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Category Archives: 税務関連

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さて、今日は法人なりしたり、個人でやっていた事業をやめることにしたりして、個人事業を廃止した場合の事業税の取り扱いの話をしたいと思います。

税理士であっても意外とこの論点が抜け落ちてしまう点ですので、この機会にこのようなものがあることを知っておいていただきたいと思います。

具体的にこのケースが発生するのが多いと思われるのが個人事業を法人にした場合です。法人なりした場合にはこの処理が発生する可能性があると理解しておいたほうがいいでしょう。

その前に、個人事業にかかる個人事業税について説明したいと思います。

個人事業税というのは個人事業をやっていた場合にかかる税金です。具体的には収入から経費を引いた金額が290万円超だと個人事業税がかかります

たとえば、令和元年の確定申告書は令和2年2月16日から3月15日までに提出します。その申告書をもとに個人事業税の計算を都税事務所や県税事務所で計算して8月と11月の年2回にわたって納付することになります。

つまり、個人事業税の計算をわざわざするのではなく、都道府県の県税事務所で計算して一方的に納付書を送ってくるので、納税者側は送られてきた納付書に従って個人事業税を納付するという流れなわけです。

また、個人事業税は納付したときに「租税公課」という勘定科目で経費計上します。つまり、令和元年の確定申告で確定した個人事業税は令和2年の8月と11月に納付することになるわけで、前の年の分を翌年に納付する税金なわけです。この辺は住民税と同じです。

さて、そうすると、たとえば、令和元年中に法人なりして個人事業を廃止していた場合、どうなるのでしょうか。実際の納付は令和2年の8月と11月になります。支払った令和2年はすでに個人事業は廃止していますから、支払った事業税は経費に計上できないという問題があるわけです。

このような問題があることを見越して、所得税は個人事業を廃止した年の所得に課税される事業税は廃止年に見積もり計上していいことになっています。(所得税基本通達37-7)

この見積もり計算で経費計上していい個人事業税ですが、次のような算式によって計算することになっています。

(A±B)×R/(1+R)

A・・・事業税の課税見込額を控除する前の当該年分の当該事業に係る所得の金額

B・・・事業税の課税標準の計算上Aの金額に加算し又は減算する金額

R・・・事業税の税率

上記の算式のうち、Bというのは個人事業税にある290万円の控除のことを言っています。

この290万円の控除は事業廃止までの月数で按分するということです。たとえば、6月で個人事業を廃止した場合、290万円を6/12して、145万円が控除額ということです。

具体例で考えましょう。6月末で個人事業を廃止して、7月から法人に組織変更したとしましょう。1月から6月までが所得が500万円だったとすると、500万円-145万円=355万円となります。個人事業税は事業の種類によって税率が異なりますが、税率が5%だったとして算式にあてはめると以下のようになります。

355万円×5%÷(1+5%)=169,000円(百円未満切り捨て)

この169,000円は個人事業を廃止した年の必要経費にできるというわけです。

さて、これを仮にご存じでなく、確定申告をしてしまったらどうなるのでしょうか?令和2年の8月と11月に支払う個人事業税はどこにも経費にできずに終わってしまうということでしょうか?

仮に、この個人事業税の取り扱いのことを知らないもしくは必要経費に入れるのを忘れてしまって、必要経費にあげていなかったとしても大丈夫です!「更正の請求」という方法でさかのぼって経費に計上できます。「更正の請求」をすることで、個人事業税に相当する所得税や住民税の還付を受けることができますからご安心ください。

なお、この「更正の請求」は確定申告期限から5年間です。今だと、平成26年分から平成30年分であれば「更正の請求」が可能です。

また、個人事業の廃止というのはなにも法人なりだけではないです。個人事業主の死亡の場合もあり得る話です。平成26年から平成30年の間に死亡して準確定申告を行った場合に、申告した後に個人事業税を支払っていてそれを経費計上していないようなときも「更正の請求」によって所得税や住民税を取り戻せます。

個人事業を廃止したときの個人事業税の経理処理というのは、実は、税理士も見落としやすい論点です。このブログで参考にしていただければ幸いです。



今日は節税対策の一つとして利用されることがある「短期前払費用」の話です。

「短期前払費用」とは、契約に基づいて、支払った日から1年以内のサービスなどの役務の提供を受けるものの費用のことを言います。

わかりやすい例としては、たとえば、年契約の火災保険料などが該当します。

1年ごとに契約して1年分の火災保険料の支払いをする場合、支払ったときに全額、経費として計上していいというものです。

国税庁のHPには「短期前払費用」について、次のような説明があります。

法人が、前払費用の額で、その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、前払費用となる場合にかかわらず、その支払時点で損金の額に算入することが認められます。
 ただし、借入金を預金、有価証券などに運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、たとえ1年以内の短期前払費用であっても、支払時点で損金の額に算入することは認められませんので注意してください。(法基通2-2-14)

広告宣伝費や雑誌の定期購読、家賃の支払いなど、短期前払費用となるものはいわゆる「サービスの提供」にかかるもので、一定額のものに該当するものです。また、サービスの提供の仕方も時の経過に伴って費用化されるような定型のサービスです。「等質等量のサービスがその契約期間中継続的に提供されること」とされています。

そして、もう一つは「契約によって支払方法が1年以内となっているもの」に限ります。

こうしたものに該当しなければ、仮に1年分を一度に支払っていたとしても支払ったものはいったんは「前払費用」として計上し、その後、期間の経過に応じて月ごとに費用に振り替えていく処理することになります。

具体例で考えてみましょう。

〇保険期間が2年の火災保険料を支払った場合

保険期間が2年のものなので、「前払費用」として処理することになります。2年の火災保険料の場合、保険期間に応じて費用に振り替える処理をしていきます。

たとえば、12月決算法人で、12月に保険期間が2020年1月から2021年12月の2年間の火災保険料を24万円を一括支払いした場合、どうなるのでしょうか?

この場合は保険期間が1年以内であることに当てはまっていないため、短期前払費用に該当しません。経理処理としては保険期間に応じて費用処理することになるため、12月決算で12月に支払った火災保険料は24万円全額、「前払費用」となります。

ちなみに、この24万円の「前払費用」は、2020年1月から12月で12万円、2021年1月から12月で12万円、という形で期間に応じて経費計上していくことになります。

〇契約によらずに1年分の家賃を支払った場合

「契約による」のが短期前払費用として経費計上できる原則なので、契約によらなければ支払った金額は「前払費用」として処理していきます。

たとえば、12月決算法人で、契約上は1か月10万円の家賃の支払いは翌月分を前月末に支払う(1月分はその前月12月末に支払う)ことになっていたとします。この場合に2020年1月から12月の家賃分の合計120万円を12月に支払ったらどのような処理になるのでしょうか。

この場合には、契約上は年払いになっておらず、月払いになっているため、1月分の家賃(12月末支払い分)のみが経費計上できることになります。それ以外の2月から12月分の家賃は支払っていても「前払費用」として処理することになり、翌期(2020年12月期)の経費として計上することになります。

セーフティ共済の保険料1年分を支払った場合

月払いで支払っていたセーフティ共済の保険料を1年分支払った場合には、支払ったときに1年分の保険料を経費計上することができます。

たとえば、12月決算法人で、以前からセーフティ共済の保険料を月額10万円かけていたとします。その場合に、2020年1月から12月分の保険料、合計120万円を12月に支払ったとしたらどうなるのでしょうか?

これは、支払時の12月に120万円を経費計上することができます。その場合、2020年1月から12月は保険料が発生しませんが、2020年12月に次の年の分の保険料を支払えば次の期の保険料として経費計上できます。この場合には、2020年12月に120万円を支払えば120万円が経費計上できます。

セーフティ共済の場合、年払いか月払いかを選択します。2年目以降は年払いの手続きをしなければ自動的に月払いに移行します。契約でそうなっており、契約に即した経費計上となるため年払いの経費計上が認められているのです。

短期前払費用が経費として認められる場合をまとめると、以下の4つに要約されます。

  • サービスの提供であること
  • 提供するサービスが月ごとに定型のものであること
  • 契約に基づいた支払であること
  • すでに支払っていること

さて、では、このようなケースでは短期前払費用は認められるでしょうか?

「5年間契約で某ビルの屋上に広告用看板を掲示することとした。その際、掲示料と して600万円の手形(1通の額面10万円で60通)を支払った。この手形は掲示期間中の毎月末を決済日とした。当期末で翌期首後1年を超える期間に対応する分だけ前払費用として計上し、残りは当期の費用とするつもりであるが、税務上問題はないか。」

この例のように1年分以上の金額を支払った場合に1年以内の期間を経費計上することは認められていません。あくまで1年以内の期間分を支払った場合に支払った金額の全額を短期前払費用として経費計上していいというものです。この例の場合には、支払った金額全額が「前払費用」となり、期間に応じて費用化していくことになります。

また、裁判となった事例で、短期前払費用として処理している金額が多額すぎるとして認められなかった例もあります。

この例では、5000万円全額を短期前払費用として処理した結果、所得金額を1791万7019円、納付すべき税額を593万8200円となりました。裁判所は次のように判断して、納税者側の短期前払費用の処理を認めませんでした。

「原告の会計処理を認めた場合に原告が平成7年事業年度の法人税として納付すべき金額と更正処分の結果、同法人税として納付すべきこととされる金額との差額は1904万2500円にもなり、課税上さしたる弊害がないというには多額すぎる。

また、通達が規定する短期の前払費用の処理は、企業会計上の重要性の原則に基づくものであって、同通達の適用を受ける前払費用に当たるか否かについては、それが重要性に乏しい支出か否かによって判断されるべきであるが、原告の財務内容に照らし、また、傭船料は浚渫業者にとって重要度の高い原価であることから考えても、本件傭船料の支出は重要性の乏しいものとはいえない。」(長崎地裁・平成12年1月25日判決)

短期前払費用はこうした様々な点を考慮に入れながら経費計上できるかどうかを判断していく必要があります。私も顧問先にこの短期前払費用の話をすると、簡単に短期前払費用の処理をしたいという話をされることがあるのですが、そう簡単にできるものでもないわけです。

短期前払費用で処理することに問題がないか、しっかり検討する必要があるということは知っておいていい点だと思います。 以上、短期前払費用の話でした



10月の消費税率の引き上げに伴い、キャッシュレス決済のポイント還元が始まりました。

○○ペイやカードの決済などのキャッシュレスの方法で、ポイント還元されるものです。

さて、そうしたポイント還元があった場合、経理処理はどうしたらいいのでしょうか?

ポイント還元には4種類あります。

  • ポイントを付与する・・・使っているカードなどにポイントを付与する
  • 即時充当する・・・商品などを購入したときに購入額にポイントをすぐに充当して差し引く
  • 引き落とし時に相殺する・・・カードなどの利用額が口座から引き落とされるときにポイント額を控除する
  • 口座に充当する・・・1か月以内の期間ごとに口座にポイント相当額を付与し、その後に決済したときにポイント相当額を充当する

特に問題となるのは②のケースです。②のケースでは、キャッシュレスの決済をするたびに実際支払額のポイント還元分が会計時に支払額から引かれます。例を使ってみていきましょう。

消耗品      1,000円

消費税     100円

ポイント還元 ▲50円

支払額    1,050円

さて、この場合の経理処理はどうするのでしょうか?

上記のような場合、理解の仕方として購入額はあくまでも1,100円だということです。ですから、以下のような仕訳になります。(ちなみに税込み経理処理が前提です。)

(消耗品費)/(現金) 1,100

(現金)/(雑収入)     50

即時充当の場合、会計時に即時に充当されるため、上記のような仕訳になります。

「現金」は相殺されますから、現金を相殺すると以下のような仕訳になります。

(消耗品費)/(諸口)  1,100

(諸口)/(雑収入)   50

(諸口)/(現金)  1,050

もう一つ、別の具体例でみてみましょう。

上記の例は、10%対象のものでしたが、軽減税率対象のものと10%対象のものが混在していたらどうなるでしょうか?

消耗品    500円

飲み物    300円※

合計     800円

10%対象消費税    50円

8%対象消費税     24円

ポイント還元 ▲40円

支払額     834円

※軽減税率対象

さて、上記のように、10%と軽減税率の対象が混在していた場合ですが、これは10%対象と軽減税率対象とを一つ一つ別々に処理していくことになります。ちなみに、飲み物の購入は「福利厚生費」として処理したとします。また、処理は税込み経理処理が前提です。

(消耗品費)/(現金) 550

(福利厚生費)/(現金) 324※

(現金)/(雑収入)  40

 ※軽減税率対象

上記の現金を相殺すると、以下のようになります。

(消耗品費)/(諸口)  550

(福利厚生費)/(諸口) 324 ※

(諸口)/(雑収入)   40

(諸口)/(現金)    834

 ※軽減税率対象

ポイント還元以外はポイント還元がなかったとして処理し、ポイント還元分は「雑収入」とするということです。

さて、これとの違いとして、お店独自にポイント分を値引きした場合、どうなるのかも考えてみましょう。

消耗品     500円

ポイント値引き ▲25円

消費税      47円

支払額    478円

上記は以下のように仕訳します。

(消耗品費)/ (現金) 478

違いがお判りでしょうか?お店独自のポイント還元は、ポイントを値引きとしてみていることです。つまり、ポイントを引いた後の金額で処理するわけです。

税法的に言うと次のように表現できます。

キャッシュレスポイント還元・・・ポイント還元の控除前の金額を課税仕入れにする

お店独自のポイント値引き・・・ポイント控除後の実際支払額を課税仕入れとする

キャッシュレスのポイント還元は、別の言い方をすれば、経理処理上は値引きではないということで、ここに経理処理の特徴があるわけです。

また、キャッシュレスのポイント還元の形態のうち、③引き落とし時に相殺するや④口座に充当する の場合も、支払時に減額された金額を「雑収入」として処理することになります。

上記のキャッシュレスのポイント還元の仕方は、国税庁が公表している「即時充当によるキャッシュレス・消費者還元にかかる消費税の仕入れ税額控除の考え方」によっています。

参考にしていただければ幸いです。



今日は、税務のちょっと変わった話?をしていこうと思います。

ロータリークラブの会費が経費になるのかという話です。

その前にロータリークラブって何か、ご存じでしょうか。

ロータリークラブというのは地域の慈善事業などを行う団体で、様々な慈善事業への参加を通じで会員同士の親睦を図ったりするものです。多くは会社経営者だったり、地主といったような地域の名士の集まりといったものです。

これに近いものにライオンズクラブというのがあります。会の趣旨などはほとんど同じです。ライオンズクラブのほうが加入条件が緩やかであったりするようです。

このようなロータリークラブやライオンズクラブの会費は個人と法人で経費になるのかどうなのかの取り扱いが違うのはご存じでしょうか。

ロータリークラブの会費が経費になるかどうかというのは、実は、国税不服審判所という国税に関する国と納税者の裁判所のようなところで何度か裁決がされています。そのほとんどが、個人の場合には必要経費にならないと裁決されています。(平成26年3月6日裁決、平成28年7月19日裁決など)

なぜ経費にならないかというと、ロータリークラブの会の目的が関係しているようです。

平成26年3月6日の裁決は、司法書士がロータリークラブの会費を経費として計上していたのが認められなかった裁決ですが、このように書かれています。

本件クラブの綱領は、有益な事業の基礎として奉仕の理想を鼓吹し、これを育成することとしており、本件クラブは、当該綱領に基づき奉仕活動を行うことが目的であるところ、当該奉仕活動は、請求人が司法書士として行う事業には該当しない。

この裁決では、商工会議所の会費と比較して論じられています。商工会議所の会費が経費になるのは、事業との関連性があるからであって、ロータリークラブの会費はその会の目的からして事業との関連性が認められないというものです。

また、別の裁決例(平成28年7月19日裁決)では、ロータリークラブの会費は「顧客獲得のための積極的な営業・広報活動等」とまではいえず、その営業効果は「間接的、副次的に生ずる効果に過ぎない」として経費計上を認めていません。

上記の裁決例は個人事業の場合の話です。面白いのは同じロータリークラブの会費でも法人の場合には経費計上を認めています。法人税法基本通達の9-7-15の2 という部分にそれが書かれています。

法人がロータリークラブ又はライオンズクラブに対する入会金又は会費等を負担した場合には、次による

(1) 入会金又は経常会費として負担した金額については、その支出をした日の属する事業年度の交際費とする。

(2) (1)以外に負担した金額については、その支出の目的に応じて寄附金又は交際費とする。ただし、会員たる特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められる場合には、当該負担した金額に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。

なぜ、個人と法人が取り扱いが違うことになるのか、釈然としない部分はありますが、個人は必要経費不算入、法人は交際費で損金算入、というのが通説的な解釈です。

さてここからは私見も含めての話になります。

ロータリークラブの会費が必要経費になるのかならないのかというのは、実務的に言えば税務調査で指摘されるかされないかによってくるものと思います。

税務調査官の目に触れて、このロータリークラブの会費の取り扱いを知っている調査官だったら個人の場合には否認される可能性があります。法人の場合には、諸会費等の交際費ではない勘定科目で処理されていたら交際費として処理するように言われる(その結果、損金不算入になる部分が出てくる可能性がある)というところだろうと思います。

たとえば、個人であっても、ロータリークラブの会員から仕事を依頼されたとかという具体例があったとき、担当する調査官が「それでもロータリークラブの会費は必要経費にはならないんです」と言い切れるのかどうかは何とも言えません。

税務調査の立ち合いをしたことのある社長さんや経理担当者ならわかると思いますが、実際の税務調査では調査官とのやり取りで決まってきます。その中でロータリークラブの会費が事業と密接に関係していると訴えたとき、調査官がどういうとらえ方をするのかによって来るのではないかと思います。

この論点に関しては、裁決例は個人に厳しい裁決例ですが、法人が交際費で損金算入なのに対して、個人は経費にできないというのは、私自身も釈然としない部分があります。

ただ、間違っていただきたくないのは、私は個人であってもロータリークラブの会費を経費にしてもいいと言っているわけではありません。裁決例は個人には不利な判断はされていますが、経費に計上していても、実務上、税務調査で否認されないこともあり得るということを知っておいていただければという話です。上記のことをわかっているうえでどう処理するのかは事業主の皆さんにお任せするという感じです。

ちなみにロータリークラブのほかにライオンズクラブというのもあります。これも同じです。また、地域によっては40歳までの加入を条件とする「JC」という組織もあります。このJCの会費も同様の取り扱いだろうと思います。

参考になさってみてください。



今年は実に台風の多い年です。台風15号のあと台風19号が来て、風水害の災害が多く発生しました。被害に遭わないまでも、非難を余儀なくされた方も随分、いらっしゃいます。

今年は同時期にラグビーのワールドカップがありました。中止になってしまう試合もあった中で、台風19号の影響で釜石で開催予定だったカナダとナミビアの試合が中止になりました。それを受けて、カナダの選手は釜石でボランティア活動をかって出たようです。日本代表の選手も富津市にボランティアに行ったということです。

それにしても、ますますラグビーの選手というのは国を問わずにこうした姿勢の人が多いのには感心させられます。ますますラグビーに対しての好感度が上がるような話です。

さて、災害の多い今年ですが、災害に遭った場合は税金の申告や納付期限が延長されることをご存知でしょうか。

延長される場合には2種類あります。

一つは地域が指定されるケースです。

これは国税庁が申告や納付が延期される地域を指定します。指定された地域にある法人やその地域に住んでいる人の確定申告は延期されます災害等の理由がやんでから2か月以内に延期されます。実際、東日本大震災は3月11日に災害がありました。確定申告の期限が3月15日と迫っていましたので、この地域を指定した申告期限の延期が適用されました。このときは、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の5県については、平成23年3月11日以降に到来する国税に関する申告・納付等の期限の延長をしたのです。

指定された地域以外でも災害にあった場合には同様に申告期限を延長することができます。

この場合には「災害による申告、納付等の期限延長申請書」という書類を税務署に提出する必要があります。

これは、仮に当初の申告期限が過ぎていたとしても大丈夫です。あとからでも提出すればいいのです。この期限を経過していてもあとからでも出せば認められるというのはこの制度の特徴的なことです。 この延長申請書を出すと、災害等の理由がやんだ日から2か月以内に申告すればいいことになっています。 今回の台風の被害の場合には、原則的には、この個別に延期する制度を使うことになります。

この届け出の際には、罹災証明書の写しなどの添付を求められることもありますから、税務署に相談しながらやったほうがいいとは思います。

また、対象になる税目は、法人税や所得税の他、消費税や源泉所得税も対象になります。 源泉所得税は毎月納付だったりすると、災害があった後、納付の手続きができないということは想定できます。その場合にも、災害がやんでから早めに「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を出したほうがいいでしょう。

それから、この災害に遭ったというのは対象になるのは関与している会計事務所側が災害に遭った場合にも適用されます。

国税庁のHPには次のように記載されています。

地域指定以外の地域に納税地がある法人が、災害により期限までに法人税、消費税及び地方消費税の申告をすることができない場合とは、

例えば次のような場合をいいます。  

本社事務所が損害を受け、帳簿書類等の全部又は一部が滅失する等、直接的な被害を受けたことにより申告等を行うことが困難な場合

交通手段・通信手段の遮断や停電(計画停電を含む)などのライフラインの遮断により申告等を行うことが困難な場合

会計処理を行っていた事業所が被災し、帳簿書類の滅失や会計データが破損したことから、決算が確定しないため、申告等を行うことが困難な場合

工場、支店等が被災し、合理的な損害見積額の計算を行うのに相当期間を要し、決算が確定しないため、申告等を行うことが困難な場合

連結納税の適用を受けている場合において、連結子法人が被災し、連結所得の計算に必要な会計データの破損があったことなどから、申告等を行うことが困難な場合

災害の影響により、株主総会が開催できず、決算が確定しないため、申告等を行うことが困難な場合

このような場合のほか、税理士が、 ・交通手段・通信手段の遮断や停電(計画停電を含む)などのライフラインの遮断 ・納税者から預かった帳簿書類の滅失又は申告書作成に必要なデータの破損等 の理由で、関与先法人の申告等を行うことが困難な場合

にも、個別指定の申請をすることができます。

また、このような災害による申告期限の延長の場合、通常は課される延滞税や加算税が課されることはありません

延長になった期限内に申告すれば、通常の期限内での申告と同じ扱いとなるためです。

それから、これは税金の申告・納付の話ですが、助成金の申請や社会保険・労働保険の申告納付には原則的にはこうした災害による延長というのはありません。「やむを得ない事由」がある場合には認められる場合もあるかもしれませんが、原則的には助成金や社会保険・労働保険には期限延長はないものだと思っておいた方がいいでしょう。

今回の台風や地震といった自然災害に限らず、火事といった災害にも適用できます。 私の顧問先にも申告期限近くに火事にあってしまい、申告期限を延期した会社がありました。

自然災害や火事などにあったらまずは災害と向き合うことですが、それが済んだら今度は申告期限のこともあるということを頭の片隅にでもおいておいていただければと思います。



早いもので、もう年末調整の時期となってきました。 この時期になると最も質問が多いのがパートの方がいくらまでだったら働いたらいいのかという質問です。税制も変わったこともあり、少し変わっていますからこの機会に把握しておきましょう。

大きくは「税金」の話と「社会保険」の話があります。

まず、「税金」の方の壁から行きましょう。 103万円というのは、以前はパートの方が税法上の扶養になるにはこの103万円というのが基準でした。今はこの配偶者控除(正しくは配偶者特別控除として上限)の基準は103万円から150万円になっています。具体的には103万円を超えて150万円までは配偶者控除ではなく、配偶者特別控除で上限の38万円が取れる範囲です。103万円というのはご自身に所得税の負担が出てくる基準になります。生命保険料控除など、他の所得控除が何もないのであれば、103万円を超えたところから所得税がかかります。 そして、150万円というのは配偶者(通常は夫であるケースが多いと思います)の側が配偶者特別控除の上限額の38万円をギリギリとれる基準です。150万円から201万円までは配偶者特別控除が取れますが、控除額が150万超から201万になるまで段階的に減っていくことになります。

実はその前に、住民税がかかる基準が100万円というのがあります。

ということは、税金上の壁というのは、次の順に税金がかかってくることになります。

100万円・・・本人側に住民税がかかる

103万円・・・本人側に所得税がかかる

150万円・・・配偶者側の配偶者特別控除の上限額が取れる

201万円・・・配偶者側の配偶者特別控除もゼロになる

次に、社会保険の壁です。

社会保険の壁というのは、社会保険の扶養になるかどうかという基準の話です。これには二つあります。106万円と130万円です

106万円というのは、配偶者が大きな会社にお勤めの場合の社会保険の扶養の基準です。

正社員が501人以上の会社など一定の要件の会社にお勤めの場合、扶養に入る基準は年収が106万円未満である必要があります。106万円というのを12で割ると月額約88,000円です。月収88,000円を超えると社会保険の扶養から外れないといけなくなるわけです。これが106万円の壁です。

一方で、配偶者がお勤めの会社が大企業でない場合、社会保険の扶養に入る基準は年収130万円になります。

年収130万円ということは月収に直すと、だいたい108,000円です。この中に収まっていれば扶養でいられます。 ちなみに、月収で直したときに、106万の場合には88,000円、130万の場合には108,000円という方ですが、ある月はこれを超えていて、ある月はこれを超えていないというケースもあるでしょう。その場合には、年収で見て106万や130万を超えていないかどうかで判断することになります。

また、社会保険の扶養から外れた場合には、ご自身で国民健康保険や国民年金に入ることになります。これらの負担を考えると、こうした基準を少しオーバーしたくらいだと社会保険の扶養から外れるのは負担が大きくなるということはあり得る話です。 国民健康保険や国民年金に入るのではなく、パートとして働いている会社の社会保険に加入するというのも選択肢になります。この場合には常勤の4分の3以上の勤務時間に達しているかどうかが問題になります。勤務時間が常勤者の4分の3に満たないようだと、ご自身で国民健康保険や国民年金に入ることになるわけです。 パートとして働いている会社の社会保険に入れば、厚生年金にもなるので将来の年金額が増えることもありますし、病気や怪我で働けなくなった場合、傷病手当金を受給することもできます。

会社と話をして社会保険の適用になる程度まで時間数を増やしていくということも選択肢になります。 100万、103万、106万、130万、150万、201万と壁にはそれぞれ基準があります。とても多くの基準があり、それぞれの意味が異なります。数が多くて把握しきれないようでしたら、まずは税金と社会保険にわけてこのブログを見ながらどのようにしたらいいのか、検討してみてください。



令和2年度の税制改正で気になる話題が出ているようです。 退職金の税制が見直される可能性があるということです。

退職金は税金が少なくなるような計算がされます。 収入金額から一定の退職所得控除額を控除して、その上その引いた金額を2分の1するという計算をします。しかも、退職所得控除額は、勤続20年以下だと勤続年数に40万円を掛けた金額が控除額になります。(最低でも80万円は控除されます)

勤続年数が20年を超えると、20年の場合の控除額の800万円(40万円×20年)に70万円×(勤続年数―20年)で求めることができます。算式で示すと次のようになります。

(1)退職金の収入金額(源泉徴収される前の金額)

(2)退職所得控除額

 ① 勤続年数が20年以下・・・40万円×勤続年数  

② 勤続年数が20年超・・・800万円+70万円×(勤続年数―20年)

(3){(1)―(2)}×1/2

もともと退職金というのは、退職後の老後の生活のための資金であることが多いことから、税制上の優遇措置を設けたというのがその趣旨です。見直しの話が出てきている背景には、近年、働き方が多様化し、一つの会社に勤務し続けるという働き方が少なくなってきていることが挙げられます。必ずしも、定年まで一つの会社に勤務し続けるという働き方がスタンダードではなくなってきたわけです。そもそも老後の生活設計以前に辞めてしまうのに税制上の優遇措置を設ける必要があるのかというところだと思います。 また、そもそも退職金のない会社もあったりします。退職金のない会社で勤務した場合には、退職金がある会社で勤務している者との差ができてしまうという問題もあるでしょう。 様々な働き方がある中で、勤続年数の違いや退職金の有無によって有利・不利が出てきてしまうような税制は見直したほうがいいというのが背景にあるわけです。

実は、退職金の課税方法が優遇されているのを見直そうという話自体は以前からありました。今回、これが自民党の税制調査会で、具体的にこの退職金課税の見直しに言及する意見があったようです。自民党の税制調査会での意見があって税制改正に反映されるという過去の流れからしても、令和2年の税制改正に挙がってくる可能性があるわけです。

具体的に見直しの対象になるのは、おそらく勤続年数が20年超の場合に退職所得控除額が増える点と、2分の1課税になる点ではないかと思われます。

退職金の税制上の優遇措置があることに目を付けて、時間をかけて節税対策の退職金目的の生命保険をやっていたりする中小企業も多いと思います。どのようになるのかは、現時点ではわかりませんが、退職金の税制が見直される可能性があるということは中小企業の経営者の皆さんも知っておいてもいい点だと思います。



今日はこの10月から導入された軽減税率制度で、有料老人ホームの軽減税率について書いていこうと思います。

まず、有料老人ホームでの食事の提供は軽減税率の対象になります。 このことは以前に本ブログでも取り上げました。↴

 

以前のブログでも書いたように、「1食640円、1日1,920円(1食640円×3食)」以下の部分の食事の提供が軽減税率の8%になります。問題は有料老人ホームでの食事の提供を業者に依頼していた場合、どのように計算すれば軽減税率の対象になるのか、という点です。

この点は以前のブログで書いた国税庁のQ&Aからは明らかでなかったのですが、業務委託費がある場合の軽減税率の取り扱いについて、国税庁は納税者に対しての回答文書という形で回答しています。

この老人ホームにおいては、入居契約書で「食材費が1日3食800円(1日3食とも食べない【欠食】場合に限り食材費はなし)で、食材費は800円×喫食日数としている場合で、なおかつ、業務委託費が食材費とは別に、欠食の有無にかかわらず、月額31,000円としている」という例が出ています 上記の場合、たとえば、1か月の日数が31日の月の場合、1日当たりの食費は次のように計算していいのかというのが質問の要点です。

800円+31,000円÷31日=1,800円 1日1,800円ということは、1日1,920円以下になるため、業務委託費部分も含めた全額を軽減税率の対象としていいのかというのが質問の要点です。

結論としては、このケースのように、合理的に算定できている限り業務委託費部分も含め、軽減税率の対象としていいとしています

ちなみに、1か月30日の場合には、「800円+31,000円÷30日=1,833円」なので1,920円以下となり、1か月28日の場合でも、「800円+31,000円÷28日=1,907円」で1,920円以下となり、いずれにしても軽減税率の適用で問題ないことになります。 有料老人ホームでの業務委託費がある場合の食費の取り扱い国税庁からの文書回答なので問題ないと考えていいです。

なお、この金額は税抜きの金額です。1食640円は税抜き価格ですから、税込価格だと、640円×1.08=691円となります。(1日は税抜きで1,920円なので、税込は1日当たり1,920円×1.08=2,073円となります)

参考にしてみてください。



前回のブログでやった「不納付加算税」というのは源泉所得税特有の加算税です。それ以外の加算税が3つあります。修正申告した場合の加算税です。

○過少申告加算税

過少申告加算税というのは、いったん期限内申告をしてその申告書に修正があって修正申告した場合です。原則は10%ですが、一定の場合には15%になります。一定の場合というのは「期限内申告の税額」と「50万円」のいずれか多いほうの金額を超える場合を言います。この超える部分の金額は15%になります。 たとえば、期限内申告で納めた税金が100万円だったとします。 期限内申告の税額100万円と50万円を比べて100万円の方が大きいですから、修正申告の税額が100万円を超えたら超える部分が15%の加算税となります。修正申告で納付した税額が150万円だったとすると、100万円を超えた50万円が15%の加算税となるわけです。 この場合、100万円の部分は10%で、50万円の部分は15%になるため、過少申告加算税は325,000円となります。 ただし、この過少申告加算税には軽減されて5%になる場合があります。税務調査などがなくて自主的に修正申告を出す場合です。通常、修正申告をするのは税務調査があって税務署に指摘されてやることが多いです。過少申告加算税の税率が10%(もしくは15%)となるのは税務調査を受けて修正申告した場合です。なんらかの理由で、申告した内容が間違えていることに自分で気づいて修正申告した場合には過少申告加算税は5%に軽減されます。 前回の源泉所得税の納付をうっかり忘れてしまった場合の救済措置があったのと同じで、うっかりミスで気づいて自主的に修正申告した場合には過少申告加算税の税率も少なくなっているわけです。 修正申告をすると発生する加算税が「過少申告加算税」というのはご理解いただけましたでしょうか。

○無申告加算税

「無申告加算税」というのは名前のとおりです。期限までに申告がなかった場合に課される加算税です。無申告加算税には通常、2種類あります。一つは、期限までに申告しなかった場合です。もう一つは、その期限までに申告しなかった申告内容に誤りがあって修正申告する場合です。期限後申告の修正申告ということです。 この無申告加算税の税率は、原則は15%です。ただし、これも過少申告加算税と同じで、一定の場合には加算税の税率が増えて20%になります。一定の場合というのは「期限後申告の税額」と「50万円」のいずれか多いほうの金額を超える部分の金額は20%になります。 これも、過少申告加算税と同様に、期限後申告と言っても1か月以内に申告された場合には、加算税の税率が軽減されます。期限後と言っても様々な事情があり、なんらかのやむを得ない理由で期限後になってしまったとか、申告書は出来ていたのにうっかり出すのを忘れていたとか、そうした様々な事情があります。1か月以内に申告したのであれば、無申告加算税も15%ではなく、10%(一定の場合には15%)に軽減する措置があります。 また、過去5年間に無申告加算税や重加算税が課されたことがある場合に「無申告加算税」がまた課された場合、これは悪質とみて、加算税が通常の割合に10%加算されます。無申告加算税というのは申告期限後に申告したということなわけで、事情がどうであれ、期限後に申告するということを5年以内にすでにやっているのであれば同情の余地はないということなわけです。 いずれにしても、期限後申告の場合(もしくは期限後申告の修正申告の場合)の加算税が「無申告加算税」です。

○ 重加算税

重加算税というのは、「仮装・隠ぺいがあった場合」とされています。悪意があって税額をごまかしたり、申告していなかったりした場合です。この場合には、上記の「過少申告加算税」や「無申告加算税」に代えて「重加算税」が課されます。重加算税の税率は、二つあります。「過少申告加算税」や源泉所得税の納付が遅れた場合の「不納付加算税」に代えて課される場合には35%です。「無申告加算税」に代えて課される場合には40%です。 たとえば、申告期限後の申告になって、それが悪質であると判断されると、40%となるので、期限後申告で納めた税額が100万円だったとすると、40万円を追加で納付することになります。実際には、申告期限から納付された日までの期間の延滞税も納付するので、140万円では済みません。

また、重加算税というのは、税務署側が課する最高級の加算税です。重加算税の対象になったということは、言ってみれば「ブラックリスト」入りなわけです。通常、3年以内に再度、税務調査があるとされています。 重加算税の対象となるというのは単に税金が多く発生するだけの話ではないのです。そのため、重加算税の対象となる場合の要件というのは実は細かく規定されています。「仮装・隠ぺい」の事実を具体的に書かれているわけです。これは、納税者側に負担を強いる話だから「こういうことに該当したら重加算税の対象だよ」ということを先に税務署側が明確に示しているわけです。 全部、ここであげるのは難しいので、一部だけご紹介します。法人税の場合の重加算税の例としては以下のようなものがあります。

(1) いわゆる二重帳簿を作成していること。

(2) 次に掲げる事実(以下「帳簿書類の隠匿、虚偽記載等」という。)があること。  帳簿、原始記録、証ひょう書類、貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳明細書、棚卸表その他決算に関係のある書類(以下「帳簿書類」という。)を、破棄又は隠匿していること。  帳簿書類の改ざん(偽造及び変造を含む。以下同じ。)、帳簿書類への虚偽記載、相手方との通謀による虚偽の証ひょう書類の作成、帳簿書類の意図的な集計違算その他の方法により仮装の経理を行っていること。  帳簿書類の作成又は帳簿書類への記録をせず、売上げその他の収入(営業外の収入を含む。)の脱ろう又は棚卸資産の除外をしていること。

(3) 特定の損金算入又は税額控除の要件とされる証明書その他の書類を改ざんし、又は虚偽の申請に基づき当該書類の交付を受けていること。

(4) 簿外資産(確定した決算の基礎となった帳簿の資産勘定に計上されていない資産をいう。)に係る利息収入、賃貸料収入等の果実を計上していないこと。

(5) 簿外資金(確定した決算の基礎となった帳簿に計上していない収入金又は当該帳簿に費用を過大若しくは架空に計上することにより当該帳簿から除外した資金をいう。)をもって役員賞与その他の費用を支出していること。

(6) 同族会社であるにもかかわらず、その判定の基礎となる株主等の所有株式等を架空の者又は単なる名義人に分割する等により非同族会社としていること。

帳簿の改ざん、売上の計上をしていない、簿外資産がある・・・ いかにも悪そうなことだとお分かりだと思います。 今回、話題になっているチュートリアルの徳井さんの場合、申告していない期間がかなりあったとか、仮に申告していても申告期限までに申告していない(報道によると一度も期限内申告したことがないということですが)など、重加算税に該当する事実があったようです。 重加算税はかなり重い罰則なんだと理解していただければと思います。

修正申告したり、期限後申告だったりするとこうした加算税が課されるわけですが、これ以外に延滞税もかかります。それを考えると、税法に則って期限までにきちんとした内容で税務申告をすることは重要であるということを認識していただけたらと思います。

参考までに以前に書いた本ブログの「延滞税」の記事は以下です↴

以上、今日は3つの加算税の話でした。



さて、今日は「修正申告」に伴う「加算税」という話です。前回、チュートリアルの徳井さんの修正申告の話を書きました。実は、修正申告するというのは差額の税額を納付しなければいけないだけではないのです。修正申告に伴って「加算税」という税金が発生してきます。その話をしていきたいと思います。

「加算税」には大きくわけて三種類と一種類あります。合計4種類ですが、三種類と一種類と分けたほうが理解しやすいと思います。 三種類というのは、「過少申告加算税」「無申告加算税」「重加算税」です。これらは、申告に伴って発生する加算税です。 一方で、一種類というのは「不納付加算税」です。これは源泉所得税の支払が期限までに納付できなかった場合の加算税です。

源泉所得税というのは他の税金と違って、申告して納付するものではありません。税務署側からすると納付して初めて税額がわかるものです。つまり、納付してもらうまで税額が分からない税金なわけです。納付期限までに納付できずに、期限後に納付した場合、源泉所得税の場合には、その金額の10%を追加して納付することになります。この「不納付加算税」ですが、実は免除される場合があります。次の要件に該当した場合です。

1. 納期限から1ヵ月以内に納付している

2. 納期限の属する月の前月末日から過去1年間は、税務署に指摘されることなく、すべて期限内に納付している

うっかり納付するのを忘れることはあるはずです。そうした場合には「不納付加算税」は取らないというようにしているのです。 また、税務調査等で指摘を受けてから納付した場合、原則通り10%の不納付加算税が課されますが、税務署に指摘される前に自主的に納付した場合には不納付加算税が5%に減免されます。 そして、計算した不納付加算税の金額が5,000円未満の場合には納付が免除されます。 なお、5,000円未満かどうかは「所得の種類ごと」かつ「納期限の異なるごと」に判定されます。 「所得の種類ごと」というのは、「給与」に対する源泉所得税と「報酬」に対する源泉所得税がある場合、「給与」と「報酬」の合計で不納付加算税の金額が5,000円を超えていたとしても、給与分の不納付加算税と報酬分の不納付加算税がそれぞれ5,000円未満であれば、どちらも免除されるということです。

ということで、次回は、「不納付加算税」以外の加算税についてみていきましょう。


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