手技療法の治療院、介護事業の経営に役立つ最新情報や知って得する情報満載のブログです!

今日は、整骨院・接骨院・鍼灸院といった治療院の「広告規制」について、私見も交え少し書いていこうと思います。

その前に、私の顧問先で、大田区の治療院さんに今年の5月くらいに広告規制について、すべての柔整師の治療院に「施術所の広告について」というチラシが配布されました。

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治療院の広告規制については、開業されている先生方はみなさん周知のことかと思います。

ただ、具体的にどこまでがOKなのか、どうするとダメなのか、罰則とかはどうなっているのか、といったような実際のところとなると、あいまいなままになっている先生方が多いのだと思います。

大田区では、条文を掲げて、規制があるからむやみに広告してはいけないというのを全治療院に配布して注意喚起をしています。ですが、私が見るところ、その当の保健所自体が「広告規制」というのをよく理解していないために、治療院の先生方にも多少の混乱が生じているように思います。

広告規制の話は、このブログ1回で書けるようなものではなく、話をすれば1時間以上もかかるような大変複雑でわかりづらい話です。ですが、このブログでは、論点を絞って書いてみます。ご自身の認識とも照らして少し考えてみてください。

さて、まず、前提としてですが、柔整師法第24条とあはき法第7条の広告規制について、どう書いてあるのでしょうか。

要点をまとめるとこのようになります。

『「治療院の場所、連絡先、柔整師法もしくはあはき法に書いてある治療内容」くらいしか広告には書いてはいけない』

広告規制の問題はこの法律の解釈です。さて、ここで治療院の先生方に質問です。

「ホームページは広告規制の対象になりますか。」

これは対象外です。つまり、広告規制の対象にはなっていません。これは、厚労省がはっきりとそういう内容の文書を出していますので、間違いありません。

では、「なぜホームページは広告規制の対象になっていないのか」 ご存知でしょうか。

この「ホームページが広告規制の対象外」の理由が実は広告規制の論点の一つです。

広告というのは「誘因性」(患者さんを呼び込む意図があること)「認知性」(一般人が認知できること)「特定性」(どの治療院なのか特定できること)の3つの要因のすべてに該当したら広告とみなされる

つまり、逆にいえば、この3つのうちの1つでも満たさなければ広告にならないわけです。ホームページが広告にならないというのはこのうちの「認知性」が欠けているからなんです。

ホームページとか、ネットというのは積極的に情報を取りにいかないといけないものですよね?看板とかチラシとか、そういうものは不特定多数の人が「見たい」と思っていなくても見てしまうものですよね。この「不特定多数の人が見たいと思ってもいないのに見れてしまう」状態が「認知性」です。インターネットの情報というのは、自分から情報を取りに行きます。ですので、この「認知性」がないという判断なわけです。

わかったようなわからないような理屈ですが、要は「ホームページはセーフ」という認識でOKです。

ですが、「有料でのバナー広告などは広告規制の対象となる」というのが厚労省の見解です。

私の理解が不足しているのか、と思ってしまうのですが、有料のバナー広告だろうがホームページだろうがネットの情報という意味では同じなんじゃないの、と私は個人的には思います。何が違うの?と。ですが、厚労省は「ホームページはOK。でも有料のバナー広告は規制対象」とはっきりと言っています。

有料のバナー広告とかいう話はありますが、それはさておき、問題なのは「ホームページはセーフ」という結論よりも「なぜセーフなのか」という理由です。

違う例で説明しましょう。

たとえば、治療院の看板に「肩こり」「腰痛」「むち打ち」といった症状の内容が書いてあったとします。これは、上記の法律の条文からすると、柔整師やあはき法の治療内容ではないので、この看板に書いてある「肩こり」「腰痛」「むち打ち」ということが書いてあること自体、法律違反になります。

しかしです。これは私はOKだと思います。

なぜか?

これは、柔整師法やあはき法という以前に先ほど書いた「広告の定義」に当てはまらないからです。「肩こり」「腰痛」「むち打ち」といった症状だけ書いても「誘因性」という患者さんを呼び込む内容は書かれていないからです。

ですので、同じ「むち打ち」でも「むち打ち専門」と書いてしまうと「患者さんを呼び込む意図」が入ってしまうのでアウトなわけです。「むち打ち専門」ではなく「むち打ち対応」だったらOKかもしれません。(これは私の解釈ですが)

さて、もう一つ。広告規制の話で重要なのが「そもそもなぜ広告規制があるのか」という話です。

これは、広く医療法の範囲とも重なりますが、医療の根本的な考え方に「誇大広告をしてしまうと患者さんの利益が損なわれるから」というものがあります。これは、治療院に限らず、内科や整形外科、歯科などでも同じです。医療について誇大広告があると、国民の利益が損なわれる。それが根本にあります。

ですが、治療院で治せる症状を伝えることやどの治療に特化しているのかというのを表示することは患者さんの利益を損なうのでしょうか?むしろ患者さんは「むち打ちに特化しているのだったらこの治療院がいい」と思っていくわけで、それは患者さんの利益にかなっていると思います。その辺が私は大いに疑問があるのですが、一番最初に書いた大田区の「施術所の広告について」のチラシにも「むち打ち専門」は違反広告であると書いてあります。一般的にはそのように解釈されているようです。

今日はここまでとしておきますが、この治療院の広告規制については、ちょっと奥の深いテーマですので、何回かに分けて書いていこうと思っています。

 



さて、久しぶりのブログの更新になってしまいました。

介護事業所の経営者の皆さんだったらよくお分かりかと思いますが、7月は処遇改善加算金の報告書の提出月です。私の場合、経理や社会保険・労働保険の事務など、全般を請け負っているため、実は7月は大変忙しい月です。そのために、ブログも更新できずにいました・・・

なかでも処遇改善加算金の報告書の作成は大変、時間と手間のかかる作業で、毎年、実はこの7月は嫌な月だと思っているところです。

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さて、今日はその「処遇改善加算金」について、介護事業所の皆さんが一番、気になるところで、「処遇改善加算金の計算をしたら余ったんだけどどうしたらいいの」というあたりについて、書いていこうと思います。

一般的には、処遇改善加算金を介護職員の皆さんに配る場合、だいたいは次の3つに分かれると思います。

① 「処遇改善加算手当」とか「〇〇手当」として支払う

② 基本給などに一体にして支払う

③ 賞与などの一時金で支払う

個人的には私は、①か③もしくは、③のみで対応するのがわかりやすいと思っています。

ただ、よくありがちなのが、①か③で対応して、いざ処遇改善加算金の報告書を作成しようと思って計算を出してみると「余っている」ということにそこで初めて気づくケースです。

特に、昨年の4月から処遇改善加算金の制度が変わって、処遇改善加算Ⅰを取っているケースだと、処遇改善加算金が倍近くに増えていたりする事業所もあるでしょうから、その辺の計算がうまくされていないと、特に①だけとか③だけとかで対応しようとすると余る現象があるのではないかと思います。

処遇改善加算金の報告書を難解にしている原因の一つに「元々の賃金水準」というのがあります。報告書を作ったことのある人はお判りでしょうが、この「元々の賃金水準」の取り方が実にわかりにくいわけです。

この「元々の賃金水準」には三つあります。

④加算金(交付金)を算定する直前の賃金水準・・・つまり、平成23年度の賃金データです

⑤前年度の賃金水準から加算算定による賃金水準を除いた賃金水準

⑥これまで処遇改善加算を算定していない事業所は前年度の賃金水準

要するに、上記の①か③の方法で計算して「処遇改善加算金が余る」場合には、④の方法で計算するということで「余らない」かを検討してみてはどうかということです。

この平成23年時点の賃金水準というのが、算出が大変難しいし、面倒なわけです。

平成23年時点からずうっーと在籍している人は問題ないです。単純に平成23年度の賃金データを持って来て、その年の給与と平成27年度の賃金データの差額を持って来ればいいわけです。

問題なのは、平成24年以降に入社した人です。平成27年時点で在籍していない人は無視していいわけですが、平成24年以降に入社した人は「同種同等の賃金水準」というのを何らかの基準で求める必要があります。同程度の人でどのくらいの賃金か、を算出してその差額が「処遇改善」にあたるとするわけです。

ちょっと読んだだけで難しいのは理解できますよね。そうなんです。この処遇改善加算の報告書というのは実務上は大変難解で、面倒なわけです。

そこで私から是非、ご提案したいのは、上記の①や③の方法で普段から「処遇改善加算金がいくら余っているか」を管理していくことです。結局、それが一番、事務処理的にも楽ですしいいことなんだと思います。

ということで、今日は処遇改善加算の話でした。

 



話題としてはひと段落した感じのある「マイナンバー」

経営者の視点としては、今、マイナンバーで何をしなければいけないのか。

マイナンバーの実務としては、雇用保険で先行して始まっていますが、実際には雇用保険の書類にマイナンバーが記載されていなくても事務処理は進みます。その辺の内容は以前のブログで書きました。↴

雇用保険の手続きにはマイナンバーは書かないといけないの?

今、経営者としてやっておいていただきたいのが「マイナンバーカード」を作ることを従業員さんに勧めることです。

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これは私が作ったマイナンバーカードです。

「マイナンバー通知書」に一緒に入っているはがきに署名・捺印等をして返信して、市役所から連絡があったのはおおよそ1ヶ月くらいでした。少し前までは、もう少し時間がかかるように聞いていたと思いますから、少し、事務処理は落ち着いたようです。

「マイナンバーカード」は税務や社会保険の手続きに使えるだけではなく、身分証明書としても使えます。ICチップが入っていることから電子申告などにも使えます

なにより、マイナンバーカード1枚があれば、マイナンバーを集める際、そのマイナンバーが本人のものと間違いないかという「本人確認」の作業も同時にできます。これは事務処理を円滑に進めるのためにも大変役に立ちます。

雇用保険は実態としてはそれほどマイナンバーの実務上の取り扱いが進んでいるわけではないので、会社としては、実際には平成28年の年末調整からが実際には「マイナンバー」が運用開始になると言ってもいいです。つまり、今年の年末調整からは、いよいよ本格的に従業員の皆さんからマイナンバーを集めていないといけないわけです。その事務処理を円滑に進めるためにも、今、従業員さんに「マイナンバーカード」を作ってもらうよう周知することは後々の会社の事務処理を円滑に進めるのにも役に立つことかと思います。

ちなみに、この「マイナンバーカード」ですが、裏面のマイナンバー部分にはカバーがかかっていてそのカバーを取らないとマイナンバーが見れないようになっています。ですので、ご本人からマイナンバーカードを提示してもらってご本人の見ている前で「マイナンバー」部分を確認したら、そのマイナンバー部分をまたカバーで隠してその場でお返しすることもできます。つまり、マイナンバーカードを作ることは、マイナンバーを収集する際に従業員さん自身の個人情報を保護するのにも、むしろ役に立つと思います

もちろん、「マイナンバーカード」の作成は任意です。

いまだに「マイナンバー」に違和感を感じている人も多いですから、そういう人には無理に「マイナンバーカード」作成を勧めないこともポイントです。

「マイナンバーカード」の作成を勧めること。とりあえず、これを今は進めてみてはいかがでしょうか。



「マイナンバー」の話、すっかり落ち着いたように思います。

あまり周りで「マイナンバー」の話って出ませんよね?そんな気がします。

ですが、「マイナンバー」対策はまさにこれからです。

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さて、前回のブログでこの10月から導入される106万基準の話を解説しました。↴

https://vanguardwan.com/blog/%e7%a4%be%e4%bc%9a%e4%bf%9d%e9%99%ba%e3%81%ae%e6%89%b6%e9%a4%8a%e5%9f%ba%e6%ba%96106%e4%b8%87%e3%81%a8130%e4%b8%87%e3%81%ae%e9%96%a2%e4%bf%82%e3%80%81%e3%81%8d%e3%81%a1%e3%82%93%e3%81%a8%e7%90%86

 

この106万基準の導入はマイナンバーと密接に関係があると私は考えています。

 

そもそも、中小企業の特に、総務経理の担当者の皆さんは私の感覚ではほとんど皆さんが勘違いしていると思います。マイナンバー制度の導入を「面倒な事務処理が一つ増えた」くらいに考えているんです。多くの中小企業の社長さんもそんな感じなのではないかと思います。

だから、「いつまでにマイナンバーを集めたらいいのか」とか「雇用保険の書類にマイナンバーは書かないといけないのか」とか「集めたマイナンバーはどうやって保管するのか」とかという、要は、事務処理の面からの話が多いわけです。

私は、「それも重要なんだけどなんか忘れていないですか?」と思うわけです。

つまり、「何のために『マイナンバー制度』が導入されるのか」という側面からの話をすっかり忘れてしまっている(もしくは、あまり考えていない)と思うわけです。

この106万基準の話を私の顧問先にもするわけですが、感度のいい経営者や総務経理の担当者は必ず「これって、マイナンバーも絡みますよね?」と聞いてきます。

鋭い!そうなんです。

もともとマイナンバー制度を政府が導入したがっていたのは、「税と社会保障の一体改革」の一環でした。つまり、「税金の情報と社会保険の情報を共有したらどうか」というところから始まっています。たとえば、社会保険の130万基準。この130万基準はそれほど厳格には運用されていませんでした。つまり、従業員さん本人から、「うちに妻は年収が130万を超えたので扶養から外れます」と言わない限り、扶養から外れることは原則としてなかったわけです。ですので、仮に年金事務所から扶養親族の所得に関しての調査があっても、「課税証明書」のような資料を出すことは原則としてはありませんでした。

年金事務所としても、本人から「課税証明書」や「給与明細」のような資料の提出がなければ把握しようがなかったわけです。それが、「マイナンバー制度」の導入によって、いちいち本人から資料を出してもらわなくても年金事務所側で「この方の扶養になっているこの人は年収が130万以上だ」とわかるようになるわけです。

さて、106万基準の対象となる企業は前回のブログでも書いた通り、「社会保険加入者が常時501名以上」の企業です。大きな会社さんが主な対象です。

こうした大きな会社さんでは、マイナンバー対策をきちんとされているところが多いと思われます。実質的にはマイナンバーは、今年の年末調整から始まるようなものというのが、ほとんどの中小企業の認識だろうと思います。ですが、「社会保険加入者が常時501名以上」のような大企業ではすでにマイナンバー対策がしっかり取られているところが多いだろうと想像がつきます。

 

とりあえずは、そういうマイナンバー対策がきちんと取られている大企業から106万の扶養基準の制度を導入して、試験的に社会保険の適用拡大を進めていこうということなのではないかと思うんです。

 

将来的には、中小企業にも広く106万基準を導入して、マイナンバーを通じてその情報を税務署と年金事務所で共有し、社会保険料をより広く徴収していこう。それにマイナンバーを活用しよう。そんな意図がうかがえるわけです。

マイナンバーの導入と106万基準の導入で健康保険・厚生年金の適用対象者を拡大する。これはみんな同じラインの上に乗っかった話なわけです。

その辺も踏まえたうえで、106万基準の話をとらえてみてはいかがでしょうか。



最近、お尋ねが多い話に「社会保険の扶養の基準が106万になるっていうのはどういう話ですか」というような内容の質問があります。

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十中八九、この質問をされる方は、社会保険の扶養についての理解が十分でないように思います。また、この話はマイナンバーとも無関係ではない話だと思いますので、マイナンバーとの絡みの話は次回のこのブログで解説します。

まず、「社会保険の扶養の基準が106万円になる」というのはご存知でしょうか。

以下のような基準をクリアする方は社会保険の扶養から外れるというのが今年の10月1日から運用開始されます。

社会保険加入者が常時501人以上の会社社会保険の扶養になっている方が、

  1. 週20時間以上の労働時間
  2. 雇用期間1年以上の勤務
  3. 月の給与が8.8万円以上
  4. 学生でない                                 1から4の基準をすべてクリアした人は、社会保険の扶養から外れてもらうというものです。

 

中小企業の社長さんは「うちの会社は関係ない」と思うかもしれません。

社会保険加入者が501人以上ではないからですね。

ですが、関係は大いにあります。

たとえば、今パートで働いている人で、ご主人が大きな会社さんに勤めている方もしくは公務員の方、いらっしゃいませんか?基準のラインが月8.8万円以下にしないと社会保険の扶養から外れるわけですから、「時間数を減らしたい」という話が出てくるかもしれません。そう考えると、中小企業にとっても大いに影響はあるわけです。

 

この基準のポイントは以下の3つです。

  1. 月の給与で判断するので、年間の給与ではないこと
  2. 月の給与のうち、時間外手当や通勤手当、賞与などは除外すること
  3. 週の労働時間が常時、20時間未満もしくは、雇用契約が1年未満だと対象外であること

 

そして、もう一つのポイントとして、従来からある年間130万という扶養の基準の話です。

この関係はどうなのか?

もっというと、誤解が多いようなのですが、社会保険の扶養の基準が年間130万円が106万円に変更になったわけではないということです。

106万円というのはあくまでも、年間に仕切りなおした場合の話で、実際には「月8.8万円」となっています。月で判断するわけです。

さらにいえば、これは2社以上で勤務していても関係ない話なわけです。合算はしないんですね。1社での勤務形態を見て、上記の基準に達しているかを判断します。

ですので、130万の基準はまだ生きています。

たとえば、2社以上で勤務した場合は、合算して130万円以上かどうかを判断します

130万円以上だったら、扶養からは外れて、単独で社会保険に加入する必要があります。(勤務先の会社の社会保険の基準【正社員の4分の3以上の時間勤務】に達していなければ、国民健康保険・国民年金に単独加入することになります)

それから、おまけですが、この辺の話って、中小企業の場合、通常、税理士の先生にされるのが普通なんだと思います。

ですが、この106万円基準の話は、税理士の先生のよっては理解が不足している方が見受けられます。専門外なので仕方ないですが、今後はマイナンバーの話も絡みますので、この辺をしっかりフォローしてくれる方と顧問契約をしていくことは会社経営にとっても重要な話です。

 

いずれにしても、ちょっと複雑な話ですので、新しくできた106万基準の話と従来からある130万基準の話、違いをきちんと理解するようにしましょう。



驚きの結果ですね。

イギリスの国民投票で、EUからの離脱派が過半数を占め、イギリスはEUから離脱を選択するという事態となりました。

ほとんどの知識人は「結局、EUに残留するのを選ぶんでしょう」と高をくくっていたようです。さて、このイギリスがEUから離脱したというニュースは経営にはどのような影響があるのでしょうか。

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最も直接的に影響があるのは、株や有価証券などの金融財産を持っている社長さんです。会社で持っていたり、個人で持っていたりする人は、影響が必至です。実際、円相場や為替相場は異常なまでに反応を示しています。

これに似たケースで、ちょっと違いますが、「リーマンショック」をご記憶の方も多いでしょうね。あの時も、円が買われ、急激に円高になりました。

この国の経済の特徴として、円高になると株安になる傾向があります。その傾向が顕著に出ていました。

今回もそんな感じになるでしょうね。

株や債券など金融資産をお持ちの社長さん。是非、慎重に判断するようにしましょう。

そして、仮に、株や債券を持っていない社長さんであっても、株や債券に影響があるとすれば、年金などの資産運用にも影響があります。長期的に見てもいい影響ではないだろうと予想されます。年金の保険料が上がるいう形で巡り巡って影響があるとも考えられます。

ところで、消費税の増税を見送ったのも、結果的に正解だったかもしれません。

イギリスのEUからの離脱は少なからず、日本の経済にも影響があるはずです。しかも、あまりいい影響ではないと想像されます。

それに加えて、来年の4月から消費税が増税されていたとすれば、もっと景気の悪化が深刻だったことも考えられます。

結果的に、消費税増税を見送ったのは正解だったということになるでしょうね。まさか、安倍さんはここまで予測していたとは思えませんが・・・

ちなみにですが、こうした事態も考えられるので、株や債券のような金融商品は、「損してもいい」と思える程度の投資額にしておいた方がいいと、株などをやっている経営者の皆さんにはお伝えしています。つまり、「ほどほどにしておく」というのがポイントです。当たり前と思うかもしれませんが、重要なんです。損が大きくなるとそれをカバーしようとしてさらに投資額を増やして損失が膨れ上がる、というのは私の経験から言わせていただくとサラリーマンよりも社長さんによくみられる傾向だと思います。

それは、心によく刻んでおいたほうがいいですね。

いずれにしても、2016年6月23日というのが歴史的にも大きな転換点の日になってしまいそうです。



熊本地震から今日でちょうど2か月が経過しました。

あるアンケート調査によると、熊本地震で被災者の経営者が得たい情報として、トップに挙がったのが、「地震の影響のよる助成金や補助金の情報や税金について」という項目だったそうです。

地震があって、とりあえず身の回りのことが一段落して、次は「お金のこと」が悩みとして出てくるということなんだろうと思います。

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そのアンケート調査を受け、本ブログでも熊本地震の影響で受けられる助成金情報や税金の情報をいくつかピックアップしてみようと思います。

まずは助成金です。

地震があるとすぐに浮かぶ助成金が「雇用調整助成金」というものです。

 

まず、「雇用調整助成金」というのはどういうものなのか?

おおむね次のような要件に該当した場合に受給できる助成金です。

 

・直近3か月の平均売上高が昨年の同時期と比べて10%以上減少していること

・売上の減少に伴って、会社都合の休業をしていること(従業員を会社都合で休ませていること)

・会社都合の休業の対象になっている従業員に「休業手当」(休業前の賃金の6割を支払うもの)を支払っていること

 

おおむねこんな要件です。

休業させている従業員に支払った休業手当の中小企業の場合には2/3助成金が受けられます1人当たりで最大7,810円、1年間で最大100日分(3年間で150日分)受給できるという助成金が「雇用調整助成金」です。

これは今回の「熊本地震」とは関係なく、もともとある助成金でこういうものがあるんです。

その「雇用調整助成金」の要件が「熊本地震」の影響を受ける企業に限り、緩和しました。

たとえば、この助成金を受けるには、休業する前に事前に「計画書」をハローワークに出さないといけないのですが、「平成28年7月20日までに計画書を出せば、平成28年4月14日以降の休業(熊本地震以降の休業)については、事前に計画書を出したものとみなす」というものがそうです。

通常の「雇用調整助成金」を受給するためには「計画書」を、休業を開始する前に「事前に」出さないといけないわけですが、今回の熊本地震の場合は、これから出してもOKというわけです。

さらに、通常の「雇用調整助成金」では、対象となる期間は3か月ですが、1か月で判定してもいいことになっています

また、通常の「雇用調整助成金」では、雇用保険に加入している人が前年同月比で増えていると対象になりませんが、仮に雇用保険に加入した人の数が増えていても対象になります

そして、助成金の受給額も、中小企業の場合、通常の「雇用調整助成金が」2/3であるのに対して、「熊本地震による雇用調整助成金」の場合には4/5に引き上げになります

また、この「熊本地震による雇用調整助成金」の緩和要件については、「熊本」に会社がなくても適用がされます。「熊本地震」の影響を受けて休業した場合にはすべて対象になります。

ということで、「熊本地震」の影響を受けている中小企業が最も知りたいであろう情報の一つ、「雇用調整助成金」の話でした。

当助成金について、ご相談のある方は「ヴァンガードマネージメントオフィス」までご連絡ください。↴

http://vanguardwan.com/



スズキ自動車の会長 鈴木修氏が燃費偽装の問題の責任を取るため、CEO(最高経営責任者)を辞任すると発表されました。ただ、引き続き会長職にはとどまるようです。

私的には???という感じがして、正直、やや違和感を感じます。CEOはやめるけど、会長職にはとどまるっていうのは・・・なんか違いがあるの?と思います。

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中小企業にとって、社長がいつ社長を辞めるのか、事業を引き継ぐのであればどういう形で引き継ぐのか、そして誰に引き継いでいくのかというのは、大変大きな問題です。

しかも、これは社長がまだまだやれるという元気な時に考えないといけないテーマです。

さらに難しいのは、仮にバトンタッチする後継ぎがいるにしても多額な相続税が発生してしまっては、残された跡継ぎが困ってしまいます。ですから、相続税対策も含めて、時間をかけてじっくりと取り組む必要がある大変、重たいテーマなわけです。

事業承継していくのであれば、そのポイントは大きくは次の三つだと思います。

1.跡継ぎに引き継いだら旧経営者はスパッと辞めること

2.跡継ぎの経営者の意思を尊重すること

3.相続税対策も十分に考えておくこと

一般的に、二代目はたたき上げの初代より難しいとされています。

どうしたって、先代と比較されてしまいますし、先代の古いつながりも引き継がないといけない。ですが、たいていの場合、先代のやってきたやり方を踏襲するだけでは時代の流れからは外れているから、新しいやり方を模索しないといけない。

私は、大企業であろうが、中小企業であろうが、本質的にはそんなに変わらないと思っています。そこで、他山の石で、大企業ではどうなのか、参考にしてみましょう。

「大塚家具」の問題は、私はいろいろな意味で中小企業にも「いい教材」だったと思っています。「いい教材」というのは当事者の方々には大変失礼ですが・・・

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大塚家具の問題は、マスコミから「親子喧嘩」と捉えられる向きが多く、実は企業経営に潜む様々な問題提起があることがあまり取り上げられていないように感じます。

「コーポレートガバナンス」だったり、「事業承継」だったり、「相続対策」だったり。

企業経営には起こり得る問題について、実はいろいろと問題提起されているのが「大塚家具」だと思います。

大塚家具をめぐる問題を簡単にいえば、お客さんが来たら囲い込む「会員制」という従来のやり方を継続することを主張する会長(父)と、だれでも入りやすい店舗という新しい形を模索する社長(娘)の対立でした。

どちらの意見を採用するのか。結局、この対立は株主総会に持ち込まれ、多数を取るため、すさまじい委任状争奪戦があり、結果、社長である娘に軍配が上がりました。

この問題について、株主は大変冷静だったと思います。結局、会長(父)と社長(娘)の経営方針の対立という軸ではなく、社長(娘)の久美子氏の出した中長期計画とそれに対抗する形で出された会長(父)の出した中長期計画とを比較して、どちらがより現実に即したものなのかを判断し、その結果、久美子氏が支持されたのだと私は思っています。

さて、この問題をめぐって、私はいくつもの気づきがあったのですが、その一つが「事業承継」の難しさです。

会長側には長男の勝之氏が跡継ぎにいました。一方で、長女の久美子社長はいわゆる第一子で、長男の勝之氏よりも年長者です。一橋大学を出て、みずほ銀行に入行。その後、大塚家具の役員となった才女です。

昔だったら、長男が跡継ぎになることは暗黙の了解だったのでしょうが、能力のある第一子の長女と年下の長男がいる場合、今の時代、跡継ぎ問題をどう考えるのかという問題もあるわけです。

結果としては、社長である娘が大塚家具の事業を承継したわけですが、いい形での事業承継とは言いかねるところです。

スズキ自動車にしても、大塚家具にしても、事業承継をする場合の現経営者の心構えの三原則(と私は呼んでいますが)に反していることは間違いないと私は思うわけです

ということで、中小企業にとっても頭の痛い話、「事業承継」の話でした。



今日は雇用保険の助成金の話です。

経営者の皆さんの助成金の考え方は二つに分かれます。

一つは「もらえるものはもらいたい。どんどんやってみよう!」という反応です。だいたい、こういう考え方の経営者の皆さんはご自分でいろいろと調べます。逆に、私に「こんなのあるけど受給できないの?」という感じでおっしゃってきます。

もう一つが「どうせ、助成金なんていろいろと要件があって受給できないんでしょ」という感じの「諦め」の反応です。

今日はこの「諦め」の反応の中小企業の経営者の皆様に是非とも知っていただきたい助成金、 「トライアル雇用奨励金」について、その概要を説明したいと思います。

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「トライアル雇用奨励金」は私の知る限り、雇用保険の助成金の中ではかなり簡単な部類に入る助成金です。受給できる可能性も高く、手続き的にもそれほど煩雑ではありません。

どういう助成金かと言いますと、次のような方を雇う場合に受給できるものです。

「働いたことのない職種の仕事に就く人」

「学校を卒業した後、3年以上正社員であったことがない人」

「前の仕事をやめてから1年以上経過している人」

「過去2年以内に、2回以上転職している人」

「妊娠・出産・育児を理由に退職し、その後1年以上正社員として働いていない人」

 

なんか、いずれもいそうですよね。

こういう人を「ハローワーク経由」で「トライアル雇用」として雇い入れると対象になります。

「トライアル雇用」というのは要するに、原則、3か月の期間の「期間の定めのある労働契約」で雇い入れることです。その後、その方と会社がよければ正社員に移行していくというようなものです。

対象者1人につき、月額4万円支給されます。最大で3か月ですから、3か月トライアル雇用すると12万円受給できます

「今回は、未経験者でもいいか」といった場合には、このトライアル雇用奨励金を思い出してほしいんです。ハローワークで「トライアル雇用をしたい」といって求人をして、対象者が3か月間雇用されれば、12万円受給できます。

ちなみに、この「トライアル雇用」で雇う人は、雇用保険に加入させないといけません。つまり、労働時間は最低でも「週20時間以上」ということになります。その点は要注意です

また、トライアル雇用をしてから2週間以内に「トライアル雇用実施計画書」というのを出さないといけません。その点も要注意です。

トライアル雇用の受給についてのご相談はこちらまでお願いします。→http://vanguardwan.com/

ということで、是非活用してほしい助成金、比較的ハードルの低い助成金、トライアル雇用奨励金についてでした。



舛添知事の問題がほぼ毎日、マスコミ報道に上がっています。今、都議会が開催中ということもありますが、大変な問題になっています。

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今回のこの「公私混同」の話は、経営者は学ぶべきことが多いと思います。

もちろん、公職についている人と民間人に差はあります。同じに論じることは出来ません。ですが、 「トーゴ―サン」(10・5・3)とか「クロヨン」(9・6・4)とかっていうのを聞いたことがありますか?

「トーゴーサン」というのは、サラリーマンは100%課税されているが、自営業者はたいてい50%くらいしか課税されていない。農業など第一次産業従事者は30%程度しか捕捉されていないというものです。「クロヨン」というのも同じことで、サラリーマンは90%、自営業者は60%、第一次産業従事者は40%しか課税されていないというものです。

税務署が税金を把握できているのはこの程度だという話です。

自営業者が50%だったり、60%だったりというのは、申告されていても、私的な費用が入っていたりして実際の納税額の半分だったり、6割だったり、という意味も含んでいるようです。

経営者の多くは、舛添さんの話を聞いて、少し身につまされるところはありませんでしたか?

こうしたズルをなくすために「マイナンバー」が導入されるという側面もあるわけです。そこを経営者は頭に置いておかないといけません。

もっとも、舛添さんの場合には公職についている人なわけで、「トーゴーサン」のような感覚で税金を使われるのは話が少し違うわけですが・・・

舛添さんの「私的流用」の話から、そんなことを考えたところでした。