手技療法の治療院、介護事業の経営に役立つ最新情報や知って得する情報満載のブログです!

最近のニュースをみていると、「う~ん」と首をかしげたくなるような話が多いです。

いくつか挙げてみましょう。

・財務省の公文書改ざん問題

・防衛省のイラク日報隠ぺい問題

・厚労省の裁量労働制をめぐるデータ問題

私は結構、国会中継をテレビで見る(一応、政治学科出身なので)のですが、これらの問題はどの問題も釈然としない感じがあります。

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今日はそうした最近のニュースの中で、「人命救助の際に土俵上は女人禁制だから人命救助中の女性に土俵から降りるように促した」というニュースがありました。当然というか、かなりの批判があるようです。

 

いまだに女人禁制というのは結構あります。昔は(江戸時代くらいまでは)確か、富士山も女人禁制だったと思います。女人禁制となっている世界遺産の地域とかも確かあったはずです。甲子園も女子マネージャーはグラウンドには入れないのではなかったかと思います。

守らないといけない文化もあるのでしょうし、時代とかいう言葉では片づけられない部分もあるのでしょう。女人禁制を必ずしも否定はしません。しかし、さすがに今回のケースは人命救助という事態でそれはないだろうということです。

さて、今日のブログはこうしたニュースの感想を述べたいわけではありません。経営に関することを書くブログです。

女人禁制のこの話を聞いて思ったのは、場面に応じた対応というのは難しいという話です。土俵に上がった女性をみて土俵から降りるように促したのは若い行事だったとか言う話です。その若い行事からしたらマニュアルに沿った対応をしただけでしょう。こんな非難にあうとは夢にも思っていないことだったと思います。

要するに、言いたいのは、臨機応変に対応するというのは難しいという話です。経営にはマニュアルがないです。その都度、臨機応変に対応しないといけません。では、臨機応変に対応するというのはどういうことを言うのでしょうか?

 

君たちはどう生きるか」(岩波文庫、吉野源三郎著)という最近、とても話題になっている本があります。

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この本の主題は「世間の目よりも何よりも、君自身が、まず人間の立派さがどこにあるか、それを本当に君の魂で知ることだ。」ということです。主人公は中学生の「コぺル君」です。学校で起こる様々な出来事に悩み、近所に住む叔父さんのノートにその解決を求めます。主人公は中学生ですが、大人でも答えを出すことが難しいものもあります。むしろ、大人の場合、組織のしがらみなどから、道徳とは反する回答を出してしまうことがあります。

 

「財務省の公文書改ざん問題」「防衛省のイラク日報隠ぺい問題」「厚労省の裁量労働制をめぐるデータ問題」そして、女人禁制と土俵をめぐる問題。何かすべてに共通してあるのは、「人としてどうあるべきか」のように思います。官僚のようなエリートでも「人として」から外れてしまいます。「人としてどうあるべきか」これは、すべての経営者にも共通した課題であるように思います。

 

もし読んでいらっしゃらない方がいれば、是非、読んでいただきたい本だと思い、今日はご紹介いたしました。(ちなみに、漫画にもなっているようです。漫画版で読んでみてもいいと思います)



今日は最近読んだ本の紹介です。

「金融排除」(幻冬舎、橋本卓典著)です。

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金融排除」という言葉をご存知でしょうか。

銀行からお金を借りるとき、「保証」や「担保」が重視されます。それ自体は仕方のないところなのですが、要は、今の金融機関は過度に「保証」や「担保」に頼りすぎているという話です。その結果、その事業の可能性などの事業の中身を見て判断する「目利き」ができなくなってしまっているのではないか、とこの本の著者は訴えています。「金融排除」というのは、金融機関の担当者にその事業の「目利き」の力があれば融資の判断できる案件も、「保証」や「担保」がないために融資できないということを指して言っています。

 

私も顧問先で、こうした「金融排除」と思われる場面に直面することがよくあります。

確かに過去の決算書はよくない会社が直近の試算表では数字が上がっていたり、あるいは新規事業を立ち上げしようとしていたり、そういう場面がよくあります。銀行に私も一緒にお伺いして説明したりするのですが、過去の決算書だったり、「保証」や「担保」が十分でなかったりすると、融資が通らない、もしくは、融資希望額に届かない金額を提示されたりということはよくあります。

その事業の可能性をいくら説明しても取り合ってもらえない。これはまさに「金融排除」です。

もっとも、その事業の可能性が客観的に見ても難しいケースもあるでしょう。見積もりが甘いとか、そもそも採算がとれる事業ではないといったことです。

それは事業計画そのものを見直す必要があり、それで融資できないというのはわかります。しかし、そうではなく、事業としての可能性があっても、過去の財務情報である「決算書」やいざ失敗した場合の回収方法である「担保」や「保証」がないという理由は、納得できるものではありません。

 

また、この本では、信金や信組の役割についても書かれています。

『本来、信金や信組はその成り立ちからしても地域への貢献を求められている組織であり、そのために法人税も軽減されている。それが、銀行と同じように利益を求める組織になってしまっては存在意義が疑われる。』

 

こうした「金融排除」の実態について、中小企業と一番考えてそれを正していく立場にいるのが我々税理士であると思います。

「金融排除」の実態に対して、中小企業と一緒に折衝し、対応できる金融機関を探していく。「金融排除」の実態に、中小企業とともに一緒に立ち向かうことは、税理士に託された役割だと思います。

 

というのも、税理士であれば「経営支援機関」という登録ができます。税理士が銀行と中小企業の間に入って、経営再建の道筋を立てる役割を期待されてこのような制度ができました。私も昨年10月に「経営支援機関」として登録しました。ところが、残念ながら税理士業界全体としては、なかなかこの「経営支援機関」の制度が機能していないのが実態です。私は、今年はより積極的にこの「経営支援機関」としての役割を果たしていこうと思っています。

 

「金融排除」と思われる経験をしたことのある経営者の皆様。

私も一緒に取り組みますので、一緒によりよい経営環境を作っていきましょう!



なかなかブログの更新ができずにおりました。

今日は「中小企業経営者と税理士の関わり方」について、ちょっと考えてみようと思います。

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その前に、経営にとって一番大事なことは何でしょうか?

個人商店だったり、会社でやっていてもほぼ一人でやっているケースもあります。一方で、従業員の数が100人、200人もいる中小企業もあります。中小企業と言っても千差万別です。経営課題もそれによって異なります。

 

しかし、どの規模でやっていても共通してある経営課題があると思います。それが資金繰りです。お金のやりくり。これは中小企業にとっては共通の課題です。経営にとって一番大事なのは、お金のやりくりです。これは共通しています。

 

黒字倒産という言葉があります。損益上は黒字なのに、経営上やっていけなくなる。なぜそんなことになるのかと思われるかもしれません。実際、このような例は珍しくはありません。損益は黒字なのに倒産してしまう。これは会計の考え方と資金繰りというお金のやりくりが一致していないということを意味しています。

 

私は顧問先にも一貫して「税金を多少支払うことになってしまっても、あるいは、銀行借入を多少したとしても、資金繰りをまずは重視した経営をする」という話をしています。このような話は最初は理解されないこともあります。

まず、税金に限らず「支払いを少なくする」ことをより重視する経営者が多いです。手元からお金が無くなることを嫌がる。気持ちはよくわかります。また、銀行融資を積極的に受けて資金を潤沢にすることを勧めています。これも、銀行の借入に対してネガティブなイメージを持つ経営者からは理解されないことがあります。しかし、今現在、銀行融資が必要ない状況であっても、将来にわたって銀行融資が必要でないかどうかは分かりません。銀行融資が必要なくらいに資金がひっ迫してから銀行からお金を借りようとしても融資を受けるまでに時間がかかりますし、借入するにも不利になります。

資金繰りを重視した経営というのは「キャッシュ」を十分に持って経営していくことです。会計上の損益や税金の支払いだけでなく、社会保険だったり、各種保険だったり、様々なものを駆使して「キャッシュ」をいかに増やしていくのか、これを第一に考えていくのが、経営にとって一番大事なことだと思います。

 

中小企業の経営者が、税理士に求める役割として、「税金を少なくすること」を求めるのは一側面としては間違いではありません。節税対策などを通じて、税理士に税金の支払いを少なくすることは、ある意味、税理士に求める役割としてわかりやすいですし、経営にとっても税金を少なくしていくことは重要なことです。

しかし、税理士に求める役割を「税金を少なくする」ことが一番とするのは中小企業と経営者の関わり方としてどうなのだろうかと私は考えています。税金を少なくするだけが税理士の役割ではないと私は思います。

 

では、中小企業の経営者は税理士をどのように位置づけ、かかわっていくべきなのか?

私は、中小企業の経営者が税理士とかかわる時、その企業がより長く経営していく環境を整えていくことを一緒に考えてもらうことだと思っています。様々な経営課題がある中で、「税金の支払いを少なくする」だけが税理士に求める役割だとしたら、中小企業の経営者は大変もったいないかかわり方だと思うのです。税理士の中には、「いかに(税金を含めた)支払いを少なくするか」を強調している税理士もいると思います。こうした税理士の言うことは経営者にとってはとてもわかりやすいです。しかし、支払いを少なくすることに焦点を絞った経営は危険です。同時に、いかにキャッシュを増やしていくかも考えていかないと、黒字倒産という事態に陥りかねないのです。

 

最近読んだ本に『金融排除』(幻冬舎)という本があります。

この本の中には、銀行や税理士が中小企業とどうかかわっていくべきなのかについて書かれている部分があります。

「銀行、税理士に求められるのは、過去ではなく将来のために仕事をすることだ」

私はまったくその通りだと思うのです。これは中小企業の経営者も理解しなければならない部分だと思います。

 

私は今後も、経営者の皆さんと「御社の未来」をよりよくすることを今後も考えていきたいと思っています。



確定申告が終わりました。確定申告作業をされた皆さん、大変お疲れ様でした。

私もなかなかブログを更新できず、日々、追われる毎日でした。

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「期限までに申告できなかったらどうなるのですか?」

確定申告でときどきいただくことのある質問です。

そもそも期限までに申告することがまずは大事なのですが、何らかの事情で期限までに申告できなかったりということも考えられます。

 

期限までに申告できない場合、どのような不利益があるのでしょうか。

これは、税額が出る場合とでない場合とに分けられます。

 

まず、税額が発生する場合には、加算税という余計な税金が発生します確定申告で出た税額の10%です。10万円だったら1万円ということです。その他に、延滞税がかかります。期限から2か月までは年利2.6%ですが、2か月過ぎると年利14.6%と恐ろしく高い利率になります。

 

税額が発生しない場合、こうした加算税・延滞税は発生しないわけですが、青色申告の場合、2年続けて期限後申告となると、青色申告が取り消されてしまう可能性があります。青色申告が取り消されてしまうと、青色申告特別控除(10万円もしくは65万円の控除)や、30万円未満の資産は購入時に費用処理できることなど、様々ある青色申告の特典がなくなってしまいます。

 

また、そもそも3月15日が期限というものではないものがあります

税額を戻す「還付申告」です。

国税庁のHPによると、還付申告を次のように説明しています。

「確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税した所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税が還付されます。この申告を還付申告といいます。」

給与所得者はそもそも確定申告をする義務はありません。年末調整でいったん税額が確定しているからです。その申告義務のない人が、たとえば医療費控除やふるさと納税などの寄付金控除、あるいは住宅ローン控除などをして税金の還付を受ける場合、税金が還付になります。それらのことを「還付申告」と言っているわけです。その「還付申告」の場合には、そもそも3月15日が期限ということではないのです。

 

確定申告書の提出時期は、2月16日~3月15日ですが、還付申告の場合には、翌年1月1日から提出できます。そこから5年の間に提出すればいいのです。

ですから、たとえば、平成29年の還付申告の提出期限は、平成34年(2022年)12月31日ということになります。

 

「住宅ローン控除があるのに申告するのを忘れていた。もう税金は控除できないのかなあ・・・」と思う必要はありません。3月15日を過ぎても還付申告であれば問題ありません。

 

ただ、事業所得や不動産所得のある人が、税額が還付になる場合には、これは還付申告とは言えません。事業所得や不動産所得のある人は、申告義務がない人ではないからです。給与所得者のように申告義務のない人が還付を受ける場合には、「還付申告」となるため3月15日が期限ということではないということです。

 

ちなみに、この還付申告の期限の5年というのは、国税の還付請求の期限のため、5年が延長されることはありません。

 

ということで、今日、終わったばかりの確定申告の期限の話でした。



確定申告時期が重なり、ブログの更新がだいぶされていませんでした・・・

確定申告のこともたくさん書きたいのですが、国会でも、今、毎日審議されている「働き方改革」の助成金、キャリアアップ助成金の改正について、ご案内したいと思います。

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キャリアアップ助成金の改正については、現在、キャリアアップ計画書を出している事業所にはリーフレットが送られているのでご承知の方も多いはずです。

今回、改正の柱は「正規雇用に転換する」場合の話です。キャリアアップ助成金で最も該当することが多い点が改正されます。どこが変わるのか、ご存じない方はこのブログで是非、把握しておいてください。

正規雇用に転換する際に転換前6か月と正規雇用転換後6か月で給与が5%以上、上がっていることというのが要件に加わる予定です。現在、国会で審議中ですが、おそらくこの改正は施行されるものと思います。

従来は(というか「現在は」と言ったほうがいいですね)、正規雇用に転換する前と転換した後で給与の金額に変動がなくても問題はありませんでした。雇用契約で正規雇用に転換する旨が明記されていれば、正規雇用に転換したものと考えたわけです。

通常、正規雇用に転換するというと、給与が上がったり、休暇が増えたりして待遇面が良くなったりという改善があるはずです。従来は、仮に給与が転換前と転換後で変更がない場合、正規雇用に転換するとどういう点が改善されるのかを、労働局で確認されることもありました。正規雇用になると何が変わるのかを確認されるわけです。

たとえば、正規雇用に転換する前と転換する後で、時給のままだとするとこれは必ず確認されるポイントです。たとえば、就業規則などで、「全員時給で給与を支払う」となっていれば問題ないわけですが、そうではなく、月給者もいて時給者もいるような場合、時給のままで正規雇用に転換といってもこれは正規雇用に転換したといえないのではないかと言われるわけです。

さて、正規雇用に転換する前と後の給与が5%というのは何を指して5%というのでしょうか。

労働局のリーフレットの小さい文字で書いてある部分が非常に重要です。そこには、賞与があれば含みますが、時間外給与があって5%以上上がったとか、歩合給が上がって5%上がったとか、通勤手当が上がったとかというのは考慮しないと書いてあります。

時間外手当や歩合給は除いて、基本給や諸手当で5%以上上がることが要件だと書いてあります。

必ずしも基本給である必要はありません。何らかの手当でもいいです。賞与を入れて5%上がっていてもいいです。たとえば、正規雇用にしか支給されない手当を作って5%以上給与を昇給させるというのは分かりやすいですし、私は中小企業に向いている方法だと思います。ただし、賞与の場合には、就業規則などで支給要件が明確化されているものに限ります。業績によって支払わない場合があるようなものでは対象になりません。就業規則などで、基本給の2か月分とか書いてあってそれに従って支払っているようなものが5%基準の対象になる賞与です。

それから、この改正は、平成30年4月1日以降に正規雇用化する社員がいる場合に適用になる話です。平成30年3月31日までに正規雇用化する場合には、給与が5%以上上がっていなくても正規雇用化していれば該当します。正規雇用する時期によっては改正があたらないケースもありますので注意が必要です。

あとは1事業所で1年度に15人までだったのが20人まで受給できるようになった点も改正点です。ですが、中小企業にとっては、1年間に15人とか20人とかといった人数の正規雇用かというのは通常、あまりない話なのでほぼ関係のない論点です。

やはり、今回の改正のポイントは「正規雇用化する前と後で給与が5%以上上がること」という点です。私の関与先では、「正規雇用に転換するからには給与を上げたほうがいい。5%程度上げておいた方が正規雇用化したことがわかりやすく、労働局からも受け入れやすいからそうしたほうがいいですよ」とアナウンスしていました。これは、将来、このような改正があるのではないかと考えていたためでもあります。今回のこの改正は、私はある意味、当然といえるような内容だと思っています。

これから正規雇用化してキャリアアップ助成金の受給を考えている事業主さんは、もしこの改正をご存じないようでしたらこの機会に知っておきましょう。



「セルフメディケーション税制」は今年の確定申告から出てきた新しい項目です。ここでは、ごく簡単に解説しますので、その基本を理解しましょう!

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セルフメディケーション税制の説明は、厚生労働省のHPに出てきます。(国税庁ではないんですね・・・)

その説明によると「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日以降に、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。」と何やらわかりづらいです。

 

理解のポイントを整理しましょう。

 

〇健康の維持増進の取り組みをしていること

これは具体的には「定期健康診断」「予防接種」「がん検診」などを受けていることです

逆に、これらを受けていなければこのセルフメディケーション税制は受けられません。

「健康診断」や「予防接種」の領収書や受診したことのわかる受診結果通知書をそろえておきましょう。確定申告の際にはこれらを提出・提示する必要があるとされています。

 

〇スイッチOTC医薬品を購入していること

「スイッチOTC医薬品」って何?と思うかもしれません。医療用から転用された医薬品が「スイッチOTC医薬品」なのですが、普通の医薬品なのかスイッチOTC医薬品なのか、そもそもその区別ができないと思います。対象になるのはドラッグストアで買った医薬品です。薬局の領収書があればその領収書を見てください。その中に「この医薬品はセルフメディケーション税制対応医薬品です」といったことが書いていないでしょうか?書いてあれば、それがセルフメディケーション税制対応の医薬品です。

要するに、ドラッグストアで購入した医薬品であれば、このセルフメディケーション税制対応医薬品かもしれないので、領収書を見て確認してみる、という理解でいいと思います。

 

さて、このセルフメディケーション税制対応の医薬品を購入したとします。いくら控除されるのかですが、これは、12,000円を超える部分について控除できます。ただし、控除額の上限は88,000円です。

 

通常の医療費控除での控除を受けるのか、セフルメディケ―ション税制での控除をするか、どちらを選ぶかは選択になっています。実際には、まずは通常の医療費控除を選択します。ただ、通常の医療費控除は年間の医療費が10万円いかなければ(もしくは課税所得の5%のどちらか低いほうの金額)控除できないので、医療費控除が取れない場合に、「それじゃあセルフメディケ―ション税制で控除できるかやってみよう」となるのではないかと思います。

また、医療費控除は足切りが10万円である一方で、セルフメディケーション税制の控除が12,000円です。つまり、以下を比べるということになります。

 

  1. 通常の医療費控除・・・「医療費の金額-10万円(課税所得の5%の方が少なければ課税所得の5%)」(上限は200万円)
  2. セフルメディケ―ション税制での医療費控除・・・「セフルメディケ―ション税制の対応金額-12,000円」(上限は88,000円)

 

この二つのどちらか大きい金額で控除していくという話です。

 

考え方としては、まずは医療費控除をやってみて、医療費控除が88,000円未満だったらセフルメディケ―ション税制で計算してみる、という手順かと思います。

 

このセフルメディケ―ション税制の登場で、以前より少し複雑になった感じのする医療費控除。上記で整理してみてはいかがでしょうか。



オリンピックが始まりました。私は仕事の方で、確定申告が始まりました。早い方だとすでに申告書が出来上がっている方もいます。オリンピックの話もしたいのですが、今日は確定申告、医療費控除の話をしていきましょう。

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確定申告自体は2月16日からですが、還付申告だけの方はすでに受付が始まっていますから、すでに申告が終わっている方もいるでしょう。ですが、大部分の方はこれから確定申告をされるのではないかと思います。

 

確定申告でもっとも多い(と私が思う)のは、医療費控除の確定申告です。事業の方の申告に医療費控除があるケースもあります。とにかく医療費控除を申告するというのは、確定申告で最も多い申告なのではないかと思っています。

 

その医療費控除が大きく変わっています。では、どんな点が変わったのか、ご存じない方はこのブログで確認していきましょう。

 

〇医療費の領収書は、原則、税務署に出さなくてよくなった

この点は、実際、申告書をご自身で提出される方は大きな改正です。これまでは、医療費控除をする場合、その領収書を一緒に添付して提出していました。その医療費の領収書は提出不要になりました。医療費の領収書は、原則提出せず、5年間、自宅で保管するということになっています。税務署から見せるように依頼があったら出さないといけませんからそこは要注意です。

ただ、今まで通り、領収書を提出される方もいらっしゃると思います。平成29年(今回の申告)から平成31年までの確定申告については、今まで通り、医療費の領収書を提出してもいいことにかなっています。いわゆる「経過措置」というものです。「医療費の領収書って、税務署に出さなくていいの?出してしまいました・・・」といってもそれは間違いではありません。ただ、それは平成31年までの経過措置だということは知っておきましょう。

 

〇「医療費控除の明細書」というのに記載して提出することになった

今までは医療費控除の袋のようなものがあって、それに医療費の領収書を入れて、表に明細を記入していたと思います。今年からは「医療費控除の明細書」という書類に「氏名」「医療機関の名前」「治療・医薬品の購入などの区分に☑」「医療費の金額」を記入したらそれでいいことになっています。医療機関ごとに記載しますから、今までよりも簡素化したといえるでしょう。

 

〇「医療費の通知書」に記載されている金額を書けばそれでもいいことになった

各健康保険の団体から年に数回、医療機関の名称や自己負担額などが書かれた「医療費の通知書」が送られてくることがあると思います。その明細に記載された金額を記入すれば、「医療費控除の明細書」に明細を書かなくてもいいことになりました。ただ、この場合には「被保険者の氏名」「医療機関を受診した年月日」「療養を受けた者の氏名」「医療機関の名称」「支払った一部負担金の金額」「保険者の名称」がその通知書に記載されていないといけません。これらが記載されているのかを確認しましょう。

また、この「医療費の通知書」に記載されているのは、保険診療のものだけです。自費診療は入っていませんから、自費診療部分があれば、それが「医療費控除の明細書」に記載しないといけませんから、注意が必要です。

それから、もちろん、「医療費の通知書」が来ていても、「医療費の領収書」から「医療費控除の明細書」を記載していく方法でも問題はありません。

「医療費の通知書」があればその通知書に載っている合計金額を記載すればそれで終わりです。非常に簡単です。「医療費の通知書」は来ていたけど、捨ててしまったとか、そもそもそんなことは知らなかったから、どこにあるか分からないという人もいらっしゃるでしょう。ご存知なかった方は、来年以降は「医療費の通知書」は取っておいた方がいいということを知っておきましょう。

 

〇医療費の金額が10万円に達しなくてもセルフメディケーション税制の適用で医療費控除が受けられるかもしれません

 

従来は、年間の医療費の金額が10万円を超えたら医療費控除が受けられるという解釈だったと思います。ですが、今年の申告からはこのセルフメディケーション税制の適用があれば10万円未満であっても控除が受けられる可能性があります

セルフメディケーション税制については、次回のブログで説明していきます。

 

結構、大きく変わっている医療費控除。今一度、確定申告書を出す前に確認しましょう!



さて、今日の話は前回の続きです。

前回は、給与と外注とはどう違うのか?経営者側の視点、施術者側の視点、そして、それ以外に外注の場合にどんな問題があるのかについてお話していきました。今日は、「どういうケースが給与となり、どういうケースが外注となるのか」について、具体的に見ていきましょう。

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詳しくみていく前に、前回のブログに書きましたが、前提を整理しておきましょう。

「給与」=「雇用契約」=「労働をしたからお金を払う」

「外注」=「請負契約」=「仕事が完成したからお金を払う」

 

わかりやすく言えば、出勤後、大雪で治療院がお休みになった場合、「給与」の場合であれば、仕事をしていなくても出勤したこと自体を「労働」と判断して給与は出るが、「外注」であれば、仕事はやっていないので「仕事の完成」はしていないため、報酬はゼロになるということです。

 

さて、この基本的な理解を前提に考えていきましょう。

実は、この給与か、外注かというのは税務上も何度も問題になっており、裁判例がいくつかあります。それらを見ていくと、どう考えればいいのかがわかってきます。

 

たとえば、こんなケースです。

急病になって、自分でない代わりの職人を現場に派遣した大工さんのケースです。その場合であっても報酬は本人に支払われました。これは、結局、どういう形であれ、「仕事の完成」が目的だから代わりの人を寄越しても、報酬が支払われるということです。この場合には、「外注」とみなされる可能性が高いです。

 

また、こんなケースもあります。

現場監督から逐一、指示があり、指示に則って仕事をしているとか、仕事の時間が何時から何時と決まっているようなケースです。これは「仕事の完成」を目的としているというよりは、「労働」したからお金が支払われるという側面が強いです。この場合には、給与となる可能性が高いです。

 

また、本人はペンチ、ナイフ、ドライバー等を所持しておらず、もっぱら現場にある道具を使っているとか、通勤するための費用をもってもらうなどの場合など、これらは「給与」となる可能性が高いです。

 

実際に裁判になった例をいくつか、書きましたが、これらの特徴はどれか一つを見て「給与」か「外注」かを判断しているわけではないということです。いくつかの例をみて総合的に考えます。

 

さて、このブログでは、こうした「給与」か「外注」かの判断で、治療院の施術者の場合、どう判断するのかについて、書いていこうと思います。

これについては、施術者への支払いを「外注」として処理したことが実際に裁判となっている例があります。この判決の内容は以下のようなものです。

 

「営業時間、施術内容、施術料金、出退勤時間などの業務時間、服装、休憩及び業務上の心得等の業務規則が定められていて、それに従わないといけなかった」

「営業方針や業務規則に従わない場合には、経営者は一方的に契約を解除することができていた」

「施術者は、施術所内にある設備備品を使用し、業務に従事していた」

このようなことから「外注」ではなく、「給与」である。

 

要約すると上記のような内容です。

実務上は、上記のようにいくつかの要素をみて総合的に判断しているわけです

 

また、よくあるケースとして、「歩合給」だから「外注」だということを主張される場合があります。しかし、「歩合給」というのは単に給与の支払い方の形態の一つであって、それだけで「外注」と判断するわけではありません。

 

「外注」とするにはいくつかのポイントがあります。そのポイントを一つでも多くクリアしていくことが不可欠というわけです。

 

上記に挙げたもののほかに、「給与」か「外注」かを判断する要素として、たとえば、こんなことが挙げられます。

 

〇「時間」に対して報酬が支払われているのではなく、施術した仕事に対して報酬が支払われていること(日給や時給、諸手当といった項目での支払いではないこと)

〇通勤手当は本人が負担していること

〇必要な施術道具などは本人が持参してくること

〇何時から何時までいないといけない、という契約になっておらず、仕事が終わったら帰れるようになっていること

 

また、もし「給与」ではなく「外注」としたいのであれば、きちんと「業務請負契約書」も交わしたほうがいいでしょう。その契約書には上記のようななるべく多くの要素を折り込んでいくべきです。

 

意外と奥の深い、「給与」か「外注」かの問題。これを機に、ちょっと考え直してみてはいかがでしょうか?



治療院をみていると似たような相談事例がいくつかあります。その相談の多い項目の一つが、施術師(柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師)への支払いは給与なのか、外注なのか、という話です。実はこの問題は大変奥が深く、やり方によっては治療院の経営を大きく左右するような問題になるという実に厄介な問題です。

今日は、なぜ給与なのか、外注なのかが問題になるのか という点について、まずはお話していきましょう。

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多くの治療院では、施術師への支払いは、経営者側の意図としては、できるならば給与ではなく外注にしたいと思います。なぜなのでしょうか。

 

給与だと、源泉徴収が必要になります。加えて、雇用保険にも加入しないといけないでしょう。社会保険にも加入しないといけなくなる可能性があります。特に、会社形態(株式会社や合同会社など)でやっている治療院の場合、給与にしてしまうとこの社会保険に加入しなければならないのが負担なわけです。個人であっても、雇用保険や労災保険には加入しないといけないわけで、いずれにしても、給与にすると雇用保険や労災保険、社会保険といった公的保険の負担が増えることが大きな問題になるというわけです。

 

また、施術師側も外注にすれば、かかった経費を自分で計算して税額を少なくすることも可能になります。正確にいえば、給与の場合には「給与所得控除額」という給与がいくらあるといくら控除できるのかというのが決まっているものがあるわけですが、その「給与所得控除」の金額を超える実額経費があれば外注にした方が税額が少なくなります

また、外注にして自分で申告する場合に、青色申告を選択したとします。その青色申告で申告する場合の「青色申告決算書」に貸借対照表をつけて提出すると、65万円の控除が受けられます。貸借対照表のない「青色申告決算書」の場合、10万円の控除になります。一方で、給与の場合の「給与所得控除額」には最低額、65万円というのがあります。つまり、給与の場合の給与所得控除額の65万円と、青色申告の場合に貸借対照表をつけると65万円とあるわけで、最低控除の65万円は同じです。外注にした場合、事業所得になるので、これに加えて自分でかかった実額経費を計上できるので、施術師側にとっても税額が少なくなる可能性があるわけです。

また、施術師にとっても、社会保険に入らなくていいのであれば手元に残るお金が多くなることから、外注にしてもらったほうがいいということもあるかもしれません。

 

このように、経営者側にとっても、施術師側にとっても、税金や社会保険の問題から給与でなく外注にしたがるということです。

 

しかし、外注にした場合、法律上の問題や税務上の問題などの様々な問題があります。

 

これを考える前に、「給与」で処理するというのはどういうことなのでしょうか?

逆に、「外注」で処理するのはどういうことを意味するのでしょうか?

 

給与ということは法律的には「雇用契約」にあるということです

一方で、外注ということは法律的には「請負契約」にあるということです

 

民法では、「雇用契約」というのは「労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約する」となっています。

一方で、「請負契約」というのは「ある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する」となっています。

 

つまり、単純にいえば、「雇用」というのは「労働をしたからお金を払う」のであり、「請負」というのは「仕事が完成したからお金を払う」という違いがあります。ポイントは、請負契約の場合の「仕事が完成した」ということです。

 

では、「雇用契約」にせず、「請負契約」にした場合、どのような問題が生じるのでしょうか。たとえば、労災事故が起こったとします。施術中に施術者が何らかの理由でけがをしたとしましょう。雇用契約であれば労災が適用されますが、請負契約の場合、仕事の完成に対して報酬が支払われる契約のため、事故の直接の責任について、経営者側は負いません。(間接的に責任はあるかもしれません)

また、たとえば、何らかの事故(大雪で患者さんが来なかったとか、施術者自身が風邪をひいて休んだとか)があっても、雇用契約であれば経営者がある程度の範囲で補償があるかもしれませんが、請負契約では補償はありません。

つまり、「仕事の完成」という部分以外は施術者自身が責任を負う形が「請負契約」なわけです

 

このように労災のことなどまで考えると、給与か外注かという問題は、単純に「損」「得」の話だけではないように思えます。

さて、次回は、給与か外注か、どこが分かれ目なのかについて考えていきましょう。

 



地方銀行が人材派遣業に進出するよう金融庁に申請を出しているようです。どうやら認められる方向らしいです。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180123-00000139-jij-pol

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記事によると、銀行業務は低金利の時代ということもあり、従来のようにお金を貸しだすだけでは利益が上がらないから、人材派遣業に進出して、銀行の本業以外で利益が出る仕組みを作る、というような趣旨が書いてあります。人材派遣もやってそれで利益を稼いでいこうという趣旨はよくわかります。この低金利の時代ですから無理もない話でしょう。

 

私が関心があるのはそうした銀行側の事情というよりは、こうした銀行側の事情も受け、中小企業側はどう銀行の活用方法が今後、ますます変わってくるだろうということです。

 

皆さんにとって「いい銀行」とは何でしょうか?

金利が安いとか、貸してほしい時に貸してくれるとか、いろいろあるでしょう。私は、中小企業にとっての「いい銀行」というのは、単なる「金貸し」でないというところだと思っています。

 

従来から銀行はいろいろな情報を持っています。生命保険や金融商品の情報なんかも、金融機関でないと知り得ないようなことも情報として持っていたりします。「この会社が危ない」なんていう情報も、銀行がいち早くつかみます。私も会計事務所で勤務していた頃(まだ駆け出しの20代のころ)、マスコミが公表する直前に、ある金融機関の経営破たんの情報が入りました。その情報は銀行からの情報で知り得ました。

 

要するに、現代の企業経営にとって、最も必要な「情報」をいち早くつかむことができるのが銀行なんです。銀行との付き合いをしていく必要がある(つまり、銀行に借入をする)理由がここにもあるわけです。

 

さて、中小企業にとって最も大事な情報は何でしょうか?

それは「ヒト」に関する情報だと思います。

銀行はいろいろな取引先があります。いろいろなところにいろいろな人を紹介できる「ヒト」に関する情報を持っています。

実際、私も銀行に「士業」の方を紹介してもらったりしたこともあります。

もともと銀行はいろいろな業種の取引先があり、「ヒト」を紹介する窓口には適しています。その意味からしても「人材派遣業」に進出するのは、ある意味自然の流れと言えます。

銀行が「派遣業」もやるとなれば、銀行との取引は、困った時の「ヒト」の紹介というのも今後は出てくるということです。

もっと言えば、「ヒト」の紹介もできる銀行と取引していくべきです。

 

「〇〇というような分野に詳しい人、知りませんか」とか「社員の〇〇が辞めてしまうのでヒトが足らなくて紹介してほしい」とか、そういった相談は銀行にする時代になるのかもしれません。

銀行を選ぶ選択肢として「ヒト」を紹介してくれる銀行を選ぶという時代が到来するのかもしれません。