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今日は厚生労働省の「補助金」の話です。

エイジフレンドリー補助金」というものです。

厚生労働省というと「助成金」は多くありますが、これは「補助金」です。

つまり、申請をして交付決定がでたら、期間中に対象とした費用を支払い、その報告をするという流れになります。要件に該当したら支給されてそれで終わりとなる「助成金」との違いです。

この「エイジフレンドリー補助金」は高齢者の労災に対する予防という目的があります。補助金は何のためにやるのか、というのは把握しておいたほうがいいです。申請の際にこの視点で書類を作成する非筒用があるからです。

また、この補助金は、60歳以上の方を上記1名以上雇用している中小事業主であれば対象となりますから、かなりの中小企業が該当する可能性があると思います。

補助される補助金は「高齢者労働者のための職場環境改善に要した経費」の2分の1(最大100万円)です。では、具体的に「高齢労働者のための職場環境改善に要した経費」とは、どのようなものでしょうか。具体的には以下のようなものです。

【働く⾼齢者の新型コロナウイルス感染予防】

◇ 介護におけるリフト、スライディングシート等の導⼊

◇ 介護における移乗⽀援機器等の活⽤

◇ 客室への荷物配送、配膳等の⾃動搬送機器の導⼊

◇ 熱中症の初期症状等の体調の急変を把握できる⼩型携帯機器 (ウェアラブルデ バイス ) による健康管理システムの利⽤

【⾝体機能の低下を補う設備・装置の導⼊】

 ◇ 通路の段差の解消(スロープの設置等)

 ◇ 階段に⼿すりの設置

◇ 床や通路の滑り防⽌対策(防滑素材の採⽤、防滑靴の⽀給)

 ◇ 暗い作業場所の照度の改善

◇ 危険箇所への安全標識や警告灯等の設置

◇ ⾼齢者に聞きとりやすい中低⾳域の警報⾳に交換

◇ 作業時の有効視野を考慮して警告・注意機器の配置の改善

◇ 業務⽤の⾞両への⾃動ブレーキ⼜は踏み間違い防⽌装置の導⼊

◇ 熱中症リスクの⾼い作業がある事業場での涼しい休憩場所の整備

◇ 体温を下げるための機能のある服などの⽀給

◇ 不⾃然な作業姿勢を改善するための作業台等の設置

◇ 重量物搬送機器・リフトの導⼊

◇ 重筋作業を補助するパワーアシストスーツ等の導⼊

【健康や体⼒の状況の把握等】

◇ 安全で健康に働くための体⼒チェックの実施

◇ 健康診断や⻭科健診、体⼒チェック等に基づいた運動指導、栄養指導、保健指 導等の実施

◇ 保健師やトレーナー等の指導による⾝体機能の維持向上活動

 【安全衛⽣教育】

◇ 加齢に伴う労働災害リスクの増⼤の理解促進のための教育

◇ ⾼齢者の理解度を測りつつ反復実施する安全衛⽣教育

上記のような例示に該当しそうなものがあり、60歳以上の方を1名以上雇用されているのでしたら、この補助金を検討するに値します。

補助金は申請期間というのが必ずあります。

この補助金は6月12日から10月31日までが申請期間です

今から申請の書類を準備し始めても十分に間に合います。

また、申請をして「交付決定通知」を受けてから実際に費用の支払いをしていきます。この費用の支払いをして、たとえば手すりを付けるとか、段差を解消するということをやっていきます。すぐに手すりを付けたいとか段差を解消したいとかという都合がある場合、補助金の性格とあっていない可能性があります。決定前にすでに支払ってしまったものは対象外となりますから、この支払時期や対策の実行時期が一定期間内に縛られるという点が問題ないのかは検討してみてください。

また提出先はハローワークではありません。「一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会」です。提出先にも注意しましょう。

それから、最後に、これは「補助金」です。つまり、審査が通らないといけないわけです。高齢者の安全衛生確保に努めるとか、体制の整備の計画を立てていることなどは必須の条件ですが、それ以外にも、実施しようとする取り組み内容が積極的な内容であったり、高齢者を現に多く雇用していたりすれば、それらは補助金の審査上、点数が加算されます

なるべく多くの加算の項目を作ることが補助金の受給にあたっては大事になります。要は、より積極的に高齢者を採用し、高齢者雇用の対策をきちんとしている事業所がより有利になります。その点は留意しましょう。

ということで、今日は「エイジフレンドリー補助金」の話でした。



今日は東京都の独自の助成金の話です。
雇用調整助成金を受給した事業者が対象の助成金です。

雇用調整助成金緊急雇用安定助成金、あるいは小学校休業等対応助成金(正確には両立支援助成金【新型コロナウィルス感染症小学校休業等対応コース】)を受給した事業者が対象となります。

1事業所あたり10万円受給されます。受給できるのは1回だけです。

対象となるのは東京都内に雇用保険の適用事業所のある事業所がある事業者です。
また、緊急雇用安定助成金を受給した事業者の場合には雇用保険に入っていなくても労災保険に入っていれば受給できます。この労災のみに入っている場合に緊急雇用安定助成金を受給した場合には、労災保険の対象となる事業所が東京都内にある必要があります。

いずれにしても、事業者が上記の3つの助成金のうちいずれかを受給していたら10万円の申請ができます。

10万円が支給されるためにやることは二つです。
一つは「非常時における雇用環境整備」です。これは今回のようなコロナに限らず、台風や風水害などの非常時に事業所としてどういう対応をするのかというものです。具体的には、テレワークを実施するとか、時差通勤を行うといったようなことです。事業を継続するまたは雇用を継続することができる体制を整えるというのが一つ目です。

もう一つが、「非常時における対策の確認」というものです。たとえば、感染症対策として、マスクや消毒液を備蓄するとか、検温・手洗い等の徹底といったものです。

上記の二つの内容を「非常時における雇用環境整備 計画書」という書類に書いていきます。

そして、東京都の助成金の場合はほぼ共通なのですが、交付申請の期間⇒実施期間⇒実績報告という順で行います。つまり、いつ何をやるのかというのが決まっています。その期間に決まったことをする必要があるわけです。

現状だと、8月は8/7~8/31の期間中に申請をし、10/1~10/31に取り組みを実施し、11/2~11/25も実績報告するという流れになります。

交付申請期間で用意する書類は、雇用調整助成金などの「支給決定通知書」のほか、印鑑証明書や都民税の納税証明書や法人の場合には法人登記簿謄本、預金通帳の写し、誓約書(東京都指定の様式)など、それほど難しくはないものです。

とにかく、雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金や小学校休業等対応助成金を受給した場合には、東京都の上乗せの助成金が受給できるということをまずは知っておきましょう。
申請も11月末まであります。3つの助成金の決定通知書がきたら東京都の助成金のことを思い出して、是非支給申請してみてください!



年末調整にはまだだいぶ時間があります。税制改正で令和2年から適用されるものに「ひとり親控除」というのがあります。年末調整までまだ時間のあるこの時期だからこそ、早めに理解しておいたほうがいいでしょう。

今日はなるべくわかりやすくこの「ひとり親控除」をご説明したいと思います。

まず、「ひとり親控除」を説明する前に従来からある「寡婦控除」と「寡夫控除」をご説明いたします。

寡婦控除というのは納税者自身が「寡婦」である場合に受けられる控除です。

「寡婦」の方は対象となるのは女性です。寡婦とは、夫と死別した人、もしくは夫と離婚した後婚姻をしていない人で、扶養親族もしくは生計を同じくする子がいる人です。この場合、お子さんは、令和2年分以後は所得が48万円以下であることが要件です。

また、夫と死別した後婚姻をしていないで、合計所得金額が500万円以下の人も寡婦となります。この場合には、扶養親族などの要件はありません。

また、寡夫控除とは、納税者本人が、「寡夫」であることが要件です。女性の場合には「寡婦」で男性の場合には「寡夫」です。

この「寡夫」とは、次の三つの要件の全てに当てはまる人です。

・所得金額が500万円以下であること。

・妻と死別し、若しくは妻と離婚した後婚姻をしていないこと

・生計を同じくする子がいること。
この場合、お子さんは、令和2年分以後は所得が48万円以下であることが要件です。

結構、わかりづらいかもしれませんから、まとめてみましょう。以下のようになります。

寡婦

①夫と死別もしくは離婚+生計を同じくする子どもがいる

②夫と死別し婚姻をしていない+所得が500万以下(お子さんがいない)

寡夫

 妻と死別もしくは離婚+所得が500万以下+生計を同じくする子どもがいる

所得控除の金額は27万円です。

加えて、寡婦の場合、上記の①にあてはまるケースで所得金額が500万以下の場合、「特別の寡婦」となります。この「特別の寡婦」になると控除額が通常の27万円から35万円となります。「寡夫」には「特別の寡婦」のような制度はないので、「寡夫」の場合には控除額は27万円のみです。

さて、この「寡婦」「寡夫」と比較しながら「ひとり親控除」をみていきましょう。

「寡婦」にしても「寡夫」にしても「婚姻していた」というのが前提にあります。そうすると、たとえば「シングルマザー」のように最初から結婚していなくてお子さんがいる方には「寡婦」控除の適用は初めからないことになります。また、「寡婦」と「寡夫」で控除の仕組みが違います。男性と女性で控除が違うわけです。こうした従来からあった不公正の見直しを図ったのが「ひとり親控除」です。「ひとり親控除」は婚姻しているかいないかは問わず、お子さんのいるひとり親であれば受けられる控除です。要件は以下のように整理されます。

所得金額が500万円以下であること。

・生計を同じくする子がいること。

寡夫控除には上記の要件に「妻と死別し、若しくは妻と離婚した後婚姻をしていないこと」がありましたが、それがないというのが「ひとり親控除」です。

この「ひとり親控除」は、従来あった男性とか女性とかの区別はありません

また、この「ひとり親控除」の控除額は一律35万円となります。

さて、ここからが少し複雑になるのですが、まず、従来あった「寡夫控除」、これは自動的に廃止となります。「ひとり親控除」に置き換えられるためです。

次に「寡婦」控除の方ですが、これは一部、残ることになります。

新しい「ひとり親控除」は結婚している結婚していないは関係なく、お子さんがいることが要件ですが、「寡婦」控除の場合、二つのパターンがあったはずです。

①夫と死別もしくは離婚+生計を同じくする子どもがいる

②夫と死別し婚姻をしていない+所得が500万以下(お子さんがいない)

このうち①は「ひとり親控除」に置き換えられます。ですが、②の方は夫と死別してお子さんはいない方です。つまり、②に該当している寡婦の場合、新しくできた「ひとり親控除」にはあてはまらないわけです。この②の方は従来の寡婦控除が引き続き適用されます。

ちなみに、従来の寡婦控除の②の要件に当てはまる人の控除額は従来と同じく27万円です。

それから、この「ひとり親控除」の創設によって従来からあった「寡夫控除」がなくなっただけではなく、「特別の寡婦」というのもなくなりました。

また、事実婚の場合、これらの控除は対象外となりますからその点、注意が必要です。

さて、今日の話をまとめますと、次のようになります。

「ひとり親控除」の要件は以下です。

・所得金額が500万円以下であること。

・生計を同じくする子がいること。

「寡婦控除」が適用されるのは以下の場合だけとなります。

夫と死別し婚姻をしていない+所得が500万以下(お子さんがいない)

少し早いですが、今年の年末調整から適用される「ひとり親控除」についてできるだけわかりやすくまとめてみました。参考にしていただければと思います。



今日はコロナ対応の助成金の話で、「小学校休業等対応助成金」です。

非常に使いやすくなっており、是非、活用を検討していただきたいと思います。

まずこの助成金はどんな助成金かという話です。

この助成金は、新型コロナウィルス感染症対策で小学校等を臨時休業した子どもの保護者のための有給休暇を付与した会社に対して支給されるものです。つまり、小学校等が休みになったことに伴い、保護者が会社を休んだ場合に会社が年次有給休暇とは別に休暇を付与した場合に使える助成金であるという前提があります。

この休暇は法律上必ず付与しなければならない有給休暇とは別に付与している必要があります

当初は有給休暇として消化していて、あとから小学校の休業に伴う休暇という形に変更しても構いません。とにかく、会社が法律上の年次有給休暇とは別に休暇を付与した場合に受給対象となります。

また、原則は、春休みなどもともと学校が休みだった日に取得した有給休暇は含みません。一方で、実際に新型コロナウィルスに感染したかもしくは風邪症状など感染した恐れのある小学校等に通う子どもの保護者の場合には春休みなどのもともと学校が休みだった期間も含めて対象となります。

次にいつからいつまでの休みが対象になるかです。これは、令和2年2月27日から9月30日の期間が対象となります。その期間の通常の年次有給休暇とは別の休暇を取得していた場合が対象となります。

また、この休暇は就業規則の変更は要件となっていません。つまり、就業規則に記載がなくても休暇を付与したら対象になります。

それから、対象となるのは雇用保険の被保険者だけではありません。雇用保険に入っていない方、パート・アルバイトでも対象となります。

そして、では、実際に受給できる金額がいくらかです。

これは6月12日以降このように変更になりました。

まず、3月31日までの休業期間については、日額の上限が8,330円です。1日当たりの単価に換算して、8,330円までの金額が出ます。一方で、4月1日以降の休業については、日額の上限が15,000円に引き上げられました。時給や月給といった給与を1日当たりの単価に計算しなおしてこの上限額に達するまでの金額を支給する形になっています。

さて、受給するための大まかな要件と受給額は上記のとおりですが、では、実際の支給申請の用紙に従って注意点をいくつかみていきましょう。

提出する用紙は主に3つと非常にシンプルになっています。

まずは「様式第1号①」です。用紙をみるとすぐにわかりますが、これは会社単位で支給申請していくものです。会社によっては、雇用保険の適用事業所番号が複数あったりするケースがあります。本社のほか、各事業所ごとに雇用保険の適用事業所を置いているようなケースです。こうしたケースでも、申請は会社ごとにやることになっています。様式1号①をみればそのことはすぐに気づくと思います。中小企業の場合、その多くがもともと1か所しか事業所がないと思いますのでそうした中小企業にはこの論点はあまり関係はない話ですが、一応、そうなっています。

そして、できれば1回で申請してほしいとなっています。

雇用調整助成金だと、通常は賃金の締め日ごとに請求していく形ですが、この助成金はすべての期間が終わって、すべての従業員がこの休暇を使い終わってから、全員分について申請を出すようにしてほしいと書いてあります。

これは労働局からのお願いなのでもちろん何回かに分けて申請しても問題はありません。書類の確認の手間などを考慮しているのだと思います。できれば一度にまとめて申請するようにしましょう。

次に、様式第1号②ですが、これは様式第1号①の詳細を書いていきます。具体的にどの労働者が有給休暇を何日取得したのかを書いていきます。また、前述したように、3月31日までと4月1日以降では日額の単価の上限が違います。そのため、3月31日までと4月1日以降で計算の仕方が違います。コロナ休暇の日数を記入する際にも、それを分けて記載する欄がありますから、注意して記入していただければと思います。

それから、様式2号は「有給休暇取得確認書」という書類です。

これは、コロナのための臨時休業で法律上の年次有給休暇とは別に付与された年次有給休暇であることを確認する書類です。

この書類で間違えやすいのは「対象となる子ども」の「氏名」の欄です。ここはお子さんの名前を記載することになります。保護者のお名前ではないのでその点、注意しましょう。

また「子どもとの続柄」はお子さんからみた場合の続柄です。ですから、ここは「」とか「」とかそういった形になります。

また、小学校等を休業したことを証明するものとして学校からのお知らせを添付する形になっていますが、これも様式第2号の「臨時休業等期間」の欄にその期間を記載していただければそれでもいいことになっています。

それから、そもそも「小学校等」とはどの範囲を指すのかという点です。

これは結構、範囲は広いです。以下、抜粋します。

①小学校、②義務教育学校(前期課程に限る。)、③各種学校(幼稚園又は小学校の課程に類する課程を置くものに限る。)、④特別支援学校(全ての部)、⑤不登校の学習指導を主たる目的とする教育支援センター、不登校特例校、その他の民間施設、⑥放課後児童健全育成事業、⑦放課後等デイサービスを行う事業、⑧幼稚園、⑨保育所、⑩認定こども園、⑪家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業、⑫認可外保育施設、⑬へき地保育所、⑭一時預かり事業、⑮病児保育事業、⑯延長保育事業、⑰子育て援助活動支援事業、⑱子育て短期支援事業、⑲児童心理治療施設(通所の用に供する部分に限る。)、⑳児童自立支援施設(通所の用に供する部分に限る。)、㉑児童発達支援を行う事業、㉒医療型児童発達支援を行う事業、㉓短期入所を行う事業、㉔日中一時支援事業、㉕地域活動支援センター㉖中学校、義務教育学校(後期課程に限る。)、㉗高等学校、㉘中等教育学校、㉙高等専門学校(第1学年から第3学年まで)、㉚専修学校(高等課程に限る。)㉛各種学校(中学校又は高等学校の課程に類する課程を置くものに限る。)、㉜不登校の学齢生徒の学習指導を主たる目的とする教育支援センター、不登校特例校、その他の民間施設については、障害のある子どもに限ります。

幼稚園・保育所から小学校・中学校・高校までと幅広く対象とされています。

最後に、これら提出する「様式第1号①」「様式第1号②」「様式第2号」はいずれも、「雇用保険被保険者」と「雇用保険被保険者以外」にわかれています。雇用保険に入っている人と入っていない人を別々に記載するようにしましょう。そして、通帳の見開き1ページ目のコピーも忘れずに添付しましょう。

それから、これは基本的な話ですが、有給休暇であるということは給与は満額支給することになります。月給者だったらそのままですが、時給者や日給者の場合は通常の時間数分を支給することになります。雇用調整助成金の場合、コロナのために会社の命令で休んでいるというのが前提にあります。つまり欠勤しているわけです。欠勤していたら給与を支払う義務がないわけですが、これは会社の命令で給与の支払いをしていないということなので、通常勤務の場合の60%以上の給与を支払ったら対象とするとしているわけです。

雇用調整助成金との違いについて、よく理解しておいたほうがいいでしょう。

この助成金は申請期間が令和2年12月28日まで延長されました。あとからでも有給休暇での付与を小学校等の休業に伴う休暇として振り替えてもいいですから、事業主の皆さんは是非、検討してみてはいかがかと思います。



さて、今日は最近、医療・介護の分野で関心が高く、質問も多くなってきた医療・介護・障害福祉に従事する職員に対する「慰労金」事業について、解説していこうと思います。

この事業は「新型コロナウィルス感染症緊急包括支援交付金」というものの一環として医療や介護に従事した職員に交付されるものです。基本的には本ブログでは介護事業所向けに書いていきますが、内容的には医療分野も同じとなりますので、医療の方がご覧になる場合も参考にしていただければ幸いです。

まず、この慰労金事業は職員に対して支給されるものです。利用者と接触する機会のある職員であれば、事務員、ドライバーなどの職種を問わず、支給対象となります。これについては、厚労省のQ&Aにもどこまでの職員が範囲に含まれるのかについて、次のように書かれています。

病棟や外来などの診療部門で患者の診療に従事したり、受付、会計等窓口対応を行う職員は通常該当します。また、診療には直接携わらないものの、医療機関内の様々な部門で患者に何らかの応対を行う職員等は医療機関における勤務実態等に応じて該当するものと考えられます。一方、対象期間中はテレワークのみによる勤務であったり、医療を提供する施設とは区分された当該法人の本部等での勤務のみであったなどの場合は該当しないと考えられます。

さて、この慰労金ですが、大きくポイントは5つあります。

まずは一つ目のポイントです。利用者や事業所にコロナウィルスの感染者がいるかいないかは問わないという点です。趣旨としては、「介護施設・事業所での集団感染の発生状況を踏まえ、相当程度心身に負担がかかる中、強い使命感を持って、業務に従事していることに対し、慰労金を給付する」となっていることから、コロナの感染の有無は問わないわけです。ただ、コロナの感染が利用者や事業所にあったかどうかによって給付額が変わるわけです。「感染者が発生・濃厚接触者に対応した施設・事業所に勤務し利用者と接触する職員感染者と接触した」場合には20万円となっており、それ以外は5万円となっています。特に新型コロナウィルス感染症の患者さんと接触がなくても受け取れる対象となります。

ポイントの二つ目は非常勤職員などでも給付金を受け取れるということです。対象期間とされているのが各都道府県で新型コロナウィルス感染症患者の1例目が出た発生日から6月30日までの期間に10日以上の勤務があれば給付金を受け取れる対象者となります。10日以上というのは勤務時間は問いませんので、たとえば1日1時間程度であっても対象期間中に10日の勤務日数があれば対象となります。また、夜勤者の場合、たとえば19時からの勤務で翌朝の8時までの勤務だったとします。この場合、日をまたぐので2日とカウントされます。

それから、たとえば岩手県のように新型コロナウィルス感染症の感染者がいない地域であっても緊急事態宣言の対象とされた4月16日が始期となり、6月30日までの期間が対象期間となります。この期間に10日以上、勤務があれば岩手県の事業所も対象となります。

ポイントの三つめはあくまでも受け取れるのは職員本人で、事業所は取りまとめるに過ぎないという点です。この慰労金の支給に際しては、個々の職員から委任状を取って、事業所で取りまとめるということになっています。事業所にいったん入金はされますが、会計処理上は要するに「預り金」なわけです。処遇改善加算は入金があった金額は売上金の一部ですが、この慰労金は事業所に入金があっても「売上」ではありません。単に預かっているお金です。職員に必ず渡さないといけません。ちなみに、この慰労金は所得税や住民税は非課税となります。税金はかかりませんから年末調整などの際に慰労金の分は入れる必要はありません。介護事業所で働くパートさんなどの非常勤職員の場合、扶養の範囲で働く職員も多いはずです。慰労金は非課税ですからこの点は気にしなくていいことになります。

ポイントの四つ目は、この慰労金の請求は国保連を通じて行うということです。レセプトの請求は通常、翌月1日から10日です。慰労金の請求はそれとは別に、15日から月末となっています。(7月については7月20日から7月末までとなっています)たとえば、8月15日から8月末までに慰労金の請求をしたとすると、9月末までに入金されます。職員にはその後に支給という形になるわけです。通常のレセプト同様、伝送請求が基本となります。

それから、ポイントの5つ目はこの慰労金は受け取れるのは1事業所のみ、1回だけということです。特に訪問介護の職員の場合、複数の事業所で働いていることはよくあります。ですが、受け取れるのはあくまでもそのうちどこか一つの事業所です。

また、現状で勤めていた介護事業所を退職していたとしても事業所を通じて慰労金の請求ができます。ただし、何らかの理由で退職者が事業所を通じて受け取れない場合には、勤務証明書などを添付して、個人で請求することも可能となっています。

また、仮に1人の者が複数の事業所で受け取った場合、これは不当利得として返還することとなりますので注意しましょう。

この慰労金の制度を受けて、積極的に慰労金を賞与的に早めに支給したいとする事業所もある一方で、まだ詳細を把握しておらず、そもそも職員への周知もしていない事業所も多いようです。

是非この機会に概要を把握していただいて、是非、職員の皆さんへの慰労金の支給をしていただければと思います。



離職日が8月1日以降になる場合に、雇用保険のいわゆる失業給付の計算方法が変わります。今日はこの話です。

コロナ禍であまり注目されていない感がありますが、雇用保険の失業給付に改正があります。

従来は雇用保険を受給するためには、賃金支払基礎日数が11日以上ある月を1か月として失業保険の計算をしています。具体的には離職票の⑨欄と⑪欄の日数が11日以上である月を1か月として2年間に12カ月以上あることが必要だったわけです。

これが、8月1日以降は賃金支払基礎日数が11日以上であることのほか、労働時間数が80時間以上である月を1か月としてカウントしてもいいことになります。いずれも1か月としてカウントする月数が離職前2年間に12カ月以上あることが必要となります。

具体的に言うと、賃金支払基礎日数が10日以下の場合には、⑬の備考の欄に、その月の労働時間数を書いていくことになります。賃金支払基礎日数が10日以下であっても労働時間数が1か月で80時間以上であれば1か月としてカウントしていくことになります。

上記に関係するのは主には日給者や時給者です。

月給者(1か月の基本給の金額が決まっている者)は基本的には関係ありません。つまり、月給者は原則として、従来と同じで、何も変わりません。

言い方を変えると、時給者は日給者の場合、離職票の⑫欄はA欄ではなく、B欄に記載していきます。このB欄に記載する者について、賃金支払基礎日数(⑨欄や⑪欄)が10日以下となっている場合に、追加で⑬欄に労働時間数を記載する必要があるということです。

8月1日以降の離職の場合、注意して離職票を書いていきましょう。

ということで、今日は8月1日以降の雇用保険の改正の話でした。



介護事業所向けのコロナ関係の情報提供がいくつかあります。

まずは処遇改善加算の実績報告の提出期限は本来は7月31日ですが、今年に限って提出期限が令和2年8月31日になっています

また「新型コロナウィルス感染症緊急包括支援交付金」というのができました。

職員1名あたり5万円の交付金やマスクなどのコロナ対策費用の補助金制度です。

これらの最新情報はまたお知らせいたします。



コロナの関係で日本政策金融公庫の借入を利用される方も多くなっています。 融資が決定され、契約書を取り交わす際に公庫の担当者に必ず聞かれるのが「団体信用生命保険に加入しますか」というものです。

そこで私が顧問先の皆さんから聞かれるのがこういった質問です。

団体信用生命保険(団信)って加入する必要はあるの」「そもそも団信って何

今日はこの「団信」についてみていきましょう。

団体信用生命保険というのは住宅ローンなどにもありますが、日本政策金融公庫の事業の借入金についてもあります。公庫団信制度と呼ばれています。 公庫団信制度とは何かというのは次のように書かれています。

死亡・所定の高度障がい状態になられた場合に補償します。 ご加入者が死亡または所定の高度障がい状態になられた場合、残りの債務が全額弁済されます。 株式会社日本公庫(国民生活事業)または沖縄公庫のご融資を受けられた方がご利用いただけます。 事業資金融資(貸付種類に限定があります)または恩給・共済年金担保貸付が対象です。 事業資金融資団信保険をご利用いただけるのは、満15歳以上 満68歳未満の方です。 恩給・共済年金担保貸付団信保険は、満15歳以上 満80歳未満の方です。 年齢の基準日は、告知日(申込書兼告知書の記入日)現在です。 (公益財団法人公庫団信サービス協会 HPより抜粋)

要するに、事業主が公庫の借入金をした後、死亡したり重度障碍者になったときに残債を保険で賄うというものです。

引受先の保険会社があり、明治安田生命や第一生命などの日本の保険会社となっています。 保険としては、全額掛け捨ての保険です。

保険料の金額としてはおおよそ借入額の0.25%前後のようです。

つまり、1000万円の借入金でだいたい年額25,000円くらいです。保険料がだいたいいくらくらいになるのかという参考としてみてください。

また、この保険の加入の有無が審査に影響するかということもよく聞かれます。これは審査上にはまったく影響がないようです。

そもそも契約書が送付されてきて(融資額や返済方法が決まっていて)同時に団信の資料も送付されてくるので、審査に影響がないことは明らかです。

ですから、純粋にこの保険自体に加入する必要はあるのかどうかという点から考えればいいということになります。

さて、ここからは私が顧問先の皆さんに「団信は入ったほうがいいですか」と聞かれたときに必ずお答えしていることです(もしこのブログをご覧になっている私の顧問先に方がいらしたらたぶん同じことを言っています。)

加入が必要な場合というのは、たとえば次のような場合だと思います。

個人で他に保険に入っていない

借入金の金額が会社の規模に比べて大きい

役員に家族がおらず、社長自身に何かあった時に事業を引き継ぐ人がいない

他にもあるでしょうが、上記のようなケースに複数、該当しているのでしたら加入を検討してみてもいいと思います

通常は個人で保険に加入済みであって、少なくとも借入金額が1000万円にみたないような場合には不要だと私は考えています。

また、加入した場合の保険料の経理処理についても注意が必要です。法人と個人とで処理の仕方が違うからです。

法人の場合には問題なく、全額損金として経理処理できます。

しかし、個人の場合には、必要経費にはなりません。

しかも、支払った金額は生命保険料控除の対象にもなりません。

一方で、この保険によって債務の弁済がなされた(つまり事業主が死亡するか、重度障碍者になった場合)にはどのように経理処理されるのでしょうか。

法人の場合には、弁済された金額が益金処理されます。つまり、利益になるわけです

支払った金額が損金、つまり経費になるため、もらったら課税されます。

ということは個人はどうなるかというと、個人の場合には所得税は課税されません。個人は支払ってももらっても税金には関係しない形になっているわけです

まとめますと、団信に加入するかどうかは、純粋に必要か必要でないかその一点で考えていただければと思います。 以上、日本政策金融公庫の借入の際の「団体信用生命保険」の話でした。



6月はコロナ対応の業務が多く、なかなかブログ更新ができませんでした。 ご質問いただく内容もブログ記事にすれば面白そうな(特異な)内容も多く、それらをできる限りご紹介していき、皆様のお役に立てていただければと思います。

今日は持続化給付金の特例についてのお話です。

6月29日から持続化給付金は個人の場合、「事業所得」だけでなく「雑所得」や「給与所得」を使っても申告できるようになりました。その他にも2020年から開業した場合にも持続化給付金の申請ができるようにもなりました。 そして、同時に、これらの特例を使う場合、一部のケースで「税理士の証明」が必要なケースがあります。今日はどんな場合に「税理士の証明」が必要となるのかを見ていこうと思います 。

まず「雑所得」や「給与所得」で申告している場合も持続化給付金が使えるようになりましたが、要件があります。

下記の①から③のうちの二つの組み合わせが必要とされています。

① 業務委託契約書等 ・報酬支払者との業務委託等の契約書・ ・・報酬支払者と契約があったことを証する書類

② 支払調書(2019(令和元)年分)

  源泉徴収票(2019(令和元)年分)・・・支払者が発行したもの。①との組み合わせが必須

   支払明細書 ・・・支払者の署名又は記名押印のあるもの

③ 通帳の写し・・・・申請者本人名義の通帳であることがわかる部分 ・報酬が支払われたことがわかる部分

さて、二つの組み合わせが必要ということで、結構これが大変です。

①を利用する場合、持続化給付金で使用する専用書式というのもあるのでそれらを使って勤務先に印鑑をもらうのも一つの方法です。

そして、税理士の証明が必要なケースというのがあります。

一つは2020年1月~3月に開業した場合です。

この場合、1月から3月の収入の合計を3で割った金額を1か月の収入として、その半分以下になる月があったら持続化給付金の申請ができるというのがあります。「2020年新規開業の特例」というものです。

これを使うには2020年5月1日までに開業届を出していないといけませんからまずその点は注意点です。

そして、この2020年開業の場合には税理士の証明が必要になります。 1月から3月の収入について、税理士に証明してもらうわけです。

持続化給付金に係る収入等申立書」に税理士の証明の欄がありますのでそこに税理士に記載してもらって持続化給付金の申請をするわけです。

もう一つですが、これは雑所得や給与所得で申告する場合にも持続化給付金の申請ができるようになったためにできたものです。それは、確定申告義務がないというケースの話です。

たとえば、「業務委託契約」で契約していた人で、もらっている名目が「給与所得」だったとします。「給与所得」だと従来は持続化給付金の申請の対象外でしたが、今回、6月29日からこうした人も申請できるようになりました。ですが、そもそもが「給与所得」であるため、勤務先で年末調整して確定申告はせずにおしまいになるケースがあります。このように契約は「業務委託契約」でも税務上は「給与所得」になっている人はそもそも確定申告する必要がありません。こうした「確定申告義務のない人」について「確定申告を要しないこと及び収入金額に係る申立書」に税理士に記載してもらって提出することで持続化給付金の申請ができるようにしたわけです。

また、たとえば、2か所から給与を得ていて、従たるところの給与とその他にある雑所得の金額が20万円以下である場合も主たる給与で年末調整されていれば確定申告が必要ないケースになります。

こうしたケースもこの税理士の証明をもらえば持続化給付金の申請ができることになります。

つまり、いずれも「給与所得」の場合、確定申告しなくても問題ないケースがあってこれを税理士に証明してもらうというものだということです。

いずれにしても、税理士の証明が必要というケースを使う場合、事前に税理士にお願いしてやってもらえるかどうかという点があります。おそらく、税理士の証明が必要というケースを使う方は普段、税理士を使っていない方が多いのではないかと思います。 持続化給付金の申請は今回、改正があったことで申請の仕方が複数あることが考えられます。その意味でも、少しハードルが高く感じるかもしれませんが、税理士に相談したほうがより多く持続化給付金を受給できる方法を見つけられるきっかけになることもあり得るので是非、相談していただければと思います。

以上、今日は持続化給付金の申請で税理士の証明が必要なケースという話でした。



連日のコロナ対応で忙しく、今日はかなり久しぶりのブログ更新となりました。

持続化給付金が事業所得以外の雑所得でも対応できるようになったなどの持続化給付金の情報や家賃の給付金の情報、そのほかにも雇用調整助成金の上限が15,000円と拡大したことなど、コロナ対応の話題も多いのですが、あえて、今日はコロナを離れたいと思います。

住民税の徴収方法についての話です。

まず、住民税の徴収方法は二通りあります。

一つは特別徴収というものです。これは給与から天引きされる徴収方法です。6月をスタートとして翌年5月の12回に分けて給与から天引きされ、会社が納付するというのが特別徴収です。

もう一つが、普通徴収というものです。これは自分で納付書を使って納付する方法です。給与ではなく、事業所得や不動産所得の方はこちらの方法となります。6月、8月、10月、1月の年4回に分けて納付する方法です。

では、給与所得者で事業所得もあるような場合、住民税はどう徴収されるのでしょうか。

原則的にはこれは納税者が選択します。では、どうやって選択するのかというと、これは確定申告書の際に記載する欄があります。

確定申告書の第二表の下の方に「給与所得以外の所得の住民税の徴収方法」という欄があり、そこに「給与から差引」と「自分で納付」という二つがあります。どちらかに印をつけることになっています。

「給与から差引」を選択すれば、特別徴収されます。「自分で納付」とすれば、給与以外の所得分は普通徴収となり、ご自宅へ納付書が届くようになっています。

それで、先日、私の顧問先であったのですが、この確定申告書の第二表に印がついていない場合の取り扱いです。どうやらこれは自治体によって異なるようです。

印がついていない場合、給与から天引きする(特別徴収にする)自治体と、印がついていない場合にいは普通徴収とする自治体の両方があるようです

お住まいの自治体がどちらなのか確認してみてもいいのですが、そもそも、自分が副業をしていて、会社にそのことを知られたくないという事情があるのでしたら、確定申告の際、申告書の第二表の下の欄のチェックを忘れずにやるようにしましょう。

また、副業の内容が事業所得ではなく、給与所得の場合には合算されて特別徴収されます。あくまでも副業の分の住民税を自分で納付する方法は「給与所得以外」のためです。

確定申告書の第二表の下の欄というのは多くの人はあまり気にかけないかもしれませんが、確定申告が終わった後で不都合がでないようによく注意しましょう。

ということで、今日は久しぶりのブログ更新でコロナを少し離れた話でした。