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最近はニュースを見れば連日、「コロナ」です。

ニュースだけではなく、実体経済がいろいろとまずい状況になっています。私の顧問先からもコロナ関連で連日、多くの方からたくさんのご質問を受けます。

そこで、今日は、コロナ関連の金融機関の貸付制度について、説明していきたいと思います。

コロナ関連の借り入れというとまず聞かれるのが、「無利子・無担保の融資があると聞いたのでそれを受けたい」というような話です。これには要件があります。順を追って説明しますので、このブログで概略を理解していただければと思います。

まず、今回のコロナ関連の融資としては大きくは2種類あります。

一つは信用保証協会を通じた融資制度です。

信用保証協会は都道府県ごとにあるので、都道府県独自の制度もありますが、ここでは国が支援するコロナ関連の貸付制度についてご説明します。

信用保証協会の融資には「一般枠」というのと「特別枠」というのがあります。

一般枠というのは通常の保証協会を使った融資です。銀行と保証協会の責任割合(借りている人が返せなくなった場合にどちらが何割負担するかという割合)が銀行が2割、保証協会が8割というものです。

一方で、特別枠というのがあります。これは今回のように国が保証協会を資金的に支援して金融機関が貸し付けをしやすいようにする融資枠のことです。この特別枠には、さらに「4号融資」と「5号融資」とがあります。

4号融資は国が100%保証してくれる融資です。借りた人が仮に返済できなかった場合、保証協会に国が100%お金を出してくれるというのが4号融資です。金融機関としてはできればこれでやりたいわけですが、要件のハードルが少し高いというわけです。前年同月比で売り上げが20%以上減少していることが要件となっています。通常はこの4号融資は対象地区などに制限がありますが、今回のコロナの関係では対象地域の制限が外れ、3月2日に全都道府県が対象になりました。前年の同月(1か月でいいです)で比べて売上の減少が20%以上ある場合、4号貸付が考えられます。

もう一つの「5号融資」は国が保証してくれる割合が80%になるものです。もし貸していた人が返せなくなった場合の保証協会の負担が2割はあるというのが5号貸付です。5号貸付は保証協会の負担割合が多少、ある分、やや要件が緩くなります。売り上げの減少が前年同月比で5%以上だったら5号貸付が使えます。20%まで減っていない場合、5号貸付を検討することになります。ただ、この5号融資には対象業種があります。対象業種になっていないと5号融資ができないのですが、今回のコロナの件で、対象業種がかなり広がっています。対象業種になるのであれば5号貸付も考えられます。

この信用保証協会の4号・5号の融資は、ほかで保証協会を使った融資があってもそれとは別枠として判断されます。金融機関側もこの4号や5号の枠を使ったほうが貸しやすいので、コロナ関連で売り上げの減少がみられる場合、この4号・5号を使った融資を勧めてきます。4号・5号の融資は是非、検討したいところです。

そして、もう一つが日本政策金融公庫を使った融資制度です。

新型コロナウィルス感染症特別貸付」というものです。これは売り上げの減少が前年同月と比べて5%以上減少している場合に使えます。比較するのは前年同月の1か月でいいとされています。

日本政策金融公庫の貸付制度では、「国民生活事業」と「中小企業事業」という二つの区分があります。このどちらになるのかというのがまずあります。

国民生活事業」というのは、主に「小規模事業者」や「個人事業主」です。小規模事業者というのは、製造業・建設業・運輸業などの業種の場合には従業員数が20名以下の事業、サービス業やその他の事業の場合には従業員数が5名以下であることを言っています。この条件に当てはまれば「国民生活事業」に該当します。一方で、「中小企業事業」は資本金が1000万円以上で5年以上の貸し付けをする場合が原則です。また、国民生活事業に当てはまらない場合に「中小企業事業」に該当することになります。日本政策金融公庫の融資では、「国民生活事業」に当てはまったほうが金利が安くなるなど有利になります。

さて、ここから多くの方から質問をいただく「無利子・無担保」というのを説明します。

まず、「無担保」ですが、この「新型コロナウィルス感染症特別貸付は現在、原則「無担保」です。 そして、「無利子」の方ですが、これは正確には、借入当初から最大で3年間、利子の部分について補助を受けるというものです。4年目以降は利率が変更になるのですが、その利率が変更になる前の3年間が実質、無利子になるというものです。

この「新型コロナウィルス感染症特別貸付」に該当しているうえで、次の要件に当てはまった場合に「無利子」となります。

  • 個人事業主・・・要件なし
  • 小規模事業者(法人事業者)・・・売上が前年同月比15%以上減少している
  • 中小企業者(上記➀➁を除く事業者)・・・売上高が前年同月比で20%以上減少している

上記の②の小規模事業者というのは、従業員数が5名以下(製造業等は20名以下)の場合です。売り上げの減少が著しい場合、これを使って実質、無利子にできるという話です。

また、日本政策金融公庫の融資制度では、借入当初から最大で5年間は利子のみの返済とする返済の据え置きが可能です。加えて、設備資金なら最大で20年以内、運転資金なら最大で15年以内の貸し付けが可能となっています。また、貸付額も最大で国民生活事業なら6000万円、中小企業事業は3億円が限度額となっています。もちろん審査次第なので、据え置きや返済期間、借入額については限度額いっぱいまでできるということではないですが、余裕をもって融資を受けることは可能であるということです。

せっかくこうした融資があるのでこれを使わない手はありません。保証協会を使った融資や日本政策金融公庫の融資などを組み合わせてこのコロナ関連での不況を何とか乗り切ってもらいたいと思います。



新型コロナウィルス関係で、日々、情報が更新されています。最新の情報をチェックする必要があります。

申告期限が4月16日に延期されたことに伴い、振替納税がいつになるのかがわかりませんでした。

国税庁のHPによると、所得税が5月15日、消費税が5月19日に延期されたとのことです。

なお、延納する場合には、2回目は6月1日(5月31日が休日のため)です。

また、その他の予定納税の期日は変更はありません。

それから、盲点となりがちなのは住民税です。

今回4月16日に延期された税目は「所得税」「(個人)消費税」「贈与税」です。住民税は入っていません。たとえば、住民税だけを申告するケースもあるでしょう。これは延長の対象になっていません。それぞれの自治体に確認が必要です。

また、申告期限が4月16日に延期されたことに伴って、住民税の課税事務が遅れてしまうという問題があります。

従来は所得税の申告が3月15日までにされて、その申告書が市区町村の課税課に回ってきて住民税の計算をし、原則としては5月末までに納税通知をするという流れでした。これに遅れが生じる可能性があります。

毎年よりも住民税の通知が来るのが遅くなるかもしれないです。

以上、振替納税と住民税の申告という少し見落としがちな論点でした。



12月決算、確定申告、コロナウィルス・・・

いろいろと重なってなかなかブログが更新できませんでした。今日は久しぶりの更新です。

今日のテーマは新型コロナウィルスに対する中小企業対策の話です。

この1週間くらいの間に相次いで政府が対策を発表しています。

現状で分かっている範囲で、中小企業対策として出ているものをまとめましたので参考にしていただければ幸いです。

中小企業の経営者の観点からこの新型コロナウィルスに対する中小企業対策をみると大きく三つあります。いろいろなものが出ているのでわかりづらいかもしれませんが、三つと分類すると理解がしやすくなるのではないかと思います。

  • 確定申告期限が延期されています

これはネットのニュースやテレビなどの報道でも大きく報じられているのでご存じの方も多いでしょう。今回の新型コロナウィルスの関係で、大勢の人が確定申告期限の税務署という狭い空間に集まってしまい感染が広がることを防ぐという観点から、申告期限が3月16日(今年は3月15日が日曜日のため、もともと期限が3月16日になっていました)をちょうど1か月延期して、4月16日になっています(4月15日ではないです)

対象の税目は、「所得税」「消費税」「贈与税」です。

もともと個人事業者の消費税の申告期限は3月31日ですから、消費税に関しては1か月ではなく16日延期されることになります。

また、申告の方がクローズアップされているので見落としがちですが、申告に伴って納付の方も延期になります

ここで問題なのは振替納税がどうなるのかです。振替納税(口座から引き落としになる方法)での所得税の支払いの場合、いつ口座引き落としになるのかが現状(3月5日時点)では発表されていません。納付書で納付する場合には、申告期限の4月16日でいいのですが、振替納税の場合、いつ引き落としになるのか、この点は国税庁の発表を待つ必要があります。

それから、対象税目が「所得税」「贈与税」「消費税」となっています。法人の申告は延期にはなりません。すでに終わっていますが、12月決算法人の申告・納付、1月決算法人の申告・納付は従来通りです。

  • 緊急融資対策が出ています。

新型コロナウィルスに対する中小企業対策として私がある意味、最も注目しているのはこの融資の関係です。

新型コロナウィルスの影響で売り上げの減少が現に発生していたり、見込まれる場合、金融機関の制度融資が創設されています。

「制度融資が創設」と書きましたが、実際には従来ある制度の要件を緩くしたものです。大きくは次の二つです。

日本政策金融公庫のセーフティネット貸付

従来からあるわけですが、通常の要件は前年同月比の3カ月平均で売り上げが5%以上減少していることというのが主な要件にありました。この5%売り上げが減少するという要件がなくなり、今回のコロナウィルスの関係で売り上げの減少が認められる場合にも対象となることになりました

このセーフティネット貸付は、現在、日本政策金融公庫での融資を受けていてもそれとは別枠でされている融資制度なので、利用がしやすいといえます。

ちなみに、金利は中小事業の場合、1.11%(2月3日現在の金利です。経済産業省の資料によります)ということです。

信用保証協会融資の4号融資・5号融資

これも従来からあるもので、公庫のセーフティネット貸付に似ています。従来の要件としては、前年同月の3カ月平均の売り上げが5%以上減少するというのが主な要件です。これを3カ月平均ではなく、前年同月の1ヶ月だけでいいとなっています。

実際に売上の減少がある場合には、②の保証協会の制度も検討に値しますし、来月以降、売上の減少が見込まれるような場合には政策金融公庫のセーフティネット貸付を検討してもいいでしょう。

融資に関しては、資金が底をついてからでは遅すぎます。早め早めに対応をするのが鉄則です。その意味で、現状で、例えば、介護施設などでデイサービスの利用控えが発生している場合や治療院などでも患者さんが減少している場合など、新型コロナウィルスの影響がすでに売り上げに出ている(あるいは影響が出る見込み)場合には、先手を打ってこれらの制度融資の活用を考えてもいいと思います。

  • 雇用調整助成金の要件が緩和されています。

今回の件で、実際にコロナウィルスに感染したり、感染にまでは至らなくても休ませたりした場合に使える可能性があるのが雇用調整助成金です。

会社の命令で社員を休ませた場合、欠勤なので給与から控除するわけですが、会社が命令して休ませる場合、その分、給与を保障しないといけません。控除した金額の6割を休業補償として支払わなければいけないというルールがあります。これを休業補償といいます。この休業補償を支払った場合、その支払った金額の範囲で雇用調整助成金という助成金が出ます。この助成金は従来からあるものですが、今回はこの要件が緩和されています。本来はこの助成金を使う場合、先にまず計画書を出さないと対象にならないのですが、今回のコロナウィルスが原因で休業命令をした場合、計画書は5/31までにあとから出せばいいことになっています。

また、本来は前年同月の3か月で比較して売り上げが10%以上減少している場合に対象になるものですが、1ヶ月で比較していいことになっています

休ませるのはコロナウィルスの感染でなくても単に発熱して休ませる場合にも対象になります。もしこうした社員がいて、売上が前年同月と比べて下がっている場合、使える可能性があります。

助成金の金額は休業補償で支払った額の3分の2(労働者1名あたり1日8,330円が上限)とされています。

ただ、この助成金は対象となるのは雇用保険に加入している方です。雇用保険に加入していない非正規雇用の方(パートなど)は対象となりません。この点が現在、問題となっている点で、政府はこうした方も対象となるような助成金制度を創設するといってはいますが、現状では雇用保険未加入者の方たちをフォローする制度はないようです。

以上が中小企業向けの新型コロナウィルスに対する中小企業対策です。

振替納税がいつになるのか、非正規雇用の方が休んだ場合の雇用調整助成金に代わる助成金制度はどういうものなのか、などまだ不透明な部分があります。

わかった範囲でまたこのブログでもお伝えできればと思います。



さて、今週の月曜日から確定申告が始まりました。確定申告の時期はなるべく確定申告の話を書いていこうと思います。

たとえば、副業で得た収入が20万円以下だったら申告しなくてもいいというのはどこかで聞いたことはありますでしょうか?今日のブログのテーマはその話です。

給与所得者(サラリーマン)が報酬の支払調書をもらったりすることがあります。

最近も、ある会社経営者の方から支払調書をもらったがそれは申告したほうがいいのかというご相談を受けました。

給与所得者の場合、年末調整をしています。原則、それで確定申告はしなくていいことになります。ただ、給与所得や退職所得以外の所得が20万円を超えると、確定申告が必要になります。逆に、20万円以下だったら確定申告はしなくてもいいことになります。

さて、問題はここからです。

たとえば、このようなケースではどうでしょうか。

「給与以外に報酬の支払調書があり、それは10万円でした。でも、医療費控除もあります。この場合、報酬の支払調書の分は申告しないといけないのでしょうか。」

つまり、この例の場合には、給与と医療費控除の申告のみで所得税の還付だけ受けるという申告の仕方はOKかということです。報酬の支払調書の分は20万円以下だから申告しないというわけです。

しかし、これはNGです。申告するのであれば、所得が20万円以下であっても申告が必要となります。

これは、考え方の原則を知っていればおのずと理解できる話です。原則は給与以外の収入が20万円以下であろうとなかろうと、収入があれば申告しないといけないわけです。ただ、給与所得者の場合、給与以外の所得があってもそれが20万円以下なのだったらいちいち申告するのは手間なわけです。税務署としても、20万円以下の所得のような小さいものまで追いかけることは面倒なわけです。だから申告しなくてもいいよ、としているだけです。逆にあえて申告してもいいわけです。

給与所得と合わせて医療費控除の申告もするのであれば、給与以外の所得、今回の場合には報酬の分も10万円であっても申告することになります

「給与所得者の副業の所得は雑所得ではなく、事業所得で申告してもいいのか?」

これもよくある質問の一つです。

サラリーマンという本業があって、副業をしている場合には原則的には雑所得です。

事業所得か雑所得かという論点は、何度も国税不服審判所という国税に関する裁判所のようなところで審議されている論点です。その中で、事業所得となる基準を次のように示しています。

ある所得が事業所得に当たるか否かは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得であるか否かによって判断すべきであり〔最高裁昭和52年(行ツ)第12号同56年4月24日第二小法廷・民集35巻3号672頁参照〕、より具体的にいえば、営利性及び有償性の有無、反復継続性の有無、自己の危険と計算においてする企画遂行性の有無、その者が費やした精神的及び肉体的労力の有無及び程度、人的及び物的設備の有無、その者の職業、経験及び社会的地位等を総合的に考慮し、所得税法等の趣旨及び目的に照らし、社会通念によって判断すべきであると解するのが相当である。

ちょっと読みづらいでしょうが、要するに、事業所得に該当するのは以下の基準に該当する場合とされています。

  • 自己の危険と計算において独立して行う業務か
  • 営利性と有償性を有しているか
  • 反復継続して遂行されて営まれているか
  • 社会的地位が客観的に認められているか

この基準、わかりますか?そうなんです。わかったようなわからないような感じなんです。

わかりやすく言えば、どの程度、収入があるのか?どのくらいの頻度で収入があるのか?その収入は継続して入ってくるものなのか?その収入は社会的にちゃんと認められたものなのか?とまとめられます。

サラリーマンの場合、本業は給与所得となるでしょうから、副業を事業所得とするのはハードルが高いと考えるのが自然でしょう。判断基準としては、①毎月、一定程度の収入がある ②収入の金額も給与と同等とは言わないまでもある程度ある というところがあれば、事業所得として申告してもいいのではないかと思います。

ちなみに、事業所得で申告したほうが税務上は有利です。たとえば、赤字であれば損益通算して税金の還付ができます。また、青色申告で申告すれば帳簿があれば65万円の控除はできますし、10万円を超えるものでも30万円未満だったら少額減価償却資産として一度に費用に計上できます。雑所得だと青色申告はできませんし、損が出ても損益通算できませんから何かと不利なわけです。

また、20万円以上の所得というのは、収入から経費を差し引いた残りが20万円を超えるということです。ですから、収入が30万円で経費が10万円だったら所得は20万円ちょうどになるので申告はしなくてもいいことになります。

事業所得か雑所得かという話はその論点だけでいろいろなものが出てきます。それはまた改めて書いていこうと思います。

ということで、今日は副業収入が20万円未満だったら申告しなくてもいいという話でした。



今日は介護事業者向けの最新情報の提供です。

今日(2月3日)に厚労省から出されたものです。

従来の処遇改善加算と特定処遇改善加算とをまとめた様式が今月末をめどに統合された様式が出されます。そのため、通常、2月末となっている処遇改善加算計画書の提出期限が今年に限り、4月15日となります

介護保険最新情報vol.758

「令和2年度『介護職員処遇改善加算』及び『介護職員等特定処遇改善加算』算定のための処遇改善計画書様式例の提示及び提出期限について」

https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2020/02031133382/ksvol758.pdf?from=mail

様式は今月中に発表されるそうです。

最新情報が出たらまた情報発信したいと思います。



今日は、社労士を使わずに自社で助成金申請をする場合に、どんな点に注意したらいいのかを書いていこうと思います。

  • 書類の日付に注意しよう

これは、実際に私が窓口で提出しに行ったときに、隣の窓口で職員さんと提出した会社の事務担当者がやり取りしていたのが聞こえてきたという話です。

どうやらその隣の窓口では、話の内容からすると、特定求職者雇用開発助成金という助成金の申請を扱っているようでした。労働契約書の日付が問題になっていたようで、このようなやり取りがありました。

ハローワークの担当者:「労働契約の日付が〇月×日になっています。これは雇用保険の加入年月日の後になっていますが、この前の契約書があるのですか?」

会社の事務担当者:「労働契約の日付が〇月×日なのは最初は試用期間になっているからです。最初の3カ月は試用期間なので契約書がないんです」

ハローワークの担当者「ということは、最初の3カ月は契約書がない状態なんですか?」

会社の事務担当者:「最初の3か月の契約書は特に交わしていません」

このケースがこの後どうなったのかはわかりません。ただ、労働契約がないというのは助成金ではありえない話です。私からすると、なぜ提出する前に日付の確認をしていなかったのだろうと思わざるを得ません。おそらくこの会社さんでは「試用期間だから契約書はいらない」という認識で事務処理を進めていたのでしょう。しかし、特に助成金上は契約書の根拠のない期間があること自体、あり得ないことなんです。

このケースのように「日付」というのはかなり重要です。

たとえば、キャリアアップ助成金の書類で就業規則に「正社員化の規定」が必要というものがあります。就業規則に正社員化する規定があってはじめて助成金申請に該当するわけです。この就業規則の改定についてもいつ就業規則を改正したのかという、やはり日付が重要なわけです。通常、就業規則を改正したもしくは就業規則を定めた場合には、規定の後ろの方の「附則」という部分に「令和〇年△月×日改定」というような文言を書きます。この日付がいつになっているのかが重要なわけです。就業規則の改定は対象となっている人が正社員化する前の日付でないといけません。

一方で、たとえば、キャリアアップ助成金に様式1-2「正社員化コース対象労働者詳細」というのがあります。ここに記載する日付は、書類の意味からしても、申請期間内で、なおかつ、提出日かそれ以前の日付でないといけません。申請期間が1/16からで、日付が1/15になっていたらいけないわけです。ですが、この書類の日付が仮に間違えたまま提出したとしても、おそらく、その点を提出した後からでも直せば問題ない話だと思います。先ほどの例のように労働契約書だったり、就業規則だったりという場合には、すでに終わっているものなので、日付の訂正というのは後からはできないわけです。助成金申請時の書類だったら後から訂正してもいいものが多いでしょうが、労働契約書や就業規則のようなものは後からの書類の訂正は難しいでしょう。

日付のつじつまが合っているのかというのは、提出前によく確認したほうがいい点です。

  • 書類の提出時にはチェックリストに書いてある順番通りに綴って提出しよう

これも社労士だったらたぶん普通にやっていることです。

各助成金には必ず「チェックシート」というのがあります。助成金には必要な書類が数多く必要です。その書類をチェックシートにのっとってそろっているのかチェックしていくわけです。

ハローワークや助成金事務センターに助成金の書類の提出をするとよくわかるのですが、ハローワークの職員もチェックリストを出してきて一つ一つ書類をチェックしています。たぶん、一般に公開されているチェックリストとは少し違うチェックリストなんだろうと思います。ただ、チェックリストに載っている順番はたぶん同じです。チェックリストになっている元は同じものだろうと推察されるからです。

チェックリストに載っている順番にそろえれば、ハローワークの職員もチェックがしやすいです。ハローワークの職員も人間ですから、スムーズにチェックできれば当然、助成金の審査自体も進みやすいです。同時に、提出する側も書類の不備や附則書類などに気づきやすいです。一番はハローワークの職員が見やすいようにしてあげるということですが、同時に提出する側も書類の不備を事前に見つけやすくなるので、チェックシートに従ってその順番に綴っていくというクセを付けたほうがいいと思います。

  • 一度出した書類は引っ込められない

たとえば、タイムカードの記載に不備があったとします。その不備の記載のあるタイムカードのとおりに時間外給与の計算をすると、実際の支給額に不足額があったとします。おそらくそういうケースではあとから指摘を受けます。時間外手当が法定通りきちんと支払われていないとなると、労働法規にのっとっていなかったことになるので不支給になる可能性もあります。タイムカードの記載が間違えでしたといってそれが認められるのかは不明です。

以前にあったのは、賃金台帳に労働時間数や時間外手当の時間数の記載がなかった時に指摘を受けたことがありました。この場合には、後からでも記載すれば済む話です。ですが、労働時間数が法定時間を超える時間数を記載していたり、時間外手当の支払われていない時間数があることになってしまうような記載の賃金台帳やタイムカードを提出してしまうと、間違いだったと修正するのはおかしな話になってしまいます。

記載がないものは後から追加で記載すればいいですが、記載されているものを修正するのは理由が伴います。

要するに、提出する前に書類に不備がないのか、きちんとチェックしておく必要があるということです。一度出した書類は引っ込められません。書類のつじつまがあっているのか、きちんと確認してから出すようにしましょう。

  • 曖昧だったら即答は避けよう

助成金というのはハローワークや助成金事務センターに書類を提出して、そこで受理されたら終わりというわけではありません。書類を出した後、助成金事務センターから問い合わせがあることはよくあります。ここでの答え方で不支給になるケースもあると聞きます。

電話があったからそれに対して答えるわけでしょうが、それが助成金の申請としては答えていいことなのか、その電話ではわからないケースもあると思います。その場合には、その場で即答することは避けたほうがいいです。

正直申し上げますと、助成金事務センターからあとから問い合わせの電話があると、私は少し緊張します。変な答えをすると、不支給になるケースもあるからです。形式的な話だったら即答しますが、そうでない場合、私は調べてから回答します、という感じで即答はしないようにしています。実際、急に電話があってもその助成金がどういうケースのものだったのか、すぐに思い出せるほうが少ないのでそうしているというのもあります。ですが、一番は即答が危険だからです。

特に会社の事務担当者が助成金の申請をするのでしたら、助成金事務センターから電話がかかってきたら即答は避けるということを頭に置いておくだけでも違うのではないかと思います。

今日は、会社で事務担当者が助成金申請する場合の注意点という話でした。参考にしていただければ幸いです。



従来、助成金の申請は以前は郵送での提出はできませんでした。ちょっと前になりますが、これが平成30年10月1日以降の助成金の書類提出については郵送でもいいことになりました。

事業主の皆さんには、「それまでは郵送では出せなかったの?」とむしろ思われるかもしれません。ですが、助成金の申請は書類の確認は結構、細かいので、その場で指摘して、不備があったら受付しないでその場で書類を返すということをしていました。おそらくそのために郵送での受付をしていなかったのだと思います。

これはたとえば、日本全国の会社を対象に助成金申請のみをやっているような社労士は喜んだのではないかと思います。また、社労士でなくても自社で助成金申請をする場合にも、そのほうが効率的になるため喜んだ方も多いと思います。ただ、郵送申請の場合、気を付けないといけないことがいくつかあります。

簡易書留等の郵送記録が残る方法で郵送しないといけない

②郵送提出の場合、郵送した書類が到着した時点が提出時とみなされる

③書類の補正がある場合に返信しないと助成金が不受理になる場合がある

上記のうち、①はいいと思います。問題は②です。税務関係の書類は郵送提出の場合、発送した日付が提出日となります。一方で、助成金の場合には、書類が到着した日が書類提出の日となります。助成金は期限があるものですから、書類提出の期限ぎりぎりになるような場合、この論点は知っておいたほうがいい重要な論点です。また、会計事務所が助成金申請のアドバイスをしているような場合、税務の世界では郵送の場合には「発信主義」なので、勘違いしてしまう論点かもしれません。

ちなみに、東京都の助成金の場合には、郵送の場合には発送した日付が提出日とみなされます。国の助成金と東京都の助成金では、提出日の考え方が違うというのも知っておいていいことでしょう。

あとは③です。

助成金の場合、よく書類の補正や追加を求められます。期限内に書類を出せば、その後に書類の追加や補正を求められてもその追加や補正の書類は提出期限後であっても、書類受理の後の話なので問題はないのが原則です。しかし、補正や追加があったのにそれに応じない場合には、その後に、補正を求める書類が郵送されます。その補正を求める通知に1か月以内に対応しないと不受理になるということになっています。

これは、厚労省の出しているリーフレットに書かれていることで、実際、実務上で書類の追加や補正に応じないことで不受理になるケースが実際にあるのかはわかりません。しかし、助成金の申請後に追加や補正があった場合には、できるだけ速やかに応じたほうがいいです。当然、対応が遅れれば、助成金の入金も遅くなってしまう話ですから、対応を遅くしてもあまりいいことはないからです。

ちなみに、郵送提出が可能になった平成30年10月1日以後も、私は直接、ハローワークや助成金事務センターに出向いて書類提出しています。どんなに忙しくてもそうするようにしています。助成金というのは何があるかわかりませんし、不備や追加・補正があればその場で対応できるので、そうしています。

行ってチェックしてもらって、どういう点を見ているのかを知るケースもあります。また、書類自体、結構細かいところまでチェックしています。そのため、追加や補正というのは結構な頻度で発生します。その場でやり取りしたほうが話が早いというのもあります。

郵送も可能にはなりましたが、なるべく提出に行ったほうが確実ではないかなと私は考えています。

ということで、助成金が郵送提出可能になったという話でした。



今日は今回の確定申告の話ではなく、来年の確定申告の話です。来年の確定申告ということは、つまり、令和2年1月から適用になる話です。個人事業者や副業をやっている方は、知っておいたほうがいい話です。

改正項目は多岐にわたりますが、事業所得と給与所得が発生する方は関係する項目が次の3つです。

  • 基礎控除の38万円が48万円になります。
  • 給与所得者の給与所得控除が一律10万円引き下げになります。
  • 青色申告特別控除が55万円に引き下げになります。ただし、損益計算書と貸借対照表を作って電子申告で申告する場合には、65万円控除できます。

まずは①です。

基礎控除は現状より、一律10万円引き上げになります。

ただし、合計所得金額が2400万円を超える場合には、合計所得金額に応じて48万円が減っていき、2500万円を超えると基礎控除がゼロになります。

現状では、所得の金額にかかわらず、38万円控除できるわけで、所得の金額が高い人は増税になります。また、②であるように、一方で、給与所得は一律10万円控除が引き下げになるため、給与所得者は実質的にプラスマイナスゼロとなるため、増税にも減税にもならない改正です。問題なのは、副業をやっている給与所得者です。給与所得の方では10万円、所得が増えますが、事業所得や雑所得で上がっているものは基礎控除が引き上げられて10万円控除が増えます。また、給与所得者のサラリーマンが副業で事業をやっている場合、電子申告で申告すれば、③にあるように青色申告特別控除の65万円は維持できるため、基礎控除が上がった分、10万円所得が減る結果となるため、減税となります。

つまり、この改正は副業をしているサラリーマンに有利な改正といえます。

現在、働き方改革ということが言われています。働き方改革では、残業を少なくするような働き方が言われますが、同時に、副業を認めることを企業に推奨している側面もあります。税制がこうした副業をしているサラリーマンを税金の面で後押ししているともいえるわけです。

また、電子申告することで65万円の控除が維持できることとなっているため、電子申告することが必要不可欠になってきます。電子申告するには、マイナンバーカードやカードリーダーなど、一定の用意が必要となってきます。また、そもそもどのようにやったらいいのかわからないという方もいらっしゃるでしょう。そうすると、電子申告するために申告は税理士に依頼するという方法も考えられます。いずれにしても電子申告しないで紙で申告すると青色申告特別控除が55万円となることから、電子申告する方向性を考える必要があるでしょう。

また、65万円の青色申告特別控除を取るには、令和2年1月1日以降の仕訳帳や総勘定元帳(つまりは会計帳簿)を電磁的記録による備え付けをしないといけないとなっています。つまり、会計ソフトなどでデータを保存する方法を取らないといけないということです。

今回の令和元年の申告では要求されていませんが、1月1日以降の部分は会計ソフトを使うなどして帳簿を保存することも考えないといけません。

それから、65万円の控除を取るには申告期限までの申告が要件となっていることから、3月15日までの期限内申告も必須となります。

サラリーマンが副業で事業をやる場合や事業所得のある方については、影響のある改正の話が令和2年から始まっています。帳簿の備え付けは1月1日以降であることからすると、申告は来年だったとしても、すでに始まっている話です。

電子帳簿での保存など、今から考えないといけないテーマであることは知っておいたほうがいいでしょうね。

ということで、今日は令和2年からの税制改正の話でした。



厚生労働省に社会保障審議会というのがあります。12月にこの会合があり、現在、従業員500人超の企業が対象になっている短時間労働者への社会保険の加入を、令和4年10月には100人超の企業に、令和6年10月には50人超の企業に、という形で適用を拡大する方向になっています。

まず、短時間労働者というのはどういう人たちをいうのでしょうか?

短時間労働者とは、以下の要件を満たす人のことを言います。

  • 週の労働時間が20時間以上である
  • 月の給与の額が8万8千円以上(年間106万円以上)である
  • 勤務期間が1年以上の見込みである
  • 学生でない

上記のすべてに該当する人はパートタイマーや短時間労働者であっても社会保険の適用になるというものです。

これは、現状では、従業員数(社会保険に加入している人)が500人を超える企業が対象になっています。中小企業の場合、実質的にはこの規定が該当するところはないのでしょう。

これが、令和4年10月には100人超の企業に、続いて令和6年10月には従業員数50人超の企業にと拡大する方向だということです

これらの要件のうち、一番気になるのが月額給与が8万8千円以上(年間106万円以上)というところでしょう。ですが、実際には、「週20時間」と「勤務期間が1年以上」という部分が問題なのだと思います。

社会保険に加入したくないという場合、たとえば、労働契約書で契約期間が1年未満になるようにしたりということが考えられるわけです。厚労省側もそうしたことを想定して、「契約期間が1年以上」という部分は2カ月超かどうかを判断基準とすることにするようです。これは、現状の週の労働時間が20時間という判断基準は残すようで、これは現状でも雇用保険の加入基準が週の労働時間が20時間であることから、それと足並みをそろえる意味もあるように思います。

また、最低賃金の上昇によって、たとえば、週20時間未満の労働時間であっても月の給与が8万8千円以上(年間106万円以上)になるケースが考えられます。たとえば、時給が1100円だとすると、1週19時間で1週が4.5週あるような月だと、19時間×1100円×4.5週=94,050円となり、8万8千円以上(年間106万円以上)になります。

このようなケースでは、週の労働時間が20時間を超える契約なのかどうなのかが問題になるでしょう。労働契約が週20時間以上の契約になっていれば社会保険加入の対象になるのは当然ですが、実態として労働時間が週20時間を超えているのが常態化しているような場合も、契約の内容がどうであれ、社会保険加入の対象となると判断される可能性があります。社会保険に加入させたくない短時間労働者なのであれば、労働契約はもちろんのこと、実態としての労働時間も20時間以上とならないように配慮していく必要が生じてくるわけです。

いずれにしても、短時間労働者にも社会保険に加入をしなければいけないということは、会社の負担が増える話でもあり、中小企業にとっては死活問題です。こういう話があると、私の顧問先の社長さんの多くもそうなのですが、社会保険の適用拡大の方向性を批判することをおっしゃる経営者も多いです。しかし、批判したところで短時間労働者への社会保険の適用拡大の方向性は変わらないわけです。とりわけ、介護事業所は短時間労働者の多い業種でもあります。今こそ、一人当たりの労働生産性を上げて、効率のいい方法を考えるなど、適用拡大に対応できる態勢を作っていく必要があると考えたほうが前向きなのではないかと思います。

ということで、短時間労働者への社会保険の適用拡大というお話でした。



確定申告は2月16日から提出することができますが、医療費控除などで所得税を還付するための申告書については、この1月からすでに提出することができることはご存じでしょうか?今日はその医療費控除について、改めて確認していこうと思います。

医療費控除のほかにセルフメディケーション税制というのもあります。では、どのように考えてどちらを選択していったらいいのか、把握されていますでしょうか?また、医療費の領収書は添付しなくてもよくなりましたし、健康保険組合や協会けんぽから送られてくる「医療費通知」を確定申告で使えたりもしますが、その辺のことはお判りでしょうか?

まず、医療費控除の適用を受けるのに医療費の領収書は添付しなくてもよくなったという話です。従来は、医療費の領収書は原本を確定申告書と一緒に税務署に提出していました。それが平成29年の確定申告から医療費の領収書を添付しなくてよくなりました。その代わりに「医療費控除の明細書」という書類を書いて出すことになっています。また、医療費の領収書を提出しない場合、その領収書はご自身で保管しないといけません。保存義務の期間は5年間です。

「去年の確定申告の時に医療費の領収書を出してしまった・・・」という方もいらっしゃるかもしれません。それでも問題はないです。令和元年、つまり今回の確定申告までは、医療費の領収書は出してもいいことにもなっています。出さない場合には「医療費控除の明細書」を出さないといけないという話で、領収書を出してもいいわけです。

医療費の領収書は出しても出さなくてもどちらでもいいということは、ご自身で領収書を保管するのが手間だという方は逆に、医療費の領収書を税務署に提出してしまうというのもアリだということです。

また、最近、協会けんぽや健康保険組合から「医療費の通知書」という書類が届くのではないかと思います。かかった病院や薬局などが金額とともに一覧になっているものです。この「医療費通知」は確定申告に使用してもいいことになっています。ただ、たとえば、自費診療で受けたものや、12月に病院にかかったもの、あるいは病院までの交通費などは反映されません。そうした医療費通知に反映されていないものは、別途、「医療費控除の明細書」に記載する必要があります。「医療費通知」を使って確定申告をすることもできますが、「医療費通知」に載っていない項目は別に「医療費の明細書」に書かないといけないというのは注意点です。また、この「医療費通知」は確定申告書に添付して出す必要はありませんからその点も確認しましょう。

次に、医療費控除とセルフメディケーション税制との関係についてです。

まず、この医療費控除とセルフメディケーション税制というのはどちらか一方しか使えません。通常の医療費控除で申告をしたのであればセルフメディケーション税制は使えません。セルフメディケーション税制を使って確定申告したのであれば、通常の医療費控除は使えません。両方とも「医療費控除」という項目で申告するのには変わりはないのですが、計算自体はどちらか一方しかできません。では、どういう手順でどちらを選んでいったらいいのでしょうか?

その前に、セルフメディケーション税制って何でしょうか?

セルフメディケーション税制とは、医療費の領収書の中にドラッグストアなどで購入した薬があれば、その購入費が控除の対象になるという税制です。

領収書をよく見ると「セルフメディケーション税制対象」となっているものがあると思います。領収書を見て「セルフメディケーション税制対象」となっている医薬品を集計していくわけです。そのセルフメディケーション税制対象の医薬品を集計していって、12,000円を超えたら、医療費控除に代わりにセルフメディケーション税制を使って控除することができます

ただ、このセルフメディケーション税制を使うためには、「インフルエンザの予防接種」や「がん検診」「定期健康診断」「人間ドック」などを受けていることが必要です。この税制を使うためには、これらを受けているということがわかる領収書などが必要です。インフルエンザの予防接種の領収書や、定期健康診断の結果通知などがあればOKです。

ただし、インフルエンザの予防接種や定期健康診断の費用自体は控除の対象にはなりませんので、その点は注意点です。また、通常の医療費控除は本人だけでなく、生計一親族が

受けた医療費も対象ですが、セルフメディケーション税制の対象にさせるには控除を受ける本人がインフルエンザの予防接種や定期健康診断を受けていないといけません。家族が受けていてもダメなんです。この点も注意点です。

さて、この医療費控除とセルフメディケーション税制ですが、まとめますと、次のような手順で考えればいいことになります。

  • 医療費控除の集計をして、医療費の金額の合計が10万円を超えるか、もしくは総所得金額の5%を超えるか、どちらかに該当したら医療費控除を選択する
  • 医療費の金額が10万円未満で、なおかつ、総所得金額の5%を超えていないのであればセルフメディケーション税制の適用を検討する
  • セルフメディケーション税制を受ける場合には「インフルエンザの予防接種」「定期健康診断」「人間ドック」などを控除を受ける本人が受けているかを確認する
  • ③が確認出来たらセルフメディケーション税制を適用させる

手順としては、まずは、医療費控除の検討です。通常の医療費控除が受けられないとなったら、セルフメディケーション税制を検討しましょう。

ただ、難しいのは、セルフメディケーション税制の適用になる医薬品で、医療費控除の対象にはならないものがあります。そうしたセルフメディケーション税制の対象にはなって医療費控除の対象にはならない医薬品が多い場合には、医療費控除を受けられるとしてもセルフメディケーション税制の適用を受けたほうが控除が大きくなるケースも考えられます。細かい話ですが、そうしたケースもあるんだなということも一応は知っておいていいことかとは思います。

医療費控除をめぐる税制の話というのは、実は以前よりも複雑になっています。

領収書添付の話や、医療費通知の取り扱い、医療費控除やセルフメディケーション税制の話など、このブログで改めて確認していただければと思います。