手技療法の治療院、介護事業の経営に役立つ最新情報や知って得する情報満載のブログです!

あけましておめでとうございます。

昨年は12月はなかなかブログの更新ができませんでしたが、今年もなるべくブログ更新をしていこうと思います。

いつもは顧問先の社長さんなり、総務経理の担当者さんから質問されたりしたことや、実際に私が経験したことなどをもとに書いているわけですが、今日はちょっと違う視点から書いていこうと思います。税理士の先生や税理士事務所の職員の方からいただいたことのある社会保険の月額変更にかかわるご質問について書いていこうと思います。

まず、以前にこんなご質問を税理士の先生からいただいたことがあります。

月給の方の月額変更というのはわかるのですが、時給者の場合、毎月、給与が変わりますよね?月額変更はどうやればいいのですか?

時給者や日給者の場合、確かに毎月の給与月額は変わります。この場合、どのように考えればいいのでしょうか。月額変更には原則的なルールが三つあります。

(1)昇給または降給等により固定的賃金に変動があった。
(2)変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
(3)3カ月とも支払基礎日数が17日以上である。

原則的にはこの3つです。このうちの(1)にかかわる部分の話です。つまり、「固定的賃金」という言葉の意味です。月給者の場合には、基本給や毎月変動のない手当になりますが、時給者の場合、時給単価ということになります。

時給単価に変更があってその月から3か月でみて2等級以上変動があることということになるわけです。

したがいまして、時給単価は変わらずに単に時間数が増えたために給与が上がった場合にはそもそも「固定的賃金」に変動がないことから対象にはなりません。

ただ、時給単価が変わらなくても、たとえば、引っ越し等によって固定的賃金の通勤手当があがって、時給単価に変更がないものの時間数が増えたために給与が上がったような場合には「固定的賃金」の変動があり、2等級以上の変動があるとなると時給単価に変更がなくても月額変更にはなります。

さて、次のご質問です。

標準報酬の上限にかかる場合、1等級だけでも月額変更しないといけないのでしょうか。

これは、たとえば月額130万円の報酬が140万円に変更した場合、健康保険の等級でいうと49等級から上限の50等級に変更となります。この場合、1等級しか変わっていないことになりますが、このように標準報酬の上限に係る場合、月額変更として扱います

もちろん固定的賃金の変更があって、支払基礎日数が17日以上あることが前提ですが、上限に係る場合には1等級であっても月額変更とします。

そうすると、厚生年金は上限の標準報酬が650千円です。650千円にかかる場合1等級の変動でも月額変更かというように考えるかもしれません。

たとえば、給与が63万円が66万円に変わった場合、等級は620千円から650千円にかわります。この場合、確かに1等級のみの変更で、標準報酬の上限に係る給与の変更ですが、これは月額変更というわけではないです。健康保険の等級は650千円の上があります。ですから、この場合には健康保険の標準報酬で見て2等級以上ということになります。たとえば、給与63万円の方が68万円になると、健康保険の等級が620千円から680千円と2等級変わるため月額変更に該当します。この場合、厚生年金は620千円から650千円になるだけで1等級しかかわらないことになりますが、月額変更に該当するということです。

自社で給与計算をやっている会社さんのほかにも税理士の先生も給与計算を行うことが多いため、どうしてもこうした月額変更にかかわる事務処理にかかわってきます。上記のような論点は、税理士の先生でも考えてしまうような論点なわけです。

参考にしていただければと思います。



さて、このブログも年末の忙しい状況に入ってしまい、なかなか更新できず、ご無沙汰しておりました。久しぶりに一つ記事を書きたいと思います。今日はコロナの借り入れをした際の印紙税の話です

まず、今日の話は新型コロナウィルスの影響を受けたことによって金融機関から借り入れをした場合の話です。コロナとは関係のない借入金の場合には関係のない話になります。

金融機関からお金を借りると借入金の契約書に一定の印紙を貼ります。たとえば、100万円以上500万円までだと2,000円、1000万円までだと1万円、5000万円までだと2万円・・・というような金額を借り入れの契約書に貼ります。印紙税は文書課税なので契約書の数だけ貼ります。2部作れば2部ともにその金額の印紙を貼る必要があるわけです。それが、いわゆる「コロナの借り入れ」をした場合、かからなくなるわけです。

今日はその少し先の話です。

もし仮にコロナの借り入れなのに印紙を貼ってしまったらどうなるのかという話です。

これは、特にコロナの借り入れが始まったころの4月とか5月くらいに金融機関から借り入れをしているケースによくあるようで、そのころは印紙を貼っていたケースがあったようです。その場合でも、はった印紙税は取り戻せます。

具体的には「印紙税過誤納確認申請書」という一定の用紙があり、そこに所定事項を記入していけばいいだけです。

具体的には以下の点を注意して記入すればいいでしょう。

・「文書の種類」のところは「消費貸借に関する契約書」と記載する

・「文書の名称または呼称」のところは「金銭借用証書」と記載する

・「納付年月日」の欄には契約書の日付を記載する

・「過誤納となった理由」の欄は「その他」にチェックをし、「新型コロナに係る非課税」と記入する

上記の内容を書き、還付口座を記入したうえで印鑑を捺印したら、あとは銀行や日本政策金融公庫の証明書の原本を添付すればOKです。

意外と簡単、そんなに難しくないことがわかると思います。

今日は新型コロナの借入金の印紙は非課税という話でした。



ブログの更新がしばらくぶりになりました。ここのところなぜか忙しく、なかなかブログ更新ができませんでした。

さて、今日はちょっと小ネタ的な話です。所得税の振替納税の話です。

税金の支払い方法というのは税金の種類によってまちまちです。最近は自動車税などはコンビニでも納付できるようになりました。源泉所得税などの国税もe-taxを使って納付することもできます。また、住民税や固定資産税、などの地方税の多くは口座引き落としができます。これを振替納税といっています。国税だと所得税がこの振替納税が利用できます。その所得税の振替納税の話が今日のテーマです。

この所得税の振替納税ですが、実は税務署ごとに届け出をしないといけません。つまり、引っ越しして納税地が変わって税務署の管轄が変わると、その都度、振替納税の届け出をしだし直さないといけないわけです

実務上は、結構、これを忘れるケースがあります。

引っ越ししたあと最初の確定申告書を無事に3月15日に提出したとします。毎年、振替納税だからということで特に銀行や税務署で所得税の納付はせずにいたとします。納税地が変わって税務署の管轄が変わっている場合には新たに振替納税の届け出をしないと期日に口座引き落とししてくれないわけです。振替納税当日になって、口座に残高を入れておいたのに引き落としにならずに「あれっ、なんで税金の引き落としにならないんだろう」と思うと、税務署の管轄が変わっているのに振替納税の届け出を忘れていた・・・こんなケースは結構あります。

このように税務署の管轄が変わっていて振替納税の再申請を忘れていた場合でも、2021年1月以降は「納税地の異動届出書」に振替納税を継続する旨を記載することで振替納税の口座を税務署間で引継ぎしてくれることになります

これは納税者側によっては朗報です。

今までは引っ越し等で税務署の管轄が変わっている場合、確定申告書と一緒に振替納税の届け出も3月15日までに出さないといけなかったわけです。それを振替納税の届け出を出し忘れていた場合、原則通りで納付期限は3月15日になるため、振替納税の届け出をしていないまま3月15日を過ぎてしまうと納付期限後の納付となってしまいます。結果的に、延滞税等がかかってしまうことがありえたわけですが、こうしたことがなくなるわけです。

ただ、実際、今までも税務署の管轄が変わった場合、税務署の方から「納付書送付継続依頼書」が送付された場合は、その依頼書を提出することで振替納税を継続することも可能でした。ただ、こうした手続きを取るまでもなく異動届に振替納税の継続を記載することで振替納税の継続ができるようになったということです。

ということで、今日は少し便利になった振替納税の話でした。



ベビーシッターを利用する場合、国から一定の割引券という補助を受けることができる制度があります。この制度のことを「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」といいます。今日はこの制度のことをみていきましょう。

 このサービスを利用する前に二つのことを確認する必要があります。一つは、利用者自身が割引券の以下のような使用条件を満たしているかということです。

1 当該割引券は、承認事業主が対象者に交付したものであること。
2 対象者は、承認事業主に雇用されており、乳幼児等の保護者であること。
3 対象者は、配偶者の就労・病気療養、求職活動、就学、職業訓練等により、又はひとり親家庭であることにより、サービスを使わなければ就労すること(職場への復帰を含む。)が困難な状況にあること。
4 対象者にサービスを提供するベビーシッター事業者は、割引券等取扱事業者等であること。
5 割引券等取扱事業者は、対象者と請負契約を締結することによりサービスを提供していること。

次に、お勤めの企業がベビーシッター派遣事業の利用を予定しているかを確認する必要があります。

 割引券利用が可能なベビーシッター事業者を利用の上、利用料金の支払いにあたっては、必ず領収書を受け取り、保存することになります。
 割引券の交付後、利用したベビーシッター事業者へ領収書と割引券を提出の上、割引料金の支払いを受けてください。

割引券の利用は、1日(回)対象児童1人につき1枚、1か月に1家庭24枚までとなっています。ただし、例えば、きょうだいが2人の場合、1日2枚までとなっています。 割引券1枚当たりの割引金額は、2,200円です。また、また所得制限は特にありませんから、所得金額が高い方もこのサービスを利用できます。

割引券は、利用料金が1回につき2,200円以上のサービスを対象とします。なお、この場合における利用料金とは、ベビーシッター事業者から請求される料金のうち、純然たるサービス提供対価のことをいい、会費、交通費、キャンセル料、保険料等のサービス提供に付随する料金は含まないことになっています。また、自社のベビーシッターが自社の職員に提供するサービスについては、対象となりません。

割引券の対象となるサービスとしてはベビーシッター事業者が提供するサービスのうち、乳幼児又は小学校3年生までの児童、その他健全育成上の世話を必要とする小学校6年生までの児童の家庭内における保育や世話及びベビーシッターによる保育所等や認可外保育施設への送迎に限るものとしています。

また、保育等施設への送迎は、原則として家庭内における保育等のサービスに必要な送迎であって、次のものを充たす場合にのみ割引券の対象とします。

・家庭と保育等施設との間の送迎であって、保育等施設間の送迎ではないこと。

・同一家庭以外の複数の乳幼児等を同時に送迎するものでないこと。

・送迎の間の行程や乳幼児等の様子について、ベビーシッターが保育記録として記載しており、それにより保護者に報告していること。

・ベビーシッターの所属するベビーシッター事業者(法人格を有し、協会が実施要綱に定める割引券等を取り扱う事業者として認定した者)が運営する保育等施設の送迎でないこと。

次に割引券の発行には割引券利用手数料が必要です。手数料は割引券1枚につき中小事業主(労働者数が1,000人未満の事業主)は70円、それ以外の事業主は180円です。会社側はこの利用料金を支払う必要があります。金額は大きくありませんが、会社側の一定の協力も必要ということです。

また、このベビーシッター割引券はコロナ禍で拡充されています。

新型コロナウイルス感染症によって、小学校等が臨時休業等 になった場合に、保護者が仕事を休んだり放課後児童クラブ等 も利用できず、ベビーシッターを利用した場合の利用料金を補 助するものです。

コロナ禍の特例では、次の①~③に当てはまる方が特例措置の対象となり、ベビーシッターの利用券を利用できる対象となっています。

①個人で仕事をしている(自営業、フリーランスなど)

②配偶者が仕事をしていたり、ひとり親であったりして、ベビーシッターを利用しないと働き続けられない

③新型コロナウイルス感染症の影響で子供の通う小学校や保育 所等が休校・休園等になっている

また、割引券(2,200円/枚)は 平常時が1日の上限枚数:1枚/人 のところを、このコロナ禍の特例では、5枚/人になっています。また、平常時だと、1か月の上限枚数: 24枚/家庭となっていますが、このコロナ禍の特例では120枚/家庭 となっています。さらに、平常時の年間の上限枚数 :280枚/家庭 のところをこのコロナ禍の特例では上限なしとなっています。

さて、このベビーシッターの割引制度ですが、一点注意点があります。所得税や住民税が課税されるということです。割引を受けた分、確定申告して税金を支払わないといけないわけです。

たとえば、2,200円の割引券を上限の年間280枚利用した場合、2,200円×280枚=616,000円の補助が受けられます。 ただし、その616,000円は確定申告をしなくてはいけなくなります

所得区分は「雑所得」となります。給与のみだった場合、年末調整した源泉徴収票とともに申告が必要となるわけです。

また、所得税の確定申告が発生するのは給与所得者の場合、雑所得が20万円を超える場合です。このベビーシッターの割引制度を利用することで所得が発生する人であってもその金額が20万円以下(20万円ちょうども含みます)で、他に雑所得やそれ以外の所得がないようだったら申告はしなくていいことになります。

ただし、上記にご紹介したコロナ禍で拡充した特例制度でのベビーシッターの割引制度を利用した場合には、非課税所得となるため、申告は必要ありません。

コロナ禍の特例を使ったほうが有利になりますからその点、注意しましょう。

ちなみに、このベビーシッターの割引制度を利用した場合に課税されるという話は来年度の税制改正では非課税になるという話が出ているようです。この点は今後も注意してみていく必要があるでしょう。

それから、今回は国のベビーシッターの割引制度をご紹介いたしましたが、自治体によって独自に割引制度を設けているところもあります。お住まいの自治体でそうした制度があるかも確認してみましょう。

ということで、今日は「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」をご紹介いたしました。



以前に法人の代表者変更をした時の届け出の話をしました。

今回は法人の所在地の変更があった場合の税務、社会保険、労働保険などの届け出について書いていこうと思います。

法人の所在地変更の届け出関係は実は少し複雑です。

所在地の変更がどこからどこに変更したかによって、どこに届け出をするのかが変わってくるからです。税務署、年金事務所、労働保険など、統一性はないためちょっと、やっかいです。順番に見ていきましょう。

まず、代表者の変更と同じ点があります。それは、登記所への届け出を一番最初にすべきということです。登記所に届け出をして、本店所在地変更後の謄本を添付して様々な手続きをしていくという流れになります。

まず、登記の変更についてです。

本店所在地の登記の変更は登記所の管轄内の届け出か、管轄外への届け出かによって手続きの仕方が異なります。登記所にはそれぞれ管轄区域があります。管轄登記所の変更がない所在地変更と登記所をまたがって別の登記所への所在地の変更とで手続きの仕方が違ってくるわけです。管轄が変わると手続きが変わるというのは役所側の発想といえばそうなのですが、この管轄内の移転か管轄外の移転かという点は、本店移転の手続きを通して気にしないと手続きができない点ですから、まずはそこを気にするという点を頭に入れておきましょう。

登記所の管轄内の移転であれば手続きはそれほど難しくはありません。議事録等を添付して所在地の変更の手続きすればいいだけなので、以前に解説した代表者の変更とそれほど大きな違いはありません。もし管轄区域内の移転であれば、法務局の出している記載例などを参考にして議事録を作ってみてください。

ちょっと面倒なのが、管轄外への移転の場合です。管轄区域外への移転の場合、流れとしてはまずは移転前の登記所に移転する旨の議事録を添付して移転する登記をします。いったん移転前の登記所で登記をするわけです。そのうえで、移転した後の登記所に改めて登記されている内容の届け出をするという流れになります。登記されている内容というのは、「商号」(会社名のことです)「所在地」「目的」「資本金」「取締役の名前」・・・といった登記されている事項のすべてを新しい登記所で改めて登記しなおすわけです。

これだけでもなんだか面倒な感じがするかもしれません。

移転前の登記所に移転する議事録を添付し、移転しておいてから、新しい登記所登記事項のすべてを登記しなおす。その流れをまずは知っておきましょう。

そのうえで、この移転前と移転後の書類のすべてを移転前の登記所に出します。移転前・移転後、それぞれの登記所に書類を出すわけではないという点も注意点です。

新しい登記所では印鑑の登録もされていませんから、印鑑届も移転後の登記所への書類に添付が必要です。

移転前の登記所でこれらの書類をチェックして移転後の登記所へ書類を送付するようです。そのため、管轄外への移転の場合、登記完了までが通常よりも少し時間がかかります。

時間がかかるという点も知っておいたほうがいいでしょう。

さて、登記所の手続きが終わったとします。その後は税務署、都道府県税事務所、市町村、年金事務所、労働保険、雇用保険とそれぞれ手続きしていきます。

まず、税務署ですが、これは税務署の場合も管轄をまずは確認してください。管轄の税務署が変わらないのだったら同じ税務署ですから「異動届」をその税務署に出せば終わりです。問題なのは税務署の管轄が変わる場合です。

この場合には、異動前の税務署に「異動届出書」を提出します。異動後の税務署には提出しなくてもいいです。この際に、登記簿謄本の提出は不要です。税務署への届け出は添付書類がいらないという点は、本店移転の手続きを通じて特徴点かもしれません。

次に、都道府県税事務所と市町村への届け出です。こちらは異動前・異動後の両方の都道府県税事務所・市町村に「異動届出書」を提出します。

ただし、東京都の場合、異動前の納税地に異動届を出せばそれでいいことになっています。また、都のHPによると異動後の納税地に出しても問題はないということです。

東京都の都税事務所の場合には異動前か異動後かどちらかの都税事務所に異動届を出すようにします。

税務署と異なり、都道府県税事務所や市町村への異動届は移転後の登記簿謄本の写しの添付が必要となります。忘れずに添付しましょう。

そして、社会保険の手続きです。

税務署や都道府県税事務所などと同じく、まずは年金事務所の管轄を確認しましょう。管轄内での移転だったら簡単です。「適⽤事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」を出せばそれで終わりです。

では、管轄外の移転だったら移転前と移転後のどちらの年金事務所に届け出をしたらいいのでしょうか。

これは移転前の所在地の管轄の年金事務所へ「適⽤事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」を出すことになります。

年金事務所への本店移転の届け出は「事実発生から5日以内」となっています。しかし、登記簿謄本を添付しなければならないことから5日以内というのは実質的には難しいでしょう。実務上は登記が完了したら早めに届け出を出すということになるだろうと思います。

最後に労働保険(労災保険・雇用保険)の手続きです。

労災保険と雇用保険の手続きは労災保険の手続きが先になります

まず、同一の都道府県内の移転の場合です。

同一都道府県内の移転の場合、管轄の労働基準監督署が変わるか、変わらないかで分かれます。管轄の労働基準監督署が変わらなければ簡単です。「労働保険名称・所在地等変更届」を移転後10日以内に提出します。ただし、登記簿謄本かもしくは賃貸借契約書など、事業実態のわかるものを添付する形です。登記簿謄本でなくてもいいことから、他に所在地移転のわかる書類があればそれで手続きしてもいいでしょう。登記簿謄本を添付するのなら、登記が完了した後の手続きになります。10日以内だと間に合わない可能性がありますが、その場合にはなるべく早めに出すようにすればいいでしょう。

同一都道府県で労働基準監督署が管轄外の移転の場合には、移転後の労働基準監督署に労働保険名称・所在地等変更届」を出します。

この場合も変更後の登記簿謄本もしくは賃貸借契約書を添付して提出します。労働基準監督署の管轄の変わる本店移転の場合、新しく労働保険番号が振られます。労働保険番号は以前のものは使えませんのでその点は注意しましょう。

そして、意外と面倒なのが都道府県をまたいだ移転の場合です。

前提として、営業所は本店所在地のみだったとします。

都道府県が変わると管轄の労働基準監督署はもちろんですが、監督署の一つ上の役所である労働局も変わります。管轄の労働局が変わる場合、手続きとしては旧本店所在地の都道府県の労働保険関係をいったん廃止して、新しい都道府県で新たに労働保険に加入するという流れになります。つまり、移転前の都道府県では労働保険料精算をして廃止をするわけです。移転後の都道府県では、「労働保険名称・所在地等変更届」で対応するのではなく、「労働保険関係成立届」と「概算労働保険料」の申告という形でまったく新しく事業を始めるのと同じ手順で手続きします。労働保険の場合、都道府県が変わる移転は意外と面倒なんです。

さて、労働保険の手続きが終わったら今度は雇用保険です。雇用保険の本店移転は、変更のあった日の翌日か10日以内に「雇用保険事業主事業所各種変更届」を、事業所の所在地を管轄するハローワークに提出します。これも雇用保険の管轄を確認して管轄に変更がなければこの届け出を出せばそれで終わりです。

ハローワークの管轄が変わる場合、これは移転後の所在地を管轄するハローワークへ「雇用保険事業主事業所各種変更届」を出します。この際に、「労働保険名称所在地等変更届」の控と本店所在地の確認書類を添えて、事業所の所在地を管轄するハローワークに提出します。労働基準監督署と同じく、賃貸借契約書であれば登記が終わってからということはないのですが、登記簿謄本を添付して本店の所在地変更の届け出をする場合、やはり登記が完了してからの手続きとなります。

また、労働保険の「労働保険名称所在地等変更届」の控えを添付することが必要なことから、労働保険の手続きも終わらないと手続きできません

それから、上記の労働保険は雇用保険の手続きは一元適用事業(労災と雇用保険が一体となっている場合)を前提としています。建設業などの二元適用事業の場合には、労災保険については、移転後の所在地を管轄する労働基準監督署に「労働保険名称、所在地等変更届」を提出し、雇用保険については、移転後の所在地を管轄する公共職業安定所に「労働保険名称、所在地等変更届」及び、「雇用保険事業主事業所各種変更届」を提出することになります。

いかがでしたでしょうか。

本店移転した場合の手続きはなかなか複雑だと思います。

ちなみに、このブログでは支店等の複数の営業所があることを前提とせず、本店所在地のみに営業所がある場合を前提に進めましたので、その点、ご承知いただければと思います。

ということで、今日は本店移転をした場合の手続きについての話でした。



今日はまた最近、私の顧問先でもあった話です。

基礎年金番号がわからなくても社会保険の加入や喪失などの手続きができるのかという話です。

社会保険の手続きには以前は「基礎年金番号」が必須でした。

そのことはこのブログでもかなり以前に書いています。↓

このブログを書いたときは上記のような取り扱いで、原則、基礎年金番号が不明だと原則的には手続きできませんでした。ですが、この後、マイナンバー制度の普及に伴い、平成30年3月以降の届け出については、原則、マイナンバーがわかれば基礎年金番号が不明であっても手続きができるようになりました

マイナンバーの記載をして紙で社会保険の手続きを年金事務所に提出する場合には、その手続きの対象者のマイナンバーカードの写し、もしくは、マイナンバー通知書の写しと免許証等の本人確認書類の写しの提出も必要となってきます。

いまだに上記の「基礎年金番号が不明な場合の社会保険の手続きはどうするのか?」という私のブログを参照されている方が一定数、いらっしゃるようなので、このページをご覧になった方、気を付けてください。現在は変わっています!基礎年金番号が不明でもマイナンバーだけで手続きできるようになっています!!

それから、電子申請だと、マイナンバーカード等の添付書類も不要になっています。その意味でも、電子申請で手続きすることをお勧めします。

マイナンバーでの手続きが主になっているということは、日本年金機構の下記のページも書いてあります。ぜひ、参照してみてください。

https://www.nenkin.go.jp/service/mynumber/1224.html



年末調整の時期が近くなってきました。職場でもこれから年末調整の書類の記入をするケースが多くなってくるはずです。今回の年末調整では今までにない書類が増えたり、「ひとり親控除」という新しい控除ができたりと、実に改正が多くなっています。

今日はその中から、「内縁関係」の場合にどのように変わったのか、見ていきたいと思います。

内縁関係の場合、税務は配偶者控除は取れませんが、社会保険の扶養には入れます。ここは変更はありません。変わるのは「寡婦控除」「ひとり親控除」の部分です。寡婦控除とひとり親控除については以前にこのブログでも書いていますので、下記を参照してみてください。

ここで問題なのは、従前はたとえば、寡婦であって内縁関係の夫がいる場合、婚姻関係にはないので「寡婦控除」は継続して取れました。ところが、税法改正で今回の年末調整から内縁関係の者がいる場合、「寡婦控除」もしくは「ひとり親控除」は取れなくなりました。今回の改正で事実婚の関係の者がいる「寡婦」もしくは「ひとり親」はこれらの控除の対象ではなくなったのです。

問題なのは、この「事実婚」というのをどういう形で確認するのか、ということです。「事実婚」というのは原則的には本人から申し出がなければわかりません。ただ、本人から申し出がなくても会社側で「事実婚」とわかるケースがあります。社会保険の扶養に入るために住民票に「未届の夫」「未届の妻」と記載するケースがあります。これらの記載のある住民票を添付して事実婚であるけれども社会保険の扶養に入るようなケースです。このような場合には、会社側でも届け出の書類を確認していますから、「事実婚」の関係にあることの把握ができます。この住民票の「未届の夫」「未届の妻」と書かれている場合には配偶者控除はもちろん、「寡婦控除」「ひとり親控除」が取れないということになります。

令和2年1月23日付で総務省から各市区町村へ向けて、住民票に「未届の夫」「未届の妻」と書いてあるケースで寡婦控除やひとり親控除を取っていないことを確認するようにという通知が出ています。またこの確認をした場合にはその情報を税務署と共有するようにということになっています。つまり、市区町村側で「未届の夫」「未届の妻」と書いてある住民票がある場合、かならず税務署にもその情報がいくようになっているわけです。

おそらく実務上、事実婚であるために寡婦控除やひとり親控除が取れないのは、本人からの申し出がある場合以外にはこのケースくらいなのではないかと思います。

ちなみに、この住民票の「未届の夫」「未届の妻」と書いて事実婚であることを示す方法ですが、住民票が同じでないとできないことになっています。住所が別の場合にはそもそもこの「未届の夫」「未届の妻」と記載はできません。法律上婚姻関係にある場合で社会保険の扶養となる場合、同居は要件とされていませんから、住民票の所在地が別であっても社会保険の扶養になることは可能です。この辺も事実婚と法律上の婚姻関係にある場合の違いとして認識しておきましょう。

実際、「未届の夫」「未届の妻」と住民票に書いてお子さんがいらっしゃる場合、社会保険の扶養は継続できますが、「寡婦」「ひとり親」を継続することはできなくなります。一方で、婚姻関係になったとすると、社会保険の扶養はもちろんできますし、(多くは「夫の方で」となるでしょうが)配偶者控除も取れますが、婚姻関係になった以上、「寡婦控除」「ひとり親控除」は取れません。

この年末調整を機にこうした状況にある方はどうするのがいいのか、検討が必要でしょう。

以上、今日は内縁関係の方の年末調整の話でした。



大塚家具の代表だった大塚久美子氏が社長を退任するというニュースが飛び込んできました。私の顧問先でも最近あった話ですが、今日は法人の代表者が変更したときの手続きはどうしたらいいのかという話です。

登記、税務、社会保険、労働保険と一連の手続きがどうなっているのか、見ていきましょう。

まず、法人の代表者が変更した場合、様々な手続きがある中で一番最初にやるべきことは登記です。登記が完了したあとに税務署や年金事務所に手続きすることになります。

登記の変更の時の注意点としては「印鑑カード」です。「印鑑カード」は以前のものを引き継ぐのか、新しく発行するのかというのがあります。「印鑑カード」とは印鑑証明書などを発行する際に必要なものです。前代表者の親族が代表者を引き継ぐ場合には、印鑑カードも引き継ぐ形を取ることが多いと思います。そうでないようなケースの場合、新たに印鑑カードを発行することになるでしょう。

この印鑑カードのことを記載した「印鑑届」のほか、代表者変更の登記には株式会社であれば「株主総会議事録」や「株主リスト」、旧代表者が辞任して代表者が変更するのであれば「辞任届」が必要となります。そのほかに、新代表の印鑑証明書も必要となります。

さて、無事に代表者変更の登記が済んだとします。そうなると、次に、税務署や都税(県税・府税)事務所、市町村への届け出をするという流れになります。

税務署、都税(県税・府税)事務所、市役所といった税務関係の届け出は税務署だけ少し違います

税務署は「異動届」というのを出してそれで終わりです。付書類は特に必要ありません。

一方で、都税(府税・県税)事務所や市役所は変更後の登記簿謄本を添付して出します

添付資料に登記簿謄本が必要かどうかの点が変わってきますので注意しましょう。

さらに、社会保険に加入していたのなら、社会保険の「事業所関係変更(訂正)届」というのを出さないといけません。

事実が発生した日から5日以内となっていますが、登記簿謄本を添付しないといけないので、実際上は登記が完了してから手続きをすることになります。代表者変更の登記が済んだら早めに手続きすればいいでしょう。

それから、労働保険(労災保険や雇用保険)ですが、これは特に手続きは必要ありません。労働保険は代表者が誰というのは特に届け出を必要としていないのです。

ちょっと意外に思うかもしれませんが、手続きをしようとして届け出の方法がないのでそれで気づくかもしれません。労働保険は届け出しないという点も注意しましょう。

あとは、役所ではないですが、銀行などにも登記簿謄本の写しを通常は出すことになるはずです。これは銀行側からたぶん言われます。以前は通帳には「株式会社○○代表取締役○○」と代表者の名前まで入れていましたが、現在は会社名だけです。ですが、銀行は変更後の登記簿謄本を出すように言うのではないかと思います。

ちなみにですが、登記簿謄本というのは「全部履歴事項証明書のことです。たまに顧問先の社長さんから登記簿謄本って全部履歴事項証明書のことですか、と聞かれます。そうです。正式名称は全部履歴事項証明書です。同じことだと理解しておいてください。

また、たとえば結婚して姓が変わったりした場合も代表者の変更と同じ扱いとなります。手続き的には同じような手続きとなります。

ただ、登記に関しては姓の変更は株主総会議事録は必要ないです。代表者の変更といっても姓が変わっただけなのだったらそもそも株主総会を開いて承認を得るようなことではないですからね。

ということで、今日は代表者が変更した場合の手続きの話でした。



本政策金融公庫や商工中金などのいわゆる政府系金融機関からコロナの融資をうけた事業者の方は、「特別利子補給制度のご案内」というのが届いていると思います。

「この書類はどうしたらいいの?」というお問い合わせを私の顧問先からも数多くいただいております。今回はこの「特別利子補給制度」について、解説したいと思います。

まず、この政府系金融機関での新型コロナウィルス感染症特別貸付を受けた場合の利子補給制度の概要からお話を進めましょう。

新型コロナウィルスの貸付を受けた事業者に対して、借入した日から最長3年間の利子相当額のお金をもらえるというのがこの制度の概要です。

新型コロナウィルス感染症の影響で売り上げが減少した事業者向けの制度であるということがまずあります。

さて、この利子相当額の助成金を受けるにはどんな要件が必要でしょうか。

次の3つのうちのいずれかに当てはまることが必要となります。

①個人事業主・・・要件なしですべて該当します。

②法人のうち小規模事業者・・・前年もしくは前々年同月比で売り上げが15%以上減少していること

③②以外の法人(中小企業者等)・・・前年もしくは前々年同月比で売り上げが20%以上減少していること

個人事業者の場合には無条件でこの利子補給制度を使えます。法人の場合には②に該当するのか、③に該当するのかという判断が出てきます。

②に該当するのがどういう法人かがわかればいいわけです。

これは二段階あります。

まずは、業種です。これは「日本標準産業分類」というので判断します。法人の主たる事業がこの日本標準産業分類のどれにあてはまるのかを判断しないといけません。

これは、利子補給制度の「申告書A」の裏面に記載があるのでそれで確認しましょう。業種によって従業員数が20人以下なのか5人以下なのかが変わってきます。

②に該当すれば売り上げの減少が15%で要件クリアとなりますし、②に該当しない中小企業なら売り上げの減少が20%以上となります。

さて、この要件に当てはまったとします。次に、「申告書A」の「2 売上高減少判定」という部分でみなさん悩むようです。これは先ほど判定した売り上げの減少のところを確認する欄です。日本政策金融公庫等の政府系金融機関での借り入れの申し込みをしたときに売上の減少が15%以上もしくは20%以上となっているというのを確認するためのものです。

政策金融公庫で借り入れをする際、この売り上げの減少というのを確認しているはずです。それを書いていきます。

この利子補給制度の用紙の肝はここになりますから、くれぐれも売上の減少が要件を満たしているか、きちんと確認していきましょう。

それから、「申告書」のほかに提出する書類は2つ、全部で3つです。

「様式1」特別利子補給助成金交付申請書及び請求書

「別紙1」誓約・同意書

「別紙2」申告書

「様式1」と「別紙1」は記入していくだけです。問題はないでしょう。

「別紙1 誓約・同意書」と「別紙2 申告書」の右上に「取引番号」を記載する欄があるので記載を忘れないようにすれば他は問題ないと思います。

また、「申告書」ですが、業歴が1年1か月以上の場合は「申告書A」に書いていくことになります。ですが、業歴が3カ月以上1年1か月未満の場合には、「申告書B」個人事業主の場合には、業歴が1年1か月以上の場合には「申告書C」個人事業主で業歴が3カ月以上1年1か月未満の場合には「申告書D」となります。

業歴が1年1か月未満と短い場合、この利子補給制度が使えないわけではありません。「前年または前々年」との売り上げの比較になっているので、書けないとお思いの方もいらっしゃるでしょうが、そもそも用紙が違うのです。また、個人事業主の場合、これも用紙が違います。政策金融公庫等から送付されてきた中にはこうした「申告書B」「申告書C」「申告書D」が入っていないこともあるかもしれません。自分がどれに該当するのかよく注意してください。

用紙がなければ、「新型コロナウィルス感染症特別貸付利子補給制度で検索すれば専用サイトが表示されます。そのサイトから探して印刷してみてください。

それから、申請書は出したら出しっぱなしです。控えはありません。コピーを取って提出したほうがいいでしょう。提出は専用の返信用封筒があるはずです。もし専用の返信用封筒をなくしたのであれば、お持ちの封筒でお送りすればいいでしょう。その場合、10月27日以降は送付先が変わっていますから注意しましょう。(10月27日以降も旧送付先に送っても問題はないようです)送付先はこれも「新型コロナウィルス感染症特別貸付利子補給制度」の専用サイトに記載されていますからそれをみて送ってください。

そして、この利子補給制度は申請期限があります。12/31までに提出が必要です。期限がある話ですから、間に合うように十分に留意しましょう。

その他、ここに書ききれなかった細かなことは下記の「新型コロナウィルス感染症特別利子補給事業について」を参照してみてください。

https://www.smrj.go.jp/news/2020/riho.htm

ということで、今日は政府系金融機関の利子補給制度の話でした。



さて、今日はよく顧問先等から質問される話です。

社員の住所が変わったのは社会保険の届け出が必要なんですか」というものです。

健康保険や厚生年金の届け出の際にマイナンバーを原則的には記載するようになりました。そのことと住所変更の届け出の有無は関係しています。

たとえば、入社時に基礎年金番号を書かずに届け出の用紙にマイナンバーを記載して届け出したとします。そういう方は社会保険とマイナンバーが紐づいているため、住所の変更に関しては届け出の必要はありません。

このようにマイナンバーと基礎年金番号が届け出などを通じてきちんと紐づいている方は住所の変更があったとしてもそのことを年金事務所等へ届け出る必要はありません

以前は住所の変更があると「厚生年金住所変更届」というのをその都度、提出していたのでそのことが頭にある方は「住所の変更があったので届け出をしてほしい」といったお話をいただくことがあります。ですが、原則的には届け出が必要なくなりました

ただ、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいていないケースがあります。

たとえば、マイナンバーを有していない海外居住者、短期在留外国人、住民票住所以外の居所を登録する場合などがそうです。

実務上は、私の顧問先でもあったのですが、日本国内に住所があっても、住所変更がされていないケースがあるようです。ねんきん定期便が旧住所から転送されるといったことからわかることがあるようです。このような場合には、個別に「厚生年金住所変更届」を出す必要があります。

このように実務上はねんきん定期便等の郵便で届く年金の加入記録が転送されるような場合に届け出をしていくという対応になるのだろうと思います。

また、電子申請でも住所変更の届け出はできますが、第3号被保険者の住所変更の場合には電子申請できないので紙で郵送するか、直接、年金事務所へ提出することになります。

以上、社会保険の住所変更の話でした。