手技療法の治療院、介護事業の経営に役立つ最新情報や知って得する情報満載のブログです!

ブログの更新がなかなかできませんでした。ちょっとこまめに更新していこうと思います。

さて、4月になりました。新入社員もいよいよ月曜日から本格的に仕事開始ですね。

ところで、4月からはいろいろと変わっています。電力の自由化が一番話題になっています。そして、会社の事務処理で変わったことと言えば、特に東京都の方は社会保険の書類は4月1日以降、年金事務所ではなく、事務センターへ直接、送ることが原則となりました。

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社会保険の書類というと、入社したら「資格取得届」、退社したら「資格喪失届」、他にも、社会保険の月額変更があったら「月額変更届」、賞与の支払いがあったら「賞与支払届」・・・といったものです。

要は、会社の事務担当者からしたらほとんどの書類が「事務センターへ直送」というわけです。

ただ、事務センターへ直接送るわけではないものもあります。代表例が「算定基礎届」です。これは各年金事務所へ提出することになります。

また、各年金事務所へも今まで通り、提出自体はできます。ただ、年金事務所から事務センターへ送る形になるため、多少時間がかかります。

また、東京都内の場合「千代田・中央・上野・足立・江戸川・葛飾・池袋・杉並・品川・八王子・目黒・荒川・中野・府中・青梅」の管轄の年金事務所では、事務センターではなく、年金事務所へ提出することになっています。

いずれにしても、マイナンバーの運用開始が社会保険の書類の場合、平成29年1月1日~と予定されていることからも、電子申請による書類提出を検討する時期かもしれません。そうすれば、そもそも「どこに郵送するのか」は考える必要はないですからね。

ということで、4月1日から、提出先に注意、という話でした。



マイナンバーの漏えい事件が発生しました。マイナンバー関連で初めての立件だそうです。↴

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160315-00000087-mai-soci

 

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この事件は個人1人分のマイナンバーの話でしたが、怖いのは企業単位でのマイナンバーの漏えいです。第一号になってしまうと大変です。ニュース記事としての価値が非常に高く、今後、継続して「漏えい第1号」の企業という扱いになってしまいます・・・そう考えると、仮に企業で従業員などのマイナンバーが漏えいしたとしたら大変なことなわけです。

中小企業のマイナンバーの取り扱いの担当者の皆さん。くれぐれも「マイナンバー漏えいの第1号」にならないように・・・

さて、マイナンバーですが、実際、平成28年1月から雇用保険から先行して運用が開始されました。しかし、実際にはこれからといった感じです。

といいますのも、雇用保険の届け出でマイナンバーが記載されているのは5%ほどとか・・・

私は、実際、動き始めるのは平成28年の年末調整くらいから と考えています。

社会保険の算定基礎届は平成29年7月時の提出分からマイナンバーを記載することになっています。(今の段階では予定で、基礎年金番号漏えい問題の影響で、延期される可能性はあります)

これもマイナンバーを手書きで記載するのは、人数が多い会社さんだと、結構、大変な事務作業です。

そこで、私が実務上、中小企業のマイナンバー対策として以下のようなことでを考えています。

① マイナンバーの収集・保管の担当者を決めること。担当者は1人か2人。特定の人のみが扱う業務にすること。

② マイナンバーの保管の方法を検討しておくこと。大きくは「クラウド」式のネット管理の方法か、日本法令の「マイナンバー保管・取得セット」を活用するか、を検討しておくこと。

日本法令の「マイナンバー保管・取得セット」は以下↴                 https://www.horei.co.jp/shop/cgi-bin/shop_itemDetail.cgi?itemcd=1680219

③ マイナンバーをいつ収集するかを決めること

④ 社会保険や雇用保険の届け出事務を電子申請にすること

とりあえずはこんなところです。

ちなみにですが、そもそも会計事務所や社労士事務所にマイナンバーの保管・収集をすべて委託する方法も考えられます。従業員数がおおよそ10名以下の会社では、私は「そもそも会社でマイナンバーを保管しない」ことを提案しています。

マイナンバーの保管・収集を会計事務所・社労士事務所に委託するかどうかも含め、実務上は秋くらいまでに決めればいいと考えています。

ということで、今日は、中小企業を取り巻くマイナンバー対策の話でした。



確定申告の時期ですね。治療院はご自分で申告される方も多いので、この時期、気をもむ人も多いことでしょう。私の顧問先でも、確定申告自体はご自身でやられる方も多いです。今日は、治療院が特に気を付けるべき確定申告のポイントをいくつか挙げてみました。

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まず、大前提として、治療院であろうなかろうと、確定申告の一般的なチェックポイントは同じようなところにあると思います。今日は、治療院特有の確定申告のポイントをいくつか挙げてみました。

① 棚卸をする

これは結構、やっていない治療院も多いようです。そもそも「棚卸って何」という先生方も多いでしょうね。治療院の棚卸は、期末、つまり、12月31日時点で使っていない治療に直接使う材料のことです。サポーターや包帯、シップ、鍼などのことです。これを期末時点で使っていないもの数えることを棚卸と言います。

なぜ棚卸が必要かといえば、期末時点で残っていたということは、使っていなかったということになるため、費用から除いて計算する(来年の費用にする)ということです。治療に直接使う材料は、使って初めて費用になるという考え方です。逆にいえば、使ってなくて残っていたのなら、これは費用ではないという話です。

とはいえ、12月末時点で棚卸をしていないという人も多いでしょうね。その場合には、12月末に仕入れたサポーターや包帯などから概算で計算してみましょう。おおよその計算でもしているのとしていないのとでは大違いです。棚卸は必ずやりましょう!

② 保険診療の期末の残高を把握する

保険診療の場合、何らかの請求団体を使っている治療院の先生方は多いと思います。その請求団体の12月末の残高をきちんとあわせるようにしましょう。請求団体のよっては、12月末時点の残高一覧を出してくれるところもあります。その場合には、残高を出してもらい、12月末時点の保険診療の売掛金残高をあわせましょう。

さて、これはなんのためにするのでしょうか。

治療院の先生方はお判りでしょうが、治療院の保険請求には返戻がつきものです。つまり、健康保険などの保険診療では、治療して請求してももらえないことが多々あります。理由はいろいろですが、ともかく請求時点で売り上げを立てても実際には入金がないということはよくある話です。それを調整する作業を期末で行うわけです

12月末時点の経理上の売掛金の残高と実際の売掛金の残高の差額を売り上げのマイナスという処理をして残高を合わせる作業をする必要があります。

③ 自賠責保険の売掛金が計上されているか確認しよう!

交通事故の治療などで自賠責保険による治療が行われる場合、保険会社に請求しますが、これも数か月分たまってから入金されたり、保険会社によっては支払いを一時保留にされることがあります。これも保険診療と同様、理由は様々ですが、とにかく、治療をしていてまだ入金のない自賠責保険の金額をきちんと確認して、その金額は売り上げに計上するようにしましょう。

④ 窓口の現金の残高をきちんとあわせましょう。

これは現金管理という意味で重要です。特に、窓口で患者さんから預かる現金の12月末時点の残高をきちんと青色申告決算書の現金とあわせるようにしましょう。12月末でいくら置いていたのか、きちんと思い出してくださいね。その残高を青色申告決算書の貸借対照表の現金とあわせるんです。(ただし、白色申告だったり、青色青色申告特別控除を10万円の控除しか使わないのであれば関係ない話です)

なぜこれが大事かと言いますと、税務調査などでは窓口現金の管理方法が重要なポイントの一つでもあります。きちんと現金を合わせて管理しているというのは税務署へのアピールの意味もあり重要です。

また、これも忘れしがちですが、12月末時点で患者さんからの窓口現金でもらっていないものがあればそれも「未収金」として収入計上しましょう

治療院特有のポイントで代表的なものはこんなところです。

あとは、減価償却をしたり、未払金(支払は1月以降で、12月までに買ったりサービスの提供を受けたもの)の処理などは、治療院でない業種と同じです。

治療院特有の経理処理にも注意を払いながら、3月15日の期限までに確定申告を済ませましょう!



マイナンバーが平成28年1月から運用が開始しました。雇用保険が先行して1月以降運用が開始されたはずですが、実際はどうなっているのでしょうか?

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運用開始の時期は以下の通りです。

雇用保険・・・平成28年1月~

社会保険(健康保険・厚生年金)・・・平成29年1月~(予定)

税務申告・・・平成28年分の申告~

 

上記のように、雇用保険が先行して運用が開始されています。つまり、現状ですでに雇用保険の資格取得届や離職票の発行などの手続きには、マイナンバーが必要になっています。さらに、育児休業給付や高年齢継続給付などの手続きにも同様に、マイナンバーが必要なわけです。

しかし、現状はどうなのでしょうか?

先日、社労士会の研修に雇用保険の手続きを実際に行っているハローワークの職員が来て、講師としてマイナンバーについてのお話をしていました。

その話によると、実際に、現時点でマイナンバーの記入されている届出書は、全体の届け出のうちの5%だそうです。つまり、9割以上、ほとんどの届け出がマイナンバーは書かずに届け出を出しているんですね。

これはいろいろな理由があると思いますが、行政の側も積極的にはマイナンバーを書かせようとはしていないことが大きな要因なような気がします。

私もある届出をマイナンバーを記載した形で提出したのですが、その際にハローワークの職員に「一括で提出していただいたほうがいいですよ」と言われました。

これはどういう意味でしょうか?

雇用保険の資格取得届や離職票などは、新様式では個人番号を記載する欄がありますが、旧様式(平成27年12月までの様式)にはマイナンバーを記載する箇所はありません。この場合、旧様式で提出するのでマイナンバーを記載しない場合には、この届け出とは別に「個人番号届出書」という別の様式の書類にマイナンバーを記載して、マイナンバーを提出することになっています。

ですが、マイナンバーは、事業所ごとに一括で「個人番号登録届出書(連記式)」というのがあり、これに従業員分を全員記載して一括でマイナンバーを提出することができるんです。実は、ハローワークとしても、手続きの都度、マイナンバーを提出されるよりも、従業員全員分、一括で提出してもらったほうがやりやすいようなんです。

ということで、ハローワークとしては、マイナンバーを記載するんだったら事業所ごとに全員、記載してもらうか、まったくマイナンバーは記載せずに提出してもらうか、のどちらかの方がやりやすい(という印象があります)ようなんです。

平成28年1月以降の雇用保険の手続きには、マイナンバーが必要だと思って、マイナンバーを記載して出した方もいたかもしれませんが、出すのであれば、一度、従業員全員分を「個人番号登録届出書(連記式)」で提出してからにした方が良さそうです

ちなみに、これは私が個人的に考えることですが、マイナンバーは実際には、平成28年の年末調整くらいまでに集めておけばいいのではないかと思っています。雇用保険は先行して平成28年1月から運用開始していますが、実際の運用状況がそんな感じなので、慌てて対応しなくてもいいのかなと思っています。

ということで、今日はマイナンバーの実際の運用状況の話でした。

 

 



よく顧問先からある質問の一つに、健康診断にかかわる部分の問題があります。

こうしたことも、なんとなく「うちの会社は〇〇だから」と社長が勝手に決めてしまいがちですが、実は法律で規定されていることが多々あります。

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「健康診断の費用は会社が負担すべきなの?」

この質問もよく受けます。なんとなく「会社で払ってあげたほうがいいんだよね」という感じでしょうか?

まず、健康診断をする義務が会社に課せられていますが、これは労働安全衛生法という法律によっています。(労働安全衛生法の66条に規定されています)つまり、健康診断をして社員の健康状態を管理することは会社にとっては義務なわけです。なんとなく、健康診断を会社でやらせてあげている感覚はないですか?これはちょっと違うんですね。むしろ、会社は社員の健康状態を管理し、体調の不具合を管理しなくてはいけないわけです。

健康診断とは少し離れますが、たとえば、インフルエンザにり患した従業員がいたらどうしますか?休ませますよね。これは他の従業員にうつしてはいけないというのもありますが、それ以前にそのインフルエンザにり患した従業員の健康管理を会社がする必要があるためです。きちんと休ませて、治してもらうように配慮するのも会社の義務なんです。

話が少しそれましたが、会社は社員の健康管理をする必要があるというのが労働安全衛生法での趣旨です。そのために、社員には健康診断を受診させないといけないわけです。そのため、その費用についても、通達で「健康診断の費用については法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然会社が負担すべきものである」(昭和47年9月18日基発第602号)としています。

なお、ここには書かれていませんが、一般的にはこの健康診断の費用には、医療機関に出向く際の交通費も含まれていると解釈されています。

そして、最近、この健康診断に関して、こんな質問も受けました。

「健康診断するのは会社の義務なんだから、この時間は労働時間で、賃金を支払わないといけないのか?」

健康診断の時間の給与を支払うの?と思いましたか?

もっとわかりやすく言えば、時給者の場合、健康診断の時間中も時給を支払うということです。

これも先ほどの健康診断の費用と同様に先ほどの通達に規定されており、一般健康診断(定期健診や雇い入れ時の健康診断)では、「業務の遂行とは直接の関連がないため、受診時間については当然に会社が負担すべきものではなく、労使協議により定めるべきもの」としています。

つまり、健康診断の時間中についても賃金を支払うべきかどうかについては、会社と従業員で話をして決めてね、と言っているわけです。健康診断の費用(交通費も含めて)は会社が負担すべきとしているのに対して、こちらはそこまで強くは言っていません。

ですが、この通達では、その後に続けて、「ただし、健康の確保は事業の円滑な運営に不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間に対する賃金を会社が支払うのが望ましい」ともしています。

ちなみに、特定有害業務(鉛を扱い業務、放射線にさらされる業務など)に従事する人の場合には、健康診断は業務の遂行上、当然必要なものであり、労働時間内に行うべきものと規定されていることから、健康診断の受診時間も当然に賃金が発生します。

ということで、今日は、健康診断でよくある疑問の話でした。

 



厚生年金未加入事業所が問題になっています。

本来、厚生年金に加入すべき事業所で、加入していないために国民年金になってしまっている従業員は推計で全国で200万人いるそうです。しかも、そのうち120万人くらいは、20代・30代の若者とか・・・

国会でも、民主党の長妻昭議員がこの問題について質問をしています。「未加入事業所への対応はきちんとしないといけない」という趣旨の答弁を安倍首相もしています。(平成28年2月5日 衆議院予算委員会で)

朝日新聞にもこの問題について書かれています。下記の記事を参照してください↴

http://www.asahi.com/articles/ASJ1F4G70J1FUTFL00B.html

 

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健康保険・厚生年金はセットで加入するものです。健康保険だけ加入して、厚生年金には加入しないということはできません。また、法人であれば、社長1人の会社であっても加入義務があります。この200万人の未加入者のうちのほとんどが従業員数が10名未満の中小企業であろうと推測されます。

さて、この健康保険・厚生年金の未加入事業所問題ですが、どんな形で加入しなければいけなくなるのか。まずは、第一段階として、年金機構からこんな内容の文章が届きます。

日本年金機構においては、関係機関から事業所情報の提供を受け、事業を行っていると思われる事業所を対象に社会保険制度の加入状況等を確認させていただいております。・・・・

厚生年金に加入していない事業所の情報は、国税庁の税務申告の情報から取得しているようです。つまり、税金の申告している法人で、社会保険に加入していない事業所に対して、上記のような文書で、まずはアンケートのようなものが届くわけです。

ちなみに、私の顧問先で、社会保険はすでに加入しているのですが、税務申告上の所在地と社会保険上の所在地が異なる会社さんにも上記のようなアンケートが届きました。これが意味するのは、年金機構では、税務申告上の所在地に社会保険の適用事業所の所在地がなければ、機械的にこのアンケートを送っているというではないかということだと思っています。

この文書が届くと、社長さんの反応は二つに分かれます。

大変!厚生年金に入っていないために目を付けられているかも・・・

なんか届いたけど、無視してもいいよね・・・

後者の方の社長さんにお伝えしたいのは、ほおっておくとかえって面倒なことになりかねません。無視すると、そのうち「健康保険・厚生年金制度への加入について」という別の文書が届きます。加入を促すような内容のものです。つまり、アンケートが届いたということは、そのアンケートに答えようが、答えまいが、遅かれ早かれ加入しないといけなくなるということなんです。

ただ、経営者の立場からすれば、健康保険・厚生年金に加入すると、すぐにその負担の問題が生じます。「今、加入すると、資金の問題からすぐに支払い不能になってしまう」という切実な問題を抱えている法人も多いはずです。そんな場合には、アンケートに答えて、その後、年金事務所へ相談へ行き、加入時期を少し遅くする相談はできます

ちなみに、この未加入事業所のアンケートなり、加入の催促なり、来てしまい、どうしていいかわからない社長さんも多いと思います。今、国民健康保険や国民年金なのであれば、負担を減らしながら加入する方法もいろいろと考えられます。

こうした文書が届くと、法人であればだいたいが税理士に申告を依頼しているので、まずは、税理士に相談するようです。それはそれでいいのですが、社会保険のことをよく理解している人に相談したほうがいいです。つまり、税理士の先生であっても社会保険の制度の内容までは良く知らない人も多いということです。社会保険の制度のことをよく理解している人であれば、加入するにしても負担が少なくなる方法であったり、先ほど書いたように加入時期を遅らせることも提案していただけるはずです

健康保険・厚生年金に加入することは法律上の義務です。加入を拒否すると法律上は罰則規定もあります。加入するにしても、負担をなるべく減らしながら加入する方法など、きちんと「わかっている人」に相談すれば必ずいい解決方法があります。社労士などの専門家にまずは相談してみましょう。加入の問題から逃げずに、いい対処方法を考えて加入することが前向きな解決法だと思いますよ。



時間外労働について、認識がない事業主も多いので、そのことについて触れたいと思います。

軽井沢でバス事故がありましたよね。大学生などの若い人が多く、大変痛ましい事故です。私も学生のころ、こうしたバスを利用したことがありました・・・

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思えば、バスの事故というと、労務管理が問題になることが今までにもたびたびありました。要するに、残業時間が多く、過重労働になっているという問題です。

その軽井沢のバス事故ですが、バスを運営する会社が36協定を締結せずに時間外労働をさせていたとして書類送検されました。記事は↴

http://www.yomiuri.co.jp/national/20160121-OYT1T50002.html

ところで、36協定ってご存知でしょうか?

従業員さんに時間外労働をさせる場合、この36協定というのを労働基準監督署に提出しないといけません。この36協定が出ていないと、時間外労働をさせられないんです。

それで、よく勘違いされるのが、時間外労働の割増賃金ってありますよね。残業をさせるのであれば、割増賃金を払わないといけないというものです。通常の時間外は2割5分増、深夜労働(夜10時~翌朝5時まで)は2割5分増、休日労働は3割5分増、というものです。

残業代を払っていれば、それでいいと思っている経営者が意外と多いんですね。つまり、残業代は払っていても36協定は提出していない事業者が多いということです

これは違います。時間外労働をさせる予定があるのであれば、36協定は必ず出さないといけません。違反すると刑事罰の対象です。つまり、ひどければ逮捕されることもありうるわけです。

「うちの会社は残業させない」と言い切れるのであれば別ですが、基本的には事業をやっている人で、従業員さんを雇っていれば出さないといけないでしょうね。

ですが、たとえば、所定労働時間が9時~17時だったとします。12時から13時は休憩時間とします。そうすると、労働時間は休憩時間を除くと7時間ですよね。その場合、17時~18時はどうなるのかというと、これは、所定時間外ですが、法定時間(1日8時間)には収まっています。これは、36協定の対象となる時間外労働とは言えません。割増賃金も支払い義務はありません。

この場合には、18時以降も残業させるのであれば、36協定を提出したうえで、時間外労働の割増賃金を支払う義務があることになります。

ちなみに、この36協定ですが、提出せずに時間外労働をさせると刑事罰の対象になりますが、36協定を提出すれば提出した日以後は刑事罰を逃れることができます。ですので、たとえば、1月1日から1年間が有効期間として提出して、提出したのが1月20日だったとすると、1月1日~1月19日は時間外労働をさせることができない(その期間にもし時間外労働をさせていたら、刑事罰の対象)ということになります。

また、この36協定は通常は有効期間が1年以内の期間でないといけません。つまり、毎年、36協定は提出しないといけないわけです。決算期だったり、年度(4月から翌年3月)だったり、わかりやすい時期に設定して忘れないようにしましょうね。

ということで、今日は36協定の話でした。



前回、信用金庫と信用組合の違いの話をしました。

今日は、銀行と信用金庫・信用組合はどう違うのか?中小企業は数ある銀行の中で、どう付き合っていったらいいのか、というような話をしたいと思います。

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ここでは、法律的な部分の話ではなく、ここでは、実際、中小企業は銀行や信用金庫・信用組合をどのように考えて、どう付き合ったらいいのかを考えてみたいと思います。

銀行や信金・信組といっても、結局、中小企業にとっては、「普通預金」「定期預金」などはお金を預けるものであり、必要な時にお金を借りるところ、という意味では何も変わりません。

では、数ある銀行や信金・信組をどう選んだらいいのか?

普通預金や定期預金は今時、どの銀行でも差はありません。問題は、お金を借りる場合です。ここに差が出てきます。中小企業が必要な時に必要な資金を引き出せることが銀行との付き合いには一番大事なことです。では、どう判断して選んだらいいのか?                         私は、おおよそですが、次のように分類して考えています。

信用金庫・信用組合・・・年商1億円未満の事業者

地方銀行・第二地銀・・・年商5億円前後の事業者

都市銀行・・・年商10億円を超える事業者

いわゆる「メインバンク」をどこにするのか?これは中小企業にとっては大きな問題です。私はおおむね、上記のような基準で考えたらどうか、とよく顧問先には言います。

銀行にも規模があります。信金や信組の主な取引先は、街の商店だったり、比較的小規模な事業者です。ほとんどが、年商数千万の企業です。年商が1千万いかない個人事業主も数多く扱っています。信金や信組はそうした取引先が主な取引先ですから、年商が1億を超えるような企業では、信金や信組にとっては、「少し重い取引先」と思われる相手なわけです。年商が1億円を超えるようになってくると、信金や信組が普段扱っている取引先の規模からすると、少し大きな会社になってしまっているわけです。その場合、次の地方銀行や第二地銀をメインバンクに移行していくことがいいと思います。

地方銀行はわかりますよね? 横浜銀行、千葉銀行、常陽銀行、北海道銀行、静岡銀行・・・     要するに、地域で活躍しているような銀行ですね。

第二地銀はわかりますか? 八千代銀行、東京スター銀行、東日本銀行、京葉銀行・・・       特定の地域というわけではないですが、ある一定地域で活躍している銀行ですね。

地方銀行と第二地銀とどう違うのかとかは、金融庁の分け方の話なので、よくわからなくていいと思います。(実際、私も良くはわかりません)ですが、都市銀行と信金・信組の中間にあるような存在だと理解していただいていいのかなと思います。

たとえば、年商規模が1億円未満の中小企業が都市銀行をメインバンクにするのは、身の丈に合った選択ではないです。都市銀行の主な取引先は、年商規模が10億円以上の企業ばかりです。もちろん、年商が1億円未満の企業も取引はしてくれますが、きめの細かいサービスまでは期待できないでしょう。

繰り返しですが、どの銀行をメインバンクにするのかというのは中小企業の経営にとっては重要な影響があります。その際に、この基準にを参考にしていただければと思うわけです。

メインバンクというのは主にお付き合いする銀行です。必要な時に必要な資金をお願いできる銀行と言ってもいいと思います。年商が1億円いかない中小企業が都市銀行にそれを期待するのは、難しい話なんです。逆に、年商規模が10億を超えるような企業が信金や信組で借入をするとなると、普段の取引先の何倍ものお金を用立てするお願いをそれ信金・信組にお願いするのは「少し荷が重い」わけです。そんなわけで、どの銀行にするのかを決めることは中小企業にとっては非常に重要なわけです。

上記のような年商規模をもとに、メインバンクを決めてみてはいかがかと思います。

 

 



あけましておめでとうございます。本年も皆様のためになる情報をわかりやすく、簡潔に書いていこうと思います。どうぞ宜しくお願い致します。

さて、本年最初のテーマは「信用金庫」と「信用組合」です。

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中小企業がお付き合いする金融機関として、街の「信用金庫」や「信用組合」があります。

では、この「信用金庫」と「信用組合」の違いって、ご存知でしょうか

まずは、根拠となる法律が異なります。

「信用金庫」は「信用金庫法」、「信用組合」は「協金法」が根拠になっています。信用金庫は出資をしてもらう人は「会員」ですが、信用組合は出資してもらう人は「組合員」です。

とはいえ、「信用金庫」と「信用組合」には共通点が多く、実態はほとんど変わりがないというのが本当です。現に、「信用金庫」と「信用組合」は統合するという話も一部にあるようです。

どちらも、会社の所在地か、代表者の住所地に支店があるところでしか、口座開設できません。また、信用金庫や信用組合で融資を受ける場合には、出資をして「会員」や「組合員」にならないといけません。資本規模の大きい大企業はそもそも口座開設することはできません。地域密着で、中小企業がお付き合いするには付き合いやすい金融機関という意味では、両方とも似たようなところが多いです。

中小企業の場合、小回りが利く、地域の「信金」や「信組」との付き合いの方が、都市銀行よりも付き合いやすいと言えます。目安としては、年商規模が1億円前後かそれ以下であれば、「信金」や「信組」をメインバンクにして、担当者の覚えをよくした方が、中小企業の経営にとってはプラスになることが多いでしょうね。

背景になる法律は異なっても、年商規模が1億円前後かそれ以下の中小企業にとっては付き合いやすい。

それが、信用金庫や信用組合だと言っていいでしょうね。



今年最後のブログ更新となりました。

最後の話題も前回に続き、コンプライアンスです。

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今日の新聞記事に社労士の信じられないようなコンプライアンス違反の話が載っていました。

この社労士は「モンスター社員解雇のノウハウをご紹介」として、自身のブログで、同業者としてもおよそ信じがたい記事を投稿していました。

「社員をうつ病にり患させる方法」として、社員をうつ病にり患させ、その社員を「合法的に辞めさせる」ことで辞めさせるという内容のものです。しかも、「仮に本人が自殺したとしてもうつ病と死亡の因果関係を否定する証拠を作っておくこと」などと指南していたようです・・・

こんな社労士がいるのか、と思う一方で、改めて、「コンプライアンス」というのを考えさせられる話でした。

私はコンプライアンスというのは「必要最低限の法律を守ること」と同時に「必要最低限の倫理上のルールを守ること」だと思っています。法令に違反していなければすべてOKではないはずです。「人として正しくないと思われることは、やはり「コンプライアンス違反」です

特に我々のような国家資格を持つものはそうです。法律に違反していなければ何をしてもOKではないはずです。その意味で、この社労士の倫理観には驚きを感じるほど、法律家の枠を超えてしまっている話だと思います。辞めさせたい社員をうつ病にり患させて、会社を退職させる方向に追い込むというのは、仮に合法的であっても、倫理上(人として)の価値観を疑わざるを得ない話です。

ちなみに、この社労士は社労士会を退会処分になったようです。社労士の場合、社労士会を退会することは社労士としての活動ができなくなることを意味します。

この話は我々と同業の方でしたが、柔道整復師、鍼きゅう師、ケアマネージャー、介護福祉士など、治療院や介護関係の資格に携わる方も同じだと思います。

「コンプライアンス」というのを考えさせられる話だと思います。