12月決算、確定申告、コロナウィルス・・・
いろいろと重なってなかなかブログが更新できませんでした。今日は久しぶりの更新です。
今日のテーマは新型コロナウィルスに対する中小企業対策の話です。
この1週間くらいの間に相次いで政府が対策を発表しています。
現状で分かっている範囲で、中小企業対策として出ているものをまとめましたので参考にしていただければ幸いです。
中小企業の経営者の観点からこの新型コロナウィルスに対する中小企業対策をみると大きく三つあります。いろいろなものが出ているのでわかりづらいかもしれませんが、三つと分類すると理解がしやすくなるのではないかと思います。
これはネットのニュースやテレビなどの報道でも大きく報じられているのでご存じの方も多いでしょう。今回の新型コロナウィルスの関係で、大勢の人が確定申告期限の税務署という狭い空間に集まってしまい感染が広がることを防ぐという観点から、申告期限が3月16日(今年は3月15日が日曜日のため、もともと期限が3月16日になっていました)をちょうど1か月延期して、4月16日になっています(4月15日ではないです)。
対象の税目は、「所得税」「消費税」「贈与税」です。
もともと個人事業者の消費税の申告期限は3月31日ですから、消費税に関しては1か月ではなく16日延期されることになります。
また、申告の方がクローズアップされているので見落としがちですが、申告に伴って納付の方も延期になります。
ここで問題なのは振替納税がどうなるのかです。振替納税(口座から引き落としになる方法)での所得税の支払いの場合、いつ口座引き落としになるのかが現状(3月5日時点)では発表されていません。納付書で納付する場合には、申告期限の4月16日でいいのですが、振替納税の場合、いつ引き落としになるのか、この点は国税庁の発表を待つ必要があります。
それから、対象税目が「所得税」「贈与税」「消費税」となっています。法人の申告は延期にはなりません。すでに終わっていますが、12月決算法人の申告・納付、1月決算法人の申告・納付は従来通りです。
新型コロナウィルスに対する中小企業対策として私がある意味、最も注目しているのはこの融資の関係です。
新型コロナウィルスの影響で売り上げの減少が現に発生していたり、見込まれる場合、金融機関の制度融資が創設されています。
「制度融資が創設」と書きましたが、実際には従来ある制度の要件を緩くしたものです。大きくは次の二つです。
①日本政策金融公庫のセーフティネット貸付
従来からあるわけですが、通常の要件は前年同月比の3カ月平均で売り上げが5%以上減少していることというのが主な要件にありました。この5%売り上げが減少するという要件がなくなり、今回のコロナウィルスの関係で売り上げの減少が認められる場合にも対象となることになりました。
このセーフティネット貸付は、現在、日本政策金融公庫での融資を受けていてもそれとは別枠でされている融資制度なので、利用がしやすいといえます。
ちなみに、金利は中小事業の場合、1.11%(2月3日現在の金利です。経済産業省の資料によります)ということです。
②信用保証協会融資の4号融資・5号融資
これも従来からあるもので、公庫のセーフティネット貸付に似ています。従来の要件としては、前年同月の3カ月平均の売り上げが5%以上減少するというのが主な要件です。これを3カ月平均ではなく、前年同月の1ヶ月だけでいいとなっています。
実際に売上の減少がある場合には、②の保証協会の制度も検討に値しますし、来月以降、売上の減少が見込まれるような場合には政策金融公庫のセーフティネット貸付を検討してもいいでしょう。
融資に関しては、資金が底をついてからでは遅すぎます。早め早めに対応をするのが鉄則です。その意味で、現状で、例えば、介護施設などでデイサービスの利用控えが発生している場合や治療院などでも患者さんが減少している場合など、新型コロナウィルスの影響がすでに売り上げに出ている(あるいは影響が出る見込み)場合には、先手を打ってこれらの制度融資の活用を考えてもいいと思います。
今回の件で、実際にコロナウィルスに感染したり、感染にまでは至らなくても休ませたりした場合に使える可能性があるのが雇用調整助成金です。
会社の命令で社員を休ませた場合、欠勤なので給与から控除するわけですが、会社が命令して休ませる場合、その分、給与を保障しないといけません。控除した金額の6割を休業補償として支払わなければいけないというルールがあります。これを休業補償といいます。この休業補償を支払った場合、その支払った金額の範囲で雇用調整助成金という助成金が出ます。この助成金は従来からあるものですが、今回はこの要件が緩和されています。本来はこの助成金を使う場合、先にまず計画書を出さないと対象にならないのですが、今回のコロナウィルスが原因で休業命令をした場合、計画書は5/31までにあとから出せばいいことになっています。
また、本来は前年同月の3か月で比較して売り上げが10%以上減少している場合に対象になるものですが、1ヶ月で比較していいことになっています。
休ませるのはコロナウィルスの感染でなくても単に発熱して休ませる場合にも対象になります。もしこうした社員がいて、売上が前年同月と比べて下がっている場合、使える可能性があります。
助成金の金額は休業補償で支払った額の3分の2(労働者1名あたり1日8,330円が上限)とされています。
ただ、この助成金は対象となるのは雇用保険に加入している方です。雇用保険に加入していない非正規雇用の方(パートなど)は対象となりません。この点が現在、問題となっている点で、政府はこうした方も対象となるような助成金制度を創設するといってはいますが、現状では雇用保険未加入者の方たちをフォローする制度はないようです。
以上が中小企業向けの新型コロナウィルスに対する中小企業対策です。
振替納税がいつになるのか、非正規雇用の方が休んだ場合の雇用調整助成金に代わる助成金制度はどういうものなのか、などまだ不透明な部分があります。
わかった範囲でまたこのブログでもお伝えできればと思います。