手技療法の治療院、介護事業の経営に役立つ最新情報や知って得する情報満載のブログです!

あけましておめでとうございます。

今年はまた本を出す準備をしていこうと思います。次回の私の書こうと思っている本は私の顧問先で実際に起こった話を中心に、読みやすい読みもの風のものにしていこうと思っています。ブログもその本のためにも大変重要なツールだと思っています。昨年以上にこのブログから情報発信していこうと思います。

さて、今日は、「障害者雇用促進法」という法律についての話です。

法律の名称を言ってもピンと来ないでしょうか?最近、公務員が障がい者の雇用を水増ししていて問題になったという事件がありました。民間企業は障がい者を一定数以上雇っていないと罰金を支払わないといけないのに、公務員は罰則の適用がないという、民間企業からしたら憤慨するのがもっともな話です。そのことが規定されている法律が「障害者雇用促進法」です。

さて、このブログではその国や地方自治体で起こっているそうした問題にコミットするのではなく、あくまでも中小企業目線で書いているブログです。今回もその視点で見ていこうと思います。

 

まず、障害者を雇わないといけない「障害者雇用率」についてみていきましょう。

障害者雇用率は昨年、平成30年4月から、民間企業は2.0%から2.2%に引き上げられました。この引き上げによって、民間企業では、平成30年3月までは従業員数50名以上で1名の障害者雇用が必要だったのが、45.5人以上で障害者1名となりました。障害者雇用のハードルが下がったということです。

ちなみに、国や地方公共団体では、平成30年4月以降は2.5%に引き上げられました。つまり、40名につき1名は障害者を雇わないといけないということです。

 

ここで言っている「従業者数」というのはどういう意味でしょうか。労働局のHPから抜粋してみましょう。

 

常用労働者・・・1年以上継続して雇用される者(見込みを含みます。)をいいます。そのうち、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である短時間労働者については、1人をもって0.5人の労働者とみなされます。なお、1週間の所定労働時間が20時間未満の方については、障害者雇用率制度上の常用労働者の範囲には含まれません。

 

おおむね雇用保険の一般被保険者が「常用労働者」で、週の労働時間が20時間以上30時間未満の「短時間労働者」は0.5人でカウントするということのようです。

雇用保険に加入している人の数でカウントしていって、45.5人以上の場合、障害者を一人雇わないといけないということになります。

また、一般的に精神障害者は週の労働時間が週20時間以上30時間未満になるケースが多いとされていて、精神障害者に限っては、週の労働時間が20時間以上30時間未満であっても0.5人ではなく1人でカウントするとなっています。

 

では、この障害者雇用率を満たさなかった場合、どうなるのでしょうか?この場合、「障害者雇用納付金」と呼ばれる罰金を支払うことになります。では、いくら支払うのでしょうか?

不足する障害者1人につき、1か月あたり5万円を支払うことになります。

逆に、一定数以上の障害者を雇っている場合、報奨金をもらえることもあります

高齢・障害・求職者雇用支援機構のHPによると、以下のように書かれています。

 

「常時雇用している労働者数が100人以下の事業主で、各月の雇用障害者数の年度間合計数が一定数(各月の常時雇用している労働者数の4%の年度間合計数又は72人のいずれか多い数)を超えて障害者を雇用している場合は、その一定数を超えて雇用している障害者の人数に21,000円を乗じて得た額の報奨金が支給されます。」

 

対象はあくまでも、従業員数(ほぼ雇用保険被保険者数)が100人以下の事業所に限られますが、4%以上の障がい者を雇っていると、超過した人数に応じて21,000円が支給されます

 

また、障害者の雇用をめぐっては助成金もあります。特定求職者雇用開発助成金です。その他にも、障害者を雇用すると受給できる助成金が多く存在します。その辺については、私の以前のブログをご参照ください。↴

https://vanguardwan.com/blog/%e9%9a%9c%e3%81%8c%e3%81%84%e8%80%85%e3%82%92%e9%9b%87%e3%81%86%e3%81%a8%e3%82%82%e3%82%89%e3%81%88%e3%82%8b%e5%8a%a9%e6%88%90%e9%87%91

 

また、東京都に関しては国の特定求職者雇用開発助成金を受給すると東京都独自の助成金として「東京都障害者安定雇用奨励金」というのが受給できます。受給額はなんと150万円(精神障害者の場合には180万円)です。

特定求職者雇用開発助成金は短時間労働者(つまり、週の労働時間が20時間以上30時間未満)でもでる助成金です。仮に、短時間労働者を雇い入れた場合、国から(特定求職者雇用開発助成金として)80万円、東京都から150万円であわせて230万円でます

国の助成金は2年間雇って受給できるものなので、たとえば、週の労働時間を20時間として2年間雇ったとします。時給1000円で計算すると、以下のようになります。

1,000円×20時間×4.5週=90,000円

90,000円×24ヶ月=2,160,000円

 

つまり、助成金受給額とほぼ同じか、むしろ助成金の金額の方が多いことになります。

障害者雇用に当たっては、こんなことも知っておくだけで違うかもしれません。

 

今日は「障害者雇用」について、中小企業の視点から考えてみました。



さて、今日は税理士向けの日本政策金融公庫のセミナーで使われた「金融機関が見る融資審査のポイント」というレジュメを参考に、主に、日本政策金融公庫の融資の際のポイントについて、書いていこうと思います。

以前にある顧問先の社長に「銀行に貸してもらえるように化粧して奇麗な感じの決算書にしてほしい」と言われたことがあります。この社長の言っていることは「悪い部分も化粧で隠して見栄えのいいようにして」というかなりわがまま?なものを意味していたわけなのですが、ですが、見栄えのいい決算書というのは確かにあります。その見栄えのいい決算書というのは、実はよく理解していない税理士は多いのです。

このブログは主には中小企業の経営者に見ていただけるように書いています。その意味でいえば、中小企業の経営者もこれを知っておいて見栄えのいい決算書にしてもらうように税理士にお願いする、そのお願いのポイントというのを知っておいてほしいと思います。

さて、今日、紹介する公庫のレジュメの審査のポイントですが、まずは前提として創業融資以外の通常の融資の話を前提にしています。公庫のレジュメに沿ってお話をしますと、ポイントは大きく四つあります。

ポイント1:ヒトとモノ

○ヒト

・信頼性・・・経営者自身が正直かどうか

・謙虚さ・・・他人の意見を聴く姿勢があるか

・決断力、責任感・・・迅速な決断を行っているか、失敗の言い訳をしていないか

・計数観念・・・数字の見通しを自分の言葉で語れるか

○モノ

・製品(商品)力・・・市場に受け入れてもらえる独自性のある製品(商品)があるか

・技術力・・・他社と比べてどの点に優位性があるか

・サービス・・・他社とどこが違うのか、従業員の能力はどうか

・販路・・・どうやって市場を開拓したか、これからどう販路を開拓するのか

上記のようなものを総称して「定性評価」といいます。これらは決算書などの数字には表れない評価項目です。しかし、こうした点も一つ一つ、評価されているのです。なにげない会話から、経営者自身の人となりを判断しています。金融機関の人間は、そうしたことが習慣化されています。それは中には(特に新人だと)そこまで頭の回らない担当者もいるでしょう。しかし、こうした経営者自身の人となりや、会社自体の持つ販売力といったものは、特に近年の融資審査のポイントには重要な部分を占めています。銀行に行くときはこうしたことも見られているという意識は持つようにしましょう。

ポイント2:売上高、利益

○売上高

・企業のサイズ(規模)を売上で把握

・誰に、何を売って、いつ売上にあげて、いつ回収しているのかを確認

・取引先別、月別、店舗別といった形での売り上げも確認

・決算以降の売上の把握

○利益

・「利益+減価償却費」が返済財源の目安

・赤字の場合には、その理由と今後の方針

・今後の利益の見通し

ポイント1が「定性評価」であるのに対し、売上高や利益といった決算書から読み取れる数字のことを「定量評価」といいます。この「定量評価」の中でも「売上」と「利益」が最も重要なポイントです。

まずは、売上です。売り上げの中でも金融機関が気にするのは、「いつ売上に計上して、どのくらいのサイクルでその売り上げを回収しているのか」という点です。たとえば、2か月で回収しているのであれば、売上の2か月分が売掛金に計上されているはずです。その分は現金が入ってくるのがあとになるわけです。そうすると、その分の資金が足らなければ金融機関から借入で賄わないといけないと判断されます。このように、「いつ売上にあげていつ回収しているのか」というのは融資とも直接かかわりのある大事なポイントです。面談の際などに、こうした点は必ず、確認されるはずです。

また、売上というのも単にトータルの売上だけではなく、取引先別、月別、店舗別といった部門別の売上という細分化した情報も金融機関が知っておきたい点です。こうした点を整理した資料を用意しておくと大変、印象がいいわけです。

また、利益で最も大事なポイントは「利益+減価償却費」を返済財源として考えているという点です。ここでいう「利益」というのは普通は「経常利益」のことです。決算書がお手元にあれば、損益計算書を見てください。「経常利益」となっている部分がありますよね。その「経常利益」に「減価償却費」を足した金額が、一般的には「返済原資」と呼ばれます。返済額がその範囲であれば、お金を貸せると判断しているわけです。

また、「今後の見通し」も是非、聞きたいポイントです。たとえ赤字であっても理由のある赤字なのか、今期赤字でも来期以降、巻き返せるのか、その辺が知りたい情報なわけです。その辺もきちんと整理して金融機関の担当者に伝えられるととてもいいわけです。

ポイント3:自己資本、借入金

○自己資本

・中小企業の場合、経営者の個人資産や個人の負債はどうなっているのか

・債務超過の場合、債務超過であっても企業が存続できたのであればそれがなぜか

○借入金

・借入金の残高明細(金融機関ごとの借入残高、1年間の返済額、利率など)

・継続的に借り入れ可能な状況か

ポイントの3つ目は主に、貸借対照表の項目です。

金融機関が貸借対照表を見る場合、決算書の貸借対照表はそのままは見ていません。ほとんどの中小企業が個人と法人というのは実質的に一体です。ですから、個人の資産や負債の状況もあわせて加味します。また、ポイントの2でやった「経常利益+減価償却費」の金額と1年間の返済金額を比べて、1年間の返済金額の中に「経常利益+減価償却費」が収まっているかも確認します。

ポイント4:貸付金・仮払金、その他

○貸付金・仮払金

・代表者の貸付金や仮払金がないか・・・実質的に資産とはいえないものが含まれていないか

・将来的に貸付金や仮払金は解消可能か

○その他

・1期前、2期前の決算書と比較して、良い方向に向かっているか、悪い方向に向かっているか。

・損益計算書の変化と貸借対照表の変化とに整合性があるか

ポイントの4つ目は、これらは要するに、決算書上の「汚れ」がないかという点です。

たとえば、貸付金といっても会社が社長へ貸しているお金だったりすると、中小企業の場合、実質的にそれは返さなくていいお金だったりします。仮払金も同様です。代表者へ仮払いしたお金で、実質的に返さなくていいお金だったりすると、資産性があるとは言えなくなります。こうした実質的に資産と言えない項目については、なかったものとして貸借対照表を作り替えます。

また、公庫などの金融機関では、決算書を2期か3期、比較してみます。すると、会社全体がいい方向に向かっているのか、はたまた悪い方向に向かっているのかがわかります。たとえば、売上が3期くらいで比較してみた場合、2割増くらいに増加していたとします。仮にその売上の伸び以上に人件費が増えていたとしたら、売上の伸びが人件費の伸び(売り上げの増加に伴う人員増加)に追いついていないだけで、人が増えたとことによる売上増加はもう少し時間がかかるとか、説明がつけばいいわけです。

また、例えば売り上げは伸びているのに、売掛金が異常に増えているとか、利益は増えているが、在庫(棚卸)も増えているとか、そういう状況があったとします。そういう状況だと決算書の数字はそのまま鵜呑みにできないと判断するわけです。売掛金を増やして売り上げを増やし、見栄えをよくしようとしただけではないのか、あるいは在庫が増えて、在庫の増えた分の利益が増えているのであれば、単に在庫を数字上だけで調整しただけではないのか、となるわけです。

要するに、決算書にあるウソを見抜くというのがポイント4です。

公庫のこのレジュメを今日は抜粋しながら、融資審査のポイントについて書きましたが、これらは決して難しい話ではありません。ある程度、決算書のわかる人であればだれでもわかるような話です。冒頭に書いたような「悪い部分も化粧で隠して見栄えのいいようにして」というのは、どこかでばれる話なわけです。結局、融資審査のポイントとしては、定性評価部分は社長の努力で何とかするしかないですが、定量評価の部分は売り上げを伸ばし、少しでも利益を出すようにするしかないわけです。

公庫のレジュメからも、結局、「売上を伸ばし、利益を増やす」という当たり前のことしかないというのが融資のポイントだというです。

以上、今日は公庫の融資審査のポイントという話でした。



仕事がかなり詰まっていて、ブログの更新ができずにおりました。

今日は、本ブログでもっともアクセス数とご質問の多い項目が住民税の特別徴収です。この住民税の特別徴収について、本ブログに寄せられた質問から改めて考えたいと思います。

 

 

ご質問の内容は以下のようなものです。

 

事業を経営しております。

創業して15年程度、従業員数も増えてまいりましたが、

今までかたくなに特別徴収を拒否してまいりました。

理由としては、

住民税に関しては各個人に課税されるためのものであり、

行政の代わりに会社側が代理で徴収して納付、ということに対して納得がいかなかったからです。

自分たちで徴収しなければいけないお金なら、

自分で頭を下げて苦労してでも徴収してくればいいのに。という偏屈な考え方です。

たしかに、払っていない従業員もおられるようで

代理で徴収するにあたり、行政に手数料等を請求することは、

全く無意味なことなのでしょうか。

その他の法律で決まっていることなのでしょうか

 

ご質問の内容は正直、「う~ん」と言わざるを得ない内容です。

実際、私の顧問先の会社さんからこうしたことを言われたら「お気持ちはわかりますが、特別徴収の義務化は必須なのでやるようにしましょうよ」となだめるという感じの内容です。

特別徴収の義務化というのはもともと地方税法で決まっているものです。地方税法の231条の4という条文できちんと規定されています。

地方税法231条の4は次のように規定しています。

市町村は、前条の規定により特別徴収の方法によって個人の市町村民税を徴収しようとする場合には、当該年度の初日において同条の納税義務者に対して給与の支払をする者(他の市町村内において給与の支払をする者を含む。)のうち 所得税法第183条の規定により給与の支払をする際所得税を徴収して納付する義務がある者を当該市町村の条例により特別徴収義務者として指定し、これに徴収させなければならない。」

 

つまり、所得税を源泉徴収する事業者に住民税も特別徴収させると法律で規定されているのです。そういうわけで、「なぜ勝手に住民税の徴収も義務化させるのか」という疑問を持たれる方も多いのですが、それは認識がそもそも違っていて、もともと法律で所得税だけでなく住民税も事業者が徴収することになっているのです。そもそも法律がそう規定されているのに、実際には市区町村の実務上の取り扱いとして、特別徴収しない形で給与支払報告書が出される場合、応じてきたわけです。事業者側が「特別徴収は面倒だからうちの会社はやらない」と言えば、市町村側が実務上の取り扱いとして、「わかりました。では、普通徴収でやってもいいですよ」というのを認めていただけの話なんです。

ただ、この市町村側の法律よりも緩いこうした取り扱いは、住民税の徴収率が下がるということにつながっていて、市町村にとっては深刻な問題となっていたわけです。そのため、もともと特別徴収は事業者側の義務と法律で規定されているのだから、事業者側にきちんと住民税を徴収させよう、という話になったわけです。

 

ご質問の方も、所得税は源泉徴収して国に納付しているのではないかと思います。住民税の特別徴収もそれと同じ話なわけです。いずれも法律で規定されている話です。ここはおとなしく従わざるを得ないのではないかと思います。

 

ただ、この特別徴収について、実務上、市区町村の現場では、そこまで強硬に対応していない自治体もあるように思えます。実際、いったん特別徴収となった従業員について、給与所得者異動届を出して普通徴収に切り替えの届け出を出したものは認めていたりしているようです。私も顧問先で実際、そういった例に出くわしました。以前よりは特別徴収する形にはなっていますが、実際には所得税の源泉徴収ほど強制はしていないといったところだと思います。その辺は自治体にもよりますので、各市区町村に確認してみてください。

 

それから、特別徴収について、このご質問は事業者側からのご質問でしたが、従業員側からもご質問をいただくことが多いです。それが、ダブルワークをしている場合の住民税という話です。これは、以前の私のブログにも書きましたので、参考にしてみて下さい。↴

https://vanguardwan.com/blog/%e5%89%af%e6%a5%ad%e3%81%8c%e4%bc%9a%e7%a4%be%e3%81%ab%e3%81%b0%e3%82%8c%e3%81%aa%e3%81%84%e4%bd%8f%e6%b0%91%e7%a8%8e%e3%81%ae%e5%be%b4%e5%8f%8e%e6%96%b9%e6%b3%95%e3%81%a3%e3%81%a6%e3%81%aa%e3%81%ab

 

 

以上、今日は住民税の特別徴収の話でした。



さて、ブログの更新が何日間かできていませんでした。意外とこの11月は忙しかったためです。

今日はなぜか最近、ご相談の多い、従業員さんの退職時の話、特に自己都合退職の場合の話について、書いていこうと思います。

 

まず、退職に当たって、特に自己都合退職の場合には必ず「退職届」はもらってください。これは意味としては二つあります。

一つは、手続きに必要だからです。離職票を発行するのに、自己都合退職の場合、自己都合であることの証明が必要です。それが「退職届」です。「退職届」は退職者本人の意思で退職したということを示す何よりの証明書です。ハローワークで手続きを取る際に、「離職票あり」の手続きをする場合と「離職票なし」の手続きをする場合があります。「離職票なし」の手続きの場合には特に証明書は求められないのですが、「離職票あり」の手続きの場合、自己都合退職であることの証明書が必要となります。その「自己都合退職であることの証明書」が「退職届」なわけです。「退職届」というのは自己都合退職であることのなによりの証明書と言っていいでしょう。だからこそ、ハローワークも手続きの際に「退職届」を出してもらうわけです。

 

「退職届」を取るもう一つの意味は、あとで揉めないためです。

その退職される従業員さんと良好な関係のまま退職に至る場合にはいいのですが、何かいろいろとあって辞める場合が問題です。よくあるのは、いろいろと問題があって辞めることになってその後、「やっぱりやめない。続けます。」とあとから言い出すケースです。ひどい場合には、確かに辞めると言ったのに、辞めるとは言っていませんとか言い出すようなケースもあります。いろいろとあって揉めている従業員さんがいたとして、その従業員さんが「辞める」言ってきたとします。社長としては「ああ、辞めると自分から言ってくれた」とホッと一安心だったとします。つまり、辞めてほしい人が自分から辞めると言ってきたようなケースです。このような場合、あとから話をひっくり返すようなことがないように、まずは「退職届」をもらうことが肝要です。その場で書いてもらえれば書いてもらったほうがいいでしょう。

実は、この手の相談は結構あります。

本人的には「辞める」と言ったものの、いざ再就職活動をしてみると、再就職が厳しいのがわかって本人から前言を翻したいと言ってきたようなケースです。社長としては、次の人材確保のために採用活動を始めていたり(場合によってはすでに代わりの人材確保をしていたり)していて、もう、あとには引けないというような状況です。こんな状況で「やっぱり辞めるのを止めます」と言われると、これは困るわけです。「ウチは二人も採用している金銭的な余裕はない」となるとますます困った話です。

そのようなことにならないためにも、辞めるという話があって会社としては了承した場合、まずは「退職届」を取ることが重要となるわけです。

 

また、退職届のひな形ですが、これは特にきまった雛形があるわけではありません。

最低限、以下のような項目があればいいでしょう。

 

① 宛名に「会社名」「社長名」が入っているか(もしくは社長名の代わりに責任者の名前になっているか)

② 退職年月日(退職予定年月日)があるか

③ 自己都合退職である旨が書いてあるか(通常は「一身上の都合による」という文言があるか)

④ 本人の名前が入っているか

 

なお、名前が自筆であれば印鑑は捺印してあってもしてなくてもいいでしょう。また、ご自身のお名前くらいは自筆で書いたほうがいいでしょう。すべてパソコンで打ったものだと本人の意思で書いたかどうかが判然としません。せめてお名前くらいは自筆にしたほうがいいです。

 

さて、自己都合退職の場合、「退職届」が必要というのはお分かりいただけたのではないかと思います。では、(これもよくある質問ですが)「退職確認書」のようなものを取ったほうがいいかということです。

たとえば、退職後も顧客情報を持ち出さないとか、一切の金銭債権債務は存在しないとか、退職後は在籍中に知ったことを他に漏らさないとか、そういったことを書いた書類に署名・捺印をしてもらうというようなものです

 

私はこれに対しては「ケースバイケースで対応したほうがいいでしょう」とお答えすることが多いです。要するに、どんなケースなのかで「退職確認書」を取ったり取らなかったりという形になるものだと思っています。

なぜでしょうか?

基本的には「退職届」を取っておけば「自己都合退職」で「○月○日に退職」という合意は出来ているわけです。私はそれだけで十分だと思います。

ですが、改めてそれとは別に書面を取るということは、何かあるから取るわけです。例えば、未消化の有給休暇について揉めているとか、未払の残業代があるとか、あるいは従業員さんが在籍中に情報を持ち出そうとしているとか、そういうことです。

そういうような「別に何かある」ような場合、これは書面を別途、取らないといけないとなるわけです。

逆に、何も問題がないのに「退職確認書」のような書類を別途取るというのはどうでしょうか?その従業員さんからしたら「信用されていない」と捉えかねません。わざわざ波風を立てるようなことはしないほうがいいというのが私の考えです。

 

また、仮に「退職確認書」を取ったとしても、あとから「未払残業代」について訴えを起こされることはあり得ます。いくら書面を取ったところで、実際に「未払残業代」があったような場合、この「退職確認書」は無効になる可能性はあります。たとえば、「この退職確認書を取った時点ではよくわからなかったが、あとから調べてみると未払残業代があった」とか言われたらどうでしょうか。また、『「この退職確認書にサインをしないと退職の手続きをしない」と言われたので、とりあえずその場ではサインしただけです』と言われたらどうでしょう。そのように言われた場合、せっかく取った「退職確認書」は無効になる可能性はあり得るのです。つまり、なんでも書面を取ってサインさせれば安心といって書類にサインさせるのは意味がない(場合によっては逆にもめ事を誘発してしまうのでむしろやらないほうがいい)というわけです。

 

繰り返しですが、自己都合退職であれば「退職届」は必ず取ったほうがいいでしょう。その上で、「退職確認書」を取ったほうがいいのかどうかは慎重に判断したほうがいいでしょう

 

以上、今日は自己都合退職の場合の会社のやるべきことというお話でした。



さて、今日は久しぶりに社会保険の手続きの話です。

手続きの話はこのブログに書くと、その後のアクセスが多くなる傾向があります。今日の論点は経営者の皆さんの今、もっとも関心の高い論点の一つと言えます。社会保険の扶養の手続きのどういう点が変わったのか、この機会にきちんと把握してみてください。

 

さて、健康保険の扶養の手続きですが、今年の10月1日以降の手続きについて、厚労省の内部で厳密に取り扱うように内部通達が発せられたようです。それに伴い、健康保険の扶養の手続きをする際の添付書類が以下のようになりました。

 

扶養する親族が同居している場合

・被保険者と被扶養者の両方のマイナンバーを届出書に記載する

・マイナンバーの記載がない場合、戸籍謄本か住民票を記載する

 

さらに収入が130万円未満で扶養されているということ(所得要件)について、同居親族の場合には、「扶養になる人の年間の収入が130万円未満であることを事業主が確認した旨を届出書に記載すること」となっています。これは具体的には、社会保険の扶養届の該当箇所に丸印を付けるだけの話です。そんなに大変なことではありません。つまり、同居の場合、実質的には、マイナンバーを記載することが大変、重要だということです。マイナンバーを記載しない場合には、住民票か戸籍謄本の添付が必要となってきます。ここが今までと変わった部分です。

さらに、扶養する親族が別居している場合には、もう一段階、面倒な話があります。

別居していて扶養されていることを確認するために「振込の事実が確認できる書類」が必要となったことです。別居の場合の所得を確認するための「振込の事実が確認できる書類」とは、振込の場合、預金通帳の該当箇所の写し、現金で送付している場合には現金書留の控えの写しなどが必要となっています。

また、これらは、16歳未満のお子さんを扶養にする場合や16歳以上であっても学生の場合には不要とされています。

 

扶養の手続きがこのように厳格化された背景には、扶養の認定を巡って不正が相次いだことがあります。報道されているところによると、特に海外に居住している外国人を扶養にする場合の不正という話が多いようです。いずれにしても、このような取り扱いにおける改正があったことは、実務上に大きな影響を及ぼしています。では、実際にどんな影響が出ているのでしょうか。

 

まず、扶養の取り扱いの変更を知らずに手続きをした事業主は、扶養の手続きを今まで通りにやろうとすると、書類の添付がないとされ、書類を返却され、扶養の手続きが進まないという実態があります。つまり、扶養親族の保険証の交付が遅れてしまうわけです。

また、この扶養手続きの変更は厚労省内部の通達によって職員に通知されて実施されているわけですが、実際、職員が手続きをする際には住基システムにアクセスしたりという作業があるため、以前よりも時間がかかるようになったようです。

そうした背景もあり、扶養の手続きは以前よりもかなり時間がかかるようになっています。

実際、私も顧問先の会社さんの手続きを電子申請でやったところ、保険証が届くまでに1か月近くかかっています。

 

そこで、扶養の手続きに当たって、以下の二点に留意してはいかがかと思います。

 

① なるべくマイナンバーを記載した形の届け出にしたほうがいい

 以前はマイナンバーの記載がなくても、通常通り手続きできたのですが、マイナンバーの記載がないと添付書類が必要なうえ、手続きに特に時間がかかるようです。社会保険の届け出の中でも、特に扶養の手続きの場合には、マイナンバーの記載をしたほうが手続きもスムースに進むようです。(マイナンバーの記載は被保険者と被扶養者の両方が必要になっています

 

② 被扶養者の手続きの際、病院にかかりそうなのであれば通常の手続きではなく、窓口で手続きをし、「健康保険資格取得証明書」を付けて手続きをしたほうがいい

 「健康保険資格取得証明書」というのは、保険証が届くまでの間、保険証の代わりとしての役割を果たすことのできる書類です。病院などでその書類を提示すれば保険証と同じ効力があります。扶養の手続きには時間がかかるため、保険証がすぐに必要な事態が発生する可能性のあるお子さんの扶養の手続きなどは、窓口で手続きをして「健康保険資格取得証明書」を発行する手続きをしたほうがいいでしょう。なお、この「健康保険資格取得証明書」を発行する手続きは、各年金事務所の窓口でしかできません。また、同時に「扶養異動届」を提出しないといけません ので注意が必要です。

 

扶養については、手続きが厳格化され、保険証の発行にも時間がかかるようになったので、この機会に事業主の皆さんにもこれらをしっかり認識していただきたいと思います。



IT導入補助金というのをご存知でしょうか?

IT導入補助金というのはクラウドシステムの導入やHPの新規作成などを通じて業務の効率化や収益の向上を図る場合に出る補助金です。かかった費用の2分の1、最大で50万円の補助が出る補助金です。

この補助金の第三次公募の期間が12月16日までに延長されました

もし、クラウドシステムの導入やHPの新規作成をご検討の事業者の皆さんは、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。

https://www.it-hojo.jp/

 

なお、公募期間は12月16日までですが、翌年1月31日までにITを導入し、実施報告をしないといけません。期間が短いので注意が必要です

 

IT導入補助金の申請を検討されている事業者の皆さんはお早めに!



さて、今日は日本政策金融公庫の融資について少しご紹介したいと思います。

以前にもご紹介したことがありますが、今日は政策金融公庫の融資は利用がなければ企業経営の観点からも利用したほうがいいですよ、という話です。

株式会社日本政策金融公庫は平成20年10月に発足した法人です。前身が「国民生活金融公庫」「農林漁業金融公庫」「中小企業金融公庫」の三つが合併してできた法人です。一般的には「公庫」と呼ばれることが多いようです。

この「公庫」の融資の特徴は次の二つだと私は思っています。

 

Ⅰ 小規模事業者への融資が多い

融資先の半分は個人事業の融資だそうです。また、1件平均の融資額が703万円であるそうです。つまり、他の金融機関の融資に比べて小規模な融資が多いのが公庫の融資の特徴なわけです。

 

Ⅱ 無担保融資が多い

融資の件数は87万件にのぼり、そのほとんどが無担保融資です。担保のない融資が主体ということはきちんと審査をしたうえで融資をしているということです。これも公庫の融資の特徴です。

 

企業経営にとって最も重要なのは資金をある程度、持ちながら経営することというのは再三、このブログでもみてきました。政策公庫の税理士向けのセミナーのレジュメには次のようなことが書かれています。

 

(複数金融機関からの借入)

○小規模企業でも、複数の金融機関から借入していることが一般的です。

○複数の金融機関から借り入れることで安定した資金調達が期待されます。

○金融機関の特徴に応じて、借入先を使い分けることが上手な付き合い方といえます。

 

複数の金融機関から融資を調達することが経営の安定化につながるといっているわけです。

また、「民間の金融機関」と「公庫」、「保証協会付き融資」と「プロパー融資」、民間金融機関でも「信用金庫・信用組合」と「地方銀行・第二地銀」といったように複数の違う組み合わせの融資をすることも大事であるといっています

そして、 「公庫」が率先して、「複数の金融機関と付き合いましょう」と言っている点も重要です。

 

中小企業の経営者の皆さん、もし「公庫」の融資を今受けていないのであれば、まずは「公庫」からの融資を受けてみることをお勧めします。

次回は、融資の際の審査のポイントについて、見ていきましょう!



介護事業所経営者のための助成金・補助金セミナー、第二回の開催を致しました。

参考になれば幸いです!!

お申込みいただいた方で、残念ながらご来場いただけなかった方、レジュメだけでも差し上げます。是非、ご連絡ください!



11月5日開催のヴァンガードマネージメントオフィス主催のセミナー、まだ若干、席が空いております。受付可能です!

お申し込みは明日までです。是非ご参加ください。

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今日は実際に私のブログに投稿のあったものに対しての回答を載せたいと思います。

 

質問の内容

 

普通のサラリーマンです。

不動産投資がバレないよう、

住民税は自分で今まで支払ってました。

 

会社から来年からは、会社が払うのが義務になったので

自分で支払わないで欲しい。

と言われたが、少し拒んだところ、

会社側で支払う事について何か問題でもあるのか?

と何か、勘ぐられて気分が悪くなったので、

分かりましたと承諾しておきました。

 

不動産投資は現在、少額ですがプラスの状態です。

 

来年から、会社が住民税を支払う事により、

不動産投資はバレてしまうのでしょうか?

何か、バレない良い方法があれば教えて下さい。

 

もしかしたら、副業という事で

仕事が首になる恐れもでるのかなと思ってもいます。

 

 

まず、このような質問が出る背景を少し解説したいと思います。これは会社での住民税の特別徴収が義務化されたことがあります。住民税は原則として会社で支払い給与から天引きされることになったこと、これがかかわっています。給与から特別徴収(給与から住民税を天引き)する場合、特別徴収税額通知書というのが会社に届きます。そこにはその方の所得の内訳が書かれています。つまり、これを見ると、本人の収入(会社の給与以外の収入があればそれも)がわかってしまうというわけです。こうしたことが背景にあり、住民税の特別徴収が義務化されたことについて警戒しているサラリーマンは意外と多いのです。

 

副業が禁止されているケースは多くの企業であります。それは、個々の企業の就業規則でどのように書かれているのかの話なので、確認していただきたいところです。一方で、不動産投資まで禁止しているところはあまりないだろうと思います。ただ、その不動産投資をしていることを会社に知られたくないということはあるだろうと思います。

いずれにしても、住民税が特別徴収されることによって、原則として住民税はすべての所得が合算されるため、特別徴収を通じて会社に副業がばれてしまうことを恐れている方は結構、いらっしゃるということです。

さて、これにはどのように対処したらいいのでしょうか?

実は、これは確定申告の仕方を知っておくだけで対処できる部分もあったりします。では、どのようにしたらいいのでしょうか?

 

具体的には確定申告の際に、申告書の第二表(確定申告書の二枚目)の右下に「住民税・事業税に関する事項」というのがあります。そこに「給与・公的年金等にかかる所得以外の住民税の徴収方法の選択」という欄があります。「給与から差し引き」と「自分で納付」のどちらかに○をつけるようになっています。そこの「自分で納付」に○を付ければいいということです。確定申告の際に忘れずに○を付けてください。

上記のように「自分で納付」に○を付けると、給与の収入は会社から天引きになりますが、一方で、給与以外の収入はご自宅に住民税の納付書が届くことになります。これによって、サラリーマンが副業をしていても会社にはばれることがないというわけです。

 

ただ、次のようなケースでは、副業や他で働いていることがわかってしまうことがあります。

たとえば、副業が赤字だった場合です。

副業で事業をしていて赤字だった場合、給与所得と通算されます。通算された後、住民税の計算をします。会社での給与所得の他に、事業所得でマイナスがあれば、そのマイナス表示された住民税の特別徴収税額通知書が会社に届きます。それをみられてばれてしまうわけです。

 

また、サラリーマンが他で働いていた場合、そのもう一か所の収入が給与所得の場合、これもばれてしまう可能性が高いです。この場合、両方とも給与所得ですから、二か所の収入が合算され手住民税が計算されます。上記の「自分で納付」に○をつけて住民税が普通徴収になるのは、あくまでも「給与と年金以外の所得」の話です。もう一か所の収入も給与であれば2か所の給与が合算されて住民税が計算されるというわけです。そのために会社にばれてしまうことはあり得ます。

 

ただ、近年、特に、マイナンバー制度が導入されて以降、市区町村から会社に送られてくる特別徴収税額通知書をみますと、個々の従業員さんの所得の欄はシールが張って合って見えないようにして送られてくる傾向があります。会社の方としてはそのまま本人に渡すだけなので、住民税の徴収税額しか表示されません。そのため、たとえばうっかり第二表の住民税の欄の「自分で納付」に○を付けるのを忘れたとしても、会社にはばれずに済む可能性もあります。(もっとも会社の総務担当者がうっかりそのシールを剥がしてしまえばわかってしまいますし、住民税額が給与の額に比べて多ければ怪しまれる可能性はありますが・・・)

 

いずれにしても、第二表の右下の住民税の欄という部分の活用方法というのは知っておいていいものだと思い、今回は紹介させていただきました。

実は、第二表の下の欄は結構、面白い項目(マニアックな項目)が多く、私も仕事上、確定申告書の第二表の下の欄について、結構、調べてみたりしたことがあります。また何かの機会に、確定申告書の第二表の下の欄についてご紹介できればと思います。

 

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