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さて、今日は税制改正でこの4月1日から変わったという話です。

印鑑廃止の話です。

印鑑をなくそうというのは河野行政改革担当大臣が2020年11月13日に記者会見で発表しています。

河野行革相「行政手続きの99%以上で押印を廃止」と発表 – Digital Workstyle College

それを受けて、この4月1日から、税務関係書類については原則、印鑑を捺印する義務を廃止しました。

国税庁のHPでは、HP上に計算している申告書等について、原則、押印欄のない書式を載せています。また、以前に配布されている押印欄のある書類についても、印鑑を捺印しないで提出してもいいことになっています

もちろん、任意で捺印してもかまいませんが、印鑑がないことで提出が受理されないことは原則はないことになります。

逆に、印鑑が必要な書類は何なのかという話になります。

これは、「振替納税」や「ダイレクト納付利用届」になります。

これらは直接、納税にかかわるものなので、金融機関からの求めもあり、引き続き印鑑(銀行印)が必要となります。

そもそも税務書類は電子申告が原則となってきています。電子申告も含め、税務書類の提出を検討してみてはいかがかと思います。



新型コロナウィルスの影響が出て1年以上がたちます。この間にいろいろなことが大きく変わりました。その中の一つといっていいのが、雇用調整助成金です。この雇用調整助成金ですが、いつ収入計上すべきなのかが一つ、問題としてあります。今日はこのテーマについてみていこうと思います。

国税庁は令和3年3月26日に、新型コロナウィルス感染症に影響のある税務上の取り扱いについて、FAQを更新しています。この中で「雇用調整助成金」の経理処理について触れています。

従来の解釈については、以前の私のブログにも書いてありますので参照してみてください。↓

これは従来からの助成金全般についての解釈を書きました。要するに、助成金の収入計上時期は次の二つに分かれるといっています

  • 交付決定された期
  • 経費の補填の目的だったら経費を支出した期

雇用調整助成金については、原則として②と解釈されるというわけです。

さて、その雇用調整助成金の収入計上時期の解釈について、今回のFAQでは、もう少し踏み込んで、次のように書いています。

私は個人事業を営んでおり、新型コロナウイルス感染症等の影響に伴い、この事業に関して国や地方公共団体から助成金等の支給を受けました。この助成金等はいつの年分の収入金額として申告する必要がありますか。  

【基本的な考え方】

所得税の所得金額の計算上、ある収入の収入計上時期については、原則として、その収入すべき権利が確定した日の属する年分となります。
 ご質問の助成金等については、国や地方公共団体により助成金等の支給が決定された日に、収入すべき権利が確定すると考えられますので、原則として、その助成金等の支給決定がされた日の属する年分の収入金額として計上することとなります。

【特定の支出を補填するもの】

ただし、その助成金等が、経費を補填するために法令の規定等に基づき交付されるものであり、あらかじめその交付を受けるために必要な手続(※)をしている場合には、その経費が発生した年分に助成金等の交付決定がされていないとしても、その経費と助成金等の収入が対応するように、その助成金等の収入計上時期はその経費が発生した日の属する年分として取り扱うこととしています。

※ 必要な手続とは、例えば、休業手当について雇用調整助成金を受けるための事前の休業等計画届の提出などが該当しますが、新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置により、事前の休業等計画届の提出は不要とされています。その場合の雇用調整助成金の収入計上時期は、原則として、交付決定日の属する年分となります。
 ただし、事前の休業等計画届の提出が不要の場合であっても、交付申請を行っており、交付を受けることの確実性が認められ、経費が発生した日の属する年分において収入計上しているときには、その処理は認められると考えられます。

このFAQを理解するには、雇用調整助成金には「一般措置」と「特例措置」の二つがある前提があることを知っておく必要があります。要するに、雇用調整助成金が「一般措置」によるものなのか、「特例措置」によるものなのか、どちらによるかで経理処理が変わるといっているわけです。

「特例措置」をみる場合、「一般措置」との比較でみると理解しやすいです。

「一般措置」とは、通常の雇用調整助成金の支給申請の流れでやるものをいいます。

通常、雇用調整助成金は労使協定によって「休業計画」を作成し、休業が始まる前にハローワークにその「休業計画」を提出します。会社側はその事前に提出した「休業計画」に基づいて休業し、休業が終わったら支給申請をするというのが通常の雇用調整助成金の流れです。

今回の雇用調整助成金の「特例措置」は、この事前の「休業計画」の提出が不要とされています。つまり、計画書は提出しないで、実際に休業をしてしまうわけです。そして、休業が終わってから支給申請をするという流れです。

この「特例措置」が取れるのは従業員数が20名以下などの要件に該当する中小企業です。ですから、多くの中小企業ではこの「特例措置」によって雇用調整助成金の支給申請をしているものと思います。

さて、この「一般措置」と「特例措置」で経理処理が違うといっているわけですが、まとめると次のようになります

「一般措置」の雇用調整助成金・・・対象となる人件費の発生している期で収入計上

「特例措置」の雇用調整助成金・・・雇用調整助成金が支給決定した日

「特例措置」の場合、雇用調整助成金の支給決定通知書に書かれている日付の期で収入計上していくことになります。

また、加えてこのFAQでは、但し書きがあります。但し書きには、「対象となる人件費の発生する期」で収入計上しても間違いではないといっています。「特例措置」であっても「一般措置」と同じように人件費の発生した期で収入計上する方法でやってもいいわけです。

通常、「一般措置」の経理処理方法の方が収入計上するのが早くなるはずです。収入計上が早くなるのだから、この方法でもいいと言っているわけです。

雇用調整助成金の経理処理について、「一般措置」と「特例措置」での経理処理方法の違いについて、参考にしていただければ幸いです。



顧問先から「マイナンバーを提出せずに社会保険や雇用保険の手続きができるのか」というようなご質問をいただきました。

結構、いただくことの多いご質問の一つです。そこで、マイナンバーを出さずに社会保険や雇用保険の手続きはできるのか、できるのだったらどのようにしたらいいのかということについて今日は書いていこうと思います。

その前にマイナンバーについて、厚生労働省が出しているリーフレットには次のように記載されています。

◆ 社会保障・税に関する手続書類へのマイナンバーの記載は、法令で定められた 事業主の義務となっており、事業主は、マイナンバー法に基づき、従業員に 対してマイナンバーの提供を求めることができます。
◆ 従業員も、事業主から、法律に基づく正当なマイナンバーの提供の求めがあった場合には、これに応じていただくようお願いいたします。

つまり、社会保険や雇用保険の書類、あるいは源泉徴収票などの税務関係の書類にマイナンバーを記載して各役所に提出するのは事業主の義務であって、従業員側は義務ではないと書かれています。
ということは、従業員側はマイナンバーを提出するのを拒むこともできるということになります。

では、マイナンバーの提出を拒まれたら、事業主側は社会保険や雇用保険の手続きをどう進めたらいいのでしょうか。

まず、社会保険についてです。
社会保険の手続きについて、マイナンバーを記載するとその後、その記載してもらったマイナンバーの情報をもとに年金事務所側では記載されたマイナンバーをもとに基礎年金番号などの情報と紐づけて管理しています。つまり、マイナンバーを軸にして情報管理しているわけです。

ということは、マイナンバーの記載がない場合、住所・氏名・生年月日などの基本情報を確認する必要があります。そのため、マイナンバーの記載がない場合、まずは基礎年金番号の記載は必須となります。そして、住所欄もきちんと記入しないといけません。そのうえで、住民票を添付しないといけません。扶養親族がある場合などでは場合によって、戸籍謄本も添付していただくことがあるようです。

マイナンバーの記載があれば、住所や生年月日などの基本情報をマイナンバーを通じて役所側は把握できるのですが、マイナンバーの記載がないとこれらの情報の確認が必要なためにこうした書類の添付が求められるわけです。
また、マイナンバーの記載がない手続きでは、こうした添付書類を求められるうえに、年金事務所側の確認作業があるため保険証の発行にも時間を要することにもなります。

マイナンバーと基礎年金番号の紐づきがなされていれば、原則、住所の変更などがあってもいちいち届け出しなくてもいいことになっています。そうした利便性の向上も図れるのでできればマイナンバーを記載して届け出をした方がいいです。事業主側としてはそのような説明もしつつ、それでもマイナンバーを出したくないといわれた場合には、基礎年金番号を出していただき、なおかつ住民票の提出していただく必要があるとなります。また場合によっては戸籍謄本も必要となります。

社会保険はこのようになりますが、雇用保険ではどうでしょうか?
厚生労働省の出しているリーフレットに次のような記載があります。

本人からマイナンバーの提供を拒否された場合の取扱いについて 雇用保険手続の届出に当たって個人番号を記載することは、事業主においては法令で定められた義務であることをご理解いただいた上で、従業員に個人番号の提供を求めていただくこととなりますが、仮にマイナンバーの提供を拒否された場合には、その旨を申し出ていただいた上で 受理することとしており、個人番号の記載がないことをもって、ハローワークが雇用保険手続の届出を受理しないということはありません。 なお、電子申請による届出等の場合は各届出等の備考欄(資格喪失届は備考欄がないため、社会保険労務士欄の直下のスペース)に「本人事由によりマイナンバー届出不可」の記載をお願いします。

つまり、マイナンバーの記載なしに届け出をする場合、備考欄に「本人事由によりマイナンバー届出不可」と記載して通常通り、届け出をするということになります。

また、雇用保険の手続きの場合、以前の届け出でマイナンバーを記載して書類を提出したことがあればそれ以降の届け出ではマイナンバーを記載しなくてもいいことになっています。
これも同じく、厚生労働省のリーフレットに次のように記載されています。

個人番号記載欄がある届出等については、届出等の都度、マイナンバーを記載いただくこととしておりますが、当該届出等に係る従業員につい て、既にその他の届出等の際にマイナンバーを届け出ている場合には、各届出等の欄外等に「マイナンバー届出済」と記載いただいた上で、マイナンバーの記載を省略することが可能です(事業所における最初の被保険者関係届出となる雇用保険被保険者資格取得届を除く)。
なお、「マイナンバ-届出済」の記載がなされている場合であっても、実際には届出がなされていない場合は返戻いたしますので、マイナンバーの届出をお願いします。

今日はマイナンバーの提出がない場合の社会保険や雇用保険の手続きを実務上、どう進めたらいいのかを書いていきました。参考にしていただければ幸いです。



今日はちょっと興味があったので調べてみたことを書いていきたいと思います。
主な士業の登録数や男女比などのデータを比較してみてみました。

今日現在、入手できた直近の情報が2019年のデータが多かったので、2019年のデータで比較してみました。各士業の登録数は次のようになっています。

弁護士 41,118人
弁理士 11,336人
税理士 78,028人
司法書士 22,632人
行政書士 47,901人
公認会計士 31,189人
社会保険労務士 42,056人
土地家屋調査士 16,471人

士業の中では登録者数は圧倒的に税理士が多いことがわかります。

登録者数だけを見れば、税理士が約8万人弱、弁護士と社労士が約4万人ですから、税理士の半分くらいの数が弁護士や社労士ということになります。司法書士は弁護士や社労士のさらに半分くらいの2万人といったところです。

さて、このうち税理士ですが、登録者数は多いのですが、登録している年齢を見ていくと実に60歳以上が54%となっています。半分以上が60歳以上なんです。他の士業は例えば弁護士は60歳以上は約23%、司法書士は35%となっていますから、税理士だけ特別に年齢層が高いことがわかります。
これはおそらくですが、税理士の場合税務署に一定期間勤務した場合は、「国税従事者の免除制度」によって税理士試験科目が一部免除される制度があるためと思われます。この制度では、税務署に10~15年間勤務すると税法の試験が免除され、23年以上勤務して指定研修を修了すれば、会計学を含む全科目が免除されると定められています。
税務署に勤務していた方がこの制度を使って定年後に税理士登録するケースが多いのではないかと思われます。


さて、これらの士業の特徴をもう少し見ていきましょう。男女比という視点で見ていきます。

これも特徴的な部分があります。
弁護士は18.8%、税理士は14.9%、司法書士は17.6%、行政書士は14.1%、公認会計士は14.1%という中、

なんと社会保険労務士は30.7%となっています。

これは私の推測ですが、社会保険労務士という資格の性質上、企業の労務管理に携わる資格ですから、女性向きである側面があるのだろうと思います。実際、私も社労士としての仕事をしていてもそのように感じることもあります。
他の資格に比べると女性が登録されるケースが比較的多いというのが社労士の特徴のようです。

それから、資格者の活動している地域というのにも着目すると特徴があります。

弁護士は実に登録者の約48%は東京の弁護士会所属です。公認会計士も同様で、登録者の実に59%が東京です。これは税理士が約30%、行政書士が約14%、社会保険労務士は約25%というのと比較しても非常に高くなっています。

弁護士や公認会計士は東京に集中しているということがわかります。

士業の比較から見えてくることもあるかもしれないと思い、データを少し見てみました。
何かの参考にしていただければ幸いです。



さて、今日は以前のブログでもご紹介した一時支援金についてです。この一時支援金の申請には「登録支援機関」の確認が必要となります。そのことについて書いていこうと思います。

今回の一時支援金の特徴の一つに「登録確認機関」の確認が必要というものがあります。まず申請にあたっては申請者は「仮登録」という作業をします。仮登録をして申請上のIDとパスワードを登録すると、「申請ID」というのが申請者に発行されます。

この次に申請者がやらなければいけないのが、「登録確認機関」による確認です。

一時支援金のHPでは、この「登録確認機関」のことを次のように書かれています。

登録確認機関は、(1)認定経営革新等支援機関、(2)同機関に準ずる個別法に基づき設置された機関、(3)その他個別法に基づく士業関連機関・者であって、一時支援金事務局が募集・登録した機関・者です。

(1)の「認定経営革新等支援機関」というのは、通常は税理士や公認会計士などの会計事務所が登録されているケースが多いです。(2)は商工会議所や金融機関のことを指します。(3)の士業関連機関というのは(1)の経営革新等支援機関以外の税理士・会計士・行政書士などが該当します。

そして、税理士や行政書士、あるいは金融機関などだったらどこでもいいわけではありません。これらのうち、「登録確認機関」として登録した者のみが今回の「登録確認機関」に該当します。ちなみに当社【ヴァンガードマネージメントオフィス】も登録確認機関に登録してあります

どこが「登録確認機関」に該当するのかはウェブ上で検索できますので、確認してみましょう。

一時支援金 (ichijishienkin.go.jp)

さて、この「登録確認機関」での事前の確認ですが、登録確認機関の確認をするのに登録確認機関側で料金が発生するケースと無料で行うケースがあります。国は登録確認機関が事前確認を行った場合、1件につき1000円の報酬を用意してるらしいです。この1件につき1000円の報酬を放棄する登録確認機関は別に独自に決めた報酬を依頼者から請求できるわけです。ただ、無料にしている登録確認機関側の税理士や行政書士などの士業にしても、たった1000円のために初めて会う依頼者からの事前確認に応じてもらえるのか、という問題があるわけです。

おそらく多くの士業の「登録確認機関」はすでに関与している関与先向けのサービスの一環として一時支援金の「登録確認機関」の登録をしたというケースが多いのではないか思います。普段、関与しているところですから事前確認について無料にしても問題ないと考えるところも多いのではないかと思います。

逆に言えば、ふだん関与していないところからの「事前確認」のご依頼は、たとえ国から1件1000円の報酬がでたとしても、その報酬の低さなどから「関与先でないところの事前確認の依頼」はあまり乗り気でないところが多いのではないのかと私は想像します。

国もこうしたことを想定しているのか、一時支援金のHPによると次のような記述があります。

特に登録確認機関が見つかりにくい地域の方を主たる対象として、3月下旬以降、必要に応じて、事務局においても登録確認機関を設置する予定としております。

つまり、事務局自身が登録確認機関を設置することを予定しているようなのです。現在、特定の税理士や行政書士などとかかわりのない方については、事務局が設置する登録確認機関ができてから申請してもよろしいのかと思います。

ということで、今日は一時支援金の「登録確認機関」についての話でした。



本来の確定申告期限の3月15日が過ぎました。私の事務所では当初の確定申告期限の3月15日を締めとして申告手続きを進めていました。大部分の申告はすでに終わりましたが、確定申告の書類をお預かりして特に印象があるのは副業についての扱いです。事業所得に該当するのかどうなのか、それについて今日は書いていこうと思います。

サラリーマンが会社からもらう給与は給与所得です。そのサラリーマンが副業をした場合、申告区分は事業所得にするのか、雑所得なのか、この問題があります。

事業所得と雑所得で税務上はどのような違いがあるのでしょうか。

事業所得にすると、たとえば赤字だった場合、他の所得と通算ができます。たとえば、サラリーマンであれば給与所得があります。事業所得の赤字と給与所得を相殺できます。相殺できるということは、給与所得で生じた所得税を還付することが可能です。

また、事業所得で青色申告だった場合、たとえば、電子申告する形であれば65万円の控除が取れる可能性があります。仮に65万円の控除が取れなくても10万円の控除は取れます。

それが雑所得になるとどうなるのでしょうか。

雑所得はまずは損益通算ができません。つまり、雑所得で計算して赤字だったとしても、他の所得、たとえば給与所得との通算はできません。つまり、事業所得であれば赤字が出れば他の所得と相殺することで給与の源泉所得税の還付が受けられたわけですが、雑所得だとそれができないわけです。

また、青色申告の事業所得にある65万円や10万円の控除は取れません。そもそも、雑所得と給与所得だけなのであれば青色申告自体が選択できません。

このように事業所得であるといろいろなメリットがあります。

そこで問題なのが、事業所得と雑所得というのはどこでどういう形で線引きしているのかということです。

そこで、税務上ではどう判断されているのか、一つ裁判例を引き合いに出してみようと思います。

「原告は、平成23年ないし平成25年において、本件製造等業務による収入を得ておらず、本件鍛冶業務による上記各年の収入も、順に0円、1万4000円、3万5240円にとどまっている一方、原告は、遅くとも平成19年以降は、本件各業務による必要経費が生じたとして、毎年、確定申告において事業所得につき400万円以上の損失を計上している状況にある。しかも、原告は、本件製造等業務については、火縄銃の製造技術を学んではいるが、平成26年8月時点ですら未だ火縄銃を製造する技術を有しておらず、現実に火縄銃の製造及び販売を行ったことがないというのであり、本件鍛冶業務について、今は修行中で技術が未熟であるとして宣伝広告を行っておらず、特定の取引先はなく、作業内容を掲載する自らが開設するブログを通じて依頼があれば受け付けているにとどまり、その収入額も上記のように極めて少額にとどまっている。」

そのうえで

「上記のような事情に照らせば、本件各業務は、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有するものとは到底認められないというべきである。しかも、原告は、平成23年から平成25年までの間、週40時間消防業務に従事して年800万円以上という相当額の安定した収入を得ており、当該収入が原告が確定申告に計上した収入金額のほとんどを占め、本件各業務は、仕事のないときに行っているものにすぎないのであって、これらの事情に照らせば、本件各業務は、事業としての社会的地位が客観的に認められるものであるということもできない。以上によれば、本件各業務に係る所得が、所得税法27条1項に規定する事業所得に当たるということはできない。」

事業所得に該当するかどうかはこのように収入の状況や、現状の事業の状況、所得を得る手段がどうなっているかなど、全般的に判断されます。

この場合には、収入が「順に0円、1万4000円、3万5240円にとどまっている」にもかかわらず、「毎年、確定申告において事業所得につき400万円以上の損失を計上している状況にある」ということが指摘されています。

つまり、事業か雑かの判断がされるのは、収入や経費計上の状況がどうなっているのかを踏まえてまずは判断されているように思います。

「収入が何年も続けて0円で、必要経費部分だけ申告して税額の還付をしている」というようなケースの場合、事業所得ではなく雑所得ではないかと税務署から指摘を受ける可能性があるということです。

副業といっても、「それ単体でどの程度収入が継続的に上がっているのか」、ここがポイントだと思います。

では収入がいくらだったらいいのかというのはケースバイケースでしょうが、0円や収入が上がっていてもかなり少額である状態が続いているとかといった状況があると問題ありとみなされるようです。

事業所得か雑所得かの判断の際に、参考にしていただければと思います。



今日はコロナ対策の持続化給付金第二弾ともいえる「一時支援金」についてのお話をしたいと思います。

この1か月くらいの間、私も非常に多くの顧問先の皆さんからもご質問を受けることの多い項目です。先日、3月1日に詳細が発表されました。

実際の申請は3月8日から5月31日までとなります

そこで、今日はこの「一時支援金」についてみていきましょう。

まず、どういった事業者が対象になるのでしょうか。経済産業省のHPに記載されていることから抜粋していきます。

 緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛により影響を受け、売上が減少した中堅・中小事業者が対象。

要件

緊急事態宣言の再発令に伴い、

①緊急事態宣言発令地域の飲食店と直接・間接の取引があること(農業者・漁業者、飲食料品・割り箸・おしぼりなど飲食業に提供される財・サービスの供給者を想定)

または、

②緊急事態宣言発令地域における不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けたこと

(旅館、土産物屋、観光施設、タクシー事業者等の人流減少の影響を受けた者を想定)

により、本年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年比(or対前々年比)▲50%以上減少していること

となっています。

ここでは二つがポイントとなります。

一つは対象事業者です。①の飲食店関連か②の外出自粛要請関連かという二つです。自身の事業者が①なのか②なのかをまずは選択していきます。

そのうえで、2019年もしくは2020年と比較して2021年の1月~3月のいずれかの売り上げが50%以上減少していることというのが二つ目の要件です。

また、今回の一時支援給付金は2019年、2020年の売り上げと比較するわけですが、この2年分を確定申告していることが要件となっています。

現在受付中の令和2年分もそうですが、令和元年分もまだ確定申告されていない方はまずはこの2年分の確定申告をすることが必要となります。

そして、受給額です。これは 法人は最大60万円個人事業者等は最大30万円を支給となっています。

計算の仕方は、「前年(または前々年)1月から3月の事業収入-(前年(または前々年)同月比▲50%以上の月の事業収入×3)」となっています。

また、今回の「一時支援金」の特徴は、「宣誓・同意書」という書類があることです。

「宣誓・同意書」のひな形を見ますと、単に売り上げが50%以上減少しただけではだめで、「緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛とは関係なく事業収入が減少している時期を対象月としている場合」などは要件を満たさないと書かれています。一番最初の要件のことをここで確認しています。

その他にも、この「宣誓・同意書」に書かれていることをきちんと理解していることがこの給付金を申請できる基本的な要件であるというスタイルになっています。

また、一次取引先の納品書、顧客の居住地を示す宿帳、顧客名簿、入込観光客の統計等の保存を義務付けるとなっています。この取引先を記載した書類というのは様式があり、そこに記載していきます。ただし、取引の相手先が事業者でなく一般の個人である場合には提出は不要となっています。

さらに、こうした今回の給付金の趣旨などがよく理解されているかというのを事前に確認をしてもらう必要があるというのも今回の一時金の特徴です。給付金の申請前に「登録確認機関」から「事業を実施していること」「給付対象その他の給付要件を正しく理解していること」の確認を受ける必要があることになっています。この「登録確認機関」というのは税理士や行政書士、商工会や銀行などの金融機関などのことを言います。登録確認機関になるためには事前にこれらの機関が事務局へ登録しないといけないそうです。(ちなみに私も先週末に登録しました)

この「登録確認機関」の確認というのは、なにやら面倒な感じもしますが、要は顧問税理士などがいればその顧問税理士にこの一時金の話をして申請することの了解をもらえばいいという話のようです。持続化給付金と比べてこの点も今回の一時金の特徴といえると思います。

今回の一時支援金は前回の持続化給付金とは異なり、「登録確認機関」からの確認のほかにも、宣誓書への署名が必要だったり、取引先一覧の提出が必要だったりするなど、少し勝手が違います。

まずは、今回の「一時支援金」は飲食店の時短営業もしくは緊急事態宣言に伴う不要不急の外出自粛要請の影響を受けた事業者であるという前提を忘れずに、要件を確認してみてはいかがでしょうか。特に持続化給付金を受給した事業者の方は、持続化給付金とはいろいろと違うのでその違いに注意しながら申請してみましょう。

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さて、今日はこの4月から義務化される価格表示についての話です。

商品やサービスの価格には4月以降は消費税分を加えたいわゆる「総額表示」義務化されます。

消費税率を5%から8%に引き上げる前の2013年10月に施行された条件付きで税抜き価格での表示を認める特例は2021年3月で失効し、4月1日からは本体価格に消費税分を加えた「総額表示」が義務づけられます。


「総額表示」とは、たとえば、現在「税抜き価格+税」という形式で表示している場合、4月からは税込みの価格を示す必要があります。この総額表示の義務化は値札や陳列棚だけでなく、折り込みチラシやホームページも対象になります。

もし対応していないのでしたら4月1日に向けて早急に対応が必要となります。

では、具体的にどのような表示が「総額表示」とされるのでしょうか。

総額表示として認められるものとしては具体的には以下のような価格表示の仕方です。

11,000円(税込)

11,000円(うち消費税1,000円)

11,000円(税抜き価格10,000円)

10,000円(税込み価格11,000円)

11,000円(税抜き価格10,000円、消費税1,000円)

一方で、認められない価格表示はどういったものでしょうか。

10,000円(税抜)

10,000円(本体価格)

10,000円+税

また、総額表示が求められていないものもあります。次のようなものです。

・取引に際して相手方に交付する請求書、領収書等

・専ら他の事業者に対する客観的に見て事業のようにしか供されないような商品の販売またはサービスの提供

・そもそも価格を表示していない場合

・希望小売価格

・値引き販売の際に行われる「〇割引」「〇円引き」

この総額表示の義務化は、消費者にとっては実際に支払う価格が一目で分かるようにするための措置です。価格表示が広く一般を対象に行っているものについては、全般的に再度、確認をしてみましょう。



今日は確定申告の話です。今年は特に、コロナ関係の医療費控除の話があると思います。いくつかみていきましょう。

まず、マスクの購入費用は医療費控除の対象になるのでしょうか

これについては、国税庁の公表しているFAQに出ています。

私は、新型コロナウイルス感染症を予防するために、マスクを購入しましたが、この購入費用は、確定申告において医療費控除の対象となりますか。

「医療費控除の対象となる医療費は、

 ① 医師等による診療や治療のために支払った費用

 ② 治療や療養に必要な医薬品の購入費用

などとされています

ご質問のマスクについては、病気の感染予防を目的に着用するものであり、その購入費用はこれら①②のいずれの費用にも該当しないため、医療費控除の対象となりません

ということで、マスク購入費は医療費控除の対象にはなりません。

国税庁のFAQには書いていませんが、例えばアルコール消毒液なども対象外となってきます。感染予防であるためです。「治療」なのか「予防」なのかで考えれば判断できると思います。

次にPCR検査費用はどうでしょうか。

これも国税庁のFAQに載っていますので見ていきましょう。

私は、先日、新型コロナウイルス感染症のPCR検査を受けましたが、この検査費用は確定申告において医療費控除の対象となりますか。

「医療費控除の対象となる医療費は、

 ① 医師等による診療や治療のために支払った費用

 ② 治療や療養に必要な医薬品の購入費用

などとされています

【①:医師等の判断によりPCR検査を受けた場合】

新型コロナウイルス感染症にかかっている疑いのある方に対して行うPCR検査など、医師等の判断により受けたPCR検査の検査費用は、上記の費用に該当するため、 医療費控除の対象となります。

ただし、医療費控除の対象となる金額は、自己負担部分に限りますので、公費負担より行われる部分の金額については、医療費控除の対象とはなりません。

【②:上記①以外の場合(自己の判断によりPCR検査を受けた場合)】

単に感染していないことを明らかにする目的で受けるPCR検査など、自己の判断により受けたPCR検査の検査費用は、上記のいずれの費用にも該当しないため、医療費控除の対象となりません。

ただし、PCR検査の結果、「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行った場合には、その検査は、治療に先立って行われる診察と同様に考えることができますので、 その場合の検査費用については、医療費控除の対象となります

PCR検査費用の考え方は健康診断費用の考え方と同じです

まず、医師の判断による検査は医療行為の一環なのでPCR検査費用は医療費控除の対象です。当たり前ですが、PCR検査費用が公費によって賄われているのであればそもそも自己負担がないので医療費控除の対象にはなりません。

一方で、医師の判断とは関係なく行ったPCR検査は原則、対象外ですが、検査の結果、陽性でその後、治療することになったらPCR検査費用も医療費控除の対象になります。

つまり、PCR検査の結果、陰性だった場合には、そのかかった費用は医療費控除の対象にはならないということになります。

この特に後段の方のPCR検査費用の考え方は健康診断費用と同じです。

健康診断費用も原則は対象外ですが、検査の結果、異状が見つかって治療を行った場合には健康診断費用も医療費控除の対象になります。基本的にはこの考え方をそのまま踏襲しているわけです。

また、国税庁のFAQにはオンライン診療に係る部分も書かれています。

オンライン診療にかかった費用は医療費控除の対象になります。ただし、医薬品の配送料は対象外となりますので注意が必要です。

ということで、今日はコロナ関連の医療費控除として国税庁のFAQに紹介されているものをみてみました。

介護事業所経営者の経営ハンドブック


さて、今日は最近の行政手続きの話です。印鑑が不要になっているという話です。

河野行政改革担当大臣が行政手続きに必要とされる印鑑を廃止すると発表したことは大きく報道されたのでご存じの方も多いと思います。

「認め印」すべて廃止しオンライン化へ 河野規制改革相 | NHKニュース

実際、行政上の手続きがどうなったかというと、かなりの部分で印鑑が必要なくなっています。

税務関係でいえば、ほとんどの書類で印鑑が必要ないことになっています。「施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めないこととする。」(国税庁HPより)とあることから、たとえば、確定申告書も用紙上では印鑑の欄はあるのですが、印鑑を押してなくても問題はないこととされています。

また、社会保険関係の書類や助成金の書類などは最新の用紙のフォーマット自体が変更されており、そこには印鑑を押す場所自体がなくなってきています。書類の書式自体を変更して印鑑の捺印が必要ないようにしているわけです。各種助成金の書類もほとんどが印鑑が必要なくなっています。助成金関係の書類は2020年12月の日付で更新になっているものが多いようで、最新書式だと印鑑の欄がありません。ある助成金の書類を作っていたところ、2021年2月更新という書類もありました。いずれにしても、社会保険の届け出や助成金などではかなりの部分で印鑑を不要にしています。

こうなってくると、逆に印鑑が必要な書類は何かという感じで考えた方がいいのかもしれません。

税務関係でいうと国税庁のHPには以下のように記載されています。

提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、次に掲げる税務関係書類を除き、押印を要しないこととするほか、所要の措置を講ずる。

(1) 担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類

(2) 相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類

また、社会保険の届け出の関係では、印鑑ではなく、書類の添付が省略されることになったものがあります。以下は日本年金機構のHPからの抜粋です。

下記の表の項番1~4に該当する場合に、届出の事実関係を確認する書類として添付を求めていた「賃金台帳の写し及び出勤簿の写し」(被保険者が法人の役員である場合は、取締役会の議事録等)の確認書類について、今後は、事業所調査実施時に確認を行わせていただくため、届出時の添付が不要となりました。

<確認書類の添付が不要となる対象届書及びケース>

項番 届書名称 添付を求めていたケース
1 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 厚生年金保険70歳以上被用者該当届 資格取得年月日が、届書の受付年月日から60日以上遡る場合
2 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届 厚生年金保険70歳以上被用者不該当届 資格喪失年月日が、届書の受付年月日から60日以上遡る場合
3 健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届 厚生年金保険70歳以上被用者月額変更届 改定年月の初日(1日)が、届書の受付年月日から60日以上遡る場合
4 健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届 厚生年金保険70歳以上被用者月額変更届 改定後の標準報酬月額が、従前の標準報酬月額から5等級以上引き下がる場合

※上記の届書の該当ケース以外は、引き続き届出時の確認書類の添付が必要となります。

それから、こうした印鑑不要や書類の添付の省略化という動きは主には国のかかわる部分の書類です。東京都の助成金などは書類の変更はなく、印鑑の捺印があったころの国以上に印鑑の捺印を求めていたりしています。国以外の届け出は各自治体の動きを確認する必要があるでしょう。

助成金の書類などは私も実際に書類を作成していって印鑑が不要になったことを知ったというのが実際です。どの書類が印鑑が不要になったのか、書類の添付が不要になったのか、というのは、自分で判断せず、逐一、HPなどで確認した方がいいでしょう

印鑑や書類の添付が省略されるのは手続きする際には大変助かる話だと思いますが、印鑑や書類の添付が不要になったからこそより慎重に手続きをする必要があると思います。

ということで、今日は最近の行政手続きの簡略化という話でした。

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