基礎期間)となっています。

つまり、賃金締切日が毎月15日の企業の場合、現状の特例措置は4月30日までの休業ではなく、5月15日までの休業が対象となります。

一方、「雇用保険被保険者ではない従業員」を休業させたときに受給可能な「緊急雇用安定助成金」の特例措置の期間は令和2年4月1日から令和3年4月30日までの期間です。

これは厚労省の出しているFAQによると5月からの段階的な縮小の適用について「 判定基礎期間の初日が令和3年5月1日以降の支給申請から適用されます。令和3年4月30日までを1日でも含む判定基礎期間には、上限額 15,000円と中小企業の助成率最大10/10が適用されます。 」とあるので、1日でも4月30日にかかっていれば、緊急雇用安定助成金についても従来の措置が適用されるようです。

さて、次に、5月から6月に段階的に縮小していくというのはどのような措置になるのでしょうか。

5月~6月の特例措置の縮減(中小企業の場合)は以下の通りです。

・日額上限:現状 1日1人あたり15,000円
       → 1日1人あたり13,500円(△1,500円)
・助成率:現状 最大10/10
      → 最大 9/10(△1/10)

ただし、感染が拡大している地域や、特に業況が厳しい企業については特例を設ける予定となっています。

では、その特例というのはどうなっているのでしょうか。

まず、「感染が拡大している地域の特例」というのは、具体的にはまん防対象地域の飲食店等のことをいいます。

感染が拡大している地域」については、厚労省のリーフレットによると、以下の地域です。

【令和3年4月5日~令和3年6月30日(予定の期間を含む(※))】

・宮城県:仙台市

・大阪府:大阪市

・兵庫県:神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市

【令和3年4月12日~令和3年6月30日(予定の期間を含む(※))】

 ・東京都:23区、八王子市、 立川市、武蔵野市、府中市、調布市、町田市

・京都府:京都市

・沖縄県:那覇市、宜野湾市、浦添市、名護市、糸満市、沖縄市、豊見城市、うるま市、南城市

 【令和3年4月20日~令和3年6月30日(予定の期間を含む(※))】

・埼玉県:さいたま市、川口市

・千葉県:市川市、船橋市、松戸市、柏市、浦安市

・神奈川県:横浜市、川崎市、相模原市

 ・愛知県:名古屋市

 【令和3年4月22日~令和3年6月30日(予定の期間を含む(※))】

・兵庫県:明石市、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町

これらの飲食店等が都道府県知事による営業時間の短縮等の要請等に協力し、
5~6月の休業については特例措置の縮減は行われず、
・日額上限:1日1人あたり15,000円
・助成率:最大10/10
と現状の特例と同等の雇用調整助成金を受給できます

また、「特に業況が厳しい企業」の特例というのもあります。

これは、「売上高等が30%以上減少している企業の特例」というものです。

次に「特に業況が厳しい企業」については、対象とされているのは、生産指標(売上高等)が最近3か月の月平均で前(々)年同期比30%以上減少している企業です。 地域や業種は問いません

これに該当する場合、5~6月の休業については、「感染が拡大している地域の特例」と同様に特例措置の縮減は行われず、

・日額上限:1日1人あたり15,000円
・助成率:最大10/10


となります。

5月・6月は上記のようになりますが、7月以降の雇用調整助成金の特例措置はどうなるのでしょうか。

7月以降については、雇用情勢が大きく悪化しない限り、さらに特例措置を縮減していく予定となっています。今のところは、詳細は不明ですが、特例ではない通常の雇用調整助成金は、
・日額上限:1日1人あたり8,370円
・助成率:最大2/3(中小企業の場合)

となっています。最終的にはその水準まで縮減されることが予想されるところです。

ということで、今日は、現在、雇用調整助成金の特例措置がどうなるのかという話でした。