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現在の朝ドラは「舞い上がれ」です。空へのあこがれからパイロットを目指し航空学校を卒業した主人公が、父が急死したとことで、父が経営していたネジ工場を向上を引き継いだ母とともに立て直すという展開になっています。この中で、ねじ工場を投資家の兄に売却し資金を得てその資金で会社の立て直しを図るという話が登場してきます。これはいわゆる「セールアンドリースバック取引」と呼ばれるものです。今日はその概要を見ていきたいと思います。

 

いわゆる「セールアンドリースバック取引」とは何なのでしょうか?

簡単に言えば、今持っている土地や建物などの不動産は、見た目には手放さないまま売却(もしくはリース)している形にして資金を得て、貸主には毎月返済していくという取引のことを言います。つまり、見た目は不動産を今まで通りに使っていても問題はないのに、資金は得ることができるという非常に便利な取引なわけです。

 

これに似たものとして「リバースモーゲージ」というのがあります。「リバースモゲージ」は「セールアンドリースバック」との違いに注目すれば何なのかが理解できます。

大きく違う点は「資産の売却をしているかどうか」です。資産自体は売却する(所有権は手放す)のが「セールアンドリースバック」であるのに対して、「リバースモゲージ」は資産の売却はせず、資産を担保にしてお金を借りるという点です。お金を借りるというのが「リバースモゲージ」の特徴であるため、そのことから資金使途は事業資金などに制限されます。一方で「セールアンドリースバック」取引は資金使途に制限はありません。

 

さて、今日はこのセールアンドリースバックはどのように経理処理されるのかという話をしたいと思います。

 

「セールアンドリースバック」というのは名前からしても「リース取引」の一形態です。資産はいったん売却するという取引と、それとは別にお金を借りるという取引と、二つの取引を同時に行うものになります。二つの取引を別々に処理していけば、それほど難しくはないと理解できるはずです。

 

問題なのはこの「セールアンドリースバック」は取引形態によって主に二つの会計処理に分かれるということです。実は会計基準と税務処理とで微妙に考え方が違うのですが、少し税務寄りにここでは解説していきます。今日はごく簡単にこの概要を以下で説明したいと思います。

 

まず、リース取引には主に「ファイナンスリース」と「オペレーティングリース」の二つがあります。「ファイナンスリース」に該当するかは主に次の二つです。

①途中解約不能

②フルペイアウト

 

上記のうち①はいいと思います。リース契約の途中での解約はできない取引です。②のフルペイアウトというのは、たとえば固定資産税など、その物件にかかる経費負担をしているかどうかです。固定資産税を払っているのであればリースといっても実質的に所有権は残っているものだと判断されるわけで、それを「フルペイアウト」と呼びます

この①と②の要件を満たしていれば「ファイナンスリース」で、どちらか片方(もしくは両方)満たしていないのであれば、「オペレーティングリース」になります。

 

では、次にファイナンスリースとオペレーティングリースで取引がどう違うのか、簿記の仕訳で見ていきたいと思います。簿記がよくわからない方はここはざっと見ていただければ結構です。

 

ファイナンスリースの場合

<売却損の場合>

(預金)40000  (建物)50000

(売却損)10000

(長期前払費用)10000 (売却損)10000

<売却益の場合>

(預金)60000  (建物)50000

         (売却益)10000

〇オペレーティングリースの場合

<売却損の場合>

(預金)40000  (建物)50000

(売却損)10000

<売却益の場合)

(預金)60000  (建物)50000

         (売却益)10000

 

税務と会計が一致していないのですが、一応、ここでは税務上の考え方で処理していくこととします。

売却の場合に損が出たときは一度に経費計上はできません。リース期間で案分して費用に計上していくことになります。一方で、売却益が出た場合には、税務上は一括で収入に計上することになります。(会計の考え方だと、一度に収入に計上するわけでなく、いったん「長期前受収益」にしてリース期間に応じて収入計上することになります)

また、オペレーティングリースでは、売却時の差額は売却損か売却益かどちらかで処理することになります。

 

さて、上記は売却時ですが、次はそのあとはどうなるかです。

〇ファイナンスリースの場合

(リース資産)40000  (リース債務)40000

毎月の返済時

(リース債務)800  (預金)1000

(支払利息)200

〇オペレーティングリースの場合

毎月の返済時

(リース料)1000  (預金)1000

 

ということで、ごく簡単にしましたが、ご理解できましたでしょうか。

 

それから、消費税のことも少しふれておきます。消費税については売買取引と判定され場合には、売却価額が課税売上になります。一方で、金融取引とみなされた場合には、売却額は借入金と同じとみなされ、消費税は発生しないことになります。

売買取引か金融取引かについては、当事者間の関係やリース資産の内容等から総合的に判断されます(これは法人税基本通達12の5-2-1に載っている話となります)。

また、ファイナンスリースの場合には返済する際には、リース債務の返済や支払利息であるため消費税は関係しないのですが、ファイナンスリースの場合には支払額全体がリース料となるため、消費税は仕入れ税額控除できることになります。

 

ファイナンスリースなのか、オペレーティングリースなのかによって、会計処理や消費税の処理の仕方がガラッと変わります。これをお読みいただいているのが中小企業経営者の皆さんやその経理担当者だとしたら上記のような処理をするのだとざっくりとまずは理解しておいていただければと思います。

 

さて、朝ドラ「舞い上がれ」に出てくる工場をお兄ちゃんに売却するという話ですが、話の概要からすると、おそらくですが、セールアンドリースバック取引のうち、ファイナンスリース取引なのではないかと思います。お兄ちゃんが社長であるお母さんに「1度でも返済が滞ったらすぐに売りに出すからな」という趣旨の発言をしていることから、たぶん所有権自体はお兄ちゃんにわたっているのではないかと思われるからです。

ただ、このお兄ちゃんが将来的に社長になってこのねじ工場を継いだとすると社長個人に返済するという話になるわけです。その場合、例えば会社の状況が好転したら会社の資金でお兄ちゃんへの借入をいったん返済するというのもアリなのではないかと思ったりするわけです。お兄ちゃんがお父さんの遺志を継ぎ、ねじ工場を引き継ぐなんて話はどうなんでしょうか。

「舞い上がれ」は今後どのように展開していくのか見ものですが、このセールアンドリースバック取引をした工場はどうするのかも注目していくと面白いかもしれません。

 

以上、今日は朝ドラ「舞い上がれ」から見る「セールアンドリースバック取引」のお話でした。



今日はかなり久しぶりにブログを更新します。

その前に新年あけましておめでとうございます。

今年はあまり間隔を開けずに、ブログで新しい税務・会計から助成金、社会保険をはじめとした経営に関する耳よりの情報を届けていきたいと思います。

さて、今日は電子帳簿保存の話をしていきたいと思います。

 

税理士など会計に携わる方たちはよく「電帳法」と略します。電子取引の情報の電子データ保存に関する法律の話です。

 

要するに、領収書や請求書、会計帳簿などを電子保存するルールを定めた法律なのですが、実務上、この電子保存がどうしてもかかわってくるのが「電子取引」です。

電子取引とは、領収書や請求書といった取引を示す書類がクラウドサービスやメールなどの電子データでやり取りされるものです。

 

たとえば、Amazonを利用する場合などが一般的です。

Amazonで買い物すると、だいたいクラウド上で請求書や領収書が発行されると思います。それが「電子取引」です。この電子取引に該当した場合、フォルダ等にデータをアップロードして保存する必要があるというわけです。

 

データは、たとえば、ハードディスク、CD、DVD、磁気テープ、クラウド(ストレージ)サービス等に記録・保存する必要があります。この場合、そのデータに一定のタイムスタンプが付与するか、タイムスタンプを付与するか、一定の事務処理規程に基づく適切なデータ管理が求められます。また、対象となるデータは、原則、検索可能な状態での保存が求められます

タイムスタンプというのはここでは詳しくは説明しませんが、「時刻がわかるスタンプをデータに付与するだけでは、改ざんできる可能性があり、データに信頼性があるとはいえません。そこで、タイムスタンプは、時刻認証局を通じた第三者による時刻の付与、ハッシュ値の利用によって、データの信頼性を確保しています。」と一般的には言われています。

タイムスタンプを使わない場合には、一定の規則性をもったデータ保存の仕方で保存する必要があります。

 

「電子取引」がある場合にはこうしたことに対応していく必要があります

これが、令和4年1月1日から始まっています。1月1日以降の電子取引について対応が迫られるわけです。

ところが、令和4年の税制改正でこの施行日の1月1日というのが2年間、猶予されることになったわけです。ただし、無条件で猶予されるわけではなく、「やむを得ない事情」が必要ということになっています。この「やむを得ない事情」というのがどういうものなのかが国税庁から詳細が発表されています。たとえば「社内のワークフロー整備が間に合わなかった」「今後、保存に係る死システムを整備する意向は有している(現時点では未整備)」といった理由であればいいそうです。つまり、電子取引を保存するつもりではいるが、現状では対応しきれていないということを口頭でいえればそれでいいようです。

ただ、整備する予定がないということだと「やむを得ない事情」に該当しないということになってしまうようです。実際には税務調査でこの点を確認されるということのようなので、税務調査時に電子取引の保存に対応していない場合、「今は未対応ですが、これから対応します」という趣旨のことを言えばそれでいいということのようです。

 

この宥恕措置は2年間の予定です。その間に電子取引の保存方法をしっかり考えておくようにしましょう。

 

ということで、今日は久しぶりのブログ更新で電子取引の保存措置が延長されるという話でした。



さて、今日から何回かに分けてインボイス制度の話をしていこうと思います。

税理士の間では、消費税法施行以来の大改革とかなり前から大きな話題になっていますが、巷ではインボイスといってもピンとこない方が多いようです。今日はその概要だけ説明したいと思います。

 

会計ソフトを手掛ける弥生会計が調査したところによると、全国の個人事業者や従業員数30人以下の小規模事業者に「インボイス制度のことを知っているか」を調査したところ、全体の約8割の方がインボイス制度について「全く知らない、聞いたことがない」と答えたそうです。

我々税理士からすると、これだけの大改正についてほとんどの事業者が知らないとは・・・と愕然とするアンケート結果です。

 

ニュースを見てもコロナ、総裁選など、今目の前にあるようなテーマが多く、インボイスや来年から導入される領収書や請求書の電子保存の話など、差し当たって影響がない話はあまり報道されないように思います。インボイス制度にしても電子保存の話にしても会計や税務処理にかかわる大きな話題なのですが、こうした報道の状況もあり、事業者の間ではほとんど知らないというところが実態のようです。

このブログでは、まずはインボイス制度の話を書いていこうと思います。その次に電子保存の話を書いていきます。よく知らないという事業者の皆さんはこのブログを通して参考にしていただければと思います。

 

さて、今日はインボイスの話の概略です。

 

インボイス制度とはなんでしょうか?

大きくは二つあります。

一つは、事業を営んでいる中小企業や個人事業者は、税務署に登録申請をしてもらった「登録番号」を領収書や請求書に記載しないといけなくなるということです。

この登録申請が実は、令和3年10月1日から始まっているわけです。あまり報道されないのですが、この10月1日から始まっているんです。

 

そして、この登録番号の書かれた領収書や請求書のことを「インボイス」(適格請求書等)と呼ぶわけです。

 

では、このインボイスを発行するのはどういう意味があるのかということです。

消費税というのは売り上げなどで預かった消費税からいろいろな経費等の支払いの際に支払う消費税の差額を事業者が納付するという基本的な仕組みがあります。この支払った消費税のことを「仕入税額控除」と呼びます。この仕入税額控除ができるのが、インボイスが書かれた領収書や請求書をもらっている場合に限ることにするというのがインボイス制度の概要です。

 

この「インボイス」(適格請求書等)は次のような項目の記載がされていないといけません。

  • インボイスの発行事業者の名前
  • 登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 消費税率・消費税額
  • 相手方の名前

 

このうち②の登録番号は税務署に届け出をして番号をもらいます。登録番号は頭にTがついてそのあとは13桁の数字が続きます。法人の場合には、Tのあとはすでにある法人番号が入ります。個人の場合にはTの後の番号は新たに税務署から付与されます。

この登録が税務署に届け出しないともらえないわけです。

 

ポイントの二つ目は、インボイスの登録は課税事業者でないと登録できません。逆に言えば、インボイスの登録をするということは自動的に課税事業者となります

 

最近、ネットの記事でもよく見られますが、たとえばウーバーイーツの配達員や個人タクシーの運転手など、現状、消費税の免税事業者になっている個人は売り上げの相手方が会社などの事業者が多い場合、インボイスの登録をして課税事業者になることを選択しないといけない人も出てくるのではないかということがあります。たとえば、副業でやっている個人事業者は売り上げの相手先が個人ではなく、事業者の場合、その事業者が仕入税額控除できなくなることからインボイスの登録を迫られることが想定されます。

 

このように現状で、年間の売上が1000万円未満で免税事業者である人が、取引先との関係でインボイスの登録をしないといけなくなる場合、今まで納付していなかった消費税を納付しないといけなくなるわけです。

これが二つ目のポイントです。

 

インボイスの登録は令和3年10月1日から始まりましたが、実際のインボイスの導入は令和5年10月1日からとなります。まだ実際の導入までは2年くらいは時間がありますからその間にいろいろと準備していく必要があるわけです。

 

ということで、今日はまずはインボイス制度の概要についての話でした。



さて、今日は11月まで延長が決まった雇用調整助成金の特例措置の話です。

 

雇用調整助成金の特例とは何か、11月まで延長されたというのは何のことか、というのは以前の私のブログを参考にしてみてください。

雇用調整助成金は11月まで延期、月次支援金はどうなる?

 

今日は経理処理の話です。

 

雇用調整助成金の経理処理は二つあります。

以前の私のブログにも書いてあります。

 

雇用調整助成金はいつ収入に計上すべきなの?

上記の内容は根拠も示していて少し長くて読みづらいとお感じになるかたもいらっしゃると思います。結論だけ簡単に書きますと、次のようになります。

 

雇用調整助成金の原則を使っている場合(計画書を提出して休業する取り扱いをしている場合)・・・入金がなくても休業手当を支給した年度で収入計上

 

雇用調整助成金の特例措置を使っている場合(事前に休業の計画書を出したりしていない場合)・・・支給決定があった年度で収入計上

 

雇用保険の助成金については原則はこの特例措置のように「支給決定があった年度」で収入にあげます。雇用調整助成金の原則的な場合のように事前に計画書を出すような助成金は例外的に費用と収入を同じ年度に対応させるといっているわけです。

 

この収入と費用を対応させる取り扱いについては、法基通2-1-42というところに書いてあって、税理士の先生でも勘違いされている方が多くいらっしゃるように聞いています。

今回、多くの会社で使っている雇用調整助成金の特例措置は、決定があった年でいいという点、今一度、確認しておきましょう。

 

以上、今日は雇用調整助成金の収入計上時期の話でした。



コロナ禍にあって、日本政策金融公庫から昨年、融資を受けた事業者の方も多いと思います。

日本政策金融公庫から受けた融資がコロナ禍にあっての特別な融資だった場合、「新型コロナウィルス感染症特別利子補給制度」というのが使えることがあります。今日はこの制度についての話です。

この「新型コロナウィルス感染症特別利子補給制度」、通称、「特別利子補給制度」というのは、日本政策金融公庫や商工中金などの政府系金融機関からコロナ禍の貸し付けを受けた場合、最大で3年間、利子相当額を一度に受け取ることができるものです。

この制度は、コロナ禍にあって、政府系金融機関から借り入れをした場合、小規模の個人事業主は無条件に受けられるもので、小規模の法人事業主は、確認する最近1か月に加え、その後の2か月も含めた3か月間のうちのいずれか1か月で⽐較(前年⼜は前々年と同期⽐較)売り上げが15%以上減少している場合や、小規模事業者でない中小事業主の場合、売り上げが20%以上減少している場合に受けられるものです。(以前の私のブログを参考になさってください↓)

この特別貸付制度に該当すると、対象期間分の利子が一括で振り込まれます

問題なのはこの経理処理です。

入金があったときに一括で収入計上すればいいのでしょうか。

収入はいつ計上すべきなのか。法人税や所得税では、「収益計上時期」の原則というのがあります。原則として収入は、「その収入すべき権利が確定した日」に計上すべきであることになっています。法人であれば、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度、個人であれば、その収入すべき権利が確定した日の属する年分に、それぞれ計上することとなります。

そこからすると、この利子補給の入金は入金が確定したときに全額、収入計上すべきであることになります。

ですが、これについては、令和3年2月26日に更新した国税庁のFAQに回答があります。

該当する部分をそのまま以下に抜粋します。

「この特別利子補給制度は、日本政策金融公庫等の一定の金融機関から融資を受けることを条件に、その融資により発生する支払利子を、最長3年間、実質的に無利子とすることを目的として交付されるものです。
 そのため、この特別利子補給制度は、融資契約の変更等により利子相当額が変動した場合には、3年経過後に実際に支払った利子相当額により利子補給額が確定することとされています。したがって、特別利子補給制度においては、交付決定日には利子補給額が確定していないことから、利子補給額に係る収入を受ける権利は確定していないと考えられます。
 加えて、3年経過後の実際に支払った利子相当額と利子補給額の精算の手続は金融機関において行うこととされており、法人において実績報告などの手続はありませんので、通常の補助金とは手続き面でも異なる仕組みとなっています。
 このようなことから、この特別利子補給制度については、事前に最長3年分の利子相当額の交付を受けるものの、交付を受けた時点では収益として確定せず、支払利子の発生に応じてその発生する支払利子相当額の収益が確定し、無利子化される性質のものと考えられますので、その支払利子(費用)の発生に応じて、その発生する支払利子と同額の収益を計上することとなります。
 なお、この場合の会計処理については、交付を受けた利子補給金の額を、一旦前受金等として負債の部に計上し、支払利子の費用処理に合わせて、その支払利子相当額を前受金等から利子補給金収入等の収益の部に振り替えることとなります。税務上の取扱いも同様です。」

つまり、入金時にはいったん前受金で経理処理します。

(普通預金)/(前受金) ×××

そして、決算時に支払っている利息と同額の分を前受金から収入に振り替える形で以下のような処理をします。

(前受金)/(雑収入) ×××

このように処理することで支払利息(費用)と雑収入(収入)が同じ期にそれぞれ同額が計上され、実質、無利子化が図れるというわけです。

また、特別利子補給制度に似ているものとして、民間金融機関による実質無利子・無担保融資制度というのがあります。これを使って融資を受けた事業者の皆様も多いことと思います。この制度は、都道府県などが一定の制度融資について、保証料や利子を補助する制度です。これらの制度はほとんどが保証協会等に対して国等から補助分が直接支払われ、事業者が支払うことがないものになっています。そのため、これらの補助分は処理は特に必要とされていません。(国税庁のFAQにもこのことが載っています)

政策金融公庫などの政府系金融機関の場合との違いに注意しましょう。

ということで、今日は政府系金融機関からの利子補給を受けた場合の経理処理の話でした。



医療や介護の従事者に向けて1人当たり5万円(新型コロナウィルスの濃厚接触者の場合には20万円等)の慰労金の支給が始まっています。

この慰労金は7月の終わりから申請ができましたが、7月の申請はあまり日数がなかったため、実際には8月15日~8月末までで申請し始めている事業者が多いと思います。その場合、入金になるのは9月末、つまり、今月末となります。私の顧問先からも、「どうやって経理処理すべきなのか」「給与明細のような明細は必要なのか」といったご質問をいただくことが多くなっています。この慰労金について、どう経理処理をしていったらいいのか、見ていきましょう。

医療・介護従事者に向けた慰労金ですが、そもそもこれは本人が請求するのに変わって事業所が国保連に請求するという関係になっています。つまり、事業所はあくまでも代理で申請するだけです。事業所としては代わりに申請しているだけなので、当然、事業所の収入にはなりません。預かっているお金を渡しているだけなので、経理処理としては以下のようになります。

入金時:(普通預金)/(預り金)もしくは(仮受金) ×××

支払時:(預り金)もしくは(仮受金)/(普通預金) ×××

過不足なく全員にお渡しする必要がありますから、預り金勘定もしくは仮受金勘定はゼロにならないといけません

また受け取った従業員さんも非課税となります。所得税や住民税はかかりません

税務のみを扱っている税理士の先生だとこの点を知らない方もいらっしゃると思います。この非課税の取り扱いについては、国税庁から出ているわけではなく、厚労省から出ているからです。

所得税や住民税がかからないということは、たとえば扶養親族になっている場合、この慰労金は除いて考えていいことになります。また、社会保険の扶養の判定についても除いて考えていいでしょう。

また、非課税ですから、この慰労金も給与の支給時にあわせて支給するような場合、注意が必要です。給与と一緒に支給するのであれば、課税されない形になるように給与明細の表示をしないといけません。通常の給与計算は事業所でやって、年末調整だけは税理士の先生にやってもらっているような場合も注意が必要です。単に給与明細を渡すだけで税理士の先生もよく理解していないと、課税して計算してしまう可能性があります。この点、よく注意しましょう。

それから、私の顧問先にお聞きすると結構多いのが、この慰労金は給与とは別に現金で支給するというものです。もちろん、現金で渡しても構わないのですが、その場合には受領書や領収書など、受け取ったということがわかるものを必ず取ってください。現金で渡す場合、たとえば、「まだもらっていない」とか「もらったが金額が足らない」とかといったことでトラブルになることもあり得ます。必ず渡したその場で金額を確認してもらって確かに受け取ったという受領書をもらうようにしましょう。

慰労金事業の詳細については、以下の以前私が書いたブログを参考にしてみてください↓

ということで、今日は慰労金の経理処理の話でした。



10月の消費税率の引き上げに伴い、キャッシュレス決済のポイント還元が始まりました。

○○ペイやカードの決済などのキャッシュレスの方法で、ポイント還元されるものです。

さて、そうしたポイント還元があった場合、経理処理はどうしたらいいのでしょうか?

ポイント還元には4種類あります。

  • ポイントを付与する・・・使っているカードなどにポイントを付与する
  • 即時充当する・・・商品などを購入したときに購入額にポイントをすぐに充当して差し引く
  • 引き落とし時に相殺する・・・カードなどの利用額が口座から引き落とされるときにポイント額を控除する
  • 口座に充当する・・・1か月以内の期間ごとに口座にポイント相当額を付与し、その後に決済したときにポイント相当額を充当する

特に問題となるのは②のケースです。②のケースでは、キャッシュレスの決済をするたびに実際支払額のポイント還元分が会計時に支払額から引かれます。例を使ってみていきましょう。

消耗品      1,000円

消費税     100円

ポイント還元 ▲50円

支払額    1,050円

さて、この場合の経理処理はどうするのでしょうか?

上記のような場合、理解の仕方として購入額はあくまでも1,100円だということです。ですから、以下のような仕訳になります。(ちなみに税込み経理処理が前提です。)

(消耗品費)/(現金) 1,100

(現金)/(雑収入)     50

即時充当の場合、会計時に即時に充当されるため、上記のような仕訳になります。

「現金」は相殺されますから、現金を相殺すると以下のような仕訳になります。

(消耗品費)/(諸口)  1,100

(諸口)/(雑収入)   50

(諸口)/(現金)  1,050

もう一つ、別の具体例でみてみましょう。

上記の例は、10%対象のものでしたが、軽減税率対象のものと10%対象のものが混在していたらどうなるでしょうか?

消耗品    500円

飲み物    300円※

合計     800円

10%対象消費税    50円

8%対象消費税     24円

ポイント還元 ▲40円

支払額     834円

※軽減税率対象

さて、上記のように、10%と軽減税率の対象が混在していた場合ですが、これは10%対象と軽減税率対象とを一つ一つ別々に処理していくことになります。ちなみに、飲み物の購入は「福利厚生費」として処理したとします。また、処理は税込み経理処理が前提です。

(消耗品費)/(現金) 550

(福利厚生費)/(現金) 324※

(現金)/(雑収入)  40

 ※軽減税率対象

上記の現金を相殺すると、以下のようになります。

(消耗品費)/(諸口)  550

(福利厚生費)/(諸口) 324 ※

(諸口)/(雑収入)   40

(諸口)/(現金)    834

 ※軽減税率対象

ポイント還元以外はポイント還元がなかったとして処理し、ポイント還元分は「雑収入」とするということです。

さて、これとの違いとして、お店独自にポイント分を値引きした場合、どうなるのかも考えてみましょう。

消耗品     500円

ポイント値引き ▲25円

消費税      47円

支払額    478円

上記は以下のように仕訳します。

(消耗品費)/ (現金) 478

違いがお判りでしょうか?お店独自のポイント還元は、ポイントを値引きとしてみていることです。つまり、ポイントを引いた後の金額で処理するわけです。

税法的に言うと次のように表現できます。

キャッシュレスポイント還元・・・ポイント還元の控除前の金額を課税仕入れにする

お店独自のポイント値引き・・・ポイント控除後の実際支払額を課税仕入れとする

キャッシュレスのポイント還元は、別の言い方をすれば、経理処理上は値引きではないということで、ここに経理処理の特徴があるわけです。

また、キャッシュレスのポイント還元の形態のうち、③引き落とし時に相殺するや④口座に充当する の場合も、支払時に減額された金額を「雑収入」として処理することになります。

上記のキャッシュレスのポイント還元の仕方は、国税庁が公表している「即時充当によるキャッシュレス・消費者還元にかかる消費税の仕入れ税額控除の考え方」によっています。

参考にしていただければ幸いです。




この時期は7月10日までの労働保険の申告書作成・提出、算定基礎届の作成・提出、納期の特例の源泉所得税の計算などがあるうえ、介護事業所は7月末までに処遇改善加算の実績報告書を提出しなければならない等、実は事務手続きが多く、なかなかブログが更新できませんでした。

今日は、顧問先からいただいた質問について、ブログを書いていこうと思います。

いただいたご質問はこのようなものです。

「講演をしていただいた方に対して報酬の源泉所得税を引かないといけないと思うのですが、この場合、交通費もあわせて支払う場合には給与のように非課税の規定が適用されないと聞きましたが、どのように取り扱ったらいいのでしょうか?」

 

この会社では社内研修の一環で講師を招いて講演をしていただいたわけです。その報酬を支払うわけなのですが、その源泉所得税についてのご質問です。

これについて、国税庁のHP(タックスアンサー)に答えがあります。

報酬・料金等を支払う場合の注意事項として次のように書かれています。

 

「謝礼、研究費、取材費、車代などの名目で支払われていても、その実態が報酬・料金等と同じであれば源泉徴収の対象になります。しかし、報酬・料金等の支払者が、直接交通機関等へ通常必要な範囲の交通費や宿泊費などを支払った場合は、報酬・料金等に含めなくてもよいことになっています。」

 

つまり、交通費という名目も含めて源泉所得税がかかるわけですこのことから、報酬の支払調書は交通費の金額も含めて報酬額として支払調書を作成し、ご本人にお渡しするということになります。

私の経験上、これは勘違いの多い点だと思います。「交通費という名目で渡したお金は非課税」と思っている方が多いのではないでしょうか?交通費が非課税になるのはあくまでも給与所得者の話です。報酬の源泉所得税にはこの非課税の適用がないのです。あくまでも、報酬の対象者の交通費に源泉所得税がかからないのは、直接、宿泊費や滞在費を支払った場合に限定されるという話なわけです。実費相当額を含めて報酬を支払った場合には、交通費も含めた全体に対して源泉所得税がかかるわけです。交通費部分は非課税として、報酬の支払調書を作成してしまうと、交通費部分の課税漏れが生じてしまいます。報酬の支払いの相手先にも影響のある話ですから注意が必要です。

(ちなみに、報酬を受け取る側からすると、交通費も含めた金額を報酬額として収入に計上し、実際にかかった交通費を経費に計上するため、結局、交通費部分を除いた実際報酬額に所得税がかかることになるため、仮に交通費部分が報酬の支払調書から抜けていたとしても、交通費部分を経費に計上していないのであれば所得金額自体はかわらないはずなので、交通費部分を報酬から除いた支払調書を受け取った側についても所得税に関しては課税漏れが生じないことになります。)

 

また、その国税庁のタックスアンサーには次のような記載もあります。

「報酬・料金等の額の中に消費税及び地方消費税の額(以下、「消費税等の額」といいます。)が含まれている場合は、原則として、消費税等の額を含めた金額が源泉徴収の対象となります。ただし、請求書等において、報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません

源泉所得税の対象となるのは、原則は消費税込みの金額に対してです。ただし、報酬本体部分と消費税部分を分けて表示していれば消費税抜きの報酬本体部分に対して源泉徴収すればいいことになっています。相手方の請求書などが消費税が別に計算されているのか、込みで計算されているのか、よく確認しましょう。

それから、

「支払を受ける者が研究会、劇団などの団体で、個人か法人かが明らかでない場合は、その支払を受ける者が、法人税を納める義務があること又は定款、規約、日常の活動状況などから、団体として独立して存在していることを明らかにした場合は法人として取り扱い、そうでなければ個人として取り扱います。」

報酬を支払う相手方が個人なのか法人なのか、よくわからない場合もあると思います。支払う相手方がなんらかの団体だったりする場合には、その団体が法人税を納めている法人なのか、そうでないのか、わからない。こんな場合は個人として取り扱う、つまり、源泉徴収して支払うということになっています。実務上は、その団体の代表者名で源泉徴収することになるだろうと思います。相手側が個人なのか法人なのか、個人の場合には誰の名前で支払調書を作成したらいいのか、相手側に確認して支払う必要があります。

また

「懸賞応募作品などの入選者に対する賞金や新聞、雑誌などの投稿欄への投稿の謝金などは、原則として原稿料に含まれますが、一人に対して支払う賞金や謝金の金額が、1回5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。」となっています。

原稿料などの場合、報酬額が源泉徴収する前の金額で5万円以下であればそもそも源泉徴収しなくていいことになっています。ただし、源泉徴収する必要がないのは懸賞金や謝金の場合です。5万円以下の報酬全てではないですから注意が必要です。

そして、源泉徴収する金額は次のようになっています。

支払金額(=A) 税額
100万円以下 A×10.21%
100万円超 (A-100万円)×20.42%+102,100円

これについては、たとえば、受取額を10万円ちょうどの金額にするような場合、どのように計算したらいいのかということがあります。これはいわゆる割り戻しの計算になります。

100万円以下だったら、0.8979で割り返すことになります。

10万円÷0.8979=111,370円

 

これは余談ですが、最近、報道で一部の芸能人によるいわゆる「闇営業」というのが問題になりました。これも支払いをした側が法人なのであれば源泉徴収義務があったことになります。この問題で受け取った芸能人側は修正申告をしたと報じられていますが、この辺はどうなっているのだろうかというのは私の感じた素朴な疑問です。

報酬の源泉所得税については、上記のようにいくらか複雑な部分もあるので確認しながら経理処理が必要な部分です。源泉徴収する際には注意しながら経理処理しましょう。




今日は介護施設の消費税の経理処理の話です。

この話は実は会計事務所でも処理を間違えているケースがあるようで、実は非常に難しい問題です。

介護サービス業を営む事業では消費税はどのように取り扱うのが正しいのでしょうか?

消費税法別表第7号は消費税の非課税取引について、次のように書いています。

 

イ 介護保険法の規定に基づく居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービス(訪問介護、訪問入浴介護その他の政令で定めるものに限る。)、施設介護サービス費の支給に係る施設サービス(政令で定めるものを除く。)その他これらに類するものとして政令で定めるもの

 

では、上記のうち「その他これらに類するものとして政令で定めるもの」とは何を指しているのでしょうか?

介護保険法施行規則第61条には次のように書かれています。

 

厚生労働省令で定める費用は、次の各号に掲げる居宅サービスの種類の区分に応じ、当該各号に定める費用とする。

一 通所介護及び通所リハビリテーション 次に掲げる費用

イ 食事の提供に要する費用

ロ おむつ代

ハ その他通所介護又は通所リハビリテーションにおいて提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの

二 短期入所生活介護及び短期入所療養介護 次に掲げる費用

イ 食事の提供に要する費用

ロ 滞在に要する費用

ハ 理美容代

ニ その他短期入所生活介護又は短期入所療養介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの

三 特定施設入居者生活介護 次に掲げる費用

イ おむつ代

ロ その他特定施設入居者生活介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの

 

上記をわかりやすくまとめてみるとこのようになります。

 

介護保険法のサービスのうち次の三つは非課税

①居宅サービス(訪問系・通所系サービス)

②施設系サービス

③その他の付随する介護サービス

 

上記のうち③その他の付随する介護サービスというのは次の三つ

 ①デイケア・デイサービス

 ・食事の提供

 ・おむつ代

 ・その他日常生活に必要なサービス

 ②ショートスティ

 ・食事の提供

 ・滞在費用

 ・理美容代

 ・その他日常生活に必要なサービス

 ③介護付き有料老人ホーム

 ・おむつ代

 ・その他日常生活に必要なサービス

 

誤解を恐れずにまとめれば上記のようになるわけです。

これをよく見ると、介護付き有料老人ホームについては「食事の提供」が入っていないことがわかります。つまり、介護付き有料老人ホームでの食事の提供は消費税がかかる取引であるということになります。介護付き有料老人ホームからあえて「食事の提供」を外しているのは、介護付き有料老人ホームの食事の提供は課税であるという解釈になるわけです。

 

この論点については、有料老人ホームを経営する法人が争った事例で、国税不服審判所で裁決が出ています。その際に、上記の条文が引き合いに出され、「介護付き有料老人ホームでの食事の提供は課税」という判断が下されています。

また、同時にこの裁決では、「洗濯及びドライクリーニング」については「その他日常生活に必要なサービス」に含まれるとして、消費税は非課税と判断されています

 

また、「利用者の選定に基づき特別に提供されるサービス」は消費税が課税されるとされています。これは、たとえば「特別な食事」とか「特別な居室料」とかが該当します。利用者が介護保険法に基づく介護サービスを超えて特別にサービスの提供を受ける場合、つまり、ぜいたくなサービスに対しては消費税が課税されます。これは勘違いしてはいけないのは、介護保険法に基づく介護サービスを自費で徴収した場合を指しているわけではありません。介護保険法でいうところのいわゆる「支給限度額」を超えたサービスは介護保険法を超えているサービスであるため「自費」として料金を徴収されます。この場合は、介護保険法に基づくサービスの延長なのであれば非課税であることに変わりはありません。

 

さて、上記をまとめますと、介護事業所が提供する介護サービスで消費税がかかるのは原則的には次の二つになります

①ぜいたくなサービス

②介護付き有料老人ホームでの食事の提供

 

介護保険の許認可を受けているところでは、これ以外は消費税は原則的にはかからないと整理してしまっていいのではないかと思います。

 

この介護施設の消費税の話は会計事務所でも取り扱いに迷う部分でもあります。医療法人などですと、医療保険が使えないものは「自費」として経理処理します。この「自費」として経理処理したものは消費税が課税されると整理しています。それとの違いがあり、特に医療系に強い会計事務所では取り扱いに迷うケースがあるように聞きます。

これは、国税局の出している通達などでは判断がつかず、介護保険法ともあわせて考えないといけないということも原因にあるようです。

介護サービス業での消費税の取り扱いについて、このブログで情報を整理していただければと思います。




私の出身は新潟県の柏崎です。

知る人ぞ知る話なのですが、柏崎の花火大会というのは全国的に見ても大変、大規模な花火大会です。私も東京に来てもう20年以上になってしまい、高校生まで柏崎に住んでいた期間よりも長くなってしまいました。柏崎にいたころには全く知りませんでしたが、柏崎の花火大会は私の郷土の自慢の一つなんだなあと今になって思います。

その柏崎の花火大会が今日ありました。BSフジでは生放送されていました。

この花火大会にある「協賛金」の税務上の取り扱いを考えていきましょう

花火大会を開催するにあたっては、たいていスポンサーを募ります。そのスポンサーになった企業側の会計処理(税務処理)の話です。

花火大会の「協賛金」の税務処理は主に3つあります。

 

「広告宣伝費」で処理する場合

これはわかりやすいです。花火大会の協賛金が「広告宣伝費」になるのは、花火大会のスポンサーであることをPRできれば「広告宣伝費」として取り扱えます。パンフレットにスポンサー企業として載せてもらえるとか、花火を上げる際にスポンサー企業の名前としてアナウンスしてもらえるとか、不特定多数の者の目に触れる形があれば、「広告宣伝費」として処理できます

「広告宣伝費」は100%経費計上できる項目であり、なおかつ、消費税の課税仕入れとして消費税を控除できる項目です。会社の処理としては、花火の協賛金はなんとかして「広告宣伝費」として処理したいところなわけです。

 

「交際費」で処理する場合

これは、広告宣伝という意味程ではないものの、地元の企業として円滑に事業を進めるために必要に迫られて協賛金を出した、というようなケースだと「交際費」として処理します。

花火大会のプログラムに企業名を載せるとか、花火を打ち上げる際に企業名を言ってもらえるとなれば、上記の「広告宣伝費」になるでしょうが、そこまではいかないケースです。

「お付き合い」や特定の取引先の関係で支出した協賛金であれば「交際費」でしょう。

ちなみに、「交際費」になってしまうと、全額損金に計上できるとは限りません。中小企業の場合には800万円までは全額損金算入されますが、大企業の場合には損金算入には限度額があります。

消費税は、事業を円滑に進めるためという目的なのであれば、課税仕入れとして消費税を控除できるでしょう

 

「寄付金」として処理する場合

広告の意味合いもなく、事業を円滑に進めるという目的もなく、支出したものは「寄付金」として処理します。寄付金は損金算入できる限度額があり、全額損金算入できるわけではありません。

(資本金の額×当期の月数/12×2.5/1000+所得の金額×2.5/100)×1/4=損金算入限度額

この限度額の範囲でしか損金算入されません。

また、寄付金となった場合、消費税の課税仕入れとして消費税を控除することは難しいでしょう

 

また、これらの協賛金をお金を出すのではなく、お酒だったり商品券だったりといった物品で出すこともあると思います

物品で出しても処理の考え方としては同じです。不特定多数の者の目に触れる形であれば「広告宣伝費」ですし、特定の企業に対して、取引先の手前、支出したのであれば「交際費」、これらの利害関係がまったくなければ「寄付金」です。

ただ、物品で支出した場合、注意点は「商品券」や「ビール券」などの金券で支出した場合です。金券を渡した場合、これは消費税は仕入れ税額控除できません。「広告宣伝費」に該当する支出であっても、「商品券」を渡したのであれば、消費税は引けないということになります。

 

まとめますと、花火大会などの協賛金は、会社側としては

 

広告宣伝費>交際費>寄付金

 

の順で考えたほうがいいです。

その際、どういう基準で分けるのかというと、協賛金の意味合いの程度です。

 

企業名などが不特定多数の者の目に触れる>

特定の取引先などのために協賛金を支出した>

特に広告や事業の円滑化などの目的があったわけではない

 

上記の順に「広告宣伝費」「交際費」「寄付金」として処理されることになります。

 

会社としてはなるべく「広告宣伝費」として処理したいところでしょう。

また、消費税の経理処理も寄付金であれば控除できませんが、広告宣伝費や交際費であれば控除できます。

そうしたことを考慮すると、たとえば、企業名を何らかの形で載せてもらうなど、不特定多数の者の目に触れるというのが重要になります。

花火大会以外にも、盆踊りなどの夏祭りなど地域のお祭りごとにも当てはまります。

是非、知っておきたいところです。