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コロナ対応が続き、思うようにブログ更新ができていませんでした。

今日は雇用調整助成金の話です。

今回の雇用調整助成金の目玉である「オンライン申請」が復活します。6月5日(金)12時をめどに復活するようです。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11637.html

様子をみてもしご提出いただく際にはしばらくは「紙」での提出をしたほうがいいと私は考えています。

雇用調整助成金の申請は給与の締め日ごとに行います。もし来月も申請があるようでしたらそこでオンライン申請に切り替えてもいいかもしれません。

オンライン申請といっても、書類を作成して印鑑の捺印などをしたものをPDFにしてそれを読み込み形式です。郵送する手間が省けるというような意味ですから、その意味ではオンライン申請でなくてもいいという感じではあります。

また、雇用調整助成金自体、拡大する予定です。日額上限が現在の8,330円から15,000円に引き上げとなります。

いつからの分が引き上げになるのか、わかりませんが、さかのぼって引き上げるようです。また、さかのぼって引き上げとなると、すでに雇用調整助成金が支給されている事業者には差額を後から支給するということになりそうです。また、書類の書式自体がまた変更になると思われます。書類の提出時期によっては書式が変更になるということも効力入れないといけません。

書類の提出を先にすれば当然、入金が遅くなります。その辺の資金繰りとの兼ね合いで今、できた書類を先に出したほうがいいのか、15,000円に引き上げが決定した後にしたほうがいいのかというような判断になるでしょう。

書類自体というより、政治の状況も見ながらという部分もあります。最新の情報を厚労省のHPなどで確認していくようにするしかないでしょうね。

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持続化給付金の申請にあたって、税理士にご依頼される方も多いことと思います。次のような指針が出たようです。

5月19日の衆議院財務金融委員会の質疑応答において、中小企業庁より、持続化給付金の申請は本人に限られているものの、税理士が事業者の申請に係る支援を行う場合の留意点として、以下の事項が説明されました。


① 有償で、申請フォームの記入、送信を支援することは、行政書士に限定
② 無償で、申請フォームの記入、送信を支援することは可能
③ 有償で、申請手続きやWeb申請システムの操作方法の説明、必要書類の確認等を行うことは可能


なお、税理士のパソコン及びメールアドレスを事業者の申請のために利用することは、5月9日にお知らせしました中小企業庁からの依頼にある「電子申請が困難な者への申請サポートを通じた支援」として行っていただくことができます。

顧問税理士等がいらっしゃり持続化給付金についてご相談される場合、ご留意ください。

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今日は雇用調整助成金のより具体的な論点について、実際に私の顧問先からお尋ねがあった点などから、こういう場合にはどうなるの?というような話について書いていこうと思います。

まず、雇用調整助成金は雇用保険の助成金です。つまり、雇用保険加入者以外にも支給されるようになりましたが、そもそも雇用保険に入っている人がいない事業所は受給できないのかという論点があります。

これについては、雇用調整助成金FAQの問12に次のように書かれています。

問12 事業主が雇用保険に加入していませんが、労災保険に加入していれば助成対象になりますか。

答 労災保険適用事業所、暫定任意適用事業所であれば、緊急対応期間(4/1~6/30)中は、雇用保険被保険者とならない労働者の休業についても助成対象となります。ただし、雇用保険被保険者となる労働者を雇用しているにも関わらず未適用だった場合には、適用の手続きをしていただく必要があります。

少しわかりづらいかもしれませんが、要するに、4/1~6/30の期間中は特別に雇用保険に現在、加入の対象者がいなくて入っていなかったとしても労災保険には入っているのだろうから、労災に入っていたら対象にするよといっています。

実際、助成金の申請書も雇用保険に入っていない事業所は労働保険番号を記載する形になっています。

また、雇用保険に入っていない方については雇用調整助成金という名称ではなく、緊急雇用安定助成金という助成金の対象となります。中身はほぼ雇用調整助成金と一緒ですが、申請用紙が違いますから注意してください。

また、解雇しても雇用調整助成金は受給できるのかというのもよくある質問です。

通常は助成金というのは解雇してしまうと出ません。しかし、この今回の雇用調整助成金は解雇した場合、支給額は減りますが、助成金は出ます。雇用調整助成金のFAQ問13に書かれています。

問13 労働者を解雇しても4/5の助成は受けられますか。

解雇者等を出している場合の助成率は4/5(中小企業)となります。なお、解雇予告した労働者の休業については、以後、助成対象外となります。

それから、FAQからこんなものもご紹介いたしましょう。

問26 自分(社長)の子どもを他の労働者と同じ条件で雇用しています。雇用契約書は交わしていませんが助成金の対象になりますか。

◯ 書面ではなく口頭による雇用契約であっても、労働者・使用者の両者がその契約内容に合意していれば労働契約は成立します。

◯ このため、家族従事者の雇用実態が、雇入時に労働条件を明示した書面、出勤簿、給与簿、給与の支払い実態などによって確認されれば、雇用調整助成金の対象となり得ます。

たとえば社長がお父さんで、自分の息子を社員としていたとします。この場合であっても雇用契約を結んでいて、他の社員と同等の扱いになっているのだったら雇用調整助成金の対象となります。

ちなみに、雇用契約書をきちんと交わしていれば雇用保険の加入もできます。その場合、緊急雇用安定助成金ではなく、雇用調整助成金の対象となります。

あとは、短時間休業について聞かれることも多いです。これについても雇用調整助成金のFAQの問33に書かれています。

問33 「休業」とは、全員を休業させなければなりませんか。

◯ 通常の場合、雇用調整助成金の支給対象となる休業は、原則、終日休業であるが、事業所における対象労働者全員について1 時間以上、一斉に行われるものを短時間一斉休業として助成対象としてきました。

◯ しかし、事業所によっては、対象労働者全員を一斉に休業できない事情があるはことから、今回の特例措置では、短時間一斉休業の要件を緩和することとしました。

◯ 具体的には、以下に類するような休業を実施する場合も支給対象とすることとしました。

・立地が独立した部門ごとの一斉短時間休業

(例:客数の落ち込んだ店舗のみの短時間休業、製造ラインごとの短時間休業)

・常時配置が必要な者を除いての短時間休業

(例:ホテルの施設管理者等を除いた短時間休業)

・同じ勤務シフトの労働者が同じ時間帯に行う短時間休業

(例:8 時間3 交代制を6 時間4 交代制にして2 時間分を短時間休業と扱う)

◯ なお、この特例は、令和2 年1 月24 日まで遡って適用します。

雇用調整助成金は本来は事業所が一斉に休業した場合に対象にしています。今回は交代しながら時間単位で休業(短時間休業)するような場合も対象にしています。

短時間休業の場合は通常の1日休業のほかに時間数を記載する欄があります。従業員数20人以下の小規模事業者の場合の申請書だと短時間休業の時間数を書く労働者ごとに入力して、通常の1日の所定労働時間を入れれば勝手に自動計算してくれます。そこからも短時間休業も対象になっていることがわかると思います。

それから、労働保険の未納があった場合やたとえば時間外労働を支払っていなかったりして労働関係法規に違反があると、通常は助成金は受給できませんが、そういう場合でも受給が可能になっています。このことは雇用調整助成金のFAQの問22に書かれています。

問22 労働保険料の未納や労働関係法令違反で不支給要件に該当していますが、従業員の雇用維持のため雇用調整助成金を利用できませんか。

◯ 今般の「緊急対応期間の特例」は、新型コロナウイルス感染症の拡大が見られる状況下において、雇用維持を最優先とした緊急時の対応であることから、労働保険料の未納や労働関係法令違反の不支給要件に該当していても、特例的に利用いただくことが可能です。

◯ ただし、一定の条件がありますので、まずは、管轄の労働局に御相談ください。

それから、そもそもの話ですが、この雇用調整助成金の申請にあたって最も注意しないといけない点が二つあります。

一つは「休業手当」を支払わないとこの雇用調整助成金は受給できないという点です。

この「休業手当」は平均賃金の6割以上のというルールがあります。支払った休業手当が平均賃金の6割以上になっていないとそもそも対象外となってしまいます。

ちなみに「平均賃金」とは、原則として事由の発生した日以前3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で割った金額のことを言います。 ただし、賃金が時間額や日額、出来高給で決められており労働日数が少ない場合など、総額を労働日数で除した6割に当たる額の方が高い場合はその額を適用します(最低保障額といいます)。

 過去3か月間の賃金というのは、賃金の締切日ごとに、通勤手当、皆勤手当、時間外手当など諸手当を含み税金や社会保険などの控除をする前の賃金の総額により計算します。

これを上回る金額を休業手当として支払わなければそもそもが対象外となります。

もう一つが、売上が前年同月と比べて5%以上減少していないと対象となりません。

1年前の同じ月と比べたときに売上が5%以上減少していないような場合には、その前の年、つまり、前々年の同月との比較で5%以上減少していてもいいとされています。さらにそれも適当でなければ、申請書を提出する前の月~1年前の間のいずれかの月との比較でも構わないとされています。小規模事業所の場合、5月19日以降はこの要件の確認は、対象となる月と比較する月のそれぞれの売り上げの帳簿だけ出せばいいことになったのでずいぶん簡略化されました。

さらに、この5%売り上げが減少しているという要件は従業員数20名以下の小規模事業所の場合、1回目の申請時に申請する際に出せば2回目からは出さなくていいことになっていますからこの点も簡略化された点です。

5月19日以降に雇用調整助成金(もしくは緊急雇用安定助成金)の申請をする場合、計画書の提出が必要なくなったり、かなり書類が簡略化されました。ですが、細かな論点になると、「これはどうなるの?」という点は多々、あると思います。私も申請書を作るたびに日々、そのような状況です。そういう場合、自分で判断せず、FAQや厚労省のガイドブックなどをよく読みこんで解決してみてください。

ということで、今日は雇用調整助成金の詳細の部分のお話を少しだけ取り上げてみました。なお、今回取り上げた雇用調整助成金のFAQは令和2年5月11日時点版を参考にしています。今後、FAQは更新されていくと思いますのでその際にはご自身で最新情報を入手するようにしてくださいね。



大きく報道もされていますからご存知の方も多いでしょうが、小規模事業者の「雇用調整助成金」の手続きが大きく変わりました。要点を書いていきます。

まずは、大前提として、従業員数20名以下の場合の話です。20名超の場合には書式自体は従来の書式を使います。今日のブログではこの20名以下の小規模事業者の場合の雇用調整助成金の話を書いていきます。

まずは、雇用調整助成金の算出額が簡単に計算できるようになりました。

従来は労働保険の概算保険料申告書などから金額を算出したりしていましたが、「実際に⽀払った休業⼿当額」×「助成率」で計算します。しかも、新しい書式はエクセルの表で算式が入っているため、自分で計算する必要もありません。

1日当たりの上限は8,330円は変わっていませんから、1人当たり16万~17万程度が上限額という点は変更ありません。

上限額は15,000円に引き上げる予定のようではありますが、現状(令和2年5月20日時点)では上限額は8,330円です。

それから、今まで出していた「休業計画書」は提出が不要となりました。休業協定書を結んで休業計画書と一緒に計画時に提出する形だったのですが、これらはいずれも提出不要となっています。これは20名超の事業所も同様の取り扱いになっています。

小規模事業所の場合、書類も3種類のみと簡素化されました。

「様式特小第1号(別紙もあり)、2号、3号」とこれだけです。

添付する書類は次のようなものです。

・休業した月と1年前の同じ月の売り上げの帳簿

→ 前年同月と比べて売り上げが5%以上下がっていることを確認します。2回目以降の申請の際には提出が不要となっています。

休業した月のタイムカードや出勤簿

休業手当を支払ったことのわかる賃金台帳もしくは給与明細

役員名簿

→ 事業主本人以外に役員がいない場合や個人事業主は不要

これらに、初回申請時のみ口座番号などが確認できる通帳の写しを提出すればいいことになっています。

それから、申請期限は原則は支給対象期間の末日から2ヶ月です。たとえば、末日締めの翌月15日払いの会社の場合、4月1日から4月30日の分は6月30日までに提出が必要となります。それが原則なのですが、特例として、1/24~5/31の間に休業の初日がある場合には、申請期限が8/31までとなっています。現在、休業している事業所については、この8月31日までの申請期限となっています。

申請期限が先になったことは書類作成の上でも影響の大きな話ですから要注意です。

さらに、「給与明細の写しなどの休業手当の額が確定した書類があれば賃金支払い日前でも申請できます」となっていますから、締め日後給与が確定したら給与の支払いを待たずに先に申請してしまってもいいでしょう。

あとは、オンラインでも申請が可能となりました。助成金の申請というのはハローワークや都道府県によっては助成金事務センターに郵送か直接、出しに行くというのが原則です。これをインターネットで申請できるようにしたわけです。ただ、報道等でもご承知の方も多いでしょうが、システム上の不具合があり、現在はいったんオンライン申請が停止しています。

オンライン申請できるようになれば手続きはますます楽になります。

また、2回目以降の申請がずいぶん楽になったと思います。2回目以降の場合、売上の帳簿は必要ありません。通帳の写しも不要です。様式特小第1号、2号、3号のほかはタイムカード(出勤簿)、賃金台帳で基本的には申請できます。オンラインでできればさらに楽になります。

また、雇用保険被保険者以外の場合には雇用調整助成金は「緊急雇用安定助成金」という助成金となりますが、仕組みは雇用調整助成金とほぼ同じです。用紙が違いますから申請の際にはその点だけ注意すればいいでしょう。

「雇用調整助成金支給申請マニュアル」を読みながら手続きしても、事業主の皆さんも十分、申請できるようになっていますから、やってみましょう。

次回は雇用調整助成金のFAQからもう少し細かい話をしていこうと思います。

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各都道府県でコロナの休業協力金を支給するという動きが加速しています。

東京都が先行して初めて、神奈川県も始めました。

名称は様々ですが、「感染症防止協力金」という名称で呼ばれることが多いようです。

事業をやっていらっしゃる都道府県がどんな協力金をやっているのか、この際に確認してみましょう。

各都道府県、場合によって市町村で独自に休業要請に応じた事業所に協力金を支給する取り組みをやっているところもあります。これらを一度に確認できるサイトがあります。↓

https://j-net21.smrj.go.jp/support/kyugyo.html

各都道府県で比較すると、東京都は1事業所あたりで50万円を基本としています。2以上の事業所があると100万円となっています。1事業所あたりで50万円としているのは東京都のほかは愛知県、岐阜県、福井県、石川県、三重県(福井県、石川県は個人事業だと20万円)なども1事業所あたり50万円としています。千葉県は令和2年1月から令和2年7月の内、任意のひと月と比較して50%以上減少した県内に本社を有する中小企業(個人事業主含む)という条件を付けています。複数事業所を賃貸している場合には30万円、1か所賃貸している場合には20万円、1か所を自己の所有にしている場合には10万円としています。

また、大阪府は大阪府と市町村が半分ずつ負担する制度になっています。4月に限定して前年の4月より50%以上減少している事業所が対象です。中小企業の場合、100万円(大阪府と市町村で1/2ずつ負担)、個人事業主 50万円(大阪府と市町村で1/2ずつ負担)となっています。

兵庫県は業種と法人・個人事業の別で最大100万円から5万円までと段階に応じて金額を分けています。

また都道府県単位ではなく、市町村単位で独自に支給しているケースもあります。

千葉県の市川市では、非常に特徴的な給付金を支給します。「事業者緊急支援事業臨時給付金」です。この給付金は休業要請などの業種の範囲が特に限定されていない点が特筆すべき点です。休業・短縮営業の実施し、感染症拡大防止に対する取り組みとして、店舗の消毒、マスクや消毒液の購入・テレワークの実施 ・イベントやセミナーの中止のいずれかを実施していることが要件とされています。

仙台市では、休業要請に応じた事業所に対して宮城県内一律30万円に加え、1施設であれば10万円上乗せで合計40万円支給、市内に対象施設を2施設以上有している場合には、上乗せ額を50万円として合計80万円支給としています。

新潟市では、休業要請に応じた事業所に対して10万円支給するほか、家賃補助として令和2年2月から5月までの間に、契約書により確認できるテナント等の家賃を減額した金額の3分の2相当額(貸主1人当たり上限額20万円)を支給する独自の制度を導入しています。

事業をやっている自治体によって、金額や制度の中身は様々ですが、おおよそ共通しているのは、対象となる業種がだいたい共通している点です。また、インターネットを介して申請する点もおおよそ共通点です。

また、申請期間がおおよそ5月末か6月中までとしているところが多いです。東京都は6月15日まで、神奈川県は6月1日まで、大阪府は5月31日までとしています

申請期限が意外と早く来てしまうものが多いです。いつまでの申請なのかは早めに確認したほうがいいです。上記のサイトや各都道府県からの情報などで随時、確認してみてください。

また、東京都のように税理士や会計士などの専門家を通じて申請することを推奨している自治体もあります。これは士業の専門家を通じて書類を提出した場合、自治体による確認の事務作業の軽減が図れるという自治体側の都合もあるのだと思います。士業などの専門家を通じて申請することを要請している場合には、できるだけそれに従ったほうが支給も早くなると思いますので活用しましょう。

ということで、各都道府県や市町村でやっているコロナの休業協力金の話でした。



もうこの2ヶ月近く、仕事の中心はコロナの関係の話です。このブログもここ2カ月はコロナ関係の話を書いています。

コロナ関係で私のところへのお問い合わせが多いベストスリーは、①雇用調整助成金 ②持続化給付金 そして、③無利子無担保融資です。

実質無利子無担保融資として日本政策金融公庫の融資制度があり、先行して運用しています。この4月30日に補正予算が通り、民間金融機関でも実質無利子無担保融資ができるようになったことはご存知でしょうか。今日はその制度の概要についておさらいしていきたいと思います。

まず、日本政策金融公庫の実質無利子無担保融資はどんなものだったかというと、以下の私のブログを参照してみてください。

実は国が進める民間金融機関の無利子の融資制度とは別に、自治体によっては無利子で保証料なしの融資制度を設けているところがあります。東京都内でも世田谷区や新宿区などでもそうした民間金融機関の無利子・保証料負担なしの融資が4月1日から始まっています。今回は、それを住んでいるもしくは事業をやっている地域にかかわらず全国的にできるように整備されたという話です。

民間金融機関の融資制度は都道府県ごとにある信用保証協会を通した融資となります。信用保証協会の融資とは、信用保証協会に保証料を支払い保証人の代わりになってもらうものです。信用保証協会に保証人の代わりをやってくれることで銀行は融資をすることができます。通常、銀行は今までまったく取引のない会社とはこの信用保証協会の融資を進めてきます。銀行としては保証協会があることで円滑に融資ができているわけです。

信用保証協会の絡む融資制度には「一般枠」と「セーフティネット保証」といわれるものがあります。通常の銀行融資は「一般枠」という枠を使って融資をします。「セーフティネット保証」というのは景気が悪くなったり、災害があったりという通常ではない状態があると使われる制度です。この「セーフティネット保証」には従来から4号5号という制度があります。

まず、「セーフティネット保証4号」とは、1年以上その地域で事業を行っている事業者が対象となります。直近1か月の売り上げが前年と比較して20%以上減少している場合に受けられるものです。その特徴は信用保証協会が100%保証することです。つまり、仮に借入金が返せなくなった場合、信用保証協会が100%肩代わりする融資です。金融機関的には4号融資は仮に返せなくなっても信用保証協会が100%肩代わりしてもらえるノーリスクの融資であるわけです。そのため、できればこの4号の融資を使いたいわけです。

そして、「セーフティネット保証5号」ですが、これはまず指定業種があります。今回のコロナ対応でほとんどの業種が対象となっていますが、まずは対象業種かの確認が必要です。また、最近3カ月の売上が5%以上減少した場合に受けられるものです。4号と比較するとわかりやすいのですが、5号の方は信用保証協会が保証するのは80%までです。つまり、仮に借入金が返せなくなった場合、信用保証協会は80%部分を肩代わりする融資です。売り上げの減少割合が5%と低くなる分、金融機関の負担割合も少し上昇します。

これらの4号・5号の「セーフティネット保証」のほかに、今回、「危機関連保証」というのが新たに加わりました。

この「危機関連保証」は前年同月比で売り上げが15%以上減少している場合が対象となります。保証の割合は100%です。つまり、借入金が返せなくなったとしても100%信用保証協会が負担する融資なわけです。また、この「危機関連保証」というのは、業種の縛りがありません。その意味では、4号に近いものです。

さて、ここからが民間金融機関の無利子融資の話になります。

まずは、上記の「4号」「5号」「危機関連保証」のいずれかを受けたうえで、以下に該当すると、金融機関に支払う利子や信用保証協会に支払う保証料が実質的な負担なしで受けられることになります。

個人事業主・・・売上5%以上減だったら、保証料・金利が実質ゼロ

法人・・・売上5%減だと保証料の1/2

     売上15%以上減だと保証料・金利がゼロ

【融資額】3000万円が上限

【据置期間】5年以内

【融資期間】10年以内

当初3年間は国から利子部分と保証料を利子補給されます。つまり、いったん利子の負担をしておいてあとから利子や保証料の分のお金をもらえるということです。4年目以降は通常の利子となります。日本政策金融公庫の無利子・無担保融資とこの辺は同じです。

さて、今回の民間金融機関の実質無利子を含むこれらの制度ですが、最大の特徴は、私は「既往債務の借り換え」にあると思っています。「信用保証付き既往債務も対象要件を満たせば、制度融資を活用した実質 無利子融資への借換が可能」だといっているのですが、これは、言い換えると、信用保証協会の融資がすでにある場合、それを借り換えして今回の融資に一本化し、返済期間を延ばした形で実質無利子の融資に組み替えることができるというものです。

たとえば、従来から保証協会の融資が2つあって合計で2,000万円の残高だったとします。一方で、今回、1,000万円の融資を受けたいとします。複数ある借入金を一本化して返済期間を10年に延ばすことで月の返済額を減らすことができ、なおかつ、当初3年間は実質無利子にできるというわけです。

今回の制度を上手に使えば、新規の融資も受けつつ、資金繰りを大幅に改善することにも役立ちます。

ただ、保証協会の融資でも一本化できないものがあります。

信用保証協会の保証割合が違うものは一本化できないというルールがあります。4号融資は100%信用保証協会が負担します。一方で、従来、「一般枠」で借りた信用保証協会の融資はほとんどが信用保証協会の負担割合は80%のはずです。この負担割合が違う融資は一本化できないというルールがあります。(保証協会の負担が100%のものと80%のものとで銀行側の入る保険の種類が違うためだそうです)

ですから、たとえば、既往債務の借り換えを同時に進めたいのであれば、あえて4号融資ではなく5号融資(保証割合80%)を受けておいて、既往債務との一本化は5号融資で進めるという手はあります。先ほどの例でいえば、2000万円の既往債務は5号融資で一本化しておいて、1000万円の方は「危機関連保証」の枠で融資を受けるという組み合わせも可能なわけです。

すでに信用保証協会の融資を受けている場合には、どういう組み合わせにしたらいいのかということもよく考えたほうがいいでしょう。

さて、では、これらの「4号」「5号」「危機関連保証」の融資を受けるにはどうしたらいいのでしょうか?まずは、各市区町村の産業振興課などで「認定申請書」に印鑑をついてもらわないといけません。この「認定申請書」をもらうためには月の売上高の確認できる資料をもっていかないといけません。通常は「月次損益計算書」といわれるものです。売上高や経費が月ごとに記載されている書類です。会計ソフトに入力すればそのソフトで出力可能な書類になります。結構、きちんとこの部分はチェックされますから、変に調整したりするようなことはしないほうがいいです。顧問税理士や会計士がいるのであればまずはご相談が必要です。

また、これはよく聞かれるのですが、日本政策金融公庫から融資を受けていても民間金融機関の無利子制度を使ってもいいのかということです。これらは別の制度であり、問題はありません。私の顧問先もほとんどの方が日本政策金融公庫の融資と民間金融機関の無利子制度と両方を申請する形になさっているところがほとんどです。審査の過程で両方で借り入れの申請を出していることが考慮されることはあるとは思いますが、そのために融資が受けられないということでもないと思います。私見ですが、今回は公庫と民間銀行の両方に同時に申請しておいたほうがよろしいかと思います

それから、今回ご紹介した民間金融機関の融資制度はすべて「前年」との比較で〇%の売り上げ減少としています。一方で、日本政策金融公庫の「新型コロナウィルス感染症特別貸付」は「前年」だけでなく、「前々年」と比較してもいいことになっています。昨年の同月がたまたま売り上げが低かった場合、さらにその前の年を見て前々年との比較で売り上げ減少がある場合には、民間金融機関の融資ではなく、日本政策金融公庫の融資を検討するということも可能性としてあります。

また、事業を始めて1年未満の場合には、今回のコロナ関係の貸し付けを受ける場合、4号融資は受けられません。1年以上事業を行っていることが要件にあるためです。この場合もやはり、日本政策金融公庫の融資をまずは検討していくことになります。

現在、日本政策金融公庫の融資、民間金融機関の融資、いずれも時間がかなりかかってしまっているようです。融資の申し込みをしてから1か月以上たってしまうケースも多いです。上記を参考にして早め早めの対応をなさってはいかがかと思います。

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新型コロナウィルス感染症の影響は税金の申告や納付にも及んできました。これからたぶん、特に、消費税や源泉所得税といった税金の支払いができないという相談が増えるのではないかと思います。

申告や納税が期限までにできないという場合にはどうしたらいいのか、その基本的なやり方をここでは説明します。

まず、申告を延長したい場合です。

新型コロナウィルス感染症の影響によって申告期限を延長したい場合は、別途、申請書等を提出していただく必要はありません。当初の申告期限以降に、申告書を提出する場合には、申告書の右上の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延⻑申請」と記載すればそれでいいことになっています。

これは、所得税、法人税、消費税、贈与税などの国税の税目に共通の話です。

また、e-taxの方法によって申告する場合には、右上の余白に記載することはできません。e-taxの場合には、「電子申告及び申請・届出による添付書類送付書」というe-taxの場合に添付できる書類に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延⻑申請」と記載することになっています。e-taxの場合には注意して申告してみてください。

このように申告の延長したい場合には、それほど難しい話ではないです。忘れずに申告書に記載するようにしましょう。

次に税金の申告をしたあとの納付ができない場合の納税猶予の話です。

まず、法人税・消費税などの国税の納税猶予のルールです。

納税猶予ですから、税金の支払いを後にできるという話です。支払いしなくていい話ではないですからまずは勘違いしないようにしてください。

当たり前ですが、税金というのは期限までに支払わないと延滞税や加算税などの罰金的な税金が課されます。それが、納税猶予のルールにのっとった場合、延滞税等の罰金的な税金の一部が免除されたり、罰金的な税金は支払わなくてよくなったりするというものです。

まず、もともと、税金の納付ができない場合には①換価の猶予②納税の猶予という2種類の納付を猶予する制度が存在します。①換価の猶予というのは、国税の滞納が他にないとか納付期限から6カ月以内の申し出があるという場合に、最大で1年間、納税が据え置かれる場合のことです。②の納税の猶予というのはある一定の猶予期間中に分割納付をする場合をいいます。納税者の資力に応じて分割納付していくことを言います。

もともとこうした制度があるわけですが、今回、新型コロナウィルスの関係で「特例猶予」というのができました。これは、1年間の納税の猶予を受けられ、しかも延滞税なしとなっているものです。

では、これを受けるにはどういう条件が必要なのでしょうか?

令和2年2月1日以降の任意の1か月以上の期間で前年同期と比べて「事業にかかる収入」がおおむね20%以上減少していることを要件とされています。

また、「事業にかかる収入」というのは通常は「売上高」です。ですから、個人事業者の場合には、一時所得のようなものは除外されます。フリーランスの方や白色申告者も事業所得があれば受けられます。また、今回の「持続化給付金」や東京都などの「感染拡大防止協力金」のようなものも除いて計算します。前年同期で、通常の事業の収入が20%以上減少していることが要件となっています。

また、収入の減少率が20%以上でなくてもこれから売り上げの減少が見込まれる場合も対象となります。それから、前年同期に事業を行っていなくても直近1年程度の売り上げのわかる資料があればそれで認められることもあるようです。

さて、この「特例猶予」を受けるにはどうしたらいいのでしょうか?

まず、この「特例猶予」を受けるためには納期限までに申請が必要です。「納税の猶予申請書(特例猶予用)」という申請書を税務署に提出してはじめてこの「特例猶予」を受けることができます。自動的に猶予が受けられるわけではないですから注意しましょう。また、令和2年2月1日から令和2年6月 30 日までであれば納期限後であっても申請できます

もし、特例猶予を受けたい場合には、この申請書を期限内に出して猶予を受けるようにしましょう。

それからこの「特例猶予」が受けられない場合でも、もともとある納税猶予が受けられる可能性があります。 もともとある猶予は、納期限から6か月以内に申請が必要となりますから、売上が20%までは下落していない場合などは、もともとある制度の利用を検討してみましょう。(延滞税の税率は猶予期間中は8.9%の延滞税が1.6%となっており、もともとある猶予であっても、通常よりも税率は低くなっています。)

上記は法人税や消費税などの国税の納税猶予です。これらと同様に、源泉所得税の納税猶予もあります。

こちらはやり方が2種類あります。

一つは「災害による申告、納付等の期限延⻑申請書」という申請書を提出し、承認を得ることで、個別延⻑をする場合です。「新型コロナウィルスの影響により」と記載して、対象とする源泉所得税の期間を記入すればそれで足ります。

もう一つは源泉所得税の納付書自体に記載する方法です。この方法の場合、納付書の下にある「摘要」という欄に「新型コロナウィルスによる納付期限延長申請」と記載するだけです。

こちらの方法の方が簡単かもしれません。この方法の場合には、実際に源泉所得税を納付した日が納付期限の日となります。ですから、この方法によれば、延滞税などは発生する余地はありません。

申告や納税が難しい場合、これらを先延ばしにできる制度があります。この際はこうした制度を利用をまずは検討してみてはいかがかと思います。

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今日は持続化給付金のいろいろな論点についてお知らせしたいと思います。

まず、持続化給付金の申請はご本人以外はできません。つまり、税理士や会計士、行政書士といった代理人に申請手続きを依頼することはできないとされています。

これは持続化給付金の申請のFAQの問11に書かれています。

Q11.代理の名義で申請は可能なのか。

申請は、法人(代表者)、個人事業者ともに、本人による申請となります。電子申請の際、身近な方や日頃手続きのご相談をされている方などに、申請の支援をして頂くことは問題ありません。ただし、持続化給付金の代理申請や代行入力などを装った詐欺にはご注意ください。

この持続化給付金の申請はご自身(会社であれば代表者)以外はできないものです。この持続化給付金の申請はそれほど難しいものではないので、別に誰かにやってもらうまでもなくご自身で申請できます。ご用意いただくものもそれほど複雑なわけではないので、もし顧問税理士等がいらっしゃれば多少、アドバイスしてもらえれば問題なくできるものではあります。

ただ、私の個人的な意見ですが、実際、この持続化給付金の申請は、普段、顧問税理士などがいて申告をこうした方に依頼している場合、税理士などがやったほうが手続きはスムーズにいくだろうと思います。私が思うに、顧問税理士などがいれば、申請手続きをお手伝いいただく(わからない部分を少し聞く)などすればご自身で申請できるでしょう。

ともあれ、経産省は一応、代理申請してはいけなくて、申請の支援(税理士などが申請することを手助けする)ことは認めていますよという立場のようです。税理士会からもわざわざメールがありました。一応は自分以外(会社の場合代表者以外)は申請はできないとなっているので、そのことはご承知おきいただきたい点です。

ただ、一方で東京都の感染拡大防止協力金についてはむしろ、税理士や会計士、行政書士といった専門家に依頼して提出することを推奨しています。こちらは東京都が8000円を上限として専門家に依頼した手数料を支払うことになっています。

持続化給付金は自分で申請、東京都の感染拡大防止協力金は顧問税理士などに依頼するというところなのでしょうか。持続化給付金の方は代理申請はできないという点、改めて確認してください。

それから、直前の事業年度の確定申告が完了していなくても持続化給付金の申請ができることとされています。

たとえば、3月決算法人の会社だったとします。その場合で2020年3月の申告をする前で、4月の売り上げが2019年4月の売上より50% 以上減少していたとします。その場合、2020年3月の申告をしなければ持続化給付金の申請ができないのかという話です。

これは、2020年3月の申告をしなくても持続化給付金の申請ができることとされています。

この場合には、2018年3月決算で申告した2018年4月の売上高と2020年4月の売上高を比較して50%以上、売上げ減少していたら持続化給付金の申請ができます

ちょっと特徴的な点ですから注意が必要な論点です。

また、個人事業者で2019年の確定申告をまだしていない場合には確定申告をしないと持続化給付金の申請ができないのかというとそれも同様の話です。この場合、2018年の確定申告がされていれば持続化給付金の申請が可能となります。

2019年の申告がされていなくても申告済みの2018年4月の売り上げと2020年4月の売り上げを比較して50%以上減少していれば持続化給付金の支給対象となります。

このように直近の年度の申告がされていなくても持続化給付金の申請が可能なケースがあることは知っておいていいことです。

それから、聞かれる項目としてあるのは、持続化給付金としてもらった金額はどう経理処理するのかという話です。これについては、経産省のFAQに次に用に書かれています。

Q15.持続化給付金は課税の対象となるのか。

持続化給付金は、極めて厳しい経営環境にある事業者の事業継続を支援するため、使途に制約のない資金を給付するものです。これは、税務上、益金(個人事業者の場合は、総収入金額)に算入されるものですが、損金(個人事業者の場合は必要経費)の方が多ければ、課税所得は生じず、結果的に課税対象となりません。

持続化給付金として入金された金額はどう経理処理されるのか、つまり、所得税や法人税は課税されるのかという点ですが、入金された金額は法人税もしくは所得税は課税されます。ただし、経産省のFAQには書かれませんでしたが、消費税はいわゆる「不課税」売上です。つまり、消費税は課税されません。

所得税・法人税は課税、消費税は不課税と覚えておけばいいでしょう。

また、東京都の感染拡大防止協力金のような休業協力金のようなものが各都道府県にありますが、これもやはり所得税・法人税は課税され、消費税は不課税となります。

この論点は、持続化給付金が出てきた段階から非課税にできないのかという議論があったようです。しかし、結局、持続化給付金を受ける事業者はそもそも赤字である可能性が高く、赤字であれば、損金(個人事業の場合には必要経費)として出ている金額が多いはずでそれと相殺すればいいのではないかという結論に至ったようです。

経理処理上は「雑収入」などの勘定科目で経理処理する形になるだろうと思います。

ちなみにですが、国民全員に一律支給される10万円の特別定額給付金ですが、これは所得税・住民税は非課税とされていますからこちらは受け取っても申告の必要はありません。

ということで、持続化給付金の様々な論点について書いてみました。

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ここ数日は「持続化給付金」のお問い合わせが非常に増えています。

NHKでたまたま見たのですが、「父から事業を引き継いで会社を設立したため、前年同月がないから持続化給付金の申請ができない」と訴えていた方が出ていました。

この方についてもよく聞いてみないとわかりませんが、「特例」を使えば、このケースでも申請が可能なのではないかと思いながら見ていました。

こういうケースでも持続化給付金の対象になるという特例のケースについて、今日は解説していきたいと思います。

その前に、持続化給付金申請の原則的な話を説明しておきます。

この持続化給付金は前年同月比で売り上げが50%以上減少した場合に使えるものです。前年同月と比べて売り上げが50%以上減少した場合に、前年総売上-減少した月の売上高×12ヶ月で求めた金額が、個人なら100万円、法人なら200万円を超えたらその上限額が支給されるというのが持続化給付金です。

それで、法人の場合の話なのですが、少なくとも私はこの「持続化給付金申請要領」が出るまで確認できなかったことがあります。

それは、12月決算法人以外の取り扱いです。たとえば。3月決算法人はどうしたらいいのかという話です。

たとえば、3月決算法人で4月の売り上げが前年同月と比べて50%以上減少したとします。2019年4月が120万円で、2020年4月が50万円だったとします。前年同月比で50%以上売り上げが減少したわけですから持続化給付金の支給要件には該当します。そのうえで支給額の計算です。

支給額は「前年総売上-減少月の売上×12ヶ月」の金額で、個人なら100万円、法人なら200万円が上限となっています。

この「前年総売上」というのが何を指すのかという点です。

これは、3月決算法人でまだ2020年3月の申告をする前なのであれば、2019年3月決算の総売上、つまり、2018年4月から2019年3月の売り上げの総額となるということです。

個人の場合、2019年1月から12月の売り上げ(確定申告書の総売上額)となるわけですが、法人の場合には、12月が決算とは限らないわけで、その点がどうなるのかと思っていました。ですが、法人の場合には、申請前に一番直近で申告した年の総売り上げとなるようなので、その点はご留意の上、申請してください。

そのうえで、特例についてお話を進めていきましょう。

まず、法人なりです。

法人なりというのは個人事業でやっていた人が株式会社や合同会社という法人を設立してその法人の代表者となることを言います。

法人なりすると一見すると確かに前年同月の売り上げはありません。しかし、特定のB-6というところで「法人設立届」や「個人事業廃業届」「履歴事項全部証明書」(いわゆる謄本)などを添付することで、認められることになっています。条件としては法人の代表者と個人事業の者が同じ者であることです。「法人設立届出書」のなかの「設立の形態」が「1 個人事業を法人組織とした法人である場合」に〇が付してあり、「○○税務署(整理番号××××)という個人事業のときの税務署の管理するいわゆる「整理番号」を法人設立届に記載されている場合としています。

この場合に個人事業だった前年同月と比べて前年同月比で50%以上売り上げが減少したら持続化給付金の申請ができる対象になるという話です。

ちなみに、法人なりの場合、法人になっているので給付金の限度額は100万円ではなく200万円になることになります。

次に、創業特例という話です。

2019年に法人を設立した場合で前年同月がない場合の話です。

この場合、2019年の1月から12月の売り上げを月平均にならしたときの月商より半分以下になっている月があった場合が対象となります。

経産省の例によれば、2019年10月に開業した法人で、10月50万、11月50万、12月80万の売上たったとすると、3ヶ月の月平均売上は60万円になります。たとえば4月の売り上げが20万円だったら60万円の半分以下なので持続化給付金の対象になるという話です。

ちなみに、持続化給付金の限度額計算においては以下のようになります。

(50万円+50万円+80万円)×12/3-20万円×12ヶ月=480万円>200万円∴200万円

「前年総売上」は12か月ない場合には、12カ月あったものとして仕切り直して計算していいわけです。

こういう論点は、特例部分のリーフレットをよく読まないとよくわからない部分です。

冒頭のNHKに出ていた会社さんの話もこの特例を使えば続化給付金の申請ができるのではないのかと思います。

それから、ある一定の月に収入が多いような場合です。

例えば、2019年の4月が70万円、5月が120万円、6月が80万円と売り上げがあり、年間事業収入450万円の半分以上を占めるような状況があったとします。それが、2020年は4月が40万円、5月が20万円、6月が20万円だったとします。

この場合、同じ3カ月間を比較して50%以上売り上げが減少していたら対象となります。

上記のケースだと、2019年の4月から6月の売り上げの合計は270万円で、2020年の4月から6月の売り上げは80万円なので半分以下となります。そのため、まずは持続化給付金の対象となります。そのうえで支給額はこの3か月間の合計で考えます。この場合には、270万円(2019年4月から6月の売り上げの合計)-80万円(2020年4月~6月の売り上げの合計)で190万円となり、200万円未満のため、190万円が支給額となります。

他にも、合併した場合や連結納税を行った場合などがありますが、この辺について知りたい方は、持続化給付金申請要領を参照してみてください。

なお、原則的な計算方法を取るのか、上記の特例によるのかは、選択になります。どちらを選ぶのかは申請者が自身の判断で決めていいことになっています。

特例の要件に当てはまっていても、原則的な計算の方が給付額が大きくなるのだったらあえて特例の方は使わないことにしてもいいわけです。

どちらが有利なのか、じっくり判断したうえで申請してみてください。

以上、持続化給付金の特例のお話でした。

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さて、コロナの関係で最近、問い合わせが多いのが給与明細の表示の仕方です。

雇用調整助成金の拡大に伴い、この質問が多くなったようです。社員を休ませて休業手当を支払った場合、どのように給与明細を表示したらいいのでしょうか

まず、休業手当を支払うということは欠勤があるということです。

欠勤があるということはいったん給与は控除されていないといけません。給与を控除したうえで、休業手当として支給するという形です。

たとえば、給与月額が30万円の人で、1ヶ月の所定労働日数が20日の人がいたとします。

欠勤日数が10日で、その10日は会社の命令で休業させたため休業手当を6割支払うとします。そうすると、次のようになります。

基本給   300,000円

欠勤控除 ▲150,000円

休業手当  90,000円

通勤手当   5,000円

総支給額  245,000円

出勤日数:10日 欠勤日数:10日

ポイントは基本給や諸手当があればその諸手当の下に「欠勤控除」として表示することです。給与ソフトによっては欠勤控除の項目が「総支給額」の上に表示されることもありますが、それは書き方の問題なので別にそれでもかまいません。要は、総支給額からいったんマイナスすることです。そのうえで、休業手当として加算して支給する形に表示すればいいわけです。欠勤日数に日数を表示しておくことも大事なことです。給与明細上には必ず欠勤日数を書く欄がありますからそこに日数を記載するようにしましょう。

雇用調整助成金の支給申請の際にも、いったん欠勤控除したうえで休業手当として支払っている形にしないと休業しているのかどうなのかが明細上わからないことになってしまいます。給与明細の表示の仕方(もしくは賃金台帳の記載の仕方)について、上記の点は今一度、確認してみてください。

そして、控除項目ですが、社会保険料は月額変更に該当しなければ前月と同じ金額となります。

雇用保険料は、総支給額に対してかかります。一般の事業だと3/1000を乗じた額となります。源泉所得税は課税支給額(上記の場合だと通勤手当を控除した240,000円)から社会保険料、雇用保険料を控除した後の金額で源泉所得税の計算をします。

このように休業手当は社会保険料や雇用保険料、源泉所得税の対象になる項目です。休業手当といっても非課税ではありませんので注意してください。

ちなみに、休業手当と似ている名称で「休業補償」というのがあります。これは業務上の理由で負傷したような場合、つまり、業務上の理由で休業した場合に会社から支払われるものですが、これは非課税となっています。

名称が似ているのでややこしいですが、区別されています。混同して使用しないように注意しましょう。

以下、国税庁の「休業手当・休業補償の課税関係」を抜粋します。

 給与所得者は、その勤務先から通常支給される給料や賞与以外にも、労働基準法に規定されている各種の手当の支給を受ける場合がありますがこの各種手当の課税関係は次のとおりです。

1 労働基準法第26条の規定に基づく「休業手当」
 使用者の責に帰すべき事由により休業した場合に支給される「休業手当」は、給与所得となります。

2 労働基準法第76条の規定に基づく「休業補償
 労働者が業務上の負傷等により休業した場合に支給される「休業補償」など、労働基準法第8章(災害補償)の規定により受ける療養のための給付等は、非課税所得となります。
 また、勤務先の就業規則に基づき、労働基準法第76条第1項に定める割合を超えて支給される付加給付金についても、労働基準法上の給付では補てんされない部分に対応する民法上の損害賠償に相当するものであり、心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料として非課税所得となります。
 なお、労働基準法第8章には、「休業補償」以外にも「療養補償」や「障害補償」などが規定されています。

(所法9、28、所令20、30、所基通9-24)

ということで今日は「休業手当」の給与明細の表示の仕方についてでした。

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