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7月は算定基礎届、労働保険の申告、源泉所得税の納期の特例など、事務手続きが多い時期でした。8月に入り、総務経理の担当者は一息ついている頃かもしれません。

さてそんな今になって、「労働保険の申告を間違えていた・・・」なんて気づくことはないでしょうか?

ヒトのやることです。間違えることもあります。

さて、では労働保険の修正というのはどのようにやっていったらいいのでしょうか?

 

労働保険の確定保険料の修正はいろんなケースがあると思います。

こんなケースがうかびます。

 

・雇用保険に加入していた者がいたのに計算に加えていなかった

・雇用保険にすでに加入していない者を加入したままにして計算していた

・労働保険の適用にならない者(たとえば、事業主・役員・同居の親族など)をあやまって計算に入れていた

・労働保険適用対象になる労働者を計算から外していた

・賃金の集計誤り

 

さて、これらのケースで、労働保険の修正をするにあたっては、まず、労働保険の修正は納付が終わっているのかどうかで処理が変わってきます。

また、今回のこのブログでは、今回(平成29年確定・平成30年概算)の労働保険の申告の修正について書いていきます。2年以上さかのぼる場合は、説明の都合上、またの機会で説明します。

 

まず、労働保険の申告は終わっていて、納付がまだ終わっていない場合です。これは処理自体は難しくありません。

 

まず、今回申告した申告書の控えはありますか?その控えを手元に置き、まっさらな労働保険の申告書に正しい金額を書いてみてください。前年の概算保険料(平成29年の概算保険料)の欄はもちろん、申告したものと同じ数字を記入します。それ以外は全て正しい金額を記入していってください。すべて申告書の記入が終わったら、申告書の上の方に赤いペンで「修正申告」と書いてください。これで完了です。あとは、「修正申告」で計算した労働保険料を納付してください。

 

さて、問題は納付が済んでしまっている場合です。ほとんどがこのケースでしょう。

 

労働保険の納付が済んでいる場合、まず修正するのは「確定労働保険料」です。概算保険料については、納付が済んでいるのなら、来年の労働保険の申告の際に調整すればいいので、そのままにしておきます。

その上で、まずはまっさらな何も書いていない労働保険の申告書を用意します。そして、やはり今回申告した労働保険の申告書の控えも用意します。

 

その上で、下の「概算保険料」については使いませんから、斜線を引いてしまいます

その上で、確定保険料の方に正しい金額を記入します。そして、正しい確定保険料を書いた申告書の方の上部に赤色のペンで「再確定申告」と書きます

労働保険の申告書はこれで終わりです。それに添付書類が必要になります。

まずは「労働保険再確定申告理由書」というのを添付します。この書類はどういう理由で修正するのかを記入するものです。該当する欄に☑をします。

この書類には「算定基礎賃金集計表」の修正前と修正後のものも提出します

また、仮に、雇用保険に加入していない者について遡及して雇用保険に加入したために修正したのであれば、雇用保険に加入した後の「雇用保険資格取得確認通知書」の写し添付が必要です。

逆に、雇用保険の資格喪失をしていたのに手続きしていなかった場合、「雇用保険資格喪失確認通知書」の写しの添付が必要です。

 

いずれにしても、修正前と修正後の両方の「算定基礎賃金集計表」に、修正後の内容に関わる添付書類を添付して提出します

 

また、労働保険の再計算をしたところ、すでに納付してしまった労働保険料が多すぎて還付を受けたい場合、「労働保険還付請求書」も一緒に添付して提出します

 

労働保険の申告の間違えに気づいた場合、まずは焦らなくても大丈夫です。足らなくて納付するにしても、納付しすぎて還付するにしても、適正な手続き方法があります。このブログを参考に一つ一つ、やってみましょう。



さて、賞与の支給が7月にあった会社も多かったと思います。その賞与の社会保険料の話です。賞与の社会保険料はどのように計算するのか、正確に把握しているでしょうか?

通常は賞与の社会保険料は、賞与の額に賞与の料率をかけて計算します。

健康保険は都道府県によって料率が異なります。(東京都は健康保険は9.90%、介護保険料がある場合には11.47%)その料率の半分が本人負担分です。

一方で、厚生年金は料率が全国一律です。どこの都道府県でも料率が18.3%です。

具体例で計算を出してみましょう。

健康保険 500,000円×9.90%=49,500円×1/2=24,750円

介護保険料のある方(40歳以上)の健康保険 500,000円×11.47%=57,350円×1/2=28,675円

厚生年金 500,000円×18.3%=91,500円×1/2=45,750円

さて、通常はこれでおしまいです。

今日のテーマはここからです。

まず、賞与の社会保険料を計算する際には、千円未満は切り捨てしてから料率を乗じます

千円未満を切り捨てするというのは忘れがちなポイントです。

さらに、健康保険の上限額は「年間」です。年間で573万円が上限です。この年間というのは毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額です。一方で、厚生年金の上限額は「月間」です月で150万円が上限額です。ちなみに、厚生年金には「子ども・子育て拠出金」というのがあります。これは、被保険者負担分はなく、全額会社負担なので給与計算の際には関係ありませんが、この「子ども・子育て拠出金」も月間上限が150万円です。

さて、では、今回、賞与の支払額が200万円だったとします。そうすると計算は次のようになります。

健康保険 2,000,000円×9.90%×1/2=99,000円

※40歳未満だった場合

厚生年金 1,500,000円×18.3%×1/2=137,250円

ちなみに、雇用保険料があります。これも控除します。これは上限額とかがあるわけではないので、3/1000を掛けて終わりです

雇用保険 2,000,000円×3/1000=6,000円

それから、今回は社会保険料の話なので源泉所得税は関係ないのですが、賞与の計算をするにあたっては源泉所得税も計算します。

源泉所得税はこれは前月の給与の額と扶養親族の数によって掛ける%が変わります

%を掛け算するというのも毎月の給与の源泉所得税との違いです。

また、掛け算するのは社会保険料を控除した後ですから気をつけましょう。

実は賞与の計算というのは正確に計算するにはいろいろな知識が必要です。上記を参考に賞与の計算をしてみましょう。



私の出身は新潟県の柏崎です。

知る人ぞ知る話なのですが、柏崎の花火大会というのは全国的に見ても大変、大規模な花火大会です。私も東京に来てもう20年以上になってしまい、高校生まで柏崎に住んでいた期間よりも長くなってしまいました。柏崎にいたころには全く知りませんでしたが、柏崎の花火大会は私の郷土の自慢の一つなんだなあと今になって思います。

その柏崎の花火大会が今日ありました。BSフジでは生放送されていました。

この花火大会にある「協賛金」の税務上の取り扱いを考えていきましょう

花火大会を開催するにあたっては、たいていスポンサーを募ります。そのスポンサーになった企業側の会計処理(税務処理)の話です。

花火大会の「協賛金」の税務処理は主に3つあります。

 

「広告宣伝費」で処理する場合

これはわかりやすいです。花火大会の協賛金が「広告宣伝費」になるのは、花火大会のスポンサーであることをPRできれば「広告宣伝費」として取り扱えます。パンフレットにスポンサー企業として載せてもらえるとか、花火を上げる際にスポンサー企業の名前としてアナウンスしてもらえるとか、不特定多数の者の目に触れる形があれば、「広告宣伝費」として処理できます

「広告宣伝費」は100%経費計上できる項目であり、なおかつ、消費税の課税仕入れとして消費税を控除できる項目です。会社の処理としては、花火の協賛金はなんとかして「広告宣伝費」として処理したいところなわけです。

 

「交際費」で処理する場合

これは、広告宣伝という意味程ではないものの、地元の企業として円滑に事業を進めるために必要に迫られて協賛金を出した、というようなケースだと「交際費」として処理します。

花火大会のプログラムに企業名を載せるとか、花火を打ち上げる際に企業名を言ってもらえるとなれば、上記の「広告宣伝費」になるでしょうが、そこまではいかないケースです。

「お付き合い」や特定の取引先の関係で支出した協賛金であれば「交際費」でしょう。

ちなみに、「交際費」になってしまうと、全額損金に計上できるとは限りません。中小企業の場合には800万円までは全額損金算入されますが、大企業の場合には損金算入には限度額があります。

消費税は、事業を円滑に進めるためという目的なのであれば、課税仕入れとして消費税を控除できるでしょう

 

「寄付金」として処理する場合

広告の意味合いもなく、事業を円滑に進めるという目的もなく、支出したものは「寄付金」として処理します。寄付金は損金算入できる限度額があり、全額損金算入できるわけではありません。

(資本金の額×当期の月数/12×2.5/1000+所得の金額×2.5/100)×1/4=損金算入限度額

この限度額の範囲でしか損金算入されません。

また、寄付金となった場合、消費税の課税仕入れとして消費税を控除することは難しいでしょう

 

また、これらの協賛金をお金を出すのではなく、お酒だったり商品券だったりといった物品で出すこともあると思います

物品で出しても処理の考え方としては同じです。不特定多数の者の目に触れる形であれば「広告宣伝費」ですし、特定の企業に対して、取引先の手前、支出したのであれば「交際費」、これらの利害関係がまったくなければ「寄付金」です。

ただ、物品で支出した場合、注意点は「商品券」や「ビール券」などの金券で支出した場合です。金券を渡した場合、これは消費税は仕入れ税額控除できません。「広告宣伝費」に該当する支出であっても、「商品券」を渡したのであれば、消費税は引けないということになります。

 

まとめますと、花火大会などの協賛金は、会社側としては

 

広告宣伝費>交際費>寄付金

 

の順で考えたほうがいいです。

その際、どういう基準で分けるのかというと、協賛金の意味合いの程度です。

 

企業名などが不特定多数の者の目に触れる>

特定の取引先などのために協賛金を支出した>

特に広告や事業の円滑化などの目的があったわけではない

 

上記の順に「広告宣伝費」「交際費」「寄付金」として処理されることになります。

 

会社としてはなるべく「広告宣伝費」として処理したいところでしょう。

また、消費税の経理処理も寄付金であれば控除できませんが、広告宣伝費や交際費であれば控除できます。

そうしたことを考慮すると、たとえば、企業名を何らかの形で載せてもらうなど、不特定多数の者の目に触れるというのが重要になります。

花火大会以外にも、盆踊りなどの夏祭りなど地域のお祭りごとにも当てはまります。

是非、知っておきたいところです。



さて、今日は制度融資のお話です。

銀行から借り入れをする際に市区町村や都道府県、もしくは商工会議所や商工会を通じた制度融資というものを勧められることがあります。この制度融資とは何のことでしょうか

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制度融資のほとんどは、信用保証協会の保証のある融資制度ですので、保証協会の制度融資について説明していきます。

 

この制度融資というのは市区町村などに「あっせんの申し込み」というのをします。決算書などを見せて、要するに1次審査です。だいたいが簡単な面談などを行い、市区町村のお墨付きという意味の印鑑をもらいます。

次に、銀行に融資の申し込みをします。銀行の融資には、銀行から直接借りる『プロパー融資』と信用保証協会が融資の保証を行う『信用保証協会融資』がありますが、この制度融資はこのうち、信用保証協会が保証を行う信用保証協会の融資制度になります。

信用保証協会というのは都道府県ごとにあるもので、信用保証協会が保証人となって銀行融資をするというものです。信用保証協会には一定の保証料を支払います。

銀行からすれば、保証協会の保証がついているため、お金を貸しやすいわけです。

その保証協会の審査が2次審査です。

信用保証協会の審査が無事通過すると、今度は銀行で審査されます。これが3次審査です。

3次審査が終わると、無事、融資が実行されます。

 

流れとしては次のような手順を踏みます。

 

融資のあっせん申し込み

(市区町村の産業振興課などの窓口に行く)

     ↓

市区町村の産業振興課などで面談

(中小企業診断士などが面談する場合もあります)

     ↓

市区町村から「あっせん状」が発行される

     ↓

「あっせん状」をもって銀行で融資の申し込み

(保証協会の融資の申し込み)

     ↓

信用保証協会による審査

     ↓

 銀行による審査

     ↓

   融資の実行

 

要するに、市区町村や都道府県の制度融資というのは、保証協会の融資制度を利用し、銀行が貸しやすい環境を整えているわけです。市区町村や都道府県が融資のあっせんを行うため、保証協会の保証も付きやすく、信用保証協会の保証が付けば銀行も融資もしやすくなるということです。

 

また、融資の利子や保証協会に支払う保証料の一部を市区町村や都道府県が負担するというのもこれらの制度融資の特徴です。利子や保証料が安く借りられることから、制度融資の利用が銀行でも勧められるわけです。

 

さて、この制度融資ですが、どのような種類があるのでしょうか?

市区町村や都道府県によって異なりますが、一般的には次のようなものがあります。

 

・小規模企業小口資金

・経営基盤強化資金

・一般的な制度融資

 

市区町村や都道府県によりますが、だいたいこの3つがあるようです。

 

順に簡単に解説しましょう。

 

・小規模企業小口資金

市区町村や都道府県によっては「小規模企業振興資金」と呼んでいたりします。内容はほぼ、同じものです。

これは従業員数が20名以下(卸売業や小売業、サービス業は5人以下)の企業が対象です。他に保証協会の融資があればそれを合算して、最大で2000万円まで借りることができます。

 

・経営基盤強化資金

一般的には「セーフティネット保証5号融資」とか「5号融資」と呼ばれることが多いです。これは、中小企業信用保証法第2条第5項第5号に該当する融資のためそのように呼ばれます。

この制度融資の特徴は、前年比で売り上げが5%以上下がっていることが条件であることです。前年の同月と比べて3か月間で見ると、売上が5%以上下がっていると適用になります。「売り上げが下がる」と融資が受けられるというのはこの制度融資くらいのものでしょう。

一般的には、銀行は売り上げが前年比で下がっていたり、利益が少ない(もしくは赤字である)と貸しづらいわけです。それを市区町村や都道府県がサポートすることで融資を促そうとしているわけです。

 

この制度融資の特徴は業種が限定されているということです。景気の動向などを踏まえ、中小企業庁が対象業種を決めますので、そもそも対象外の業種になってしまうとこの制度融資は使えません。

 

ちなみに、私の関与することの多い「治療院」や「介護事業所」は残念ながら、対象業種に含まれていません。以前は対象業種に含まれていましたが、現在は対象業種が絞られ、対象外になっています。

 

・一般的な制度融資

小規模の中小企業でもなく、5号融資の対象でもない場合に、それ以外の一般的な制度融資を使います

 

この3つの制度融資は、中小企業経営者は是非、知っておきたいところです。もし制度融資が使えるのなら、使ったほうがいいでしょう。保証協会の保証を取り付けやすいですし、銀行は融資しやすくなります。また、利率や保証料も一部、市区町村や都道府県が持ってくれますから、普通に保証協会付き融資を受けるのなら、制度融資を是非、利用したいところです。

 

ちなみに、これらの制度融資の欠点はというと、普通の融資よりも時間がかかることです。市区町村のあっせんを受けてからになります。また保証協会での融資の審査もあります。そのあと銀行の審査もあるわけですから、通常の融資よりもチェックポイントが多いわけです。通常であれば、あっせんの申し込みをしてから融資が実行されるまで約1ヶ月ちょっとかかるものと思っていいです。

もし急いでいるのであれば制度融資は不向きかもしれません。

 

1ヶ月くらいなら時間がかかっても大丈夫であれば、制度融資を検討してみてはいかがかと思います。

今日は、市区町村や都道府県で行っている制度融資の話でした。



前回は退職金の源泉徴収の話をしました。

今日はその続きです。

退職金の源泉徴収は計算が終わるとやれやれという感じで、では源泉を引いて支払います、となるんですが、一つ忘れてはいけないものがあります。

退職金は所得税の源泉徴収もありますが、住民税もあるんです

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退職金の源泉徴収は中小企業だとそもそも発生しないケースがほとんどです。

だいたい退職所得控除額の中に収まります。

 

勤続20年未満の人だと、40万円×勤続年数までは源泉徴収が発生しないので、あまり退職金を払って源泉徴収が発生するケースが多くないんです。勤続10年だと400万以上支払わないと発生しないわけです。

中小企業というと、従業員数が100名未満のようなところが多いですが、そういうところで、上記の金額を超えるようなケースってそうそうないわけです。

 

それはともかく、仮に、源泉徴収税額が発生したとすると、十中八九、ほぼ住民税も発生するはずです。

 

ですが、恐れることはありません。

所得税の退職金の源泉徴収の金額が出ていれば、住民税の源泉徴収の金額は簡単に出ます。

 

 

退職金の源泉徴収を計算するには次の算式で計算します。

(退職金の額-退職所得控除額)×1/2

千円未満は切り捨てします。

 

ここまでは一緒です。住民税の場合は、

この金額にただ10%かけるだけです

 

前回の例でいうと、退職金500万円、勤続10年の人だったら次のようになります。

 

(500万円-40万円×10年)×1/2=50万円

50万円×10%=5万円

 

住民税は5万円です。

この住民税5万円はその従業員の住んでいる市区町村に納めます。

特別徴収しているのであれば、給与から差し引いて支払う納付書がありますよね。その納付書に「給与分」「退職金分」とかあると思います。そこに金額を書いて納付します。

 

納付期限は支払った月の翌月10日までです

 

それから、このケースで実際に税金を引いた後の本人へ支払う金額は

 

5,000,000円-25,525円-50,000円=4,924,275円

 

となります。

 

退職金というのは、源泉徴収があったり、住民税もあったり実はややこしいです。

ここでは書きませんでしたが、たとえばその退職者が障がい者だったりすると計算方法が少し違ったりもします。

 

退職金は、源泉徴収のことをよく確認してから支払うようにしましょう。



7月10日までは何かと事務処理しなければならないことが多く、忙しかった方も多いことと思います。私もそうでしたが・・・

さて、今日は退職金の税金の話をしていこうと思います。

退職金の税金は普通の給与の税金とは全く計算の方法が異なります。どのように計算してどのように納付していったらいいのでしょうか。

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まず、所得税の計算方法についてです。

 

退職金の税金のポイントは三つです。

まず、一つ目は退職金の税金は「(退職金の額―退職所得控除額)×1/2」で計算します。

では、退職所得控除額はどのように計算するのでしょうか。

 

勤続年数が20年未満か、20年以上かによって金額が変わります。

20年未満・・・勤続年数×40万円

20年以上・・・800万円+(勤続年数―20年)×70万円

この勤続年数は1年未満の年数は1年に切り上げして計算します。納税者有利の計算方法になっています。

 

ちなみに、この「退職所得控除額」は最低でも80万円となっていますから、逆にいえば、退職金の額が80万円未満の場合、計算しなくても退職金の税金はゼロになることがわかります。

 

さて、具体的な金額で考えてみましょう。

たとえば、退職金が500万だったとして、10年勤続だったとします。

そうすると、(500万円―400万円)×1/2=50万円となります。これに累進課税を掛けるわけです。

A 課税退職所得金額 B 税率 C 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

計算して出た金額を上記の表に当てはめて税額を出します。

この場合、税額は50万円×5%で、25,000円となります。

さらに復興所得税がありますから、102.1%を掛けます。ですから、税額は25,525円となります。

この最後に102.1%を掛けるのを忘れないようにしましょう

 

計算の仕方はご理解できましたでしょうか?実はそれほど複雑な計算はしていません。

 

さて、この税金ですが、どのように納めるのでしょうか?それが二つ目です。

退職金の所得税は源泉所得税の納付書で納めます

原則の納付は、源泉徴収した翌月10日までに納めます。給与の支給人員が常時10人未満

の場合、納期の特例の届け出をしていれば、1月~6月の給与の源泉所得税は7月10日までに、7月~12月の給与の源泉所得税は翌年1月20日までに納付する形になります。

この源泉所得税の納付の時に一緒に納めるわけです。

納付書に「退職手当等」の欄がありますから、ここに記載して納付します

 

最後に、書類です。

退職金の税金のこの計算方法は「退職所得の受給に関する申告書」を提出して初めてできる計算方法です。この「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合には、退職金の金額×20.42%を計算して納付します。

そして、「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合には、「分離課税」といって確定申告をしなくても税額の精算が終了したものとします。つまり、確定申告が不要になるわけです。一方で、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合、20.42%の税金を源泉徴収されるわけですが、この場合には、確定申告することによって税額精算する必要があります。

 

このように3つのポイントごとに整理すれば、実は退職金の所得税はそれほど難しくないことがわかると思います。

次回は、退職金の住民税について説明していこうと思います。



前回に引き続き今日も算定基礎届についてです。

今日は前回に続いて、算定基礎届の細かい留意点、主には「支払基礎日数」の部分について書いていこうと思います。

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これは「月給者」と「日給者」「時給者」は書き方が違います。

まず「月給者」は必ず歴日数を記入します。つまり、月給者は原則、ここは31日か30日が入ります。ただし、欠勤日数分だけ給与が減額されるような場合は、就業規則、給与規定等に基づいて事業所が定めた日数から欠勤日数を差し引いた日数が支払基礎日数となります。また、有給休暇は含めます。つまり、休んでいて給与の支払いがない日について、日数からマイナスします。

この場合、備考欄に欠勤した理由を記載します。「病欠・育休・求職等」とある箇所に〇をして提出します。

また、月給者の場合、歴日数を記載するのですが、賃金の締日ごとで考えるので4月は30日とは限りません。たとえば15日締め25日払いの会社であれば、4月に支給する給与は3/21~4/20の期間になります。この間の歴日数は31日ですから、「給与計算の基礎日数」の欄は4月の欄に31日と記載します。

この点はよく注意してください。

では、日給者時給者の場合、どうなるのでしょうか。

日給者や時給者の場合、歴日数ではなく出勤した日数(有給休暇があればそれを足した日数)になります。

この日数は重要です。

17日以上の日だけを合計するというのが原則です。しかし、17日以上の日が4月から6月にないこともあり得ます。その場合には15日以上の月を合計します。

短時間労働者に該当する場合には、11日以上の月を合計します。

短時間労働者というのは、常勤者の4分の3以上の勤務時間の勤務者に該当しない者をいい、次の条件に該当する者をいいます。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 雇用期間が1年以上
  3. 賃金月額が8.8万円以上
  4. 常時501人以上の企業に勤務している

要するに、短時間労働者は大企業しか該当しないことがわかります。

このブログの主な対象は中小企業です。ほとんどの中小企業には短時間労働者はいません。そのため、算定基礎届では11日以上で標準報酬を決定することはほぼありません。

17日以上の日がない場合、15日以上の日を合計して標準報酬を決定すると理解しておけばいいでしょう

ちなみに、15日以上の日もない場合はどうなるのかと言いますと、これは保険者決定と言って従前の標準報酬月額がそのまま標準補修月額になります。

あとは、パートの場合には、備考欄の「パート」に、丸を付すなどはありますが、算定基礎届で分かりづらい部分はこの日数の部分かと思います。

最後にもう一つ。

算定基礎届は一応の提出期限は7月10日です。

年金事務所のQ&Aにも出ていますが、7月10日を過ぎても早めに出せば問題ないので、もし源泉所得税の計算や労働保険の計算などで忙しくて算定基礎届まで7月10日までに出せないのであれば、期限が遅れても構いませんので早めに出すようにしたらどうかと思います。

Q1 提出期限が7月2日から7月10日までとなっていますが、期限を過ぎても提出は可能ですか。 A1 期限を過ぎても提出は可能ですが、できる限り期限内の提出をお願いします

(年金事務所のQ&Aより)

http://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2018/201806/20180607.files/QA.pdf#search=%27%E7%AE%97%E5%AE%9A%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E5%B1%8A%EF%BC%B1%EF%BC%86%EF%BC%A1%27

以上、算定基礎届の少し細かい部分の話でした。



さて、今日は平成30年の社会保険の算定基礎届について書いていこうと思います。

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6月末から7月の初めにかけては、各企業ともに労働保険や算定基礎届、従業員数が10名未満の法人であればこれに加えて源泉所得税の納期の特例(1月~6月の源泉所得税の計算)があります。

事務処理する事項が意外と多く、各会社の総務担当者は忙しい日々なのではないでしょうか。

 

さて、その中で算定基礎届について、注意点を書いていこうと思います。

 

その前に算定基礎届というのは何をやるのかは大丈夫でしょうか。

4月~6月の給与の平均値を取って、それを1年間の社会保険料にするというものです。

さて、この算定基礎届の注意点はどのようなものがあるのかを順番に見ていきましょう。

 

まず、今年から算定基礎届の用紙が変わりました

従来、算定基礎届総括表と総括表附票と分かれていたものが1枚の用紙になりました。その上で、算定基礎届の用紙自体も変わっています。

ただ、健康保険組合に加入している場合、年金事務所への提出も健康保険組合の様式で提出します。その点は留意してください。

 

たまに顧問先から聞かれることに、「今年から算定基礎届にはマイナンバーを記載しないといけないのですか?」というものがあります。算定基礎届の用紙をよく見ていただくと、用紙の一番上には「被保険者報酬月額算定基礎届」となっている下に少し小さめに「70歳以上被用者算定基礎届」と書いてあると思います。

70歳以上75歳未満の方の場合、算定基礎届を提出して社会保険料を算定はしますが、厚生年金はありません。そのため、70歳以上の方(正確には70歳以上75歳未満の方)は通常の算定基礎届とは少し違うという位置づけなわけです。そのため、70歳以上75歳未満の方の場合、算定基礎届と一緒に4月から6月の給与の報告はしてもらうわけですが、「算定基礎届」ではなく「70歳以上被用者算定基礎届」という別の報告様式になるわけです。

 

そして、この「70歳以上被用者算定基礎届」の場合には、「備考」欄の「70歳以上被用者算定」に〇をつけたうえで、17番の欄に個人番号(マイナンバー)を記載しないといけません。マイナンバーの代わりに基礎年金番号でもいいことにはなっています。

 

「今年の算定基礎届にはマイナンバーが必要」という認識がある方がいらっしゃるのはこの辺の話があるからだと思います。マイナンバーが必要なのはあくまでも70歳以上の方の話です。

 

ちなみに、75歳以上の方は「後期高齢者医療制度」に移行するため、社会保険は資格喪失しないといけません。つまり、そもそも75歳以上の方の算定基礎届はないわけです。

 

また、算定基礎届の対象になる方は7月1日現在の在籍者です。

ですから、たとえば6月30日に退職した方は算定基礎届の提出の対象にはなりません。(7月1日に資格喪失になるため、7月1日現在には在籍していないことになります)

また、4月から6月の間に固定的賃金(基本給や毎月、変更のない手当)に昇給もしくは降給があって、2等級以上変更しそうな場合、算定基礎届の提出者の対象からは外れます。月額変更届の提出に該当します。

 

たとえば、4月に昇給があった場合、4月~6月の月額変更となり、7月10日までに月額変更届を提出する必要があります。また、5月に昇給があった場合、5月~7月の月額変更となり、8月10日までに月額変更届を提出する必要があります。

 

つまり、4月昇給の場合は算定基礎届と同時に月額変更届を提出することで、7月の月額変更となります。(通常は8月の給与からの社会保険料の変更になります)

5月昇給の場合には、8月月額変更となります。この場合、算定基礎届は提出しなくていいことになります。備考欄に「8月月額変更」と書いておけば、給与の金額を報告する必要はありません。

 

また、パートに該当する場合、備考欄に「パート」というのがあるので、そこに丸印をつけて提出する必要があります。昨年までの算定基礎届ではこれば備考欄に手書きで書き入れていたので、ここは用紙が変わって変更になった点です。

 

また、4月~6月の間で入社した方の場合には、これも備考欄の「途中入社」に〇をつけないといけません

 

基本的な算定基礎届の報告の仕方は変わっていませんが、少し報告の仕方が変わっていますので注意が必要です。

 

次回も引き続き、算定基礎届の注意点について書いていきます。



この時期は税金の出費が多い時期です。また、事務処理すべき書類が多い時期でもあります。そのことは把握していますでしょうか?

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どんなものがあるのか、まとめてみました。

 

労働保険の申告納付・・・6月1日から7月10日

算定基礎届の提出・・・7月1日から7月10日

源泉所得税(納期の特例)の納付・・・7月10日

固定資産税の納付・・・6月末

普通徴収の住民税の納付・・・6月末

 

これらに加えて、算定基礎届に関しては、新規に社会保険に加入した事業所は社会保険の調査の案内が来ていると思います。また、算定基礎届にあわせて、調査対象になっている事業所もあるはずです。算定基礎届の提出時に、賃金台帳などの書類を用意しないといけません。

 

この他にも治療院の場合、「事業税のお尋ね」が来たりしていると思います。保険診療と保険診療以外の内訳のお尋ねです。この回答もだいたい今の時期です。

介護事業所の場合、7月は処遇改善加算の報告書の提出があります。ほぼすべての介護事業所で該当するはずです。提出期限は7月末です。

 

このように提出すべき書類や支払うべき税金が多いのがこの時期なのです。

これらについて、次回以降、順番にこのブログでご紹介していこうと思います。



今日は青色申告会についてです。

青色申告会、名前くらいは聞いたことがあるでしょうか?これはいったいどんな組織なのでしょうか?加入したほうがいいものなのでしょうか。

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まず、青色申告会とは、どういう組織なのでしょうか。

全国青色申告会連合会のHPから以下を抜粋しました。

「「青色申告会」は個人事業主を中心として組織される納税者団体です。「税は公平でなければならない」というシャウプ勧告をもとに、納税者が自主的につどい、結成されました。 それから今日に至るまで、青色申告会は正しい申告・納税を勧め、公平な税制の創設、社会保障制度の改善を要望し、税制改正史上数々の成果をあげてきました。全国各地の青色申告会は、会員の中から選ばれた役員を中心に自主的・民主的に運営されています。その活動は会ごとに特徴をもち、後継者専従者や若手経営者を中心とした青年部や、配偶者専従者を中心とした女性部が組織されるなど、多彩な活動を展開しています。」

 

今でこそ当たり前になっている、自分で申告書を書いて納税するというやり方をスムーズに進めるために作られた組織なわけです。青色申告会があったからこそ今の申告納税制度が確立されたといっても言い過ぎではないかもしれません。

 

さて、そうした経緯のある青色申告会ですが、青色申告会というのは何をやっているのでしょうか?

 

基本的には個人の申告の手伝いをしてくれる組織です。帳簿の作成の指導や確定申告のお手伝いをしてくれるというのが青色申告会の中核業務です。ただ、領収書を整理したり、基本的な帳簿をつけたり、といったことはご自身でやらないといけません。青色申告会ではそこまではやってくれません。また、経営相談というのもやってくれると青色申告会のHPには書いてはありますが、基本的な業務としては帳簿の作成指導、確定申告書の作成のお手伝いです

青色申告会では、確定申告書を作ってくれるわけではありません。あくまでも確定申告書を作るのは納税者自身です。その手助けだったり、チェックだったりをするのが青色申告会です。直接的に確定申告書を作ってしまうと、税理士法違反になってしまったりということもあるのでしょう。

 

また、青色申告会というのは税務署ごとに組織されています。加入することを検討されるのでしたら、住所地の管轄の税務署に行ってみてください。その近くにあるはずです。

 

会費は入会される青色申告会によって多少、違うようですが、だいたいが入会金で1,000円あとは年会費で年額18,000円程度のようです。

 

さて、このような組織が青色申告会ですが、入会したほうがいいのか、どのように考えたらいいのでしょうか?

 

まず、基本的には税理士に依頼されている方は加入しなくていいと思います。青色申告会の加入意義は確定申告だからです。確定申告を青色申告会でみてもらえる。これが青色申告会の最大の特徴です。税理士にすでに依頼しているのでしたら、青色申告会に改めて加入する必要はあまりないです。

税理士に依頼しておらず、確定申告に多少、不安があるのでしたら加入したほうがいいでしょうまた、法人の申告は税理士に依頼していて、個人の確定申告はご自身でやっているような場合、個人の確定申告をみてもらうのに青色申告会に入っておくというのもあるかもしれません

 

また、法人の場合には青色申告会ではないです。青色申告会の対象は基本的には個人の申告です。法人の場合、「法人会」という別の組織があります。では、法人会とはどんな組織なのでしょうか?

法人会のHPには次のように書かれています。

「法人会は公平で健全な税制実現のため、会員企業の声を立法府等にアピールするとともに、税の啓発や租税教育を積極的に進めています。」

 

法人会というのは、私はよく「交通安全協会」みたいな組織と説明しています。

(こんなことを言ったら法人会の人に怒られるかもしれませんが)入っていても特段、何かのサービスを受けられるというわけでもないのです。あえて言えば、税制改正などの情報が入ってくるのが特長でしょう。経営相談もされているようですが、経営相談は商工会議所や青色申告会なんかでもやっています。「法人会」の特徴とまではいえません。

 

会費は、個人の場合には月額500円、法人の場合には資本金の金額によって月額500円~4,000円といったところです。

 

また、よく法人会に加入していると税務調査が来なくなるといったことを言われる方がいらっしゃいますが、基本的にはあまり関係はないと思います。やはり、税制改正などの税の情報が得られるのが最大のメリットなのでしょう。ただ、それも税理士と顧問契約しているのでしたら顧問税理士から情報をもらえばいいとは思います。

 

前回のブログで、商工会議所(商工会)について書きました。今日のブログでは、青色申告会と法人会について書きました。入ったほうがいいのかどうなのか?

このブログを参考にしてみてください。