手技療法の治療院、介護事業の経営に役立つ最新情報や知って得する情報満載のブログです!

今年の確定申告から変わることがあります。書類の添付が必要なくなったものがあるのです。今日は添付書類の省略というお話です。

デジタル・ガバメント実行計画」というのを聞いたことはありますでしょうか?

これは官民データ活用推進基本法という法律に基づいたもので、行政機関に一度、提出した書類は各行政機関内で共有することによって、再度、別のところへ提出する必要のないようにする取り組みを言います。「ワンスオンリー」と呼んだりするようです。マイナンバー制度を活用することで、こうした取り組みを実現しようとするものです。

給与の源泉徴収票」というのは、通常、給与の支払い者を通じて税務署に提出されます。つまり、サラリーマン本人が出さなくても一定の要件に該当する者については会社がすでに税務署に源泉徴収票を出しているわけなんです。行政にすでに出してあるものですから、再度、確定申告の際に提出する必要はないというわけです。税務署としてはマイナンバーで源泉徴収票が紐づいていますから、すでに把握しているというわけです。

他にも、「年金の源泉徴収票」も同様の取り扱いです。そのほかにも「上場株式配当等の支払通知書」や「特定口座年間取引報告書」といったものも提出が必要なくなりました。

この提出が不要になった「給与の源泉徴収票」「年金の源泉徴収票」「上場株式配当等の支払通知書」「特定口座年間取引報告書」といった書類は、平成31年4月以降に提出する確定申告書について適用されます。たとえば、平成30年やそれ以前の確定申告書を平成31年4月以降に提出する場合にも、これらの書類の添付は必要なくなりました。

今回の確定申告の際に一緒に平成30年以前の申告書を一緒に出してしまおうとしているのでしたらこの添付書類の省略の話は平成30年以前の申告書にも有効であることを知っておきましょう。

従来から電子申告でやっている方については、そもそも源泉徴収票を出していなません。その意味で違和感はないと思います。添付書類の省略というのは、紙で確定申告書を提出する場合ですので、その点も確認しましょう。

また、書類の提出の必要がなくなったといえば、医療費の領収書も同様です。これは、平成29年の税制改正で医療費の領収書の添付が必要なくなりました。領収書はご自身で保管してその代わりに「医療費控除の明細書」という書類を書いて出せばそれで足りるとされています。医療費控除の話は次回のブログでまた書いていこうと思いますので、次回の本ブログで確認してみてください。

確定申告は2月16日からですが、給与所得者の還付申告については、2月16日を待たずに1月1日以降、すでに提出することができます。上記の取り扱いについて、知っておいたうえで確定申告書を出してみてください。

ということで、今日は確定申告で添付書類が省略されていますというお話でした。



今日は、本年最初のブログになります。なるべく1週間に2回か3回は更新しようとは思っています。今年も最新の情報や経営者の皆さんや会社の総務・経理担当者の役に立つ情報を配信していければと思います。

さて、今日は、面接時に経営者側が聞いてはいけないことがあるという話です。

厚生労働省が「採用選考に関する基本的な考え方」として、採用時面接で聞いてはいけないことというのを具体例を交えて書いていますので、それをご紹介していこうと思います。

たとえば、面接で聞いてはいけないこととして「家族のこと」があるのをご存じでしたでしょうか?出生地のことや住んでいる環境のことなども聞いてはいけないこととされています。

一般的に、宗教ことや政治に関すること(支持政党など)は聞いてはいけないというのは何となく感覚的にわかると思います。しかし、たとえば、読んでいる新聞や愛読書のことなんかも聞いてはいけないこととされています。なんとなく話の流れで「どんな本を読んでいらっしゃるの」なんて聞きたくなる場面もあるかもしれませんが、基本的に採用時面接においては聞いてはいけないとされている項目です。

さて、採用時面接で聞いてはいけないことがあるというのはどういう基準で厚労省は言っているのでしょうか。基本にあるのは「基本的人権」です。

採用選考に当たっては

 応募者の基本的人権を尊重すること
 応募者の適性・能力のみを基準として行うこと

の2点を基本的な考え方として実施することが大切です

厚労省は上記のように言っています。あくまでも採用選考というのは応募者の適性や能力のみで判断されるべきであって、生活環境や家族のことは本人の能力とは関係のないことだというわけです。

なかでも、「家族に関すること」を面接時に聞いてしまうというのが、違反事例として最も多いと厚労省のHPにも掲載されています。

「家族のこと」というのは具体的には、ご家族の職業や地位、学歴、収入、資産などの家族の状況のことを指しています。もちろん、本人の学歴や職歴は聞かないと面接にならないことも多いでしょうから本人のことは問題はないのですが、家族のそうした情報は採用面接の判断に必要のない事柄とされているため聞いてはいけないこととされているわけです。

また、「現住所の略図」を求めることも生活環境などを把握したり身元調査につながる可能性があることからしてはいけないとされていますし、採用選考時に健康診断を実施することも、合理的・客観的に必要性が認められない場合にはしてはいけないとされています。

仕事に影響のある程度の健康状態についての質問はいいのでしょうが、必要以上に面接時に健康状態について尋ねるのもやめておいたほうがいいでしょう。

それからひょっとしたらやってしまいかねないこととして、面接時に「戸籍謄(抄)本」の提出を求めたり、本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることも違反事項とされています。これは私見ですが、採用時面接の段階では、住民票などの提出自体求めることはしないほうがいいでしょう。住んでいる場所などを確認したいのであれば履歴書に記載されている事項でまずは判断すべきかと思います。

上記は採用時の面接の話なので、もちろん、入社後に必要に応じて社会保険の手続きなどで必要ということで、本籍地の記載のある住民票の提示を求めるのは問題はないでしょう。また、入社した後に会話の中でご家族のことを聞いたりということもあるでしょう。それは問題ないわけです。(もちろん、しつこく家族のことを聞くなどということは問題がありますから注意しましょう)厚労省の言っているのは、採用に際して本人の能力などに関係のない事柄をもって判断することはフェアではないからやめようという話ですから、どの点を言っているのかを明確にしましょう。

こういう話をすると、「昔よりも細かくて面倒になった」というようなことをおっしゃる社長さんもいらっしゃいます。しかし、本来的に、面接で経営者が見るべき項目というのは本人の適性や能力のはずです。それ以外の項目について、たとえば、本人の家族のことなどは「採用時面接」という場面では聞かなくてもいいことのはずです。面接を受ける側のほうがどちらかというと緊張してうまくいかないことが多いものです。そうしたことにも配慮するような経営者でないといけないのではないかと思うわけです。

ということで、今日はいつもとはちょっと違うお話、採用時面接で聞いてはいけないNGなことというお話でした。



さて、今日は法人なりしたり、個人でやっていた事業をやめることにしたりして、個人事業を廃止した場合の事業税の取り扱いの話をしたいと思います。

税理士であっても意外とこの論点が抜け落ちてしまう点ですので、この機会にこのようなものがあることを知っておいていただきたいと思います。

具体的にこのケースが発生するのが多いと思われるのが個人事業を法人にした場合です。法人なりした場合にはこの処理が発生する可能性があると理解しておいたほうがいいでしょう。

その前に、個人事業にかかる個人事業税について説明したいと思います。

個人事業税というのは個人事業をやっていた場合にかかる税金です。具体的には収入から経費を引いた金額が290万円超だと個人事業税がかかります

たとえば、令和元年の確定申告書は令和2年2月16日から3月15日までに提出します。その申告書をもとに個人事業税の計算を都税事務所や県税事務所で計算して8月と11月の年2回にわたって納付することになります。

つまり、個人事業税の計算をわざわざするのではなく、都道府県の県税事務所で計算して一方的に納付書を送ってくるので、納税者側は送られてきた納付書に従って個人事業税を納付するという流れなわけです。

また、個人事業税は納付したときに「租税公課」という勘定科目で経費計上します。つまり、令和元年の確定申告で確定した個人事業税は令和2年の8月と11月に納付することになるわけで、前の年の分を翌年に納付する税金なわけです。この辺は住民税と同じです。

さて、そうすると、たとえば、令和元年中に法人なりして個人事業を廃止していた場合、どうなるのでしょうか。実際の納付は令和2年の8月と11月になります。支払った令和2年はすでに個人事業は廃止していますから、支払った事業税は経費に計上できないという問題があるわけです。

このような問題があることを見越して、所得税は個人事業を廃止した年の所得に課税される事業税は廃止年に見積もり計上していいことになっています。(所得税基本通達37-7)

この見積もり計算で経費計上していい個人事業税ですが、次のような算式によって計算することになっています。

(A±B)×R/(1+R)

A・・・事業税の課税見込額を控除する前の当該年分の当該事業に係る所得の金額

B・・・事業税の課税標準の計算上Aの金額に加算し又は減算する金額

R・・・事業税の税率

上記の算式のうち、Bというのは個人事業税にある290万円の控除のことを言っています。

この290万円の控除は事業廃止までの月数で按分するということです。たとえば、6月で個人事業を廃止した場合、290万円を6/12して、145万円が控除額ということです。

具体例で考えましょう。6月末で個人事業を廃止して、7月から法人に組織変更したとしましょう。1月から6月までが所得が500万円だったとすると、500万円-145万円=355万円となります。個人事業税は事業の種類によって税率が異なりますが、税率が5%だったとして算式にあてはめると以下のようになります。

355万円×5%÷(1+5%)=169,000円(百円未満切り捨て)

この169,000円は個人事業を廃止した年の必要経費にできるというわけです。

さて、これを仮にご存じでなく、確定申告をしてしまったらどうなるのでしょうか?令和2年の8月と11月に支払う個人事業税はどこにも経費にできずに終わってしまうということでしょうか?

仮に、この個人事業税の取り扱いのことを知らないもしくは必要経費に入れるのを忘れてしまって、必要経費にあげていなかったとしても大丈夫です!「更正の請求」という方法でさかのぼって経費に計上できます。「更正の請求」をすることで、個人事業税に相当する所得税や住民税の還付を受けることができますからご安心ください。

なお、この「更正の請求」は確定申告期限から5年間です。今だと、平成26年分から平成30年分であれば「更正の請求」が可能です。

また、個人事業の廃止というのはなにも法人なりだけではないです。個人事業主の死亡の場合もあり得る話です。平成26年から平成30年の間に死亡して準確定申告を行った場合に、申告した後に個人事業税を支払っていてそれを経費計上していないようなときも「更正の請求」によって所得税や住民税を取り戻せます。

個人事業を廃止したときの個人事業税の経理処理というのは、実は、税理士も見落としやすい論点です。このブログで参考にしていただければ幸いです。



今日は節税対策の一つとして利用されることがある「短期前払費用」の話です。

「短期前払費用」とは、契約に基づいて、支払った日から1年以内のサービスなどの役務の提供を受けるものの費用のことを言います。

わかりやすい例としては、たとえば、年契約の火災保険料などが該当します。

1年ごとに契約して1年分の火災保険料の支払いをする場合、支払ったときに全額、経費として計上していいというものです。

国税庁のHPには「短期前払費用」について、次のような説明があります。

法人が、前払費用の額で、その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、前払費用となる場合にかかわらず、その支払時点で損金の額に算入することが認められます。
 ただし、借入金を預金、有価証券などに運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、たとえ1年以内の短期前払費用であっても、支払時点で損金の額に算入することは認められませんので注意してください。(法基通2-2-14)

広告宣伝費や雑誌の定期購読、家賃の支払いなど、短期前払費用となるものはいわゆる「サービスの提供」にかかるもので、一定額のものに該当するものです。また、サービスの提供の仕方も時の経過に伴って費用化されるような定型のサービスです。「等質等量のサービスがその契約期間中継続的に提供されること」とされています。

そして、もう一つは「契約によって支払方法が1年以内となっているもの」に限ります。

こうしたものに該当しなければ、仮に1年分を一度に支払っていたとしても支払ったものはいったんは「前払費用」として計上し、その後、期間の経過に応じて月ごとに費用に振り替えていく処理することになります。

具体例で考えてみましょう。

〇保険期間が2年の火災保険料を支払った場合

保険期間が2年のものなので、「前払費用」として処理することになります。2年の火災保険料の場合、保険期間に応じて費用に振り替える処理をしていきます。

たとえば、12月決算法人で、12月に保険期間が2020年1月から2021年12月の2年間の火災保険料を24万円を一括支払いした場合、どうなるのでしょうか?

この場合は保険期間が1年以内であることに当てはまっていないため、短期前払費用に該当しません。経理処理としては保険期間に応じて費用処理することになるため、12月決算で12月に支払った火災保険料は24万円全額、「前払費用」となります。

ちなみに、この24万円の「前払費用」は、2020年1月から12月で12万円、2021年1月から12月で12万円、という形で期間に応じて経費計上していくことになります。

〇契約によらずに1年分の家賃を支払った場合

「契約による」のが短期前払費用として経費計上できる原則なので、契約によらなければ支払った金額は「前払費用」として処理していきます。

たとえば、12月決算法人で、契約上は1か月10万円の家賃の支払いは翌月分を前月末に支払う(1月分はその前月12月末に支払う)ことになっていたとします。この場合に2020年1月から12月の家賃分の合計120万円を12月に支払ったらどのような処理になるのでしょうか。

この場合には、契約上は年払いになっておらず、月払いになっているため、1月分の家賃(12月末支払い分)のみが経費計上できることになります。それ以外の2月から12月分の家賃は支払っていても「前払費用」として処理することになり、翌期(2020年12月期)の経費として計上することになります。

セーフティ共済の保険料1年分を支払った場合

月払いで支払っていたセーフティ共済の保険料を1年分支払った場合には、支払ったときに1年分の保険料を経費計上することができます。

たとえば、12月決算法人で、以前からセーフティ共済の保険料を月額10万円かけていたとします。その場合に、2020年1月から12月分の保険料、合計120万円を12月に支払ったとしたらどうなるのでしょうか?

これは、支払時の12月に120万円を経費計上することができます。その場合、2020年1月から12月は保険料が発生しませんが、2020年12月に次の年の分の保険料を支払えば次の期の保険料として経費計上できます。この場合には、2020年12月に120万円を支払えば120万円が経費計上できます。

セーフティ共済の場合、年払いか月払いかを選択します。2年目以降は年払いの手続きをしなければ自動的に月払いに移行します。契約でそうなっており、契約に即した経費計上となるため年払いの経費計上が認められているのです。

短期前払費用が経費として認められる場合をまとめると、以下の4つに要約されます。

  • サービスの提供であること
  • 提供するサービスが月ごとに定型のものであること
  • 契約に基づいた支払であること
  • すでに支払っていること

さて、では、このようなケースでは短期前払費用は認められるでしょうか?

「5年間契約で某ビルの屋上に広告用看板を掲示することとした。その際、掲示料と して600万円の手形(1通の額面10万円で60通)を支払った。この手形は掲示期間中の毎月末を決済日とした。当期末で翌期首後1年を超える期間に対応する分だけ前払費用として計上し、残りは当期の費用とするつもりであるが、税務上問題はないか。」

この例のように1年分以上の金額を支払った場合に1年以内の期間を経費計上することは認められていません。あくまで1年以内の期間分を支払った場合に支払った金額の全額を短期前払費用として経費計上していいというものです。この例の場合には、支払った金額全額が「前払費用」となり、期間に応じて費用化していくことになります。

また、裁判となった事例で、短期前払費用として処理している金額が多額すぎるとして認められなかった例もあります。

この例では、5000万円全額を短期前払費用として処理した結果、所得金額を1791万7019円、納付すべき税額を593万8200円となりました。裁判所は次のように判断して、納税者側の短期前払費用の処理を認めませんでした。

「原告の会計処理を認めた場合に原告が平成7年事業年度の法人税として納付すべき金額と更正処分の結果、同法人税として納付すべきこととされる金額との差額は1904万2500円にもなり、課税上さしたる弊害がないというには多額すぎる。

また、通達が規定する短期の前払費用の処理は、企業会計上の重要性の原則に基づくものであって、同通達の適用を受ける前払費用に当たるか否かについては、それが重要性に乏しい支出か否かによって判断されるべきであるが、原告の財務内容に照らし、また、傭船料は浚渫業者にとって重要度の高い原価であることから考えても、本件傭船料の支出は重要性の乏しいものとはいえない。」(長崎地裁・平成12年1月25日判決)

短期前払費用はこうした様々な点を考慮に入れながら経費計上できるかどうかを判断していく必要があります。私も顧問先にこの短期前払費用の話をすると、簡単に短期前払費用の処理をしたいという話をされることがあるのですが、そう簡単にできるものでもないわけです。

短期前払費用で処理することに問題がないか、しっかり検討する必要があるということは知っておいていい点だと思います。 以上、短期前払費用の話でした



10月の消費税率の引き上げに伴い、キャッシュレス決済のポイント還元が始まりました。

○○ペイやカードの決済などのキャッシュレスの方法で、ポイント還元されるものです。

さて、そうしたポイント還元があった場合、経理処理はどうしたらいいのでしょうか?

ポイント還元には4種類あります。

  • ポイントを付与する・・・使っているカードなどにポイントを付与する
  • 即時充当する・・・商品などを購入したときに購入額にポイントをすぐに充当して差し引く
  • 引き落とし時に相殺する・・・カードなどの利用額が口座から引き落とされるときにポイント額を控除する
  • 口座に充当する・・・1か月以内の期間ごとに口座にポイント相当額を付与し、その後に決済したときにポイント相当額を充当する

特に問題となるのは②のケースです。②のケースでは、キャッシュレスの決済をするたびに実際支払額のポイント還元分が会計時に支払額から引かれます。例を使ってみていきましょう。

消耗品      1,000円

消費税     100円

ポイント還元 ▲50円

支払額    1,050円

さて、この場合の経理処理はどうするのでしょうか?

上記のような場合、理解の仕方として購入額はあくまでも1,100円だということです。ですから、以下のような仕訳になります。(ちなみに税込み経理処理が前提です。)

(消耗品費)/(現金) 1,100

(現金)/(雑収入)     50

即時充当の場合、会計時に即時に充当されるため、上記のような仕訳になります。

「現金」は相殺されますから、現金を相殺すると以下のような仕訳になります。

(消耗品費)/(諸口)  1,100

(諸口)/(雑収入)   50

(諸口)/(現金)  1,050

もう一つ、別の具体例でみてみましょう。

上記の例は、10%対象のものでしたが、軽減税率対象のものと10%対象のものが混在していたらどうなるでしょうか?

消耗品    500円

飲み物    300円※

合計     800円

10%対象消費税    50円

8%対象消費税     24円

ポイント還元 ▲40円

支払額     834円

※軽減税率対象

さて、上記のように、10%と軽減税率の対象が混在していた場合ですが、これは10%対象と軽減税率対象とを一つ一つ別々に処理していくことになります。ちなみに、飲み物の購入は「福利厚生費」として処理したとします。また、処理は税込み経理処理が前提です。

(消耗品費)/(現金) 550

(福利厚生費)/(現金) 324※

(現金)/(雑収入)  40

 ※軽減税率対象

上記の現金を相殺すると、以下のようになります。

(消耗品費)/(諸口)  550

(福利厚生費)/(諸口) 324 ※

(諸口)/(雑収入)   40

(諸口)/(現金)    834

 ※軽減税率対象

ポイント還元以外はポイント還元がなかったとして処理し、ポイント還元分は「雑収入」とするということです。

さて、これとの違いとして、お店独自にポイント分を値引きした場合、どうなるのかも考えてみましょう。

消耗品     500円

ポイント値引き ▲25円

消費税      47円

支払額    478円

上記は以下のように仕訳します。

(消耗品費)/ (現金) 478

違いがお判りでしょうか?お店独自のポイント還元は、ポイントを値引きとしてみていることです。つまり、ポイントを引いた後の金額で処理するわけです。

税法的に言うと次のように表現できます。

キャッシュレスポイント還元・・・ポイント還元の控除前の金額を課税仕入れにする

お店独自のポイント値引き・・・ポイント控除後の実際支払額を課税仕入れとする

キャッシュレスのポイント還元は、別の言い方をすれば、経理処理上は値引きではないということで、ここに経理処理の特徴があるわけです。

また、キャッシュレスのポイント還元の形態のうち、③引き落とし時に相殺するや④口座に充当する の場合も、支払時に減額された金額を「雑収入」として処理することになります。

上記のキャッシュレスのポイント還元の仕方は、国税庁が公表している「即時充当によるキャッシュレス・消費者還元にかかる消費税の仕入れ税額控除の考え方」によっています。

参考にしていただければ幸いです。



今日は、税務のちょっと変わった話?をしていこうと思います。

ロータリークラブの会費が経費になるのかという話です。

その前にロータリークラブって何か、ご存じでしょうか。

ロータリークラブというのは地域の慈善事業などを行う団体で、様々な慈善事業への参加を通じで会員同士の親睦を図ったりするものです。多くは会社経営者だったり、地主といったような地域の名士の集まりといったものです。

これに近いものにライオンズクラブというのがあります。会の趣旨などはほとんど同じです。ライオンズクラブのほうが加入条件が緩やかであったりするようです。

このようなロータリークラブやライオンズクラブの会費は個人と法人で経費になるのかどうなのかの取り扱いが違うのはご存じでしょうか。

ロータリークラブの会費が経費になるかどうかというのは、実は、国税不服審判所という国税に関する国と納税者の裁判所のようなところで何度か裁決がされています。そのほとんどが、個人の場合には必要経費にならないと裁決されています。(平成26年3月6日裁決、平成28年7月19日裁決など)

なぜ経費にならないかというと、ロータリークラブの会の目的が関係しているようです。

平成26年3月6日の裁決は、司法書士がロータリークラブの会費を経費として計上していたのが認められなかった裁決ですが、このように書かれています。

本件クラブの綱領は、有益な事業の基礎として奉仕の理想を鼓吹し、これを育成することとしており、本件クラブは、当該綱領に基づき奉仕活動を行うことが目的であるところ、当該奉仕活動は、請求人が司法書士として行う事業には該当しない。

この裁決では、商工会議所の会費と比較して論じられています。商工会議所の会費が経費になるのは、事業との関連性があるからであって、ロータリークラブの会費はその会の目的からして事業との関連性が認められないというものです。

また、別の裁決例(平成28年7月19日裁決)では、ロータリークラブの会費は「顧客獲得のための積極的な営業・広報活動等」とまではいえず、その営業効果は「間接的、副次的に生ずる効果に過ぎない」として経費計上を認めていません。

上記の裁決例は個人事業の場合の話です。面白いのは同じロータリークラブの会費でも法人の場合には経費計上を認めています。法人税法基本通達の9-7-15の2 という部分にそれが書かれています。

法人がロータリークラブ又はライオンズクラブに対する入会金又は会費等を負担した場合には、次による

(1) 入会金又は経常会費として負担した金額については、その支出をした日の属する事業年度の交際費とする。

(2) (1)以外に負担した金額については、その支出の目的に応じて寄附金又は交際費とする。ただし、会員たる特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められる場合には、当該負担した金額に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。

なぜ、個人と法人が取り扱いが違うことになるのか、釈然としない部分はありますが、個人は必要経費不算入、法人は交際費で損金算入、というのが通説的な解釈です。

さてここからは私見も含めての話になります。

ロータリークラブの会費が必要経費になるのかならないのかというのは、実務的に言えば税務調査で指摘されるかされないかによってくるものと思います。

税務調査官の目に触れて、このロータリークラブの会費の取り扱いを知っている調査官だったら個人の場合には否認される可能性があります。法人の場合には、諸会費等の交際費ではない勘定科目で処理されていたら交際費として処理するように言われる(その結果、損金不算入になる部分が出てくる可能性がある)というところだろうと思います。

たとえば、個人であっても、ロータリークラブの会員から仕事を依頼されたとかという具体例があったとき、担当する調査官が「それでもロータリークラブの会費は必要経費にはならないんです」と言い切れるのかどうかは何とも言えません。

税務調査の立ち合いをしたことのある社長さんや経理担当者ならわかると思いますが、実際の税務調査では調査官とのやり取りで決まってきます。その中でロータリークラブの会費が事業と密接に関係していると訴えたとき、調査官がどういうとらえ方をするのかによって来るのではないかと思います。

この論点に関しては、裁決例は個人に厳しい裁決例ですが、法人が交際費で損金算入なのに対して、個人は経費にできないというのは、私自身も釈然としない部分があります。

ただ、間違っていただきたくないのは、私は個人であってもロータリークラブの会費を経費にしてもいいと言っているわけではありません。裁決例は個人には不利な判断はされていますが、経費に計上していても、実務上、税務調査で否認されないこともあり得るということを知っておいていただければという話です。上記のことをわかっているうえでどう処理するのかは事業主の皆さんにお任せするという感じです。

ちなみにロータリークラブのほかにライオンズクラブというのもあります。これも同じです。また、地域によっては40歳までの加入を条件とする「JC」という組織もあります。このJCの会費も同様の取り扱いだろうと思います。

参考になさってみてください。



今日は最新の情報を発信したいと思います。

施行日がなんと、令和2年1月1日ですから、来月から実施される予定というものです。

内容は、健康保険や厚生年金の手続きと雇用保険の手続きが一つの窓口に統一化されるというものです。

厚生労働省は労働政策審議会の諮問を踏まえ、次のように言っています。

①届出様式の統一化(厚生年金保険、健康保険、労働保険及び雇用保険の各手続において届 出契機が同じ4種の手続(※)について統一化した届出様式を新たに設ける)

②ワンストップ受付窓口の設置(統一様式につい ては、受付窓口も統一化し、年金事務所、労働基準監督署及びハ ローワークにおいてそれぞれ一括して受け付ける)を行うことと している。

※ 新規適用届(適用事業所設置届、労働保険関係成立届)、適用事業所全喪届(適用事業所廃止届)、 被保険者資格取得届及び被保険者資格喪失届

どうやら、社会保険と雇用保険の届け出様式を一枚の紙でできるようにするという話のようです。さらに省令改正のポイントとして、以下のように書かれています。

○ 受付窓口のワンストップ化
 労働保険関係成立届について、対象事業
の事業主が、健康保険法および厚生年金保険法上の「新規適用届」または雇用保険法上の「適用事業所設置届」と併せて提出しようとする場合においては、年金事務所、労働基準監督署またはハローワークにて受け付けることができるものとします。
 また、この場合において、事業主が提出する概算保険料申告書についても、同様に、年金事務所、労働基準監督署またはハローワークにて受け付けることができるものとします。

 ※以下に関するものを除く事業
・有期事業
・労働保険事務組合に労働保険事務の処理が委託されている事業
・二元適用事業

上記の方は、労働保険の年度更新(労働保険の申告)の話です。これについては、年金事務所やハローワークでも受け付けできるようにするという話のようです。

会社ができたら年金事務所と労働基準監督署、ハローワークと、それぞれ別々に届け出が必要でした。それが、一つの窓口でできるという話ですから、会社にとっては手続きの簡素化につながり、いいことではあります。

ただ、なにせ、来年の1月から、つまり、来月から実施されるという話です。

急に出てきた感が否めませんし、会社もこの改正にすぐに対応していく必要があります。

具体的にどういう形になるのか、まだわからない部分だらけではありますが、今後、注視していく必要がありそうです。



今日は私の顧問先であった話を元に書いていきます。

この顧問先の介護事業所は、介護保険法の改正のたびに影響を大きく受け、改正後に経営状況が悪くなるということを繰り返していました。年々、経営状況が厳しい状況にあり、いよいよ介護保険外のサービスを中心に事業所経営をしていこうと舵を切っているところです。介護保険外サービスの新規事業に参入するということは資金が必要なわけで、金融機関からの借入が必要な状況なわけです。ところが、ここ数年、あまり経営状況がよくないためほとんど銀行に顔を出さなくなっていたということです。

そこで、銀行融資についてのご相談を私が受けたということです。

そもそもなぜ銀行に行かなかったのでしょうか?

おそらく、経営状況が悪い状況で行くといろいろと自社に不都合なことを言われると嫌ったということなのでしょうか。これでは状況が悪いから行かないなどということでは銀行との関係も上手くいくはずはありません。

銀行にはいいところを見せておきたい。

銀行にいちいち状況を説明しなくてもいい。

決算時以外に試算表を銀行に提出することはしたことがない。

そもそも決算書も銀行から言われるまでは出さない。

このような意識の経営者の方は要注意です。

考えてもみてください。

ちょくちょく会っていて、家族のことや仕事のことなど、その人のことを良く知っている人が「お金を貸してほしい」と言われた場合と、一方で、高校の同級生で何十年ぶりかに会う友人に「お金を貸してほしい」と言われた場合とで比較して考えてみたらわかると思います。何十年ぶりに会って状況がどうなのかわからない人にお金を貸すでしょうか?

銀行だって同じなわけです。

状況が悪い時はなおさらです。銀行に足繁く通って、自社の企業の状況を報告に行っていないといけません。これからこうするから業績は回復するという説明を聞いていて、金融機関側も状況が悪いことを把握していたとしたら、いざというときに頼りにできる存在になる可能性が大きいです。

件の社長さんも経営状況がいい時には毎月のように銀行に試算表をもって自社の経営状況を報告に行っていたものです。私も同席してほしいと言われて、よく一緒に銀行に行っていました。ところが、経営状況が悪化するにつれて、銀行へ行く頻度が減っていきました。私も行く回数が減って、一緒に行くことはなくなりました。ついには、社長さん自身が決算が終わっても決算報告すらいかなくなってしまったのです。その状況でいきなりお金を借りに行っても借入することは難しいでしょう。

銀行といっても担当者は「ヒト」です。信用というのは、頻繁に経営状況を報告しに行ったりして、少しずつ醸成されていくモノです。時間をかけて銀行との信頼関係を築いていくことがあとでお金を借りるときに活きてくるわけです。

ちなみに、件の社長さんですが、銀行からの融資が難しいため、結局、日本政策金融公庫からの融資を受けることになりました。公庫であれば、経営状況がかなりひどい状況でなければ銀行よりは可能性があると判断したためです。公庫の特徴として、書類上のやり取りになることが多いため、担当者との意思疎通などがあまりなくても、融資を受けられる可能性があるのです。この辺の公庫の融資の考え方は私の以前のブログを参考にしてみてください。

以上、参考になさっていただければ幸いです。



今日は顧問先から実際に受けた質問を元に書いていこうと思います。

質問の趣旨は次のようなものです。

休日に勝手に出社してタイムカードを押して仕事をしている社員がいる。会社としては休日に出勤してだらだらと仕事をしてほしくないし、長時間労働や時間外労働の割増賃金の問題もあるので、そうした行為は認めたくない。そこで、休日出勤を申請制にして、休日出勤をする場合には事前申請をしないと労働時間としては認めないという形にしたいが、これは適法なのか?

勝手に社員が休日出勤したり、指示がないのに残業をしたりということはあり得ることです。このようなときに、どうしたらいいのでしょうか?

残業や休日出勤を「許可制」にすること自体はよくあることです。時間外労働や休日出勤を所属長の許可が必要としていた会社で、所属長の許可なく、時間外労働や休日労働をした場合というのは実は裁判例にも数多くあります。

平成18年10月6日に大阪地方裁判所で出ている「残業許可制」の事件、昭和観光事件というのを引き合いに出してみましょう。

この会社では、時間外労働をする場合には、あらかじめ所属長の承認を得なければならない旨を就業規則に規定していました。この場合、事前の承認のない時間外勤務を行った従業員の割増賃金の支払義務があるのかという点が裁判になりました。

裁判所は次のように判断しています。

事前承認のない残業について「時間外勤務についてはY社からの業務命令である」と認定したうえで、「就業規則には時間外労働について所属長の承認が必要である旨が規定されているが、この規定は不当な時間外手当の支払いがなされないようにするための工夫を定めたものにすぎず、業務命令に基づいて実際に時間外労働がされたことが認められる場合であっても事前の承認が行われていないときには時間外手当の請求権が失われる旨を意味する規定であるとは解されない」として、時間外手当の支払いを命じています。

上記の裁判例を参考にしたうえで、「残業・休日労働許可制」を導入するにあたって、どこを注意したらいいのかを要約すると、以下のようになると思います。

① 実際、残業をしなかったら成立しないような業務量なのに、一方的に時間で切って、それ以上の残業はしていても認めないというのは認められない。

② 残業を事前許可制にしていたとしても、実際の労働時間を把握する方法をとらないと使用者側は責任を問われる。

③ 残業の事前許可制を有効にするには個々の労働者から「残業は事前許可を得ないと認められない」旨の文書を交わすか、もしくは、本人がその制度の運用があることを認めていないと認められない

残業や休日出勤を許可制にするのは、そもそも何のためでしょうか。 問題はそこなんだろうと思います。 残業代を払いたくないから? 長時間労働を是正したいから? 事業主が分からないところで仕事をやっているのを認めたくないから?

様々あると思いますが、そもそも許可制にする目的を今一度、考えてみたほうがいいと思います。単に残業代を支払いたくないからという理由だと足元をすくわれかねません。 単に、勝手に残業した時の残業代を払いたくないという理由で許可制にして、事前に届け出があったもののみにするということだと、争いになった時、上記の裁判例のように経営者側に不利な判断になる傾向があります。

そもそも残業の許可制というのは、不当労働行為の温床になりかねないということから裁判所も容易には認めてくれないわけです。 事前許可制が認められるケースというのは、他の労働者でも運用が厳格に行われていて、きちんと労働時間が把握されていることが前提です。残業は許可制だから、勝手にやっている残業は時間数自体把握していないということでは、使用者側が責任を問われます。許可があって残業しようが、勝手に残業しようが、労働時間の管理はしないといけません。

また、残業しているのにその勤怠記録を削除するなどの行為があれば事前許可制が認められないだけでなく、不法労働行為に問われかねないということは認識すべきでしょう。

それから、そもそも休日出勤するなどの行為が、業務が終わらないということでの出勤なのだとすると、業務量が多いという問題があるわけです。そうであれば、実態としてその業務量が多いことについて、何らかの取り組みを会社側は取っていないといけません。早出残業や仕事を自宅に持ち帰っている場合など、会社が把握していないだけで残業があるケースもあるでしょう。全部を把握することは難しいでしょうが、業務量の調整が必要であることは使用者側が考えなければならない点です。

残業の事前許可制自体、私は反対はしません。むしろ、そうした制度を導入すれば、長時間労働を事前に防止できる可能性があるという点からすると、残業の事前許可制は一考に値するものだと思っています。

残業の事前許可制の目的が、 「長時間労働の是正(事前防止)」や「業務の効率化」につながるのなら、働き方改革の方向性にも合致しているといえます。

また、この制度を運用するにあたっては、「残業は事前許可制である」旨について、個々の従業員の承諾書を取ったほうがいいと思います。社員全員の承諾書を取るのが難しければ、社員向けに「残業する場合には事前に許可が必要」である旨の社内向けの文書を交付するなどしておいた方がいいです。要するに、個々の従業員さんがこの制度自体があることを認めていないとそもそも話にならないからです。また、その意味でも就業規則にも「残業は事前許可が必要」であることを記載しておいた方がいいでしょう。

勝手に残業していたものは認めないという発想自体、昔の労務管理の考え方です。経営者はそれを自覚したほうがいいと私は思います。 いずれにしても、「残業の事前承認制」の運用に当たっては上記の三点(①実際の業務量の考慮 ②正しい労働時間の把握 ③従業員本人の承諾)が必要だと思います。

参考にしていただければと思います。



災害によって、申告期限が延期される話は以前にしました。↴

それとは別に、国民年金の保険料が免除される話です。

台風19号の被害を受け、10月15日付で厚労省から発令されたもので、内容としては次のような場合に国民年金の保険料が免除されるという内容です。

(1)申請された免除の審査 申請書に添付された被災状況届等に記載されている状況から、被害が最も 大きい財産に係る損害が2分の1以上であることを確認すること。

(2)免除期間 令和元年9月分から令和3年6月分までであること。なお、令和2年7月分 以降については、改めて免除の申請が必要となること。

あくまでも被保険者からの届け出で免除の対象になるものです。また、台風の被害の状況が、上記にあるように、損害額が財産の価格の2分の1以上になる場合といっています。

それから、免除になる保険料は9月分からの保険料になります。来年の7月分以降についてはまた改めて届け出が必要になります。

また、この国民年金の保険料の免除について、全額免除された期間の年金額は、保険料を納めた場合の2分の1で計算されます

保険料が免除された期間は、10年以内であれば、あとから保険料を納める(追納する)ことができます。追納することにより、将来減額される年金額を増やすことができますから、いったん免除申請しておいて、あとで落ち着いてから10年以内に納め直すこともできます。

ただし、保険料免除期間の翌年度から、3年度目以降に追納する場合、加算額が上乗せされます。免除申請してから3年以上あとに追納する場合には、注意が必要です。

以上、災害による国民年金保険料の免除の話でした。