手技療法の治療院、介護事業の経営に役立つ最新情報や知って得する情報満載のブログです!

日本代表、なかなかすごいですね。確実に4年前より強くなっています。 四年前のブログは以下です。↴

治療院経営 介護事業にとってのブルーオーシャン レッドオーシャンは何?

ブログやネットの記事には、日本代表が多国籍なことからこれからの日本社会を象徴しているとか、ラグビー自体が個々の選手が自分を犠牲にしてプレイする姿勢とか、そういったところがよく経営と結び付けて語られます。4年前の私の上記の記事も、経営と結び付けて書きました。経営者はとかくスポーツや社会現象を自社の経営に結び付けて考えたりしがちです。経営者でなくてもそうした思考をしがちです。ですが、単純にこの快挙はすごいことです。番狂わせが少ないと言われるラグビーで4連勝するというのはそれだけで快挙です。単純にそれに敬意を表したいと思います。

次は南アフリカ戦。勝てばベスト4!考えるだけでも心が躍ります。 日曜日にも是非、頑張ってほしいです!



今日は今年から改正のあった労働基準法の改正の話です。 労働契約の明示の仕方が変わったのはご存知でしたでしょうか?

会社が労働契約を明示する方法は労働基準法で定められています。 原則は書面です。書面で明示する内容も決められています。次のような内容です。

①労働契約の期間

②就業の場所・従事する業務の内容

③始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項

④賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締め切り・支払いの時期に関する事項

⑤退職に関する事項(解雇の事由を含む)

このような内容は会社側が労働者側に明示することになっています。しかも、書面によることが義務とされていました。これ以外にも、昇給に関する事項や退職金に関する事項なども、なるべく書面による明示をすることが求められています。

これが今年の4月(2019年4月)から変わりました。労働者の希望があれば、必ずしも書面による明示でなくてもいいことになりました。 faxや、E-mail、ラインやショートメールなどで明示することも許されるようになったのです。 これは、労働者本人から希望があった場合に限ります。原則はやはり書面による明示です。労働者本人が希望していないのにメールで送ったりする方法はとれません。本人が希望して初めて書面でなくてSNSやe-mailでやってもいいという話です。

また、ショートメールによって明示するのも許されてはいますが、文字制限などがあることから望ましくないとされています。 それから、印刷がしやすいように添付ファイルなどの方法で送ることを労働局は推奨しています

私は、e-mailやラインなどで明示する方法は私はその方法が認められるのであれば、書面によらずに、積極的にe-mailやラインなどの方法を使ったほうがいいのではないかと思います。 メールやSNSの方法の利点は「記録が残る」ことです。その方がお互いに確認しやすいという点が最大のメリットです。中小企業の場合、どうしても口頭での約束事になりがちです。法律でいくら義務化されているとはいえ、口頭で約束することが多いのではないかと思います。口頭での約束をあとから書面で確認するという流れが最も多いと思います。そうした特に中小企業の労働契約の交わし方の現状からすると、メールやSNSなどの方法で初めから明示したほうがあとで揉めないで済みます。 また、労働条件の通知は使用者側から労働者側へ明示すれば足りるとされています。本人の同意は必要ないわけです。そういう労働条件の明示のルールからしても、使用者側が労働者本人にメールやSNSなどの方法で労働条件の明示して証拠を残すというのは大変有意義だと思います。労働者側にとっても証拠を残せるという点から、積極的にSNSやe-mailで労働条件を示してもらったほうがいいと思います。

現在はまだこの制度が導入されたばかりのため、原則は書面により、例外的にメールやSNSによる方法を条件付きで認めているというスタイルです。ですが、これが一般的になれば書面による交付というのも原則的な方法ではなく労働条件の明示の一つの方法という位置づけに変わってくると思います。 時代の流れにあわせて、貴方の会社でもメールやSNSで労働条件を明示することを検討してみてはいかがかと思います。



関西電力の役員が高浜原発のある高浜市の元助役から金品を受け取っていたことが大きく報じられています。この金品の授受が発覚したきっかけになったのが税務調査でした。地元の建設会社の吉田開発に税務調査が入り、この元助役に対して原発工事を受注した見返りに約3億円の金品を渡していることが判明したということが発端のようです。今問題になっているのは、その約3億円のうちの一部が関西電力の役員に渡っていたということなわけです。

こうした行為は、贈収賄といった違法行為である疑いがあります。ですが、今日のブログで問題にしたいのは、こうした関電の役員の違法行為の話ではなく、このような違法な行為であってももらったお金は収入に計上する必要があるという点です。現に、関電の元役員らは、もらった金品の一部は収入であったとして修正申告をしています。これらは税務署から修正申告の指摘を受けて修正申告をしたのか、吉田開発の税務調査を受けて自主的に修正申告したのかは不明ですが、要するに「違法であっても収入は収入だから申告していなければ課税する」という税務署の基本スタンスにしたがっているわけです。

平成30年12月にあった国税不服審判所の採決でこういうものがあります。

ある給与所得者が会社が製品として作っていた紙の損紙を会社に無断で売却して個人の所得にしていたという事案で、採決では国税不服審判所はこれを雑所得として課税したというものです。 非公開裁決であるため、詳しいことは分からない部分があるのですが、おそらく紙を製造していた会社で働いていた社員が、作る過程で出た損紙を会社に無断で売却して得た所得が課税されたという話です。 給与所得者側の主張としては、会社に損害を与えたことを認めたうえで、会社に対して損害賠償金を支払うので、所得を受け取ったとしても損害賠償金は必要経費になるため、結局、税金は課税されないと主張しました。また、これは不法行為であって反復継続して得る所得ではない(つまり、消費税は課税されない)と主張しました。ですが、国税不服審判所はこうした給与所得者側の主張を全面的に認めませんでした。

この国税不服審判所の採決に特徴的なものが二つあります。 一つは、収入は反復継続していたものであり、たとえ不法行為であったとはいっても収入であったと認められ、また、不法行為であったということは事業としては認定されず、雑所得としての課税となるということ。 もう一つは、会社に対して損害を与えていてその損害賠償金を支払ったわけですが、それは不法行為に基づく損害賠償金であるため必要経費とは認められないと判断されたことです。 結果として、損害賠償金の支払いをし、その上、税金は課されてその上、重加算税も付加されたことを考えると、この給与所得者はもらった収入以上にかなりの負担を強いられたわけです。不法行為をしたツケはかなり高くついたわけですが、不法行為であっても税金は課税するという税務署側の姿勢がよくわかる裁決令と言えます。

ちなみに、この事案は会社に無断で売却して収入を得ていた期間が11年に及んでいたこと、また、合計で2億4500万円にも及ぶ売却収入を得ていたことなど、期間も長く、規模も大きかったため、かなり悪質なケースと言えます。ですが、ここまで悪質でないにしても、所得があるのに申告していないということは一般的にもよくある話です。

では、ここでもう一つ説明していきたいのが、違法でない所得であっても申告しなくてもいい所得もあるという話です。年金所得者やサラリーマンが得た収入は申告しなくてもいいものもあるというものです。

まず、年金所得者の場合、年金の収入金額が年間400万円以下で、なおかつ、年金以外の所得(雑所得や給与所得など)が20万円の場合、その年金以外の所得については申告しなくてもいいことになっています。また、給与所得者も給与の収入金額が年間2000万円以下で、なおかつ、給与や退職以外の所得が20万円以下の人は申告しなくてもいいことになっています。 申告しなくてもいいということなので、もちろん、申告してもいいわけです。赤字なので申告したほうが税金の戻りが大きいなどの理由で申告する場合もあると思います。あるいは、事業所得者で赤字であったりする場合に申告して税金を還付する場合もあると思います。このように、申告してもいいわけですが、年金所得者や給与所得者はそれ以外の所得が20万円以下だったら申告しなくてもいいという話です。

ただし、この申告しなくてもいいという話は所得税の話です。住民税については年金所得者や給与所得者がそれら以外の所得が20万円以下であっても申告しないといけません。その点は注意が必要です。結局、収入がいくらかでもあれば、なんらかの申告は必要になってくることになっているという点は覚えておきましょう。

少し話がそれましたが、今日の話のメインは、違法であっても収入は収入で税金は課されるという話です。「これくらい申告していなくてもわからないよね」という判断は禁物です。違法であっても関電のケースのように、相手方の税務調査で判明して結局あとから申告することもあります。違法か合法かというのは税金の計算上、収入に計上する際には考慮しないわけです。また、合法なものであっても給与や年金以外の収入が20万円以下のものは結局、住民税の方の申告は必要だったりします。そうすると、収入があったら何らかの申告が必要ではないのかと考えることが必要だと認識しておいた方がいいと思います。

ということで、違法であっても収入があれば申告は必要という話でした。



10月1日から消費税の税率が上がったり、最低賃金が上がったり、他にも様々な改正があります。今日はそのうち、消費税率の改正前後で日付がまたぐ取引について、書いていこうと思います。

消費税は商品などのモノの引き渡しについて、「引き渡しのあった日」で取引があったものとしています。現物のモノがあって引き渡し場合は分かりやすいわけですが、たとえば通信販売などで、商品の購入の申し込みがあってから商品の引き渡しまで日にちがあるような場合、8%の消費税率なのか、10%の消費税率なのか、という問題が生じてきます。

具体例で考えてみましょう。

通信販売で購入の申し込みをインターネットでする・・・9/29

商品の発送・・・9/30

商品の到着・・・10/2

問題となるのは消費税法でいう「引き渡しのあった日」というのが三つのうちのどの日付になるのかということです。申し込みをした時点や発送した時点であれば9月中の取引になるので、消費税率は8%です。一方で、商品が到着した時点で商品の引き渡しがあったとすれば、10月になっているので、消費税率は10%となります。 結論としてはこれは買い手側ではなく、売り手側の経理処理によることになっています。つまり、売り手側の業者が発送日に売り上げ計上している(発送基準といいます)のであれば、消費税は8%になりますし、商品が到着した日で売り上げ計上している(着荷基準といいます)のであれば、10%になるということです。

消費税法では、どの時点で消費税を認識するのかは売り手の事業者に任せています。売り手側が「発送基準」にするのか、「着荷基準」にするのか、どちらにするのかを選んで、買い手側はその経理処理に従うというルールになっています。

なぜこうなるのかといいますと、消費税という税法の仕組みが間接税という方法によっているためです。消費税はAさんがBさんに100円で売った商品にかかる消費税があったとして、そのBさんがさらにCさんという最終消費者に売った場合、BさんはさらにCさんに消費税を転嫁させます。最終消費者のCさんが最終的に負担する形になる、これが消費税の基本形です。売った側が買った側に転嫁していくという仕組みになっているため、売った側の消費税の経理処理方法によるという、そもそういう仕組みの税金だからなんです。

ただ、相手側が「発送基準」なのか「着荷基準」なのかはそうすればわかるのでしょうか?もっといえば、先ほどの例のように、9月30日と10月1日をまたぐ取引があった場合、8%なのか10%なのかはどうすれば判断できるのでしょうか? これは売り手側の請求書や領収書などにその消費税率を明記するルールになっています。売り手側の発行する請求書などをみれば消費税が8%なのか10%なのか書いてあります。その書類を見て判断するわけです。

また、売り手側が税込経理処理をしていて、消費税の金額を明記していない場合は「発送基準」か「着荷基準」かはわかりません。こうした場合には、どうすればいいのでしょうか?こうした場合、原則的には相手側にどちらの経理処理かを確認するのことになっています。しかし、いちいちすべての取引について相手側に確認することは出来ない場合もあると思います。そうした場合には、買い手側が通常、やっている会計処理によっていいことになっています。どうしても売り手側の処理がわからないという最終的な場面で、自社の経理処理に従うことになるわけなんです。

それから、消費税の負担を少しでも少なくしようとして、たとえば普段は「着荷基準」で処理している会社が、9月30日と10月1日をまたぐ取引だけ「発送基準」によるようなことはできません。通常の会計処理がどちらかで判断しないといけませんからその点も留意しましょう。

ということで、今日は9月30日と10月1日をまたぐ取引についての消費税の話でした。




いよいよ10月1日から消費税の税率が10%にあがります。また、日本で初めて複数税率が導入されます。食料品や新聞などの購入は軽減税率8%となり、通常の税率の10%とが混在することになります。マスコミでも連日、こういうケースでは8%でこういうケースでは10%になると報道されています。8%と10%の違いのところにフォーカスがいっている感があります。ある程度、こうした一種の騒ぎになると予想はしていましたが、今日の本ブログではそうした方向の話ではなく、8%・10%となった時の経理処理をどうしたらいいのかという話にフォーカスを置いてみようと思います。

このブログは経営者や総務経理担当者向けのブログです。その意味からも、その経営者や総務経理担当者の視点から、今日は10月1日に税率が上がり、複数税率になることに伴い、事前にどのような対策をしておいたらいいのかを書いていこうと思います。

 

まず、その前に基礎知識を確認したいと思います。

現行の税率は8%です。実はこの8%というのは二つに分かれます。国税部分の6.3%、地方税部分の1.7%と分かれるんです。実際に消費税の申告書を作ったことがあればわかるのですが、消費税の計算というのは国の税収となる部分の6.3%を計算してから、地方に配分される分は国税の金額を元にして計算を出しています。いずれにしても、国と地方でそれぞれの配分があるわけです。

 

では、新しく導入される消費税の10%はどのように配分されるかと言いますと、国が7.8%で地方が2.2%になります。おおむね6.3%と1.7%の比率に近い形になっているわけです。ややこしいのは軽減税率の国税と地方税の配分比率は今現在の税率8%と配分比率が少しだけ違います。軽減税率の国と地方の配分はそれぞれ国が6.24%、地方が1.76%となっています。ほんのわずかですが配分比率が違うわけなんです。

どうでもいい話という感じがするかもしれませんが、実はこのことは経理処理にも影響します。その意味でどうでもいいわけでもないんです。国と地方の配分比率が違うために、きちんと区分しないと計算結果が変わってしまうためです。結果的に支払う税金は現状の8%と軽減税率の8%は同じなわけですが、中身が違うために、消費税の税額を計算する際には分けないと税金の計算ができないということになるわけです。経理処理上も同じ8%でも「9月30日までの現状税率の8%」と「軽減税率の8%」をわけないといけないわけです。

 

結果、経理処理する際に経費を「10%」のものと「現状の8%」のものと「軽減税率の8%」のもの、というように3つに分けないといけなくなったわけです。

前回、消費税が5%から8%にあがった際の経験があるので、覚えている方も多いと思いますが、経理処理上、しばらくは現状の8%も出てきます。つまり、現状の8%なのか、軽減税率の8%なのか、同じ8%も分けて経理処理する、というなんだか面倒な話になっているわけです。

たとえば、電気代などは支払いが10月のものであっても、検針日が9月にかかっている場合には8%になります。逆に、家賃などは10月分を9月末に支払うケースが多いと思います。これは9月に支払っていても10%になります。すでに8%、10%が混在しています。これに加えて、軽減税率の8%も分けて経理処理しないといけないわけです。

 

さて、実際、このように3つの税率があるわけですが、どのように経理処理していったらいいのでしょうか?軽減税率の8%ということを帳簿上に明記しないといけないということになっています。経理処理はなるべく簡単にやったほうがいいです。今の経理処理に少しプラスするだけでいいと私は考えています。

 

具体的には、帳簿に記載する際に軽減税率の8%のものには「軽減」とか「ケ」とか何かしるしをつけるようにすればそれでいいようです。領収書等から、軽減税率の8%はきちんと明記されることになっています。ですから、経理処理の際にはそれらを見て、軽減税率の8%かどうかを判断することになります。

また、会計ソフトは「現行税率の8%」「軽減税率の8%」「10%」と分けるようにすでになっているはずです。会計ソフトに入力することで帳簿の記載としている場合には、会計ソフトの入力の仕方を確認してみてください。

 

さて、ここまでは原則的な消費税の課税方法、つまり、消費税がいわゆる「原則課税」の場合の話を書いてきました。消費税の課税方法が「簡易課税」やそもそも消費税の納税義務のない「免税事業者」の場合には、実は今までの話は関係のない話です。「簡易課税」の事業者や「免税事業者」の場合、そもそも今説明してきたような帳簿上、「現状の8%」「軽減税率の8%」「10%」と分ける必要はありません。

免税事業者の場合には、消費税がかからない事業者だからわけなくていいわけです。簡易課税の事業者の場合は、売上に対して一定の率を掛けて消費税を求めます。支払った経費がどうであれ、関係ないわけです。これらの事業者では上記のような3つに分ける会計処理はしなくてもいいことになります。要するに、経理処理としては今まで通りでいいわけです。

 

ここまで書いてきたものは主に経費についての経理処理です。売上について軽減税率の8%がある事業者については、売上を8%と10%に分けないといけないという問題がもちろんあるわけです。レジシステムをそれに対応するようにするとかといった問題があります。今回はそれらの問題は考えずに、主に経費における経理処理についての話を書いていきました。

 

報道で盛んに言われているように、消費税の税率変更に伴う話はどうしても8%と10%とで損得があるという話になりがちです。中小企業の経理処理という話に立ち返った時には、少し地味かもしれませんが、経理処理についても考えておいていただけたらと思います。

今日の話を少しでも参考にしていただけたら幸いです。

 

 

 

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10月1日からは様々なものが変わります。

一番の大きな変化は消費税の税率です。8%が原則10%になります。食料品等の購入については8%の軽減税率が導入されます。日本で初めて複数税率が導入されます。

それ以外にも、介護事業所では「特定処遇改善加算」が導入されます。報酬が変更になりますから利用者さんの利用料も変わります。9月末までに各々の利用者さんの了解が必要です。

そして、中小企業にとっては大きな改正が「最低賃金」が変わることです

 

詳しくは厚生労働省の出している下記を参照してみてください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

 

最低賃金は都道府県によって変わります。

今回、特徴的なことは東京都と神奈川県ではじめて最低賃金が1000円を超えました!

東京都は1013円、神奈川県は1011円です。

時給1000円は最低賃金割れとなり、違法です!

特に、月給者は要注意です。月の給与の額を所定労働時価で割った時に最低賃金を割っていないか、チェックが必要です。

また、都道府県によって微妙に違いはありますが、ほとんどの都道府県で10月1日から発行されます。10月1日以降の労働について、特に東京都と神奈川県では時給1000円では違法になるので注意しましょう。

 

ということで、今日は最低賃金の話でした。




さて、今日は雇用保険の助成金の話です。

今年の5月7日の申請分(令和になってからの助成金の申請分)から不正受給対策が強化されています

雇用保険の助成金を申請する際に「支給要件申立確認書」という書類を提出します。

今年の5月7日以後に提出する助成金の申請に関しては、変更した後の「支給要件申立確認書」を出すことになっています。たとえば、会社の役員全員の生年月日を記載する欄ができたり、申請の代行をする社労士も不正受給があったら責任を負う旨の署名をさせる欄ができたりしています。申請代行する社労士側にも厳しくなったわけです。そのため、これを機に助成金の手続きを原則やらない方向の社労士もいらっしゃるようです。それくらい、厳しくなっているわけです。

たとえば、実際とは違う虚偽の書類を作成したりして受給すれば不正受給です。事実のとおりに書類を作ってそれで受給できなかったら仕方ないです。助成金の手続きはそのように考えないといけません。受給するために書類を書き換えたり、事実と違う書類を作成してしまうので不正受給につながってしまうわけです。

従来から不正受給があると、事業主名が公表されたりしていましたが、それに加えて不正受給による不支給決定を受けた場合、不支給となる期間が3年から5年に延長されることになりました。また、支給申請して審査している段階で不正受給しようとしていることがわかると不支給となるのは当然のこととして、不正受給と同様とみなされ、5年間、不支給となることになりました。まだお金をもらっていなくて申請しただけでも不正受給となるわけです。

また、不正受給した場合の返還額は「不正受給した助成金の金額」に「延滞金」を足して、さらに「違約金相当額」として不正受給した金額の20%が上乗せされることになりました。

不正受給となってしまうと、会社にとってはかなりの損害になるわけです。

 

不正受給に対しては、行政の対応が以前よりも厳しくなっています。これはそれだけ不正受給が増えているということです。国からお金をもらうというのは厳しくみられて当たり前です。助成金について事業主の皆さんは心してくださいね。




今日はご質問いただくことも多い「滞納」の話です。

税金や社会保険料、労働保険料を滞納するとどうなるのでしょうか?

滞納について、書いてある記事はインターネット上にも多いのですが、税金、社会保険料、労働保険料をそれぞれ並べて書かれているものはほとんどないようです。ですので、今日は税金と社会保険料、労働保険料の滞納をそれぞれ比較しながらみていきたいと思います。

滞納と言っても様々です。資金繰り上、払えなくて滞納する場合もあれば、単純に納付するのを忘れていたということもあります。場合によっては、わざと払わずにいてなんとか払わないで済ませられないかと考えるような悪質なケースもあります。それぞれ納付期限がありますから、支払いが期限を遅れれば利息にあたる「延滞税(金)」が生じます。これは理由がどうであれ同じです。ですが、少し、計算の仕方が違います。簡単にいえば、支払うのを単純に忘れていたというような場合には、少し寛容です。気づいた時点ですぐに支払えばそれほど大きな傷にはなりません。一方で、滞納期間が長期間に及ぶような場合には、計算の仕方も厳しくなります。

 

では、どのような計算の仕方になっているのでしょうか?

実は、延滞税(金)の計算の仕方自体は、税金・社会保険料・労働保険料はともに共通しています

 

原則;年利8.9%

ただし、納付期限から2か月以内(社会保険料の滞納の場合には3か月以内)は年利2.6%

 

労働保険料と税金の滞納の場合には納付期限から2か月以内だったら年利2.6%で、社会保険料の場合には3か月以内だったら年利2.6%です。それを過ぎると、年利8.9%です。

この利率は「特例基準割合」という率に拠るため、率については年によって変わりますから注意が必要です。

 

さて、最初の2か月ないし3か月は年利2.6%と低くなっているのはなぜでしょうか?これは、たまたま忘れてしまったというようなうっかりミスに配慮しているためです。ヒトのやることですから、たまたま納付し忘れることはあります。それに配慮しているわけです。

また、社会保険料の滞納は3か月になっています。労働保険や税金は2か月であるのに比べると少し運用が緩やかになっています。これは私の推測ですが、社会保険料の滞納は非常に件数も多いようです。金額も大きくなりがちだからです。そうした事態を考慮しているのではないかと思っています。

 

また、年利ですから、納付期限の翌日から納付の日までの期間を日割り計算します。日割り計算して100円未満になったら切り捨てになります。また、延滞金を計算する前のもとになる金額は社会保険料や労働保険料は1000円未満が切り捨てになります。一方で、税金の滞納についてはもとになる税金が10000円未満だと切り捨てになります。つまり、社会保険料や労働保険料の場合、納付していないのが千円未満だと延滞金が出ないわけですが、税金の場合には1万円に満たない場合に延滞税が発生しないことになっているわけです

 

もう一つ、違いとしては経理処理です。

延滞金や延滞税はどのように経理処理するのでしょうか?

税金の滞納の場合の「延滞税」は「租税公課」で処理します。経理上は「租税公課」ですが、損金不算入(個人の場合には必要経費不算入)です。つまり、税金の計算上は落とすことができないわけです。一方で、社会保険や労働保険の滞納の「延滞金」は損金算入(個人の場合には必要経費算入)できます。損金不算入とされる項目の中に社会保険料や労働保険料が入っていないため、経費に入れて税金の計算上は落とすことが出来るわけです。

勘定科目は一般的には「法定福利費」になるでしょう。「法定福利費」で経費として計上しましょう。

 

それにしても、税金、社会保険料、労働保険料と、それぞれ基本的な計算部分は同じですが、微妙に違いがあることがわかりますね。

あとは、予断的な話をいくつかしていきましょう。

まず、労働保険料の滞納をした場合の問題点は労災保険が使えなくなるケースがあるということです。労働保険を滞納中に労災事故が起こった場合、「費用徴収制度」というモノがあり、これに触れる可能性があります。労災は業務上の災害が起こった場合、原則、治療費はかからずに治療できますが、労災保険料を滞納中に労災の事故が起こると、治療費の40%かもしくは100%負担しないといけなくなるわけです。100%負担というのは、再三の労働保険料の納付の催促に応じないなどの悪質なケースですので、一般的には40%の負担が出てしまうというケースでしょう。

 

それから、労働保険料の滞納があると原則、助成金の受給ができません。助成金の支給申請の書類の中に「支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度における労働保険料の滞納がある」という項目があり、「いいえ」とチェックさせるのです。労働保険料の滞納があると助成金が受給できなくなっているわけです。助成金は労働保険料を財源にして支給されるものですから当然と言えば当然です。助成金を受給しようと思うのでしたら労働保険料はきちんと完納したほうがいいです。

 

また、税金の滞納があると、金融機関で借入する際に支障が出ることが挙げられます。金融機関で借入する場合には「納税証明書その3」というのを取るように言われることがあります。この「納税証明書その3」というのは未納の税金がないことの証明です。通常はこの未納がないことの証明は法人税・地方法人税(個人の場合には所得税)のことです。源泉所得税や消費税の未納の証明までは言われないケースが多いです。

また、最近は金融機関は社会保険料の滞納がないことの証明も求めてくることがあります

いずれにしても、税金や社会保険料の滞納があると、金融機関の借入の際に支障が出るということです。

 

最後に、いろいろな事情で資金繰り上、税金にしても社会保険料にしても労働保険料にしても、どうしても納付できないこともあると思います。その場合には、税務署や年金事務所、労働基準監督署に納付の相談に行くことをお勧めします。納付できないから無視するというのは、延滞税(金)が嵩み、場合によっては強制執行につながることもあり得ます。逃げるのではなく、行政と真摯に話し合うことが必要だと思います。

 




さて、今日は助成金の「生産性要件」という話です。今日のブログは税理士の先生たちにも是非、ご覧になっていただきたいような内容です

 

先日、税理士向けのある研修で講師の税理士の先生がこのような話をされていました。

みなさんは従業員さんの通勤のための交通費をどう経理処理されているのでしょうか?私は『旅費交通費』とかで処理してしまいます。ですが、人件費の一項目として処理される先生も多いようですね。まあ、どちらでもいいのでしょうが・・・

 

このお話を聞きながら、「どっちでもいいわけないよ!旅費交通費か人件費の一項目にするかは、大変な違いなんですけど・・・」と思いながら聞いていました。つまり、この先生のように多くの税理士の先生は、決算書の勘定科目も振り分け方で助成金の受給額が増えるという話自体、そもそも知らないんです。これは、特に中小企業にとっては知らず知らずのうちに損をしているということを意味します。ほとんどの税理士の先生はこのように助成金に対しての理解がないのです。

 

私の以前のブログにも書きましたが、助成金には「生産性要件」というのがあります。

これは簡単にいえば、決算書の「営業利益」に「租税公課」「賃借料」や「人件費」を足した金額を雇用保険の被保険者の数で割って、一人当たりの営業利益を求めるというモノです。それが、3期前の決算と比較して6%以上(一定の場合には6%未満でも1%以上だったらOK)改善していると助成金が増える、というのが「生産性要件」です。

この辺の話は以前の私のブログを参照してください。

 

https://vanguardwan.com/blog/%e5%8a%a9%e6%88%90%e9%87%91%e3%81%8c%e5%a2%97%e3%81%88%e3%82%8b%ef%bc%81%e3%80%8c%e7%94%9f%e7%94%a3%e6%80%a7%e8%a6%81%e4%bb%b6%e3%80%8d%e3%81%a8%e3%81%af%e4%bd%95%e3%81%ae%e3%81%93%e3%81%a8%e3%81%8b

 

 

それで問題なのは、この生産性要件というのは決算書の作り方で該当するケースが多くあるということです。中小企業の場合、実際には決算をまとめる作業の中心は税理士です。税理士が勘定科目の振分けもやります。その税理士の先生が「決算書の表示の仕方一つで助成金の金額が増える」ということを知っていればいいのですが、ほとんど知っている人がいないというわけです。

キャリアアップ助成金の場合、有期雇用契約から正社員に転換するいわゆる「正規雇用化コース」だと57万円のところが生産性要件に該当すれば72万円に増えます。決算書の組み方を変えるだけでもらえる金額が増えるんです!

このブログをお読みの方が中小企業の社長さんだったら、顧問税理士の先生にこの話を知っているか、聞いてみてください。

 

さて、では具体的に、決算書の表示の仕方をどのようなことすればいいのでしょうか。代表的なものを三つ挙げてみたいと思います。

 

①通勤手当は「旅費交通費」とせずに「通勤交通費」などの独立科目として人件費扱いにして表示する。

従業員さんの通勤手当は先ほどの研修講師をやっていた税理士の先生のように、会計処理上は「旅費交通費」だろうと「通勤交通費」として人件費の一項目で表示しようと、別にどちらでもいいわけです。ですが、これは税務や会計の側面からの話です。助成金上は、「旅費交通費」としてしまうと不利になります。人件費扱いにしたほうが1人当たりの単価で割る際に有利に働きます。助成金の生産性要件についての説明にこうした記述があります。

「「通勤費」は諸手当の一種として人件費に該当しますが、出張旅費などの「旅費交通費」(通勤費を「旅費交通費」の中に含めている場合を含む)は人件費に該当しないものとします。」

「旅費交通費」としてしまうと「タクシー代」や「出張旅費」のような人件費以外の交通費も含まれてしまうため、この表示ではダメなわけです。

通勤手当は「通勤交通費」のような独立科目で表示しないと人件費としてくれないわけです。

先ほどの講師の税理士の先生も、こうしたことをご存知であれば、「どちらでもいいわけではない」と考えると思います。もし、税理士の先生が知らなかったら、通勤手当は「通勤交通費」と変えてほしいと伝えたほうがいいでしょう。

 

②助成金や補助金収入は「雑収入」で表示せず、販売管理費に費用のマイナスとして表示する。

 

たとえば、キャリアアップ助成金が入金になったとします。ほとんどの税理士の先生は、営業外収益に「雑収入」という科目があり、そこに表示させるはずです。これでは助成金受給上、不利になります。私は、人件費の下に「人件費等補填助成金収入」というような科目を作って、費用のマイナスとして表示します。「雑収入」として表示しようが、「人件費等補填助成金収入」として費用のマイナスとして表示しようが、利益は変わりません。つまり、税務署的には同じなわけです。ですが、「雑収入」で表示してしまうと、営業利益は増えません。販売管理費で「費用のマイナス」として表示すれば営業利益は増えます。営業利益が増えれば、生産性要件を考える際に有利になります。 「雑収入」で表示するのが税務会計をきちんと習ってきた人にはなじみはあるのでしょうが、ここは有利な方の表示でやるべきです。どれだけで助成金が増えるのだったら、少しなじみはなくても「費用のマイナス」でいいのではないかと思います。

 

③研修があったら「研修費」で表示、印鑑証明や住民票などは「雑費」ではなく「租税公課」とする

細かい話ですが、日々の帳簿もこの「生産性要件」を意識して経理処理したほうがいいです。研修に行った際の費用を例えば、「新聞図書費」とか「雑費」といった科目で処理しないほうがいいです。「生産性要件」の算定の際に有利にするには独立した「研修費」などの科目で表示すべきです独立した科目で表示すれば「人件費」として扱われ、助成金上、有利になります。また、細かいですが、民票の取得や納税証明書の取得などの行政に対して払った経費はなるべく「租税公課」としたほうが生産性要件の算定の際には有利になります。日々の経理処理の段階で、勘定科目の付け方をなるべく意識したほうがいいでしょう。

 

ほとんどの税理士は助成金には詳しくないです。そのためにこうした決算書のちょっとした工夫で助成金が増えるということ自体、知らないわけです。知らなかったら、その税理士の先生に教えてあげましょう。このブログをご覧になった特に中小企業の社長さんは自社の経理処理がどうなっているのか、助成金が増える方の経理処理でできているのか、直接、税理士の先生に聞いてみてもいいでしょう。いずれにしても確認してみてはいかがかと思います。

ということで、今日は、助成金の「生産性要件」と決算書にかかわる話でした。

 




先週は私の事務所は夏休みでした。久しぶりのブログ更新です!
今日はこの10月1日から変更になる「任意継続被保険者」の届け出方法について、情報発信しようと思います。

その前に「任意継続被保険者」とは何か、ご存知でしょうか。
任意継続被保険者(略して「任継」と呼びます)とは、退職した後、退職前の健康保険を継続して加入することができる制度です。国民健康保険に加入してもいいのですが、任継という制度も選択できるわけです

以下は協会けんぽの「任継」の説明をそのまま抜粋しました。

 

会社などを退職して被保険者の資格を喪失したときは、次の1、2の要件を満たしている場合、ご本人の希望により継続して被保険者となることができます。
1. 資格喪失日の前日(退職日)までに継続して2ヵ月以上の被保険者期間があること
※退職せず、勤務時間・日数の減少により健康保険の資格を喪失した場合も該当します。
2. 資格喪失日から20日以内に、「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること
※お住まいの住所地を管轄する協会けんぽ支部へご提出ください。
※健康保険組合に加入していた方は、健康保険組合にて手続きをします。
任意継続被保険者になった場合は、原則として、在職中と同様の保険給付が受けられます。ただし、退職日まで継続して1年以上被保険者であった方が、退職日時点で傷病手当金や出産手当金を受けているか、受ける条件を満たしている場合を除き、傷病手当金や出産手当金を受けることはできません。

上記のうち、ただし書きの部分の退職後も傷病手当金を受給できるという話については、私の以下のブログをご参照ください。

退職後も傷病手当金は受給できる!?

さて、この「任継」ですが、10月1日から手続き方法が変わります
現在は「任継」になるためには退職して資格喪失の手続きがされた後でないと手続きできません。何らかの理由で、退職した会社での社会保険の手続きが滞っていると「任継」の手続きができなかったわけです。
「任継」になるためには資格喪失後20日以内に手続きしないといけませんから、この手続きには期限があるわけです。もし仮に退職した会社で資格喪失日から20日以内に資格喪失の手続きがされない場合には、「任継」になることが出来ないという問題があったわけです。

これが10月1日から以下のように変更になります。

任意継続資格取得申出書に添付された証明書類により、資格喪失の事実を確認できる場合は、日本年金機構から提供される資格喪失の情報を待たずに、任意継続被保険者証を交付します。
【証明書類】
退職証明書写し、雇用保険被保険者離職票写し、資格喪失届写し、資格喪失の事実が確認できる事業主または公的機関の証明印が押された書類」 (全国健康保険協会より)

この取り扱いは「10月1日から処理される分」とあることから、資格喪失日が10月1日以降ということではなく、処理が10月1日以降になる分ということになります。
これは、現状では、退職後に国民健康保険に加入する場合と同じです。退職後に国保に加入する場合、現状だと、離職票の写しを出したりします。離職票の写しでもいいのですが、上記にある「資格喪失の事実が確認できる事業主または公的機関の証明印が押された書類」というのはよく使います。「○月×日に△△様は資格喪失しました。」と書いて事業主の印鑑を押した書類をお作りしてお渡しするだけでいいんです。私も顧問先にすることがたびたびあります。「資格喪失しました」というのを退職した会社の事業主が証明するもので、離職票を待つより早いので使うわけです。この書類で「任継」も手続きができるようになるわけですから、今よりもだいぶ楽になります。

ただ、現状では「任継」になる場合、これが使えません。「任継」になるにはあくまでも資格喪失の手続きがされ、これが受理されてからとなっているからです。
また、上記を見ると「資格喪失届写し」というのがあるので、資格喪失届を窓口で出す(電子申請ではなくということです)場合に、控えを作っておいてその控えに受領印をもらうようなものです。その受領印のある「資格喪失届の写し」を出しても「任継」の手続きができるというわけです。

「任継」の場合、資格喪失から20日以内という制限があるので、早めに手続きしないといけません。その意味でも、この手続きの改正は事業主にとっては手続き上、手間が省ける改正です。この機会に是非、知っておきましょう!